JP3122264B2 - 加熱調理用油脂組成物 - Google Patents

加熱調理用油脂組成物

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JP3122264B2
JP3122264B2 JP04335118A JP33511892A JP3122264B2 JP 3122264 B2 JP3122264 B2 JP 3122264B2 JP 04335118 A JP04335118 A JP 04335118A JP 33511892 A JP33511892 A JP 33511892A JP 3122264 B2 JP3122264 B2 JP 3122264B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱調理用油脂組成物
に関する。特に、本発明は、揚げ物(フライ、天ぷら)
用の油に適した、リン脂質及びショ糖脂肪酸エステル混
合物を含有する加熱調理用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から天ぷらやフライを揚げるために
用いる揚げ物用の油脂としては、比較的淡泊で、油脂自
体に好ましい風味を有するなどの点から、例えば、コー
ン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、
ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイ
ックひまわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂が多
く用いられている。また最近では、ラード(脱臭したも
のや水素添加したものなど)、ショートニングなどの固
形油脂も使用されており、これらは、比較的熱に強く、
フライ用に有用である。
【0003】しかしながら、上記のような油脂では、加
熱による油の劣化臭(嫌悪感のある臭気)が発生し易
く、揚げ物の風味が油っぽくなり易かった。
【0004】加熱調理用、中でも焼く、炒める時の油は
ね防止や加熱時の悪臭の発生の抑制にリン脂質が有効で
あることが知られている(特開平2−27943号公
報、あるいは特開平2−5824号公報参照)。またリ
ン脂質には、上記の性質と共に油っぽさの低減にも効果
があることも知られている。そこで、本発明者は、上記
のようなリン脂質を利用した加熱調理用、特に天ぷら、
フライ等の揚げ物用の上記油脂への利用を検討した。し
かしながら、リン脂質を揚げ物用の油に添加した場合に
は、確かに、油っぽさの低減に効果があるが泡立ちや、
長時間の揚げ物に際して油の変色(黒色化)を伴い易
く、またこのような欠点を伴わないような使用量では、
上記油っぽさの低減は十分でなかった。
【0005】なお、ショ糖脂肪酸エステルは、従来から
ケーキ等の菓子類の生地の調製用の乳化剤(起泡剤)と
して(例えば、特開昭62−162133号公報)、あ
るいはショートニングなどに用いられる油脂の結晶成長
抑制剤(例えば、特開昭62−205738号公報)と
して良く知られている。また、特開昭47−34703
号公報には、耐寒性を改良するために、液状の植物油に
蔗糖のジ(または)トリ不飽和脂肪酸エステルを添加溶
解することからなる液状食用油の製造法が開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、揚げ
物用の油脂として、調理時の泡立ち及び過度の着色を伴
うことなく油脂の劣化を抑制し、繰り返し使用において
も揚げ物の油っぽさを低減することができる加熱調理用
油脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、リン脂質の
上記揚げ物油への利用を検討した。その結果、ショ糖脂
肪酸エステル混合物をリン脂質と併用することにより、
リン脂質の特性が生かされた状態で上記泡立ちや油の変
色の起こらない範囲の量のリン脂質の使用が可能とな
り、またこの両者の併用による相乗効果も働き、上記揚
げ物油に要求される機能が備えられた油脂組成物が得ら
れることを見出した。また、通常、油脂を繰り返し使用
した場合には、次第にその風味に油っぽさが生じてくる
傾向にあるが、本発明の油脂組成物を使用することによ
り、これらの出現も効果的に抑制できることもわかっ
た。本発明は、リン脂質及びショ糖脂肪酸エステル混合
物を含有する加熱調理用油脂組成物にある。
【0008】そして、本発明の加熱調理用油脂組成物
は、含有されるショ糖脂肪酸エステル混合物の脂肪酸エ
ステル化度の平均値(本明細書中では、平均エステル化
度という)が2乃至4.5の範囲にあり、かつ該ショ糖
脂肪酸エステル混合物中のショ糖脂肪酸モノエステル
(本明細書中では、[SME]で表す)の含有量が10
重量%以下であることを特徴としている。本発明の好ま
しい態様は、下記の通りである。 (1)上記平均エステル化度が、2〜3.5の範囲にあ
る。 (2)上記ショ糖脂肪酸エステル混合物中に、[SM
E]が0.01重量%〜5重量%の範囲の量で含まれて
いる。 (3)上記リン脂質が下記式(1)
【0009】
【化1】
【0010】(式中、Aは、水素原子またはR2 を表
し、R1 及びR2 はそれぞれ炭素数8〜24の飽和また
は不飽和の脂肪族アシル基を表し、X1 は、コリン、エ
タノールアミン、セリン、イノシトール及びグリセロー
ルのリン脂質塩基残基、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、3価の金属及びアンモニウムの群から選ばれる1で
あり、X2 は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、3価の金属及びアンモニウムの群から選ばれる1
である。)で表され、かつ該リン脂質がX1 及びX2
窒素原子を含有しないリン脂質の重量がX1 及びX2
窒素原子を含有するリン脂質の重量に対して重量比1.
