JP3112392B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP3112392B2
JP3112392B2 JP07104432A JP10443295A JP3112392B2 JP 3112392 B2 JP3112392 B2 JP 3112392B2 JP 07104432 A JP07104432 A JP 07104432A JP 10443295 A JP10443295 A JP 10443295A JP 3112392 B2 JP3112392 B2 JP 3112392B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単色表示またはカラー
表示などを行う液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の液晶表示装置における表
示素子は、外部光を変調する非発光素子であるため、低
消費電力であり、また、フラットパネルディスプレイに
適用できるため、薄型軽量であるという優れた特徴を発
揮し、時計、電卓、コンピュータ端末、ワードプロセッ
サおよびテレビ受信機などに用いられる情報表示装置と
して、広い分野にわたって利用されている。
【0003】一方、現代は高度情報化社会というキーワ
ードに代表されるように、情報の流通量が増大し、各個
人における情報の収集や選択に対する要求が増大してい
る。このような社会的背景において、個人用の携帯用情
報端末の必要性が広く認識され、その実現が期待されて
おり、積極的に開発が進められている。
【0004】この携帯用情報端末においては、マンマシ
ンインターフェースとしての情報表示装置が重要な役割
を担い、この装置のキーデバイスとして位置づけられて
いる。
【0005】また、この携帯用情報端末の表示装置に
は、大容量の情報が表示でき、軽量薄型で、視認性に優
れ、低消費電力という特性が要求されるが、液晶表示素
子は、このような特性を満足する表示素子として期待さ
れ、その開発が積極的に進められている。
【0006】ところで、液晶を携帯用情報端末の表示素
子として用いる場合、表示情報量の点からもカラー表示
が行えることが望ましい。液晶を用いてカラー表示を行
う場合、液晶セル内に、表示画素毎に赤、緑、青のカラ
ーフィルタを形成したマイクロカラーフィルタ方式が用
いられており、後述する各種方式によって各色の光強度
を変調することで、複数画素で加法混色法によりカラー
表示が行われている。現在、実用化されているカラー液
晶表示方式では、ほとんどがこの方式を用いている。
【0007】このカラーフィルタの代わりにカラー偏光
子を用いることによってカラー表示を行う方式(特開昭
58−17420号公報および特開昭58−17421
号公報)も提案されている。この方式では、カラー偏光
子を画素毎にパターン化することによって、カラー表示
を可能としている。
【0008】前述のカラー化方式に、光強度を変調する
種々の表示方式を組み合わせて実際のカラー液晶表示素
子を実現することができる。
【0009】この光強度を変調する代表的な方式とし
て、TN(Twisted Nematic)方式があげられる。この
方式は、2枚の基板間に液晶を配し、一方の基板から他
方の基板まで液晶分子の配向を90度ねじった構成の液
晶セルを用いる。このように、液晶分子を配向させた場
合、光学的には旋光性を示し、電極間の印加電圧により
液晶分子の配向を変化させると旋光性が解消される。こ
れにより、光の透過量が変化し、光強度を変調すること
ができて表示が行える。
【0010】このTN方式は、低電圧、低消費電力であ
り、コントラストがよく、階調表示が可能であるため、
各種動作モードのうちでも最も広く液晶ディスプレイに
用いられている。
【0011】上記TN方式は前述したように数多くの優
れた特徴を有しているが、閾特性が急峻でないために、
それだけでは大容量の表示に適さない。そこで、大容量
表示を行う場合には薄膜トランジスタ(以下TFTとい
う)などの能動素子と組み合わせて用いるのが一般的で
ある。
【0012】これに対して、液晶分子の捻れ角を90度
よりも大きくした、いわゆるSTN(Super Twisted Ne
matic)方式が提案されている。この方式は、光学的な
旋光性と複屈折効果を用いるもので、閾特性が急峻なた
め、マルチプレックス駆動に適し、TFTのような能動
素子を使用しなくとも大容量表示を行うことができる。
しかし、この表示方式では、旋光性と複屈折効果を利用
しているために、当初は白黒の表示が行えなかった。そ
の後、光学的に位相補償を行うことにより無彩色化が達
成され、現在はワードプロセッサーや携帯型のコンピュ
ータの表示装置として多く利用されている。
【0013】その他に、液晶中に二色性の色素を混入
し、液晶分子の配向を変化させることにより、色素分子
を配向させ、その吸収異方性を利用して表示を行うゲス
ト・ホスト(GH)方式がある。このゲスト・ホスト方
式には、偏光板を使用するハイルマイヤー型や、偏光板
を使用しない相転移型などがある。
【0014】このゲスト・ホスト方式は、何れの方式も
視野角が広いという特徴を有している。また、相転移型
は偏光板を用いなくても表示が行えるため、明るいディ
スプレイが実現できる。
【0015】さらに、ポリマーマトリクス中に液晶を分
散させ、ポリマーと液晶の屈折率の不一致による散乱効
果を利用した表示方式も提案されている。この方式も、
偏光板を用いなくても表示が行えるため、明るいディス
プレイが実現できることや、視野角が広いという特徴を
有している。
【0016】さらに、強誘電性液晶(FLC)を用い、
その複屈折効果を利用した方式も提案されている。この
方式は応答速度が非常に速く、またメモリ性をも有する
という特徴を持っている。
【0017】上記した各方式は、何れも色分離手段と光
強度変調手段を組み合わせたものであるが、その他に
も、液晶を用いたカラー表示方式が提案されている。
【0018】白黒表示装置の前面に透過光の波長を制御
できる液晶層を設け、時間順次に透過光の波長を切り替
えることによりカラー表示を行う方法(Proc.Eurodispl
ay 7ヘ゜ーシ゛(1984年))も提案されている。これは、CR
Tなどの発光素子の前面にカラーフィルタ機能を有する
液晶光シャッタを置き、発光素子が赤、緑、青の画像を
形成するのに同期させてカラーフィルタ機能を有する液
晶シャッタを赤、緑、青の順にスイッチする。これを時
間順次に繰り返すことで、カラー表示を行うものであ
る。
【0019】また、複屈折性を有する物質を、直交した
偏光子の間に挿入すると、常光と異常光の位相差に応じ
た干渉色を示す現象はよく知られている。そこで、液晶
の複屈折性を利用して、電界によって液晶セルの複屈折
量を制御する電界制御複屈折(ECB)効果により、1
画素で多色表示を行う方式(Appl.Phys.Lett.19巻391ヘ゜
ーシ゛(1971年)、Electronics Lett.7巻699ヘ゜ーシ゛(1971年))
も提案されている。
【0020】その他、画素毎に吸収波長の異なる二色性
色素を添加したゲスト・ホスト液晶を封入してカラー表
示を行う方式(特開昭55−9515号公報および特開
昭55−26584号公報)や、吸収波長の異なるゲス
ト・ホスト液晶を用いた液晶セルを積層することによ
り、減法混色によってカラー表示を行う方式(Proc.SID
22巻41ヘ゜ーシ゛(1981年))も提案されている。さらには、
コレステリック液晶の選択反射現象を利用して表示を行
う方式も提案されている。
【0021】このコレスティック液晶がその螺旋ピッチ
に対応した波長の光を選択的に反射する現象は、文献
(Appl.Opt.7巻9号1729ヘ゜ーシ゛(1968年)、Phys.Rev.Lett.2
5巻9号577ヘ゜ーシ゛(1970年))などでよく知られている。具
体的には、右巻きのコレステリック液晶は、液晶の屈折
率異方性をΔn、ピッチをp,反射中心波長をΔλとす
れば、 Δλ=2Δn・p (1) の範囲にある入射光の右回りの円偏光成分のみを選択的
に反射し、それ以外の波長の右回り円偏光成分や全ての
波長の左回り円偏光成分は透過する。
【0022】このとき、反射中心波長λmは λm=na・p (2) で表される。ただし、naは液晶の平均屈折率である。
【0023】また、左巻きのコレステリック液晶につい
ては、前述した右巻きのコレステリック液晶の場合とは
反対の作用をする。
【0024】即ち、図9に左巻きのコレステリック液晶
の選択反射現象を模式的に示している。図9に示すよう
