JP2003079314A - 良好な風味を有する油脂組成物及びその製造法 - Google Patents

良好な風味を有する油脂組成物及びその製造法

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等 山下
Takeshi Kawashima
武志 河島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱時の異臭発生や、フライ製品やスプレー
油使用菓子類の風味を劣らせる欠点があるα―リノレン
酸を45%以上含有する油脂を使用しても、アマニ油や
エゴマ油のいやな臭味のない、風味が良く、加熱時の臭
気が良好なフライ油及びスプレー油等の油脂組成物とそ
の製造法を提供すること。 【解決手段】 米由来の食用油脂30〜60重量%とα
−リノレン酸を45重量%以上含有する油脂5〜10重
量%を含有してなる油脂組成物及びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフライ用及びスプレ
ー用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にフライ用及びスプレー用油脂組成
物としては、パーム油、コーン油、大豆油、米油、なた
ね油などの植物油及び精製ラード、精製牛脂などの動物
油及びこれらの硬化油、エステル交換油、分別油を単独
又は2種類以上を配合・混合したものが用いられてい
る。
【0003】かりんとうやポテトチップス等のフライ用
油脂組成物として前記記載の油脂が多く使用されている
理由は、多くの場合「味が良い事」「フライ時に異臭が
少ない事」「酸化安定性が良い事」「経済性に優れてい
る事」等、フライ作業性、フライ製品性及び経済性メリ
ットから決定されているのが現状である。
【0004】また、スプレー用油脂組成物は、ポテトチ
ップ、おかき、ビスケット、クラッカー等に使用される
が、これも「味がよい事」「酸化安定性が良いこと」
「経済性に優れていること」等から前記した油脂が使用
されている。
【0005】「5訂 日本食品成分表(科学技術庁資源
調査会編)」をみるとそれぞれの脂質含有率は芋かりん
とう 約21重量%、ポテトチップス 約35重量%、
小麦粉あられ 約20重量%、ソフトビスケット 約2
8重量%、揚げせんべい 約18重量%、オイルスプレ
ークラッカー 約23重量%と脂質の含有率は比較的高
い。
【0006】しかし、ローカロリー指向や天然指向等、
健康指向性が強くなる消費者ニーズの動向がある中でも
かりんとうやポテトチップ類等のフライ製品やスプレー
油使用菓子は女性、男性を問わず、広く愛用されている
のが現状である。
【0007】ここでフライ用及びスプレー用油脂組成物
を栄養的観点の1面から考察すると、第6次改訂の食事
摂取基準(編集;健康・栄養情報研究会)で日本人の望
ましい脂肪酸摂取比率はおおむね「飽和脂肪酸:1価不
飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=30:40:30」で
あり、かつ「n―3系多価不飽和脂肪酸:n―6系多価
不飽和脂肪酸=1:4程度」との報告がなされており、
日本人の油脂の脂肪酸摂取比率は上記した比率が望まし
いとされている。その反面、多くの人々から愛され、消
費されているフライ製品類及びスプレー油使用菓子類は
比較的油脂含有率が多い食品であるにもかかわらず、多
くの場合、油脂配合は前述した通り、商品性、作業性、
経済性等のメリットで決定され、フライ製品やスプレー
油使用菓子類を食べた人々の摂取脂肪酸配分、例えば、
上述のような望ましい脂質栄養摂取比率面を考慮したフ
ライ用及びスプレー用油脂組成物はほとんど存在しない
のが現状である。
【0008】一例として、この「望ましい脂肪酸摂取比
率のフライ用及びスプレー用油脂組成物」(以下「要望
配分脂肪酸組成物」と称す場合がある)は、n―3系多
価不飽和脂肪酸つまりα―リノレン酸が配合油全体の6
%含有する必要性があり、その為α―リノレン酸を45
%以上含有する油脂、例えば、アマニ油やエゴマ油と、
数種類の油脂を組み合わせて調整することが多用されて
いる。
【0009】しかし、上記のように、アマニ油やエゴマ
油を使用して「要望配分脂肪酸組成物」を調整する上で
課題が存在する。
【0010】そのひとつは、エゴマ油やアマニ油は風味
安定性が悪い点や加熱時に異臭を発生させるという臭味
