JP2002161294A - 可塑性油脂組成物 - Google Patents

可塑性油脂組成物

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JP2002161294A
JP2002161294A JP2000362134A JP2000362134A JP2002161294A JP 2002161294 A JP2002161294 A JP 2002161294A JP 2000362134 A JP2000362134 A JP 2000362134A JP 2000362134 A JP2000362134 A JP 2000362134A JP 2002161294 A JP2002161294 A JP 2002161294A
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fat
fatty acid
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fats
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Toshinori Ikehara
俊則 池原
Takeshi Kawashima
武志 河島
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 栄養学的に最適脂肪酸組成に調整された油脂
において、口溶け性と可塑性を付与した油脂を提供する
こと。 【解決手段】 可塑性油脂組成物を構成する油脂成分に
おいて、融点が30℃以上のラウリン系油脂を10〜4
0重量%含有し、且つ油脂成分中の飽和脂肪酸含量が3
5%以下、トランス酸含量が5%以下であることを特徴
とする可塑性油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可塑性と口溶け性
が良好で、且つ栄養学的にも優れた油脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、各種脂肪酸に関する多くの栄養生
理学的な知見が明らかになりつつある。例えば、飽和脂
肪酸を多く含む油脂の摂取量が過剰である場合は、高脂
血症や肥満につながる脂肪の体内蓄積を引き起こすこと
が知られている。ところが単純に飽和脂肪酸量を低減し
ようとした場合、例えばパーム油と菜種油等の液体脂を
用いて飽和脂肪酸量を調整した油脂組成物を得ることは
可能であるが、多量の不飽和脂肪酸を含む液体脂となる
ため、食用油脂製品として必要な性状である使用温度範
囲での好ましい硬さ、広い温度範囲での可塑性等を付与
することが困難となるとともに、パーム油に起因する保
存中の結晶粗大化という問題も生じる。
【0003】更には、融点が50℃を越えるようなパー
ムステアリンや極度硬化油等の高融点油脂を多量に用い
た場合、広い温度範囲での可塑性の付与は出来るもの
の、体温以上の融点になる為に口溶け性を要求される付
けマーガリンやフィリングの類に適用することは非常に
困難である。
【0004】一般的には、不飽和脂肪酸に水素を添加し
て得られる硬化油を用いることで、飽和脂肪酸量を抑え
ながら可塑性や口溶け性等の性状を付与する事が出来る
が、水素添加によるトランス脂肪酸の生成は避けられな
い。トランス脂肪酸については栄養生理学的な知見はま
だ定まっていないものの、健康に悪影響を及ぼすと指摘
する専門家も少なくないのが実状である。従って、天然
に存在する以上のトランス脂肪酸を含まないことが望ま
しいとされており、天然油脂においては乳脂等に3〜4
%程度のトランス酸が含まれることから、全油脂中のト
ランス酸含量は5%以下であることが望ましいといわれ
ている。
【0005】一方、不飽和脂肪酸についても、リノール
酸の過剰摂取による副作用が明らかとなっており、最新
の公衆衛生審議会の厚生大臣あて答申(第6次改定案・
平成11年6月28日)によれば、「飽和脂肪酸
(S),一価不飽和脂肪酸(M),多価不飽和脂肪酸
(P)の望ましい摂取割合は概ね3:4:3を目安と
し、n−6系多価不飽和脂肪酸とn−3系多価不飽和脂
肪酸の比は、健康人では4:1程度を目安とする」と記
載されている。しかしながら、第5次改定(平成6年)
においては「S:M:P=1:1.5:1」が望ましい
とされていたように、必ずしも最適の脂肪酸バランスが
確定しているわけでもない。
