JP7312017B2 - 加熱調理用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱調理に用いられる加熱調理用油脂組成物に関する。
フライ調理、炒め調理等の加熱調理には、菜種油、大豆油、コーン油、ごま油等の食用油脂が利用されている。食用油脂で食材を加熱調理すると、食用油脂に由来する独特の風味が食品の嗜好性を向上させることができる一方で、加熱調理後の油の風味が不快臭となったり、食したとき油が口の中に残るような後引き感が増したりする等、一定の不利な側面があった。
このような問題に関しては、従来、油脂やそれを用いた食品の油臭さを低減するために、油脂中に香料やフレーバーオイルを添加することも行われている。例えば、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等のω3系多価不飽和脂肪酸を含有する油脂の油臭さを緩和するために、ローレル油溶性抽出物やペパーミントオイルを添加することが提案されている(特許文献1、2)。また、魚肉練加工物を原料とする野菜入り揚げ物食品の油臭さを低減するために茶抽出物の濃縮物を添加することや、油揚げ即席麺の油臭さをマスキングするために酒粕を添加することが提案されている(特許文献3、4)。
一方、特許文献5には、あまに油、えごま油、しそ油等を利用して、加熱調理した食品に程よい風味・コク味が付与することができる、と記載されている(特許文献5の段落0011参照)。
特開平08-242767号公報 特開平06-133707号公報 特開2008-212003号公報 特開2007-244217号公報 特開2018-7572号公報
しかしながら、特許文献1乃至4のように比較的強いフレーバを有する助剤を添加する方法では、食品の風味に影響を与えるおそれがある。また、特許文献5に記載の技術の目的は、揚げ物に程よい風味・コク味を付与することであって、食用油脂をフライ調理等の加熱調理に使用することにより生じるネガティブ面を抑制する手段ではなかった。
したがって、本発明の目的は、食用油脂を加熱調理に使用することにより生じるネガティブ面を抑制する効果に優れた加熱調理用油脂組成物、及びそのための食用素材を提供することにある。
本発明は、その第1の観点においては、構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂と、前記n-3系食用油脂以外の食用油脂からなるベース油脂とを含む油脂組成物であって、前記n-3系食用油脂を前記油脂組成物中に0.01質量%以上1質量%未満含有することを特徴とする加熱調理用油脂組成物を提供するものである。
上記の加熱調理用油脂組成物においては、前記n-3系食用油脂は、えごま油、あまに油、しそ油、DHAを含む油脂、及びEPAを含む油脂からなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
また、上記の加熱調理用油脂組成物においては、前記ベース油脂は、菜種油、コーン油、大豆油、及びパームオレインからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むことが好ましい。
また、上記の加熱調理用油脂組成物においては、前記加熱調理が、フライ、又は炒めであることが好ましい。
一方、本発明は、その第2の観点においては、構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂と、前記n-3系食用油脂以外の食用油脂からなるベース油脂とを混合する工程を含む加熱調理用油脂組成物の製造方法であって、前記n-3系食用油脂を前記加熱調理用油脂組成物中に0.01質量%以上1質量%未満含有させることを特徴とする加熱調理用油脂組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、その第3の観点においては、上記の加熱調理用油脂組成物で食材を加熱調理する工程を含むことを特徴とする加熱調理食品の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、その第4の観点においては、上記の加熱調理用油脂組成物で食材を加熱調理する、加熱調理食品の油っぽさ低減方法を提供するものである。
また、本発明は、その第5の観点においては、上記の加熱調理用油脂組成物で食材を加熱調理する、加熱調理食品の臭み低減方法を提供するものである。
更に、本発明は、その第6の観点においては、構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂を有効成分とする、加熱調理食品の油っぽさ低減剤を提供するものである。
また、上記の加熱調理食品の油っぽさ低減剤においては、前記加熱調理食品を未加熱の加熱調理用油脂組成物で調理する場合には、該未加熱の加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の有効添加量が、該油脂組成物中濃度として0.01質量%以上1質量%未満となるように用いることが好ましい。
