JP3106135B2 - ラセミのテトラロンの微生物を使用する立体選択的還元 - Google Patents

ラセミのテトラロンの微生物を使用する立体選択的還元

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4−(3,4−ジクロ
ロフェニル)−3,4−ジヒドロ−1(2H)−ナフタ
レノンの(4S)エナンチオマー(以降、“キラルなテ
トラロン”または“(4S)テトラロン”とも称す。)
を製造するための新規な方法に関し、さらに詳しくは、
ラセミの4−(3,4−ジクロロフェニル)−3,4−
ジヒドロ−1(2H)−ナフタレノン(以降、“ラセミ
のテトラロン”とも称す。)のキラルなテトラロンへの
微生物を使用する立体選択的な還元に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の方法によって製造されるキラル
なテトラロンは、純粋なcis−(1S)(4S)−N
−メチル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,
2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンアミン(一
般に、セルトラリンと称される。)を製造するためにさ
らに反応させられる。セルトラリンは、例えば、抗うつ
薬および食欲抑制剤として、また、薬品依存症、不安関
連疾患、早漏、癌および心筋梗塞後(post-mycardial i
nfraction)の処置において有効であることが周知であ
る。
【0003】セルトラリンを製造するための方法は、当
分野で公知であり、例えば、米国特許No. 4,536,518;
4,777,288;4,839,104;4,855,500;4,940,731;4,962,
128;5,082,970;5,130,338;5,196,607;5,248,699;
5,442,116;5,463,126;5,466,880;5,597,826;および
5,750,794に記載されているもの、および、W. M. Welc
h, Jr. et al.のJournal of Medicinal Chemistry, Vo
l. 27, No. 11, p. 1508 (1984)の論文に記載されてい
るものが挙げられる。
【0004】前述の特許のいくつかは、ラセミのN−メ
チル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,
3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンアミンのcis
−およびtrans−異性体の混合物の合成に関する。
その中で記載されているように、cis−およびtra
ns−異性体ならびにそれらの(S)および(R)エナ
ンチオマーは、例えば、分別結晶またはクロマトグラフ
ィーを含む、当業者公知の方法によって分離することが
できる。
【0005】セルトラリンの合成において、それよりも
早く最終的に所望されるキラリテイについて選択するこ
ともまた公知である。例えば、前述の米国特許No. 5,75
0,794は、ラセミのテトラロンを不整ケトン還元剤と反
応させて、使用する不整試薬のキラリテイに応じて、対
応するcis−またはtrans−アルコールを生成さ
せ、ついで、そのアルコールを分離し、(1S,4S)
および/または(1R,4S)アルコールを(4S)−
テトラロンへと酸化することによってキラルなテトラロ
ンを製造するための方法を開示している。
【0006】真菌類のような微生物、例えば、酵母を使
用して、キラルな化合物を合成することもまた公知であ
る。例えば、ケトン類をキラルなアルコール類へと還元
するための酵母の使用が周知である。しかし、当業者で
あれば理解されるであろうが、このような微生物を使用
する還元の化学的および光学的収率、例えば、特定のエ
ナンチオマーおよびその量は、概して、例えば、選択さ
れる特定の微生物および出発物質の置換基に依存して実
質的に変化する。
【0007】米国特許No. 5,049,497は、高エナンチオ
マー純度のケトンおよびアルコールの混合物を与えるた
めに十分な条件下で、ラセミのビシクロ[4.2.0]
オクタンの誘導体をベーカーの酵母(Baker's Yeast)と
接触させることによってそのラセミのビシクロ[4.
2.0]オクタン誘導体を分割するための方法を開示し
ている。その中に記載されているように、主題のラセミ
のケトンの一方のエナンチオマーのみが還元されてアル
コールを与える。
【0008】米国特許No. 5,580,764は、環状ケトンを
対応するキラルなアルコールへと転化するために、無傷
な微生物またはその破壊した細胞調製物を使用する不整
還元法を開示している。
【0009】米国特許No. 5,618,707は、ケトン基質
を、ジゴサッカロマイセス・ベイリー(Zygosaccharomy
ces bailii) ATCC(American Type Culture Coll
edtion) No.38924またはシゾサッカロマイセ
ス・オクトスポラス(Schizosaccharomyces octosporu
s) ATCC No.2479の培養液に加え、生じ
た混合物をインキュベートし、血清コレステロール降下
剤の製造の中間体として続いて使用するために、慣用的
な方法、例えば、有機溶剤による抽出、樹脂への吸着ま
たはクロマトグラフィーによりヒドロキシ化合物を単離
することによるケトン基質を立体選択的に還元するため
の方法を開示している。その中に記載されている単離さ
れるヒドロキシ化合物は、キラルな高性能液体クロマト
グラフィー(HPLC)、逆相HPLCまたはその双方
によって分析されている。その中に記載されているよう
に、当業者であれば一致して理解されるであろうが、選
択された基質のケトン基を還元するそれらの能力につい
て検討された大多数の微生物の多くは、所望される特異
性または生産性を有しつつ、ケトン基を還元することが
できなかった。
【0010】さて、予想だにしえなかったことに、真菌
類、例えば、酵母および放線菌類を含むある範囲の微生
物がラセミのテトラロンを実質的に立体選択的に還元す
ることが見いだされた。さらに詳しくは、主題の立体選
択的な微生物を使用する還元は、実質的に未反応の(4
S)テトラロンを残しつつ、ラセミ混合物の(4R)テ
トラロンを選択的に還元する。さらに、主題の方法によ
って生成する所望されない(4R)テトラロンは、酸化
し、ついで、ラセミのテトラロンへとラセミ化し、主題
の方法を繰り返して、さらに多量の(4S)テトラロン
を生成することができる。主題の方法によって製造され
る(4S)テトラロンは、セルトラリンの合成において
使用することができる。
【0011】本明細書で参考とする文献類は、前述した
ものを含め、全て、それら全体を参考とすることによっ
て本明細書に組み込む。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、カルボニル基
の微生物学的還元方法であって、ケトン化合物、具体的
には、式(I)で表されるラセミのテトラロンを、微生
物;または、前記微生物から得られる酵素およびその酵
素についての補因子を含む主題の還元を達成することの
できる酵素還元システムと接触させ;生じた混合物を適
当な条件下でインキュベートし、ヒドロキシ基を有する
化合物、具体的には、式(II)で表される(4R)テ
トラロールを培地中で形成および集積し、所望される立
体化学を有する化合物、具体的には、以下、式(V)で
表される(4S)テトラロンを実質的に未反応のまま残
す方法に係る。以下の式(V)で表される(4S)テト
ラロン、すなわち、キラルなテトラロンは、ついで、い
ずれかの適当な方法、例えば、クロマトグラフィーまた
は結晶化によって単離することができる。また、式(I
I)で表される(4R)テトラロールは、式(III)
−式(V)で表される化合物から分離し、酸化し、ラセ
ミのテトラロンへとラセミ化し、主題の立体選択的な微
