JP3781440B2 - ショ糖脂肪酸エステル混合物およびこれを含有する油脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、揚げ物(フライ、天ぷら)用の油に添加して有利に利用できるショ糖脂肪酸エステル混合物およびこれを含有する油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から天ぷらやフライを揚げるために用いる揚げ物用の油脂としては、比較的淡泊で、油脂自体に好ましい風味を有するなどの点から、例えば、コーン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひまわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂が多く用いられている。また最近では、ラード(脱臭したものや水素添加したものなど)、ショートニングなどの固形油脂も使用されており、これらは、比較的熱に強く、フライ用に有用である。
【0003】
しかしながら、上記のような油脂では、揚げ物を作る時の油はねが生じ易かったり、また天ぷらを揚げた場合には、衣の花咲性(散り状態)が十分でないなどの問題がある。更に液体油の場合には、特に加熱による油の劣化臭(嫌悪感のある臭気)が発生し易く、これが上記の花咲性の不十分さによると思われる油っぽさと相俟って、揚げ物の風味が損なわれ易かった。
【0004】
ところで、ショ糖脂肪酸エステルは、従来からケーキ等の菓子類の生地の調製用の乳化剤(起泡剤)として(例えば、特開昭62−162133号公報)、あるいはショートニングなどに用いられる油脂の結晶成長抑制剤(例えば、特開昭62−205738号公報)として良く知られている。また、特開昭47−34703号公報には、耐寒性を改良するために、液状の植物油に蔗糖のジ(または)トリ不飽和脂肪酸エステルを添加溶解することからなる液状食用油の製造法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記のようなショ糖脂肪酸エステルを利用した油脂組成物の天ぷら、フライ等の揚げ物用の油としての利用を検討した。しかしながら、従来のショ糖脂肪酸エステルは、油脂への溶解性や、加熱時の劣化臭、揚げ物を作る時の油はね抑制、揚げ物を作る時の衣の花咲性などの揚げ物用の油としての特性の点においてこれら全てが満足できるものがなく、更に揚げ物が油っぽかったり、嫌悪感のある油臭を発生させるなど風味の点においても十分満足できるとは言えなかった。
本発明の目的は、揚げ物用の油(油脂組成物)に好適な以下の機能の殆ど全てを付与することのできるショ糖脂肪酸エステル混合物及びこれを含む油脂組成物を提供することである。
(1)揚げ物を作る時の衣の花咲性(散り状態)や食感を向上させる。
(2)加熱時の劣化臭(嫌悪感のある臭い)の発生を抑制する。
(3)揚げ物の風味を低下させない(油っぽさを低減し、また嫌悪感のある油臭を発生させない)。
(4)揚げ作業時の油はねを抑制する。
(5)室温(20℃)において白濁したり、油不溶分を生じない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような特徴を有する、揚げ物用の油に添加して好適に利用できるショ糖脂肪酸エステル混合物を見い出すことを目的として鋭意研究を重ねた。その結果、エステル置換度が異った四種類以上のエステルのそれぞれの持つ特性、特にジエステルやエステル置換度が4以上のポリエステルの持つ特性を十分に生かした配合の混合物を調製することにより、上記目的とするショ糖脂肪酸エステル混合物及びこれを含む油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、ショ糖脂肪酸エステル混合物中の[SPE]含有量が5〜30重量%、そして[SME]含有量が0.5〜5重量%であって、かつ次の条件:
2≦平均エステル化度≦4.5
([SPE]含有量+[STE]含有量)/[SDE]含有量≦2.3
[SME]含有量/[SDE]含有量≦0.1
[SPE]含有量/[SDE]含有量≦0.8
[STE]含有量が14.4重量%以上
を満たすことを特徴とするショ糖脂肪酸エステル混合物にある。
ここで、[SME]はエステル置換度が1のショ糖脂肪酸エステルを表し、[SDE]はエステル置換度が2のショ糖脂肪酸エステルを表し、[STE]はエステル置換度が3のショ糖脂肪酸エステルを表し、[SPE]はエステル置換度が4以上のショ糖脂肪酸エステルの全部を表す。
なお、本明細書において、「平均エステル化度」は、以下の式により規定される値を意味する。但し、エステル化度がiのショ糖脂肪酸エステル中における構成重量%をWiとする。
【0008】
【数1】
Figure 0003781440
【0009】
また本発明は、上記のような組成のショ糖脂肪酸エステル混合物を組成物中に0.01〜5重量%含有されてなる油脂組成物を提供することでもある。
【0010】
本発明の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)5重量%≦[SPE]≦25重量%