的に大きな欠点を持った油脂であることである。即ち、
エゴマ油やアマニ油にパーム油やコーン油や綿実油を併
用して「要望配分脂肪酸組成物」を調整する場合、エゴ
マ油やアマニ油を全体油脂中に5〜10重量%使用する
必要があるが、エゴマ油やアマニ油は前述した通り、風
味安定性が悪い為、多量に配合するとフライ油やスプレ
ー油にした時、または、フライ製品やスプレー菓子にし
た時、作製直後や保管中の風味劣化原因になる可能性が
高い。
【0011】つまり、例として示したこの望ましい脂肪
酸摂取比率のフライ油及びスプレー油を現状技術で設計
開発するとフライ製品やスプレー油使用菓子類の風味が
劣り、かつ、加熱時、異臭が発生するフライ油又はスプ
レー油しかできないのが現状である。このため、アマニ
油やエゴマ油を風味安定性よく抽出する方法が検討され
ており、例えば、アマニ種子やエゴマ種子をゴマ種子と
混合して搾油、精製する処理法が提案されている(特開
2000−316473)。しかし、ここでのアマニ油
やエゴマ油の使用目的はn―3系多価不飽和脂肪酸源と
して使用するのであるが、この方法であれば「要望配分
脂肪酸組成物」を調整するにあたり不必要なゴマ油も使
用せざるを得ない欠点が生ずる。
【0012】一方、フライ用油脂或いはスプレー用油脂
の中でも、かりんとうやポテトチップスやクラッカー等
に使用する油脂組成物としては、米由来の油脂、つま
り、米油が一部で使用されている。米油が使用される理
由はかりんとうやポテトチップスに好ましい風味、つま
り、好ましい味・香りを付与できる事である。かりんと
うやポテトチップスは、菓子としては比較的味に特徴の
少ない小麦粉やジャガイモ主体の原料であるのに対し
て、米油はこれらにコク味のある風味とマイルドな香り
を付与するのに適した油脂であるため、米油単独や上記
記載の各種油脂、とりわけパーム油等とのブレンドで使
用されている。また、米油は微量成分として、γ―オリ
ザノールやトコフェロール、トコトリエール等のトコー
ル類やステロール等を含有するが、これらの微量成分は
動脈硬化予防や高脂血症予防等に効果があるとの報告も
あり、生理活性面からも優れた食用油脂のひとつであ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加熱
時の異臭発生や、フライ製品やスプレー油使用菓子類の
風味を劣らせる欠点があるα―リノレン酸を45%以上
含有する油脂を、フライ用及びスプレー用油脂として使
用しても、アマニ油やエゴマ油のいやな臭味のない、風
味が良く、米油のコク味のある風味やマイルドな香りを
維持し、加熱時の臭気が良好なフライ油及びスプレー油
等の油脂組成物とその製造法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、α―リノレン酸を45%以上含有する油脂の好ま
しくない味や臭気をマスキングする米油の持つ独自の効
果を発見し、この効果を活用して、加熱臭気や風味等の
劣るアマニ油やエゴマ油が5〜10%配合されている油
脂組成物に米油30〜60%を配合することで、フライ
製品やスプレー油使用菓子類の風味が良く、かつ、加熱
時、アマニ油やエゴマ油の異臭が発生しないフライ油及
びスプレー油等に使用できる油脂組成物を見出した。
【0015】つまり、配合油にα―リノレン酸を含有す
るなたね油や大豆油を配合すれば、α―リノレン酸源に
アマニ油やエゴマ油に依存する比率は低くなるが、米油
の脂肪酸主成分は1価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が約
43%、2価不飽和脂肪酸(リノール酸)が約36%で
あり、γ―オリザノール等生理活性有効成分を含有し、
かつ、好ましい風味や香りを付与する米油の配合比率を
多くしようとすると1価不飽和脂肪酸を約60%含有す
るなたね油や2価不飽和脂肪酸を約50%含有する大豆
油は米油に配合しにくい油脂である。その為、γ―オリ
ザノール等生理活性有効成分を含有し、かつ、好ましい
風味や香りを付与する米油の配合比率を多くしようとす
ると必然的に、アマニ油やエゴマ油をα―リノレン酸源
とする必要性がある。しかし、アマニ油やエゴマ油には
風味が良くない、酸化安定性が良好でないという問題が
ある。
【0016】そこで発明者らは米油に少率から多率のア
マニ油やエゴマ油を混合して加熱臭気評価や風味評価を
していくなかで奇妙な現象にであったのである。つま
り、アマニ油やエゴマ油の添加比率を一定比率加え、米