生物を使用する還元方法を繰り返し、さらに多量の所望
されるキラルなケトンを生成させることができる。
【0013】したがって、本発明は、以下の微生物を使
用して立体特異的な還元を実施するための方法であっ
て、
【0014】
【化4】
【0015】式(I)で表される化合物を、微生物;ま
たは、前記微生物から得られる酵素およびその酵素につ
いての補因子を含む主題の還元を達成することのできる
酵素還元システムと接触させ;式(III)で表される
化合物よりも多量の式(II)で表される化合物を生成
させるのに十分な条件下で、生じた混合物をインキュベ
ートし、かくして、未反応の式(IV)で表される化合
物よりも多量の未反応の式(V)で表される化合物を残
すことを含む方法を提供する。
【0016】主題の立体特異的な還元は:
【0017】
【化5】
【0018】式(I)で表される化合物を、微生物;ま
たは、前記微生物から得られる酵素およびその酵素につ
いての補因子を含む主題の還元を達成することのできる
酵素還元システムと接触させ;式(II)で表される
(4R)テトラロールを生成し、式(V)で表される
(4S)テトラロンを実質的に未反応で残すのに十分な
条件下で、生じた混合物をインキュベートすることを含
む方法によって表すこともできる。
【0019】本立体選択的な還元は、さらに、所望によ
り、式(II)で表される(4R)テトラロールからの
式(V)で表される(4S)テトラロンの分離を含む。
(4R)テトラロールは、ついで、(4R)テトラロン
を生成させるために酸化され、(4R)テトラロンは、
ついで、例えば、塩基と反応させて、式(I)で表され
るラセミのテトラロンを生成させ、微生物を使用して本
立体選択的還元を繰り返し、式(V)で表される所望さ
れる(4S)テトラロン、すなわち、式(I)で表され
るラセミのテトラロンの(4S)エナンチオマーをさら
に多量に生成させることができる。
【0020】本発明は、式(I)で表される化合物を式
(II)で表される化合物へと微生物を使用して立体選
択的に還元することを含む方法であって、式(I)で表
される化合物を、微生物;または、前記微生物から得ら
れる酵素およびその酵素についての補因子を含む主題の
還元を達成することのできる酵素還元システムと接触さ
せ;式(II)で表される化合物を生成するのに十分な
条件下で、生じた混合物をインキュベートし、それによ
って、式(IV)で表される化合物より実質的に多量の
式(V)で表される化合物が未反応のまま残り、式(I
II)で表される化合物よりも実質的に多量の式(I
I)で表される化合物が生成する方法を提供する。
【0021】好ましい実施態様において、式(I)で表
される化合物の接触は、酵素還元システムと接触され
る。もう1つの好ましい実施態様において、式(I)で
表される化合物の接触は、酵素が固定化された酵素還元
システムと接触される。特に好ましい実施態様におい
て、式(I)で表される化合物の接触は、ハンセヌラ・
ポリモルファ(Hansenula polymorpha) ATCC N
o.26012から得られる酵素還元システムと接触さ
れる。
【0022】もう1つの好ましい実施態様において、微
生物は、その破壊された細胞調製物である。なおもう1
つの好ましい実施態様において、微生物は、そのアセト
ン粉末化酵素調製物である。
【0023】本発明のとりわけ好ましい実施態様におい
て、無傷な微生物が使用される。微生物が無傷な微生物
である好ましい実施態様において、式(I)で表される
化合物は、微生物を含む発酵培地、培養液または溶剤と
接触される。微生物が無傷な微生物であるもう1つの好
ましい実施態様において、式(I)で表される化合物
は、洗浄した無傷な微生物と接触させられる。微生物が
無傷であるなおもう1つの好ましい実施態様において、
式(I)で表される化合物は、固定化された無傷な微生
物と接触させられる。
【0024】本発明のとりわけ好ましい実施態様におい
て、微生物は、発酵培地内で生育される無傷な微生物で
あり、その接触は、式(I)で表される化合物をそれに
添加することによって生ずる。
【0025】本発明のもう1つのとりわけ好ましい実施
態様において、微生物は、生育培地内で約48時間生育
された無傷な微生物であり、その接触は、式(I)で表
される化合物のそれへの添加によるようにして生じさ
せ、そのインキュベーションは、約5日間である。
【0026】本発明のもう1つの好ましい実施態様にお
いて、微生物は、立体選択的な還元を行うことのできる
真菌、例えば、酵母、または、放線菌、あるいは、それ
らの変異体である。
【0027】本発明のなおもう1つの好ましい実施態様
において、微生物は、真菌である。微生物が真菌である
なおもう1つの好ましい実施態様において、その真菌
は、アビシディア・コエルレア(Absidia coerulea)
ATCC No.20137である。
【0028】本発明の特に好ましい実施態様において、
微生物は、酵母である。微生物が酵母である本発明のと
りわけ好ましい実施態様において、酵母は、ハンセヌラ
・ポリモルファ(Hansenula polymorpha) ATCC
No.26012であり、また、ATCC No.74
449として寄託されたものである。
【0029】ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula po
lymorpha) ATCC No.26012、また、AT
CC No.74449として寄託されたものが、微生
物として使用される場合、主題の微生物を使用する立体
選択的な還元は、式(I)で表される化合物の一方のみ
のエナンチオマーをかなりの程度還元して、対応するア
ルコール、すなわち、式(II)で表される化合物を与
え、他方、式(I)で表される化合物の他方のエナンチ
オマー、すなわち、式(V)で表される化合物を実質的
に未反応のまま残す。
【0030】先に考察したように、本発明の方法は、さ
らに、所望により、例えば、結晶化またはクロマトグラ
フィーを使用して実施される、式(II)−式(IV)
で表される化合物から式(V)で表される化合物の分
離;および、いずれか公知の方法を使用するセルトラリ
ンの合成における式(V)で表されるこのように分離さ
れた化合物の使用を含む。
【0031】また先に考察したように、式(II)で表
される単離される(4R)テトラロールを式(IV)で
表される(4R)テトラロンへと酸化することが好まし
い。その時、好ましくは、(4R)テトラロンを塩基と
反応させ、式(IV)で表される(4R)テトラロンを
式(I)で表されるラセミのテトラロンへと転化するこ
とによってラセミ化することがさらに好ましい。酸化お
よびラセミ化は、本発明の方法に従い微生物を使用する
立体選択的な還元のもう1つの循環のために所望されな
い(4R)テトラロールをリサイクルする。所望されな
い(4R)テトラロールのリサイクリングは、所望され
る(4S)テトラロンの量を増大し、廃棄される所望さ
れない(4R)テトラロールの量を減少させる。酸化お
よび酸化された生成物のラセミ化は、そのためのいずれ
か適した公知の方法を使用して実施することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】当業者であれば、本発明を説明す
るための本明細書の用語を十分に理解されるであろう
が;にもかかわらず、本明細書で使用する以下の用語を
このすぐ後に説明する。
【0033】“補因子(Co-factor)”とは、酵素還元シ
ステム、例えば、NADH、NADPH、FADH、F
MNHおよび/またはPQQを含むいずれかの適当な補
因子、または、微生物において、酵素とともに生ずるい
ずれかの適当な補因子を意味する。
【0034】“酵素還元システム(Enzyme reduction s
ystem)”とは、適当な微生物オキシドレダクターゼ酵
素およびオキシドレダクターゼ酵素についての補因子の
還元された形を意味し、補因子が選択される微生物から
得られるか、または、いずれかの適当な源から得られ
