JPH10274780A - 反射型液晶表示装置およびその駆動方法 - Google Patents

反射型液晶表示装置およびその駆動方法

Info

Publication number
JPH10274780A
JPH10274780A JP7929397A JP7929397A JPH10274780A JP H10274780 A JPH10274780 A JP H10274780A JP 7929397 A JP7929397 A JP 7929397A JP 7929397 A JP7929397 A JP 7929397A JP H10274780 A JPH10274780 A JP H10274780A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
layer
display device
crystal display
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7929397A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Okamoto
正之 岡本
Seiichi Mitsui
精一 三ッ井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP7929397A priority Critical patent/JPH10274780A/ja
Publication of JPH10274780A publication Critical patent/JPH10274780A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カラーフィルタ層を可視波長域の吸収によら
ずに、反射または透過を選択するものを用い、その反射
光と透過光を二層設けた液晶層によって制御し、どちら
も表示に利用する、明るく視認性の高いカラーの反射型
液晶表示装置を提供する。 【解決手段】 反射型液晶表示装置であって、二色性を
有する色素が混入された液晶組成物を有する第1層と、
可視波長範囲で波長により反射または透過を選択する選
択膜を有する第2層と、二色性を有する色素が混入され
た液晶組成物を有する第3層と、反射性を有する第4層
とを具備し、前記4種類の層が、第1層、第2層、第3
層、第4層の順に、直接または光透過性のある層あるい
は光透過性のある基板を介して積層され、かつ第1層と
第3層に電界を印加する手段を有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置および
その駆動方法に関し、特に、反射型であって、かつカラ
ー表示に有用な液晶表示装置およびその駆動方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、低消費電力で薄型軽量
であるという優れた特徴を有している。この特徴を利用
して、フラットパネルディスプレイの開発が進められて
おり、時計、電卓、コンピューター端末、ノート型コンピュ
ータ、ワードプロセッサ、テレビジョン受像機、携帯ビデ
オカメラ、携帯情報端末、電子スチルカメラといった情報
表示デバイスとして利用されている。
【0003】そして、通常用いられるTNモード、ST
Nモードでのカラー液晶表示装置は、液晶セル内部の1
画素ごとに、例えば、3サブピクセル(Red,Gre
en,Blue)の微小寸法のカラーフィルタを有して
おり、加法混色によって、マルチカラー表示や、フルカ
ラー表示をおこなう。しかし、これらの表示モードは、
偏光板を用いるので、偏光板とカラーフィルタの吸収に
よって、入射光の1/6しか表示に利用されず、十分な
明るさを得るにはバックライトシステムの付加が必要に
なる。
【0004】そこで、広い視野角と明るさを要求される
用途に対しては、ゲストホストモード(GHモード)を
用いることができる。このモードは、分子の長軸方向
と、短軸方向とで吸光度の異なる色素(二色性色素)を
含む液晶層を利用する。GHモードは偏光板を使用する
ハイルマイヤー型、偏光板を利用しないホワイト/テイ
ラー型(相転移型)及び二層型等に分類されるが、いず
れの場合でも、動作原理は同じである。GHモードにお
いては、色素分子の配向が液晶分子の配向を介して印加
電圧によって制御される。色素分子の配向方向によって
色素分子によって吸収される光の強度が変化するので、
表示色が変化する。二色性色素として可視光の一部の波
長を吸収する色素を利用してもよいし、黒色の色素を使
用してもよい。また、ゲストホスト液晶セルとマイクロ
カラーフィルタとを組み合わせてカラー表示を行うこと
も可能である。
【0005】例えば、二色性色素を含有する液晶層を積
層したカラー表示素子は、米国特許4953953号公
報及び特表昭62−502780号公報に開示されてい
る。この液晶表示装置の1画素は図17に示すように異
なる色を表示するサブピクセル171、172及び17
3から構成される。各々のサブピクセル171、17
2、及び173は積層された2つの液晶層(不図示)に
形成された、補色関係にある色素を含有するカプセル化
された液晶領域171aと171b、172aと172
b、173aと173bから構成される。すなわち、赤
色素を含有した液晶領域171aの下に、その補色に対
応するシアン色素を含有した液晶領域171bが配置さ
れる。同様に、緑の液晶領域172aとマゼンタの液晶
領域172b、青の液晶領域173aとイエローの液晶
領域173bがそれぞれ上下方向(光の透過方向)に重
なるように配置されている。
【0006】白色光(W)が図中の矢印で示されるよう
に、下側から入射されると、これら3つのサブピクセル
171、172及び173を1画素とし、カプセル化さ
れた6つの領域を互いに独立に駆動させることによっ
て、フルカラー表示が行われる。例えば、赤の表示は、
シアン色素を含有した液晶領域171bにのみ所定の電
圧を印加し透明状態に移行させ、かつその他の液晶領域
をOFF状態にして、各々の液晶領域に各々の色の光を
吸収させることにより可能となる。
【0007】さらに、二色性色素を含有した液晶を用い
た三層型液晶表示装置180は、図18に示されるよう
に、カプセル化された液晶材料から形成される3つの液
晶色層181、182及び183とこれらの液晶色層に
電圧を印加するための4つの電極層184、185、1
86及び187とから構成されている。電極層184と
186は、それぞれ、3サブピクセルで1画素に対応す
るサブピクセルごとに電圧を印加するためのサブピクセ
ル電極(不図示)を有している。液晶色層181、18
2及び183のカプセル化された液晶材料にはそれぞれ
異なる色素が含まれている。液晶色層181はイエロー
色素を含み、液晶色層182はシアン色素を含み、液晶
色層183はマゼンタ色素を含む。各液晶色層181、
182及び183に戴せて、サブピクセルごとに所定電
圧を選択的に印加するか印加しないかによって、図中の
矢印の方向から入射する白色光の色成分を選択的に吸収