に、左巻きのコレステリック液晶に右および左円偏光成
分が入射する場合、所定波長範囲にある入射光の左回り
の円偏光成分のみを選択的に反射し、それ以外の波長の
左回り円偏光成分や全ての波長の右回り円偏光成分はコ
レステリック液晶層を透過する。
【0025】ここで、選択反射効果を有するものとして
コレステリック液晶がまず挙げられるが、通常のネマテ
ィック液晶にカイラル剤を添加したカイラルネマティッ
ク液晶や、カイラルスメクティック液晶も、光学的には
コレステリック液晶と同等の選択反射効果を示す。ま
た、コレステリック液晶は一般的に化学的雰囲気または
紫外線に対して不安定で信頼性が低い。これに対し、カ
イラルネマティック液晶は耐光性に優れ、安定であり、
ピッチの調節が比較的容易であり、反射波長幅の調節も
しやすく材料選択の幅が広いため実用には一般にカイラ
ルネマティック液晶が使用されている。そこで、以下で
は特に断わらない限り、カイラルネマティック液晶を用
いて説明を行う。ただし、このカイラルネマティック液
晶をコレステリック液晶やカイラルスメクティック液晶
としても、以下の説明には特に異なることはない。
【0026】従来から、このカイラルネマティック液晶
の特異な光学特性を利用し、種々の光学素子が提案され
ている。
【0027】具体的には、右回りのカイラルネマティッ
ク液晶セルと左回りのカイラルネマティック液晶セルを
積層した、または、2枚の右巻きまたは左卷きのカイラ
ルネマティック液晶セルの間に1/2波長板を挿入した
光学的ノッチフィルタ(J.Appl.Phys.42巻10号4096ヘ゜ーシ
゛(1971年))がある。
【0028】また、材料を選択することで、螺旋ピッチ
が温度に敏感なカイラルネマティック液晶が作製でき、
これが温度計やアクセサリーなどに用いられたり、温度
を変化させることでカラー表示を行う方式(特開昭55
ー45022号公報)についても提案されている。
【0029】さらに、このカイラルネマティック液晶を
反射板として用い、液晶の動的散乱効果を用いたDSM
方式や、相転移方式の液晶バルブと組み合わせて表示を
行う方式(特開昭59−116680号公報および特開
昭60−133426号公報)も提案されている。
【0030】同様に、このカイラルネマティック液晶と
高分子分散型液晶表示方式の散乱効果を利用した光バル
ブを組み合わせて、投射型表示装置を実現したものも、
文献(特開平4−188111号公報および特開平4−
188112号公報)で報告されている。
【0031】さらに、コレステリック液晶ポリマーによ
る選択反射とTN表示方式を組み合わせ、さらに1/4
波長板を組み合わせて表示を行う方式(特開平6−23
0362号公報)が提案されている。これは、TN液晶
セルによる旋光性を利用したものであり、電圧無印加時
と電圧印加時で偏光方向を90°回転させることで、1
/4波長板に入射する偏光方向を切り替えて、左右円偏
光をスイッチングすることにより表示を行うものであ
る。この表示素子の構成を図10に示している。
【0032】図10において、上側基板1上に透明電極
2さらに配向膜3が順次設けられて電極基板が構成さ
れ、また、下側基板4上に透明電極5さらに配向膜6が
順次設けられて電極基板が構成されいる。これら電極基
板を配向膜3,6が対向するように配置し、その間に液
晶7を挟持して液晶セルが構成される。この液晶セルの
上側基板1の光入射側に偏光板8が設けられ、下側基板
4側に1/4波長板9、コレステリック液晶ポリマーフ
ィルム10さらに光吸収板11が設けられている。
【0033】この構成における1/4波長板9の作用に
ついて考察すると、液晶7のTN層を光の偏光方向をス
イッチングする素子として用いており、このため、TN
層に電界を印加しない場合(OFF)には、図12に示
すように、1/4波長板9の光軸に対して−45°の直
線偏光が1/4波長板9に入射し、この1/4波長板9
を透過した後では、右円偏光となる。これに対して、T
N層に十分な電界を印加した場合(ON)はこれとは逆
の現象となる。即ち、1/4波長板9の光軸に対して±
45°(−45°または+45°)の方向に入射した直
線偏光はその偏光方向によって右円偏光または左円偏光
に変換される。このように、電圧無印加時と電圧印加時
で偏光方向を90°回転させることで、1/4波長板9
に入射する偏光方向をTN層で切り替えて、左右円偏光
をスイッチングすることにより表示を行う。
【0034】次に、コレステリック液晶ポリマーによる
選択反射とTN、ECB、STN、FLC、相転移型ゲ
スト・ホスト、高分子分散型ゲスト・ホストなどの表示
方式とを組み合わせ、さらに1/4波長板を組み合わせ
て出射光を円偏光にし、その振幅強度を上記表示方式に
よって変調することで表示を行う方式(特開平6−23
0371号公報)も提案されている。この表示素子の構
成をTN方式を用いた場合について図11に示してい
る。
【0035】図11において、上側の透明基板21上に
透明電極22さらに配向膜23が順次設けられて電極基
板が構成され、また、下側の透明基板24上に透明電極
25さらに配向膜26が順次設けられて電極基板が構成
されいる。これら電極基板を配向膜23,26が互いに
対向するように配置し、その間に液晶27を挟持して液
晶セルが構成される。この液晶セルの透明基板21の光
入射側に偏光板28が設けられ、また、透明基板24の
光出射側に偏光板29、接着層30、1/4波長板3
1、接着層32、コレステリック液晶ポリマー反射板3
3さらに光吸収板34が順次設けられている。
【0036】さらに、カイラルネマティック液晶素子を
ハーフミラーとして用い、CRTまたはLCDにより構
成した画像と、外界の画像を合成し、ヘッドアップディ
スプレイを構成した文献(特開昭64−35478号公
報)もある。
【0037】その他の例として、2枚の右卷きまたは左
卷きのカイラルネマティック液晶セルの間にネマティッ
ク液晶セルを挿入したものを積層して3層構造とし、特
定の波長域において透過光量を制御し、カイラルネマテ
ィック液晶の螺旋ピッチを変えたものを3種類用意し
て、合計9層の液晶層によってそれぞれ異なる波長域の
制御を行うようにし、透過光のスペクトルを任意に変化
させる構成の液晶カラー光バルブ(IEEE Tran.Elect.De
v.ED-21巻171ヘ゜ーシ゛(1974年))がある。これは、前述し
たネマティック液晶セルに電圧を印加することによっ
て、そのリタデーションを変化させ、透過光量を変調す
るものである。
【0038】カイラルネマティック液晶層に直接電圧を
印加することにより、カイラルネマティック液晶の螺旋
ピッチを変化させて、色表示を行う方式(Mol.Cryst.1
巻325ヘ゜ーシ゛(1966年)、Phys.rev.Lett.24巻209ヘ゜ーシ゛(1970
年))も提案されている。これは、カイラルネマティッ
ク液晶の螺旋軸に平行かまたは垂直に電界を加え、螺旋
ピッチを変化させることで選択反射波長を可変する方式
である。
【0039】また、ポリマーマトリクス中に分散したカ
イラルネマティック液晶の選択反射を利用し、電圧無印
加時の散乱状態と、電圧印加時の選択反射状態とで表示
を行うカラー表示方式(特開平3−209425号公
報)も提案されている。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の液晶表示素子では、まず、カラー表示に適用した場
合に、以下に示すような問題を有していることについて
説明する。
【0041】即ち、画素毎にマイクロカラーフィルター
を形成する方式では、例えば赤、緑、青などの3色のカ
ラーフィルターを透過する光は1色のみであり、他の色
の光は吸収されるため、前述のどの液晶表示方式と組み
合わせても、原理的に光の利用効率が全光量の1/3以
下になっていしまい、光の利用効率という面で問題を有
していた。
【0042】また、従来用いられている表示方式は、偏
光子を用いるTN方式またはSTN方式が主であったた
め、外部光のさらに半分が吸収されて光の利用効率がさ
らに悪くなっていた。即ち、マイクロカラーフィルタと
TN方式またはSTN方式を組み合わせた場合、原理的
に最大でも外部光の1/6しか利用できないという問題
を有していた。
【0043】さらに、TN方式においては大容量表示を
行うために各画素毎に能動素子を形成する必要があり、
これが光を遮るため、さらに光の利用効率が悪化すると
いう問題があった。さらに、コントラストを向上させる
目的で、表示画素以外の部分にはブラックマトリックス
と呼ばれる遮光層が設けられ、これが光の利用効率をさ
らに悪化させている。
