JP2779465B2 - ショ糖脂肪酸エステル混合物 - Google Patents

ショ糖脂肪酸エステル混合物

Info

Publication number
JP2779465B2
JP2779465B2 JP4301808A JP30180892A JP2779465B2 JP 2779465 B2 JP2779465 B2 JP 2779465B2 JP 4301808 A JP4301808 A JP 4301808A JP 30180892 A JP30180892 A JP 30180892A JP 2779465 B2 JP2779465 B2 JP 2779465B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
oil
sucrose fatty
acid ester
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4301808A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05316951A (ja
Inventor
美香 多邊田
弘一 國米
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP4301808A priority Critical patent/JP2779465B2/ja
Publication of JPH05316951A publication Critical patent/JPH05316951A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2779465B2 publication Critical patent/JP2779465B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、揚げ物(フライ、天ぷ
ら)用の油(油脂組成物)に有利に利用できるショ糖脂
肪酸エステル混合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から天ぷらやフライを揚げるために
用いる揚げ物用の油脂としては、比較的淡泊で、油脂自
体に好ましい風味を有するなどの点から、例えば、コー
ン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、
ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイ
ックひまわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂が多
く用いられている。また最近では、ラード(脱臭したも
のや水素添加したものなど)、ショートニングなどの固
形油脂も使用されており、これらは、比較的熱に強く、
フライ用に有用である。
【0003】しかしながら、上記のような油脂では、揚
げ物時の油はねが生じ易すかったり、また天ぷらを揚げ
た場合には、衣の花咲性(散り状態)が十分でないなど
の問題がある。更に液体油の場合には、特に加熱による
油の劣化臭(嫌悪感のある臭気)が発生し易く、これが
上記の花咲性の不十分さによると思われる油っぽさと相
俟って、揚げ物の風味が損なわれ易かった。
【0004】ところで、ショ糖脂肪酸エステルは、従来
からケーキ等の菓子類の生地の調製用の乳化剤(起泡
剤)として(例えば、特開昭62−162133号公
報)、あるいはショートニングなどに用いられる油脂の
結晶成長抑制剤(例えば、特開昭62−205738号
公報)として良く知られている。また、特開昭47−3
4703号公報には、耐寒性を改良するために、液状の
植物油に蔗糖のジ(または)トリ不飽和脂肪酸エステル
を添加溶解することからなる液状食用油の製造法が開示
されている。本発明者は、上記のようなショ糖脂肪酸エ
ステルを利用した油脂組成物の天ぷら、フライ等の揚げ
物用の油としての利用を検討した。しかしながら、従来
のショ糖脂肪酸エステルは、油脂への溶解性や、加熱時
の劣化臭、揚げ物時の油はね抑制、揚げ物時の衣の花咲
性などの揚げ物用の油としての特性の点においてこれら
全てが満足できるものがなく、更に揚げ物が油っぽかっ
たり、嫌悪感のある油臭を発生させるなど風味の点にお
いても好ましいものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、揚げ
物用の油(油脂組成物)に好適な、以下の機能の殆ど全
てを備えたショ糖脂肪酸エステル混合物を提供すること
である。 (1)60℃において白濁したり、油不溶分が生じな
い。 (2)揚げ物時の油はねを抑制する。 (3)揚げ物時の衣の花咲性(散り状態)を向上させ