し、カラー表示が行われる。
【0008】また、二色性色素とカラーフィルタとを用
いたカラー液晶表示装置の例が、米国特許488634
3号公報や、特開平6−202099号公報等に開示さ
れている。米国特許4886343号公報のカラー液晶
表示装置は、異なる二色のカラーフィルターが並置され
た層と、二色性色素が含有された液晶層と、シャッタ機
能を有する液晶層とから構成されており、二色のカラー
フィルタを選択的に使用することによって多色表示を可
能としている。また、第1液晶層と第2の液晶層との間
に、共通電極を設け、これらの液晶層に対して、別々に
電圧を印加することによって、一対の電極のみを設けた
場合よりも多くの色の表示を可能とした構成も開示され
ている。
【0009】また、液晶と高分子材料とが層状をなした
液晶樹脂複合体から形成された表示材料を用いた青反射
液晶素子、緑反射表示素子及び赤反射表示素子を、黒あ
るいは灰色の光吸収膜に平面配置する例が、特開平6−
294952号公報に開示されている。この表示素子
は、偏光板を使用せずに特定波長域の光の反射と透過と
を制御できるので、明るいカラー表示を行うことができ
る。
【0010】また、ポリマーマトリックス中にコレステ
リック液晶を分散させて、コレステリック液晶の選択反
射を利用し、電圧無印加時の散乱状態と、電圧印加時の
選択反射状態とを切り替えることによって表示を行う反
射型カラー表示モードが特開平3―209425号公報
に開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術は、以下の問題点を有している。並置された、
赤、緑、青のカラーフィルタを用いた上記カラー液晶表
示装置によれば、カラーフィルタを透過する光強度は入
射光の1/3になってしまい、光の利用効率が低下す
る。そのため、消費電力の大きなバックライト無しでカ
ラー表示を行うことは困難となり、液晶表示装置の低消
費電力という特徴が損なわれてしまっていた。
【0012】また、従来用いられているTNおよびST
Nモードでは、偏光子によって入射光のさらに半分が吸
収されるので、光の利用効率が更に悪くなり、結局、カ
ラーフィルタとTNモードまたはSTNモードとを組み
合わせた場合、原理的に最大でも入射光の1/6しか表
示に利用出来ないという問題を有していた。
【0013】また、偏光板を利用しない上下の液晶層が
補色関係を満足するように二色性色素を含有した上記二
層型液晶表示装置によれば、白、シアン、マゼンタ、及
び、イエローの各色は明るくなるものの、各サブピクセ
ルごとに異なる色素を含有した液晶層を形成する必要が
あり、製造工程が複雑になる。
【0014】上記の三層型GHモード液晶表示装置によ
れば、一つの画素でフルカラー表示が行えるため、光の
利用効率は良く、十分な明るさを得ることができるが、
駆動素子が層ごと必要となり、それぞれ独立に駆動させ
なければならないという技術的困難を伴う。さらに、三
層を積層するので、三層の表示色は液晶層の厚み方向に
の位置に依存することとなり、視差が生じるという問題
もある。
【0015】また、異なる二色のカラーフィルタの並置
からなる層と、二層の液晶層とが設けられた上記積層型
液晶表示装置は、赤、緑、青のカラーフィルタを並置す
る場合よりは明るいものの、光の利用効率は入射光の1
/2であり、十分な明るさを有する表示を提供できると
は言い難い。
【0016】また、液晶材料と高分子材料とが層状に積
層された液晶樹脂複合体からなる表示材料を用いる青反
射表示素子、緑反射表示素子及び赤反射表示素子を黒あ
るいは灰色の光吸収膜に平面配置する構成では、1画素
を3つに面積分割するために利用される光は入射光の1
/3となり、明るい白表示はできない。
【0017】このように、従来の液晶表示方式では、液
晶表示装置本来の薄型軽量、低消費電力という優れた特
徴を十分に発揮しているとはいえず、携帯用の情報端末
の表示素子としては不十分であった。そこで、本発明は
上記問題点を解決するためになされたものであって、明
るく視認性の高いカラーの反射型液晶表示装置を提供す
ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の反射型液晶表示装置は、二色性を有
する色素が混入された液晶組成物を有する第1層と、可
視波長範囲で波長により反射または透過を選択する選択
膜を有する第2層と、二色性を有する色素が混入された
液晶組成物を有する第3層と、反射性を有する第4層と
を具備し、前記4種類の層が、第1層、第2層、第3
層、第4層の順に、直接または光透過性のある層あるい
は光透過性のある基板を介して積層され、かつ第1層と
第3層に電界を印加する手段を有することを特徴とす
る。このように構成すると、カラーフィルタ層を可視波
長域の吸収によらずに、反射または透過を選択するもの
を用いることとなり、その反射光と透過光を二層設けた
液晶層によって制御し、どちらも表示に利用でき、明る
く視認性にすぐれたカラーの反射型液晶表示装置を提供
することが可能となる。
【0019】請求項2記載の反射型液晶表示装置は、請
求項1記載の反射型液晶表示装置において、少なくとも
1枚の異方性散乱膜を具備し、異方性光散乱膜、第1
層、第2層の順か、または第1層、異方性光散乱膜、第
2層の順に積層され、直接または光透過性のある層ある
いは光透過性のある基板を介して積層されることを特徴
とする。このように構成すると、反射型液晶表示装置に
おいて、ある条件下では、鏡面性の高い反射面で、液晶
表示面に照明光源が映り込むという、表示内容の二重映
りという現象を防ぐことが可能となる。
【0020】請求項3記載の反射型液晶表示装置は、請
求項1記載の反射型液晶表示装置において、波長により
反射または透過を選択する第2層が、屈折率の異なる少
なくとも2種以上の物質の略繰り返し構造を有すること
を特徴とする。請求項4記載の反射型液晶表示装置は、
請求項1記載の反射型液晶表示装置において、波長によ
り反射または透過を選択する第2層が、少なくとも1層
の円偏光二色性を有する層を有することを特徴とする。
【0021】請求項5記載の反射型液晶表示装置は、請
求項1記載の反射型液晶表示装置において、波長により
反射または透過を選択する第2層が、複数の画素に区切
られており、該画素は異なる反射色を与える少なくとも
2種以上の副画素に区切られ、該副画素の任意の組み合
わせにより構成される選択領域に対応して電圧を印加す
る手段として、第1層または第3層の少なくとも一方に
第2層の副画素に対応してアクティブ素子が配設される
か、またはストライプ状電極を有することを特徴とす
る。
【0022】請求項6記載の反射型液晶表示装置は、請
求項5記載の反射型液晶表示装置において、第3層へ印
加される電界が、第2層の少なくとも2サブピクセル以
上に対応した電極対により発生され、該電極対の電極の
一方が第2層と第3層に挟持され、前記電極対のもう一
方が第3層と第4層によって挟持されていることを特徴
とする。
【0023】請求項7記載の反射型液晶表示装置は、請