【0044】その上、能動素子を付加したTN方式の大
容量表示装置においては、隣接する画素間の横方向電界
のためにディスクリネーションが生じ、コントラストが
低下するという問題が生じ、これを解決するために、遮
光層によりディスクリネーション部分を覆い、コントラ
ストを良くするという技術が用いられている。これも光
の利用効率を悪化させる要因となっていた。
【0045】以上のような種々の原因により、現在一般
に用いられているTFTを使用した大容量表示のカラー
ディスプレイにおいては、典型的な外部光の利用効率は
僅か1〜5%にすぎない。
【0046】このため、上記従来のカラー表示方式を用
いたディスプレイでは、明るい表示を得るためにバック
ライトなどの外部光源を必要としている。これは、見易
い表示は得られる反面、液晶の消費電力以上にバックラ
イトの消費電力が大きくなったり、液晶ディスプレイの
厚さ以上にバックライトおよびその光学系部分の厚さが
厚くなるという問題が生じることになった。
【0047】これでは、薄型軽量、低消費電力という液
晶ディスプレイが本来有する優れた特徴を十分発揮して
いるとはいえない。
【0048】また、ゲスト・ホスト方式を積層した従来
のカラー表示方式では、上述した方式に比べて光の利用
効率が良く、明るい表示が得られている。しかし、閾特
性が急峻でないため、大容量表示を行うためには画素毎
にTFTなどの能動素子を形成する必要が有り、これを
多層化すると製造が困難になり、製造コストが高くなる
という問題があった。そのため、積層したゲスト・ホス
ト方式は大容量表示には適用されていない。
【0049】さらに、画素毎に異なるカラー偏光子を用
いる方式は、製造が困難であるため、いまだに実用化に
は到っていない。
【0050】さらに、白黒表示装置の前面に透過光の波
長を制御できる液晶層を設け、時間順次に透過光の波長
を切り替える方式は、高解像度のディスプレイが実現で
きるという特徴を有するが、時間順次の切り替えのた
め、赤、緑、青で表示を行った場合、明るさは、入射光
の1/3になり、光の利用効率の面では問題があった。
さらに、画像を形成するのが発光表示素子であるため、
反射型は実現できないという問題も有していた。
【0051】さらに、電界制御複屈折効果を利用したカ
ラー表示は、1画素で多色の表示が可能であるが、表示
できる色の純度が良くなく、表示色が温度に敏感であ
り、また、見る方向によって色が変化するなどの問題を
有していた。
【0052】カイラルネマティック液晶の温度を変化さ
せてカラー表示を行う例は、制御性に優れず、応答速度
が遅いため実用化には到っていない。
【0053】カイラルネマティック液晶層を反射板とし
て用い、種々の液晶表示方式と1/4波長板を組み合わ
せる従来の構成においては、散乱型の液晶表示素子と組
み合わせたものはコントラストが十分でなく、駆動電圧
が高いなどの問題を有していた。また、TN、ECB、
STN、FLCと組み合わせて光強度を変調した図11
に示すような場合、偏光子を2枚用いる必要があり、表
示が暗いという問題があった。さらに、相転移型ゲスト
・ホスト方式と組み合わせたものは、コントラストが十
分でなく大容量には適さず、応答速度が遅いという問題
を有していた。また、何れも1/4波長板を組み合わせ
る必要が有り、1/4波長板が存在する分、表示が暗く
なると共に、構成要素が増えることや、構造が複雑にな
り製造コストも高くなるという問題があった。
【0054】2枚のカイラルネマティック液晶セルの間
にネマティック液晶セルを挿入し、これを積層してカラ
ー表示を行う方式は、透過型で用いるためバックライト
が必要であることや、9枚の液晶セルが必要となり、表
示部が厚くなり、重量が増加するという問題を有してい
た。カイラルネマティック液晶層に直接電圧を印加する
方式では、選択反射波長の変化が小さいため多色表示が
困難であり、駆動電圧が高く、強度変調ができないとい
う問題を有していた。
【0055】ポリマーマトリクス中に分散したカイラル
ネマティック液晶の選択反射を利用した方式は、前述の
ポリマー中に液晶を分散し、散乱状態を用いた方式と同
様の欠点を有している。即ち、コントラストが十分取れ
ないことや、駆動電圧が高いことなどである。
【0056】このように、従来の表示方式では、液晶表
示素子本来の薄型軽量、低消費電力という優れた特徴を
十分発揮しているとはいえず、携帯用情報端末の表示装
置としては不十分であり、明るく、視認性に優れ、カラ
ー表示が可能な新しい情報表示端末用の表示方式が求め
られている。
【0057】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、薄型軽量、低消費電力で、かつ光の利用効率が良く
明るい液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0058】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置
は、入射光を直線偏光に変換する偏光子と、特定波長域
で特定偏光成分の光のみ選択的に反射する選択反射層
と、該偏光子と選択反射層との間に設けられた光学的な
複屈折性を示す液晶層と、該偏光子からの直線偏光が入
射される該液晶層の複屈折量を電場で制御することによ
り該液晶層からの出射光の偏光の楕円率を制御して、該
選択反射層からの反射光強度を変調させる変調制御手段
とを備え、前記液晶層は、相互に対向する面に配向膜が
それぞれ設けられた一対の基板間に配置されており、リ
タデーションが波長の3/4以上になるように、該液晶
の屈折率異方性Δnと前記基板の間隔dとが設定される
とともに、前記偏光子の偏光軸が、入射側の基板に設け
られた配向膜のラビング方向に対して45度の角度にな
っており、そのことにより上記目的が達成される。
【0059】また、本発明の液晶表示装置は、第1波長
域の光のみ直線偏光に変換する第1カラー偏光子、該第
1波長域で特定偏光成分の光のみ選択的に反射する第1
選択反射層、および、該第1カラー偏光子と第1選択反
射層との間に設けられ、該第1波長域の光において複屈
折性を示す第1液晶層を有する第1素子部と、該第1波
長域とは異なる第2波長域の光のみ直線偏光に変換する
第2カラー偏光子、該第2波長域で特定偏光成分の光の
み選択的に反射する第2選択反射層、および、該第2カ
ラー偏光子と第2選択反射層との間に設けられ、該第2
波長域の光において複屈折性を示す第2液晶層を有する
第2素子部と、該第1波長域および第2波長域とは異な
る第3波長域の光のみ直線偏光に変換する第3カラー偏
光子、該第3波長域で特定偏光成分の光のみを選択的に
反射する第3選択反射層、および、該第3カラー偏光子
と第3選択反射層との間に設けられ、該第3波長域の光
において複屈折性を示す第3液晶層を有する第3素子部
と、直線偏光が入射される該第1、2、3液晶層の複屈
折量を電場によってそれぞれ制御することにより該第
1、2、3液晶層からの出射光の偏光状態をそれぞれ変
調して、該第1、2、3選択反射層からの反射光強度を
それぞれ変調させる変調制御手段とを備えたものであ
り、そのことにより上記目的が達成される。
【0060】さらに、本発明の液晶表示装置は、該第1
波長域、第2波長域および第3波長域の光を直線偏光に
変換できる偏光子と、第1波長域で特定偏光成分の光を
選択的に反射する第1選択反射層、第2波長域で特定偏
光成分の光を選択的に反射する第2選択反射層、およ
び、第3波長域で特定偏光成分の光を選択的に反射する
第3選択反射層を有する選択反射層と、該偏光子と選択
反射層との間に設けられ、該第1波長域、第2波長域お
よび第3波長域の光において光学的に複屈折性を示す液
晶層と、該偏光子からの直線偏光が入射される該液晶層
の複屈折量を電場によって制御することにより該液晶層
からの出射光の偏光状態を変調して、該選択反射層から
の反射光強度をそれぞれ変調させる変調制御手段とを備
えたものであり、そのことにより上記目的が達成され
る。
【0061】さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装
置における選択反射層として、コレステリック液晶また
はカイラルネマティック液晶またはカイラルスメクティ
ック液晶、フィルム化した上記液晶、マイクロカプセル
化した上記液晶を用いる。
【0062】さらに、本発明の液晶表示装置は、第1波
長域、第2波長域および第3波長域の光を直線偏光に変
換する偏光子と、該第1波長域で特定偏光成分の光を選
択的に反射する第1コレステリック液晶またはカイラル
ネマティック液晶またはカイラルスメクティック液晶、