0以上である。 (4)上記リン脂質がX1 およびX2 に窒素原子を含有
しないリン脂質の重量がX1 及びX2 に窒素原子を含有
するリン脂質の重量に対して重量比3.0以上である。 (5)上記ショ糖脂肪酸エステル混合物が、油脂組成物
中に、0.01〜5重量%含有されている。 (6)上記ショ糖脂肪酸エステル混合物中に[SDE]
≧33重量%である。
【0011】[発明の詳細な記述]以下に、本発明の加
熱調理用油脂組成物について説明する。本発明の油脂組
成物に配合されているリン脂質について説明する。本発
明で使用するリン脂質は、風味などの点から下記式
(1)で表されるリン脂質であることが好ましい。
【0012】
【化2】
【0013】式中、Aは、水素原子またはR2 を表す。
1 及びR2 はそれぞれ炭素数8〜24の飽和または不
飽和の脂肪族アシル基を表す。X1 は、コリン、エタノ
ールアミン、セリン、イノシトール及びグリセロールの
リン脂質塩基残基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
3価の金属及びアンモニウムの群から選ばれる1であ
り、X2 は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、3価の金属及びアンモニウムの群から選ばれる1で
ある。上記リン脂質は、X1 及びX2 に窒素原子を含有
しないリン脂質の重量がX1及びX2 に窒素原子を含有
するリン脂質の重量に対して重量比1.0以上であるも
のが好ましく、更に好ましくは、3.0以上のものであ
る。
【0014】通常のリン脂質は、ホスファチジルコリン
(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、
ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジル
グリセロール(PG)、ホスファチジン酸(PA)、ホ
スファチジルセリン(PS)などのリン酸化合物からな
る混合物である。従って、窒素原子を含有するリン脂質
としては、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチ
ジルエタノールアミン(PE)およびホスファチジルセ
リン(PS)が主な成分として含まれ、一方、窒素原子
を含有しないリン脂質としては、ホスファチジン酸(P
A)、ホスファチジルグリセロール(PG)およびホス
ファチジルイノシトール(PI)が主な成分として含ま
れる。
【0015】上記リン脂質は、種々の公知の方法を利用
して得ることができる。例えば大豆レシチンに代表され
る天然レシチンを原料として、ホスフォリパーゼD、ホ
スフォリパーゼA2 を触媒としてホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン(窒素原子を含有
するリン脂質)を選択的に分解して、これらの含有量を
減少させると同時に、ホスファチジン酸およびリゾホス
ファチジン酸(窒素原子を含有しないリン脂質)の含有
量を増加させる方法により得たもの、あるいはホスフォ
リパーゼD、ホスフォリパーゼCを触媒として同様に天
然レシチンを分解し、ホスファチジン酸の含有量を増加
させる方法により得たもの等が好ましく用いられる。ま
たホスフォリパーゼを触媒としたトランスホスファチジ
レーションにより、天然レシチン中のPC、PE、PS
(窒素原子を含有するリン脂質)の含有量を減少させ、
PI、PG、PS(窒素原子を含有しないリン脂質)の
含有量を増大させる方法を利用して得たものも有利に使
用することができる。
【0016】ホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸
は遊離の酸でも、また塩の形でも使用できる。塩を構成
するものとしては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアル
カリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカ
リ土類金属塩、アルミニウム塩等の三価の金属塩、およ
びアンモニウム塩等が挙げられる。特に、ナトリウム、
カリウムの一価のアルカリ金属の塩が好ましい。ホスフ
ァチジン酸、リゾホスファチジン酸を構成する脂肪酸は
炭素数8〜20の飽和または不飽和脂肪酸が好ましく、
中でも炭素数16〜18の不飽和脂肪酸が最適である。
また、PGやPIを含むリン脂質を構成する脂肪酸につ
いても上記の組成であることが好ましい。
【0017】ホスファチジン酸または/およびリゾホス
ファチジン酸は、これら単独もしくは混合物を使用する
ことができる。しかし、調理物のいわゆる油っぽさ、し
つこさが減少し、風味が良好になるなどの観点から、ホ
スファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン
等が全て分解されないで残存し、ホスファチジルコリン
とホスファチジルエタノールアミンの合計量がリン脂質