求項5記載の反射型液晶表示装置において、第1層への
電界の印加用電極が第1層を挟持しており、第3層への
電界の印加用電極が第3層を挟持しており、電極、第1
層、電極、第2層、電極、第3層、電極の順に積層され
た構造を有し、かつ第2層を挟持する2つの電極の電位
が等しくなるように第2層を介して電荷の移動手段を有
することを特徴とする。
【0024】請求項8記載の反射型液晶表示装置の駆動
方法は、請求項1記載の液晶表示装置において、第1層
の領域を黒表示し、かつ第3層の対応する領域を黒表示
にする電圧印加状態を有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。本発明での液晶層とは、液晶
組成物を含む層で、電極、基板、カラーフィルタ層、反
射膜を含まない層を意味する。図1に本発明の反射型液
晶表示装置の構造を示す。液晶層1は、色素分子の配向
方向によって吸光度の異なる二色性色素の混入された液
晶性組成物を含む。カラーフィルタ層2は、可視波長域
で、波長によって透過または反射のどちらかを選択する
機能を有する。液晶層3は、液晶層1と同様に二色性色
素の混入された液晶組成物を有す。反射膜4は、液晶層
3側から反射膜4に入射した光を再び液晶層3に入射さ
せるように可視波長範囲で反射性を有する。そして、さ
らに、液晶層1と液晶層3の液晶の配向を制御する電界
発生を目的とした電極(不図示)を有している。
【0026】本発明による液晶表示装置では、図1に示
すように、入射光5によって液晶層1を透過した光線の
うち、カラーフィルタ層2で反射した光6、さらに、カ
ラーフィルタ層2および液晶層3を透過し反射膜4にて
反射された光7を観察することとなる。図1に示す反射
光6は、カラーフィルタ層2の反射波長の光であり、反
射光7はカラーフィルタ層2の透過波長の光である。
【0027】カラーフィルタ層2は色の表示を行うため
に用いるが、特定の波長の光線を吸収するものではな
く、カラーフィルタ層2による光の損失は生じない。カ
ラーフィルタ層2の反射波長の光は、液晶層1を通過
し、カラーフィルタ層2にて反射された後、再び液晶層
1を通過して観察されるため、反射光6の観察時の強度
は液晶層1によって変調される。また、カラーフィルタ
層2の透過波長の光は、液晶層1に入射し、カラーフィ
ルタ層2を通過し、液晶層3を通過し、反射膜4にて反
射された後に、再度液晶層3を通過し、カラーフィルタ
層2を通過し、液晶層1を通過し、観察される。このた
め、反射光7の観察時の強度は液晶層1と液晶層3によ
って変調される。即ち、カラーフィルタ層2の反射波長
の光の観察強度を調整する場合、液晶層1の透過率を変
化させればよく、カラーフィルタ層2の透過波長の光の
観察強度を調整する場合、液晶層1と液晶層3の透過率
を変化させればよい。
【0028】本発明によれば、液晶層1と液晶層3が透
過状態にある場合、カラーフィルタ層2の透過波長と反
射波長のどちらも観察でき、光の利用効率が高い。ま
た、液晶層3を非透過状態(黒状態)にすると、カラー
フィルタ層2の反射波長のみの観察が可能なため、カラ
ーフィルタ層2の反射波長を適宜設計すれば、色純度の
高い純色が観察される。さらに、液晶層1を非透過状態
にすると、黒状態も実現される。つまり、簡易に作製可
能な液晶層を2層用い、非吸収型のカラーフィルタの透
過光と反射光を変調することで、高明度、高彩度、高コ
ントラスト表示が可能となる。
【0029】図1に示す反射型液晶表示装置は光利用効
率の向上という点においては効果があるが、カラーフィ
ルタ層2と反射膜4の反射光を観察するため、反射光の
鏡面性が高いと、表示面に周囲の背景や観察者の顔など
が映り込む。また、照明光として通常の室内の天井灯と
いった照明環境の場合、鏡面性の高い反射面では、明る
い表示面を得られるように照明光と液晶表示面の配置を
決めると、表示面に照明光源が映り込む。このとき、反
射表示内容は観察されにくくなる。
【0030】そこで、光の利用効率が高い上記構成の特
徴をより効果的に利用するため、さらに、異方性散乱膜
を用いることが好ましい。ここで、異方性散乱膜とは、
その膜を通過する光の入射方位によって、散乱性が変化
する膜であって、該膜を付与した液晶表示装置への入射
光か、または前記装置の出射光かどちらか一方、または
両方に対し散乱するように配置する。例えば、図2に示
すように、液晶層1上に、異方性散乱膜8を付与する。
この構成では、入射光9は散乱し、液晶層1に異方性散
乱膜8側より入射する光線は散乱光となる。このため、
鏡面としての映り込みがなくなり、天井灯などの比較的
小さい光源の照明下でも、正反射以外の方向に入射光線
を散乱させる。しかも、観察方向を異方性散乱膜8の散
乱の少ない方位にすれば、表示面からの反射光10は散
乱されることがなく、表示面の表示内容が二重映りする
現象を防ぐことが可能となる。また、表示内容を使用者
の周囲から確認し難くできるため、表示内容のプライバ
シー保護にもつながる。
【0031】また、異方性散乱膜の散乱特性を適宜選択
し、入射光を散乱させず、反射光を散乱させ、その散乱
光を観察してもよい。この場合、散乱光を観察するため
に、異方性散乱膜の散乱面が表示内容を映し、あたかも
異方性散乱膜中に光変調層があるように観察され、異方
性散乱膜と液晶層の間に光透過性のある基板がある場合
や、液晶層1と反射層4が離れている場合でも、その基
板の厚みを感じさせない、または視差を感じさせにくく
するなどの効果がある。これは、ペン入力装置を液晶表
示面上に取り付けた入力一体型表示装置において、ペン
先が表示面から浮いているように感じられる不自然さを
解消するなどの効果がある。また、異方性散乱膜は、本
液晶表示装置に入射する光が最初に強く反射されるカラ
ーフィルタ層よりも観察者側に配置されていれば、液晶
層の下に配置されていてもよい。
【0032】次に、カラーフィルタ層の透過光と反射光
とのスペクトルの関係の具体例を、緑の反射部を例とし
て、図3に示す。カラーフィルタ層は誘電体ミラー、体
積ホログラム、コレステリック反射膜等を用いることが
できる。これらは、色素や顔料、染料を利用した、特定
波長の吸収率が高い物質の吸収を色表示に利用するもの
とは異なり、特定波長の反射率および透過率を制御する
ことにより、色表示を行うものである。これを実現する
ための手段として、光の干渉を利用した誘電体ミラー
や、体積ホログラム等を用いることが可能であり、その
特徴は、屈折率の異なる2種以上の物質の繰り返し構造
を有することであり、光の干渉によって各波長の透過か
反射かを選択し、損失が少なくすることができる。ま
た、ホログラムを利用した場合、液晶表示装置の観察者
側の特定の方向に入射光を反射させることが可能になる
という利点もある。
【0033】また、特定波長の透過または反射を制御す
るものとして、コレステリック液晶相を利用した反射膜
を用いることができる。これは、右回り円偏光か、左回
り円偏光か、どちらか一方のコレステリック相のねじれ
の向きに合った円偏光成分のうち、特定波長域の円偏光
成分のみ反射する性質を有する。この場合も、光吸収過