(2)([SPE]+[STE])/[SDE]≦2.0
(3)2・0≦平均エステル化度≦3.5
(4)[SME]/[SDE]≦0.05
(5)[SPE]/[SDE]≦0.7
(6)25重量%≦[SDE]≦90重量%
(7)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が、ステアリン酸及び/又はパルミチン酸を主成分とする飽和脂肪酸及びオレイン酸、リノール酸、及び/又はリノレン酸を主成分とする不飽和脂肪酸を組み合わせたものである。
(8)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の50重量%を越える量が不飽和脂肪酸である。
(9)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の70重量%以上が不飽和脂肪酸である。
(10)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の90重量%以上が不飽和脂肪酸である。
【0011】
[発明の詳細な記述]
本発明のショ糖脂肪酸エステル(以下、ショ糖エステルという場合もある)混合物は、[SME](エステル置換度が1のショ糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸モノエステル)、[SDE](エステル置換度が2のショ糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸ジエステル)、[STE](エステル置換度が3のショ糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸トリエステル)および[SPE](エステル置換度が4〜8のショ糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸ポリエステル)からなる。
そして、本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、上記のエステル組成が前記の関係を満たすように調製されていることを特徴とする。
以下、これらの関係を詳述する。
【0012】
[SDE]は、油はね抑制や衣の花咲性(散り具合)に効果があり、また加熱時の劣化臭や揚げ物の油っぽさの低減に寄与するなど揚げ物用に有利な性質を有する。このため[SDE]は、多量に含まれていることが好ましい。しかし、極端に多いと油溶性を低下させる。このことから、[SDE]は、上記混合物中に25重量%以上(好ましくは、40重量%以上)含まれていることが好ましく、一方、[SDE]含有量は、90重量%以下であることが好ましい。低温での油溶性を更に高めたい場合には、[SDE]の含有量は、70重量%以下であることが更に好ましい。
【0013】
[SPE]は、これを含ませることによってショ糖エステル混合物の製造を容易にさせ、またショ糖エステル混合物の油溶性を向上させる。しかしこれを多量に含有させると[SDE]や[STE]の衣を散らす作用(花咲性)を低下させる。このため、[SPE]は、上記混合物中の含有量を、5重量%〜30重量%とする。好ましくは、5重量%〜25重量%である。
上記の[SDE]、[SPE]あるいは[STE]の各性質から、本発明においては、[SDE]、[SPE]及び[STE]のエステル組成は、以下の関係を満足するように調整する。
[SPE]/[SDE]≦0.8(好ましくは、≦0.7)
([SPE]+[STE])/[SDE]≦2.3(好ましくは、≦2.0)
【0014】
次に、[SME]については、この含量が多くなると、風味や油溶性を低下させるため、少ないことが好ましい。しかし、[SME]は、高い油はね抑制効果を示し、[SDE]の含有量が、相対的に少ない場合には、[SME]を増量することによって油はね抑制効果を補うことができる。[SME]のこのような性質から、本発明においては、[SDE]及び[SME]のエステル組成は、以下の関係を満足するように調製する。
[SME]/[SDE]≦0.1(好ましくは、≦0.05)
更に具体的には、[SME]は、ショ糖エステル中に、0.1重量%以上、10重量%以下(更に好ましくは、0.5重量%〜5重量%)であるように調整することが好ましい。
【0015】
平均エステル化度は、前述の式で示される値である。
本発明者の検討によると、平均エステル化度が低過ぎると油溶性及び風味が低下する傾向にあり、一方その値が高過ぎると花咲性の効果や油はね抑制効果が十分得にくくなることが判明した。従って、本発明において、各エステル組成は、その平均エステル化度が、2〜4.5の範囲(好ましくは、2〜3.5の範囲)にあるように調整する。
【0016】
