JP3116056B2 - 建築物の構造 - Google Patents

建築物の構造

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JP3116056B2
JP3116056B2 JP04086331A JP8633192A JP3116056B2 JP 3116056 B2 JP3116056 B2 JP 3116056B2 JP 04086331 A JP04086331 A JP 04086331A JP 8633192 A JP8633192 A JP 8633192A JP 3116056 B2 JP3116056 B2 JP 3116056B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、躯体構成の単純化、軽
量化と施工の合理化を可能とした建築物の構造に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ラ−メン構造で形成された鉄筋コ
ンクリ−ト造の構築物における柱と梁の接合部、即ち一
般的にパネルゾ−ンといわれる部分は、梁鉄筋に生ずる
応力を柱に円滑に伝達させる必要があり、種々の接合構
造が用いられてきている。ここで、前記各梁には床から
の荷重が所定の負担幅でもって応力伝達され、その両端
部において前記各柱に該応力を伝達することとなるた
め、前記パネルゾ−ンには相当の応力が集中することと
なる。そこで、従来の接合構造では、該パネルゾ−ンに
ハンチを形成するなどして所定の補強手段を講じてい
た。
【0003】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、前記ハンチは
下階の空間内に突出形成されるものであり、空間計画上
からは有効な空間を確保する上で大きな支障となってい
た。一方、かかるハンチを無くそうとすれば、床、梁、
柱等の断面形状を全体として大きくする必要があり、構
造設計上不合理なものとなる問題を有していた。また、
従来の配筋構成については、床スラブを例にとると床梁
の部分では少なくとも4本の主筋が梁間方向に配設され
るとともに、該梁間方向に沿って所定ピッチで各主筋を
囲む形態でスタ−ラップ筋が組付けられており、配筋構
成が複雑であるとともに、配筋作業が煩雑化して施工性
の点で問題を有し、重量的にも相当重くなっていた。
【0004】本発明は、上記問題点を解決するために提
案されたものであり、壁と床の接合部を簡潔な構成によ
り剛接合とすることにより、軽量化された鉄筋コンクリ
−ト構造を可能とし、さらに該接合部位置に沿って水平
方向に可及的に連続した剛接合部位を形成することによ
り、該接合部における応力集中個所を排除して構成の単
純化や、施工の合理化を図りうる建築物の構造を提供す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る建築物の構造では、鉄筋コンクリ−トから
なる壁と床の接合部において、前記床もしくは床梁の主
筋と前記壁の主筋とが略同一鉛直面内に各々配置されて
おり、前記床との各接合部位置で、前記壁の主筋には各
々補強プレ−トが固着されており、該各補強プレ−トの
上端部近傍と下端部近傍には、水平方向に所定長さを有
するL型断面の支持金物が、前記補強プレ−ト表面とで
嵌合溝を形成するように各々固着されており、この上下
の支持金物の前記嵌合溝に前記床もしくは床梁の上下の
主筋端部を落とし込むことにより、各主筋相互を接合す
るようにしたことを特徴としている。なお、前記床もし
くは床梁の主筋の両端部には、前記支持金物の両端部外
に位置するように、あらかじめ一対の剪断補強帯板が固
着されている構成とするのが望ましい。
【0006】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図面により説
明する。図1乃至図3は本発明の一実施例を示すもので
ある。壁1は、図1に示すように一対の主筋3、3をラ
チス筋4で連結して形成された鉄筋群とコンクリ−ト5
とからなり、対向配置された前記壁1の主筋3、3と、
補助筋としての前記ラチス筋4とで、一体に形成された
剪断補強鉄筋構造体Sを構成している。なお、主筋3と
各ラチス筋4との接合部は所定の接着剤等にて強固に接
合されている。
【0007】また、床2との各接合部位置では、該壁1
の主筋3、3間に各々所定肉厚を有する金属製の補強プ
レ−ト6が固着されている。なお、本実施例ではコンク
リ−トとの定着を良好にするため、補強プレ−ト6の中
央部に円形穴6aが穿設形成されているが、条件によっ
ては該穴6aは省略してもよいものである。
【0008】また、図2及び図3に示すように、各補強
プレ−ト6の上端部近傍と下端部近傍には、水平方向に
所定長さを有するL型断面の支持金物7が、前記補強プ
レ−ト6の表面とで嵌合溝8を形成するように各々固着
されている。一方、前記床2は、上下一対の主筋9、9
をラチス筋10で連結し、両端部には各々一対の剪断補
強帯板11が後述する所定間隔をおいて上下一対の主筋
9、9間に固着されている。
【0009】床2は上記の如く形成された鉄筋群とコン
クリ−ト12とからなり、対向配置された前記床2の主
筋9、9と、補助筋としての前記ラチス筋10及び剪断