る。酵素還元システムを含む酵素は、遊離;または、例
えば、カラム内またはビーズに付着させて固定化された
形である。
【0035】“微生物を使用する還元(Microbial redu
ction)”とは、酵素還元システムによって達成される
本発明の立体選択的な還元を意味し、微生物レダクター
ゼは、酵素還元システム、無傷な微生物またはそのいず
れかの調製物等を含む。
【0036】“微生物(Microorganism)”としては、
無傷な微生物;または、それからの調製物が挙げられ;
例えば、微生物の破壊された細胞調製物;微生物の脱水
された調製物、例えば、アセトン粉末化酵素調製物;例
えば、発酵培地、培養液等から取り出した洗浄した微生
物;例えば、カラム内、ビーズ等に付着させた固定化さ
れた微生物が含まれる。
【0037】本発明によって提供される方法は、式
(I)で表される化合物の式(II)で表される化合物
への微生物を使用する立体選択的な還元であって、
【0038】
【化6】
【0039】式(I)で表される化合物を、微生物;ま
たは、前記微生物から得られる酵素およびその酵素につ
いての補因子を含む主題の還元を達成することのできる
酵素還元システムと接触させ;式(II)で表される化
合物を生成するのに十分な条件下で、生じた混合物をイ
ンキュベートし、それにより式(IV)で表される化合
物よりも実質的に多量の式(V)で表される化合物を未
反応のまま残し、式(III)で表される化合物よりも
実質的に多量の式(II)で表される化合物を生成する
ことを含む還元を含む。
【0040】当業者であれば理解されるであろうが、式
(I)で表される化合物、ラセミのテトラロンは、以下
に示すように、(4S)テトラロンおよび(4R)テト
ラロンの混合物である:
【0041】
【化7】
【0042】化合物、さらに詳しくは、式(II)で表
されるテトラロールは:
【0043】
【化8】
【0044】である。化合物、さらに詳しくは、式(I
II)で表されるテトラロールは:
【0045】
【化9】
【0046】である。式(II)および式(III)で
表される化合物は、前述の米国特許No. 5,750,794に開
示され、特許請求されている。
【0047】式(V)で表される所望される化合物は、
以下に記載するようにして、式(II)で表される所望
されない化合物;および、それぞれ、例えば、選択され
る微生物およびインキュベーションの条件に依存して、
生成されるかまたは未反応のまま残りうる式(III)
または式(IV)で表されるいずれかの化合物から単離
することができる。
【0048】式(II)で表される化合物は、例えば、
酸化およびラセミ化により、式(I)で表される化合物
へと転化することができ、主題の微生物を使用する立体
選択的な還元を通して、式(V)で表される(4S)テ
トラロンのなおさらなる量を生成する。
【0049】本発明の方法は容易に実施される。かくし
て、微生物は、ラセミのテトラロンの存在で、式(I)
によって表されるように、発酵する(無傷な微生物)
か、または、インキュベート(破壊された細胞調製物、
脱水された調製物または微生物のいずれか適当なその他
の調製物)して、式(II)によって表されるように、
ラセミのテトラロンを幾分変化させ、さらに詳しくは、
ラセミのケトンの所望されない(4R)エナンチオマー
をその対応するアルコールに還元し、他方、式(V)に
よって表されるように、所望される(4S)エナンチオ
マーを実質的に未反応のまま残し、それにより、1工程
で、光学的に濃縮された(4S)エナンチオマーを生成
する。(4S)エナンチオマーは、ついで、例えば、前
述の米国特許Nos. 4,536,518;4,777,288;4,839,104;
4,855,500;4,940,731;4,962,126;5,082,970;5,130,
338;5,196,607;5,248,699;5,442,116;5,463,128;
5,466,880;5,597,826および5,750,794、および、W. M.
Welch, Jr. et al.の最終的にセルトラリンを生成する
ための前述の論文に記載されたようにして、当業者公知
の方法によってさらに反応させることができる。
【0050】セルトラリンに関する活性、活性を試験す
るための方法、投薬、剤形、投与方法および背景情報
は、例えば、前述の米国特許Nos. 4,536,518;4,777,28
8および4,839,104、および、W. M. Welch, Jr. et al.
による前述の論文に記載されている。
【0051】本発明の方法においては、いずれかの適し
た微生物を使用することができる。先に記載したよう
に、主題の方法において使用される微生物は、無傷な微
生物、微生物のいずれか適当な調製物、例えば、微生物
の破壊された細胞調製物、微生物の脱水された調製物で
あってもよく、遊離であってもまたは固定化されていて
もいずれであってももよい。しかし、不完全な微生物、
例えば、破壊された細胞調製物、例えば、細胞抽出物、
アセトン粉末化された酵素調製物またはそれより得られ
る酵素が本発明で使用される場合には、当業者であれ
ば、酵素についての適当な補因子もまた含まれることが
理解されるであろう。
【0052】当業者であれば、本明細書で提供される記
載;および、それらの関連知識、例えば、R. N. Patel
et al.によってApplied and Environmental Microbiolo
gy,38(2); 219-223 (1979)で公開された“Oxidation of
Secondary Alcohols to Methyl Ketones by Yeasts”
と題する論文に記載された知識より、適当に破壊された
細胞調製物を製造する方法を理解することができるであ
ろう。
【0053】当業者であれば、本明細書で提供される記
載;および、それらの関連知識、例えば、K. Nakamura
et al.によってTetrahedron Letters, 37(10); 1629-16
32 (1996)で公開された“Asymmetric Reduction of Ket
ones by the Acetone Powderof Geotrichum candidum”
と題する論文に記載された知識より、適当なアセトン粉
末化酵素調製物を調製する方法を理解することができる
であろう。
【0054】また、いずれかの適当な微生物の酵素(例
えば、オキドレダクターゼ)も、また、主題の方法に使
用することができ、この酵素は、当業者公知のいずれか
の適当な方法によって、微生物から単離することがで
き、無傷な微生物については、主題の方法において、遊
離または固定化された形で使用することができる。当業
者であれば、本明細書で提供される記載;および、Bios
ci. Biotechnol. Biochem, 62(2): 280-285 (1998)で公
開されたM. Wada et al.による“Purification and Cha
racterization of NADPH-Dependent Carbonyl Reductas
e, involved in Stereoselective Reduction of Ethyl
4-Chloro-3-oxobutanoate, from Candidamagnoliae”;
Eur. J. Biochem., 234: 452-458 (1995)で公開された
P. Trost et al.による“Purification and Properties
of NAP(P)H:(quinone-acceptor) oxidoreductase of s
ugarbeet cells”;Biochemical and Biophysical Rese
archCommunications, 211(2): 540-546 (1995)で公開さ
れたK. M. Madyastha and T. L. Gururajaによる“Puri
fication and Some of the Properties of a NovelSeco