る。 (4)加熱時の劣化臭(嫌悪感のある臭い)の発生を抑
制する。 (5)揚げ物の風味を低下させない(油っぽさを低減
し、また嫌悪感のある油臭を発生させない)。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な特徴を有する、揚げ物用の油に好適に利用できるショ
糖脂肪酸エステル混合物の発現を目指して鋭意研究を重
ねた。その結果、エステル置換度が異った[SME]、
[SDE]および[SPE]のそれぞれのエステルの持
つ特性、特に[SDE]の持つ特性を十分に生かした配
合の混合物を調製することにより、上記目的とする油脂
組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
ここで、[SDE]は、エステル置換度が2のショ糖脂
肪酸エステルを表し、[SPE]は、エステル置換度が
3以上のショ糖脂肪酸エステルの合計量を表し、[SM
E]は、エステル置換度が1のショ糖脂肪酸エステルを
表す。そしてショ糖脂肪酸エステル混合物の構成脂肪酸
として、飽和脂肪酸が5重量%以上、50重量%以下含
まれている。
【0007】本発明は、構成脂肪酸の飽和脂肪酸含量が
5重量%以上、50重量%以下で、ショ糖脂肪酸エステ
ル混合物中の[SDE]含有量が、33重量%以上、9
5重量%以下であって、かつ次の基準: [SPE]/[SDE]≦2.0 [SME]/[SDE]≦0.1 を満たすことを特徴とする加熱調理用油脂に添加するた
めのショ糖脂肪酸エステル混合物にある。
【0008】本発明の好ましい態様は、以下の通りであ
る。 (1)[SPE]/[SDE]≦1.0 (2)[SME]/[SDE]≦0.05 (3)ショ糖脂肪酸エステル混合物の構成脂肪酸とし
て、飽和脂肪酸が10重量%以上、30重量%以下含ま
れている。 (4)上記飽和脂肪酸が、ステアリン酸、パルミチン酸
またはこれらの混合物である。 (5)上記ショ糖脂肪酸エステル混合物が、油脂組成物
に0.1〜2重量%含有されている。 (6)上記不飽和脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸またはこれらの混合物である。 (7)[SME]が、油脂組成物中に0.05重量%以
下含まれている。
【0009】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、
[SME](エステル置換度が1のショ糖脂肪酸エステ
ル=ショ糖脂肪酸モノエステル)、[SDE](エステ
ル置換度が2のショ糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸ジ
エステル)および[SPE](エステル置換度が3以上
のショ糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸ポリエステル)
からなる。[SDE]は、上記混合物中に33重量%以
上、95重量%以下含まれている。[SDE]の含有量
が、33重量%未満であると、油はね抑制効果や衣の花
咲性(散り具合)効果が十分でなく、また加熱時の劣化
臭や揚げ物の油っぽさも十分低減されず、嫌悪感のある
臭い、風味が生じ易くなり、[SDE]の有する性質を
十分享受できない。[SDE]は、上記混合物中に50
重量%以上含まれていることが好ましい。一方、[SD
E]の含有量が、95重量%を越えると、油溶性が悪化
する。このため、[SDE]の含有量は、95重量%以
下に抑える。低温での油溶性を更に高めたい場合には、
[SDE]の含有量は、90重量%以下であることが好
ましい。
【0010】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物中の
[SPE]と[SDE]との関係は、下記の式(1)で
示される。 [SPE]/[SDE]≦2.0・・・(1) すなわち、[SPE]は、ショ糖脂肪酸エステル混合物
の油溶性を高める働きをするが、これが多量に存在する
と、[SDE]の油はね抑制効果を阻害する。阻害効果
は、[SPE]の含量が、ショ糖脂肪酸エステル混合物
中の[SDE]の含量の2倍以上で顕著になる。このた
め、[SPE]の含量は、[SDE]の含量の2倍未満
に抑える。[SPE]の含量は、[SDE]の含量の1
倍以下に抑えることが好ましい。
【0011】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物中の
[SME]と[SDE]との関係は、下記の式(2)で
示される。 [SME]/[SDE]≦0.1・・・(2) すなわち、[SME]は、風味や油溶性を低下させる。
このため、[SME]の含有量は少ないことが好まし