該第2波長域で特定偏光成分の光を選択的に反射する第
2コレステリック液晶またはカイラルネマティック液晶
またはカイラルスメクティック液晶、および、該第3波
長域で特定偏光成分の光を選択的に反射する第3コレス
テリック液晶またはカイラルネマティック液晶またはカ
イラルスメクティック液晶をマイクロカプセル化して混
合した選択反射層と、該選択反射層の裏面側に設けら
れ、該選択反射層を透過した少なくとも該第1波長域、
第2波長域および第3波長域の光を吸収する光吸収層
と、該偏光子と選択反射層との間に設けられ、該第1波
長域、第2波長域および第3波長域の光において光学的
に複屈折性を示す液晶層と、該偏光子からの直線偏光が
入射される該液晶層の複屈折量を電場によって制御する
ことにより該液晶層からの出射光の偏光の楕円率を制御
して、該選択反射層からの反射光強度をそれぞれ変調さ
せる変調制御手段とを備え、前記液晶層は、相互に対向
する面に配向膜がそれぞれ設けられた一対の基板間に配
置されており、リタデーションが波長の3/4以上にな
るように、該液晶の屈折率異方性Δnと前記基板の間隔
dとが設定されるとともに、前記偏光子の偏光軸が、入
射側の基板に設けられた配向膜のラビング方向に対して
45°の角度になっており、そのことにより上記目的が
達成される。
【0063】さらに、好ましくは、本発明の反射型液晶
表示装置においては上記構成に加えて、裏面側に設けら
れ、選択反射層を透過した光を吸収する光吸収層を有す
る。
【0064】また、具体的には、請求項1に加える光吸
収層は、選択反射層の裏面側に設けられ、選択反射層を
透過した少なくとも特定波長域の光を吸収する。さら
に、具体的には、請求項2に加える光吸収層は、第1、
2、3素子部を透過した少なくとも第1波長域、第2波
長域および第2波長域の光を吸収する。また、請求項3
に加える光吸収層は、選択反射層の裏面側に設けられ、
該選択反射層を透過した少なくとも該第1波長域、第2
波長域および第3波長域の光を吸収する。さらに、請求
項5に加える光吸収層は、選択反射層の裏面側に設けら
れ、選択反射層を透過した少なくとも第1波長域、第2
波長域および第3波長域の光を吸収する。
【0065】
【作用】本発明においては、選択反射効果を効率的に利
用することにより、薄型軽量、低消費電力で、光の利用
効率を向上させて明るい液晶表示装置を実現するもので
ある。この選択反射を示す物質としてコレステリック液
晶やカイラルネマティック液晶やカイラルスメクティッ
ク液晶、それらの液晶をフィルム化して分子配向を固定
したものや、高分子液晶を選択反射を示すように分子配
向制御してガラス化したものなどがあるが、ここでは、
カイラルネマティック液晶を用いて、以下の説明を行
う。
【0066】本発明は、偏光板と、複屈折性を有する液
晶を封入した液晶セルと、特定の波長域、例えば可視光
領域で特定偏光成分の光を選択反射する選択反射層とを
積層した光変調素子であり、この液晶セルは、変調制御
手段による電場の制御によってリタデーションRを変化
させて液晶層からの出射光を任意の偏光状態とすること
ができる。
【0067】ところで、この任意の偏光状態にある出射
光は、左右円偏光の合成で記述できる。即ち、直線偏光
も含めて、あらゆる楕円偏光は左右偏光成分の合成で表
される。
【0068】この任意の偏光状態にある出射光が入射さ
れる選択反射層としてのカイラルネマティック液晶は、
入射偏光のうち、そのピッチに対応した円偏光成分の光
のみ選択的に反射するため、入射偏光の楕円率と極性に
よって反射率が大きく異なることになる。
【0069】このように、カイラルネマティック液晶層
に前述した液晶層を組み合わせることにより、カイラル
ネマティック液晶層に入射する偏光の楕円率を変化さ
せ、反射光強度を制御することができる。つまり、例え
ば右巻きのカイラルネマティック液晶層に、液晶層のリ
タデーションRを制御することにより、例えば右円偏光
をカイラルネマティック液晶層に入射すれば反射光強度
は最大となり、また、例えば左円偏光をカイラルネマテ
ィック液晶層に入射すれば反射光強度は最小となる。ま
た、左右偏光の中間状態の任意の楕円偏光を入射した場
合は、この入射光のうち、右円偏光成分のみ反射し、左
円偏光成分は透過するため、入射光の楕円率に応じた強
度の反射光が得られることになる。ここで、反射光強度
が変化するのに対応し、透過光強度も変化することにな
る。
【0070】したがって、カイラルネマティック液晶セ
ルと、複屈折を電場によって変化させることのできる液
晶セルとを組み合わせることにより、反射光強度および
透過光強度を変調する光学素子が実現可能となる。
【0071】また、本発明はこの原理を適用したもので
あり、赤、緑および青の波長の光を選択的に反射するカ
イラルネマティック液晶セルと、複屈折量を電場によっ
て変化できる液晶セルとを組み合わせることによって、
カラー表示可能な液晶ディスプレイが実現可能となる。
【0072】一方、カイラルネマティック液晶の選択反
射を用いた従来の方式では、TN、ECB、STN、F
LCと組み合わせて光強度を変調し、1/4波長板によ
り円偏光の振幅を変調していたため、偏光子を2枚用い
る必要があり、表示が暗くなるという問題があり、ま
た、偏光子を2枚用いない従来の方式のものでも、1/
4波長板を使用しているため、1/4波長板が存在する
分、表示が暗くなると共に、その構造および製造工程が
複雑になり、製造コストも高くなるという問題があっ
た。ところが、本発明者等は、液晶層に電界を印加して
いくと、光の旋光能も変化するが、同時に偏光状態も変
化し直線偏光から円偏光まで全ての状態が実現できるこ
とを見いだした。
【0073】本発明の構成によれば、偏光子を1枚しか
使用せず、また、1/4波長板を使用せず、複屈折を有
する液晶層によって入射直線偏光を効率的に円偏光に変
換できるため、外部光の半分が利用でき、明るいフルカ
ラー表示が得られる。また、左円偏光、右円偏光を入射
することですべて反射またはすべて透過を切り替えるこ
とができ、非常にコントラストの良い表示が得られる。
さらに、選択反射層に入射する光の偏光状態を任意に可
変できるため中間調の表示も可能である。さらには、1
/4波長板を使用しない簡単な構成で安価に製造可能で
あるという特徴も有している。
【0074】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0075】(実施例1)本実施例1は単色表示を行う
場合の液晶表示装置である。
【0076】図1は本発明の実施例1における液晶表示
素子の構成を示す断面図である。
【0077】図1において、所定間隔で配された透明基
板31,32,33を有しており、この透明基板31上
には透明電極34さらに液晶分子の配向膜35が順次設
けられており、また、透明基板32上には透明電極36
さらに液晶分子の配向膜37が順次設けられている。こ
れら配向膜35,37間には光学的な複屈折性を示す液
晶層38が設けられて液晶セルが構成されている。ま
た、透明基板32,33間には、特定の波長域の光のみ
選択的に反射する選択反射層としてのカイラルネマティ
ック液晶層39が設けられてカイラルネマティック液晶
セルが構成されている。さらに、透明基板31の入射側
には、入射光を直線偏光に変換する偏光子40が設けら
れており、透明基板33の出射側には、特定波長域の光
を吸収する光吸収層41が設けられている。さらに、こ
れら透明電極34,36に接続される変調制御手段42
は、偏光子40からの直線偏光が入射される液晶層38
の複屈折量を、透明電極34,36に印加される表示電
圧による外場である電界で制御することにより液晶層3
8からの出射光の偏光状態を変調して、カイラルネマテ
ィック液晶層39からの反射光強度を変調制御する。以
上により、カイラルネマティック液晶セルと、複屈折量
を外場によって変化させることのできる液晶セルおよび
変調制御手段42とを組み合わせることにより、反射光
強度および透過光強度を変調することができる光学素子
としての反射型液晶表示装置43が構成される。
【0078】ここで、この反射型液晶表示装置43の製
造方法について、その一例を説明する。
【0079】まず、透明基板31〜33として、厚みが
1.1mmのガラス基板(7059;コーニンググラス
ワークス社製)を使用し、このガラス基板上に、透明電
極34,36としてITO膜をスパッタリング法によっ
てそれぞれ形成する。これらITO膜上にそれぞれ配向
膜35,37をそれぞれ形成する。これら配向膜35,
37は、ポリイミド(RN−1024;日産化学社製)