ndary Alcohol Dehydrogenase from Alcaligenes eutro
phus”;Tetrahedron: Asymmetry, 9: 647-651 (1998)
で公開されたO. Bortolini et al., “Kinetic resolut
ion of vic-diols by Bacillus stearothermophilus di
acetyl reductase”;Enzyme Microb. Technol., 3: 90
6-912 (1991)で公開されたR. N. Patelet al.による“S
tereospecific microbial reduction of 4,5-dihydro-4
-(4-methoxyphenyl)-6-(trifluoromethyl-1H-1)-benzaz
epin-2-one”および、Enzyme Microb. Technol, 14: 77
8-784 (1992)で公開されたR. N. Patel et al.による
“Stereoselective microbial/enzymatic oxidation of
(exo, exo)-7-oxabicyclo[2.2.1]heptane-2,3-dimetha
nol to the corresponding chiral lactol and lacton
e”;ならびに、米国特許Nos.5,523,223および前記5,58
0,764によって概説された知識から、適した微生物の酵
素を単離および精製する方法を理解することができるで
あろう。
【0055】適当な微生物としては、ハンセヌラ・ポリ
モルファ(Hansenula polymorpha)ATCC No.2
6012、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polym
orpha) ATCC No.74449、アビシディア・
コエルレア(Absidia coerulea) ATCC No.20
137、ゲオトリキューム・カンディダム(Geotrichum
candidum) ATCC No.34614、ゲオトリキ
ューム カンディダム(Geotrichum candidum) ATC
C No.62401、モルティエレラ・イサベリナ(M
ortierella isabellina) ATCC No.4261
3、モルティエレラ・イサベリナ(Mortierella isabell
ina) ATCC No.38063、モルティエレラ・
ビナセア(Mortierella vinacea) ATCC No.0
9515、ペニシリウム・ノタツム(Penicillium notat
um) ATCC No.36740、ブラストシゾマイ
セス・カピタツス(Blastoschizomyces capitatus) A
TCC No.28575、モノスポリウム・オリバセ
ウム・ブイ・メージャー(Monosporium olivaceum v. ma
jor) ATCC No.36300、オウレオバシディ
ウム・プルランス(Aureobasidium pullulans) ATC
C No.16623、デバリョマイセス・ポリモルフ
ァス(Debaryomyces polymorphus) ATCCNo.20
280、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyc
es cerevisiae) ATCC No.15248、カンデ
ィーダ・シャタビー(Candida schtavii) ATCC N
o.24409、ピッツィア・ファビアニ(Pichia fabi
anii)ATCC No.16755およびストレプトマ
イセス・リモスス・エスエス・リモスス(Streptomyces
rimosus ss. rimosus) ATCC No.10970;
ならびに、当業者公知であるか;または、このような変
異体であるにもかかわらず、本明細書で開示する微生物
を使用して立体選択的な還元を達成しうる当業者であれ
ば得ることの可能なそれらの変異体が挙げられる。
【0056】好ましい無傷な微生物は、(4R)テトラ
ロンを実質的に還元し、他方、(4S)テトラロンを実
質的に未反応のまま残すものであり、(4S)テトラロ
ンが反応する場合には、主題の方法のいずれかの段階
で、所望される(4S)テトラロンを分解するかまたは
所望される(4S)テトラロンにマイナスの影響を及ぼ
しうる還元またはいずれかのその他の固有の活性が含ま
れる。本明細書の開示より当業者であれば理解できるで
あろうが、このような(4S)テトラロンの望ましくな
い反応は、例えば、無傷な微生物に対し、選択された微
生物から得られる酵素を使用することによって実質的に
防止することができる。
【0057】主題の微生物を使用する立体特異的な還元
に使用するのに適した微生物は、当業者公知のいずれか
の適当な方法によって調製することができる。市販の株
から微生物を調製するのに適した方法の例を以下に示
す。以下に示す方法は、本発明の方法に使用するのに適
したいずれの微生物についても使用することができ、当
業者であれば、本明細書で提供する記載から、いずれか
の特定の方法において所望される結果を達成するため
に、処理法のいずれかの部分を改良する方法、例えば、
無傷な微生物または微生物調製物、例えば、遊離もしく
は固定化された破壊された細胞もしくはその脱水された
細胞を調製する方法;このような微生物から得られる適
当な酵素を調製する方法;ラセミのテトラロンを微生物
またはそれより得られる酵素還元システムを含む酵素と
接触させる方法;生育培地の構成成分および条件、例え
ば、温度、pH等;または、インキュベーション条件を
改良する方法等を理解することができるであろう。
【0058】当業者であれば、本明細書で提供する記
載;および、それらの関連する知識、例えば、Biotechn
ology Letters, 18(3); 343-348 (March 1996)で公開さ
れたA.Bauer et al.による“Polyvinyl Alcohol-immobi
lized whole-cell preparations for biotransformatio
n of nitriles”と題する論文に記載されたような知識
から、適当に固定化された無傷な微生物を調製する方法
を理解することができるであろう。
【0059】式(I)で表される化合物を微生物または
酵素還元システムと接触させるいずれの適した方法もま
た本発明において使用することができる。式(I)で表
される化合物は、いずれかの適した順序で、微生物また
は酵素還元システムと接触させることができる。例え
ば、式(I)で表される化合物を遊離もしくは固定化さ
せるかあるいはその幾つかの組み合わせの微生物を含む
培地、例えば、培養液に加えてもよく;もしくは、培地
が式(I)で表される化合物を含み、ついで、そのよう
な培地に微生物を加えてもよく;または、式(I)で表
される化合物および微生物を一緒にこのような培地に加
えてもよく;あるいは、式(I)で表される化合物を破
壊された細胞調製物に加えてもよく;または、式(I)
で表される化合物を微生物の脱水された調製物に加えて
もよく;式(I)で表される化合物または微生物もしく
は酵素還元システムのいずれかをその他方を含む適当な
溶剤に加えてもよい等である。当業者であれば、本明細
書に提供した記載から、主題の方法のいずれかの部分を
所望どおりに改良する方法を理解することができるであ
ろう。
【0060】本発明において、微生物または酵素還元シ
ステムをハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymor
pha) ATCC No.26012から得られることが
特に好ましい。ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula p
olymorpha) ATCC No.26012(最初に、D.
