JP3605608B2 - 加熱調理用油脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フライ、てんぷらなどの揚げ物の調製に適した揚げ物用油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から天ぷらやフライを揚げるために用いる揚げ物用の油脂としては、比較的淡泊で、油脂自体に好ましい風味を有するなどの点から、例えば、コーン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひまわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂が多く用いられている。液状油脂とは、基準油脂分析法2.3.8.2−27による冷却試験を実施した場合、20℃で液状である油脂を示す。
【0003】
しかしながら、上記のような油脂では、揚げ物作業中での油はねが生じ易すかったり、また天ぷらを揚げた場合には、衣の花咲性(散り状態)が十分でないなどの問題がある。更に加熱による油の劣化臭(嫌悪感のある臭気)が発生し易く、これが上記の花咲性の不十分さによると思われる油っぽさと相俟って、揚げ物の風味が損なわれ易かった。
【0004】
ところで、ショ糖脂肪酸エステル(以下、ショ糖エステル)は、従来からケーキ等の菓子類の生地の調製用の乳化剤(起泡剤)として(例えば、特開昭62−162133号公報)、あるいはショートニングなどに用いられる油脂の結晶成長抑制剤(例えば、特開昭62−205738号公報)として良く知られている。また、特開昭47−34703号公報には、耐寒性を改良するために、液状の植物油に蔗糖のジ(または)トリ不飽和脂肪酸エステルを添加溶解することからなる液状食用油の製造法が開示されている。しかしながら、上記のようなショ糖エステルを用いての加熱調理用、特に、揚げ物用の油脂への試みは為されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記のようなショ糖エステルを利用した油脂組成物の天ぷら、フライ等の揚げ物用の油としての利用を検討した。しかしながら、従来のショ糖エステルは、油脂への溶解性や、加熱時の劣化臭、揚げ物を作る時の油はね抑制、揚げ物を作る時の衣の花咲性などの揚げ物用の油としての特性の点においてこれら全てが満足できるものがなく、更に揚げ物が油っぽかったり、嫌悪感のある油臭を発生させるなど風味の点においても十分満足できるとは言えなかった。
本発明の目的は、揚げ物用の油(油脂組成物)として以下のような機能の殆ど全てを備えた油脂組成物を提供することである。
(1)揚げ物を作る時の衣の花咲性(散り状態)や食感を向上させる。
(2)加熱時の劣化臭(嫌悪感のある臭い)の発生を抑制する。
(3)揚げ物の風味を低下させない(油っぽさを低減し、また嫌悪感のある油臭を発生させない)。
(4)揚げ物の作業時の油はねを抑制する。
(5)室温(20℃)において白濁したり、油不溶分を生じない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような好ましい特性を有する加熱調理用、特に揚げ物用の油を求めて鋭意研究を行った。その結果、油脂に、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステル、そしてさらにジグリセライドを特定量加えることによって従来にない加熱調理用油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、液状油脂を主成分とし、0.01〜5重量%のショ糖脂肪酸エステル(以下、単にショ糖エステルと称す)0.01〜5重量%のポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、単にポリグリセリンエステルと称す)、そして更に5〜50重量%のジグリセライドが含まれてなる揚げ物用油脂組成物にある。
【0008】
本発明の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)上記ショ糖エステルのエステル化度が、25〜75%である。
(2)上記ショ糖エステルの構成脂肪酸の50重量%を越す量(好ましくは、70重量%以上)が不飽和脂肪酸である。
(3)上記ポリグリセリンエステルのエステル化度が、20〜75%である。
(4)上記ポリグリセリンエステルのHLBが、3.5〜8.0の範囲にある。
(5)上記ショ糖エステルとポリグリセリンエステルとの油脂組成物中での総含有量が、0.01〜5重量%である。
(6)ショ糖エステルとポリグリセリンエステルとの含有量の比(重量比)が、95:5〜40:60(更に好ましくは、95:5〜60:40)である。
【0009】
以下に、本発明の加熱調理用油脂組成物について説明する。
本発明の加熱調理用油脂組成物は、油脂を主成分とし、これにショ糖エステルとポリグリセリンエステル、そしてジグリセライドが含有されてなる。本発明で使用されるショ糖エステルは、油脂への溶解性が良好で、ポリグリセリンエステルと共に添加して、前述した性能、例えば、加熱時の劣化臭、揚げ物を作る時の油はね抑制、揚げ物を作る時の衣の花咲性などの良好な性能が付与されるようなものであることが好ましい。このことから、ショ糖エステルの構成脂肪酸は、不飽和脂肪酸が50重量%より多いことが好ましい。不飽和脂肪酸のみで構成したショ糖エステルは、油はね抑制効果が弱く、また加熱劣化し易くなる。このため、ショ糖エステル中には、飽和脂肪酸が、5重量%以上、50重量%以下(好ましくは、10重量%以上、30重量%以下)含まれるように配合することが好ましい。また、低温における油溶性を向上させるために不飽和脂肪酸の構成率が、70重量%以上(更に好ましくは、90重量%以上)とすることが好ましい。
【0010】
上記飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸は、その構成脂肪酸が加熱時の劣化臭や嫌な臭いの発生の少ない炭素数14以上のものであることが好ましく、特に、飽和脂肪酸は、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリン酸またはこれらの混合物を主成分とするものであることが好ましく、また不飽和脂肪酸は、炭素数18のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはこれらの混合物を主成分とするものであることが好ましい。
【0011】
一般にショ糖エステルは、エステル化度(エステル置換度)が1(ショ糖モノエステル[SME])、2(ショ糖ジエステル[SDE])、3(ショ糖トリエステル[STE])及び4〜8(ショ糖ポリエステル[SPE])のショ糖エステルの混合物で構成されている。本発明において、ショ糖エステルの使用量が比較的少なくて済み、揚げ物作業中での加熱臭、風味、花咲性を更に向上させるためには、ショ糖エステル中のショ糖ジエステル[SDE]及びショ糖トリエステル[STE]の含有量は多いことが好ましい。
【0012】
本発明においては、ショ糖エステル中のショ糖ジエステル[SDE]の含有量は、20重量%以上、95重量%以下の範囲(更に好ましくは、33〜90重量%の範囲)とすることが好ましい。
また、ショ糖エステル中のショ糖トリエステル[STE]の含有量は、45重量%以下(更に好ましくは、15〜45重量%の範囲)とすることが好ましい。[SDE]及び[STE]は、油脂組成物中にその総含有量が、0.02重量%以上(更に好ましくは、0.05〜1.5重量%)であることが好ましい。
ショ糖エステル中のショ糖ポリエステル[SPE]、特に5以上のエステル化度のものは、油脂組成物中に1重量%以上含有されると、油っぽさを感じるようになり、従って、油脂組成物中での[SPE]の含有量は、3重量%以下であることが好ましい。
また、([STE]+[SPE])/[SDE]≦4.0の関係を有していることが好ましい。
【0013】
ショ糖エステルのエステル化度は、この値が低いと油溶性及び風味が低下する傾向にあり、一方その値が高いと花咲性の効果や油はね抑制効果が十分得にくくなる。このため、本発明においては、エステル化度は、25〜75%範囲(好ましくは、25〜45%の範囲)とすることが好ましい。ここで、エステル化度は、糖・ポリオールが有する水酸基に対して脂肪酸がエステル結合している割合(%)を意味する。ショ糖エステルのエステル化度の上記適応性については、ショ糖エステル中のショ糖モノエステル[SME]の含有割合が大きく影響し、[SME]の含有量が多くなると、風味や油溶性を低下させる。このため、[SME]は10重量%以下(好ましくは、0.01重量%〜5重量%の範囲)にすることが好ましい。また、油脂組成物中の[SME]の含有量は、0.1重量%以下とすることが好ましい。
【0014】
本発明で使用するショ糖エステルは、既知の合成法を利用して調製することができる。一般に行われる方法は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステル化反応により生成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸メチルの相溶性溶媒(通常、ジメチルホルムアミド)を用い、炭酸カリウムを触媒とし、減圧下加熱反応させる方法や、ショ糖と脂肪酸メチルを水と多量の乳化剤とを用いて、加熱し、ミクロエマルジョンとした後、これを減圧脱水し、触媒として炭酸カリウムを加えて反応させる方法が代表的である。また、炭酸カリウムを触媒として、ショ糖と油脂を直接加熱反応させる方法も利用できる。得られた反応生成物から過剰のショ糖や溶媒を除去後、クロロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカゲルカラムにかけて分画し、得られた各分画物を目的とする配合に再配合することにより、本発明の油脂組成物に含まれるショ糖エステルを調製することができる。なお、市販品のショ糖エステルから上記の方法にて分画し、得れらた各分画物を本発明に適合するように再配合することによっても得ることができる。更に、市販品のショ糖エステルをヘキサンに溶解後、エタノールと水を添加し、エタノールと水の量比を調節することにより、ヘキサン相にショ糖エステルのジエステル以上の成分を濃縮することによって得られたものも利用することができる。
【0015】
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、エステル化度が20〜75%(更に好ましくは、30〜55%)程度のものが好ましい。エステル化度は、グリセリンの有する水酸基に対して脂肪酸がエステル結合している割合(%)を意味する。グリセリンの縮合度は、2〜10の範囲であることが好ましい。又エステルとしては、以下の範囲のものが好ましい。
【0016】
【表1】
────────────────────
ポリグリセリン 結合している脂肪酸の数
────────────────────
ジグリセリン 1〜2
トリグリセリン 2〜4
テトラグリセリン 2〜4
ペンタグリセリン 2〜5
ヘキサグリセリン 2〜6
ヘプタグリセリン 3〜6
オクタグリセリン 3〜6
ノナグリセリン 3〜7
デカグリセリン 3〜8
───────────────────
【0017】
本発明においては、ポリグリセリンエステルは、そのHLBが3.5〜8.0の範囲(より好ましくは、4.5〜7.0の範囲)のものが好ましい。
【0018】
ポリグリセリンエステルの構成脂肪酸は、上記ショ糖エステルと同様に不飽和脂肪酸が多いことが好ましい。具体的には、不飽和脂肪酸が50〜90重量%の範囲(更に好ましくは、70〜90重量%の範囲)で含まれていることが好ましい。一方、飽和脂肪酸は、50重量%以下(好ましくは、3〜20重量%)であることが好ましい。不飽和脂肪酸または飽和脂肪酸は、上記ショ糖エステルと同様にその構成脂肪酸が炭素数14以上のものであることが好ましく、特に、飽和脂肪酸は、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリン酸またはこれらの混合物を主成分とするものであることが好ましく、また不飽和脂肪酸は、炭素数18のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはこれらの混合物を主成分とするものであることが好ましい。
【0019】
本発明に使用するポリグリセリンエステルの特に好ましい具体例としては、ジグリセリンモノエステル、トリグリセリンジエステル、テトラグリセリントリエステル、ヘキサグリセリントリエステル、ヘキサグリセリンテトラエステル、ヘキサグリセリンペンタエステル、デカグリセリンペンタエステル、およびデカグリセリンヘプタエステルを挙げることができる。上記の中でも、オレイン酸とのエステルが特に好ましい。
【0020】
本発明に使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば、グリセリンの脱水縮合によって得たポリグリセリンと脂肪酸とのエステル交換反応などの公知の方法を利用して製造することができる。ただし、市販されているものを利用しても良い。
【0021】
本発明の加熱調理用油脂組成物は、以上のように調製したショ糖エステルとポリグリセリンエステル、そしてジグリセライドを油脂に添加、混合することにより調製することができる。
油脂の例としては、前述したコーン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひまわり油、ごま油、オリーブ油などの液状油脂が好ましいが、パーム油、ラードなどの固形、あるいは半固形油脂も使用することができる。
【0022】
本発明の油脂組成物中でのショ糖エステルは、その含有量が油脂組成物中に、0.01〜5重量%(好ましくは、0.01〜2重量%)となるように配合される。
本発明の油脂組成物中でのポリグリセリンエステルは、その含有量が油脂組成物中に0.01〜5重量%(好ましくは、0.01〜2重量%)となるように配合される。
また、本発明の油脂組成物中でのショ糖エステルとポリグリセリンエステルとの総含有量は、0.01〜5.0重量%(更に好ましくは、0.1〜2重量%)であることが好ましい。そして、この場合のショ糖エステルとポリグリセリンエステルと含有量の比(重量比)は、95:5〜40:60(更に好ましくは、95:5〜60:40、特に、95:5〜70:30)である。
【0023】
本発明においては、ジグリセライドは、ジグリセライドを50重量%以上、好ましくは65重量%以上含むグリセライド混合物が使用される。グリセライド混合物中のジグリセライド以外の成分はモノグリセライド及びトリグリセライドであるが、モノグリセライドはジグリセライドの20重量%以下であることが好ましい。
【0024】
また、モノ、ジおよびトリグリセライドを構成する脂肪酸残基は、炭素数は8〜24であることが好ましく、全構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸残基の含量は70重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。ジグリセライドはジ不飽和グリセライドであることが好ましい。
【0025】
本発明に使用されるグリセライド混合物は、不飽和脂肪酸残基のレベルの高い油脂、例えば、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、菜種油、大豆油、パーム油、ひまわり油、ごま油、更にラード、牛脂、魚油、乳脂、あるいはそれらの分別油、ランダム化油、硬化油、エステル交換油から選ばれた一種または二種以上の油脂と、グリセリンとの混合物を、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の存在下でエステル交換反応させるか、またはこれらの油脂由来の不飽和脂肪酸レベルの高い脂肪酸とグリセリンとをエステル化反応して得られるジグリセライド含量の高い油脂を、単独でもしくは上述した原料油脂とを混合することにより得ることができる。反応で生成した過剰のモノグリセリドは分子蒸留法またはクロマトグラフィー法により除去することができる。これらの反応はアルカリ触媒等を用いた化学反応でも行なうことが可能であるが、1,3位選択的リパーゼ等を用いて酵素的に穏和な条件で反応を行なうのが風味等の点で優れており好ましい。グリセリド混合物中のジグリセライド含量を高くする別の方法として、例えば、天然食用油脂の分別油の利用が挙げられる。
【0026】
本発明の油脂組成物中のジグリセライドは、油脂組成物中に5〜50重量%(更に好ましくは、5〜20重量%、特に、7〜15重量%)の量で含まれるように配合されていることが好ましい。なお、油脂には、天然の成分としてジグリセライドがわずかに含むものもあるが、本発明においては、これらを含めて上記の範囲の含有量であることが好ましい。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明を更に具体的に説明する。
【0028】
(ショ糖脂肪酸エステルA〜Dの調製)
上記の各ショ糖エステルは、市販ショ糖エステルあるいは、市販ショ糖エステルをクロロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカゲルカラムにて分画し、得られた各分画物と、脂肪酸メチル及びショ糖より合成することによって得たショ糖エステルを必要に応じて再調合することにより調製した。
【0029】
以上のようにして得た各ショ糖脂肪酸エステル(SE)中のエステル組成等を下記の第1表に示す。
なお、第1表の「脂肪酸組成」の欄の「ス」、「パ」、「オ」及び「リ」は、それぞれステアリン酸(飽和)、パルミチン酸(飽和)、オレイン酸(不飽和)、及びリノール酸(不飽和)を表す。
【0030】
【表2】
Figure 0003605608
【0031】
(ポリグリセリン脂肪酸エステルQ〜Uの調製)
ヘキサグリセリン1重量部に対してオレイン酸(純度76%)3.3重量部を混合し、水酸化ナトリウムを触媒として窒素ガス気流下200℃で反応させ、反応後、静置分離して、ヘキサグリセリンペンタオレエートを得た。更に必要に応じて活性炭・白土処理を行った。また、同様にして脂肪酸比と反応時間とをコントロールすることにより、各種ポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
【0032】
以上のようにして得た各ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)を下記の第2表に示す。
【0033】
【表3】
Figure 0003605608
【0034】
[実施例1]
(油脂組成物Iの調製)(本発明参考例)
コーンサラダ油(味の素(株)製)800gに、上記のショ糖エステルAを油脂組成物中での含有量が0.2重量%、及び上記のポリグリセリン脂肪酸エステルQ(ヘキサグリセリンペンタオレエート)を油脂組成物中での含有量が0.05重量%となるように添加することにより、本発明に従う油脂組成物Iを調製した。
【0035】
(油脂組成物II〜XIの調製)(本発明参考例)
上記油脂組成物Iの調製において、上記ショ糖エステル及ポリグリセリン脂肪酸エステルの種類及び添加量を下記の第3表に示すように変えた以外は、油脂組成物Iの調製と同様にして、それぞれに対応する本発明に従う油脂組成物II〜XIを調製した。
【0036】
(油脂組成物a〜cの調製)(比較例)
上記油脂組成物Iの調製において、上記ショ糖エステルのみを用い、その種類及び添加量を下記の第3表に示すように変えた以外は、油脂組成物Iの調製と同様にして、それぞれに対応する比較用の油脂組成物a〜cを調製した。
【0037】
(油脂組成物p、q及びq−1の調製)(比較例)
上記油脂組成物Iの調製において、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのみを用い、その種類及び/又は添加量を下記の第3表に示すように変えた以外は、油脂組成物Iの調製と同様にして、それぞれに対応する比較用の油脂組成物p、q及びq−1を調製した。
【0038】
[油脂組成物としての評価]
上記で得た各油脂組成物を使用して揚げ物(天ぷら)を行った場合の衣の花咲性、揚げ物の風味、加熱による嫌悪感のある臭気(劣化臭)、食感を下記のような試験を行うことにより調べ、評価した。
(試験方法)
油脂組成物500gを鉄製の揚げ物用の鍋(直径15cm、高さ8cm)に入れ、200℃まで加熱した。円柱型(直径3cm、高さ0.5cm、重さ3g)のサツマイモ5個に、予め調製した天ぷら用生地20g(0℃で冷却しながら調製した卵1個、水150g、薄力粉100gからなる)を付着させて油脂組成物中に投じ、4分後に取り出し、天ぷらを揚げた。
【0039】
(1)衣の花咲性の評価
衣の花咲性は、サツマイモの円形面から見た写真を撮り画像解析を行い円周に対する面積比から評価した。すなわち、次式で示すように、円形状になった場合には、1に近づき、花咲が進むほど数値が大きくなる。評価は、以下のように設定した。
変形度=(円周長)/4π×面積
5:花咲が非常に良好なもの(変形度4以上)
4:花咲が良好なもの(変形度3以上〜4未満)
3:花咲が良好とは言えないが、実用上問題ない程度のもの(変形度2以上〜3未満)
2:花咲が一部に認められるもの(変形度1.5以上〜2未満)
1:花咲がほとんど認められないもの(変形度1以上〜1.5未満)
【0040】
(2)加熱臭(劣化臭)の評価
味覚、臭覚の鋭敏な専門評価パネラーにより、180℃で調理している間の油臭を評価した。また、揚げ種からの臭いが出ないように濾紙を使用し、これを長方形(2×5cm)に切ったものに衣(水:小麦粉:卵=150:100:50(重量比))を付けて、一回に5枚ずつ40枚を揚げながら評価した。コーンサラダ油を使用して発生した劣化臭または異臭を1、劣化臭または異臭のない場合を5として評価し、その平均値を評点とした。
【0041】
(3)風味の評価
揚げ物の風味の評価は、上記の油脂組成物を使用して揚げた天ぷらと、コーンサラダ油のみで揚げた天ぷらとをブラインドペアテストで行い、コーンサラダ油で揚げた天ぷらより油っぽくなく、加熱による嫌悪感のある臭気、あるいはこれらが混在した風味の発生がなく、おいしいと答えたパネラーの評点を5、コーンサラダ油で揚げた方がおいしいと答えたパネラーの評価を1、どちらとも言えないとした場合を3とする5段階評価を行い、5人のパネラーの評点の平均値をその天ぷらの風味の評点とした。
【0042】
(4)食感の評価