をスピンコートにより均一に形成し、焼成後に上下の基
板でラビング方向が反対になるようにラビング処理を施
す。
【0080】その後、透明基板31,32の間隔を一定
に保つために、8μmのファイバーグラススペーサ(図
示せず)を散布し、液晶封止層(図示せず)として9μ
mのファーバーグラススペーサを混入した接着性シール
材をスクリーン印刷することにより形成し貼り合わせ
た。その後、2枚の基板間の真空脱気により液晶を注入
し、ECB方式の液晶セルを作成した。
【0081】透明基板31,32間の間隔は、本実施例
1の場合、8μmに設定したが、入射光が直線偏光の場
合、リタデーションR=Δn・dが波長の3/4以上で
あれば、左右円偏光の間のすべての偏光状態が実現でき
るため、液晶の屈折率異方性Δnと基板間隔dの間に Δn・d>λm・(3/4) (3) の関係が成立すれば良い。ただし、厚すぎると応答速度
が遅くなるという問題が生じるため、通常1μm〜50
μmが望ましく、さらに望ましくは4μm〜10μmが
良い。ここで、λmはカイラルネマティック液晶層39
による選択反射波長であり、上記した(2)式で表され
ている。
【0082】上記の手順で作製した液晶セルに、偏光子
40を偏光軸がラビング方向と45°の角度を成すよう
にして張り付ける。
【0083】次に、カイラルネマティック液晶セルにお
いても透明電極を形成しないことを除けば、上述と同様
の手順により作製する。このとき、カイラルネマティッ
ク液晶層39の間隔は、上記の場合と同様にして8μm
に設定したが、選択反射を示す厚さであれば、特に規制
されるものではないが、望ましくは1μm以上100μ
m以下、さらに望ましくは4μm以上10μm以下であ
ればよい。
【0084】また、本実施例1では、カイラルネマティ
ック液晶セルにおいても配向膜(図示せず)を形成して
ラビングを施し、ラビング方向が上下の基板で逆方向に
なるようにしてカイラルネマティック液晶セルを組み立
てたが、ラビング方向はどのような方向でもよく、ま
た、ラビングを施さない状態でもよい。その場合は、配
向膜を形成する必要がなく作成手順が簡略化できる。
【0085】また、ラビング方向が反平行の場合はセル
厚がカイラルネマティック液晶のピッチのほぼ整数倍に
なるように、カイラルネマティック液晶層39の厚さを
調節することが望ましい。即ち、各ピッチに対応して、
つまり、カイラルネマティック液晶の選択反射波長に対
応してセル厚を変えることが望ましい。これは、カイラ
ルネマティック液晶の自発ピッチに合わせてセル厚を調
節することで、良好な液晶分子の配向状態が得られるた
めである。カイラルネマティック液晶は以下のようにし
て調整する。
【0086】液晶材料(ZLI−5087;メルク社
製)に、カイラル材(S−811;メルク社製)を適当
量混合し、可視光域に選択反射波長域が重なるように調
整する。その一例として、カイラル剤を18重量%混合
し、セル厚8μmで作製した時の反射スペクトルを図2
に示す。この場合の選択反射中心波長は570nm、反
射波長幅は40nmであり、反射光は緑色を呈してい
た。選択反射波長幅は、上記(1)式に示したように、
用いる液晶の屈折率異方性の大きさに依存し、液晶を任
意に選択することで可変できる。その一例として、液晶
材料(BL001;BDH社製)に、カイラル剤(CB
15;メルク社製)を39重量%混合したときの反射波
長幅は80nmであった。
【0087】また、光吸収層41としてカーボン微粒子
をバインダーに添加したものを印刷法によって透明基板
33の裏面上に形成した。この光吸収層41は、有機系
色素かまたは顔料系色素を、吸収波長域が少なくとも選
択反射波長域を含むように調整し、これをバインダーに
添加したものを印刷によって透明基板33上に形成して
もよい。
【0088】その他に、黒色紙などの光吸収性のシート
を接着剤によって透明基板33の裏面上に張り付けても
よい。
【0089】さらに、透明基板33および光吸収層41
に代えて光吸収性を有する基板、例えば、ポリカーボネ
イト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスル
ホン、アクリル系とエポキシ系の重合体、架橋性のアク
リルなどの高分子にカーボンや黒色の顔料系または有機
系の色素を添加したものを用いてもよい。このようにし
た場合には、光吸収層41が基板をも兼ねているため、
製造が簡略化されるという優れた特徴も有することにな
る。以上により本実施例1の反射型液晶表示装置43が
製造される。
【0090】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0091】まず、上記偏光子40によって、入射光は
直線偏光に変換される。このように、直線偏光に変換さ
れた入射光は、液晶層38の複屈折効果によって常光と
異常光に位相差が生じることになり、任意の楕円率を有
する楕円偏光に変換される。このとき、液晶層38を透
過する常光と異常光の光学的位相差δは、波長λ、リタ
デーションRとして、 δ=2π/λ・R (4) の関係に従って変化する。
【0092】一般に、偏光子40を介して得られる直線
偏光を複屈折性媒質である液晶層38に入射した場合、
出射光はその媒質の光学的位相差により種々の楕円偏光
となる。例えば、複屈折性媒質の光軸に対して45度で
入射した直線偏光は、光学的な位相差がπ/2ラジアン
の場合、出射光は円偏光となり、光学的な位相差がπラ
ジアンの場合は入射直線偏光に対して方位が90度回転
した直線偏光として出射されることになる。即ち、この
液晶セルのリタデーションRを外場によって変化させる
ことで、出射する入射直線偏光を任意の楕円偏光に変換
することができる。
【0093】この位相差δによって偏光状態がどうよう
に変化するかを模式的に図3に示している。
【0094】この液晶層38で任意の楕円率を有する楕
円偏光に変換された入射光は、カイラルネマティック液
晶層39に入射され、その螺旋ピッチに対応した波長の
光に関して、その楕円率と極性に対応した光強度で反射
される。例えば、カイラルネマティック液晶が例えば右
巻きの場合には右円偏光は全て反射され、左円偏光の場
合には全て透過されることになる。その両偏光の中間の
状態の偏光は一部が反射され、それ以外は透過されるこ
とになる。さらに、透過した光は、カイラルネマティッ
ク液晶層39の後方に設置している光吸収層41によっ
て吸収されて反射しない。
【0095】このように、実施例1の液晶表示素子にお
いて、カイラルネマティック液晶層39に入射する偏光
の楕円率の制御を、液晶層4の複屈折量を外場によって
制御することで行うことにより、カイラルネマティック
液晶層39からの反射光強度を制御することができる。
つまり、カイラルネマティック液晶層39への入射光の
楕円率に応じた強度の反射光が得られることになる。
【0096】上記液晶層38は、本実施例1では、入射
光の偏光状態を変調する液晶素子として、基板に対して
液晶分子を平行配向させたECB方式を採用したが、複
屈折量を外場によって制御できるものであれば、どのよ
うな方式のものを用いてもよく、例えば、基板に対して
液晶分子が垂直に配向したECB方式や、液晶のねじれ
た分子配向を利用したTN方式またはSTN方式なども
使用でき、さらに、FLCの複屈折を利用した方式など
も使用できるため、設計の自由度が増すという特徴を有
している。
【0097】また、例えば、カイラルネマティック液晶
が例えば左巻きの場合、上記カイラルネマティック液晶
セルに右回り円偏光、または、左回り円偏光、その中間
の偏光状態である直線偏光を入射したときの反射光強度
の波長依存性の測定結果を図4に示している。図4に示
すように、入射光の位相を変化させることにより反射光
強度が可変でき、左円偏光は全て反射され、右円偏光の
場合には全て透過され、さらに、その中間の偏光状態で
ある直線偏光の場合には一部が反射されるためそれぞれ
反射率が異なり、階調表示が行えることが解る。本実施
例1の場合、反射光による表示は黒と緑の表示になる。
【0098】また、本実施例1の反射型液晶表示素子に
光吸収層41を形成しない場合には、透過型の液晶表示
素子が実現でき、その場合は、白とマゼンタの表示が実
現できる。このようにして作成した本実施例1の液晶表
示素子に、右回り円偏光、左回り円偏光および、その中
間の偏光状態である直線偏光を入射したときの透過光強
度の波長依存性の測定結果を図5に示している。図5に
示すように、入射光の位相を変化させることにより透過
光強度が可変でき、諧調表示が行えることが解る。
【0099】以上により、本実施例1の構成によれば、