W. Levineによって寄託された。)の減圧凍結乾燥した
試料は、10801 University Boulevard, Manassas, Virg
inia, 20110-2209, USAに所在のATCCで1998年
6月26日にブダペスト条約に基づき寄託された。この
新しく寄託された培養菌は、新たな寄託番号ATCC
No.74449を付与された。したがって、本発明に
おいて、微生物がハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula
polymorpha) ATCC No.74449であること
もまた特に好ましい。かく寄託された微生物培養菌の公
的な使用についての制約は、全て、本発明の明細書から
の特許の発効に際し、取り消しの利かないものとして排
除されるであろう。
【0061】ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula pol
ymorpha) ATCC No.26012の培養菌は、A
TCCより入手することができ、このような市販入手さ
れる株からのその調製のために適した方法の例を以下記
載する。かくして得られた培養菌を適当な生育培地に加
え、生育が起こるまで振盪してインキュベートするが、
この両工程は、当業者であれば、理解されるであろう工
程である。かくして調製した培養菌は、斜面培養基(sl
ants)に接種するために使用することができ、これら斜
面培養基の部分部分を代表株(master stocks)として
凍結する。これとは別に、液体株培養菌を調製し、それ
に、グリセロールを約10%〜約20%加え、ついで、
それを約−80℃で、好ましくは、小さな冷凍チューブ
(cryotubes)内で凍結する。
【0062】当業者であれば、選択されるいずれかの微
生物について理解できるであろうし、アビシディア・コ
エルレア(Absidia coerulea) ATCC No.201
37およびとりわけ好ましいハンセヌラ・ポリモルファ
(Hansenula polymorpha) ATCC No.26012
またはATCC No.74449について、以降、実
施例において詳細に示すが、微生物を調製するための適
した方法は、以下の通りである:微生物を、例えば、上
記したような凍結株培養菌(約17%グリセロール株)
から、生育培地[ツィーン(Tween)(登録商標;以降、
Rとも略記する)80、グリセロールおよび蒸留水を含む
滅菌溶液からのアリコートを容れる]を容れる金属囲い
を有するフラスコまたはガラスチューブに接種する。生
育培地の組成は、以下に、さらに詳細に説明する。約2
2℃〜約32℃の範囲の温度、好ましくは、約29℃
で、好ましくは、約200rpm〜約220rpm、最も好ま
しくは、約210rpmで適当に振盪しつつ、発酵を行
う。所望される場合には、生育培地のpHは、発酵培地
に配合され、および/または、必要に応じて、塩基また
は酸を添加することによって周期的に調整される適当な
緩衝液の使用によって維持することができる。
【0063】微生物の生育のいずれかの適当な期間、微
生物を式(I)で表される化合物と接触させ、式(I)
で表される化合物を微生物とインキュベーションするこ
とを本発明において使用することができる。微生物の適
当な生育は、例えば、約24時間以内に、達成すること
ができ、その時点で、ラセミのテトラロンの適当な溶
剤、好ましくは、エタノール溶液の適当なアリコートを
培養菌に加えることができる。ついで、発酵を約2日〜
約6日、好ましくは、例えば、約5日継続し、その時点
で、適当な溶剤、例えば、酢酸エチル、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等、好ま
しくは、酢酸エチルによるいずれかの適当な抽出方法を
使用し、発酵培養液を抽出し、発酵培養液から有機成分
を取り出すことができる。発酵培養液の抽出および有機
相と水相との分離後、いずれかの適当な方法、例えば、
クロマトグラフィー、好ましくは、キラルHPLCを使
用して、有機残渣に含まれる化合物を測定する。
【0064】いずれの適当な生育培地もまた本発明の方
法において使用することができ、その適した生育培地
は、同化されうる炭素源、同化されうる窒素源および必
須無機物を含む無機塩類源を含むであろう。概して、多
くの炭水化物、例えば、グルコース、マルトース、マン
ノース、シュクロース、澱粉、グリセリン、ミレットジ
ェリー(millet jelly)、糖蜜、大豆等は、同化されう
る炭素源として使用することができる。同化しうる窒素
源としては、例えば、酵母およびカゼイン加水分解物の
ような物質、1次酵母、酵母エキス、綿実粉、大豆固形
物、小麦の麦芽、肉エキス(meat extract)、ペプト
ン、トウモロコシ滲出液およびアンモニウム塩類が挙げ
られる。本発明の培養培地に使用される適した無機塩栄
養物としては、例えば、ナトリウム、鉄、マグネシウ
ム、カリウム、コバルト、リン酸塩等を含有する慣用的
な塩類が挙げられる。さらに詳しくは、本発明において
使用するのに適した生育培地としては、例えば: (a) デキストロース(約20g)、酵母エキス(約
5g)、大豆粉(約5g)、NaCl(約5g)、K2HP
4(約5g)および蒸留水(約1リットル)、pHは、
2SO4(aq.)で約pH7.0に調整した; (b) デキストリン(約10g)、牛肉エキス(約3
g)、アルダミンpH(約5g)、NZアミンタイプE
(約5g)、MgSO4・7H2O(約0.5g)、KH2
PO4(約0.37g)、CaCO3(約0.5g)および
蒸留水(約1リットル)、pHは、HCl(aq.)で約p
H7.1に調整した;続いて、グルコース(約10
g)、Hy−Case SPR(約2g)、牛肉エキス
(約1g)、トウモロコシ滲出液(約3g)および蒸留水
(約1リットル)、pHは、約pH7.0に調整した第
2段階; (c) グルコース(約10g)、トウモロコシ滲出液
(約6g)、KH2PO4(約3g)、CaCO3(約3.
5g)、大豆油(粗製、約2.2ml)、酵母エキス(約
2.5g)および蒸留水(約1リットル)、pHは、H
Cl(aq.)で約pH7.3に調整した; (d) 麦芽シロップ(約20g)、大豆ミール(約5
g)、カゼイン(約1g)、乾燥した酵母(約1g)、N
aCl(約5g)および蒸留水(約1リットル); (e) ラクトース(約75g)、ファルマメディア[P
harmamedia(登録商標)(代替酵母エキス、約40
g)、CaCO3(約10g)、Na2SO4(約4g)およ
び蒸留水(約1リットル); (f) ISP#2[例えば、Handbook of Microbial
Media by R. M. Atras, edited by L. C. Parks CRC Pr
ess, Inc., 1993, (以降、“Handbook"と略称す)の4
60頁を参照。]; (g) ISP#3(Handbookの460頁を参照。); (h) ISP#4(Handbookの461頁を参照。); (i) ISP#5(Handbookの461−462頁を参
照。); 等が挙げられる。
【0065】特に好ましい生育培地は、上記示した
(a)の2倍の濃度(2X)である。個々の緩衝液、培
地、試薬、接触または培養条件等を参照することは、本
発明をそれらに限定することを意図するものではなく、
本明細書における考察が示されている個々のコンテキス
トにおいて重要または価値あるものと当業者が認識する
であろうこのような関連資料全てを含むことを読み取る
べきである。例えば、1つの緩衝液システムまたは培養
培地をもう1つの緩衝液システムまたは培養培地と代替
することが可能であり、異なるが公知の方法を使用し
て、示された方法、物質または組成物の使用が導く同一
の目的を達成することができることが多い。さらに、本
発明は、主題の方法を商業的目的のためにスケールアッ
プすることを含むことを理解する必要がある。
【0066】したがって、当業者であれば理解されるで
あろうが、生育培地、発酵条件、および/または、ラセ
ミのテトラロンの量を変えることにより、生成する化合
物の収率およびそれらの相対的製造速度を調節すること
が可能である。概して、本発明において使用される技術
は、工業的に有効なように選択される。本明細書で記載
する生育培地、発酵条件および微生物または酵素還元シ
ステムの相対量ならびにラセミのテトラロンは、多種多
様な培地、発酵条件および出発物質の量についての単な
る例であって、これらは、当業者であれば理解できるで
あろうが、本発明において適当に使用することができ、
何ら本発明を限定する意図はないものである。