油の配合比率を増加していった時、米油の添加比率を増
加していくに従い、アマニ油やエゴマ油のいやな風味や
臭気が消えることを発見した。つまり、米油にアマニ油
やエゴマ油のいやな風味や臭気を消すマスキング効果が
あることを発見した。
【0017】この知見を活用し、「要望配分脂肪酸組成
物」であり、米油配合比率を比較的多率で配合して、γ
―オリザノール等の生理活性成分を含有させ、かつ、ア
マニ油やエゴマ油のような望ましくない臭気を持つ油脂
成分をある程度配合しても、米油独自の好ましい味や香
りを備えるばかりか、アマニ油やエゴマ油の有する良好
でない風味がマスキングされたフライ用及びスプレー用
油脂組成物を発明した。
【0018】即ち、本発明の第1は、米由来の食用油脂
30〜60重量%とα−リノレン酸を45重量%以上含
有する油脂5〜10重量%を含有してなる油脂組成物に
関する。好ましい実施態様としては、油脂組成物中の飽
和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の比が
30:35〜45:25〜35であることを特徴とする
上記記載の油脂組成物に関する。別の好ましい実施態様
としては、n−3系多価脂肪酸:n−6系多価脂肪酸の
比が1:3.5〜4.5であることを特徴とする上記記
載の油脂組成物に関する。
【0019】本発明の第2は、米由来の食用油脂30〜
60重量%とα−リノレン酸を45重量%以上含有する
油脂5〜10重量%を含有してなる上記記載の油脂組成
物の製造法に関する。好ましい実施態様としては、米由
来の食用油脂30〜60重量%とα−リノレン酸を45
重量%以上含有する油脂5〜10重量%を含有してなる
混合油を、加熱溶解した後、急冷捏和し、さらに捏和時
に窒素ガスを分散することを特徴とする上記記載の油脂
組成物の製造法に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の油脂組成物につい
て説明する。
【0021】本発明の油脂組成物は、米由来の食用油脂
30〜60重量%とα−リノレン酸を45重量%以上含
有する油脂5〜10重量%を含有してなる。
【0022】本発明における米由来の食用油脂とは、玄
米を白米にする精米処理時に生成する米ぬかから搾油さ
れたものを言い、例えば、米白絞油、米サラダ油が挙げ
られる。本発明の油脂組成物における米由来の食用油脂
の配合比率は30〜60重量%であることが必要であ
り、好ましくは35〜60%であり、さらに好ましくは
40〜60重量%である。この理由は米油配合比率が3
0重量%未満では、フライ油として加熱時にエゴマ油や
アマニ油独特の腐敗した魚臭にも似た異臭が発生し、さ
らに、その異臭はフライ製品に付着し、異味を呈する。
また、米油の配合比率が60重量%を越えても異味異臭
の発生等の風味の点では何ら問題はないが、「要望配分
脂肪酸組成物」を調整するのは、困難となる。
【0023】本発明におけるα−リノレン酸を45重量
%以上含有する油脂とは、具体的にはアマニ油、エゴマ
油等が挙げられる。本発明の油脂組成物中のα−リノレ
ン酸を45重量%以上含有する油脂の配合比率は、油脂
組成物中5〜10重量%であることが必要であり、好ま
しくは6〜9重量%であり、更に好ましくは7〜9重量
%である。この範囲であれば、米油の配合比率が多率配
合できるので、γ―オリザノール等の生理活性をもつ成
分濃度が高められ、かつ、アマニ油やエゴマ油がもつ加
熱時の異臭や風味的に劣る欠点をマスキングする為好ま
しい。
【0024】本発明には上記油脂の他にも一般的な食用
油脂を用いることが出来る。例えば、大豆油、なたね
油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油、パーム
油、綿実油等の食用植物油、牛脂、ラード等の動物油
脂、また、これらの混合油、硬化油、溶剤及び無溶剤分
別油、ランダムエステル交換反応の単独・複数処理を行
った油脂等を、単独で又は混合して作成・使用すること
が可能である。
【0025】上記各原料油脂を組み合わせることで本発
明の油脂組成物を得ることが出来るが、本発明の油脂組
成物は、油脂組成物中の飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪
酸:多価不飽和脂肪酸の比が30:35〜45:25〜
35であることが好ましい。また、更に好ましくは、n
−3系多価脂肪酸:n−6系多価脂肪酸の比が1:3.