ショ糖脂肪酸エステル混合物の構成脂肪酸については、特に制限はないが、飽和脂肪酸が多過ぎると油溶性が不十分となり易いので、不飽和脂肪酸が50重量%以上あることが好ましい。不飽和脂肪酸のみで構成したショ糖脂肪酸エステル混合物は、油はね抑制効果が弱く、また加熱劣化し易くなる。本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物中には、飽和脂肪酸が、5重量%以上、50重量%以下(好ましくは、10重量%以上、30重量%以下)含まれるように配合することが好ましい。一方、液状油脂に添加する場合には、低温における油溶性を向上させるために不飽和脂肪酸の構成率が、70重量%以上(更に好ましくは、90重量%以上)とすることが好ましい。
【0017】
上記飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸は、その構成脂肪酸は加熱時の劣化臭や嫌な臭いの発生の少ない炭素数14以上のものであることが好ましく、特に、飽和脂肪酸は、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリン酸またはこれらの混合物を主成分とするものであることが好ましく、また不飽和脂肪酸は、炭素数18のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはこれらの混合物を主成分とするものであることが好ましい。
【0018】
本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、既知の合成法を利用して得ることができる。一般に行われる方法は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステル化反応により生成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸メチルの相溶性溶媒(通常、DMF)を用い、炭酸カリウムを触媒とし、減圧下加熱反応させる方法や、ショ糖と脂肪酸メチルを水と多量の乳化剤(セッケン)とを用いて、加熱し、ミクロエマルジョンとした後、これを減圧脱水し、触媒として炭酸カリウムを加えて反応させる方法が代表的である。また、炭酸カリウムを触媒として、ショ糖と油脂を直接加熱反応させる方法も利用できる。得られた反応生成物から過剰のショ糖や溶媒を除去後、クロロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカゲルカラムにかけて分画し、得られた各分画物を目的とする配合に再配合することにより、本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物を調製することができる。また、市販品のショ糖脂肪酸エステル混合物から上記の方法にて分画し、得られた各分画物を本発明の配合に従い再配合することによっても得ることができる。更に、市販品のショ糖脂肪酸エステルをヘキサンに溶解後、エタノールと水を添加し、エタノールと水の量比を調節することにより、ヘキサン相にショ糖脂肪酸エステルのジエステル以上の成分を濃縮することによって得られたものも利用することができる。
【0019】
本発明の油脂組成物は、以上のように調製したショ糖脂肪酸エステル混合物を加熱調理用油脂に添加、混合することによって調製することができる。そしてショ糖脂肪酸エステル混合物は、油脂組成物中に0.01〜5重量%含有されるように添加される。好ましくは、0.1〜2重量%含有されるように添加される。油脂組成物の調製に際しては、上記のようにショ糖エステル混合物を油脂に添加することもできるし、あるいは各条件で示されるショ糖エステル各々を油脂に添加することもできる。
油脂は、従来から揚げ物用として使用されている油脂(液状油脂でも固形油脂でも良い)が利用できる。これらの例としては、前述した油脂(コーン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひまわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂及びラードなどの固形油脂)を挙げることができる。
なお、より低温での白濁または油不溶分の析出防止のためには、ジグリセリドが、油脂組成物中に5重量%以上(更に好ましくは、10重量%以上)含まれていることが好ましい。
本発明の油脂組成物中の[SME]の含有量は、油臭、風味における点から、0.05重量%以下であることが好ましく、0.0005重量%以上、0.02重量%以下であることが更に好ましい。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
(ショ糖脂肪酸エステル混合物A〜D(本発明品)、並びにAc 〜Dc (比較例)の調製)
上記ショ糖エステル混合物は、構成脂肪酸の比の異なる脂肪酸メチルエステルを使用した以外は、下記に示すショ糖脂肪酸エステル混合物(E、F、G、c 及びFc )の調製法と同様な方法を実施して得られたものを、必要に応じて市販品のショ糖脂肪酸エステル混合物を用いて再調合することにより得た。
【0021】
(ショ糖脂肪酸エステル混合物E、F及びG(本発明品)、並びにEC 及びFC (比較品)の調製)