補強帯板11とで、前記壁1と同様に一体に形成された
剪断補強鉄筋構造体Sを構成しており、主筋9と各ラチ
ス筋10との接合部は、本実施例では壁1と同様に所定
の接着剤等にて強固に接合されている。
【0010】なお、前記上下一対の支持金物7、7によ
り形成される上下の嵌合溝8、8間の間隔は、床2の上
下の主筋9、9間の間隔に等しく設定されており、ま
た、前記一対の剪断補強帯板11、11間の内々寸法W
は、前記支持金物7の長さ寸法に等しいか、極僅か大き
く設定されている。
【0011】しかして、壁1と床2の接合にあたって
は、あらかじめ先組された壁1の剪断補強鉄筋構造体S
を所定位置に配置し、しかる後に、あらかじめ先組され
た床2の剪断補強鉄筋構造体Sの上下の主筋9、9の端
部を、対応する上下の支持金物7の前記嵌合溝8に落と
し込むことにより、図3に示すように各主筋相互を接合
するようになっている。この壁1及び床2の剪断補強鉄
筋構造体S相互を接合した後に、適宜手段にて壁1及び
床2のコンクリ−ト5、12を打設形成すればよいもの
である。
【0012】かかる本実施例においては、前記補強プレ
−ト6を壁1の各主筋3毎に固着してゆくことにより、
前記接合部に沿って水平方向に密に連続配置すれば、該
接合部位置に沿って、可及的に連続した剛接合部位を形
成することができ、結果として、一部の剛接合部位に応
力が集中するのを防止しうる。よって、上記した従来例
のように剛接合部位にハンチ等の補強手段を設ける必要
がなくなる。
【0013】また、床2については、従来の床梁に相当
する位置には基本的には上下一対の主筋9、9とこれを
一体に連結するラチス筋10だけが同一鉛直面内に配置
されればよい構成であるため、従来の床梁の配筋構成と
比較して、その構成が単純化されるとともに、軽量化
や、施工の合理化を図りうるものである。また、壁1及
び床2の剪断補強鉄筋構造体S相互を接合する際には、
上記の如く床2の両端部の主筋9、9を各々対応する上
下の支持金物7の前記嵌合溝8に落とし込むだけで、ガ
タつきを押さえた接合ができるため、さらに施工の合理
化を図ることが可能となる。
【0014】さらに、壁1の主筋3とラチス筋4、及び
床2の主筋9とラチス筋10とが各々一体となって剛性
の高い剪断補強鉄筋構造体Sを形成しており、前記した
壁1と床2の接合部も剛接合に近い状態となっているた
め、コンクリ−ト打設前の壁1及び床2の鉄筋群全体が
それ自体で一体強固に自立可能となる。よって、いわゆ
るネット型枠工法を利用してコンクリ−ト打設を行なう
場合には、従来必要であった一般的な型枠建込、支保工
の設置が不要となるものである。なお、本発明は上記実
施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない
範囲内で種々の変形例が可能であることは云うまでもな
い。
【0015】
【発明の効果】本発明は上述した如く構成されており、
壁と床の接合部を簡潔な構成により剛接合とすることに
より、薄肉の鉄筋コンクリ−ト構造を可能とし、さらに
該接合部位置に沿って水平方向に可及的に連続した剛接
合部位を形成することにより、該接合部における応力集
中個所を排除して軽量化や、施工の合理化を図りうる。
さらに、壁、床の鉄筋群を主筋と補助筋もしくは補助帯
板とが一体となった剪断補強鉄筋構造体として形成する
ことにより、コンクリ−ト打設前及び打設時の自立性の
高い構造とすることができ、特にネット型枠工法の適用
に好適なものとなるなど種々の有用な効果を奏しうるも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概念的要部縦断面図で
ある。
【図2】壁と床の鉄筋の接合部を示す説明図である。
【図3】壁と床の鉄筋の接合部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 壁 2 床 3 壁主筋 4 補助筋(ラチス筋) 5 コンクリ−ト 6 補強プレ−ト 7 支持金物 8 嵌合溝 9 床主筋 10 補助筋(ラチス筋) 11 剪断補強プレ−ト 12 コンクリ−ト S 剪断補強鉄筋構造体

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄筋コンクリ−トからなる壁と床の接合部
    において、前記床もしくは床梁の主筋と前記壁の主筋と
    が略同一鉛直面内に各々配置されており、前記床との各
    接合部位置で、前記壁の主筋には各々補強プレ−トが固
    着されており、該各補強プレ−トの上端部近傍と下端部
    近傍には、水平方向に所定長さを有するL型断面の支持
    金物が、前記補強プレ−ト表面とで嵌合溝を形成するよ
    うに各々固着されており、この上下の支持金物の前記嵌
    合溝に前記床もしくは床梁の上下の主筋端部を落とし込
    むことにより、各主筋相互を接合するようにしたことを
    特徴とする建築物の構造。
  2. 【請求項2】前記床もしくは床梁の主筋の両端部には、
    前記支持金物の両端部外に位置するように、あらかじめ
    一対の剪断補強帯板が固着されている請求項1記載の建
    築物の構造。
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