5〜4.5である。
【0026】本発明の油脂組成物の製造法において急冷
・捏和とは、油脂を60℃以上で溶解後、適性配合比率
で配合し、望ましい脂肪酸摂取比率に調整後、撹拌して
脂肪酸組成を均一にした後、Votator(アメリカ
製)やKombinator(ドイツ製)等に代表され
る急冷練り合わせ機で、冷却ユニット(Aユニット)で
高速撹拌しながら冷却を行って油脂を結晶化させた後、
捏和ユニット(Bユニット)で油脂結晶を均一、かつ、
微細化させる事をいう。この時の冷却ユニットでの冷却
到達温度の目安はDSC(Diffarential
scanning calorimetry)の降温カ
ーブを測定し、発熱第1ピークが収束した温度以下まで
下げる事が望ましい。
【0027】また、窒素ガスを分散するとは冷却ユニッ
ト前、つまり、配合油脂が液体状態の時点で所定量の窒
素ガスを注入し、冷却ユニット及び捏和ユニットで油脂
組成物の結晶中に均一に分散させることをいう。本発明
における注入する窒素ガス量は、特に限定はないが、油
脂組成物100gに対して、5〜25ml(20℃)で
あることが好ましく、更に好ましくは、10〜20ml
である。窒素ガス注入量が5ml未満では、オイルオフ
抑制効果は期待できない場合があり、また、窒素ガス含
気量が25mlを越えた場合には、オイルオフ効果は期
待できるが、油脂組成物のボリュームが大きくなるた
め、容器・包材は大きいものが必要になり、容器・包材
費用が大きくなるばかりでなく、輸送経費や保管経費の
増加等、経済的デメリットが発生する場合がある。
【0028】さらに、本発明の油脂組成物において結晶
調整効果等を目的にポリグリセリン脂肪酸エステルやモ
ノグリセリン脂肪酸エステル等の各種乳化剤を使用して
もかまわない。また、フライ性機能向上目的でシリコー
ンや、酸化安定性付与目的でトコフェロール、カテキン
類等をは必要に応じて添加することができる。さらに、
本発明の油脂組成物には、ヒトに有効な生理活性を及ぼ
すとされる成分、例えばビタミンA,D,E等を添加す
ることも可能である。
【0029】本発明の油脂組成物の用途は、食品用途に
用いられる一般的な用途であれば、特に限定されない
が、かりんとうやポテトチップスフライのフライ用油脂
として或いは、オイルスプレークラッカー等のスプレー
油使用菓子製品類に使用することが好ましいが、ドーナ
ツ類や揚げパン等の製菓製パン用フライ油、フライドポ
テト、てんぷら等のフライ用途、ハンバーグやトンカツ
等の調理済み冷凍食品、あるいはスナック菓子等のスプ
レー用油脂として、望ましい脂肪酸摂取比率であり、か
つ、米油の好ましい風味を要望されるあらゆる食品分野
に適応するものである。
【0030】また、練り込み用やバタークリーム用のシ
ョートニングや、乳化機能や水分添加、味付け等を施し
て練り込み用マーガリンやテーブルマーガリン等にこの
技術を応用して、さらに、応用用途を広げていける技術
であることはいうまでもない。
【0031】
【実施例】以下、本発明について、実施例により説明す
るが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるもので
はない。
【0032】まず、本発明の実施例、比較例に使用した
食用油脂およびアマニ油、エゴマ油の脂肪酸組成を表1
に示した。なお、脂肪酸分析は、社団法人日本油化学協
会編「基準油脂分析法」2.4.2.1脂肪酸組成(F
ID恒温ガスクロマト法)に則り、機種はHEWRET
T PACKARD社製、型式5890で測定した。な
お、脂肪酸分析値の0.5%未満の脂肪酸成分は切り捨
てた。また、10%以上含有率の脂肪酸成分は小数点以
下を四捨五入した。それぞれの構成脂肪酸組成を表1に
示す。
【0033】
【表1】 精製パーム油は沃素価52.4、大豆油は大豆サラダ油
(沃素価126.1)、なたね油はなたねサラダ油(沃
素価114.9)、コーン油はコーンサラダ油(沃素価
124.1)、パームオレインはダブルオレイン(沃素
価62.5)エゴマ油は沃素価190.6、綿実油は沃
素価110.5,オリーブ油は沃素価84.0、アマニ
油は沃素価179.0、極度硬化油(以下、極硬油と称
す場合がある)は低エルカ酸なたね油の極硬油(沃素価