【0006】以上の如く、栄養学的な最適脂肪酸組成の
詳細については、今後の研究の成果によって変動するこ
とが予想されるが、概ね、飽和脂肪酸量を低減し、実質
的にトランス脂肪酸を含まない油脂が求められている傾
向にあることは確かである。この様な油脂をとして、例
えば、トランス脂肪酸を含まない油脂組成物として、特
定の極度硬化油を併用する方法(特開平9−14349
0)がある。しかしながら、この油脂はトランス脂肪酸
を含まない可塑性油脂ではあるものの、飽和脂肪酸量を
低減したものではなく、不飽和脂肪酸に関しても全く考
慮されていない。
【0007】また、厚生省のガイドラインに沿った脂肪
酸バランスを考慮した製菓用可塑性油脂(特開平11−
4657)が開示されているが、これは、脂肪酸バラン
スを考慮し、且つ可塑性を付与する技術を開示している
が、目的とする可塑性の付与に関しての記載は、融点、
固体脂量のみの非常に曖昧な記載であり、唯一例示され
ている「パーム油を主原料とする油脂」についても油脂
の結晶性に関する記載はないなど、飽和脂肪酸量を低減
した時に問題となる、油脂結晶の粗大化や保存中の硬さ
等の経時変化による商品性の低下といった可塑性油脂の
保存安定性等の問題に何ら解決を与えるものではない。
また、ソフトチョコレートへの利用も開示されている
が、いずれの例も体温以上の融点を有する為、口溶け性
が悪いという重大な問題点を抱えている。
【0008】この様に栄養学的に満足のいく脂肪酸組成
に調整される油脂において、口溶け性と可塑性を両立さ
せることは技術的に困難とされてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題に鑑み、栄養学的に最適脂肪酸組成に調整された油脂
において、口溶け性と可塑性を付与した油脂を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、問題点を
解決するために各種油脂の結晶挙動に関して鋭意検討を
行った結果、特定の組成を有する油脂が目的の機能を有
することを見い出した。即ち、特定のラウリン酸系油脂
を用いれば、飽和脂肪酸量を低減しても好適な可塑性と
優れた口溶け性を兼ね備えた油脂組成物を得ることが出
来ると考え、本発明を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明の第1は、可塑性油脂組成物
を構成する油脂成分において、融点が30℃以上のラウ
リン系油脂を10〜40重量%含有し、且つ油脂成分中
の飽和脂肪酸含量が35%以下、トランス酸含量が5%
以下であることを特徴とする可塑性油脂組成物に関す
る。
【0012】好ましい実施態様としては、(1)融点が
30℃以上のラウリン系油脂が、構成脂肪酸としてC1
4以下の脂肪酸を30%以上含有する油脂を極度硬化し
て得られたものであることを特徴とする上記記載の可塑
性油脂組成物、(2)構成脂肪酸としてC20以上の脂
肪酸を10%以上含有する極度硬化油を5重量%以下含
んでなることを特徴とする上記記載の可塑性油脂組成
物、(3)シソ油、エゴマ油、アマニ油からなる群から
選ばれる少なくとも1種を1〜20重量%含有すること
を特徴とする上記記載の可塑性油脂組成物、(4)飽和
脂肪酸(S)、一価不飽和脂肪酸(M)、多価不飽和脂
肪酸(P)の比がS:M:P=3:3.5〜4.5:
2.5〜3.5である上記記載の可塑性油脂組成物、
(5)n−6系多価不飽和脂肪酸の n−3系多価不飽和
脂肪酸に対する比が、1〜5である上記記載の可塑性油
脂組成物、(6)融点が38℃以下であることを特徴と
する上記記載の可塑性油脂組成物、(7)上記記載の可
塑性油脂組成物を用いてなる油中水型乳化油脂組成物、
(8)上記記載の可塑性油脂組成物を用いてなる水中油
型乳化油脂組成物、に関する。
【0013】本発明の第2は、上記記載の可塑性油脂組
成物を用いてなる食品に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明の可塑性油脂組成物は、油脂分とし
て、融点が30℃以上のラウリン系油脂を10〜40重
量%含んでなり、且つ全脂肪酸のうち飽和脂肪酸含量が
35%以下、トランス酸含量が5%以下であることから
なる。
【0016】本発明に用いられるラウリン系油脂として
は、C14以下の脂肪酸を30%以上、好ましくは50
%以上含有し、融点が30℃以上、好ましくは50℃未
満である油脂が目的にかなう。例えば、C14以下の脂