程がないため、各波長の透過か反射かを選択するのみで
ある。そして、本発明によるカラーフィルタ層として
は、このような層が少なくとも1層含まれており、さら
に右回り円偏光と左回り円偏光のどちらも反射できるよ
う、右回りの反射層、左回りの反射層の二層を積層され
ていることが好ましい。
【0034】さらに、図4を用いて、本発明による反射
型液晶表示装置の駆動方法について説明する。これは、
ドットマトリックス表示により、複数の表示色を得るた
めの構成である。図4(a)に示すように、カラーフィ
ルタ層2の反射色を赤(R)、緑(G)、青(B)の光
の三原色にした場合、液晶層3を黒状態にすることによ
り、広い色再現範囲が得られ、しかも、液晶層1と液晶
層3とを共に透過状態にすれば、明るい白状態が実現さ
れる。また、さらに明るい表示にするためには、図4
(b)に示すように、反射色をマゼンタ(M)と緑
(G)のように構成してもよい。いずれの場合も、黒表
示は液晶層1を黒状態にすることで実現される。
【0035】液晶層1及び液晶層3の駆動方法により、
ドットマトリクス表示をおこなうためには、液晶層1及
び3の少なくとも1層の各画素が駆動できればよく、薄
膜トランジスタ(TFT:Thin Film Tra
nsistor)素子等の3端子素子やMIM(Met
al Insulator Metal)等の2端子素
子のアクティブ素子による駆動や、ストライプ電極によ
る時分割駆動、AA(Active Addressi
ng)法、MLS(Multi Line Selec
tion)法等であってもよい。液晶層3の反射膜4側
の電極と反射膜4は兼用されていてもよい。
【0036】図5(a)は、液晶層3への電界発生用電
極が一つの画素を構成するRGBの3サブピクセルを同
時に駆動できるように構成したものである。この場合、
液晶層3の透過状態をRGBのそれぞれのサブピクセル
ごとに選択することは不可能であるが、液晶層3の表示
容量が少ないため、作製が容易になり、より簡易な製作
工程が適用できる。しかも、色純度を重視する表示の場
合、対応する画素の液晶層3を黒状態にし、また、明る
さを重視する場合、液晶層3を透過状態にすることで、
画素毎の液晶層3の状態の選択が可能になる。
【0037】図5(b)は、さらに液晶層3全体を一組
の対向する電極で駆動するように構成したものである。
この場合、液晶層3の透過状態を画素ごとに選択するこ
とは不可能であるが、一組の電極で液晶層3全体の駆動
が可能となり、さらに簡易に製造できる。この場合、画
面全体の表示の明るさと色再現性領域が液晶層3駆動電
極への印加電圧にて調整可能となる。この印加電圧は観
察者が調整してもよく、また、周囲の照明状態を検出す
るセンサー等と組み合わせて自動に調整されるものでも
よく、さらには、表示内容にあわせて自動調整されても
よい。
【0038】図6には、本発明によるさらなる液晶表示
装置の駆動方法を示す。液晶層1を駆動する電極の一方
と、液晶層3を駆動する電極の一方が電荷の移動手段と
しての導体で接続されている。このため、液晶層1に電
界を発生させると、液晶層3にも電界が発生し、液晶層
1と液晶層3を同時に駆動できる。このため、液晶層
1、3を駆動するには、液晶層1、3のどちらか一層を
駆動するだけでよく、簡易に駆動できる。この時の液晶
層1と液晶層3は、反射層を付加して測定した場合の電
圧−反射率曲線が同じものでもよいが、さらに好ましく
は、異なるものが良い。
【0039】異なる電圧―反射率曲線をもつ液晶層を組
み合わせて用いた場合、特に、図7の曲線Aに示すよう
な特性の液晶層を液晶層1に使用し、図7の曲線Bに示
すような特性の液晶層を液晶層3に使用した場合、電圧
の印加とともに、黒からカラーフィルタの反射色、さら
にそれにカラーフィルタの透過色を加えた状態へと変化
するため、必要な色純度を満たしたり、必要な明るさを
満たすような駆動が容易に行える。また、黒表示の場合
に液晶層1と3が同時に黒状態になり、反射率が低下
し、コントラストが向上するという利点もある。反射膜
と組み合わせた場合の電圧−反射率曲線が異なるような
液晶層を得るには、異なる液晶材料を使ってもよく、異
なるカイラル分量に調整されていてもよい。
【0040】また、本発明によれば、二層の対応した領
域を同時に黒表示にすることも可能となる。このとき、
カラーフィルタ層の反射色は液晶層1によって変調さ
れ、カラーフィルタの透過色は液晶層1および液晶層3
により変調されるため、液晶層1のみを黒状態で液晶層
3は明状態という場合に比べ、カラーフィルタの透過色
の反射率が小さい黒状態が実現され、コントラストが向
上する。
【0041】
【実施例】上記実施形態で説明の各構成によって作製さ
れる液晶表示装置の実施例を以下にあげて、さらに本発
明について説明する。各実施例において、本発明の液晶
表示装置にかかる液晶素子は、液晶組成物を層状に保持
する手段を有し、一層の液晶層を有し、さらに、カラー
フィルタ層、反射膜、電極等との組み合わせで、液晶表
示装置の光制御機能の一部を提供する。
【0042】<実施例1>実施例1にかかる液晶表示装
置101を図8に示す。表示用透明電極として、ITO
(Indium Tin Oxide)をスパッタリン
グ法により、1500Å成膜したガラス基板の表示電極
上に、液晶配向用の配向膜として、ポリイミド膜をスピ
ンコート法により塗布後オーブンにて焼成の後、100
0Å厚に成膜し、ラビング法により配向処理を行い、基
板11とした。
【0043】また、ガラス基板上にダイクロイックミラ
ーを形成した上に、表示用電極(ITO)を成膜後パタ
ーニングし、図9の反射スペクトル及び透過スペクトル
を示すように作製し、可視波長域の光において波長毎に
異なる反射率をもつ波長選択膜(カラーフィルタ層)2
とした。更に、同基板の表示電極上に基板11と同様に
配向膜の形成および配向処理を行い、基板12とした。
【0044】この基板11の配向膜面にプラスティック
ビーズを散布し、基板12の配向膜面の周辺部にエポキ
シ系熱硬化型接着剤(基板11に散布したプラスティッ
クビーズを3重量パーセント混入したもの)をスクリー
ン印刷法により印刷(不図示)し、基板11と基板12
を配向膜面を対向加圧したままオーブンにて接着剤を硬
化させ、液晶注入用のセル1を作製した。
【0045】また、可視光の反射機能を兼ね備えた表示
用電極として、ガラス基板上にアルミニウムを2000
Å蒸着した基板の電極上に基板11と同様に配向処理
し、基板32とした。この基板32と、基板11と同様
に準備された基板31をセル1と同様にして配向膜面を
対向させた液晶注入用セルを作製し、セル3とした。
【0046】ネマティック液晶に黒色の二色性色素を溶
解させた液晶材料(メルク社製ZLI2327)に光学
活性物質(メルク社製S−811)を4.5%添加し
た。このゲストホスト液晶組成物をセル1に真空注入法
を用いて注入し、液晶層とカラーフィルタによる液晶素
子1とした。同様のゲストホスト液晶組成物をセル3に
真空注入し、液晶層と反射膜による液晶素子3とした。