複屈折性を有する液晶層38によって入射直線偏光を効
率的に円偏光に変換できるため、外部光の半分が利用で
き、明るい表示が得られる。また、左円偏光、右円偏光
を入射することで、すべて反射またはすべて透過に切り
替えることができ、コントラストの良い表示が得られ
る。さらに、偏光状態を任意に変化できるため、中間調
の表示も可能である。さらに、本実施例1は、偏光子を
1枚しか使用しないため、安価に作成できるという優れ
た特徴を有する。
【0100】(実施例2)本実施例2は、カラー表示を
行う場合の液晶表示装置である。
【0101】図6は本発明の実施例2における液晶表示
素子の構成を示す断面図である。
【0102】図6において、透明基板51,52,53
が所定間隔で設けられ、透明基板51上に透明電極54
さらに配向膜55が設けられて電極基板が構成され、ま
た、透明基板52上に透明電極56さらに配向膜57が
設けられて電極基板が構成されている。これら配向膜5
5,57が対向するように電極基板を配置し、その間
に、赤色波長域の光において複屈折性を示す液晶層58
が設けられて液晶セルが構成されている。また、透明基
板52,53の間には、赤色波長域で特定偏光成分の光
のみ選択的に反射する赤色選択反射層としてのカイラル
ネマティック液晶層59が設けられてカイラルネマティ
ック液晶セルが構成されている。さらに、透明基板51
の入射側には、赤色光の波長域の光を直線偏光に変換す
る偏光子60が設けられている。さらに、これら透明電
極54,56に接続される変調制御手段62は、偏光子
60からの直線偏光が入射される液晶層58の複屈折量
を、透明電極54,56に印加される表示電圧による外
場である電界で制御することにより液晶層58からの出
射光の偏光状態を変調して、カイラルネマティック液晶
層59からの反射光強度を変調制御する。これにより赤
色液晶装置63が構成される。
【0103】この赤色液晶装置63と同様にして、緑色
液晶装置63aおよび青色液晶装置63bが順次設けら
れ、この青色液晶装置63bの裏面側に光吸収層61が
設けられている。
【0104】本実施例2では、上記実施例1と同様の手
法により、選択反射波長がそれぞれ赤、緑、青になるよ
うにピッチを調節したカイラルネマティック液晶層5
9,59a,59bを3種類用意し、それぞれで選択反
射層を構成する。赤色の選択反射層59には赤色光のみ
を直線偏光に変換するカラー偏光子60を用いる。ま
た、緑、青の選択反射層にもそれぞれ同様に、その選択
反射波長域の光のみ直線偏光に変換するカラー偏光子6
0a,60bを用いる。これら各色の素子を3つ積層
し、さらに光吸収層61を設けることによってフルカラ
ー表示が可能な本実施例2の反射型液晶表示装置64を
実現することができる。このとき、各色のカラー偏光子
60,60a,60bは、理想的にはカイラルネマティ
ック液晶層59,59a,59bの各色の選択反射波長
域の光のみ直線偏光に変換し、その他の波長域の光はな
にも影響を受けずに透過するように選択されるのが望ま
しい。
【0105】この液晶表示素子の製造方法において、各
色の構成素子は、実施例1と同様の手法によって作製す
ることができる。ただし、各色のカラー偏光子60,6
0a,60bとしては、シアンに偏光子(CC2B−1
8SL;サンリッツ社製)、マゼンタに偏光子(UC2
−MO1−18SL;サンリッツ社製)、イエローに偏
光子(KCC2Y−18SL;サンリッツ社製)を用い
た。
【0106】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0107】まず、入射光はシアンのカラー偏光子60
で赤色光のみ直線偏光に変換され、それ以外の光は何等
影響を受けることなく透過する。シアンのカラー偏光子
60によって直線偏光に変換された赤色光は、液晶層5
8の複屈折効果により常光と異常光に位相差が生じ、複
屈折量に応じた楕円偏光に変換されてカイラルネマティ
ック液晶層59に入射する。このカイラルネマティック
液晶層59に入射した楕円偏光はその楕円率に応じた光
強度で反射され、それ以外の光は透過する。
【0108】透過した光のうち、緑色はマゼンタのカラ
ー偏光子60aで直線偏光に変換され、それ以外の光は
なんら影響を受けることなく透過する。このマゼンタの
カラー偏光子60aによって直線偏光に変換された緑色
光は、液晶層58aの複屈折効果により常光と異常光に
位相差が生じ、複屈折量に応じた楕円偏光に変換されて
カイラルネマティック液晶59aに入射する。カイラル
ネマティック液晶層59aに入射した楕円偏光はその楕
円率に応じた光強度で反射され、それ以外の光は透過す
る。
【0109】さらに、透過した光のうち、青色光はイエ
ローのカラー偏光子60bで直線偏光に変換され、それ
以外の光は何等影響を受けることなく透過する。このイ
エローのカラー偏光子60bによって直線偏光に変換さ
れた青色光は、液晶層58bの複屈折効果により常光と
異常光に位相差が生じ、複屈折量に応じた楕円偏光に変
換されてカイラルネマティック液晶層59bに入射す
る。カイラルネマティック液晶層59bに入射した楕円
偏光はその楕円率に応じた光強度で反射され、それ以外
の光は透過する。
【0110】このようにしてすべての層を透過した光は
最後に光吸収層61で全て吸収される。
【0111】即ち、特定波長域の特定偏光成分で選択反
射を示すカイラルネマティック液晶層59,59a,5
9bと、各色の選択反射波長に対応した波長域の光のみ
直線偏光に変換するカラー偏光子60,60a,60b
と、複屈折量を制御できる液晶層58、58a,58b
により構成した素子を積層することで、各層でそれぞれ
赤、緑、青の反射光または透過光をそれぞれ独立に制御
できるため、反射光に関して加法混色により、透過光に
関しては減法混色によりフルカラー表示を実現すること
ができる。
【0112】以上にように、選択反射波長の異なる液晶
表示素子を3層積層してフルカラーの反射型液晶表示装
置64を作製した本実施例2の場合は、理想的に入射光
の50%が利用でき、より明るいフルカラー表示が得ら
れる。
【0113】なお、本実施例2では赤、緑、青の順に各
色の素子を設けたが、赤、緑、青の各色の素子はそれぞ
れ独立に制御できるため、積層の順序は特に本実施例2
の順序に限ることなく、任意の順序で積層しても同等の
効果が得られるのは明らかである。
【0114】(実施例3)本実施例3は、カラー表示を
行う場合の液晶表示装置であり、実施例2の構成を簡略
化したものである。
【0115】図7は本発明の実施例3における液晶表示
素子の構成を示す断面図である。
【0116】図7において、本実施例3の液晶表示素子
は、入射側に、赤、緑および青の各色の波長域の光を直
線偏光に変換できる偏光子70を設け、透明基板71,
72上にそれぞれ透明電極74,76、さらに液晶分子
の配向膜75,77がそれぞれ形成されており、これら
配向膜75,77間に、偏光子70を介して入射した直
線偏光の偏光状態を変換するための、赤、緑および青の
各色の波長域の光において光学的な複屈折性を示す液晶
層78が設けられて液晶セルが構成されている。
【0117】また、選択反射層は、透明基板72,73
により挟持された赤色を選択反射するカイラルネマティ
ック液晶層79と、透明基板73,73aにより挟持さ
れた緑色を選択反射するカイラルネマティック液晶層7
9aと、透明基板73a,73bにより挟持された青色
を選択反射するカイラルネマティック液晶層79bとに
より構成される。さらに、透明基板73bの裏面側に光
吸収層81が設けられている。
【0118】さらに、変調制御手段82は透明電極7
4,76に偏光子からの直線偏光が入射される液晶層の
複屈折量を、透明電極74,76に印加される表示電圧
による外場である電界によって制御することにより、液
晶層78からの出射光の偏光状態を変調して、選択反射
層からの反射光強度をそれぞれ変調させる。以上により
反射型液晶表示装置83が構成される。
【0119】この反射型液晶表示装置83の製造方法に
おいて、各構成素子は、実施例1と同様の手法によって
作製することができる。
【0120】なお、本実施例3では選択反射層としてカ
イラルネマティック液晶層79,79a,79bを選択
反射波長が赤、緑、青の順に積層したが、各層が独立で
あるので、積層の順序を変えても光学的には同等の効果
を得ることができるのは明らかである。
【0121】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0122】まず、入射光は偏光子70によって直線偏