中に0.01〜20重量%の割合で残存しているリン脂
質を使用することが好ましい。
【0018】上記のようなリン脂質を得るには、原料レ
シチンとして植物種子、特に大豆、菜種、ひまわり等の
種子に由来するレシチンを用いることが好ましい。な
お、上記リン脂質の配合量の決定に際しては、アセトン
不溶分として取扱うのが適当である。アセトン不溶分と
は総リン脂質分の目安となるもので、食品添加物公定書
に記載されたレシチン分の規定に準ずる。
【0019】次に、本発明の油脂組成物に配合されてい
るショ糖脂肪酸エステル混合物について説明する。一般
にショ糖脂肪酸エステル混合物(ショ糖エステル)は、
エステル化度(エステル置換度)が1(ショ糖モノエス
テル[SME])、2(ショ糖ジエステル[SD
E])、3(ショ糖トリエステル[STE])および4
〜8(ショ糖ポリエステル[SPE])のショ糖エステ
ルの混合物で構成されている。平均エステル化度とは、
ショ糖エステルの脂肪酸エステル化度の平均値を表わ
し、以下の式で表わすことができる。すなわち、エステ
ル化度がiのショ糖エステル中における構成重量%をW
iとすると、平均エステル化度は、以下の式で与えられ
る。
【0020】
【数1】
【0021】本発明者は、上記特性を有する加熱調理用
油脂組成物に適したショ糖脂肪酸エステルについて検討
し、その結果、ショ糖脂肪酸エステルの平均エステル化
度が低いと、油溶性及び風味が低下する傾向にあり、ま
たショ糖脂肪酸エステル中の[SME]の含有量が多く
なると、風味や油溶性が低下する傾向にあることが判明
した。上記平均エステル化度は2〜4.5の範囲(特に
2〜3.5)の範囲にあることが好ましく、また、ショ
糖エステル中の[SME]の含有量は10重量%以下
(特に0.01〜5重量%)であることが好ましい。ま
た、ショ糖エステル中の[SDE](ショ糖ジエステ
ル)は、33重量%以上であることが好ましい。本発明
で用いるショ糖エステル混合物中のショ糖エステルの構
成脂肪酸は、油溶性や加熱時の臭い、風味などの点か
ら、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレイン酸またはこれらの混合物であることが
好ましい。
【0022】本発明に係るショ糖脂肪酸エステル混合物
は、既知の合成法を利用して調製することができる。一
般に行われる方法は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステ
ル化反応により生成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸
メチルの相溶性溶媒(通常、DMF)を用い、炭酸カリ
ウムを触媒とし、減圧下加熱反応させる方法や、ショ糖
と脂肪酸メチルを水と多量の乳化剤(セッケン)とを用
いて、加熱し、ミクロエマルジョンとした後、これを減
圧脱水し、触媒として炭酸カリウムを加えて反応させる
方法が代表的である。また、炭酸カリウムを触媒とし
て、ショ糖と油脂を直接加熱反応させる方法も利用でき
る。得られた反応生成物から過剰のショ糖や溶媒を除去
後、クロロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカ
ゲルカラムにかけて分画し、得られた各分画物を目的と
する配合に再配合することにより、本発明の油脂組成物
に含まれるショ糖脂肪酸エステル混合物を調製すること
ができる。なお、市販品のショ糖脂肪酸エステル混合物
から上記の方法にて分画し、得れらた各分画物を本発明
の配合に従い再配合することによっても得ることができ
る。
【0023】本発明の加熱調理用油脂組成物は、以上の
ように調製したリン脂質及びショ糖脂肪酸エステル混合
物を食用油脂に添加、混合することにより調製すること
ができる。油脂は、従来から揚げ物用として使用されて
いる油脂(液状油脂でも固形油脂でも良い)が利用でき
る。これらの例としては、前述した油脂(コーン油、菜
種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわり
油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひま
わり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂及びラード、
ショートニングなどの固形油脂)を挙げることができ
る。また、より低温での白濁または油不溶分の析出防止
のためには、ジグリセリドが、油脂組成物中に5重量%
以上(更に好ましくは、10重量%以上)含まれている
ことが好ましい。
【0024】このように調製した油脂組成物中の[SM
E]の含量は、油臭、風味における点から、0.05重
量%以下であることが好ましく、0.0005重量%以
上、0.005重量%以下であることが更に好ましい。
上記ショ糖脂肪酸エステル混合物は、油脂組成物中に
0.01〜5重量%(好ましくは、0.1〜2重量%)
の割合で配合されていることが好ましい。上記リン脂質
