JP3118998B2 - 感熱記録体 - Google Patents

感熱記録体

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JP3118998B2
JP3118998B2 JP04307655A JP30765592A JP3118998B2 JP 3118998 B2 JP3118998 B2 JP 3118998B2 JP 04307655 A JP04307655 A JP 04307655A JP 30765592 A JP30765592 A JP 30765592A JP 3118998 B2 JP3118998 B2 JP 3118998B2
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  • Heat Sensitive Colour Forming Recording (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱記録に付されるキレー
ト系の感熱記録体に関するもので、特に、近赤外部に吸
収領域を有する発色画像が得られ、かつ、地肌かぶりが
なく、地肌の保存安定性に優れた性質を有する感熱記録
体を提供する。
【0002】
【従来の技術】感熱記録体は、基体と該基体上に形成さ
れている感熱発色層とを有している。感熱発色層として
は様々なタイプのものが利用されており、代表的なもの
はロイコ染料タイプのものである。
【0003】ロイコ染料タイプの感熱発色層は、電子供
与性の無色ないし淡色のロイコ化合物と該ロイコ化合物
を発色させる電子受容性の顕色剤とを主成分として含有
しており、該感熱発色層への熱記録を熱ヘッド,熱ペ
ン,レーザ光等の加熱によって行なうもので、感熱発色
層中のロイコ化合物と顕色剤とを瞬時にして反応させる
ことによって記録画像を形成させる方式のものである
(例えば、特公昭43ー4160号公報、特公昭45ー
14039号公報等)。
【0004】感熱記録に利用される感熱記録体は、前述
のロイコ染料タイプの感熱発色層の場合に限らず、一般
的に比較的簡単な装置によって記録画像が得られ、しか
も、保守が容易であり、また、操作の際に騒音の発生が
無いなどの利点を有しており、例えば、計測用記録計,
ファクシミリ,プリンター,コンピューター端末機,ラ
ベル,輸送機関の乗車券等の自動券売機などの広範囲の
分野に亙って利用されている。
【0005】特に、感熱記録用ラベルは、POS(販売
時点情報管理)システム用のバーコードラベル,価格表
示ラベル,配送・出荷ラベルなどのように、印字後に貼
付を必要とする用途分野に利用されており、スーパーマ
ーケットやデパート等の大型量販店をはじめ、チエーン
展開をしている専門店やレストラン等で広く使用されて
いる。このPOSシステムにおいては、表示されたバー
コードやOCR文字をスキャナーで光学的に読み取る方
法が急速に普及してきている。
【0006】現在、POSシステム用のラベルに関して
は様々な印字方式が試みられており、その中でも特に感
熱記録体を利用する熱記録方式は、その印字方式が加熱
による物質の化学的または物理的変化を利用して画像を
形成することからなるものであるため、現像,定着等の
工程が必要でなく、また、印刷インキの補充が不要であ
る等の諸種のメリットを有している。さらに、感熱記録
方式においては、機械の小型化、簡素化、記録のスピー
ド化が可能であり、また、指先や商品がインキで汚れる
虞れも無く、さらに、発色画像にインキのかすれが無い
等のメリットをも有する。
【0007】ところで、感熱記録方式で得られた発色画
像によるバーコード等の読み取りには、従来より633
nmの波長の赤色光をもつHe・Neレーザ光が利用さ
れていたが、最近、半導体レーザ光が使用されるように
なっている。この半導体レーザ光は、電流で直接変調さ
せることができ、装置の小型化が可能であり、しかも、
使い易く、低価格で供給され、また、発振波長が700
〜1500nmの近赤外部にあることから汚れによる誤
動作が少ない等の利点を有し、広く普及し始めている。
従って、近年においては、半導体レーザ光での読み取り
が可能な発色画像が得られる感熱記録体の需要が高まっ
ている。
【0008】しかしながら、従来から利用されているロ
イコ化合物と顕色剤とを含有する2成分型の感熱発色層
を具備する感熱記録体は、黒色の発色系においてさえ
も、発色画像の吸収波長が長波長側でも550〜620
nmであるため、He・Neレーザ光での読み取りは可
能であるが、発振波長が700〜1500nmの近赤外
部にある半導体レーザ光での読み取りは不可能である。
【0009】他方、感熱発色層中の成分の1方または双
方が溶融,反応してキレート化合物を生成することによ
って発色する機構を利用する感熱記録体として、長鎖脂
肪酸第2鉄塩と多価フェノールとの組み合わせによる発
色系が開示されている(特開昭59−89193号公
報)。多価フェノールは脂肪酸金属塩と反応してキレー
ト化合物を作って発色するキレート剤の代表的なもので
ある。そして、長鎖脂肪酸第2鉄塩とキレート剤との発
色によって得られる画像は、適当なキレート剤を選択す
ることにより、半導体レーザー光での読み取りが可能な
発色画像となる。
【0010】しかるに、この種のキレート化合物の生成
に伴う発色機構を利用する感熱記録体は、光によって地
肌かぶりが発生し易いという欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】これに対して本発明
は、長鎖脂肪酸第2鉄塩とキレート剤とによるキレート
化合物の生成によるの発色系を利用する感熱記録体から
なり、該感熱記録体の光による地肌かぶりの問題を解決
するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下に記
載する構成による本発明の感熱記録体によって解決する