【0067】主題の方法の生成物のいずれかを単離およ
び/または精製するためのいずれかの適した方法、例え
ば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、
薄層クロマトグラフィー、分取用低圧液体クロマトグラ
フィーもしくはHPLCまたはこのような方法のいずれ
かの適当な組み合わせを含む本発明において使用するこ
とができる。
【0068】さらに、当業者であれば、本明細書に開示
した方法によって製造される、(4R)テトラロンの所
望しない対応するアルコール、式(II)で表される化
合物をリサイクルし、本明細書で先に考察したようにし
て、例えば、いずれかの適当な方法によって、式(I)
で表されるラセミのテトラロンへと酸化およびラセミ化
し、本発明の方法を繰り返し、再度、式(V)で表され
る所望される(4S)テトラロンを生成させることがで
きる。(4R)テトラロールの(4R)ケトンへの酸化
は、当業者公知の方法によって行うことができる。ラセ
ミ化反応は、いずれかの適した方法で実施することがで
きるが、概して、約0℃〜約100℃の温度、好ましく
は、約25℃〜約65℃の温度で実施することができ
る。(4R)テトラロンは、約25℃〜約85℃の温
度、好ましくは、約50℃〜約65℃の温度で、塩基と
反応させられる。このラセミ化反応に適した塩基として
は、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、ナト
リウムメトキシドおよび水酸化カリウムが挙げられる。
好ましい塩基は、カリウムt−ブトキシドである。
【0069】以下に示す詳細な実施例は、真菌類、例え
ば、酵母、および、放線菌類を含むある範囲の微生物が
立体選択的にラセミのテトラロンを還元して、式(V)
で表される所望される(4S)テトラロン、すなわち、
キラルなテトラロンを生成し、ついで、この(4S)テ
トラロンを所望しない化合物から分離し、当分野周知の
方法に従い、さらに反応させて、セルトラリンを生成す
ることを示す。
【0070】
【実施例】本発明を以下の実施例によって例示する。本
発明および種々の実施態様についての前述および以下の
記載は、本発明を限定する意図のものではなく、むし
ろ、本発明を例示するものである。したがって、本発明
は、これら実施例の具体的な詳細に限定されるべきもの
ではないことが理解されるであろう。
【0071】実施例 1 ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenura polymorpha)
ATCC No.26012を使用するラセミのテトラ
ロンの還元 A. 酵母ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenura poly
morpha) ATCC No.26012の発酵 1つの“対照”培養(C1)と1つの“試験”培養(T
1)とを以下のようにして調整した:各々、金属囲い
(C1,T1)を有する2本の16×125mmガラスチ
ューブの各々に、約2.5mlの滅菌生育培地(約40g/
lのデキストロース、約10g/lの栄養大豆粉(nutrisoy
flour)、約10g/lの酵母エキス、約10g/lのNaC
lおよび約10g/lのK2HPO4;pHは、H2SO4
約7.0に調整した)を加え、続いて、その2つの培養
の各々に、約0.2mlの溶液A(約25gのTweenR 80、
約100gのグリセロールおよび約250mlの蒸留水;
滅菌濾過した)を加えた。
【0072】ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenura po
lymorpha) ATCC No.26012の約17%凍
結グリセロール株の約25μlをT1に接種した。2つ
のチューブ培養を、約29℃で、約210rpmで振盪し
つつ、インキュベートした。約24時間後、ラセミのテ
トラロン(エタノール中約5mg/mlで式(IV)および
式(V)で表される化合物を含む式(I)で表される化
合物)の約50μlの株溶液(約100%エタノール中
約5mg/ml;最終濃度約100μg/ml)をC1およびT
1に加えた。
【0073】約5日後、2つのチューブ培養の各々に、
1mlの(飽和)NaClを加えた。各チューブ培養の発
酵培養液(約3.6ml)を等体積の酢酸エチル(ニー
ト)で抽出した:酢酸エチルを加え、チューブ培養液を
撹拌し、ついで、約2,000rpm[IEC(登録商
標)Centrifuge, 300 Second Avenue, Needham Height,
Massachusetts 02194]で遠心分離した。酢酸エチル層
を除去し、水層を1秒間抽出した。合わせた有機抽出物
を、水浴中約50℃で、窒素下、乾燥させた。B. 残留ケトン:式(IV)および式(V)で表され
る化合物の配置 上記のようにして調製した各抽出物を約1mlのエタノー
ルに再懸濁させ、各再懸濁させた抽出物の約20μl
を、HPLCカラム:Chiralcel OK column (4.6× 250
mm, Diacel)と対をなすChiralcel OK guard column
(4.6 × 50 mm, Diacel Chemical Industries, LTD., S
pringdale Drive, P. O. Box 564, Exton, Pennsylvani
a 19341)に注入した。各注入された再懸濁抽出物内に
含まれる化合物は、移動相(エタノール:酢酸エチル,
85:15)内で約0.8ml/分で均等に(isocratical
ly)分離され、抽出物に含まれる化合物は、254nmに
設定された996 PDA検出器[Waters(登録商標), 34 Ma
ple Street Milford, Massachusetts 01757]を使用し
て検出した。
【0074】以下、表1のC1およびT1についてのデ
ータによって示されるように、キラルなHPLC分析
は、微生物、すなわち、ハンセヌラ・ポリモルファ(Ha
nsenura polymorpha) ATCC No.26012が
含まれると、16:1の比[未反応の式(V)で表され
る(4S)テトラロン:未反応の式(IV)で表される
(4R)テトラロン]を生じ、これは、さらに、主題の
微生物を使用する還元方法の立体特異性を示す。以下に
報告する結果は、添加した各エナンチオマーの公知の量
[式(IV)および式(V)で表される各化合物の約5
0μg/ml]に基づく。上記したように、式(I)で表さ
れる出発ラセミテトラロンは、約100μg/mlの濃度を
有した。
【0075】
【表1】
【0076】キラルな分析よりの結果は、ハンセヌラ・
ポリモルファ(Hansenura polymorpha) ATCC N
o.26012培養(T1)が(4R)テトラロンを実
質的に還元し、他方、(4S)テトラロンを実質的に未
反応のまま残す[約76%の(4S)テトラロンに対
し、約4.7%の(4R)テトラロンが残る。]ことを
示す。(4S)テトラロンは、このようなキラルなHP
LCによって、約88%ee(“エナンチオマー過剰の
パーセント”)で存在することが測定された。表1のデ
ータによっても示されるように、特に、(4S):(4
R)の比、すなわち、16により、(4R)テトラロン
よりも実質的に多量の(4S)テトラロンが未反応のま
ま残る。
【0077】したがって、無傷な微生物、すなわち、ハ
ンセヌラ・ポリモルファ(Hansenura polymorpha) A
TCC No.26012が含まれると、式(V)で表
される出発(4S)テトラロンよりも実質的に多量の式
(IV)で表される出発(4R)テトラロン[(4
S):(4R)]の立体特異的な還元を生じ、式(II
I)で表される(4S)テトラロールに対し、式(I
I)で表される(4R)テトラロールを大部分生成した
(データは示さず)。生成した(4R)テトラロールの
大部分は、(1S,4R)テトラロールであり、生成し
た少量の(4S)テトラロールの大部分は、(1S,4
S)テトラロールであった。
【0078】実施例 2 アビシディア・コエルレア(Absidia coerulea) ATC
C No.20137を使用するラセミのテトラロンの
還元 A. 真菌アビシディア・コエルレア(Absidia coerule
a) ATCC No.20137の発酵 1つの“対照”培養(C2)と1つの“試験”培養(T
2)とを以下のようにして調整した:各々、金属囲い
(C2,T2)を有する2本の16×125mmガラスチ
ューブの各々に、約2.5mlの滅菌生育培地(約20g/