光に変換され、液晶層78に入射される。液晶層78に
入射された直線偏光は、液晶の複屈折効果により常光と
異常光に位相差が生じ、複屈折量に応じた楕円偏光に変
換される。このとき、赤、緑および青の各波長の光に生
じる位相差はそれぞれ異なるため、各々異なる楕円率の
楕円偏光に変換されることになる。つまり、カイラルネ
マティック液晶層で選択反射される光強度が波長毎に異
なることになる。そこで、液晶層の複屈折量を電界によ
って変調することで、反射光のスペクトルが可変でき、
マルチカラー表示を行うことができる。
【0123】本実施例3で作成した液晶表示素子は、前
述したように液晶の屈折率異方性を変えることで反射波
長幅を可変できるため、ECB効果の常光と異常光の干
渉色による従来の表示方式に比べて、表示される色の純
度が良いという優れた特徴を有する。
【0124】また、本実施例3により作成した液晶表示
素子は、上記実施例2に比べてもより簡単な構成で安価
にマルチカラー表示が行えるという優れた特徴を有す
る。
【0125】(実施例4)本実施例4は、カラー表示を
行う場合の液晶表示素子であり、実施例3の構成をさら
に簡略化したものである。
【0126】図8は本発明の実施例4における液晶表示
素子の構成を示す断面図である。
【0127】図8において、本実施例4の液晶表示素子
は、入射側に、赤、緑、青の各色波長域の光を直線偏光
に変換するニュートラル偏光子90を設け、出射側の選
択反射層裏面側に設けられ、この選択反射層を透過した
赤、緑、青の各色波長域の光を吸収する光吸収層を兼ね
た支持基板92を設けている。この透明基板91上には
透明電極94さらに液晶分子の配向膜95が形成されて
おり、また、支持基板92上には赤、緑および青の各色
の選択反射波長域で特定偏光成分の光を選択的に反射す
る選択反射層としてのカイラルネマティック液晶層9
9、透明電極96さらに液晶分子の配向膜97が形成さ
れている。これら配向膜95,97は所定の間隔に調整
され、その間に、赤、緑、青の各色波長域の光において
光学的な複屈折性を示す液晶層98が設けられて液晶セ
ルが構成される。
【0128】このカイラルネマティック液晶層99は、
赤、緑および青の異なる波長域に選択反射波長域を有す
るカイラルネマティック液晶を封入した液晶マイクロカ
プセル99a,99b,99cにより構成されている。
【0129】また、変調制御手段92aは透明電極9
4,96に接続され、偏光子91からの直線偏光が入射
される液晶層98の複屈折量を、透明電極94,96に
印加する表示電圧による外場である電界によって制御す
ることにより、液晶層98からの出射光の偏光状態を変
調して、選択反射層からの反射光強度をそれぞれ変調さ
せる。以上により反射型液晶表示装置93が構成され
る。
【0130】この反射型液晶表示装置93の製造方法に
おいては、各構成素子は、実施例1と同様の手順によっ
て作製することができる。
【0131】上記構成により、以下、その作用を説明す
る。
【0132】まず、入射光は偏光子90によって直線偏
光に変換され、液晶層98に入射される。この液晶層9
8に入射された直線偏光は、液晶の複屈折効果により常
光と異常光に位相差が生じ、複屈折量に応じた楕円偏光
に変換される。このとき、赤、緑および青の各波長の光
が受ける位相差はそれぞれ異なるため、各々異なる楕円
率の楕円偏光に変換されることになる。つまり、カイラ
ルネマティック液晶層99で選択反射される光強度が波
長毎に異なることになる。そこで、液晶層98の複屈折
量を電界によって変調することで、反射光のスペクトル
が可変でき、マルチカラー表示を行うことができる。
【0133】本実施例4によって作成した液晶表示素子
は、実施例3で述べた優れた特徴に加え、さらに簡単な
構成で製造工程もより簡略化されて、安価にマルチカラ
ー表示が行えるという優れた特徴を有する。
【0134】上記実施例1〜3では、カイラルネマティ
ック液晶セルを選択反射層に用いたが、フィルム化する
ことにより、さらに簡単な構造の液晶セルが実現でき
る。
【0135】例えば、液晶性のポリエステルを硝子基板
上で配向制御した後に、熱処理を行い硬化させること
で、液晶状態における液晶分子の配向が凍結できること
が文献(特開平6−186534号公報)で知られてい
る。そこで、この高分子液晶でコレステリックフィルム
を作成し、選択反射波長域が可視光領域になるようにピ
ッチを調節したものをカイラルネマティック液晶層99
の代わりに使用できて、同等の効果が得られる。
【0136】また、カイラルネマティック液晶をマイク
ロカプセル化できることが文献(例えば日本学術振興会
第142委員会偏液晶デバイスハンドブック第9章9.
5、および特開平5−66391号公報)で知られてい
る。
【0137】この液晶マイクロカプセルの作製法の一例
として、以下の方法が挙げられる。即ち、まず、液晶と
アラビアゴム溶液を常温以上で乳化混合し、これに等濃
度のゼラチン溶液を添加する。次に、蒸留水を付加して
pH(水素イオン濃度)を調整すると、ゼラチンとアラ
ビアゴムが反応して濃厚な液状ポリマーを生成する。そ
こで、温度を降下させるとコアセルベーションが始ま
り、液晶微粒子の周囲にゼラチン・アラビアゴム皮膜が
癒着してカプセル膜を形成する。さらに、アルデヒドな
どの硬化剤を添加してカプセル膜を熟成させる。
【0138】これにバインダを添加してインキ化したも
のを透明基板3上に印刷することで選択反射層が形成で
きる。
【0139】前記手法により作成したマイクロカプセル
化したカイラルネマティック液晶を選択反射層として
も、同等の効果が得られる。
【0140】何れの実施例1〜4でも、複屈折量を外場
によって制御できる液晶表示方式として平行配向したE
CB方式の液晶セルを採用したが、同様の効果を有する
液晶表示方式として傾斜垂直配向したECB方式やST
N方式を用いても同様の効果が得られ、単純マトリクス
駆動による大容量表示が可能になるという優れた効果の
発揮する。
【0141】また、複屈折性を示し、複屈折量を外場に
よって制御できるものであれば液晶に限らず、例えばP
LZTやニオブ酸リチウムなどの光学結晶に透明電極を
形成し、電圧を印加して複屈折量を可変することで同様
の効果が得られる。さらにこの場合は、高速で動作させ
ることが可能となり、また、メモリ性も有するという優
れた特徴をも発揮する。
【0142】
【発明の効果】以上のように請求項1の液晶表示装置に
よれば、液晶の複屈折性を利用して偏光状態を電場で変
化させることにより表示を行うため、種々の方式の表示
モードが使用でき、設計の自由度が増すだけではなく、
選択反射層としての例えばカイラルネマティック層に入
射する偏光状態を制御することで反射光強度を変調する
ことができるため、1/4波長板を必要とせず、また、
偏光子を1枚しか必要とせず、明るい表示が得られる。
また、単純マトリクス駆動により大容量表示が行え、低
コストで素子を作製できる。さらに、このカイラルネマ
ティック液晶の選択反射を利用することで、従来は着色
層と反射層を別に作成する必要があったが、1層で着色
層と反射層を兼ねることができる。
【0143】また、請求項2の液晶表示素子によれば、
3層積層したそれぞれの層においてカラー偏光子を用い
ているため、反射光強度を独立に制御でき、フルカラー
表示が可能となる。また、理想的には外部光の50%が
利用できるため明るい反射型フルカラー液晶表示素子が
実現できる。
【0144】さらに、請求項3の液晶表示素子によれ
ば、より簡単な構成で多色表示が可能となる。また、前
述したように液晶の屈折率異方性を変えることで反射波
長幅を可変できるため、ECB効果の常光と異常光の干
渉色による表示に比べて表示される色の純度が良い。
【0145】さらに、請求項4の液晶表示素子によれ
ば、選択反射層が、コレステリック液晶またはカイラル
ネマティック液晶の場合、材料の選択範囲が広くなり、
選択反射波長の温度依存性の少ない材料を選択すること
ができる。反射波長域を調節できるなどの優れた特徴を
有する。また、選択反射層が、フィルム化したコレステ
リック液晶またはマイクロカプセル化したコレステリッ
ク液晶を用いた場合、上記した優れた特徴に加えて、2
枚の透明基板に挟まれた例えばカイラルネマティック液
晶層を、フィルムまたはマイクロカプセル化したカイラ
ルネマティック液晶に置き換えることにより、更なる薄
型軽量化が可能となり、素子構成が簡単であるために製
造工程も簡略化され、より低コストで素子を作製でき
る。
【0146】さらに、請求項5の液晶表示素子によれ