【0047】このようにして作製された液晶素子3を図
10のように配置し、基板31側を光の入射面および測
定面とした場合の比視感度反射率は、基板31と基板3
2の電極間への印加電圧に対し、図11に示す結果を得
た。ここでの基準の100%は、アルミニウムを蒸着し
たガラス基板をガラス側から入射し、測定した図10に
示す配置での反射率とした。どちらの場合にも反射率は
顕微分光計にて測定した。印加波形は60Hz矩形電圧
波形で、電圧は実効値である。この特性のうち、液晶表
示装置の暗状態と明状態で明暗の判別の容易さを表すコ
ントラスト比(明状態の反射率/暗状態の反射率)は
5.44、表示表示装置の明るさの目安を与える明状態
での反射率は49%であった。
【0048】さらに、液晶素子1と液晶素子3を液晶素
子1の基板12と液晶素子3の基板31が接するように
図8のように配置し、その基板間隙に屈折率がガラスに
近いマッチングオイルを満たし、液晶層1、カラーフィ
ルタ層2、液晶層3、反射膜4を有する液晶表示装置1
01を作製した。このようにして、作製した液晶表示装
置101の基板11側を観察面とし、この面から液晶表
示装置101に入射する周囲光を利用する反射型液晶表
示装置として動作させた。動作の状態は表1に示す4状
態を、液晶層1および液晶層3への印加電圧によって規
定した。
【0049】
【表1】
【0050】観察面への入射光に対する図10の配置で
の反射率は、450nm、550nm、650nmの各
波長において、表2のようになった。この時の印加電圧
は基板11と基板12の電極間と、基板31と基板32
の電極間に加え、状態1〜状態4は表1と同様の条件で
ある。
【0051】
【表2】
【0052】この結果、基板12上に形成されたダイク
ロイックミラーの反射波長である550nmでは液晶素
子1の液晶層1の特性が現れ、ダイクロイックミラーの
透過波長である450nmと650nmでは、液晶素子
1の液晶層1と液晶素子3の液晶層3の合成された特性
が現れることを確認した。さらに液晶表示装置101の
表示状態を目視観察したところ、状態1は緑がかった明
るい白表示、状態2は緑の表示、状態3は黒表示であっ
た。また、状態4は状態3に比べ反射率の高い黒であっ
た。このように加法混色の3原色の一つである緑の表示
可能な装置であることを確認し、黒状態も実現し、その
緑の発色状態にさらに反射膜4での赤、青の反射光を加
えて、より明るい表示状態が実現されることを確認し
た。
【0053】この液晶表示装置101に使用した液晶素
子1のカラーフィルタであるダイクロイックミラーを、
他の特性のものを用い、液晶素子4、および液晶素子5
を作製し、液晶表示装置101と同様に液晶素子3と組
み合わせ、それぞれ、液晶表示装置102、液晶表示装
置103とし、同様の測定及び観察を行った。液晶素子
4および液晶素子5の表示電極のついたダイクロイック
ミラーの反射スペクトルおよび透過スペクトルを図12
(a)及び12(b)に示す。また表3、4に液晶表示
装置102、103の状態1、状態2、状態3、状態4
での各波長の反射率を示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】液晶表示装置102および液晶表示装置1
03の目視観察結果を、液晶表示装置101の結果とあ
わせて表5に示す。表5によれば、表示状態の目視観察
では、状態1は明るい白表示、状態2は三原色の単色の
表示、状態3および状態4は黒表示であることがわか
る。
【0057】
【表5】
【0058】<実施例2>以下、異方性散乱膜を液晶素
子の観察面側に配置した実施例2について説明する。実
施例1で作製した液晶表示装置101、102、103
おいて、異方性散乱膜をそれぞれ液晶素子1、4、5の
観察面側に配置し、液晶表示装置111、112、11
3とした。この異方性散乱膜は入射光線の方向が、膜の
法線方向からある方位に傾斜させた場合、傾斜角度が0
度から60度の範囲では散乱し、60度から90度の範
囲では散乱せず、反対の方位に傾斜させた場合は0度か
ら90度の範囲で散乱しない。この異方性散乱膜の製造
方法の例として、例えば、特開昭64−40902号公
報に開示されている方法を用いてもよい。
【0059】液晶表示装置111、112、113はそ
れぞれ表5に記載の液晶表示装置101、102、10
3と同様の発色状態になったが、さらに異方性散乱膜の
ために、液晶表示装置の法線方位からの観察によって
も、観察者の顔が映り込むことはなく、また、通常の液
晶表示装置の使用を想定した角度である法線方位から0
゜〜60゜の傾斜観察においても、表示面が鏡面になら
ず、良好な表示であった。
【0060】さらに、照明光を散乱方位から入射させる
ことにより、表示面が散乱光で照明され、照明光源が通
常の天井灯等の場合にも散乱照明が実現し、さらにその
表示面を非散乱方位から観察する事により、より明るい
表示になった。
【0061】<実施例3>以下、液晶層として、液晶高
分子複合体を用いた実施例3について説明する。実施例
1の基板11と同様の表示用電極を形成した基板Aと、
実施例1の基板12と同様のダイクロイックミラーおよ
び表示用電極の形成された基板Bに、どちらも配向膜を
形成せず、また配向処理も行わないまま、基板Aと基板
Bを用いて実施例1のセル1と同様のセルを作製した。
【0062】実施例1と同様の色素入り液晶組成物に重
量比15%の紫外線硬化型樹脂を溶解させ、等方相にな
る温度で前記セルに注入した。このセルに基板A側から
600mJ/cm2 の紫外線を照射し、樹脂を硬化さ
せ、液晶樹脂複合層とし、液晶層とカラーフィルタ層を
有する液晶素子とした。このとき、等方相の単一相か
ら、樹脂成分の重合に伴う相分離により、二色性色素を
含んだ液晶組成物が液滴状に析出し、その直径は約1〜
2ミクロンであった。このようにして作製した液晶素子
の表示用電極に電圧を印加したところ、電圧に従って透
過率の上昇する特性を示した。
【0063】また、実施例1のセル3の作製工程のう
ち、配向処理を除いて同じ工程を適用して作製されたセ
ルに、液晶樹脂複合層を形成したセルと、基板AとBに
よるセルとを図8と同様に配置し、液晶表示装置を作製
した。この液晶表示装置の目視観察結果を表6に示す。
即ち、液晶層として、液晶高分子複合体を用いても実施
例1と同様の作用の液晶表示装置が実現出来ることを確
認した。
【0064】
【表6】
【0065】<実施例4>以下、カラーフィルタ層とし
て、ホログラム層を用いた実施例4について説明する。
実施例1の基板12の構造で、カラーフィルタ層のない
基板を用い、実施例1と同様に配向膜を形成し、配向処
理を行った基板と、実施例1の基板12と同様に配向処
理された基板を用い作製された液晶素子に、感光性高分
子にコヒーレント光(レーザー光)を照射し干渉構造を
記録することによって、図13に示すような反射スペク
トルが得られるホログラム膜を貼付し、液晶層とカラー
フィルタ層を有する液晶素子とし、さらに実施例1の液
晶素子3の基板31をホログラム膜に接するように配置