また、上記の加熱調理食品の油っぽさ低減剤においては、前記加熱調理食品を加熱済みの加熱調理用油脂組成物で調理する場合には、該加熱済みの加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の有効添加量が、該油脂組成物中濃度として0.01質量%以上10質量%未満となるように用いることが好ましい。
また、本発明は、その第7の観点においては、構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂を有効成分とする、加熱調理食品の臭み低減剤を提供するものである。
また、上記の加熱調理食品の臭み低減剤においては、前記加熱調理食品を未加熱の加熱調理用油脂組成物で調理する場合には、該未加熱の加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の有効添加量が、該油脂組成物中濃度として0.01質量%以上1質量%未満となるように用いることが好ましい。
また、上記の加熱調理食品の臭み低減剤においては、前記加熱調理食品を加熱済みの加熱調理用油脂組成物で調理する場合には、該加熱済みの加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の有効添加量が、該油脂組成物中濃度として0.01質量%以上10質量%未満となるように用いることが好ましい。
本発明によれば、食用油脂を加熱調理に使用することにより生じるネガティブ面を抑制する効果に優れた加熱調理用油脂組成物、及びそのための食用素材を提供することができる。特には、フライ、又は炒め等の加熱調理により得られた加熱調理食品の油っぽさを低減させたり、臭みを低減したりする効果に優れている。
本発明に用いるn-3系食用油脂とは、油脂を構成する脂肪酸n末端のメチル基から3番目と4番目の炭素鎖に不飽和結合を有するn-3系(オメガ3)脂肪酸を高含有に含む食用油脂のことをいう。より具体的には、構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であり、好ましくは35質量%以上75質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上70質量%以下である。その含有量が上記範囲内であると効果的に加熱調理食品の油っぽさを低減し、また、臭みを低減することができる。
なお、本発明における「油っぽさ」とは、食した時に感じる、油が口の中に残るような後引き感、及び加熱調理後の不快な油の風味が合わさって生ずるものである。また、本発明における「臭み」とは、加熱調理食品中の異風味のことである。
上記のようなn-3系食用油脂としては、例えば、あまに油、えごま油、しそ油、DHA(ドコサヘキサエン酸)を含む油脂(魚油)、EPA(エイコサペンタエン酸)を含む油脂(魚油)、チアシード油、藻類油、微生物油等が挙げられる。なかでも、n-3系食用油脂として、えごま油、あまに油、しそ油、DHAを含む油脂、及びEPAを含む油脂からなる群から選ばれた1種又は2種以上を用いることが好ましい。構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量は、例えば、日本油化学協会、「基準油脂分析試験法2.4.1.4-2013」に準じて測定することができる。なお、n-3系食用油脂に含まれるn-3系脂肪酸としては、例えば、α-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)、ステアリドン酸等が挙げられ、通常、複数種類で構成される。よって、n-3系脂肪酸の含有量とは、これらn-3系脂肪酸の合計含有量のことである。
本発明に用いる、n-3系食用油脂以外の食用油脂としては、例えば、菜種油、コーン油、大豆油、パームオレイン、ゴマ油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、胡桃油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、オリーブ油、米ぬか油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、豚脂、鶏油、乳脂及びこれら油脂のエステル交換油、水素添加油、分別油等が挙げられる。なかでも、本発明で用いるn-3系食用油脂以外の食用油脂としては、菜種油、コーン油、大豆油、及びパームオレインからなる群から選ばれた1種又は2種以上を含むことが好ましい。
本発明の加熱調理用油脂組成物は、上記したn-3系食用油脂を、上記したn-3系食用油脂以外の食用油脂からなるベース油脂に混合することにより製造することができる。ここで、n-3系食用油脂は、油脂組成物中に0.01質量%以上1質量%未満であり、好ましくは0.02質量%以上0.8質量%以下、より好ましくは0.04質量%以上0.8質量%以下含有させる。その含有量が上記範囲未満であると本発明による効果が十分に得られず、上記範囲を超えると、かえってn-3系食用油脂由来の風味がきわだつ傾向があり好ましくない。
上記のようにして得られた加熱調理用油脂組成物は、これを用いて食材を加熱調理することで加熱調理食品を製造することができる。ここで、加熱調理とは、フライ(油ちょう、揚げ)、炒め、焼き、蒸し、又は茹で等が挙げられ、好ましくはフライ、又は炒めである。