い。しかし、一方で、[SME]は、高い油はね抑制効
果を示すために、[SDE]の含量が少ない場合には、
その油はね抑制効果の不十分さを補うことが可能であ
る。これらの[SME]の性質と[SDE]の含量とを
勘案すると、[SME]の含量は、[SDE]の含量の
0.1倍以下、0.005倍以上である。風味の改良を
更に望む場合には、[SME]の含量は、[SDE]の
含量の0.05倍以下であることが好ましい。具体的に
は、[SME]の含量は、本発明のショ糖脂肪酸エステ
ル混合物中に、0.1重量%以上、10重量%以下(更
に好ましくは、0.5重量%以上、5重量%以下であ
る)含有されていることが好ましい。
【0012】ショ糖脂肪酸エステル混合物の構成脂肪酸
については、不飽和脂肪酸のみで構成したショ糖脂肪酸
エステル混合物が、飽和脂肪酸のみで構成したショ糖脂
肪酸エステル混合物に比べ油はね抑制効果が弱く、また
加熱劣化し易くなり、一方、飽和脂肪酸が多くなると油
溶性が低下することから、本発明のショ糖脂肪酸エステ
ル混合物中には、飽和脂肪酸が、5重量%以上、50重
量%以下(好ましくは、10重量%以上、30重量%以
下)含まれるように配合する。一方、残りは、不飽和脂
肪酸であるが、液状油脂に添加する場合には、低温にお
ける油溶性を向上させるために不飽和脂肪酸の構成率
が、70重量%以上であることが好ましい。上記飽和脂
肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸またはこれらの混
合物であることが好ましく、また不飽和脂肪酸は、オレ
イン酸、リノール酸、リノレン酸またはこれらの混合物
であることが好ましい。
【0013】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、
上記のようなエステル組成からなり、これを図示する
と、添付の図1のようになる。図1に示されるように、
本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、[SDE]、
[SME]及び[SPE]を三辺とする正三角形の右側
上部斜面([SDE]−[SPE])に沿った領域(斜
線部分)に存在する。
【0014】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、
既知の合成法を利用して調製することができる。一般に
行われる方法は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステル化
反応により生成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸メチ
ルの相溶性溶媒(通常、DMF)を用い、炭酸カリウム
を触媒とし、減圧下加熱反応させる方法や、ショ糖と脂
肪酸メチルを水と多量の乳化剤(セッケン)とを用い
て、加熱し、ミクロエマルジョンとした後、これを減圧
脱水し、触媒として炭酸カリウムを加えて反応させる方
法が代表的である。また、炭酸カリウムを触媒として、
ショ糖と油脂を直接加熱反応させる方法も利用できる。
得られた反応生成物から過剰のショ糖や溶媒を除去後、
クロロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカゲル
カラムにかけて分画し、得られた各分画物を目的とする
配合に再配合することにより、本発明のショ糖脂肪酸エ
ステル混合物を調製することができる。なお、市販品の
ショ糖脂肪酸エステル混合物から上記の方法にて分画
し、得れらた各分画物を本発明の配合に従い再配合する
ことによっても得ることができる。
【0015】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、
その特徴ある利用分野としての加熱調理用として有利に
利用できる。利用する場合には、本発明のショ糖脂肪酸
エステル混合物を適量油脂に添加、混合し、油脂組成物
として利用することが好ましい。油脂は、従来から揚げ
物用として使用されている油脂(液状油脂でも固形油脂
でも良い)が利用できる。これらの例としては、前述し
た油脂(コーン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サ
フラワー油、ひまわり油、ハイオレイックサフラワー
油、ハイオレイックひまわり油、ごま油、オリーブ油等
の液状油脂及びラード、ショートニングなどの固形油
脂)を挙げることができる。また、より低温での白濁ま
たは油不溶分の析出防止のためには、ジグリセリドが、
油脂組成物中に5重量%以上(更に好ましくは、10重
量%以上)含まれていることが好ましい。本発明のショ
糖脂肪酸エステル混合物は、油脂組成物中に0.01〜