し、液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置を目視
観察した結果、表7のようにカラーフィルタがダイクロ
イックミラーの場合と同様の発色状態を示した。即ち、
カラーフィルタ層として、ホログラム層を用いても実施
例1と同様の作用の液晶表示装置が実現出来ることを確
認した。
【0066】
【表7】
【0067】<実施例5>以下、カラーフィルタ層とし
て、円二色性を示す選択反射層を用いた実施例5につい
て説明する。実施例1のダイクロイックミラーの代わり
に、円二色性を示す層として、コレステリック液晶相の
持つ配向構造を固定化させた高分子層からなる反射透過
選択型のカラーフィルタ層を、透明電極が成膜されたガ
ラス基板上に形成した。このカラーフィルタ層は、右回
り円偏光を反射させる層と左回り円偏光を反射させる層
の2層の積層構造より構成され、カラーフィルタ層への
入射光の円偏光状態に関係なく、同様の透過スペクトル
および反射スペクトルを示した。このカラーフィルタの
反射スペクトルを図14に示す。
【0068】さらに、実施例1と同様の方法にて配向膜
を形成の上、同様の配向処理を行い、基板Cとした。実
施例1の基板12と同様に配向処理された基板を基板D
とし、基板Cと基板Dを用いたセルを作製した。さら
に、このセルに実施例1と同様の液晶組成物を注入し、
液晶層とカラーフィルタ層をもつ液晶素子を作製した。
前記液晶素子と、実施例1で作製した液晶素子3を実施
例1と同様に配置し、液晶素子の基板C側を観察面に
し、周囲照明光のもとで目視観察したところ、表8に示
すような表示が得られた。即ち、カラーフィルタ層とし
て、円二色性を示す選択反射層を用いても、実施例1と
同様の表示が実現出来ることを確認した。
【0069】
【表8】
【0070】<実施例6>以下、液晶素子をTFT素子
により駆動を行う実施例6について説明する。反射光の
中心波長がRGBそれぞれ650nm、550nm、4
50nmになるようにしたダイクロイックミラーをガラ
ス基板上にマトリックス状に配置し、その上にITOを
共通電極として形成し、図15(a)のような基板62
を準備した。また、各サブピクセルにTFT(Thin
Film Transistor、薄膜トランジスタ
ー)素子が配設された基板61を用意し、基板61及び
62上に配向膜を印刷し、オーブンにて焼成の上、ラビ
ング法にて配向処理をおこなった。この基板61及び基
板62を用いて、実施例1と同様に図15(b)に示す
ような基板配置のセルを作製し、実施例1と同様の液晶
組成物を真空注入法により注入し、ドライバICを実装
の上、液晶層とカラーフィルタ層を有する液晶素子を作
製した。
【0071】また、各サブピクセルにTFT素子が配設
された基板Fの画素電極をアルミニウムにて作製したも
のと、透明なガラス基板に共通電極としてITOを形成
したものを基板Eとし、基板E、Fに配向膜を形成し、
配向処理を行った。この基板を用いてセルを作製し、実
施例1と同様の液晶組成物を注入し、ドライバICを実
装の上、液晶層と反射膜を有する液晶素子とした。
【0072】基板61および62による液晶素子の基板
62と、基板EおよびFによる液晶素子の基板Eを接す
るように配置し、前記2つの液晶素子のサブピクセルが
対応するように位置あわせの上、液晶表示装置とした。
この液晶表示装置の各画素のRGBのサブピクセルは、
前記2つの液晶素子が、それぞれ独立して表1のように
四種類の状態を取り得るように駆動した。このようにし
て表示面の画素ごとに異なった駆動を行うことにより、
ドットマトリクス表示が可能であることを確認した。
【0073】さらに、目視観察を目的に、表示面のすべ
ての同色のサブピクセルに同じ電圧を印加し、表示面上
の全画素で同じ表示となるよう電圧を印加し、表9の目
視観察結果を得た。そして、RGBすべてが状態1の明
るい白表示と、RGBすべてが状態3の黒表示のコント
ラストは8.8であり、液晶層を単独で利用した場合、
すなわちRGBすべてが状態4の黒と比較したコントラ
スト(5.44)よりも良好であった。
【0074】
【表9】
【0075】<実施例7>以下、実施例6のようにTF
T素子基板を2枚使わず、より簡易な構成で課題を解決
する実施例7について、説明する。ガラス基板にITO
を形成した基板Gと、ガラス基板にアルミニウムの反射
電極を形成した基板Hに配向膜を形成し、配向処理の
後、セルを作製した。このセルに実施例1の液晶組成物
を注入し、液晶層と反射膜を有する液晶素子とした。こ
の液晶素子の電極は基板Gと基板Hの各基板の上で共通
しており、液晶素子は全面同じ状態に駆動されるもので
あった。この液晶素子を、実施例6の液晶層とカラーフ
ィルタを有する液晶素子(図15(b)に示す)に接す
るように配置し、目視観察を目的に、この液晶素子の全
画素を同じ駆動状態にし、目視観察したところ、表10
のようになった。
【0076】
【表10】
【0077】また、基板GおよびHによる液晶素子の状
態をONとOFFの中間状態にすることにより、RGB
の画素が同じ状態にある表10の二つの状態の中間状態
にすることができた。このように、基板GおよびHによ
る液晶素子の状態を全面同時に切り替えることにより、
明るさの必要な状況にも、色の再現性の必要な状況に
も、またそれらの中間状態にも、それぞれ対応可能な液
晶表示装置であることが確認された。さらに、図15
(b)に示す液晶素子を、画素ごとに異なった駆動をす
ることにより、ドットマトリックス表示が可能であっ
た。
【0078】<実施例8>以下、TFT素子基板を1枚
だけ用いることにより、実施例6に近い良好な表示性能
を得る実施例8について説明する。ガラス基板として、
感光性ガラス(コーニング社製フォトフォーム)を用
い、フォトリソグラフィーにより、スルーホールを形成
し、スパッタリングによってITOをスルーホールの内
壁と片面に成膜した。さらに、もう片面とスルーホール
内壁にITOをスパッタリングし、フォトリソグラフィ
ーによって、サブピクセルに対応した電極を形成し、画
素ごとに両面に互いに接続された電極を有する中間基板
とした。この基板の片面にホログラムィックフィルムを
貼付し、カラーフィルタ層とした。
【0079】さらに、TFT素子が形成され、反射電極
を有するTFT基板にも同様に配向処理を行いTFT基
板とした。また、全面にITOが共通電極として形成さ
れた基板に、実施例1と同様の配向処理を行い、対向基
板とした。TFT基板と中間基板及び対向基板を用い
て、図16のような基板配置のセルを作製し、色素の混
入されたゲストホスト液晶組成物を真空注入法により導
入した。液晶層1に注入した液晶材料と液晶層3に注入
した液晶材料はカイラル添加剤の添加量だけが異なって
おり、色素入りゲストホスト液晶は実施例1と同様であ
った。カイラル添加剤はより多く添加されているものを
液晶層3に用いた。液晶駆動用ICを用いて、TFT素
子のソース電極及ゲート電極と対向基板上の共通電極に
電圧の印加を可能にした。
【0080】このようにして作製した液晶表示装置の赤
の反射色を有するサブピクセルを顕微鏡で観察すると、