ことができる。
【0013】すなわち本発明は、基体上に脂肪酸第2鉄
塩とキレート剤とを発色成分とする感熱発色層を有する
感熱記録体であって、前記感熱発色層中にベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物と
が、該感熱発色層の全固形成分のそれぞれ0.5〜1
0.0重量%ずつ添加されている感熱記録体からなる。
【0014】上記構成による本発明の感熱記録体におい
ては、キレート剤が多価フェノール及び/又はジチオカ
ルバミン酸塩であることが好ましい。
【0015】感熱記録体に対して光による地肌かぶりが
発生するのを防止する対策として紫外線吸収剤を感熱発
色層中に添加することは、脂肪酸第2鉄塩とキレート剤
とを主成分とする感熱発色層においては特開昭49−7
5145号公報に、また、ロイコ染料タイプの感熱発色
層においては特開昭50−104650号公報にそれぞ
れ開示されている。
【0016】しかしながら、本発明者らは、紫外線吸収
剤の添加のみによる光による地肌かぶりの問題の解決が
十分ではないことを見出し、紫外線吸収剤とラジカル捕
捉剤であるヒンダードアミン系化合物とを併用して添加
することにより、脂肪酸第2鉄塩とキレート剤とを主成
分とする感熱発色層を有する感熱記録体の場合に光によ
る地肌かぶりの問題を著しく改良し得ることを解明し
た。
【0017】なお、ロイコ染料タイプの感熱発色層を有
する感熱記録体の場合に、感熱発色層に紫外線吸収剤と
ヒンダードアミン系化合物とを添加しても光による地肌
かぶりを改良することができないだけでなく、むしろ、
感熱記録体の保存時の地肌かぶりが発生したり、また、
画像の発色濃度が低下する等の問題が現出することが判
明している。
【0018】前記構成による本発明の感熱記録体の感熱
発色層は、感熱記録体の基体、例えば紙、各種の不織
布、プラスチックフィルム、合成紙、金属箔等、あるい
はこれらを組合わせた複合シート等からなる基体に対し
て、脂肪酸第2鉄塩と、キレート剤と、ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系化合物と、
水溶性または水分散性結着剤と、必要に応じて添加され
るその他の添加剤とを含有する水分散系の塗工液による
塗工層を形成することによって得られる。
【0019】感熱発色層に利用される脂肪酸第2鉄塩の
具体例は、炭素数6〜25好ましくは9〜22の直鎖状
または分枝鎖状の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の第2
鉄塩であり、より具体的には、ステアリン酸第2鉄塩,
ミリスチン酸第2鉄塩,ベヘン酸第2鉄塩,ラウリル酸
第2鉄塩,ペラルゴン酸第2鉄塩等である。
【0020】特に、Cu−Kα線でのX線回折分析カー
ブにおける回折角(2θ)21.8±0.5度の範囲内
に存在するメインピークの高さ(H)とピーク半値幅
(W)との比率(H/W)が10以上であり、しかも、
示差熱分析カーブにおけるメインの吸熱ピークを100
℃以上に有している結晶性の高いステアリン酸第2鉄塩
やベヘン酸第2鉄塩またはこれらの混合物からなる脂肪
酸第2鉄塩が好適である。
【0021】感熱発色層に利用されるキレート剤は、多
価フェノール,ジチオカルバミン酸塩,ジフェニルカル
バゾン,ヘキサメチレンテトラミン,スピロベンゾピラ
ン,1−ホルミル−4−フェニルセミカルバジド等であ
る。これらのキレート剤は脂肪酸第2鉄塩との間にキレ
ート化合物を作る。そして、脂肪酸第2鉄塩とキレート
剤とによるキレート化合物は近赤外領域に吸収を有する
ために、本発明の感熱記録体の感熱発色層には半導体レ
ーザーで読み取ることができる発色画像が形成される。
【0022】キレート剤としては多価フェノールが最も
良く利用され、なかでも、没食子酸エステルやジヒドロ
キシ安息香酸エステルが好適であり、以下に例記するよ
うなものが使用される。
【0023】没食子酸エステル;一般式C62 (O
H)3 (COOR)において、Rが炭素数1〜28のア
ルキル基,フェニル基あるいはベンジル基及びそれらの
誘導体からなる没食子酸エステル、例えば、没食子酸メ
チル,没食子酸プロピル,没食子酸オクチル,没食子酸
ラウリル,没食子酸セチル,没食子酸ステアリル,没食
子酸ベヘニル等
【0024】ジヒドロキシ安息香酸エステル; (1) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸プロピルエステル (2) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸ブチルエステル (3) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルエス
テル (4) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル (5) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸−p−メチルベンジ
ルエステル (6) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸−p−クロロベンジ
ルエステル (7) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸−α−フェニルエチ
ルエステル (8) 2,4−ジヒドロキシ安息香酸−β−フェニルエチ
ルエステル (9) 2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸エチル
エステル (10)2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸プロピ
ルエステル (11)2,4−ジヒドロキシ−6−イソプロピル安息香酸