5重量%(好ましくは、0.1〜2重量%)含有されて
いる場合に特に、揚げ物用の油として有利に利用でき
る。なお、このように調製した油脂組成物中の[SM
E]の含量は、油臭、風味における点から、0.05重
量%以下であることが好ましく、0.0005重量%以
上、0.005重量%以下であることが更に好ましい。
【0016】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。
【0017】[実施例1] (ショ糖脂肪酸エステル混合物A〜D(本発明品)、並
びにAc 〜Dc 、び及びGc (比較例)の調製) 上記ショ糖エステル混合物は、構成脂肪酸の比の異なる
脂肪酸メチルエステルを使用した以外は、下記に示すシ
ョ糖脂肪酸エステル混合物(E、F、Ec 、及びFc
の調製法と同様な方法を実施して得られたものを、必要
に応じて市販品のショ糖脂肪酸エステル混合物を用いて
再調合することにより得た。
【0018】(ショ糖脂肪酸エステル混合物E及びF
(本発明品)、並びにEC 及びFC (比較品)の調製) 構成脂肪酸の比が、オレイン酸:ステアリン酸=90:
10である脂肪酸メチルエステル75gを三ツ口フラス
コ(容積1リットル)に取り、加熱攪拌しつつ100℃
にて、これにショ糖90gを加えた。この後、25〜5
0mmHgの減圧下、105〜120℃に加熱攪拌しな
がら30分間脱水し、炭酸カリウム2.6g、及び30
重量%カリウムメチラート/メタノール溶液を7g加え
た。その後、更に5〜10mmHgの減圧下、140〜
160℃で8時間反応させて、ショ糖脂肪酸エステル混
合物を得た。得られたショ糖脂肪酸エステル混合物をク
ロロホルム−メタノールを展開溶剤としたシリカゲルカ
ラムにて分画し、得られた各分画物を再調合することに
より、本発明品E及びF、並びに比較品EC 及びFC
得た。
【0019】以上のようにして得た各ショ糖脂肪酸エス
テル(SE)混合物中のエステル組成等を下記の表1に
示す。なお、表1の「脂肪酸組成」の欄の「ス」、
「パ」、「オ」及び「リ」は、それぞれステアリン酸
(飽和)、パルミチン酸(飽和)、オレイン酸(不飽
和)、及びリノール酸(不飽和)を表す。
【0020】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── SE SE混合物中の [SPE][SME] 混合 エステル組成(構成%) 脂 肪 酸 組成 ─── ─── 物 [SME][SDE][SPE] (構成%) [SDE][SDE] ──────────────────────────────────── 本発明品 A 0.7 55.9 43.4 オ50,ス+パ50 0.78 0.01 B 1.0 81.6 17.4 オ50,ス+パ50 0.21 0.01 C 2.4 70.2 27.4 オ70,ス+パ30 0.39 0.03 D 3.1 45.4 51.5 オ70,ス+パ30 1.13 0.07 E 4.0 66.7 29.3 オ90,ス+パ10 0.44 0.06 F 6.0 90.2 3.5 オ90,ス+パ10 0.04 0.07 ──────────────────────────────────── 比較品 AC 0.5 2.9 96.6 ス50、 ス+パ50 33.31 0.17 BC 40.0 35.0 25.0 オ50、 ス+パ50 0.71 1.14 CC 5.3 11.2 83.5 オ70、 ス+パ30 7.46 0.47 DC 73.1 22.6 4.3 オ70,ス+パ30 0.19 3.23 EC 11.0 30.1 58.9 オ90,ス+パ10 1.96 0.37 FC 22.3 29.2 48.5 オ90,ス+パ10 1.66 0.76 GC 2.6 72.5 24.9 オ70,リ30 0.34 0.04 ────────────────────────────────────
【0021】[ショ糖脂肪酸エステル混合物としての評
価] (油脂組成物A−1及びA−2の調製)コーンサラダ油
(味の素(株)製)500gに、上記で得たショ糖脂肪
酸エステル混合物Aを0.2重量%、または1.0重量
%添加することにより、それぞれに対応する、本発明に
従うショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物
A−1及びA−2を調製した。 (油脂組成物B−1及びB−2の調製)上記油脂組成物
A−1及びA−2の調製において、ショ糖脂肪酸エステ
ル混合物Aの代わりに、ショ糖脂肪酸エステル混合物B
を使用した以外は、上記油脂組成物A−1及びA−2の
調製と同様にしてそれぞれに対応する、本発明に従うシ
ョ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物B−1