構成脂肪酸の比が、オレイン酸:ステアリン酸=90:10である脂肪酸メチルエステル75gを三ツ口フラスコ(容積1リットル)に取り、加熱攪拌しつつ100℃にて、これにショ糖90gを加えた。この後、25〜50mmHgの減圧下、105〜120℃に加熱攪拌しながら30分間脱水し、炭酸カリウム2.6g、及び30重量%カリウムメチラート/メタノール溶液を7g加えた。その後、更に5〜10mmHgの減圧下、140〜160℃で8時間反応させて、ショ糖脂肪酸エステル混合物を得た。得られたショ糖脂肪酸エステル混合物をクロロホルム−メタノールを展開溶剤としたシリカゲルカラムにて分画し、得られた各分画物を再調合することにより、本発明品E、F及びG、並びに比較品EC およびFC を得た。
【0022】
以上のようにして得た各ショ糖脂肪酸エステル(SE)混合物の特徴を下記の表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0003781440
【0024】
[ショ糖脂肪酸エステル混合物としての評価]
(油脂組成物A−1及びA−2の調製)
コーンサラダ油(味の素(株)製)500gに、上記で得たショ糖脂肪酸エステル混合物Aを0.2重量%、または1.0重量%添加することにより、それぞれに対応する、本発明に従うショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物A−1及びA−2を調製した。
【0025】
(油脂組成物AC −1及びAC −2の調製)
上記油脂組成物A−1及びA−2の調製において、ショ糖脂肪酸エステル混合物Aの代わりに、ショ糖脂肪酸エステル混合物AC [比較品]を使用した以外は、上記油脂組成物A−1及びA−2の調製と同様にしてそれぞれに対応する、比較用のショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物AC −1及びAC −2を調製した。
【0026】
(油脂組成物B−1〜G−1の調製)
上記油脂組成物A−1の調製において、ショ糖脂肪酸エステル混合物Aの代わりに、ショ糖脂肪酸エステル混合物B〜Gをそれぞれ使用した以外は、上記油脂組成物A−1の調製と同様にしてそれぞれに対応する、本発明に従うショ糖脂肪酸エステル混合物B〜Gを含有する油脂組成物B−1〜G−1を調製した。
【0027】
(油脂組成物BC −1〜FC −1の調製)
上記油脂組成物AC −1の調製において、ショ糖脂肪酸エステル混合物AC の代わりに、ショ糖脂肪酸エステル混合物BC 〜FC をそれぞれ使用した以外は、上記油脂組成物AC −1の調製と同様にして、比較用のショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物BC −1〜FC −1を調製した。
【0028】
上記で得た各油脂組成物について、ショ糖脂肪酸エステル混合物の油脂への溶解性を下記の方法で調べ、評価した。
(1)油脂への溶解性(油溶性)
ショ糖脂肪酸エステル混合物の油溶性は、油脂組成物を60℃で1時間加熱攪拌した後、油脂組成物中に不溶分があるか否かを調べることにより行った。
【0029】
また、各油脂組成物を使用して揚げ物(天ぷら)をした場合の油はね、加熱臭(劣化臭)、衣の花咲性、揚げ物の風味(油っぽさ、加熱による嫌悪感のある臭気あるいはこれらが混在した風味)を下記のような試験を行うことにより調べ、評価した。
(試験方法)
油脂組成物500gを鉄製の揚げ物用の鍋(直径15cm、高さ8cm)に入れ、200℃まで加熱した。円柱型(直径3cm、高さ1cm、重さ9g)の豚肉5個に、予め調製した天ぷら用生地20g(0℃で冷却しながら調製した卵1個、水120g、薄力粉100gからなる)を付着させて油脂組成物中に投じ、4分後に取り出し、天ぷらを揚げた。
【0030】
(2)油はねの評価
天ぷらを揚げている間、一枚の紙を油脂組成物表面から8cmの高さのところに地面に対して水平に置き、揚げ物終了後にこの紙に付着している油はねの程度を、予め用意した基準用紙(下記の基準の油を用い、油はねのあった部分を着色した後、これを複写機を用いて可視画像とした五枚の紙(No.1〜5))と比較した。
基準用紙No.1は、コーンサラダ油(味の素(株)製)のみを用いて上記と同じ条件下(200℃)で試験して得た油はねのパターンに相当する(評点1:極めて激しい油はねを示す)。
基準用紙No.5は、揚げる温度を140℃に変え、上記基準用紙No.1と同様にして作成した場合の油はねのパターンに相当する(評点5:油はねは殆ど見られない。しかしこの温度では、揚げ物の調製は不可能である)。
基準用紙No.2〜4は、種々の界面活性剤を様々な濃度でコーンサラダ油に添加し、上記基準用紙No.1と同様にして作成した場合の油はねのパターンに相当する用紙の中から、相当すると思われる用紙を選んで、基準用紙No.2〜4とした。すなわち、基準用紙No.3(評点3)は、基準用紙No.1と基準用紙No.5との中間に相当する油はねのパターンと思われるものを選び、基準用紙No.2(評点2)及び基準用紙No.4(評点4)は、それぞれ基準用紙No.1と基準用紙No.3、基準用紙No.3と基準用紙No.5のそれぞれの中間に相当する油はねのパターンと思われるものを選んだ。