エチルエステル (12)2,4−ジヒドロキシ−6−ペンチル安息香酸エチ
ルエステル (13)2,4−ジヒドロキシ−6−メトキシ安息香酸ブチ
ルエステル (14)2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸シクロ
ヘキシルエステル (15)2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸ベンジ
ルエステル (16)2,4−ジヒドロキシ−6−プロピル安息香酸−p
−クロロベンジルエステル (17)2,4−ジヒドロキシ−6−メトキシ安息香酸−p
−メチルベンジルエステル (18)2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸−p−
イソプロピルベンジルエステル (19)2,4−ジヒドロキシ−6−メチル安息香酸−p−
メチルフェノキシエチルエステル (20)2,4−ジヒドロキシ−5−クロロ安息香酸−p−
クロロベンジルエステル (21)3,4−ジヒドロキシ安息香酸ブチルエステル (22)3,4−ジヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル (23)3,4−ジヒドロキシ安息香酸−β−フェニルエチ
ルエステル (24)3,4−ジヒドロキシ−5−クロロ安息香酸ベンジ
ルエステル (25)3,4−ジヒドロキシ安息香酸−α−フェニルエチ
ルエステル
【0025】さらに、ジチオカルバミン酸塩として、例
えば、 (1) ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム (2) ジメチルジチオカルバミン酸銅 (3) ジメチルジチオカルバミン酸第2鉄 (4) ジエチルジチオカルバミン酸テルル (5) ブチルキサントゲン酸亜鉛 (6) ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛 (7) N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛 (8) ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛 (9) N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛 (10)ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム (11)ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム (12)ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩 (13)ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩 (14)ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛 (15)ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等を利用し得る。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】感熱発色層中に添加されるベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤の具体例としては、下記のようなも
のが挙げられる。 (1) 2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール (2) 2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール (3) 2−(2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−tert−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール (4) 2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−
5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル (5) 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−
ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール (6) 2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−
アルミフェニル)ベンゾトリアゾール (7) 2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール (8) 2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,
5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’
−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール。
【0030】
【0031】また、感熱発色層中に添加されるヒンダー
ドアミン系化合物は、下記の[化1]で表示される化合
物、[化2]で表示される分子量2500以上の化合
物、[化3]で表示される分子量2000以上の化合
物、さらには、[化4]〜[化11]で表示される化合
物等であり、いずれも市販品を利用することができる。
【0032】
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】感熱発色層の形成に利用される水溶性また
は水分散性結着剤は、各種のデンプン類,ヒドロキシエ