及びB−2を調製した。 (油脂組成物D−1の調製)上記油脂組成物A−1の調
製において、ショ糖脂肪酸エステル混合物Aの代わり
に、ショ糖脂肪酸エステル混合物Dを使用した以外は、
上記油脂組成物A−1の調製と同様にして、本発明に従
うショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物D
−1を調製した。
【0022】(油脂組成物AC −1及びAC −2、並び
にBC −1及びBC −2の調製)上記油脂組成物A−1
及びA−2の調製において、ショ糖脂肪酸エステル混合
物Aの代わりに、ショ糖脂肪酸エステル混合物AC また
はBC [比較品]を使用した以外は、上記油脂組成物A
−1及びA−2の調製と同様にしてそれぞれに対応す
る、比較用のショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油
脂組成物AC −1及びAC −2、並びにBC −1及びB
C −2を調製した。 (油脂組成物GC −1の調製)上記油脂組成物A−1の
調製において、ショ糖脂肪酸エステル混合物Aの代わり
に、ショ糖脂肪酸エステル混合物GC を使用した以外
は、上記油脂組成物A−1の調製と同様にして、比較用
のショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物の
C −1を調製した。
【0023】上記で得た各油脂組成物について、ショ糖
脂肪酸エステル混合物の油脂への溶解性を下記の方法で
調べ、評価した。 (1)油脂への溶解性(油溶性) ショ糖脂肪酸エステル混合物の油溶性は、油脂組成物を
60℃で1時間加熱攪拌した後、油脂組成物中に不溶分
があるかどうかを調べることにより行った。
【0024】また、各油脂組成物を使用して揚げ物(天
ぷら)をした場合の油はね、加熱臭(劣化臭)、衣の花
咲性、揚げ物の風味(油っぽさ、加熱による嫌悪感のあ
る臭気、あるいはこれらが混在した風味)を下記のよう
な試験を行うことにより調べ、評価した。 (試験方法)油脂組成物500gを鉄製の揚げ物用鍋
(直径15cm、高さ8cm)に入れ、200℃まで加
熱した。円柱型(直径3cm、高さ1cm、重さ9g)
の豚肉5個に、予め調製した天ぷら用生地20g(0℃
で冷却しながら調製した卵1個、水120g、薄力粉1
00gからなる)を付着させて油脂組成物中に投じ、4
分後に取り出し、天ぷらを揚げた。
【0025】(2)油はねの評価 天ぷらを揚げている間、一枚の紙を油脂組成物表面から
8cmの高さのところに地面に対して水平に置き、揚げ
物終了後にこの紙に付着している油はねの程度を、予め
用意した基準用紙(油はねのあった部分を着色した後、
複写した五枚の紙(No.1〜5))と比較した。基準
用紙No.1は、コーンサラダ油(味の素(株)製)の
みを用いて上記と同様な条件下で試験して得た油はねの
パターンに相当する(評点1:極めて激しい油はねを示
す)。基準用紙No.5は、揚げる温度を140℃に変
え、上記基準用紙No.1と同様にして作成した場合の
油はねのパターンに相当する(評点5:油はねは殆ど見
られない。しかしこの温度では、揚げが不可能であ
る)。基準用紙No.2〜4は、種々の活性剤を様々な
濃度でコーンサラダ油に添加し、上記基準用紙No.1
と同様にして作成した場合の油はねのパターンに相当す
る用紙の中から、相当すると思われる用紙を選んで、基
準用紙No.2〜4とした。従って、基準用紙No.3
(評点3)は、基準用紙No.1と基準用紙No.5と
の中間に相当する油はねのパターンと思われるものを選
び、基準用紙No.2(評点2)及び基準用紙No.4
(評点4)は、それぞれ基準用紙No.1と基準用紙N
o.3、基準用紙No.3と基準用紙No.5のそれぞ
れの中間に相当する油はねのパターンと思われるものを
選んだ。 (3)衣の花咲性の評価 衣の花咲性評価は、揚げた天ぷらの衣の状態を基準写真
(衣の散り状態を着色後、撮影した五枚の写真(No.
1〜5))と比較した。基準写真No.1は、コーンサ
ラダ油(味の素(株)製)のみを用いて揚げた場合の衣
の状態に相当し(評点1:花咲性がない)、基準写真N
o.5は、種々の活性剤を様々な濃度でコーンサラダ油
に添加し、上記基準写真No.1と同様にして作成した
場合の衣の状態に相当する(評点5:花咲性は最も良い
が、油溶性、加熱臭、風味は考慮していない)。基準写
真No.2〜4(評点2、3及び4)は、上記油はねを
評価する場合の基準用紙No.2〜4を選定する方法と
同様な方法で、選定し、作成した。 (4)加熱時の劣化臭の評価 味覚、嗅覚の鋭敏な専門評価パネラー5人により、20
0℃で揚げている間の油臭を評価した。コーンサラダ油