このような加熱調理によって得られる加熱調理食品としては、特に限定されないが、例えば、トンカツ、唐揚げ、魚フライ、天ぷら、コロッケ、ポテトフライ、チキンナゲット、ドーナッツ、ハッシュドポテト、アメリカンドッグ、揚げ豆腐、揚げパン、クルトン、かりんとう、揚げ米菓、スナック菓子、インスタントラーメン等のフライ調理される食品が挙げられる。また、野菜炒め、レバー炒め、ニラ炒め、もやし炒め、炒飯等の炒め調理される食品、及びハンバーグ、餃子、目玉焼き等の焼き調理される食品が挙げられる。
上記のようにして得られた加熱調理用油脂組成物は、これを用いて食材を加熱調理することにより、加熱調理食品の油っぽさを低減させることができる。すなわち、上記加熱調理用油脂組成物は、加熱調理食品の油っぽさ低減方法に用いることができる。
また、上記のようにして得られた加熱調理用油脂組成物は、これを用いて食材を加熱調理することにより、加熱調理食品の臭みを低減させることができる。すなわち、上記加熱調理用油脂組成物は、加熱調理食品の臭み低減方法に用いることができる。
また、上記したn-3系食用油脂は加熱調理する際に調理食品の油っぽさ低減効果を発揮する。すなわち、上記したn-3系食用油脂は、加熱調理食品の油っぽさ低減剤の有効成分として用いることができる。
また、上記したn-3系食用油脂は加熱調理する際に調理食品の臭みを低減させる効果を発揮する。すなわち、上記したn-3系食用油脂は、加熱調理食品の臭み低減剤の有効成分として用いることができる。
このとき、上記の臭みは、肉、魚、植物性タンパク質等の食材に由来するもの、乳化剤、pH調整剤、保存料、及び静菌剤等の添加物に由来するものから選ばれた1種又は2種以上から生じる。
上記した油っぽさ低減剤もしくは臭み低減剤中におけるn-3系食用油脂の含有量は、好ましくは15質量%超であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上であり、さらにより好ましくは50質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定するものではなく、100質量%以下である。この範囲内であれば、本低減剤の効果を得ることができる。
また、上記した油っぽさ低減剤もしくは臭み低減剤には、上述したn-3系食用油脂以外の食用油脂が含まれていてもよく、好ましくは菜種油、コーン油、大豆油、パームオレイン、ごま油、紅花油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、米ぬか油から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは菜種油、コーン油及び大豆油から選ばれる1種又は2種以上である。油っぽさ低減剤及び臭み低減剤中における該食用油脂の含有量は、特に限定するものではないが、n-3系食用油脂とこれ以外の食用油脂とを合わせて100質量%以下であればよい。
このような油っぽさ低減剤もしくは臭み低減剤は、上記したn-3系食用油脂以外の食用油脂からなるベース油脂として、未加熱の食用油脂(以下、「未使用油」ともいう。)を用いて、これに添加して用いる場合と、上記したn-3系食用油脂以外の食用油脂からなるベース油脂として、加熱済みの食用油脂(以下、「劣化油」ともいう。)を用いて、これに添加して用いる場合とで、その好ましい使用態様が異なる場合がある。なお、未加熱の食用油脂及び加熱済みの食用油脂は、上記したn-3系食用油脂以外の食用油脂から選ばれる1種又は2種以上を含むものである。また、未加熱の食用油脂及び加熱済みの食用油脂は、上記n-3系食用油脂以外の食用油脂の他にも、n-3系食用油脂、乳化剤、酸化防止剤、シリコーン、着色剤等を含む加熱調理用油脂組成物であってもよい。
また、通常のフライ調理操作においては、フライ調理の合間に、フライ調理によって減少した加熱調理用油脂組成物に対して、未使用の加熱調理用油脂組成物を加える、所謂、「差し油」が行われる。通常、差し油量は、加熱済みの加熱調理用食用油脂100質量部に対して、0質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、0質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましい。本明細書においては、当該「差し油」を行った後の加熱調理用油脂組成物は、加熱済みの食用油脂とする。
本発明においては、未加熱の食用油脂を用いる場合には、得られる加熱調理用油脂組成物中にn-3系食用油脂が0.01質量%以上1質量%未満の含有量となるように用いることが好ましく、0.02質量%以上0.8質量%以下の含有量となるように用いることがより好ましく、0.04質量%以上0.8質量%以下の含有量となるように用いることがさらにより好ましい。
一方、加熱済みの食用油脂を用いる場合には、得られる加熱調理用油脂組成物中にn-3系食用油脂が0.01質量%以上10質量%以下の含有量となるように用いることが好ましく、0.02質量%以上8質量%以下の含有量となるよう用いることがより好ましく、0.02質量%以上6質量%以下の含有量となるよう用いることがさらにより好ましく、0.04質量%以上6質量%以下となる量であることがとくに好ましい。