チルセルロース,メチルセルロース,カルボキシメチル
セルロース,ゼラチン,カゼイン,ポリビニルアルコー
ル,変性ポリビニルアルコール,スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体,エチレン−無水マレイン酸共重合体など
の水溶性結着剤や、スチレン−ブタジエン共重合体,ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体,アクリル酸エス
テル−ブタジエン共重合体などの水分散性結着剤等であ
る。
【0044】感熱発色層形成用の塗工液中には、顔料と
して、ケイソウ土,クレー,焼成クレー,タルク,カオ
リン,焼成カオリン,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウ
ム,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化ケイ素,アルミナ,水
酸化アルミニウム,合成珪酸マグネシウム,合成珪酸ア
ルミニウムなどの無機質顔料、ポリスチレン,ポリメタ
クリル酸エステル,尿素樹脂,尿素−ホルマリン樹脂な
どの有機質顔料が添加されていても良い。
【0045】また、ヘッド摩耗防止、スティッキング防
止などの目的で、ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カル
シウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン,酸化パラフ
ィン,ポリエチレン,酸化ポリエチレン,ステアリン酸
アミド,カスターワックス等のワックス類が、また、感
度向上剤として、メタタールフェニル,パラベンジルビ
スフェニル,ヒドロキシナフトエ酸のエステル類,ステ
アリン酸アミド,トリベンジルアミン,ナフタレン誘導
体,ジベンジルテレフタレート,蓚酸ジベンジル,蓚酸
ビス(パラメチルベンジル)などの各種蓚酸エステル等
が添加され得る。
【0046】さらに、ジオクチルスルホコハク酸ナトリ
ウム等の分散剤、界面活性剤、蛍光染料なども所望に応
じて添加される。
【0047】本発明の感熱記録体の感熱発色層中には、
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、該感熱発色層の
固形成分の0.5〜10.0重量%の割合で添加されて
おり、又ヒンダードアミン系化合物が、同じく該感熱発
色層の固形成分の0.5〜10.0重量%の割合で添加
されている。
【0048】感熱発色層を形成するための塗工液の調整
は、従来のロイコ染料タイプの感熱発色層を形成する際
の塗工液の調整と略同様にして行なわれる。具体的に
は、脂肪酸第2鉄塩の水分散液と、キレート剤の水分散
液と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の水分散液
と、ヒンダードアミン系化合物の水分散液との各々を、
別々に、サンドグラインダー,アトライダー,ボールミ
ル等を利用して得た後に、これらを混合することによっ
て調整し得る。
【0049】以上の構成による本発明の感熱記録体は、
通常のファクシミリ、プリンター等をはじめ、近赤外光
を検知する特殊用途にも利用され、特に発色画像の高保
存性を所望する場合には、感熱発色層を被覆する保護層
を形成することにより、未発色部及び発色画像部を外部
環境から保護することが好ましい。なお、保護層の主成
分としては、各種の水溶性樹脂、ラテックス、紫外線や
電子線による電離放射線硬化型樹脂等が利用され、さら
に、必要に応じて、顔料、耐水化剤、撥水剤、消泡剤、
紫外線吸収剤等を添加することができる。
【0050】
【作用】本発明は、キレート剤と脂肪酸第2鉄塩との組
み合わせによる発色系からなる感熱発色層を有する感熱
記録体において、感熱発色層中にベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物とを、該感熱
発色層の全固形成分のそれぞれ0.5〜10.0重量%
ずつ併有させて、感熱発色層中にて発生するラジカルを
ヒンダードアミン系化合物に捕捉させるものであり、光
による地肌かぶりの発生を効果的に抑えることができ
る。
【0051】
【実施例】本発明の感熱記録体の具体的な構成を製造実
施例に基づいて説明し、該感熱記録体の諸特性を比較例
の感熱記録体と比較して説明する。
【0052】実施例1 下記の組成(A)、組成(B)、組成(C)及び組成
(D)を、各々別々にサンドグラインダーで分散させ、
組成(A)による(a)液、組成(B)による(b)
液、組成(C)による(c)液、組成(D)による
(d)液を得た後、(a)液120重量部、(b)液2
00重量部、(c)液7重量部、(d)液7重量部、ポ
リビニルアルコール12重量%水溶液50重量部を混
合,撹拌し、感熱発色層形成用の塗工液(1)を得た。
【0053】 組成(A) ステアリン酸第2鉄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10重量部 クレー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20重量部 ポリビニルアルコール12重量%溶液・・・・・・・・40重量部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50重量部
【0054】 組成(B) 没食子酸ステアリル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40重量部 クレー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20重量部 ポリビニルアルコール12重量%溶液・・・・・・・・70重量部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70重量部