TFT基板上の画素電極と対向基板に設けられた共通電
極間に印加した電圧の上昇とともに、黒状態から純度の
高い赤、さらに、赤みがかった明るい白状態へと変化し
た。この変化は緑および青のサブピクセルでも確認され
た。
【0081】また、サブピクセルごとに異なった電圧を
印加することにより、ドットマトリクス表示が可能であ
った。さらに、目視観察を目的に、表示面のすべての同
色のサブピクセルに同じ電圧を印加し、表示面上の全画
素で同じ表示となるよう電圧を印加し、表11に示す目
視観察結果を得た。
【0082】
【表11】
【0083】このとき、RGBすべてが状態1の明るい
白表示と、RGBすべてが状態3の黒表示のコントラス
トは8.8であり、液晶層を単独で利用した場合、すな
わちRGBすべてが状態4の黒と比較したコントラスト
(5.44)よりも良好であった。以上のように、実施
例6と同様の作用の液晶表示装置が1枚のTFT基板の
みで実現できた。
【0084】
【発明の効果】本発明のうち請求項1乃至請求項4記載
の発明によれば、明るい白状態の表示可能な、しかも色
純度が高く、さらに高コントラスト表示可能な液晶表示
装置が、作製が容易な液晶層にて実現することができ
る。特に、請求項2記載の発明によれば、散乱性も付与
することができ、表示面での表示内容の2重写りなどの
現象を防ぐことも可能となる。
【0085】また、請求項5乃至請求項7記載の発明に
よれば、反射型液晶表示装置において、ドットマトリク
ス表示が可能となり、特に請求項6および請求項7の装
置は、表示性能を損なうことなく、簡易に作製できる表
示装置を提供することが可能となる。さらに、請求項8
記載の駆動方法によれば、特に、良好な黒表示を行うこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射型カラー液晶表示装置の構成を表
す断面図である。
【図2】本発明の反射型カラー液晶表示装置における異
方性散乱膜の配置と機能の説明図である。
【図3】本発明によるカラーフィルタ層の機能説明図で
ある。
【図4】本発明におけるカラーフィルタ層と二層の液晶
層の駆動領域の対応を示す断面概略図である。
【図5】本発明における二層の液晶層の駆動領域の対応
を示す断面概略図である。
【図6】本発明における電極接続の断面概略図である。
【図7】本発明における液晶層の電気光学特性を示す図
である。
【図8】本発明の実施例1における液晶表示装置の構成
図である。
【図9】本発明の実施例1で用いたカラーフィルタの反
射及び透過の特性図である。
【図10】本発明の実施例1で用いた反射率の測定配置
図である。
【図11】本発明の実施例1で作製の液晶素子3の比視
感度反射率の電圧依存性を示す図である。
【図12】本発明の実施例1で用いたカラーフィルタの
反射及び透過の特性図である。
【図13】本発明の実施例4で用いたカラーフィルタの
反射特性図である。
【図14】本発明の実施例5で用いたカラーフィルタの
反射特性図である。
【図15】(a)は本発明の実施例6で用いたカラーフ
ィルタ基板のカラーフィルタの配置図であり、(b)は
液晶層およびカラーフィルタを有する液晶素子の基板配
置図である。
【図16】本発明の実施例8の液晶素子の基板配置図で
ある。
【図17】従来の二色性色素を含有する液晶表示装置の
構成を表す模式図である。
【図18】従来の三層型液晶表示装置の構成を表す模式
図である。
【符号の説明】
1、3 液晶層 2 カラーフィルタ層 4 反射層(反射膜) 5、9 入射光 6、7、10 反射光 8 異方性散乱膜 11、12、31、32、61、62 基板 171、172、173 サブピクセル 171a、171b、172a、172b、173a、
173b 液晶領域 181、182、183 液晶色層 184、185、186、187 電極層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二色性を有する色素が混入された液晶組
    成物を有する第1層と、可視波長範囲で波長により反射
    または透過を選択する選択膜を有する第2層と、二色性
    を有する色素が混入された液晶組成物を有する第3層
    と、反射性を有する第4層とを具備し、前記4種類の層
    が、第1層、第2層、第3層、第4層の順に、直接また
    は光透過性のある層あるいは光透過性のある基板を介し
    て積層され、かつ第1層と第3層に電界を印加する手段
    を有することを特徴とする反射型液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の反射型液晶表示装置にお
    いて、少なくとも1枚の異方性散乱膜を具備し、異方性
    光散乱膜、第1層、第2層の順か、または第1層、異方
    性光散乱膜、第2層の順に積層され、直接または光透過
    性のある層あるいは光透過性のある基板を介して積層さ
    れることを特徴とする反射型液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の反射型液晶表示装置にお
    いて、波長により反射または透過を選択する第2層が、
    屈折率の異なる少なくとも2種以上の物質の略繰り返し
    構造を有することを特徴とする反射型液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の反射型液晶表示装置にお
    いて、波長により反射または透過を選択する第2層が、
    少なくとも1層の円偏光二色性を有する層を有すること
    を特徴とする反射型液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の反射型液晶表示装置にお
    いて、波長により反射または透過を選択する第2層が、
    複数の画素に区切られており、該画素は異なる反射色を
    与える少なくとも2種以上の副画素に区切られ、該副画
    素の任意の組み合わせにより構成される選択領域に対応
    して電圧を印加する手段として、第1層または第3層の
    少なくとも一方に第2層の副画素に対応してアクティブ
    素子が配設されるか、またはストライプ状電極を有する
    ことを特徴とする反射型液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の反射型液晶表示装置にお
    いて、第3層へ印加される電界が、第2層の少なくとも
    2サブピクセル以上に対応した電極対により発生され、
    該電極対の電極の一方が第2層と第3層に挟持され、前
    記電極対のもう一方が第3層と第4層によって挟持され
    ていることを特徴とする反射型液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の反射型液晶表示装置にお
    いて、第1層への電界の印加用電極が第1層を挟持して
    おり、第3層への電界の印加用電極が第3層を挟持して