なお、本明細書中において、「加熱済み」の食用油脂もしくは「劣化油」とは、80℃以上200℃以下の温度で加熱され、酸価が0.2超10以下の食用油脂のことである。また、「未加熱」の食用油脂もしくは「未使用油」とは、製造された後において未加熱であり、酸価が0.2以下の食用油脂のことである。ここでいう酸価とは、社団法人日本油化学会制定・基準油脂分析試験法(2.3.1-2013酸価)に準じて測定されたものである。
上記した加熱調理用油脂組成物、油っぽさ低減剤、及び臭み低減剤を加熱調理に用いる態様に特に制限はなく、適用する加熱調理食品に適した方法にて、適宜所望の態様で調理を行なえばよい。例えば、本発明によって得られる加熱調理用油脂組成物を用いて加熱調理を行う際は、典型的には80℃乃至200℃、より典型的には100℃乃至190℃に加熱した状態で、食材についてフライ、又は炒め等の加熱調理を行なえばよい。
上記した加熱調理用油脂組成物、油っぽさ低減剤、及び臭み低減剤には、本発明による作用効果を害しない範囲であれば、適宜、抗酸化剤、乳化剤、香料、香辛料抽出物、消泡剤等の添加素材を、更に配合していてもよい。具体的には、例えば、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、γ-オリザノール、トコフェロール、シリコーン、色素、脂肪酸等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
まず、本実施例で用いたベース油脂及びn-3系食用油脂を以下にあげる。
〔1.ベース油脂及びn-3系食用油脂〕
(ベース油脂)
大豆油:AJINOMOTOコクとうまみの大豆の油(株式会社J-オイルミルズ製)
菜種油:AJINOMOTOさらさらキャノーラ油(株式会社J-オイルミルズ製)
コーン油:AJINOMOTO胚芽の恵みコーン油(株式会社J-オイルミルズ製)
パームオレイン:ヨウ素価67、社内調製品
高オレイン酸菜種油:社内調製品
劣化菜種油:下記の方法にて調製したJ キャノーラ油(株式会社J-オイルミルズ製)の劣化油、酸価0.424
電気フライヤーFM-3HR(マッハ機器株式会社製)に3.4kgのJ キャノーラ油を張り込み、180℃で1日10時間延べ30時間加熱した。食材として、若鶏唐揚げ(味の素冷凍食品株式会社製、GX388)、Newポテトコロッケ60(味の素冷凍食品株式会社製、GC080)を用い、若鶏唐揚げは、揚げ質量400g/回、揚げ時間5分/回、揚げ回数5回/日(1~3日目に調理)のフライ条件で、Newポテトコロッケ60は、揚げ個数5個/回、揚げ時間5分/回、揚げ回数2回/日(1日目のみ調理))のフライ条件で調理した。この調理後の油を回収して劣化菜種油として用いた。
(n-3系食用油脂)
えごま油:精製えごま油(太田油脂株式会社製)
あまに油:精製あまに油(太田油脂株式会社製)
しそ油:紫蘇油一番搾り(紅花食品株式会社製)
DHA/EPA高含有組成物:安定化DHA(不二製油株式会社製)
〔2.脂肪酸組成分析〕
〔1.ベース油脂及びn-3系食用油脂〕に示す油脂について、各油脂の脂肪酸組成を確認した。具体的には、基準油脂分析試験法2.4.1.4-2013に従いメチルエステル化を行い、油脂の構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、及びDHA)の含量(質量%)を測定した。分析条件は、以下のとおりとした。
(分析条件)
機器名:GC-2010 plus(株式会社島津製作所製)
カラム:TC-70(長さ30m、内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)ジーエルサイエンス株式会社製
カラム昇温条件:表1参照
Figure 0007312017000001
カラム圧力:79.7kPa/min
キャリアガス:N
気化室温度:230℃
FID温度:240℃
スプリット比:1:50
注入量:1μL
その結果、表2に示すとおり、油脂の構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、及びDHA)の含量(質量%)は、ベース油脂ではおおむね10質量%以下であり、n-3系食用油脂ではおおむね50質量%以上であった。
Figure 0007312017000002
〔3.加熱調理食品の食材及び調理法〕
加熱調理食品の食材や調理法は、以下のとおりとした。
(1)トンカツ
鍋に試験する油脂組成物を400g入れ、170℃で1時間、空加熱してから、冷凍トンカツ(製品名:やわらかとんかつ120、味の素冷凍食品株式会社製)を加え、同温度で4分間、更に裏返して4分30秒間揚げた。網の上で30分間静置して油切りを行った後、官能評価を行った。
(2)野菜炒め
フライパンに試験する油脂組成物を14g入れ、1分30秒間、強火で空加熱してから、ミックス野菜(キャベツ、もやし、及び人参)150gを加え、2分間炒め、1gの塩をふるって、更に1分間炒めた。皿にうつし、10分間静置してから官能評価に供した。
(3)唐揚げ