肪酸に富むヤシ油、パーム核油、或いはそれらの分別油
の極度硬化油が例示される。また、C14以下の脂肪酸
を30%以上含有し、融点が30℃以上であれば、エス
テル交換や分別によって得られた油脂も目的にかなう。
具体的には、C14以下の脂肪酸に富むヤシ油、パーム
核油、或いはそれらの分別油の極度硬化油が例示され
る。融点が30℃未満の場合は口溶け性は優れるものの
可塑性範囲が狭くなる。融点が50℃を越える場合に
は、可塑性油脂組成物の融点を体温以下に調整すること
が困難となり、結果として口溶け性の悪化を避けられな
い。また、C14以下の飽和脂肪酸が30%未満の場合
には、可塑性は付与できるものの、シャープな口溶け性
を付与することが出来ない。本発明で言う極度硬化と
は、水素添加によって実質的に不飽和脂肪酸を完全に飽
和することをいい、極度硬化を施した油脂は、実質的に
トランス脂肪酸を含まない。
【0017】本発明の可塑性油脂組成物は、これらのラ
ウリン系油脂の一種または2種以上を油脂成分中10〜
40重量%含むことが必要であり、好ましくは10〜3
0重量%用いることで、油脂成分中に飽和脂肪酸含量3
5%以下、トランス酸含量が5%以下、より好ましくは
3%以下である。ラウリン系油脂の含有量が10%未満
であると、口溶け等の効果が低い為好ましくない。ま
た、ラウリン系油脂の添加量が40%を越えると、可塑
性油脂組成物中の飽和脂肪酸含量を35%以下に調整す
るのが困難となる場合がある。
【0018】また、本発明の可塑性油脂組成物は、構成
脂肪酸としてC20以上の脂肪酸を10%以上含有する
極度硬化油を含むことが好ましい。構成脂肪酸としてC
20以上の脂肪酸を10%以上含有する極度硬化油とし
ては具体的に、魚油またはハイエルシン菜種油、或いは
これらの油脂のエステル交換や分別された油脂の極度硬
化油が例示される。添加量としては、5重量%以下添加
することが好ましく、更に好ましくは1〜3%配合する
ことによって、口溶けを損なわずに保形性を向上させる
ことが出来る。
【0019】可塑性油脂組成物中の油脂の種類および使
用量は、本発明の範囲を満たされるものであれば、製品
に要求される個々の物性、使用温度域等の諸条件を考慮
して決定される。また、油中水型乳化物を製造する場
合、通常用いられる乳化剤、例えばレシチン、グリセリ
ン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を用いても
何ら問題ない。
【0020】本発明の可塑性油脂組成物は、その脂肪酸
バランスを所望のバランスに調整することが可能であ
る。例えば、飽和脂肪酸(S):一価不飽和脂肪酸
(M):多価不飽和脂肪酸(P)の比が、好ましくは
S:M:P=3:3.5〜4.5:2.5〜3.5、更
には好ましくは、S:M:P=3:3.8〜4.2:
2.8〜3.2に調整される。また、n−6系多価不飽
和脂肪酸(以下、n6と略す場合がある):n−3系多
価不飽和脂肪酸(以下、n3と略す場合がある)の比
が、1〜5:1となるように天然の動植物油脂を組み合
わせて使用することが出来る。例えば、n−6系多価不
飽和脂肪酸を多く含有している油脂としては、サフラワ
ー油、月見草油、ヒマワリ油、コーン油、綿実油、大豆
油、ゴマ油、米糠油、菜種油等の植物油が挙げられ、n
−3系多価不飽和脂肪酸を多く含有している油脂として
は、シソ油、エゴマ油、アマニ油等の植物油、イワシ油
等の魚油、飽和脂肪酸を多く含有しているパーム油、パ
ーム核油、ヤシ油等の植物油、牛脂、ラード、鶏油等の
動物油脂が挙げられ、これらを必要に応じて、適量ずつ
配合することが好ましい。中でも、シソ油、エゴマ油、
アマニ油からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を
1〜20重量%を用いて脂肪酸バランスの調整が容易と
なる。上記範囲外においても脂肪酸バランスの調整は可
能であるが、組み合わされる他の油脂の自由度が狭まる
ため実用上好ましくない。また、これらの油脂を含み他
の油脂とエステル交換を行って得られた油脂についても
使用することが出来る。
【0021】本発明の可塑性油脂組成物の融点は、良好
な口溶け性を得るために、38℃以下が好ましく、更に
好ましくは30〜37℃に調整される。
【0022】本発明の可塑性油脂組成物には上述した油
脂以外に、通常の食用油脂を用いてもよい。通常の食用
油脂としては、特に制限はなく、添加して製造した可塑