lのデキストロース、約5g/lの栄養大豆粉(nutrisoy f
lour)、約5g/lの酵母エキス、約5g/lのNaClおよ
び約5g/lのK2HPO4;pHは、H2SO4で約7.0
に調整した)を加えた。
【0079】アビシディア・コエルレア(Absidia coer
ulea) ATCC No.20137の約17%凍結グ
リセロール株の約25μlをT2に接種した。2本のチ
ューブ培養を、約29℃で、約210rpmで振盪しつ
つ、インキュベートした。約48時間後、ラセミのテト
ラロン(本明細書の実施例1で記載したように、約10
0%エタノール中約5mg/mlで)の約50μl(エタノー
ル中約5mg/ml;最終濃度約100μg/ml)をC2およ
びT2に加えた。
【0080】約5日後、2本のチューブ培養の各々に、
1mlの(飽和)NaClを加えた。各チューブ培養の発
酵培養液(約3.6ml)を約3mlの酢酸エチル(ニー
ト)で抽出した:酢酸エチルを加え、チューブ培養液を
撹拌し、ついで、約2,000rpm(IEC Centrifug
e)で遠心分離した。酢酸エチル層を除去し、水層を1
秒間抽出した。合わせた有機抽出物を、水浴中約50℃
で、窒素下、乾燥させた。B. 残留ケトン:式(IV)および式(V)で表され
る化合物の配置 上記のようにして調製した各抽出物を約1mlのエタノー
ルに再懸濁させ、各再懸濁させた抽出物の約20μl
を、HPLCカラム:Chiralcel OK column (4.6× 250
mm, Diacel)と対をなすChiralcel OK guard column
(4.6 × 50 mm)に注入した。各注入された再懸濁抽出
物内に含まれる化合物は、移動相(エタノール:酢酸エ
チル,85:15)で約0.8ml/分で均等に分離さ
れ、抽出物に含まれる化合物は、254nmに設定された
996 PDA検出器(WatersR)を使用して検出した。
【0081】以下に示すC2およびT2についてのHP
LCデータによって示されるように、微生物、すなわ
ち、アビシディア・コエルレア(Absidia coerulea)
ATCC No.20137が含まれると、式(V)で
表される出発(4S)テトラロンより多量の式(IV)
で表される出発(4R)テトラロンの立体特異的還元を
生じた。
【0082】さらに詳しくは、キラルな分析よりの結果
は、アビシディア・コエルレア(Absidia coerulea)
ATCC No.20137培養菌が(4R)テトラロ
ンを還元し、他方、(4S)テトラロンを実質的に未反
応のまま残す[約40.5%の(4S)テトラロンに対
し、約13.6%の(4R)テトラロンを残す。]こと
を示す。このようなキラルなHPLCにより、(4S)
テトラロンは、約50%eeで存在することが測定され
た。
【0083】以下、表2のC2およびT2についてのデ
ータにより示されるように、キラルなHPLC分析は、
微生物、すなわち、アビシディア・コエルレア(Absidi
a coerulea) ATCC No.20137が含まれる
(T2)と、未還元の(4R)テトラロンに対し残され
る未還元の(4S)テトラロンが少なくとも2倍も多い
比を生ずることを示し、これは、主題の微生物を使用す
る還元方法の立体特異性をさらに立証する。以下に報告
する結果は、添加した各エナンチオマーの公知の量[本
明細書の実施例1で記載したような各々約50μg/ml]
に基づく。上記したように、出発ラセミテトラロンは、
約100μg/mlの濃度を有した。
【0084】
【表2】
【0085】実施例 3 真菌類、酵母類および放線菌類を使用するラセミのテト
ラロンの還元 当業者であれば理解できるであろうが、主題の還元に使
用される表3に列挙した微生物について、ゲオトリキュ
ーム カンディダム(Geotrichum candidum)ATCC
No.62401、モルティエレラ・イサベリナ(Morti
erella isabellina) ATCC No.38063、モ
ルティエレラ・ビナセア(Mortierellavinacea) ATC
C No.09515、ペニシリウム・ノタツム(Penic
illium notatum) ATCC No.36740、ブラ
ストシゾマイセス・カピタツス(Blastoschizomyces cap
itatus) ATCC No.28575、モノスポリウ
ム・オリバセウム・ブイ・メージャー(Monosporium oli
vaceum v. major) ATCC No.36300、オウ
レオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullula
ns) ATCC No.16623、ピッツィア・ファ
ビアニ(Pichia fabianii) ATCC No.1675
5およびストレプトマイセス・リモスス・エスエス・リ
モスス(Streptomyces rimosus ss. rimosus) ATCC
No.10970を実施例2におけるようにして調製
し;ゲオトリキューム・カンディダム(Geotrichum cand
idum) ATCC No.34614、モルティエレラ
・イサベリナ(Mortierella isabellina) ATCC N
o.42613、デバリョマイセス・ポリモルファス(D
ebaryomyces polymorphus) ATCC No.2028
0、サッカロマイセス・セレビシアエ(Saccharomyces c
erevisiae) ATCCNo.15248を、抽出を繰り
返した以外は、実施例2に記載したようにして調製し;
カンディーダ・シャタビー(Candida schtavii) ATC
C No.24409を以下に示すようにして調製し
た。
【0086】カンディーダ・シャタビー(Candida schta
vii) ATCC No.24409を調製し、本発明に
従い、以下のように使用した:金属囲いを有する16×
125mmガラスチューブに、約2.5mlの滅菌生育培地
(約20g/lのデキストロース、約5g/lの栄養大豆粉
(nutrisoy flour)、約5g/lの酵母エキス、約5g/lの
NaClおよび約5g/lのK2HPO4;pHは、H2SO
4で約7.0に調整した)を加え、続いて、その培養
に、約25gのTweenR 80、約100gのグリセロールお
よび約250mlの蒸留水の滅菌濾過した溶液約0.1ml
を加えた。次に、カンディーダ・シャタビー(Candida s
chtavii) ATCC No.24409の約17%凍結
グリセロール株の約25μlをその培養に接種した。そ
の培養を、約29℃で、約210rpmで振盪しつつ、生
育させた。約48時間後、ラセミのテトラロン(約10
0%のエタノール中約5mg/mlで式(IV)および式
(V)で表される化合物を含む式(I)で表される化合
物)の約50μlの株溶液(約100%エタノール中約
5mg/ml;最終濃度約100μg/ml)をその培養に加え
た。
【0087】さらに4日後、その培養菌の発酵培養液
(約2.6ml)を等体積の酢酸エチル(ニート)で抽出
し、培養液を撹拌し、ついで、約2,000rpmで(I
ECR Centrifuge)で遠心分離した。抽出を繰り返し
た。抽出物を、水浴中約50℃で、窒素下、乾燥させ
た。ついで、抽出物を約1mlのエタノールに再懸濁さ
せ、再懸濁させた抽出物の約5μlを、HPLCカラ
ム:Chiralcel OD column (4.6 ×250mm, Diacel)と対
をなすChiralcel OD guard column (4.6 × 50 mm, Dia
cel Chemical Industiries, LTD.)に注入することによ
って分析した。注入された再懸濁抽出物内に含まれる化
合物は、移動相(ヘキサン:イソプロパノール,95:
5)で約0.9ml/分で均等に分離され、抽出物に含ま
れる化合物は、210nmに設定された996 PDA検出器(W
atersR)を使用して検出した。
【0088】表3に報告されたキラルなHPLC(実施
例1および2におけるようにして行った。)データによ
って示されるように、以下の表3に列挙した各微生物
は、(4S)テトラロンよりも多量の(4R)テトラロ
ンを立体特異的に還元し、概して、未反応の(4R)テ
トラロンに対し、未反応のままの残された(4S)テト
ラロンを少なくとも約2倍より多い比で生成した。
【0089】
【表3】
【0090】
【0091】表3のデータによって示されるように、無
傷なモノスポリウム・オリバセウム・ブイ・メージャー
(Monosporium olivaceum v. major) ATCC No.