【0031】
(3)衣の花咲性の評価
衣の花咲性評価は、揚げた天ぷらの衣の状態を基準写真(衣の散り状態を着色後、撮影した五枚の写真(No.1〜5))と比較した。基準写真No.1は、コーンサラダ油(味の素(株)製)のみを用いて揚げた場合の衣の状態に相当し(評点1:花咲性がない)、基準写真No.5は、最も良好な花咲性を示す種々の界面活性剤を様々な濃度でコーンサラダ油に添加して、実施した衣の状態に相当する(評点5:花咲性は最も良いが、油溶性、加熱臭、風味は考慮していない)。基準写真No.2〜4(評点2、3及び4)は、上記油はねを評価する場合の基準用紙No.2〜4を選定する方法と同様な方法で作成し、選定した。
【0032】
(4)加熱臭の評価
味覚、臭覚の鋭敏な専門評価パネラーにより、180℃で調理している間の油臭を評価した。また、揚げ種からの臭いが出ないように濾紙を使用し、これを長方形(2×5cm)に切ったものに衣(水:小麦粉:卵=150:100:50(重量比))を付けて、一回に5枚ずつ40枚を揚げながら評価した。コーンサラダ油を使用して発生した劣化臭または異臭を1、劣化臭または異臭のない場合を5として評価し、その平均値を評点とした。
【0033】
(5)揚げ物の風味の評価
揚げ物の風味の評価は、上記の油脂組成物を使用して揚げた天ぷらと、コーンサラダ油のみで揚げた天ぷらとをブラインドペアテストで行い、コーンサラダ油で揚げた天ぷらより油っぽくなく、加熱による嫌悪感のある臭気、あるいはこれらが混在した風味の発生がなく、おいしいと答えたパネラーの評点を5、コーンサラダ油で揚げた方がおいしいと答えたパネラーの評価を1、どちらとも言えないとした場合を3とする5段階評価を行い、5人のパネラーの評点の平均値をその天ぷらの風味の評点とした。
【0034】
(6)保存性の評価
保存性は、40℃で、70%RHの条件に各油脂組成物を放置した後、水分を800ppmまで上昇させ、容器を密閉し、これを5℃の状態に一週間保存し、保存後の各油脂組成物の状態を以下の基準で評価した。
5:透明でまったく霞がかかっていないもの、
4:透明であるが、少し霞がかかっているもの、
3:全体に霞がかかっているもの、
2:かなり霞がかかり、白く濁っているもの、
:一部結晶が析出してくるもの
以上の結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003781440
【0036】
上記表2の結果から、本発明に従うショ糖エステル混合物(A〜G)を食用油脂に添加することによって、揚げ物用の油として必要とされるほとんどの性能が向上することがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、油脂への溶解性、加熱時の油臭(劣化臭)、揚げ物作業時の油はね抑制、そして揚げ物作業時の衣の花咲性(散り状態)などの揚げ物用の油に添加して利用するのに極めて良好な特性が付与されている。従ってこれを含む本発明の油脂組成物の保存性も向上する。更に揚げ物の油っぽさが低減され、嫌悪感のある油臭の発生が抑えられるなど、風味の良好な揚げ物ができる。

Claims (4)

  1. ショ糖脂肪酸エステル混合物中の[SPE]含有量が5〜30重量%、そして[SME]含有量が0.5〜5重量%であって、かつ次の条件:
    2≦平均エステル化度≦4.5
    ([SPE]含有量+[STE]含有量)/[SDE]含有量≦2.3
    [SME]含有量/[SDE]含有量≦0.1
    [SPE]含有量/[SDE]含有量≦0.8
    [STE]含有量が14.4重量%以上
    (ここで、[SME]はエステル置換度が1のショ糖脂肪酸エステルを表し、[SDE]はエステル置換度が2のショ糖脂肪酸エステルを表し、[STE]はエステル置換度が3のショ糖脂肪酸エステルを表し、[SPE]はエステル置換度が4以上のショ糖脂肪酸エステルの全部を表し、平均エステル化度は、ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化度の平均値を表す。)
    を満たすことを特徴とするショ糖脂肪酸エステル混合物。
  2. ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が、ステアリン酸、パルミチン酸またはこれらの混合物を主成分とする飽和脂肪酸、及びオレイン酸、リノール酸またはこれらの混合物を主成分とする不飽和脂肪酸を組み合わせてなる脂肪酸混合物である請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 脂肪酸混合物中の不飽和脂肪酸の含有量が70重量%以上である請求項2に記載の油脂組成物
  4. 上記請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載のショ糖脂肪酸エステル混合物が、組成物中に0.01〜5重量%含有されてなる油脂組成物
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