鶏モモ肉を33乃至35gにカットし、酒をもみ込み3時間静置した後、更に醤油をもみ込み15分間静置し、これに片栗粉をまぶして材料の下ごしらえをした。上記トンカツの調理と同じ方法にて、鍋に試験する油脂組成物を入れ、170℃で1時間、空加熱してから、下ごしらえした材料を加え、同温度で7分30秒間揚げた。網の上で30分間静置して油切りを行った後、官能評価を行った。
(4)アジフライ
鍋に試験する油脂組成物を400g入れ、170℃で1時間、空加熱してから、冷凍アジフライ(株式会社八千代商事)を1つ加え、同温度で4分間揚げた。網の上で30分間静置して油切りを行った後、官能評価を行った。
(5)白身フライ(調理1)
鍋に試験する油脂組成物を400g入れ、170℃で1時間、空加熱してから、冷凍白身フライ(株式会社八千代商事)を1つ加え、同温度で4分間揚げた。網の上で30分間静置して油切りを行った後、官能評価を行った。
(6)白身フライ(調理2)
鍋に試験する油脂組成物を400g入れ、170℃になるまで加熱してから、冷凍白身フライ(株式会社八千代商事製)を2つ加え、同温度で7分30秒間揚げた。網の上で10分間静置した後、温蔵ショーケースの上段(72℃~73℃)に入れ、1時間ごとに中段と場所を入れ替えて、4時間又は6時間保管した。保管後、官能評価を行った。
(7)ポテトコロッケ
鍋に試験する油脂組成物を400g入れ、170℃になるまで加熱してから、Newポテトコロッケ60(味の素冷凍食品株式会社製GC080)を2つ加え、同温度で9分30秒間揚げた。網の上で10分間静置した後、上述した白身フライを上段に入れた温蔵ショーケースの中段に入れ、1時間ごとに上段と場所を入れ替えて、4時間又は6時間保管した。保管後、官能評価を行った。
[試験例1](トンカツ えごま油の添加量の検討)
ベース油脂として大豆油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油を下記表5に示す含有量(質量%)となるように添加し又は添加せずに、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を調製した。次いで、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を使用して、上記した調理法によりトンカツを調理した。
調理後に30分間静置したトンカツを専門パネラー4名にて試食し、さらっと感及び油のネガティブ風味について官能評価を行った。官能評価では、n-3系食用油脂を添加しない場合を「基準」として、下記表3に示す7段階の評価基準で採点して、その平均点を算出し、更に、その平均点を下記表4に示す水準に従ってランク付けし、最終評価とした。なお、官能評価においては油っぽさを評価するために、食した時に油が口の中に残るような後引き感として「さらっと感」、加熱調理後の不快な油の風味として「油のネガティブ風味」の項目を設けた。
Figure 0007312017000003
Figure 0007312017000004
Figure 0007312017000005
その結果、表5に示したように、えごま油を0.01乃至0.8質量%の含有量となるように添加したもの(実施例1-1乃至1-6)では、えごま油を添加しないもの(比較例1-1)に比べ、さらっと感の向上や油のネガティブ風味の抑制の点において、より良好な評価となった。一方、えごま油を3質量%の含有量となるように添加したもの(比較例1-2)では、魚っぽい不快な風味を感じ、それにともない、油のネガティブ風味の抑制の点において、えごま油を添加しないもの(比較例1-1)に比べてより評価が悪くなった。
以上から、えごま油を特定量で用いることにより、フライ調理食品のさらっと感の向上及び油のネガティブ風味の抑制の効果が得られ、フライ調理食品の油っぽさを低減できることが明らかとなった。
[試験例2](野菜炒め えごま油の添加量の検討)
ベース油脂として大豆油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油を下記表6に示す含有量(質量%)となるように添加し又は添加せずに、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を調製した。次いで、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を使用して、上記した調理法により野菜炒めを調理した。
調理後に10分間静置した野菜炒めを専門パネラー4名にて試食し、さらっと感及び油のネガティブ風味について、試験例1と同じ評価基準による官能評価を行った。
Figure 0007312017000006
その結果、表6に示したように、試験例1でトンカツを調理したときと同様に、野菜炒めでも、えごま油を0.3及び0.8質量%の含有量となるように添加したもの(実施例2-1乃至2-2)では、えごま油を添加しないもの(比較例2-1)に比べ、さらっと感の向上や油のネガティブ風味の抑制の点において、より良好な評価となった。
以上から、食材の種類や調理の形態によらずに、えごま油を特定量で用いることにより、加熱調理食品のさらっと感の向上及び油のネガティブ風味の抑制の効果が得られ、その結果加熱調理食品の油っぽさを低減できることが明らかとなった。
[試験例3](トンカツ ベース油脂の種類の検討)