を使用して発生した劣化臭または異臭を1、劣化臭また
は異臭が全くない場合を5として5段階評価し、その平
均値を評点とした。 (5)揚げ物の風味の評価 揚げ物の風味の評価は、上記の油脂組成物を使用して揚
げた天ぷらと、コーンサラダ油のみで揚げた天ぷらとを
ブラインドペアテストで行い、コーンサラダ油で揚げた
天ぷらより油っぽくなく、加熱による嫌悪感のある臭
気、あるいはこれらが混在した風味の発生がなく、おい
しいと答えたパネラーの評点を5、コーンサラダ油で揚
げた方がおいしいと答えたパネラーの評価を1、どちら
とも言えないとした場合を3とする5段階評価を行い、
5人のパネラーの評点の平均値をその天ぷらの風味の評
点とした。以上の結果を表2に示す。なお、表2には、
コーンサラダ油のみを使用した場合のデータも比較品と
して併記した。
【0026】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 油脂 SE混合物 油不 揚げ物 組成物 の添加量 溶分 油はね 花咲性 加熱臭 の風味 ──────────────────────────────────── 本発明品 A−1 0.2重量% なし 2.5 3.0 3.6 3.4 A−2 1.0重量% なし 3.0 4.5 3.2 3.2 B−1 0.2重量% なし 3.5 4.5 3.4 3.6 B−2 1.0重量% なし 3.0 4.0 3.8 4.0 D−1 0.2重量% なし 3.0 4.0 3.4 3.6 ──────────────────────────────────── 比較品 AC −1 0.2重量% なし 1.0 1.5 3.0 3.2 AC −2 1.0重量% なし 1.0 2.0 2.6 2.6 BC −1 0.2重量% あり 4.5 4.5 1.4 1.2 BC −2 1.0重量% あり 4.5 4.5 1.2 1.2 GC −1 0.2重量% なし 2.5 3.5 1.2 1.2 サラダ油 −−− − 1.0 1.0 1.0 ────────────────────────────────────
【0027】(油脂組成物C−1及びC−2、並びにD
−2及びD−3の調製)前記実施例1の油脂組成物A−
1及びA−2の調製において、ショ糖脂肪酸エステル混
合物Aを0.2重量%、または1.0重量%添加する代
わりに、実施例1において調製したショ糖脂肪酸エステ
ル混合物CまたはDを0.1重量%、または0.5重量
%添加した以外は、上記油脂組成物A−1及びA−2の
調製と同様にしてそれぞれに対応する、本発明に従うシ
ョ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物C−1
及びC−2、並びにD−2及びD−3を調製した。
【0028】(油脂組成物CC −1及びCC −2、並び
にDC −1及びDC −2の調製)上記油脂組成物C−1
及びC−2、並びにD−2及びD−3の調製において、
ショ糖脂肪酸エステル混合物CまたはDの代わりに、実
施例1において調製したショ糖脂肪酸エステル混合物C
C またはDC [比較品]を使用した以外は、上記油脂組
成物C−1及びC−2、並びにD−2及びD−3の調製
と同様にしてそれぞれに対応する、比較用のショ糖脂肪
酸エステル混合物を含有する油脂組成物CC −1及びC
C −2、並びにDC −1及びDC −2を調製した。
【0029】上記で得た各油脂組成物について、上記実
施例1で行った方法と同様な方法を実施し、評価した。
結果を以下の表3に示す。なお、表3には、コーンサラ
ダ油のみを使用した場合のデータも比較品として併記し
た。
【0030】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── 油脂 SE混合物 油不 揚げ物 組成物 の添加量 溶分 油はね 花咲性 加熱臭 の風味 ──────────────────────────────────── 本発明品 C−1 0.1重量% なし 2.5 4.0 3.2 3.6 C−2 0.5重量% なし 4.0 4.5 3.4 3.4 D−2 0.1重量% なし 2.5 3.5 3.8 3.6 D−3 0.5重量% なし 4.0 4.5 3.4 4.0 ──────────────────────────────────── 比較品 CC −1 0.1重量% なし 2.0 2.0 2.8 2.8 CC −2 0.5重量% なし 2.5 2.0 2.2 2.4 DC −1 0.1重量% あり 4.0 4.5 1.2 1.2 DC −2 0.5重量% あり 4.5 4.5 1.0 1.0 サラダ油 −−− − 1.0 1.0 1.0 ────────────────────────────────────