は、油脂組成物中に、0.001〜0.5重量%(好ま
しくは、0.005〜0.1重量%)の割合で配合され
ていることが好ましい。
【0025】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。
【0026】(試料の調製) (ショ糖脂肪酸エステル混合物SE−AおよびSE−B
の調製)市販品であるショ糖脂肪酸エステル混合物を、
クロロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカゲル
カラムにて分画し、得られた各分画物を再調合すること
により、ショ糖脂肪酸エステル混合物SE−AおよびS
E−Bを得た。以上のようにして得た各ショ糖脂肪酸エ
ステル混合物中のエステル組成(重量%)及び平均エス
テル化度は、以下の通りである。 ──────────────────────────────────── [SME] [SDE] [STE] [SPE] 平均エステル化度 ──────────────────────────────────── SE−A 0.5 72.4 20.1 7.0 2.3 SE−B 2.5 8.8 20.8 67.9 4.4 ────────────────────────────────────
【0027】(リン脂質A及びリン脂質Bの調製)高純
度大豆レシチン(アセトン不溶分95%以上)を原料と
して、このものをホスフォリパーゼD処理することによ
り、総リン脂質中のホスファチジルコリン(PC)、ホ
スファチジルエタノールアミン(PE)含量を低減さ
せ、逆にホスファチジン酸(PA)およびリゾホスファ
チジン酸(LPA)含量を増大させたリン脂質を数種類
調製し、それを必要に応じて組み合わせることによりリ
ン脂質A及びリン脂質Bを調製した。 ──────────────────────────────────── リン脂質A リン脂質B ──────────────────────────────────── アセトン不溶分(%) 96.9 96.5 PC 含量 (%) 1.1 21.7 PE 含量 (%) 3.5 18.8 PA 含量 (%) 55.6 12.7 LPA 含量 (%) 1.0 0.2 ──────────────────────────────────── PA+LPA/PC+PE 12.3 0.32 ────────────────────────────────────
【0028】[実施例1]上記で得たショ糖脂肪酸エス
テル混合物(SE−A、B)、およびリン脂質A及びリ
ン脂質Bを使用して、これらを市販のコーンサラダ油
(味の素(株)製)中に下記の表1に示すような配合で
添加し、種々の加熱調理用油脂組成物を調製した。な
お、コーンサラダ油のみからなる油脂も比較用として使
用した。
【0029】[加熱調理用油脂組成物としての評価]上
記で得た各油脂組成物について、下記のように天ぷらを
揚げ、サンプルとした。そして、揚げた天ぷらの油っぽ
さを下記の方法で評価した。また、天ぷらを揚げている
時に生じた泡立ちの状態、および天ぷらを揚げた後の油
の加熱による着色状態についても調べ、評価した。サン
プルは、全卵50g、水150g、および薄力粉100
gからなる衣を付着させた人参(100g)およびピー
マン(100g)を天ぷらとして200℃で揚げ、これ
らを揚げた後30分後に、上記衣を用いてエビ天ぷらを
揚げたものを使用した。
【0030】天ぷらの油っぽさの評価は、上記油脂組成
物を使用して揚げた天ぷらと、コーンサラダ油のみで同
様にして揚げた天ぷらとを味覚試験によって選抜した味
覚の鋭敏な20人のパネラーにブラインドテストにて評
価させ、上記油脂組成物で揚げた天ぷらの方がコーンサ
ラダ油のみで揚げた天ぷらに比べ油っぽくないとした人
の人数の5倍したものを評点とした。従って、この評点
が高いほど得られる天ぷらは、油っぽくなく、油っぽさ
低減の効果が現れていることを示す。加熱着色の評価
は、以下の基準で行った。 5:殆ど着色が見られない。 4:若干着色するが気にならない。 3:着色が気になる。 2:褐色に変化する。 1:黒色に変化する。 泡立ちの評価は、以下の基準で行った。 5:殆ど泡立ちが見られない。 4:若干泡立ちするが気にならない。 3:泡立ちが気になる。 2:泡立ちが激しく、種が見えなくなる。 1:生じた泡が鍋からあふれる。 以上の結果を下記の表1に示す。