性油脂の脂肪酸バランス、並びに融点が本発明の範疇に
はいるのであれば、その種類・量ともに制限はない。
【0023】また、その他に栄養強化を目的とした各種
ビタミン類例えば、ビタミンA,D,E等を添加、併用
しても良いし、呈味剤としての各種香料、乳関連物質、
例えば全脂粉乳、脱脂粉乳、発酵乳、各種塩類、乳脂肪
等を添加、併用しても良い。また、上記以外の原材料と
しては、通常の油中水型エマルション、水中油型エマル
ションに使用される酸化防止剤、着色剤等が全て使用可
能である。
【0024】上記の油脂を用いて、油中水型乳化物或い
は水中油型乳化物を製造することが出来る。油中水型乳
化物を製造する際には、上記油脂の量に特に制限はな
く、通常の油中水型油脂組成物と同様の方法で製造する
ことが出来る。例えば、60℃で油中水型に乳化した
後、パーフェクター、コンビネーター、ボテーター等の
連続式熱交換機を用いて急速捏和することで油中水型油
脂組成物を製造することが出来る水中油型乳化物におい
ても、油脂量に特に制限はなく、通常の水中油型油脂組
成物と同様の方法で製造することが出来る。例えば、6
0℃で水中油型に乳化した後、UHT殺菌機で高温短時
間殺菌を行い更に真空冷却、ホモジナイザーによる均質
化後冷却することで水中油型乳化油脂組成物を製造する
ことが出来る。
【0025】本発明の可塑性油脂組成物は種々の食品の
製造に供することが可能である。具体的には、マーガリ
ン、ショートニング、クリーム等を始めとして、これら
を用いたパン、パイ、クッキー、ケーキ、ムース等が挙
げられるが、これに限定されず、各種食品に使用可能で
ある。
【0026】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
るが、これらの実施例は本発明を制限するものではな
い。尚、以下の記載に於いて「部」、「%」は全て「重
量部」、「重量%」を意味する。
【0027】(製造例1)ヤシ油を常法により極度硬化
し油脂Aを得た。C14以下の飽和脂肪酸含量は72.
8%、融点は32℃であった。
【0028】(製造例2)パ−ム核油を製造例1と同様
に極度硬化して油脂Bを得た。C14以下の飽和脂肪酸
含量は67.9%、融点は40℃であった。
【0029】(製造例3)パ−ム核油オレインを製造例
1と同様に極度硬化して油脂Cを得た。C14以下の飽
和脂肪酸含量は61.0%、融点は42℃であった。
【0030】(製造例4)ハイエルシン菜種油を製造例
1と同様に極度硬化して油脂Dを得た。C20以上の飽
和脂肪酸含量は58.1%であった。
【0031】(製造例5)パーム油を製造例1と同様に
極度硬化し、油脂Eを得た。C14以下の飽和脂肪酸含
量は1.4%、融点は59.3℃であった。
【0032】(実施例1)製造例1の油脂A11部、製
造例3の油脂C11部、製造例4の油脂D1部、菜種油
55部、コーン油20部、シソ油2部からなる調合油に
グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS、
理研ビタミン株式会社製)0.2部、大豆レシチン0.
2部、βカロチン0.001部、及び香料0.04部を
添加し、油相を作製した。この油相の融点は、31.7
℃、S:M:P=3.0:4.2:3.0、n6:n3
=3.7:1、飽和脂肪酸含量29.4%、トランス酸
含量0.1%であった。
【0033】この油相83部に対し、水16部に脱脂粉
乳1部を溶解した水相17部を添加し、約60℃に温度
を調節しプロペラミキサーにて攪拌混合した後、常法通
り掻き取り式の連続急冷捏和装置にて急冷捏和してマー
ガリンを調製した。
【0034】(実施例2)調合油を製造例2の油脂B2
2部、製造例4の油脂D2部、菜種油56部、コーン油
5部、シソ油15部にした以外は、実施例1記載と同様
の配合及び操作により、油相を調整し、更に水相を添加
してマーガリンを調製した。マーガリンの調整に用い
た油相の融点は、34.9℃、S:M:P=3.0:
4.0:3.2、n6:n3=1.2:1、飽和脂肪酸
含量30.0%、トランス酸含量0.2%であった。
【0035】(実施例3)調合油を製造例2の油脂B1
1部、製造例3の油脂C10部、製造例4の油脂D2
部、菜種油50部、コーン油24部、シソ油3部にした
以外は、実施例1記載と同様の配合及び操作により、油
相を調整し、更に水相を添加して、マーガリンを調製
した。マーガリンの調整に用いた油相の融点は、36.