【0031】(油脂組成物E−1及びF−2の調製)前
記実施例1の油脂組成物A−1の調製において、ショ糖
脂肪酸エステル混合物Aを0.1重量%使用した代わり
に、ショ糖脂肪酸エステル混合物EまたはFを0.05
重量%使用した以外は、上記油脂組成物A−1の調製と
同様にしてそれぞれに対応する、本発明に従うショ糖脂
肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物E−1及びF
−1を調製した。
【0032】(油脂組成物EC −1及びFC −1の調
製)上記油脂組成物E−1及びF−1の調製において、
ショ糖脂肪酸エステル混合物EまたはFの代わりに、実
施例1で調製したショ糖脂肪酸エステル混合物ECまた
はFC [比較品]を使用した以外は、上記油脂組成物E
−1及びF−1の調製と同様にして、それぞれに対応す
る、比較用のショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油
脂組成物EC −1及びFC −1を調製した。
【0033】上記で得た各油脂組成物について、上記実
施例1で行った方法と同様な方法を実施し、評価した。
結果を以下の表4に示す。なお、表4には、コーンサラ
ダ油のみを使用した場合のデータも比較品として併記し
た。
【0034】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── 油脂 SE混合物 油不 揚げ物 組成物 の添加量 溶分 油はね 花咲性 加熱臭 の風味 ──────────────────────────────────── 本発明品 E−1 0.05重量% なし 2.5 3.5 3.2 3.4 F−1 0.05重量% なし 3.0 4.0 3.2 3.2 ──────────────────────────────────── 比較品 EC −1 0.05重量% なし 2.0 2.0 2.6 2.4 FC −1 0.05重量% あり 3.5 4.0 1.4 1.4 サラダ油 −−− − 1.0 1.0 1.0 ────────────────────────────────────
【0035】
【発明の効果】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物を
使用することにより、油脂への溶解性や、加熱時の油臭
(劣化臭)、揚げ物時の油はね抑制、揚げ物時の衣の花
咲性(散り状態)などの揚げ物用の油としての好ましい
特性が付与され、更に揚げ物の油っぽさが低減され、嫌
悪感のある油臭の発生が抑えられるなど、風味の良好な
揚げ物ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物中の[S
PE]、[SDE]及び[SME]の成分比(エステル
組成比)を表す図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成脂肪酸の飽和脂肪酸含量が5重量%
    以上、50重量%以下で、ショ糖脂肪酸エステル混合物
    中の[SDE]含有量が、33重量%以上、95重量%
    以下であって、かつ次の基準: [SPE]/[SDE]≦2.0 [SME]/[SDE]≦0.1 (ここで、[SDE]は、エステル置換度が2のショ糖
    脂肪酸エステルを表し、[SPE]は、エステル置換度
    が3以上のショ糖脂肪酸エステルの合計量を表し、[S
    ME]は、エステル置換度が1のショ糖脂肪酸エステル
    を表す。)を満たすことを特徴とする加熱調理用油脂に
    添加するためのショ糖脂肪酸エステル混合物。
JP4301808A 1991-12-27 1992-10-13 ショ糖脂肪酸エステル混合物 Expired - Fee Related JP2779465B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4301808A JP2779465B2 (ja) 1991-12-27 1992-10-13 ショ糖脂肪酸エステル混合物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35864991 1991-12-27
JP3-358649 1991-12-27
JP4301808A JP2779465B2 (ja) 1991-12-27 1992-10-13 ショ糖脂肪酸エステル混合物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05316951A JPH05316951A (ja) 1993-12-03
JP2779465B2 true JP2779465B2 (ja) 1998-07-23