【0031】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 油脂組成物中の 油脂組成物中の含量 油っぽさ 加熱 油の 含有組成 (重量%) 低減効果 着色 泡立ち ──────────────────────────────────── (本発明品) SE−A/リン脂質A 0.2/0.02 90 5 5 SE−A/リン脂質A 0.5/0.05 95 4 4 SE−A/リン脂質B 0.2/0.01 75 4 5 SE−B/リン脂質A 0.2/0.02 80 5 5 SE−B/リン脂質A 0.5/0.05 85 4 4 SE−B/リン脂質B 0.2/0.01 70 4 5 ──────────────────────────────────── (比較品) サラダ油 −−− −−− 5 5 SE−A 0.2 20 5 5 SE−A 0.5 25 4 5 SE−B 0.2 10 5 5 リン脂質A 0.02 20 5 5 リン脂質A 0.05 25 4 4 リン脂質A 1.50 70 2 1 リン脂質B 0.01 15 4 5 リン脂質B 1.50 55 1 1 ────────────────────────────────────
【0032】上記表1に示された結果から明らかなよう
に、ショ糖脂肪酸エステル混合物(SE−AまたはSE
−B)、及びリン脂質Aまたはリン脂質Bを含む、本発
明に従う加熱調理用油脂組成物を使用することにより、
油脂組成物自体の加熱による変色及び揚げている時の泡
の発生が抑えられると共に、天ぷらの油っぽさの出現も
顕著に抑えることができる。
【0033】[実施例2]上記実施例1と同様にして下
記の表2に示すような配合の加熱調理用油脂組成物を調
製した。
【0034】[加熱調理用油脂組成物としての評価]上
記実施例1で使用した油脂及び上記で得た試料油を使用
して以下のような実験を行い、油の劣化状態を調べ、評
価した。 (1)モデル揚げ実験(POV) 試料油400gを鉄製の天ぷら鍋に取り、油温を180
℃に維持したまま、衣(天ぷら粉(昭和天ぷら粉
(株))100gに対して水160gを使用)を付けた
濾紙(2×25cm)5枚を3分間揚げた。これを20
回繰り返すことにより得た油のPOVを測定し、劣化の
指標とした。 (2)強制劣化実験(重合物量) 直径5cmのステンレス製シャーレに試料油3gを入
れ、加熱用オーブンにて200℃、2時間加熱した。加
熱終了後、未重合の油分を除去するためテトラヒドロフ
ランで3回洗浄し、減圧乾燥処理した後の残存物を劣化
による重合物量とした。以上の結果を下記の表2に示
す。
【0035】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 油脂組成物中の 油脂組成物中の モデル揚げ 強制劣化実験 含有組成 含量(重量%) 実験(POV) 重合物量(mg) ──────────────────────────────────── (本発明品) SE−A/リン脂質A 0.2/0.06 9.8 15 ──────────────────────────────────── (比較品) サラダ油 −−− 19.8 169 SE−A 0.2 14.8 108 リン脂質A 0.06 21.3 133 ────────────────────────────────────
【0036】上記表2に示された結果から明らかなよう
に、ショ糖脂肪酸エステル混合物(SE−A)およびリ
ン脂質Aを含む、本発明に従う加熱調理用油脂組成物
は、繰り返し使用による劣化が顕著に抑制される。
【0037】
【発明の効果】本発明の加熱調理用油脂組成物は、油の
劣化抑制効果により、加熱による劣化臭の発生の抑制、
油っぽさなどによる風味の低下の防止などの加熱調理用
の油としての必要な機能をほとんど備えている。またリ
ン脂質の使用による油の変色や泡の発生も抑えられる。
しかも揚げ物用として油の繰り返し使用による油っぽさ
の出現もほとんど無い。従って、本発明の加熱調理用油
脂組成物は、炒め物用としても十分利用できる他、揚げ
物用として特に、有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安川 拓次 茨城県鹿島郡波崎町土合本町1−8762− 23 (56)参考文献 特開 昭56−11751(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23D 9/00 506

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン脂質及びショ糖脂肪酸エステル混合
    物を含有する油脂組成物であって、該ショ糖脂肪酸エス
    テル混合物の脂肪酸エステル化度の平均値が2乃至4.
    5の範囲にあり、かつ該ショ糖脂肪酸エステル混合物中
    のショ糖脂肪酸モノエステルの含有量が10重量%以下
    であることを特徴とする加熱調理用油脂組成物。
  2. 【請求項2】 該ショ糖脂肪酸エステルが油脂組成物中
    に0.01〜5重量%含まれている請求項1に記載の加
    熱調理用油脂組成物。
  3. 【請求項3】 リン脂質が油脂組成物中に0.001〜
    0.5重量%含まれている請求項1もしくは2に記載の
    加熱調理用油脂組成物。
JP04335118A 1992-11-20 1992-11-20 加熱調理用油脂組成物 Expired - Lifetime JP3122264B2 (ja)

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