0.86)、米油は沃素価104.2を使用した。
【0034】これらの米油、アマニ油、エゴマ油および
食用油脂を使用し、表2に示した油脂配合比率で混合・
溶解・撹拌を行い、実施例1〜5、比較例1〜6の油脂
組成物を作製した。
【0035】フライテスト法は各油脂組成物を電気フラ
イヤーに1000g採取し、油温180℃でコントロー
ルし、じゃがいもを3mmの厚さにスライスしたものを
フライ種として投入し、60秒間フライしたものをポテ
トチップスの風味評価サンプルとした。フライ性評価は
フライ油開発経験者5名を選出し、下記の評価基準で官
能評価し、5名の平均点を四捨五入した。
【0036】「加熱時の臭気評価」は、油温180℃の
加熱臭気が 5点=異臭なく良好。 4点=少し異臭あり。 3点=異臭あり。 2点=異臭がやや強い。 1点=異臭が強い。
【0037】「ポテトチップスの風味評価」は、フライ
後のポテトが 5点=異臭なく、美味しい。 4点=少し異臭あり。 3点=異臭あり。 2点=異臭がやや強い。 1点=異臭が強く美味しくない。 で評価した。
【0038】なお、実施例及び比較例の油脂組成物は全
て前述した第6次改訂で望ましい脂肪酸摂取比率として
しめされた「飽和脂肪酸:1価不飽和脂肪酸:多価不飽
和脂肪酸=30:35〜45:25〜35」であり、か
つ「n―3系多価不飽和脂肪酸:n―6系多価不飽和脂
肪酸=1:3.5〜4.5」に調整した。
【0039】このようにして作製した結果を表2に示し
た。
【0040】
【表2】 これからわかるように、パネラー評価の結果、実施例1
〜5の米油の含有率が30〜60%の加熱臭気及びポテ
トチップスの風味は合計点が7点以上であり、エゴマ油
を5〜10重量%配合しても、加熱時の臭気やポテトチ
ップスの風味は良好であることがわかる。しかし、加熱
時の臭気やポテトチップスの風味は実施例3〜5の米油
の配合比率40〜60重量%のものがより望ましいもの
であった。それに対し、比較例1〜6の米油の配合比率
が30重量%未満で、かつ、アマニ油またはエゴマ油の
配合比率が5〜10重量%では加熱時の異臭があり、ま
た、ポテトチップスの風味が劣るものであった。
【0041】以上、述べてきた通り、米油30〜60重
量%にα―リノレン酸含有率が45重量%以上のアマニ
油またはエゴマ油の配合比率5〜10重量%でも、風味
良好で、かつ、加熱臭気の少ない優れた油脂組成物がえ
られることがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明により、加熱時の異臭や風味的に
劣るα−リノレン酸を45重量%以上含有する油脂5〜
10重量%を含有させても、米油30〜60重量%を配
合することにより、風味がよく、加熱時にいやな加熱臭
気が発生しない特定の脂肪酸構成の油脂組成物を得るこ
とができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 米由来の食用油脂30〜60重量%とα
    −リノレン酸を45重量%以上含有する油脂5〜10重
    量%を含有してなる油脂組成物。
  2. 【請求項2】 油脂組成物中の飽和脂肪酸:一価不飽和
    脂肪酸:多価不飽和脂肪酸の比が30:35〜45:2
    5〜35であることを特徴とする請求項1記載の油脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 n−3系多価脂肪酸:n−6系多価脂肪
    酸の比が1:3.5〜4.5であることを特徴とする請
    求項1または2記載の油脂組成物。
  4. 【請求項4】 米由来の食用油脂30〜60重量%とα
    −リノレン酸を45重量%以上含有する油脂5〜10重
    量%を含有してなる請求項1〜3何れかに記載の油脂組
    成物の製造法。
  5. 【請求項5】 米由来の食用油脂30〜60重量%とα
    −リノレン酸を45重量%以上含有する油脂5〜10重
    量%を含有してなる混合油を、加熱溶解した後、急冷捏
    和し、さらに捏和時に窒素ガスを分散することを特徴と
    する請求項4記載の油脂組成物の製造法。
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