    おり、電極、第1層、電極、第2層、電極、第3層、電
    極の順に積層された構造を有し、かつ第2層を挟持する
    2つの電極の電位が等しくなるように第2層を介して電
    荷の移動手段を有することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の液晶表示装置において、
    第1層の領域を黒表示し、かつ第3層の対応する領域を
    黒表示にする電圧印加状態を有することを特徴とする反
    射型液晶表示装置の駆動方法。
JP7929397A 1997-03-31 1997-03-31 反射型液晶表示装置およびその駆動方法 Pending JPH10274780A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7929397A JPH10274780A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 反射型液晶表示装置およびその駆動方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7929397A JPH10274780A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 反射型液晶表示装置およびその駆動方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10274780A true JPH10274780A (ja) 1998-10-13

Family

ID=13685814

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7929397A Pending JPH10274780A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 反射型液晶表示装置およびその駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10274780A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1323318C (zh) * 2003-08-27 2007-06-27 日本电气株式会社 显示系统和电子设备
US20130050620A1 (en) * 2011-08-24 2013-02-28 Samsung Electronics Co., Ltd. Color image panel, and apparatus and method of displaying color image using the same
WO2021102920A1 (zh) * 2019-11-29 2021-06-03 京东方科技集团股份有限公司 显示装置及其制作方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1323318C (zh) * 2003-08-27 2007-06-27 日本电气株式会社 显示系统和电子设备
US20130050620A1 (en) * 2011-08-24 2013-02-28 Samsung Electronics Co., Ltd. Color image panel, and apparatus and method of displaying color image using the same
JP2013045113A (ja) * 2011-08-24 2013-03-04 Samsung Electronics Co Ltd カラー画像パネル、これを利用したカラー画像表示装置及び表示方法
CN102955315A (zh) * 2011-08-24 2013-03-06 三星电子株式会社 彩色图像面板以及使用其显示彩色图像的装置和方法
WO2021102920A1 (zh) * 2019-11-29 2021-06-03 京东方科技集团股份有限公司 显示装置及其制作方法
CN113196157A (zh) * 2019-11-29 2021-07-30 京东方科技集团股份有限公司 显示装置及其制作方法
CN113196157B (zh) * 2019-11-29 2023-10-20 京东方科技集团股份有限公司 显示装置及其制作方法
US11874552B2 (en) 2019-11-29 2024-01-16 Boe Technology Group Co., Ltd. Display device and manufacturing method thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3071658B2 (ja) 液晶表示素子
US7379133B2 (en) Reflective LCD, semitransmitting reflective LCD and electronic device
US20050243047A1 (en) Color display device
US6144432A (en) Reflective liquid crystal display device
JPH09166780A (ja) 反射型液晶表示装置
EP0543658B1 (en) Liquid-crystal color display device
JP2001013500A (ja) 反射型液晶表示素子
JP2607741B2 (ja) 液晶表示装置
JP3112392B2 (ja) 液晶表示装置
KR100385691B1 (ko) 반사형 액정표시소자
US6072553A (en) Reflection-type liquid crystal display with layer comprising liquid crystal compound and liquid crystal polymer being twist-aligned at same angle
US6271905B1 (en) Reflective liquid crystal display device
US6567149B1 (en) Reflection liquid crystal display device
JPH10274780A (ja) 反射型液晶表示装置およびその駆動方法
JPH1138397A (ja) 反射型カラー液晶表示素子
JPH1010528A (ja) 反射型液晶表示装置
JPH10115704A (ja) 反射型カラーフィルタおよび液晶表示装置
JPH0829811A (ja) 液晶表示装置
JPH05216057A (ja) 液晶表示装置
KR100210651B1 (ko) 컬러액정표시소자
JPH0968702A (ja) 反射型カラー液晶表示素子及びその製造方法
JPH1152364A (ja) 反射型液晶表示素子
JP2002202526A (ja) 液晶表示素子
JPH09281482A (ja) 液晶表示素子
JP2000111912A (ja) 反射型液晶表示素子