表7に示す各種の食用油脂をベース油脂として使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油を下記表7に示す含有量(質量%)となるように添加又は添加せずに、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を調製し、それを使用した以外は試験例1と同じ方法にて、トンカツを調理したときのさらっと感や油のネガティブ風味に関する官能評価を行った。
Figure 0007312017000007
その結果、表7に示したように、ベース油脂として菜種油、コーン油、及びパームオレインを用い、えごま油を添加したもの(実施例3-1又は実施例3-2又は実施例3-3)では、えごま油を添加していないもの(比較例3-1又は比較例3-2又は比較例3-3)に比べ、それぞれいずれも、さらっと感の向上や油のネガティブ風味の抑制の点において、より良好な評価となった。
以上から、えごま油による効果は、ベース油脂として用いる食用油脂の種類によらずに得られることが明らかとなった。
[試験例4](トンカツ 添加油脂の種類の検討)
表8に示す各種のn-3系食用油脂を添加油として使用し、下記表8に示す含有量(質量%)となるように大豆油に添加し又は添加せずに、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を調製し、それを使用した以外は試験例1と同じ方法にて、トンカツを調理したときのさらっと感や油のネガティブ風味に関する官能評価を行った。
Figure 0007312017000008
その結果、表8に示したように、ベース油脂として大豆油を用い、添加油脂として各種のn-3系食用油脂を添加したもの(実施例4-1乃至4-4)では、n-3系食用油脂を添加していないもの(比較例4-1)に比べ、いずれも、さらっと感の向上や油のネガティブ風味の抑制の点において、より良好な評価となった。
以上から、n-3系食用油脂を特定量で用いることにより、加熱調理食品のさらっと感の向上及び油のネガティブ風味の抑制の効果が得られ、加熱調理食品の油っぽさを低減できることが明らかとなった。
[試験例5](トンカツ ベース油脂の種類及び添加油脂の添加量の検討)
表9に示すベース油脂、添加油脂、及びその含有量(質量%)にて、各実施例及び比較例の加熱調理用油脂組成物を調製し、それを使用した以外は試験例1と同じ方法にて、トンカツを調理したときのさらっと感や油のネガティブ風味に関する官能評価を行った。
Figure 0007312017000009
その結果、表9に示したように、ベース油脂として高オレイン酸菜種油とコーン油を3:7の割合で含む調合油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油又はあまに油を0.1質量%の含有量となるように添加したもの(実施例5-1又は実施例5-2)では、えごま油及びあまに油を添加していないもの(比較例5-1)に比べ、いずれも、さらっと感の向上や油のネガティブ風味の抑制の点において、より良好な評価となった。一方、えごま油又はあまに油を3質量%の含有量となるように添加したもの(比較例5-2又は比較例5-3)では、魚っぽい不快な風味を感じ、それにともない、油のネガティブ風味の抑制の点において、えごま油及びあまに油を添加しないもの(比較例5-1)に比べてより評価が悪くなった。
以上から、えごま油やあまに油による、加熱調理食品のさらっと感の向上及び油のネガティブ風味の抑制の効果、すなわち「油っぽさ低減効果」を得るには、それらの含有量を3質量%未満とすることが重要であることが明らかとなった。なお、比較例5-3の油脂組成物は、特開2018-7572号公報に実施例6として記載されている油脂組成物と非常に近似しているが、本発明の実施に係る油脂組成物とはいえない。すなわち、これによれば、本発明が、当該公報に開示された程よい風味・コク味がある加熱調理食品が得られる油脂組成物とは異なる、加熱調理食品のさらっと感の向上及び油のネガティブ風味の抑制、すなわち、油っぽさを低減する、との特有の効果を奏するものであることが分かる。
[試験例6](えごま油による食材の臭み低減効果の検討)
ベース油脂として大豆油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油を0.3質量%となるように添加し又は添加せずに、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を調製した。次いで、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を使用して、上記した調理法によりトンカツ、唐揚げ、又はアジフライを調理した。
調理後に30分間静置後、専門パネラー4名にて試食し、トンカツ、唐揚げ、又はアジフライのそれぞれの食材の臭みについて官能評価を行った。官能評価では、n-3系食用油脂を添加しない場合を「基準」として、下記表10に示す7段階の評価基準で採点して、その平均点を算出し、更に、その平均点を下記表11に示す水準に従ってランク付けし、最終評価とした。
Figure 0007312017000010
Figure 0007312017000011