【0055】 組成(C) 2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1重量部 ポリビニルアルコール12重量%溶液・・・・・・・・ 1重量部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5重量部
【0056】 組成(D) 前記した[化6]で表示される化合物・・・・・・・・ 1重量部 ポリビニルアルコール12重量%溶液・・・・・・・・ 1重量部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5重量部
【0057】次に、調整した感熱発色層形成用の塗工液
(1)を50g/m2 の上質紙からなる基体上に塗布量
7g(dry)/m2 の割合に塗工,乾燥し、さらにキ
ャレンダー処理を施すことにより、ベック平滑度が50
0秒の感熱発色層を有する本発明の実施例品である感熱
記録体(1)を得た。
【0058】実施例2 実施例1の感熱記録体(1)の製造工程中の感熱発色層
形成用の塗工液(1)を調整する工程において、組成
(C)における2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールの代わりに、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを使用
し、また、ヒンダードアミン系化合物として、組成
(D)における[化6]で表示される化合物の代わり
に、前記した[化2]で表示される化合物を利用するこ
とにより、塗工液(2)を調整し、それ以外は全て実施
例1に対応する処方により本発明の別の実施例品である
感熱記録体(2)を得た。
【0059】実施例3 実施例1の感熱記録体(1)の製造工程中の感熱発色層
形成用の塗工液(1)を調整する工程において、組成
(C)における2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールの代わりに、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを使用
し、また、ヒンダードアミン系化合物として、組成
(D)における[化6]で表示される化合物の代わり
に、前記した[化11]で表示される化合物を利用する
ことにより、塗工液(3)を調整し、それ以外は全て実
施例1に対応する処方により本発明の別の実施例品であ
る感熱記録体(3)を得た。
【0060】比較例1 実施例1の感熱記録体(1)の製造工程中の感熱発色層
形成用の塗工液(1)を調整する工程において、組成
(A)による(a)液と組成(B)による(b)液とを
利用して塗工液(4)を調整し、それ以外は全て実施例
1に対応する処方により、比較のための感熱記録体
(4)を得た。
【0061】比較例2 実施例1の感熱記録体(1)の製造工程中の感熱発色層
形成用の塗工液(1)を調整する工程において、組成
(A)による(a)液と組成(B)による(b)液と組
成(D)による(d)液とを利用して塗工液(5)を調
整し、それ以外は全て実施例1に対応する処方により、
比較のための感熱記録体(5)を得た。
【0062】比較例3 実施例1の感熱記録体(1)の製造工程中の感熱発色層
形成用の塗工液(1)を調整する工程において、組成
(A)による(a)液と組成(B)による(b)液と組
成(C)による(c)液とを利用して塗工液(6)を調
整し、それ以外は全て実施例1に対応する処方により、
比較のための感熱記録体(6)を得た。
【0063】[評価]実施例1〜3及び比較例1〜3で
得られた各感熱記録体に対する印字を、セイコー電子工
業 (株) 製の感熱プリンター「DPU−412」によっ
て行ない、各感熱記録体の地肌濃度と印字の発色濃度
(画像濃度)とを、光学濃度計マクベスRD918を用
いて測定した。
【0064】また、印字後の感熱記録体にスガ試験機製
キセノンウエザーメーターXWL−6Rを、感熱発色層
面の放射照度が20W/m2 になるようにして48時間
照射し、積算放射照度365.6KJ/m2 を受けた後
の感熱記録体の地肌濃度と印字の発色濃度(画像濃度)
とを同様にして測定した。
【0065】結果を[表1]に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【効果】本発明の感熱記録体は、近赤外部に吸収域を有
する鮮明な発色画像が記録されることから、半導体レー
ザ光での読み取りができる。
【0068】また、本発明の感熱記録体は、光による地
肌かぶりの抑制が極めて顕著であり、保存特性において
優れた効果を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−63176(JP,A) 特開 昭62−284782(JP,A) 特開 昭62−11681(JP,A) 特開 昭60−219086(JP,A) 特開 昭60−187584(JP,A) 特開 平2−273287(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/28 - 5/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に脂肪酸第2鉄塩とキレート剤と
    を発色成分とする感熱発色層を有する感熱記録体におい
    て、前記感熱発色層中にベンゾトリアゾール系紫外線吸
    収剤とヒンダードアミン系化合物とが、該感熱発色層の
    全固形成分のそれぞれ0.5〜10.0重量%ずつ添加
    されていることを特徴とする感熱記録体。
  2. 【請求項2】 キレート剤が多価フェノール及び/又は
    ジチオカルバミン酸塩である請求項1に記載の感熱記録
    体。
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