8℃、S:M:P=3.0:3.9:3.1、n6:n
3=3.8:1、飽和脂肪酸含量30.0%、トランス
酸含量0.1%であった。
【0036】(実施例4)調合油を製造例2の油脂B2
4部、製造例4の油脂D2部、菜種油37部、コーン油
29部、シソ油8部にした以外は、実施例1記載と同様
の配合及び操作により、油相を調整し、更に水相を添加
して、マーガリンを調製した。マーガリンの調整に用
いた油相の融点は、37.1℃、S:M:P=3.0:
3.0:3.1、n6:n3=3.0:1、飽和脂肪酸
含量33.0%、トランス酸含量0.3%であった。
【0037】実施例1〜4で得られたマーガリン〜
について、キメ、ツヤ、ノビ、口溶けを評価した。ま
た、3ヶ月の冷蔵保存後の品質について同様に評価し
た。キメ、ツヤ、ノビ等の組織状態及び口溶け性は非常
に良好であり、3ヶ月冷蔵保管後に於いても品質に変化
は見られなかった。また、5〜25℃において適度な稠
度(可塑性)を有しており、付けマーガリンとしての塗
布性にも優れていた。
【0038】(比較例1)調合油を製造例5の油脂E1
1部、製造例3の油脂C11部、製造例4の油脂D1
部、菜種油55部、コーン油20部、シソ油2部にした
以外は、実施例1と同様の配合及び操作により、油相を
調整し、更に水相を添加して、マーガリンを調製し
た。マーガリンの調整に用いた油相の融点は、53.1
℃、S:M:P=3.0:4.2:3.0、n6:n3
=3.7:1、飽和脂肪酸含量29.5%、トランス酸
含量0.2%であった。マーガリンのキメ、ツヤ、ノ
ビ等の組織状態は、実施例1で得られたマーガリンに比
べて同程度であったが、口溶け性が著しく劣った。更に
3ヶ月冷蔵保管後に於いては、組織状態が悪化してい
た。
【0039】(比較例2)調合油を製造例3の油脂C5
部、製造例4の油脂D2部、菜種油28部、コーン油2
5部、パーム油35部、シソ油5部にした以外は、実施
例1と同様の配合及び操作により、油相を調整し、更に
水相を添加してマーガリンを調製した。マーガリンの
調整に用いた油相の融点は、31.2℃、S:M:P=
3.0:4.0:3.0、n6:n3=4.2:1で、
飽和脂肪酸含量30.0%、トランス酸含量0.1%あ
った。マーガリンは、口溶け性は比較的良好であった
が、軟質で可塑性範囲の狭いものであった。更に3ヶ月
冷蔵保管後に於いては、組織状態が悪化していた。
【0040】(実施例5)製造例2の油脂B16部、製
造例3の油脂C5部、製造例4の油脂D2部、菜種油5
2部、コーン油23部、シソ油2部からなる調合油にグ
リセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS、理
研ビタミン株式会社製)0.2部、大豆レシチン0.2
部を添加、約60℃に温度を調節しプロペラミキサーに
て攪拌混合した後、常法通り掻き取り式の連続急冷捏和
装置にて急冷捏和してショートニングを調製した。出
来上がったショートニングの調整に用いた油相の融点
は、36.3℃、S:M:P=3.0:4.0:3.
