JPH10196046A - 鉄骨部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 型鋼サイズの縮小化を図ることができると共
に、耐火被覆を不要にすることができる鉄骨部材を提供
する。 【解決手段】 鉄骨部材１は、ウェブ２及びウェブ２を
挟む上下のフランジ３ａ，３ｂからなるＨ型鋼４を備え
る。ウェブ２の両面にはスタッド５が溶接により取り付
けられている。ウェブ２の両面側におけるフランジ３
ａ，３ｂの各内側面にはひげ状鉄筋６が溶接にて取り付
けられている。ウェブ２の両面側における上下のフラン
ジ３ａ，３ｂ間にはメッシュ筋７が配設されている。上
下のフランジ３ａ，３ｂとウェブ２の両側面との間の空
間にはコンクリートＣが充填されており、これにより、
コンクリートＣがスタッド５を介してウェブ２に結合さ
れると共に、ひげ状鉄筋６を介して上下のフランジ３
ａ，３ｂに結合されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の梁や柱と
して用いられる鉄骨部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、梁や柱として用いる例えばＨ型鋼
の断面性能から建築物の構造設計を行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Ｈ型鋼
の断面性能で構造設計を行うと、大きな許容応力度を必
要とする構造では型鋼のサイズが大きくなり、特に型鋼
を梁として用いる場合には梁せいが高くなって床から天
井までの高さを高くする妨げになる。

【０００４】また、型鋼は鉄骨露出面が多いために耐火
被覆が必要となって該被覆作業が面倒である。本発明は
かかる不都合を解消するためになされたものであり、型
鋼サイズの縮小化を図ることができると共に、耐火被覆
を不要にすることができる鉄骨部材を提供することを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、請求項１に係る鉄骨部材は、ウェブ及び該ウェブ
を挟む上下のフランジからなる型鋼と、前記ウェブと前
記上下のフランジとで囲まれる空間に充填されたコンク
リートと、前記ウェブに設けられて該ウェブと前記コン
クリートとを結合する第１の結合部材とを備えたことを
特徴とする。

【０００６】ここで、本発明にいうウェブ及び該ウェブ
を挟む上下のフランジからなる型鋼とは、Ｈ型鋼、Ｉ型
鋼及びみぞ型鋼を含む概念とする。請求項２に係る鉄骨
部材は、前記上下のフランジの内側面に設けられて該上
下のフランジと前記コンクリートとを結合する第２の結
合部材とを備えたことを特徴とする。

【０００７】請求項３に係る鉄骨部材は、前記第１の結
合部材はスタッドであることを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図１及び図２を参照して説明する。図１は本発明の実
施の形態の一例である鉄骨部材を説明するための説明的
断面図、図２は該鉄骨部材の一部を切り欠いた全体斜視
図である。なお、この実施の形態では、型鋼としてＨ型
鋼を例に採る。

【０００９】図１及び図２に示すように、鉄骨部材１
は、ウェブ２及び該ウェブ２を挟む上下のフランジ３
ａ，３ｂからなるＨ型鋼４を備える。ウェブ２の両面に
はスタッド（第１の結合部材）５が溶接により取り付け
られており、該スタッド５はＨ型鋼４の長手方向に所定
の間隔で複数配置されている。ウェブ２の両面側におけ
るフランジ３ａ，３ｂの各内側面にはひげ状鉄筋（第２
の結合部材）６が溶接にて取り付けられており、該ひげ
状鉄筋６はＨ型鋼４の長手方向に所定の間隔で複数配置
されている。また、ウェブ２の両面側における上下のフ
ランジ３ａ，３ｂ間にはメッシュ筋７が配設されてい
る。

【００１０】上下のフランジ３ａ，３ｂとウェブ２の両
側面との間の空間にはコンクリートＣが充填されてお
り、これにより、コンクリートＣがスタッド５を介して
ウェブ２に結合されると共に、ひげ状鉄筋６を介して上
下のフランジ３ａ，３ｂに結合されている。かかるコン
クリートＣの充填は上下のフランジ３ａ，３ｂの先端間
に図示しない型枠を配設してコンクリートを打設するこ
とによりなされる。なお、図１において符号８はＲＣス
ラブとの合成梁とする場合に、該ＲＣスラブとの一体効
果を増大させるために上フランジ３ａの上面に溶接にて
取り付けられたスタッドであり、図２において符号９は
連結手段の一例であるつなぎピースである。