ば、さらに簡単な構成で多色表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における液晶表示素子の構成
を示す断面図である。
【図2】図1の液晶表示素子における選択反射の波長依
存性を示す図である。
【図3】位相差δによって偏光状態がどうように変化す
るかを模式的に示した図である。
【図4】入射偏光の位相を変化させたときの選択反射光
強度の波長依存性を示す図である。
【図5】入射偏光の位相を変化させたときの透過光強度
の波長依存性を示す図である。
【図6】本発明の実施例2における液晶表示素子の構成
を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3における液晶表示素子の構成
を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例4における液晶表示素子の構成
を示す断面図である。
【図9】カイラルネマティック液晶の選択反射効果を模
式的に示した図である。
【図10】従来の液晶表示素子の構成例を示す断面図で
ある。
【図11】従来の液晶表示素子の他の構成例を示す断面
図である。
【図12】図10の液晶表示素子における1/4波長板
9の光軸と直線偏光の方向との関係を示す図である。
【符号の説明】
31,32,33,51,52,53,51a,52
a,53a,51b,52b,53b,71,72,7
3,73a,73b,91 透明基板 34,36,54,56,54a,56a,54b,5
6b,74,76,94,96 透明電極 35,37,55,57,55a,57a,55b,5
7b,75,77,95,97 配向膜 38,58,58a,58b,78,98 液晶層 39,59,59a,59b,79,79a,79b,
99 カイラルネマティック液晶層 40,60,60a,60b,70,90 偏光子 41,61,81 光吸収層 42,62,62a,62b,82,92a 変調制
御手段 43,64,83,93 反射型液晶表示装置 63,63a,63b 液晶表示素子 92 支持基板 99a,99b,99c マイクロカプセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1335

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射光を直線偏光に変換する偏光子と、 特定波長域で特定偏光成分の光のみ選択的に反射する選
    択反射層と、 該偏光子と選択反射層との間に設けられた光学的な複屈
    折性を示す液晶層と、 該偏光子からの直線偏光が入射される該液晶層の複屈折
    量を電場で制御することにより該液晶層からの出射光の
    偏光の楕円率を制御して、該選択反射層からの反射光強
    度を変調させる変調制御手段とを備え、 前記液晶層は、相互に対向する面に配向膜がそれぞれ設
    けられた一対の基板間に配置されており、リタデーショ
    ンが波長の3/4以上になるように、該液晶の屈折率異
    方性Δnと前記基板の間隔dとが設定されるとともに、
    前記偏光子の偏光軸が、入射側の基板に設けられた配向
    膜のラビング方向に対して45度の角度になっている、
    液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 第1波長域の光のみ直線偏光に変換する
    第1カラー偏光子、該第1波長域で特定偏光成分の光の
    み選択的に反射する第1選択反射層、および、該第1カ
    ラー偏光子と第1選択反射層との間に設けられ、該第1
    波長域の光において複屈折性を示す第1液晶層を有する
    第1素子部と、 該第1波長域とは異なる第2波長域の光のみ直線偏光に
    変換する第2カラー偏光子、該第2波長域で特定偏光成
    分の光のみ選択的に反射する第2選択反射層、および、
    該第2カラー偏光子と第2選択反射層との間に設けら
    れ、該第2波長域の光において複屈折性を示す第2液晶
    層を有する第2素子部と、 該第1波長域および第2波長域とは異なる第3波長域の
    光のみ直線偏光に変換する第3カラー偏光子、該第3波
    長域で特定偏光成分の光のみを選択的に反射する第3選
    択反射層、および、該第3カラー偏光子と第3選択反射
    層との間に設けられ、該第3波長域の光において複屈折
    性を示す第3液晶層を有する第3素子部と、 該第1、2、3素子部を透過した少なくとも該第1波長
    域、第2波長域および第3波長域の光を吸収する光吸収
    層と、 直線偏光が入射される該第1、2、3液晶層の複屈折量
    を電場によってそれぞれ制御することにより該第1、
    2、3液晶層からの出射光の偏光状態をそれぞれ変調し
    て、該第1、2、3選択反射層からの反射光強度をそれ
    ぞれ変調させる変調制御手段とを備えた液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 該第1波長域、第2波長域および第3波
    長域の光を直線偏光に変換できる偏光子と、 第1波長域で特定偏光成分の光を選択的に反射する第1
    選択反射層、第2波長域で特定偏光成分の光を選択的に
    反射する第2選択反射層、および、第3波長域で特定偏
    光成分の光を選択的に反射する第3選択反射層を有する
    選択反射層と、 該選択反射層の裏面側に設けられ、該選択反射層を透過
    した少なくとも該第1波長域、第2波長域および第3波
    長域の光を吸収する光吸収層と、 該偏光子と選択反射層との間に設けられ、該第1波長
    域、第2波長域および第3波長域の光において光学的に
    複屈折性を示す液晶層と、 該偏光子からの直線偏光が入射される該液晶層の複屈折
    量を電場によって制御することにより該液晶層からの出
    射光の偏光状態を変調して、該選択反射層からの反射光
    強度をそれぞれ変調させる変調制御手段とを備えた液晶
    表示装置。
  4. 【請求項4】 前記選択反射層として、コレステリック
    液晶またはカイラルネマティック液晶またはカイラルス
    メクティック液晶、フィルム化した上記液晶、マイクロ
    カプセル化した上記液晶を用いる請求項1〜3のうちい
    ずれかに記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 第1波長域、第2波長域および第3波長
    域の光を直線偏光に変換する偏光子と、 該第1波長域で特定偏光成分の光を選択的に反射する第
    1コレステリック液晶またはカイラルネマティック液晶
    またはカイラルスメクティック液晶、該第2波長域で特
    定偏光成分の光を選択的に反射する第2コレステリック
    液晶またはカイラルネマティック液晶またはカイラルス
    メクティック液晶、および、該第3波長域で特定偏光成
    分の光を選択的に反射する第3コレステリック液晶また
    はカイラルネマティック液晶またはカイラルスメクティ
    ック液晶をマイクロカプセル化して混合した選択反射層
    と、 該選択反射層の裏面側に設けられ、該選択反射層を透過
    した少なくとも該第1波長域、第2波長域および第3波
    長域の光を吸収する光吸収層と、 該偏光子と選択反射層との間に設けられ、該第1波長
    域、第2波長域および第3波長域の光において光学的に
    複屈折性を示す液晶層と、 該偏光子からの直線偏光が入射される該液晶層の複屈折
    量を電場によって制御することにより該液晶層からの出
    射光の偏光の楕円率を制御して、該選択反射層からの反
    射光強度をそれぞれ変調させる変調制御手段とを備え、 前記液晶層は、相互に対向する面に配向膜がそれぞれ設
    けられた一対の基板間に配置されており、リタデーショ
    ンが波長の3/4以上になるように、該液晶の屈折率異
    方性Δnと前記基板の間隔dとが設定されるとともに、
    前記偏光子の偏光軸が、入射側の基板に設けられた配向
    膜のラビング方向に対して45°の角度になっている、
    液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 裏面側に設けられ、前記選択反射層を
    透過した光を吸収する光吸収層を有する請求項1〜3に
    のいずれか、または請求項5に記載の液晶表示装置。
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