Family

ID=18460408

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28962492A Expired - Lifetime JP3260854B2 (ja) 1991-12-27 1992-10-02 加熱調理用油脂組成物
JP4301808A Expired - Fee Related JP2779465B2 (ja) 1991-12-27 1992-10-13 ショ糖脂肪酸エステル混合物

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28962492A Expired - Lifetime JP3260854B2 (ja) 1991-12-27 1992-10-02 加熱調理用油脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP3260854B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5416380B2 (ja) 2008-09-12 2014-02-12 花王株式会社 油脂組成物
JP2010106044A (ja) * 2010-02-04 2010-05-13 Mitsubishi Chemicals Corp 乳化組成物
JP5631029B2 (ja) * 2010-03-15 2014-11-26 花王株式会社 油脂組成物
JP6578095B2 (ja) * 2013-12-24 2019-09-18 日清オイリオグループ株式会社 天ぷら用揚げ油及び該天ぷら用揚げ油の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05316950A (ja) 1993-12-03
JPH05316951A (ja) 1993-12-03
JP3260854B2 (ja) 2002-02-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3244354B2 (ja) 揚げ物調製用油脂組成物
US8241694B2 (en) Fat and oil compositions for improving texture
JP3465926B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物
JPH0974999A (ja) 揚げ物調理用油脂組成物
CN102149286B (zh) 油脂组合物
JP3629320B2 (ja) 液状油脂の品質改良剤及びこれを含有する油脂組成物
JP2779465B2 (ja) ショ糖脂肪酸エステル混合物
JP2001008618A (ja) 揚げ物用油脂組成物
JPH10127230A (ja) 揚げ菓子類
JP3781440B2 (ja) ショ糖脂肪酸エステル混合物およびこれを含有する油脂組成物
JPH06153794A (ja) 加熱調理用油脂組成物
JP2001240894A (ja) 油脂組成物
JP3605608B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物
JP3234078B2 (ja) ショ糖脂肪酸エステル混合物及びこれを含有する加熱調理用油脂組成物
JP2001128617A (ja) バッター液用油脂組成物及びこれを用いたバッター液
JP3197124B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物
US4120990A (en) Polyoxyalkylene propylene glycol esters for improved cooking and salad oil
JP4271023B2 (ja) フライ用油脂組成物及びフライ食品
JPS62181738A (ja) 鉄板焼き用油
JP3465927B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物
JP5631029B2 (ja) 油脂組成物
JP3655567B2 (ja) 揚げ物調製用油脂組成物
JPS6050422B2 (ja) 鉄板焼き用油の製造方法
EP3154361B1 (en) Liquid edible frying medium
KR20060079895A (ko) 식용 조리유

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980331

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090515

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090515

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100515

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110515

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110515

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120515

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees