JPH07109A - ショ糖脂肪酸エステル混合物およびこれを含有する油脂組成物 - Google Patents

ショ糖脂肪酸エステル混合物およびこれを含有する油脂組成物

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JPH07109A
JPH07109A JP5172312A JP17231293A JPH07109A JP H07109 A JPH07109 A JP H07109A JP 5172312 A JP5172312 A JP 5172312A JP 17231293 A JP17231293 A JP 17231293A JP H07109 A JPH07109 A JP H07109A
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Makoto Koike
真 小池
Hideki Yokomichi
秀季 横道
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 油脂への溶解性が良く、揚げ物を作る時の油
はね抑制、衣の花咲性、加熱時の劣化臭の発生の抑制な
ど揚げ物用の油として好適な機能を付与し、しかも風味
の良い揚げ物が得られるショ糖エステル混合物及びこれ
を含有する油脂組成物を提供する。 【構成】 組成中の[SPE]の含有量が5〜30重量
%であって、かつ次の条件:2≦平均エステル化度≦
4.5、([SPE]+[STE])/[SDE]≦
2.3、[SME]/[SDE]≦0.1、[SPE]
/[SDE]≦0.8([SME]:ショ糖モノエステ
ル、[SDE]:ショ糖ジエステル、[STE]:ショ
糖トリエステル、[SPE]:ショ糖ポリエステル、平
均エステル化度:ショ糖エステルの脂肪酸エステル化度
の平均値)を満たすことを特徴とするショ糖エステル混
合物およびこれを含有する油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、揚げ物(フライ、天ぷ
ら)用の油に添加して有利に利用できるショ糖脂肪酸エ
ステル混合物およびこれを含有する油脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から天ぷらやフライを揚げるために
用いる揚げ物用の油脂としては、比較的淡泊で、油脂自
体に好ましい風味を有するなどの点から、例えば、コー
ン油、菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、
ひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイ
ックひまわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂が多
く用いられている。また最近では、ラード(脱臭したも
のや水素添加したものなど)、ショートニングなどの固
形油脂も使用されており、これらは、比較的熱に強く、
フライ用に有用である。
【0003】しかしながら、上記のような油脂では、揚
げ物を作る時の油はねが生じ易かったり、また天ぷらを
揚げた場合には、衣の花咲性(散り状態)が十分でない
などの問題がある。更に液体油の場合には、特に加熱に
よる油の劣化臭(嫌悪感のある臭気)が発生し易く、こ
れが上記の花咲性の不十分さによると思われる油っぽさ
と相俟って、揚げ物の風味が損なわれ易かった。
【0004】ところで、ショ糖脂肪酸エステルは、従来
からケーキ等の菓子類の生地の調製用の乳化剤(起泡
剤)として(例えば、特開昭62−162133号公
報)、あるいはショートニングなどに用いられる油脂の
結晶成長抑制剤(例えば、特開昭62−205738号
公報)として良く知られている。また、特開昭47−3
4703号公報には、耐寒性を改良するために、液状の
植物油に蔗糖のジ(または)トリ不飽和脂肪酸エステル
を添加溶解することからなる液状食用油の製造法が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記のよ
うなショ糖脂肪酸エステルを利用した油脂組成物の天ぷ
ら、フライ等の揚げ物用の油としての利用を検討した。
しかしながら、従来のショ糖脂肪酸エステルは、油脂へ
の溶解性や、加熱時の劣化臭、揚げ物を作る時の油はね
抑制、揚げ物を作る時の衣の花咲性などの揚げ物用の油
としての特性の点においてこれら全てが満足できるもの
がなく、更に揚げ物が油っぽかったり、嫌悪感のある油
臭を発生させるなど風味の点においても十分満足できる
とは言えなかった。本発明の目的は、揚げ物用の油(油
脂組成物)に好適な以下の機能の殆ど全てを付与するこ
とのできるショ糖脂肪酸エステル混合物及びこれを含む
油脂組成物を提供することである。 (1)揚げ物を作る時の衣の花咲性(散り状態)や食感
を向上させる。 (2)加熱時の劣化臭(嫌悪感のある臭い)の発生を抑
制する。 (3)揚げ物の風味を低下させない(油っぽさを低減
し、また嫌悪感のある油臭を発生させない)。 (4)揚げ作業時の油はねを抑制する。 (5)室温(20℃)において白濁したり、油不溶分を
生じない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な特徴を有する、揚げ物用の油に添加して好適に利用で
きるショ糖脂肪酸エステル混合物を見い出すことを目的
として鋭意研究を重ねた。その結果、エステル置換度が
異った四種類以上のエステルのそれぞれの持つ特性、特
にジエステルやエステル置換度が4以上のポリエステル
の持つ特性を十分に生かした配合の混合物を調製するこ
とにより、上記目的とするショ糖脂肪酸エステル混合物
及びこれを含む油脂組成物が得られることを見出し、本
発明を完成させた。
【0007】本発明は、ショ糖脂肪酸エステル混合物中
の[SPE]含有量が5〜30重量%であって、かつ次
の条件: 2≦平均エステル化度≦4.5 ([SPE]+[STE])/[SDE]≦2.3 [SME]/[SDE]≦0.1 [SPE]/[SDE]≦0.8 を満たすことを特徴とするショ糖脂肪酸エステル混合物
にある。ここで、[SME]は、エステル置換度が1の
ショ糖脂肪酸エステルを表し、[SDE]は、エステル
置換度が2のショ糖脂肪酸エステルを表し、[STE]
は、エステル置換度が3のショ糖脂肪酸エステルを表
し、[SPE]は、エステル置換度が4〜8のショ糖脂
肪酸エステルの合計量を表す。なお、本明細書におい
て、「平均エステル化度」は、以下の式により規定され
る値を意味する。但し、エステル化度が、iのショ糖脂
肪酸エステル中における構成重量%をWi とする。
【0008】
【数1】
【0009】また本発明は、上記のような組成のショ糖
脂肪酸エステル混合物を組成物中に0.01〜5重量%
含有されてなる油脂組成物を提供することでもある。
【0010】本発明の好ましい態様は、以下の通りであ
る。 (1)5重量%≦[SPE]≦25重量% (2)([SPE]+[STE])/[SDE]≦2.
0 (3)2.0≦平均エステル化度≦3.5 (4)[SME]/[SDE]≦0.05 (5)[SPE]/[SDE]≦0.7 (6)25重量%≦[SDE]≦90重量% (7)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が、ステアリ
ン酸及び/又はパルミチン酸を主成分とする飽和脂肪酸
及びオレイン酸、リノール酸、及び/又はリノレン酸を
主成分とする不飽和脂肪酸を組み合わせたものである。 (8)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の50重量%
以上が不飽和脂肪酸である。 (9)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の70重量%
以上が不飽和脂肪酸である。 (10)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の90重量
%以上が不飽和脂肪酸である。
【0011】[発明の詳細な記述]本発明のショ糖脂肪
酸エステル(以下、ショ糖エステルという場合もある)
混合物は、[SME](エステル置換度が1のショ糖脂
肪酸エステル=ショ糖脂肪酸モノエステル)、[SD
E](エステル置換度が2のショ糖脂肪酸エステル=シ
ョ糖脂肪酸ジエステル)、[STE](エステル置換度
が3のショ糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸トリエステ
ル)および[SPE](エステル置換度が4〜8のショ
糖脂肪酸エステル=ショ糖脂肪酸ポリエステル)からな
る。そして、本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、
上記のエステル組成が前記の関係を満たすように調製さ
れていることを特徴とする。以下、これらの関係を詳述
する。
【0012】[SDE]は、油はね抑制や衣の花咲性
(散り具合)に効果があり、また加熱時の劣化臭や揚げ
物の油っぽさの低減に寄与するなど揚げ物用に有利な性
質を有する。このため[SDE]は、多量に含まれてい
ることが好ましい。しかし、極端に多いと油溶性を低下
させる。このことから、[SDE]は、上記混合物中に
25重量%以上(好ましくは、40重量%以上)含まれ
ていることが好ましく、一方、[SDE]含有量は、9
0重量%以下であることが好ましい。低温での油溶性を
更に高めたい場合には、[SDE]の含有量は、70重
量%以下であることが更に好ましい。
【0013】[SPE]は、これを含ませることによっ
てショ糖エステル混合物の製造を容易にさせ、またショ
糖エステル混合物の油溶性を向上させる。しかしこれを
多量に含有させると[SDE]や[STE]の衣を散ら
す作用(花咲性)を低下させる。このため、[SPE]
は、上記混合物中の含有量を、5重量%〜30重量%と
する。好ましくは、5重量%〜25重量%である。上記
の[SDE]、[SPE]あるいは[STE]の各性質
から、本発明においては、[SDE]、[SPE]及び
[STE]のエステル組成は、以下の関係を満足するよ
うに調整する。 [SPE]/[SDE]≦0.8(好ましくは、≦0.
7) ([SPE]+[STE])/[SDE]≦2.3(好
ましくは、≦2.0)
【0014】次に、[SME]については、この含量が
多くなると、風味や油溶性を低下させるため、少ないこ
とが好ましい。しかし、[SME]は、高い油はね抑制
効果を示し、[SDE]の含有量が、相対的に少ない場
合には、[SME]を増量することによって油はね抑制
効果を補うことができる。[SME]のこのような性質
から、本発明においては、[SDE]及び[SME]の
エステル組成は、以下の関係を満足するように調製す
る。 [SME]/[SDE]≦0.1(好ましくは、≦0.
05) 更に具体的には、[SME]は、ショ糖エステル中に、
0.1重量%以上、10重量%以下(更に好ましくは、
0.5重量%〜5重量%)であるように調整することが
好ましい。
【0015】平均エステル化度は、前述の式で示される
値である。本発明者の検討によると、平均エステル化度
が低過ぎると油溶性及び風味が低下する傾向にあり、一
方その値が高過ぎると花咲性の効果や油はね抑制効果が
十分得にくくなることが判明した。従って、本発明にお
いて、各エステル組成は、その平均エステル化度が、2
〜4.5の範囲(好ましくは、2〜3.5の範囲)にあ
るように調整する。
【0016】ショ糖脂肪酸エステル混合物の構成脂肪酸
については、特に制限はないが、飽和脂肪酸が多過ぎる
と油溶性が不十分となり易いので、不飽和脂肪酸が50
重量%以上あることが好ましい。不飽和脂肪酸のみで構
成したショ糖脂肪酸エステル混合物は、油はね抑制効果
が弱く、また加熱劣化し易くなる。本発明のショ糖脂肪
酸エステル混合物中には、飽和脂肪酸が、5重量%以
上、50重量%以下(好ましくは、10重量%以上、3
0重量%以下)含まれるように配合することが好まし
い。一方、液状油脂に添加する場合には、低温における
油溶性を向上させるために不飽和脂肪酸の構成率が、7
0重量%以上(更に好ましくは、90重量%以上)とす
ることが好ましい。
【0017】上記飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸は、そ
の構成脂肪酸は加熱時の劣化臭や嫌な臭いの発生の少な
い炭素数14以上のものであることが好ましく、特に、
飽和脂肪酸は、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18
のステアリン酸またはこれらの混合物を主成分とするも
のであることが好ましく、また不飽和脂肪酸は、炭素数
18のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはこれ
らの混合物を主成分とするものであることが好ましい。
【0018】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、
既知の合成法を利用して得ることができる。一般に行わ
れる方法は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステル化反応
により生成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸メチルの
相溶性溶媒(通常、DMF)を用い、炭酸カリウムを触
媒とし、減圧下加熱反応させる方法や、ショ糖と脂肪酸
メチルを水と多量の乳化剤(セッケン)とを用いて、加
熱し、ミクロエマルジョンとした後、これを減圧脱水
し、触媒として炭酸カリウムを加えて反応させる方法が
代表的である。また、炭酸カリウムを触媒として、ショ
糖と油脂を直接加熱反応させる方法も利用できる。得ら
れた反応生成物から過剰のショ糖や溶媒を除去後、クロ
ロホルム−メタノールを展開溶媒としたシリカゲルカラ
ムにかけて分画し、得られた各分画物を目的とする配合
に再配合することにより、本発明のショ糖脂肪酸エステ
ル混合物を調製することができる。また、市販品のショ
糖脂肪酸エステル混合物から上記の方法にて分画し、得
られた各分画物を本発明の配合に従い再配合することに
よっても得ることができる。更に、市販品のショ糖脂肪
酸エステルをヘキサンに溶解後、エタノールと水を添加
し、エタノールと水の量比を調節することにより、ヘキ
サン相にショ糖脂肪酸エステルのジエステル以上の成分
を濃縮することによって得られたものも利用することが
できる。
【0019】本発明の油脂組成物は、以上のように調製
したショ糖脂肪酸エステル混合物を加熱調理用油脂に添
加、混合することによって調製することができる。そし
てショ糖脂肪酸エステル混合物は、油脂組成物中に0.
01〜5重量%含有されるように添加される。好ましく
は、0.1〜2重量%含有されるように添加される。油
脂組成物の調製に際しては、上記のようにショ糖エステ
ル混合物を油脂に添加することもできるし、あるいは各
条件で示されるショ糖エステル各々を油脂に添加するこ
ともできる。油脂は、従来から揚げ物用として使用され
ている油脂(液状油脂でも固形油脂でも良い)が利用で
きる。これらの例としては、前述した油脂(コーン油、
菜種油、大豆油、綿実油、米油、サフラワー油、ひまわ
り油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックひ
まわり油、ごま油、オリーブ油等の液状油脂及びラード
などの固形油脂)を挙げることができる。なお、より低
温での白濁または油不溶分の析出防止のためには、ジグ
リセリドが、油脂組成物中に5重量%以上(更に好まし
くは、10重量%以上)含まれていることが好ましい。
本発明の油脂組成物中の[SME]の含有量は、油臭、
風味における点から、0.05重量%以下であることが
好ましく、0.0005重量%以上、0.02重量%以
下であることが更に好ましい。
【0020】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。 [実施例1] (ショ糖脂肪酸エステル混合物A〜D(本発明品)、並
びにAc 〜Dc (比較例)の調製) 上記ショ糖エステル混合物は、構成脂肪酸の比の異なる
脂肪酸メチルエステルを使用した以外は、下記に示すシ
ョ糖脂肪酸エステル混合物(E、F、Ec 及びFc )の
調製法と同様な方法を実施して得られたものを、必要に
応じて市販品のショ糖脂肪酸エステル混合物を用いて再
調合することにより得た。
【0021】(ショ糖脂肪酸エステル混合物E及びF
(本発明品)、並びにEC 及びFC (比較品)の調製)
構成脂肪酸の比が、オレイン酸:ステアリン酸=90:
10である脂肪酸メチルエステル75gを三ツ口フラス
コ(容積1リットル)に取り、加熱攪拌しつつ100℃
にて、これにショ糖90gを加えた。この後、25〜5
0mmHgの減圧下、105〜120℃に加熱攪拌しな
がら30分間脱水し、炭酸カリウム2.6g、及び30
重量%カリウムメチラート/メタノール溶液を7g加え
た。その後、更に5〜10mmHgの減圧下、140〜
160℃で8時間反応させて、ショ糖脂肪酸エステル混
合物を得た。得られたショ糖脂肪酸エステル混合物をク
ロロホルム−メタノールを展開溶剤としたシリカゲルカ
ラムにて分画し、得られた各分画物を再調合することに
より、本発明品E及びF、並びに比較品EC およびFC
を得た。
【0022】以上のようにして得た各ショ糖脂肪酸エス
テル(SE)混合物の特徴を下記の表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】[ショ糖脂肪酸エステル混合物としての評
価] (油脂組成物A−1及びA−2の調製)コーンサラダ油
(味の素(株)製)500gに、上記で得たショ糖脂肪
酸エステル混合物Aを0.2重量%、または1.0重量
%添加することにより、それぞれに対応する、本発明に
従うショ糖脂肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物
A−1及びA−2を調製した。
【0025】(油脂組成物AC −1及びAC −2の調
製)上記油脂組成物A−1及びA−2の調製において、
ショ糖脂肪酸エステル混合物Aの代わりに、ショ糖脂肪
酸エステル混合物AC [比較品]を使用した以外は、上
記油脂組成物A−1及びA−2の調製と同様にしてそれ
ぞれに対応する、比較用のショ糖脂肪酸エステル混合物
を含有する油脂組成物AC −1及びAC −2を調製し
た。
【0026】(油脂組成物B−1〜G−1の調製)上記
油脂組成物A−1の調製において、ショ糖脂肪酸エステ
ル混合物Aの代わりに、ショ糖脂肪酸エステル混合物B
〜Gをそれぞれ使用した以外は、上記油脂組成物A−1
の調製と同様にしてそれぞれに対応する、本発明に従う
ショ糖脂肪酸エステル混合物B〜Gを含有する油脂組成
物B−1〜G−1を調製した。
【0027】(油脂組成物BC −1〜FC −1の調製)
上記油脂組成物AC −1の調製において、ショ糖脂肪酸
エステル混合物AC の代わりに、ショ糖脂肪酸エステル
混合物BC 〜FC をそれぞれ使用した以外は、上記油脂
組成物AC −1の調製と同様にして、比較用のショ糖脂
肪酸エステル混合物を含有する油脂組成物BC −1〜F
C −1を調製した。
【0028】上記で得た各油脂組成物について、ショ糖
脂肪酸エステル混合物の油脂への溶解性を下記の方法で
調べ、評価した。 (1)油脂への溶解性(油溶性) ショ糖脂肪酸エステル混合物の油溶性は、油脂組成物を
60℃で1時間加熱攪拌した後、油脂組成物中に不溶分
があるか否かを調べることにより行った。
【0029】また、各油脂組成物を使用して揚げ物(天
ぷら)をした場合の油はね、加熱臭(劣化臭)、衣の花
咲性、揚げ物の風味(油っぽさ、加熱による嫌悪感のあ
る臭気あるいはこれらが混在した風味)を下記のような
試験を行うことにより調べ、評価した。 (試験方法)油脂組成物500gを鉄製の揚げ物用の鍋
(直径15cm、高さ8cm)に入れ、200℃まで加
熱した。円柱型(直径3cm、高さ1cm、重さ9g)
の豚肉5個に、予め調製した天ぷら用生地20g(0℃
で冷却しながら調製した卵1個、水120g、薄力粉1
00gからなる)を付着させて油脂組成物中に投じ、4
分後に取り出し、天ぷらを揚げた。
【0030】(2)油はねの評価 天ぷらを揚げている間、一枚の紙を油脂組成物表面から
8cmの高さのところに地面に対して水平に置き、揚げ
物終了後にこの紙に付着している油はねの程度を、予め
用意した基準用紙(下記の基準の油を用い、油はねのあ
った部分を着色した後、これを複写機を用いて可視画像
とした五枚の紙(No.1〜5))と比較した。基準用
紙No.1は、コーンサラダ油(味の素(株)製)のみ
を用いて上記と同じ条件下(200℃)で試験して得た
油はねのパターンに相当する(評点1:極めて激しい油
はねを示す)。基準用紙No.5は、揚げる温度を14
0℃に変え、上記基準用紙No.1と同様にして作成し
た場合の油はねのパターンに相当する(評点5:油はね
は殆ど見られない。しかしこの温度では、揚げ物の調製
は不可能である)。基準用紙No.2〜4は、種々の界
面活性剤を様々な濃度でコーンサラダ油に添加し、上記
基準用紙No.1と同様にして作成した場合の油はねの
パターンに相当する用紙の中から、相当すると思われる
用紙を選んで、基準用紙No.2〜4とした。すなわ
ち、基準用紙No.3(評点3)は、基準用紙No.1
と基準用紙No.5との中間に相当する油はねのパター
ンと思われるものを選び、基準用紙No.2(評点2)
及び基準用紙No.4(評点4)は、それぞれ基準用紙
No.1と基準用紙No.3、基準用紙No.3と基準
用紙No.5のそれぞれの中間に相当する油はねのパタ
ーンと思われるものを選んだ。
【0031】(3)衣の花咲性の評価 衣の花咲性評価は、揚げた天ぷらの衣の状態を基準写真
(衣の散り状態を着色後、撮影した五枚の写真(No.
1〜5))と比較した。基準写真No.1は、コーンサ
ラダ油(味の素(株)製)のみを用いて揚げた場合の衣
の状態に相当し(評点1:花咲性がない)、基準写真N
o.5は、最も良好な花咲性を示す種々の界面活性剤を
様々な濃度でコーンサラダ油に添加して、実施した衣の
状態に相当する(評点5:花咲性は最も良いが、油溶
性、加熱臭、風味は考慮していない)。基準写真No.
2〜4(評点2、3及び4)は、上記油はねを評価する
場合の基準用紙No.2〜4を選定する方法と同様な方
法で作成し、選定した。
【0032】(4)加熱臭の評価 味覚、臭覚の鋭敏な専門評価パネラーにより、180℃
で調理している間の油臭を評価した。また、揚げ種から
の臭いが出ないように濾紙を使用し、これを長方形(2
×5cm)に切ったものに衣(水:小麦粉:卵=15
0:100:50(重量比))を付けて、一回に5枚ず
つ40枚を揚げながら評価した。コーンサラダ油を使用
して発生した劣化臭または異臭を1、劣化臭または異臭
のない場合を5として評価し、その平均値を評点とし
た。
【0033】(5)揚げ物の風味の評価 揚げ物の風味の評価は、上記の油脂組成物を使用して揚
げた天ぷらと、コーンサラダ油のみで揚げた天ぷらとを
ブラインドペアテストで行い、コーンサラダ油で揚げた
天ぷらより油っぽくなく、加熱による嫌悪感のある臭
気、あるいはこれらが混在した風味の発生がなく、おい
しいと答えたパネラーの評点を5、コーンサラダ油で揚
げた方がおいしいと答えたパネラーの評価を1、どちら
とも言えないとした場合を3とする5段階評価を行い、
5人のパネラーの評点の平均値をその天ぷらの風味の評
点とした。
【0034】(6)保存性の評価 保存性は、40℃で、70%RHの条件に各油脂組成物
を放置した後、水分を800ppmまで上昇させ、容器
を密閉し、これを5℃の状態に一週間保存し、保存後の
各油脂組成物の状態を以下の基準で評価した。 5:透明でまったく霞がかかっていないもの、 4:透明であるが、少し霞がかかっているもの、 3:全体に霞がかかっているもの、 2:かなり霞がかかり、白く濁っているもの、 0:一部結晶が析出してくるもの 以上の結果を表2に示す。
【0035】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 油脂 SE混合物 油不 揚げ物 加熱 組成物 の添加量 溶分 油はね 花咲性 の風味 臭 保存性 ──────────────────────────────────── 本発明品 A−1 0.2重量% なし 3.0 3.0 3.3 3.8 5.0 A−2 1.0重量% なし 4.0 4.5 3.2 3.6 5.0 B−1 0.2重量% なし 3.0 4.0 4.0 3.8 5.0 C−1 0.2重量% なし 4.0 4.5 4.0 3.0 4.0 D−1 0.2重量% なし 3.0 4.0 4.0 3.0 4.0 E−1 0.2重量% なし 2.0 3.5 3.0 3.6 4.0 F−1 0.2重量% なし 3.0 3.5 3.0 3.0 4.5 G−1 0.2重量% なし 4.0 3.5 3.0 2.6 3.0 ──────────────────────────────────── 比較品 AC −1 0.2重量% なし 1.0 1.0 3.0 3.8 5.0 AC −2 1.0重量% なし 2.0 1.5 2.5 3.8 5.0 BC −1 0.2重量% あり 4.0 2.0 1.0 1.0 1.0 CC −1 0.2重量% あり 3.5 3.0 2.0 2.6 1.0 DC −1 0.2重量% あり 4.5 2.5 1.0 1.0 1.0 EC −1 0.2重量% あり 4.0 2.5 2.0 3.0 1.0 FC −1 0.2重量% あり 3.0 3.0 2.0 2.6 1.0 ────────────────────────────────────
【0036】上記表2の結果から、本発明に従うショ糖
エステル混合物(A〜G)を食用油脂に添加することに
よって、揚げ物用の油として必要とされるほとんどの性
能が向上することがわかる。
【0037】
【発明の効果】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物
は、油脂への溶解性、加熱時の油臭(劣化臭)、揚げ物
作業時の油はね抑制、そして揚げ物作業時の衣の花咲性
(散り状態)などの揚げ物用の油に添加して利用するの
に極めて良好な特性が付与されている。従ってこれを含
む本発明の油脂組成物の保存性も向上する。更に揚げ物
の油っぽさが低減され、嫌悪感のある油臭の発生が抑え
られるなど、風味の良好な揚げ物ができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】本発明の好ましい態様は、以下の通りであ
る。 (1)5重量%≦[SPE]≦25重量% (2)([SPE]+[STE])/[SDE]≦2.
0 (3)2・0≦平均エステル化度≦3.5 (4)[SME]/[SDE]≦0.05 (5)[SPE]/[SDE]≦0.7 (6)25重量%≦[SDE]≦90重量% (7)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が、ステアリ
ン酸及び/又はパルミチン酸を主成分とする飽和脂肪酸
及びオレイン酸、リノール酸、及び/又はリノレン酸を
主成分とする不飽和脂肪酸を組み合わせたものである。 (8)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の50重量%
を越える量が不飽和脂肪酸である。 (9)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の70重量%
以上が不飽和脂肪酸である。 (10)上記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の90重量
%以上が不飽和脂肪酸である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】(6)保存性の評価 保存性は、40℃で、70%RHの条件に各油脂組成物
を放置した後、水分を800ppmまで上昇させ、容器
を密閉し、これを5℃の状態に一週間保存し、保存後の
各油脂組成物の状態を以下の基準で評価した。 5:透明でまったく霞がかかっていないもの、 4:透明であるが、少し霞がかかっているもの、 3:全体に霞がかかっているもの、 2:かなり霞がかかり、白く濁っているもの、 :一部結晶が析出してくるもの 以上の結果を表2に示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ショ糖脂肪酸エステル混合物中の[SP
    E]含有量が5〜30重量%であって、かつ次の条件: 2≦平均エステル化度≦4.5 ([SPE]+[STE])/[SDE]≦2.3 [SME]/[SDE]≦0.1 [SPE]/[SDE]≦0.8 (ここで、[SME]はエステル置換度が1のショ糖脂
    肪酸エステルを表し、[SDE]はエステル置換度が2
    のショ糖脂肪酸エステルを表し、[STE]はエステル
    置換度が3のショ糖脂肪酸エステルを表し、[SPE]
    はエステル置換度が4以上のショ糖脂肪酸エステルの合
    計量を表し、平均エステル化度は、ショ糖脂肪酸エステ
    ルの脂肪酸エステル化度の平均値を表す。)を満たすこ
    とを特徴とするショ糖脂肪酸エステル混合物。
  2. 【請求項2】 上記請求項1のショ糖脂肪酸エステル混
    合物が、組成物中に0.01〜5重量%含有されてなる
    油脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010106044A (ja) * 2010-02-04 2010-05-13 Mitsubishi Chemicals Corp 乳化組成物
KR20110056279A (ko) 2008-09-12 2011-05-26 카오카부시키가이샤 유지 조성물

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