0、n6:n3=4.1:1、飽和脂肪酸含量30.0
%、トランス酸含量0.1%であった。
【0041】(実施例6) パンの製造 表1に示すような配合及び図1に示すような製パン工程
及び条件において、実施例5のショートニングを用い
て中種法によりパンを作成した。
【0042】製造時の生地状態及び、焼成後におけるパ
ンのキメ、マク等の内層状態も良好であり、食感におい
ても口溶け性が良好であった。また、ミキシング時の油
脂のしみ出しや生地のべたつきも全くなかった。
【0043】
【表1】 (実施例7) ビスケットの作製 薄力粉100部、実施例5のショートニング35部、
上白糖40部、全卵5部、塩0.5部及び水18部から
なる配合でビスケットを作製した。ビスケット製造時の
練り込み性等の作業性は非常に良好であった。
【0044】(実施例8) バタークリームの調整 実施例5のショートニング40部を比重0.6になる
までホイップさせた後、ブルーベリーシロップ60部を
加えてミキシングし、最終比重が0.8になるまでホイ
ップを行った。得られたバタークリームの口溶け性、風
味、食感とも非常に良好であり、特に口腔内での味の感
じ方が非常に良好であった。
【0045】(実施例9)製造例2の油脂B21部、製
造例4の油脂D2部、菜種油52部、コーン油23部、
シソ油2部からなる調合油を作製した。この調合油30
部を70℃に加温溶解後、レシチン0.1部及びポリグ
リセリン脂肪酸エステル0.1部を順次溶解して油相部
を作成した。融点は、34.9℃、S:M:P=3.
0:4.0:3.0、n6:n3=4.1:1、飽和脂
肪酸含量30.0%、トランス酸含量0.2%であっ
た。
【0046】アルブミン態タンパク質1部、脱脂乳60
部を50℃まで加温し、ショ糖脂肪酸エステル0.1部
及びグラニュー糖10部を添加して水相部を調整した。
【0047】調整した水相部と油相部を予備乳化した
後、UHT殺菌機にて145℃で4秒間殺菌した。次い
で真空冷却した後、均質化機により90kg/cm2
圧力で均質化し更に10℃までプレート冷却してクリー
ムを得た。
【0048】(実施例10)水51部、グラニュー糖1
3部、異性化糖10部及びゲル化剤1部を90℃に加温
溶解後、実施例9のクリーム15部及びヨーグルト10
部を混合した。次いで、クエン酸によりpH4.0に調
整した後カップに充填し、85℃20分殺菌後冷却し
た。得られたムースの口溶け性、風味、食感とも非常に
良好であった。
【0049】
【発明の効果】本発明の可塑性油脂組成物は、不飽和脂
肪酸に富み、且つ実質的にトランス酸を含まず、製菓・
製パン用油脂として優れた可塑性と口溶け性を有してい
る。更には、脂肪酸バランスを調整することが容易であ
り、栄養学的にバランスの良い油脂製品を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例6における製パン工程及び条件を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23G 3/00 A23G 3/00 C11C 3/12 C11C 3/12

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可塑性油脂組成物を構成する油脂成分に
    おいて、融点が30℃以上のラウリン系油脂を10〜4
    0重量%含有し、且つ油脂成分中の飽和脂肪酸含量が3
    5%以下、トランス酸含量が5%以下であることを特徴
    とする可塑性油脂組成物。
  2. 【請求項2】 融点が30℃以上のラウリン系油脂が、
    構成脂肪酸としてC14以下の脂肪酸を30%以上含有
    する油脂を極度硬化して得られたものであることを特徴
    とする請求項1記載の可塑性油脂組成物。
  3. 【請求項3】 構成脂肪酸としてC20以上の脂肪酸を
    10%以上含有する極度硬化油を5重量%以下含んでな
    ることを特徴とする請求項1または2記載の可塑性油脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 シソ油、エゴマ油、アマニ油からなる群
    から選ばれる少なくとも1種を1〜20重量%含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3記載の可塑性油脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 飽和脂肪酸(S)、一価不飽和脂肪酸
    (M)、多価不飽和脂肪酸(P)の比がS:M:P=
    3:3.5〜4.5:2.5〜3.5である請求項1〜
    4記載の可塑性油脂組成物。
  6. 【請求項6】 n−6系多価不飽和脂肪酸の n−3系多
    価不飽和脂肪酸に対する比が、1〜5である請求項1〜
    5記載の可塑性油脂組成物。
  7. 【請求項7】 融点が38℃以下であることを特徴とす
    る請求項1〜6記載の可塑性油脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7記載の可塑性油脂組成物を
    用いてなる油中水型乳化油脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7記載の可塑性油脂組成物を
    用いてなる水中油型乳化油脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9何れかに記載の油脂組成
    物を用いてなる食品。
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