36300は、(4S)テトラロンに対し、実質的に多
量の(4R)テトラロンを還元し、そのようなものとし
て、主題の方法に使用するのに好ましい微生物である
が、それにもかかわらず、(4R)テトラロンおよび
(4S)テトラロンの望ましくない分解もまたこの培養
菌について報告されていることを見落としてはならな
い。この望ましくない分解は、例えば、無傷な微生物に
含まれるその他の酵素によるものでありうる。したがっ
て、本明細書で提供した記載により、当業者であれば理
解できるであろうが、無傷なモノスポリウム・オリバセ
ウム・ブイ・メージャー(Monosporium olivaceum v. ma
jor) ATCC No.36300に対し、モノスポリ
ウム・オリバセウム・ブイ・メージャー(Monosporium o
livaceumv. major) ATCC No.36300から
単離した酵素を使用することが好ましい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 41/00 C12R 1:645) (C12P 41/00 C12R 1:72) (72)発明者 ジョン・ウィン・ウォン アメリカ合衆国コネチカット州06333, イースト・ライム,スプリング・ロッ ク・ロード 46 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 41/00 BIOSIS(DIALOG)

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I)で表される化合物を式(II)
    および式(III)で表される化合物へと微生物を使用
    して立体選択的に還元するための方法であって、 【化1】 式(I)で表される化合物を、微生物と接触させ; 式(III)で表される化合物よりも多量の式(II)
    で表される化合物を生成するのに十分な条件下で、生じ
    た混合物をインキュベートし、かくして、未反応の式
    (IV)で表される化合物よりも多量の未反応の式
    (V)で表される化合物を残すことを含み; 前記微生物が、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula
    polymorpha) ATCC No.26012、ハンセヌ
    ラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha) ATCC
    No.74449、アビシディア・コエルレア(Absidia
    coerulea) ATCC No.20137、ゲオトリキ
    ューム・カンディダム(Geotrichum candidum) ATC
    C No.34614、ゲオトリキューム カンディダ
    ム(Geotrichum candidum) ATCC No.6240
    1、モルティエレラ・イサベリナ(Mortierella isabell
    ina) ATCC No.42613、モルティエレラ・
    イサベリナ(Mortierella isabellina) ATCC N
    o.38063、モルティエレラ・ビナセア(Mortierel
    la vinacea) ATCC No.09515、ペニシリ
    ウム・ノタツム(Penicillium notatum) ATCC N
    o.36740、ブラストシゾマイセス・カピタツス(B
    lastoschizomyces capitatus) ATCC No.28
    575、モノスポリウム・オリバセウム・ブイ・メージ
    ャー(Monosporiumolivaceum v. major) ATCC N
    o.36300、オウレオバシディウム・プルランス(A
    ureobasidium pullulans) ATCC No.1662
    3、デバリョマイセス・ポリモルファス(Debaryomyces
    polymorphus) ATCC No.20280、サッカロ
    マイセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)
    ATCC No.15248、カンディーダ・シャタビ
    ー(Candida schatavii) ATCC No.2440
    9、ピッツィア・ファビアニ(Pichia fabianii) AT
    CC No.16755、ストレプトマイセス・リモス
    ス・エスエス・リモスス(Streptomyces rimosus ss. ri
    mosus) ATCC No.10970ならびに前記還元
    を達成しうるそれらの変異体からなる群より選択される
    方法。
  2. 【請求項2】 式(V)で表される化合物が、式(I
    I)、式(III)および式(IV)で表される化合物
    から分離される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記分離が、クロマトグラフィーによっ
    て行われる、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記分離が、結晶化によって行われる、
    請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 式(II)で表される前記化合物が、式
    (III)および式(IV)で表される前記化合物から
    分離される、請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 式(II)で表される前記分離された化
    合物が、式(II)で表される前記分離された化合物を
    酸化し、その酸化された化合物を式(I)で表される前
    記化合物へとラセミ化することによって式(I)で表さ
    れる化合物へとリサイクルされる、請求項5に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 前記ラセミ化が、前記酸化された化合物
    を塩基と反応させることを含む、請求項6に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 式(I)で表される前記化合物が、請求
    項6に記載したようにして製造される、請求項1に記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 前記微生物が、無傷な微生物である、請
    求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記微生物が、その破壊された細胞調
    製物である、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記微生物が、その脱水された調製物
    である、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記無傷な微生物が、前記無傷な微生
    物の洗浄された細胞を含む、請求項9に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記洗浄された細胞が固定化される、
    請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記脱水された調製物がアセトン粉末
    化酵素調製物である請求項11に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記微生物が培養液中にある、請求項
    1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記接触が、式(I)で表される前記
    化合物を前記培養液中に添加することによる、請求項1
    5に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記微生物が、前記ハンセヌラ・ポリ
    モルファ(Hansenula polymorpha) ATCC No.
    26012もしくは前記ハンセヌラ・ポリモルファ(Ha
    nsenula polymorpha) ATCC No.74449ま
    たはそれらの変異体である、請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記微生物が、前記ハンセヌラ・ポリ
    モルファ(Hansenura polymorpha) ATCC No.
    26012もしくは前記ハンセヌラ・ポリモルファ A
    TCC(Hansenula polymorpha) No.74449ま
    たは前記それらの変異体である、請求項15に記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 前記微生物が、前記ハンセヌラ・ポリ
    モルファ(Hansenula polymorpha) ATCC No.
    26012もしくは前記ハンセヌラ・ポリモルファ(Ha
    nsenura polymorpha) ATCC No.74449ま
    たは前記それらの変異体である、請求項16に記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 前記微生物が、アビシディア・コエル
    レア(Absidia coerulea) ATCC No.2013
    7または前記その変異体である、請求項1に記載の方
    法。
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