揚げ物の食感の評価は、味覚の鋭敏な専門パネラーにより、海老と大葉(紫蘇の葉)について、180℃で本発明の油脂組成物を用いて揚げたものと、サラダ油のみで揚げたものとを、揚げた後5分後にペアテストにより行った。
評価は、以下の5段階評価でその平均値を評点とした。
5:本発明の油脂組成物の方が衣がカリっとしている。
4:本発明の油脂組成物の方が衣がややカリっとしている。
3:両者とも差が無い。
2:サラダ油の方がややカリっとしている。
1:サラダ油の方がカリっとしている。
結果を以下の第3表に示す。
【0043】
【表4】
Figure 0003605608
【0044】
上記第3表に示された結果から明らかなように、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの双方を含む本発明参考例に従う油脂組成物(即ち、ジグリセライドが添加されていない以外は本発明に従う油脂組成物)を使用して揚げ物を行った場合には、食感、風味、劣化臭及び花咲性において良好な性能を示している。一方、ショ糖エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルの何れか一方を含む比較用の油脂組成物を使用して揚げ物を行った場合には、本発明に従う油脂組成物を使用した場合に比べ、上記の項目についての性能は劣っている。
【0045】
[実施例2]
(グリセリド混合物の調製)
固定化1,3位選択的リパーゼである市販リパーゼ製剤(ノボインダストリーA.S社製、商品名:Lypozyme 3A)を触媒として、菜種油由来脂肪酸860g及びグリセリン140gを40℃で反応させた。リパーゼ製剤を濾別した後、反応生成物を分子蒸留にかけ、常法により精製して、ジグリセライド80重量%、トリグリセライド18重量%及びモノグリセライド2重量%からなるグリセライド混合物(C18の不飽和脂肪酸含量78重量%、C20の不飽和脂肪酸含量2重量%、C14〜C18の飽和脂肪酸含量20重量%)を製造した。
【0046】
(油脂組成物I−1〜XI−1の調製)(本発明例)
実施例1で用いた油脂組成物I〜VIIに、更にジグリセライドの油脂組成物中での含有量が10重量%となるように上記で得たグリセライド混合物を添加し、本発明に従う油脂組成物I−1〜VII−1をそれぞれ調製した。
【0047】
(保存性の評価)
上記実施例1で用いた油脂組成物I〜VII及び上記で得られた油脂組成物I−1〜VII−1を用いて保存性の評価を行った。
保存性は、40℃で、70%RHの条件に各油脂組成物を放置した後、水分を800ppmまで上昇させ、容器を密閉し、これを5℃の状態に一週間保存し、保存後の各油脂組成物の状態を以下の基準で評価した。
5:透明でまったく霞がかかっていないもの、
4:透明であるが、少し霞がかかっているもの、
3:全体に霞がかかっているもの、
2:かなり霞がかかり、白く濁っているもの、
1:一部結晶が析出してくるもの
得られた結果を第4表に示す。
【0048】
【表5】
Figure 0003605608
【0049】
上記第4表に示された結果から明らかなように、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの双方を含む油脂組成物に、更にジグリセライドを含有した本発明の油脂組成物は、保存性が向上している。
【0050】
【発明の効果】
本発明に従う加熱調理用油脂組成物は、加熱時の油臭(劣化臭)、揚げ物作業時の油はね抑制、そして揚げ物作業時の衣の花咲性(散り状態)などの揚げ物用の油として必要とされる性能の殆どを備えており、また保存性も高い。従って、本発明に従う加熱調理用油脂組成物を使用することによって、油っぽさが低減され、嫌悪感のある油臭の発生が抑えられるなど風味の良好な揚げ物ができる。

Claims (3)

  1. 液状油脂を主成分とし、0.01〜5重量%のショ糖脂肪酸エステル、0.01〜5重量%のポリグリセリン脂肪酸エステル及び5〜50重量%のジグリセライドが含まれてなる揚げ物用油脂組成物。
  2. ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとの重量比が、95:5〜40:60の範囲にある請求項1に記載の揚げ物用油脂組成物。
  3. ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとの重量比が、95:5〜60:40の範囲にある請求項1に記載の揚げ物用油脂組成物。
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