JP4604969B2 - 低トランス酸植物性油脂組成物 - Google Patents

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本発明は、植物性油脂から構成され、マーガリン、ファットスプレッド、又はショートニングの原料となる低トランス酸植物性油脂組成物に関する。
最近のマーガリン、ファットスプレッド又はショートニング等の食用油脂製品は、風味が良好で、リノール酸やリノレン酸等の不飽和脂肪酸を多く含む油脂を含有する製品が好まれる傾向にある。特に、コーン油や大豆油、サフラワー油、オリーブ油、ナタネ油のような植物油脂は人気があり、需要量も増大傾向である。しかし、それらの植物油脂は多量の不飽和脂肪酸を含んでいるため、常温で液状である。したがってマーガリンやファットスプレッドのような食用油脂製品として必要な性状である使用温度範囲での好ましい硬さ、広い温度範囲での可塑性等を付与することが難しくなる。例えば、小型のカップ容器の付けマーガリンやフィリング等の製品に関しては、円滑にライン製造を行うためには、充填時に200dPa・s程度の粘度が必要である。一般的に液状油の粘度は10dPa・s未満であるため、液状の植物油脂を多量に含む製品の製造は困難といえる。
そこで、粘度を増加させるためそれらの液状植物油脂を水素添加し、融点30℃〜40℃の硬化油にして使用している。水素添加された油脂には、大きく分けて2種類のタイプがある。一つは極度硬化油脂で、もう一つは部分水素添加油脂である。極度硬化油脂は、不飽和脂肪酸がほとんど存在しなくなるまで、即ち、ヨウ素価が実質的には0になるまで水素添加したもので、硬度が高く、また融点も高い固形油脂である。極度硬化油脂は、マーガリンやファットスプレッドのような食用油脂製品に必要な硬さ、可塑性や、製造時に必要な充填粘度を付与することができるが、融点が高いために良好な口溶けを維持することは困難である。
部分水素添加油脂は、不飽和脂肪酸の一部だけが飽和されたもので、極度硬化油脂と比較して軟らかく、また融点も低い油脂である。この部分水素添加油脂は、水素添加の度合いにより硬度や融点を容易に調整することができるため、マーガリンやファットスプレッドのような食用油脂製品に必要な硬さ、可塑性や、製造時に必要な充填粘度、そして良好な口溶けを付与することができ、食用油脂製品の原料油脂とし汎用されている。
しかし、この部分水素添加油脂には、水素添加時に、異性体であるトランス酸(トランス型脂肪酸ともいう。)を含有する。トランス酸については、心筋梗塞のリスクを高めるとして、米国では、2006年1月1日から食品などにトランス酸の含有量表示を義務化しており、天然に存在するトランス酸量以上を含まないことが望ましいとされている。この場合、天然油脂においては乳脂肪等に3質量%程度のトランス酸が含まれることから、全油脂中のトランス酸含量は、3質量%以下であることが望ましい。そのため、油脂製品中の部分水素添加油脂の使用量が制限される傾向にある。
先に例示した植物油脂を極度硬化油脂まで水素添加した場合は、実質的にトランス酸を含まない。そこで、特許文献1には、トランス酸の含有量を減らした油脂組成物として、液状油脂に炭素数12の飽和脂肪酸を含む極度硬化油脂を添加した油脂組成物が開示されている。しかしながら、この油脂組成物では、製品の光沢、ツヤが少なく、可塑性の乏しい、ボソボソした物性になりやすく、長期冷蔵保存後に粗大結晶、グレインが発生する恐れがあるため、家庭用の付けマーガリンやファットスプレッドには改良が必要であった。
特開2002−161294号公報
この様に、液状植物油脂を多く使用し、トランス酸含量を3質量%以下という低含有量に抑えた油脂組成物において、(1)マーガリンやファットスプレッドとして良好な口溶けを維持すること、(2)充填時に十分な粘度を得て、マーガリンやファットスプレッドとして適する硬さ、可塑性を得ること、及び(3)光沢のある良好な外観を維持できる保存安定性を有すること、の要求を同時に満たすことは技術的に容易ではなかった。
本発明は、上記の技術的課題を解決する油脂組成物を調整することである。すなわち、液状植物油脂を多く含有し、トランス酸含量を油脂中低含有量に抑制でき、かつ、マーガリンやファットスプレッドとしての十分な口溶け、硬さ、光沢、保型性、可塑性、保存安定性を有し、製造時においても良好な充填粘度を有する可塑性低トランス酸植物性油脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために、液状植物油脂、植物性極度硬化油脂、植物油脂由来エステル交換油脂、部分水素添加油脂である植物性硬化油脂を一定の比率で配合することにより問題点の解決をはかった。
すなわち、本発明は、
(1)下記のA成分:70〜80質量%、B成分:8〜20質量%、C成分:7〜20質量%、D成分1〜3質量%からなり、さらにB成分とC成分との質量比が1:0.3〜2であることを特徴とするトランス酸含量が3質量%以下である低トランス酸植物性油脂組成物に関する。
A成分:液状植物油脂、
B成分:融点32℃〜42℃で、炭素数12の飽和脂肪酸を35質量%以上含有する植物性極度硬化油脂、
C成分:融点30℃〜40℃で、炭素数12の飽和脂肪酸を10〜30質量%含有する植物油脂由来エステル交換油脂、
D成分:融点42℃〜48℃で、炭素数18の飽和脂肪酸を20〜40質量%含有するヨウ素価40〜65である植物性硬化油脂。
(2)前記(1)の油脂組成物を原料とする、マーガリン、又はファットスプレッドである。
本発明によると、液状植物油脂を多く含有し、トランス酸含量を油脂中に低含有量に抑制でき、かつ、マーガリンやファットスプレッドとしての十分な口溶け、硬さ、光沢、ツヤ、保型性、可塑性、保存安定性を有し、製造時においても良好な充填粘度を有する低トランス酸植物性油脂組成物を提供することができる。すなわち、液状植物油脂を70質量%以上配合し、トランス酸含量を油脂中3質量%以下に抑制し、かつ、これを原料にマーガリンやファットスプレッドを製造したときに十分な口溶け、硬さ、光沢、ツヤ、保型性、可塑性、保存安定性を有し、製造時においても良好な充填粘度を有する低トランス酸植物性油脂組成物を提供することができる。
さらに、本発明によると、十分な口溶け、硬さ、光沢、ツヤ、保型性、可塑性、保存安定性を有するマーガリンやファットスプレッドを提供することができる。特に、マーガリンに適している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の低トランス酸植物性油脂組成物は、液状植物油脂(A成分)、植物性極度硬化油脂(B成分)、植物油脂由来エステル交換油脂(C成分)、植物性硬化油脂(D成分)を一定の割合で含有することを特徴とする。
(A成分)
液状植物油脂は、通常、食用油脂として用いられ、常温において液体状を呈する油脂である。例えば、コーン油、サフラワー油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、落花生油、綿実油、米油、パーム核油、ヤシ油等の不飽和脂肪酸を多く含む油脂を挙げることができる。
これら液状植物油脂の中でも、コーン油、サフラワー油、大豆油、オリーブ油、ナタネ油は特に風味が良好である。
油脂組成物中のA成分の含有量は、70〜80質量部であることが好ましい。70質量%未満の場合、マーガリンやファットスプレッドを製造した際に液状植物油脂本来の風味を十分に残すことはできず、80質量%より多い場合は、マーガリンやファットスプレッドに適した硬さが得られ難くなる。
(B成分)
本発明に用いる植物性極度硬化油脂は、融点32℃〜42℃の植物性極度硬化油脂で、炭素数12の脂肪酸を35質量%以上含有する油脂である。20℃における固体脂含有率(SFC)が50〜65である極度硬化油脂であることが好ましい。炭素数12の脂肪酸を多く含む油脂として、例えば、ヤシ油、パーム核油が挙げられ、B成分はこれらの油脂を原料として極度硬化して得られる。原料としては、ヤシ油又はパーム核油をそのまま用いることが好ましいが、これらの分別精製油、他の油脂とのエステル交換油も用いることができる。水素添加は、例えば、圧力1〜20kg/cm、温度100〜250℃の条件下でニッケル触媒を添加して水素を吹き込みながら、不飽和脂肪酸がほとんど残存しなくなるまで、即ちヨウ素価がほぼ0になるまでおこなったものである。
本発明では、炭素数12の脂肪酸を35%以上含有する硬化油脂を使用する。炭素数12の飽和脂肪酸が35%未満の極度硬化油を原料とした植物性油脂組成物において、マーガリンやファットスプレッドを製造すると口溶けの悪くなりやすい。マーガリンやファットスプレッドに適した硬さ、保型性を得るには、20℃における固体脂含有率(SFC)が50〜65の範囲になることが好ましい。
油脂組成物中のB成分の含有量は、8〜20質量部であることが好ましい。B成分の含有量が8質量%未満の場合は、マーガリンやファットスプレッドに適した硬さ、特に保型性を得ることが難くなる。B成分の含有量が20質量%を超える場合は、製品の光沢、ツヤがなく、可塑性の乏しい、ボソボソした物性になり、長期冷蔵保存後に粗大結晶、グレインが発生する恐れがあるため、マーガリンやファットスプレッドには不向きな状態となりやすい。
(C成分)
本発明に用いる植物油脂由来エステル交換油脂は、融点30℃〜40℃の植物油脂由来エステル交換油脂で、炭素数12の飽和脂肪酸を10〜30質量%含有する油脂である。20℃における固体脂含有率(SFC)が15〜30であるエステル交換油脂であることが好ましい。
本発明に用いる植物油脂由来エステル交換油脂は、炭素数12の飽和脂肪酸を多く含む油脂と、常温においてペースト状を呈する炭素数16〜18の脂肪酸とを多く含む油脂とをエステル交換して製造され、天然界に存在しえない脂肪酸組成の油脂である。本発明に用いる植物油脂由来エステル交換油脂は、例えば、炭素数12の飽和脂肪酸を多く含む油脂としてヤシ油、パーム核油等の油脂20〜60質量%と、常温においてペースト状を呈する炭素数16〜18の脂肪酸とを多く含む油脂であるパーム油、パームステアリン油、パームオレイン油40〜80質量%とのエステル交換油が好ましい。エステル交換方法は、化学的方法、酵素的方法のいずれも使用できるが、例えば、グリセリドの一位と三位の脂肪酸を特異的に交換する酵素を使用して、30〜80℃で反応させて製造することが好ましい。
植物油脂由来エステル交換油脂において、融点が30℃に満たないエステル交換油脂を使用すると、製造したマーガリンやファットスプレッドの可塑性が十分に得られず、融点が40℃を超える場合は口溶けが悪くなる傾向がある。植物油脂由来エステル交換油脂において、炭素数12の飽和脂肪酸が10質量%に満たない場合、口どけが悪くなる傾向があり、炭素数12の飽和脂肪酸が30質量%を超えるエステル交換油脂を使用するとマーガリンやファットスプレッドの光沢、ツヤが悪くなり、グレインの発生を抑制でき難くなる。SFCが15未満の場合は、製品に十分な硬さが得られなくなる恐れがある。
脂組成物中のC成分の含有量は、7〜20質量%であることが好ましい。C成分の配合量が7質量%未満の場合は、製造されたマーガリンやファットスプレッドにおいて、製品の光沢、ツヤが少なく、可塑性の乏しい、ボソボソした物性になり、長期冷蔵保存後に粗大結晶、グレインが発生する恐れがある。特に家庭用の付けマーガリンやファットスプレッドには不向きな状態になる。C成分の含有量が20質量%を超える場合は、マーガリンやファットスプレッドに適した硬さ、保型性が得られにくくなる。
(D成分)
本発明に用いる植物性硬化油脂は、植物性油脂の部分水素添加油脂である。融点42℃〜48℃の植物性硬化油脂で、C18飽和脂肪酸を20〜40質量%含有するヨウ素価40〜65の植物性硬化油脂である。20℃における固体脂含有率(SFC)が60〜75であることが好ましい。
融点42℃〜48℃の植物性硬化油脂で、C18飽和脂肪酸を20〜40質量%含有するヨウ素価40〜65の植物性硬化油脂は、例えば、コーン油、サフラワー油、大豆油、ナタネ油、綿実油等を部分水素添化した油脂である。なかでも、ナタネ油、大豆油等の硬化油脂は固化速度が速く、マーガリンやフィリングの製品製造において充填時に200dPa・s程度の粘度が得られることから使用に適している。
D成分の配合量が1質量%未満の場合は、小型のカップ容器用の付けマーガリンやフィリングの製品において、十分な充填粘度が得られず、円滑にライン製造を行うことが難しくなる。
本願発明において、D成分の含有量は、1〜3質量%の範囲であることが好ましい。1質量未満では、D成分を含有させる効果が発現できず、3質量%を超えると効果が飽和する。
本発明において、B成分とC成分との質量比を1:0.3〜2とすると、マーガリンやファットスプレッドとして適する口溶け、硬さ、保型性、可塑性が得られ、ツヤのある良好な製品状態で長期間維持でき、粗大結晶、グレイン等の発生を抑制できる。
C成分が上記比率より小さいとき(B成分/C成分質量比が1/0.3を超えるとき)、製品の光沢、ツヤが少なく、可塑性の乏しい、ボソボソした物性になり、長期冷蔵保存後に粗大結晶、グレインが発生する恐れがある。C成分が上記比率より大きいとき(B成分/C成分質量比が0.5未満のとき)、マーガリンやファットスプレッドに適した硬さ、保型性が得られにくくなる。
さらに好ましくは、油脂組成物全体の構成脂肪酸として、融点が30℃〜35℃で、20℃における固体脂含有率(SFC)が5〜10であるとき、より口溶け、硬さの良好な油脂組成物が得られる。
本発明は、A〜D成分を一定割合で混合した植物性油脂組成物を原料として、ショートニングや、マーガリンやファットスプレッドのようなW/O乳化型油脂食品を製造する。W/O乳化型油脂食品の製造方法は、例えば、A〜D成分を配合して本発明の油脂組成物を調製し、この油相40〜80質量部に対して、水相20〜60質量部を混合して乳化する。油相には、乳化剤、トコフェロール、香料、着色料等、その他油溶性の添加物も添加することができ、水相には、乳化剤、脱脂粉乳、食塩、増粘多糖類等、その他水溶性の食品や添加物を添加することができる。乳化工程は、マーガリンやファットスプレッドを調製するときの通常の乳化機を使用でき、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどの急冷捏和装置にて、マーガリンやファットスプレッドを製造することができる。
以下に、具体例を挙げて、更に詳細に説明するが、これらの試験例は本発明を制限するものではない。なお、各脂肪酸の割合は油脂を構成する全脂肪酸中の割合をガスクロマトグラフィー法で求めた。
製造例1
パーム核油を極度硬化して油脂B−1を得た。融点40℃、炭素数12の飽和脂肪酸は45質量%、20℃における固体脂含有率(SFC)は58であった。
製造例2
ハイエルシンナタネ油を極度硬化して油脂B−2を得た。融点65℃、炭素数12の飽和脂肪酸は0質量%、20℃における固体脂含有率(SFC)は100であった。
製造例3
パーム油50質量部、パーム核油50質量部を酵素エステル交換して油脂C−1を得た。エステル交換は、グリセリドの一位と三位の脂肪酸を特異的に交換する酵素(リポザイムTL−IM:ノボ・ノルデックス社製)を使用して、65℃で反応させた。融点33℃、炭素数12の飽和脂肪酸は20質量%、20℃における固体脂含有率(SFC)は23であった。
製造例4
パーム油50質量部、パーム核油50質量部を配合して油脂C−2を得た。融点28℃、C12の脂肪酸は20質量%、20℃における固体脂含有率(SFC)は17であった。
製造例5
パーム油90質量部、パーム核油10質量部を製造例3と同様な方法にて酵素エステル交換して油脂C−3を得た。融点36℃、炭素数12の脂肪酸は4.5質量%、20℃における固体脂含有率(SFC)は25であった。
製造例6
大豆油を部分水素添加して油脂D−1を得た。融点46℃、炭素数18の飽和脂肪酸は25質量%、20℃における固体脂含有率(SFC)は65で、ヨウ素価は58であった。
製造例7
大豆油を部分水素添加して油脂D−2を得た。融点36℃、炭素数C18の飽和脂肪酸は15質量%、20℃における固体脂含有率(SFC)は30で、ヨウ素価は77であった。
実施例1
液状植物油脂としてコーン油を70質量部、油脂B−1を12質量部、油脂C−1を15質量部、油脂D−1を3質量部混合して、本発明の油脂組成物とした。この油脂組成物80.8質量部に、グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS:理研ビタミン株式会社製)0.1質量部、大豆レシチン0.1質量部、及びβ-カロチン、香料を適量添加し、油相部とした。この油相部の融点は32℃、炭素数12の飽和脂肪酸は6質量%、20℃の固体脂含有率(SFC)は7、トランス酸含量は1.2質量%であった。
この油脂組成物81質量部に対し、水17質量部に食塩1質量部と脱脂粉乳1質量部を溶解した水相部を添加し、約70℃に加熱しながらスリーワンモーターにて攪拌混合し、乳化した。これをコンビネーター(シュレーダー社製)に通し、急冷捏和し、マーガリンを製造した。
実施例2〜4
表1の組成比にて油脂組成物を配合し、実施例1と同様な方法にて、マーガリンを製造した。
本発明で用いた、口溶け評価基準、可塑性評価基準、充填適正評価基準、保型性評価基準、外観評価基準、トランス脂肪酸含量の測定方法について記す。
(口溶け評価基準)
10℃に保存していた試料を約2g口内に入れて評価した。
3:3秒以内に溶解性が確認されたもの
2:3〜8秒以内に溶解性が確認されたもの
1:8秒以上要したもの
(可塑性評価基準)
10℃に30日間保存していた試料の硬さ(破断強度)をレオメーター(山電株式会社製)にて測定した。直径30mmプランジャーで10mm押した時の応力値(g)を、試料の硬さとして評価した。
3:1000以上1800g以下
2:700〜1000g、1800〜2500g
1:700g以下、2500g以上
(充填適正評価基準)
充填時の製品粘度を、ビスコテスタ(リオン株式会社製)で測定した。
3:200dPa・s以上
2:100〜200dPa・s
1:100dPa・s以下
(保型性評価基準)
直径2cm、高さ2cmの円柱状に形取った試料を、30℃に3時間保存した。
3:最初の高さから10%以内しか低くならない
2:最初の高さから10〜20%しか低くならない
1:最初の高さから20%以上低くなる
(外観評価基準)
10℃に30日間保存していた試料の外観を肉眼で評価した。
3:光沢、ツヤがある。
2:光沢がない。
1:光沢がなく、ザラツキが見られる。
Figure 0004604969
Figure 0004604969
表2から明らかなように、実施例1〜4により製造されたマーガリンは、付けマーガリンとして優れた口溶けであり、かつ充填時に十分な粘度を得て、マーガリンとして適する保型性(硬さ)、可塑性を有し、ツヤのある良好な外観であった。
比較例1
液状植物油脂としてコーン油を77重量部、油脂C−1を20重量部、油脂D−1を3質量部混合して、油脂組成物とした。この油脂組成物80.8質量部に、グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーMS:理研ビタミン株式会社製)0.1質量部、大豆レシチン0.1質量部、及びβ-カロチン、香料を適量添加し、油相部とした。この油相部の融点は34℃、炭素数12の脂肪酸は8質量%、20℃固体脂含有率(SFC)は10、トランス酸含量は1.2質量%であった。
この油相部81質量部に対し、水17質量部に食塩1質量部と脱脂粉乳1質量部を溶解した水相部を添加し、約70℃に加熱しながらスリーワンモーターにて攪拌混合し、乳化した。これをコンビネーター(シュレーダー社製)に通し、急冷捏和し、マーガリンを製造した。
組成比を表3に記す。
比較例2〜11
表3の組成で、比較例1と同様な方法にて、マーガリンを調整した。
Figure 0004604969
Figure 0004604969
表4から明らかなように、B成分を配合しない比較例1は、口溶け性が悪く口の中でもたつきを感じ、硬さも軟らかく、保型性に劣っていた。同様にC成分を配合しない比較例3〜5は、可塑性、外観が劣り、D成分の硬化油を配合しない比較例6は、充填時に十分な粘度が得られず、ライン製造が困難であった。B成分の多い比較例8は可塑性と外観が劣り、C成分の多い比較例9は口溶けと保型性が劣った。B成分とC成分の質量比が1:2.5である比較例10は保型性が劣った。また、液状油と極度硬化油のみの比較例11は、口溶け、可塑性、充填適正、外観に十分な結果が得られなかった。

Claims (2)

  1. 下記のA成分:70〜80質量%、B成分:8〜20質量%、C成分:7〜20質量%、D成分1〜3質量%からなり、さらにB成分とC成分との質量比が1:0.3〜2であることを特徴とするトランス酸含量が3質量%以下である低トランス酸植物性油脂組成物。
    A成分:液状植物油脂、
    B成分:融点32℃〜42℃で、炭素数12の飽和脂肪酸を35質量%以上含有する植物性極度硬化油脂、
    C成分:融点30℃〜40℃で、炭素数12の飽和脂肪酸を10〜30質量%含有する植物油脂由来エステル交換油脂、
    D成分:融点42℃〜48℃で、炭素数18の飽和脂肪酸を20〜40質量%含有するヨウ素価40〜65の植物性硬化油脂。
  2. 請求項1記載の油脂組成物を原料とするマーガリン、又はファットスプレッド。
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