Figure 0007312017000012
その結果、表12に示したように、えごま油を0.3質量%の含有量となるように添加したもの(実施例6-1又は実施例6-2又は実施例6-3)では、えごま油を添加しないもの(比較例6-1又は比較例6-2又は比較例6-3)に比べ、それぞれいずれも、それぞれの食材の臭み低減の点において、より良好な評価となった。
以上から、食材の種類や調理の形態によらずに、えごま油を用いることにより、加熱調理食品の臭み、特にはその食材に由来する臭みを低減できることが明らかとなった。
[試験例7](油っぽさ低減剤の使用の検討)
まず、下記表13に示す配合にて加熱調理食品の油っぽさ低減剤を調製した。次に、ベース油脂として劣化菜種油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油が下記表13に示す含有量(質量%)となるように、上記油っぽさ低減剤を添加して、各実施例及び比較例の加熱調理用油脂組成物を調製し、上記した調理法によりトンカツ及び白身フライを調理した(白身フライは調理1による。)。
調理後に30分間静置後、専門パネラーが試食し、トンカツ及び白身フライのそれぞれのさらっと感、及び油のネガティブ風味について、試験例1と同じ方法にて官能評価を行った。なお、各実施例の官能評価は、実施例7-1については比較例7-2を基準として専門パネラー4名にて行い、実施例7-2乃至7-4については比較例7-1を基準として専門パネラー2名にて行った。
Figure 0007312017000013
その結果、表13に示したように、ベース油脂として劣化菜種油を用いた場合には、油脂組成物中のn-3系食用油脂の含有量が0.4質量%から7質量%となるように、そのn-3系食用油脂を有効成分とする油っぽさ低減剤を添加することにより(実施例7-1乃至7-4)、加熱調理食品のさらっと感が向上するとともに、油のネガティブ風味が抑制されており、その結果油っぽさの低減効果が認められた。
以上から、ベース油脂として劣化油を用いた場合には、油脂組成物中のn-3系食用油脂の含有量を0.4質量%以上7質量%以下とすることにより、加熱調理食品の油っぽさ低減効果が得られることが明らかとなった。
[試験例8](臭み低減剤の使用の検討)
まず、下記表14に示す配合にて加熱調理食品の臭み低減剤を調製した。次に、ベース油脂として劣化菜種油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油が下記表14に示す含有量(質量%)となるように、上記臭み低減剤を添加して、各実施例及び比較例の加熱調理用油脂組成物を調製し、上記した調理法によりトンカツ及び白身フライを調理した(白身フライは調理1による。)。
調理後に30分間静置後、専門パネラーが試食し、トンカツ及び白身フライのそれぞれの食材の臭みについて、試験例6と同じ方法にて官能評価を行った。なお、各実施例の官能評価は、実施例8-1については比較例8-2を基準として専門パネラー4名にて行い、実施例8-2乃至8-4については比較例8-1を基準として専門パネラー2名にて行った。
Figure 0007312017000014
その結果、表14に示したように、ベース油脂として劣化菜種油を用いた場合には、油脂組成物中のn-3系食用油脂の含有量が0.4質量%から7質量%となるように、そのn-3系食用油脂を有効成分とする臭み低減剤を添加することにより(実施例8-1乃至8-4)、加熱調理食品の食材の臭みが抑制された。
以上から、ベース油脂として劣化油を用いた場合には、油脂組成物中のn-3系食用油脂の含有量を0.4質量%以上7質量%以下とすることにより、加熱調理食品の臭み低減効果が得られることが明らかとなった。
[試験例9](ポテトコロッケ 温蔵保管後の検討)
ベース油脂として表15に示す調合油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油又はあまに油を0.8質量%となるように添加し又は添加せずに、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を調製した。次いで、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を使用して、上記した調理法によりポテトコロッケを調理した。
調理後に10分間静置したポテトコロッケ、又は調理後に4時間又は6時間温蔵ショーケース内で保管後のポテトコロッケについて、専門パネラー5名にて試食し、さらっと感及び油のネガティブ風味について、試験例1と同じ評価基準による官能評価を行った。
Figure 0007312017000015
その結果、表15に示したように、ベース油脂として高オレイン酸菜種油とパームオレインと大豆油を2:2:6の割合で含む調合油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油又はあまに油を0.8質量%の含有量となるように添加したもの(実施例9-1又は実施例9-2)では、えごま油及びあまに油を添加していないもの(比較例9-1)に比べ、製造後、保存後4時間、6時間のいずれも、さらっと感の向上や油のネガティブ風味の抑制の点において、より良好な評価となった。例えば、えごま油及びあまに油を添加していないもの(比較例9-1)の4時間保管品と比較すると、えごま油又はあまに油を0.8質量%添加した4時間保管品及び6時間保管品のほうが、いずれの項目でも評価スコアが改善していた。