【００１１】このようにこの実施の形態では、上下のフ
ランジ３ａ，３ｂとウェブ２の両側面との間に充填され
たコンクリートＣがスタッド５を介してウェブ２に結合
されると共にひげ状鉄筋６を介して上下のフランジ３
ａ，３ｂに結合されているため、鉄骨部材１の断面性能
をＨ型鋼単体のものと比較して大幅に向上させることが
できる。この結果、鉄骨部材１のＨ型鋼４のサイズの縮
小化を図ることができ、鉄骨部材１を梁として用いる場
合に梁せいが低くなって床から天井までの高さを高くす
ることが可能になる。

【００１２】また、上下のフランジ３ａ，３ｂとウェブ
２の両側面との間にコンクリートＣが充填されているた
め、Ｈ型鋼４の露出面がほとんどなくなって耐火被覆を
不要にすることができる。

【００１３】更に、コンクリートＣの充填を前もって工
場で行うことにより該コンクリート面を平滑にして仕上
げを不要にすることができ、また、鉄骨部材１を工場生
産とすることで工期の短縮とコストダウンを図ることが
できる。

【００１４】なお、上記実施の形態では、型鋼としてＨ
型鋼４を例に採ったが、これに限定されず、Ｉ型鋼や図
に示すようなウェブ１０及びウェブ１０を挟む上下のフ
ランジ１１ａ，１１ｂからなるみぞ型鋼にも本発明を適
用することができる。

【００１５】また、上記実施の形態では、第２の結合部
材としてひげ状鉄筋６を例に採ったが、これに限定され
ず、ひげ状鉄筋６以外の例えばスタッドを用いてもよ
い。更に、上記実施の形態では、ウェブ深さの浅いＨ型
鋼を想定して、コンクリートＣの滑落を防止すべく、ス
タッド５の他にひげ状鉄筋６及びメッシュ筋７を設けた
場合を例に採ったが、ウェブ深さの深いＨ型鋼において
はスタッド５のみでもよく、また、ウェブ深さに応じて
スタッド５とひげ状鉄筋６のみの組合せやスタッド５と
メッシュ筋７のみの組合せを採用してもよい。

【００１６】

【発明の効果】上記の説明から明らかなように、請求項
１の発明では、ウェブと上下のフランジとの間に充填さ
れたコンクリートが第１の結合部材を介してウェブに結
合されているため、鉄骨部材の断面性能を型鋼単体のも
のと比較して大幅に向上させることができる。この結
果、鉄骨部材の型鋼サイズの縮小化を図ることができ、
鉄骨部材を梁として用いる場合に梁せいが低くなって床
から天井までの高さを高くすることができるという効果
が得られる。

【００１７】また、上下のフランジとウェブとの間にコ
ンクリートが充填されているため、型鋼の露出面がほと
んどなくなって耐火被覆を不要にすることができるとい
う効果が得られる。

【００１８】更に、コンクリートの充填を前もって工場
で行うことにより該コンクリート面を平滑にして仕上げ
を不要にすることができ、また、鉄骨部材を工場生産と
することで工期の短縮とコストダウンを図ることができ
る。

【００１９】請求項２の発明では、請求項１の発明に加
えて、ウェブ深さが浅い場合においてコンクリートの滑
落を良好に防止することができるという効果が得られ
る。請求項３の発明では、請求項１又は２の発明に加え
て、第１の結合部材をスタッドとすることにより、コン
クリートとウェブとの結合力をより強固にすることがで
きるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の一例である鉄骨部材を説
明するための説明的断面図である。

【図２】該鉄骨部材の一部を切り欠いた全体斜視図であ
る。

【図３】本発明の他の実施の形態である鉄骨部材を説明
するための説明的断面図である。

【符号の説明】

１…鉄骨部材 ２…ウェブ ３ａ，３ｂ…上下のフランジ ４…Ｈ型鋼 Ｃ…コンクリート ５…スタッド（第１の結合部材） ６…ひげ状鉄筋（第２の結合部材）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ウェブ及び該ウェブを挟む上下のフラン
   ジからなる型鋼と、前記ウェブと前記上下のフランジと
   で囲まれる空間に充填されたコンクリートと、前記ウェ
   ブに設けられて該ウェブと前記コンクリートとを結合す
   る第１の結合部材とを備えたことを特徴とする鉄骨部
   材。
2. 【請求項２】 前記上下のフランジの内側面に設けられ
   て該上下のフランジと前記コンクリートとを結合する第
   ２の結合部材とを備えたことを特徴とする請求項１記載
   の鉄骨部材。
3. 【請求項３】 前記第１の結合部材はスタッドであるこ
   とを特徴とする請求項１又は２記載の鉄骨部材。