以上から、調理後に温蔵ショーケースで所定時間保管した場合でも、えごま油又はあまに油を特定量で用いることにより、フライ調理食品のさらっと感の向上及び油のネガティブ風味の抑制の効果が得られ、フライ調理食品の油っぽさを低減できることが明らかとなった。
[試験例10](白身フライ 温蔵保管後の検討)
ベース油脂として表16に示す調合油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油又はあまに油を0.8質量%となるように添加し又は添加せずに、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を調製した。次いで、各実施例又は比較例の加熱調理用油脂組成物を使用して、上記した調理法により白身フライを調理した(調理2による。)。
調理後に10分間静置した白身フライ、又は調理後に4時間又は6時間温蔵ショーケース内で保管後の白身フライについて、専門パネラー5名にて試食し、さらっと感及び油のネガティブ風味について、試験例1と同じ評価基準による官能評価を行った。更に、白身フライの食材の臭みについて、試験例6と同じ方法にて官能評価を行った。
Figure 0007312017000016
その結果、表16に示したように、ベース油脂として高オレイン酸菜種油とパームオレインと大豆油を2:2:6の割合で含む調合油を使用し、これにn-3系食用油脂であるえごま油又はあまに油を0.8質量%の含有量となるように添加したもの(実施例10-1又は実施例10-2)では、えごま油及びあまに油を添加していないもの(比較例10-1)に比べ、製造後、保存後4時間、6時間のいずれも、さらっと感の向上や油のネガティブ風味の抑制や食材の臭み低減の点において、より良好な評価となった。例えば、えごま油及びあまに油を添加していないもの(比較例10-1)の4時間保管品と比較すると、えごま油又はあまに油を0.8質量%添加した4時間保管品及び6時間保管品のほうが、いずれの項目でも評価スコアが改善していた。
以上から、試験例9に示したポテトコロッケと同様に、白身フライについても、調理後に温蔵ショーケースで所定時間保管した保管品について、えごま油又はあまに油を特定量で用いることにより、フライ調理食品のさらっと感の向上及び油のネガティブ風味の抑制の効果が得られ、フライ調理食品の油っぽさを低減できることが明らかとなった。更に、食材の臭みについても、温蔵ショーケースで所定時間保管した保管品について、その低減効果が得られることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂を有効成分とする、加熱調理食品の油っぽさ低減剤であって、前記油っぽさ低減剤は、前記加熱調理食品を未加熱の加熱調理用油脂組成物で調理するために用いられるものであって、該未加熱の加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の含有量が、該未加熱の加熱調理用油脂組成物中の濃度として0.01質量%以上0.8質量%以下となるように用いられるものである、該油っぽさ低減剤
  2. 構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂を有効成分とする、加熱調理食品の油っぽさ低減剤であって、前記油っぽさ低減剤は、前記加熱調理食品を加熱済みの加熱調理用油脂組成物で調理するために用いられるものであって、該加熱済みの加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の含有量が、該加熱済みの加熱調理用油脂組成物中濃度として0.01質量%以上10質量%未満となるように用いられるものである、油っぽさ低減剤。
  3. 構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂を有効成分とする、加熱調理食品の臭み低減剤であって、前記臭み低減剤は、前記加熱調理食品を未加熱の加熱調理用油脂組成物で調理するために用いられるものであって、該未加熱の加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の含有量が、該未加熱の加熱調理用油脂組成物中の濃度として0.01質量%以上0.8質量%以下となるように用いられるものである、該臭み低減剤
  4. 構成脂肪酸総量に占めるn-3系脂肪酸の含有量が30質量%以上80質量%以下であるn-3系食用油脂を有効成分とする、加熱調理食品の臭み低減剤であって、前記臭み低減剤は、前記加熱調理食品を加熱済みの加熱調理用油脂組成物で調理するために用いられるものであって、該加熱済みの加熱調理用油脂組成物に対する前記n-3系食用油脂の含有量が、該加熱済みの加熱調理用油脂組成物中濃度として0.01質量%以上10質量%未満となるように用いられるものである、臭み低減剤。
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