JP3101232B2 - 特殊構造を有する塩化ビニルコポリマーを主成分とするラテックスと、その製造方法と、その利用 - Google Patents

特殊構造を有する塩化ビニルコポリマーを主成分とするラテックスと、その製造方法と、その利用

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、コアと外側層とを
有し、必要に応じてさらに中間層を有する構造の塩化ビ
ニルコポリマーのラテックスに関するものである。本発
明は、種付けしたマイクロ懸濁重合(polymerisation en
microsuspensionensemencee)による上記コポリマーの
製造方法に関するものである。本発明のさらに他の対象
は上記コポリマーおよびラテックスの利用にある。
【0002】
【従来の技術】塗料配合物で使用可能なコア−シェル構
造を有するビニルポリマーは公知である。このポリマー
の粒子はコアと、コアの組成とは異なる組成を有するシ
ェルとで作られている。一般に、この粒子を主成分とし
たラテックスは乳化重合で得られる。国際特許 WO 95/1
4063号には、エチレンとビニルモノマーとの乳化重合で
得られたコポリマーのコアと、炭素数4〜12のアルキル
(メタ)アクリレートと、炭素数1〜3のアルキル(メ
タ)アクリレート、スチレンおよびα−メチルスチレン
からなる群の中から選択される少なくとも1種のモノマ
ーとのコポリマーのシェルとで構成される粒子の水性懸
濁物が記載されている。国際特許 WO 94/20556号には、
ビニルエステル、(メタ)アクリレート、塩化ビニル、
芳香族ビニル化合物およびエチレンからなる群の中から
選択される1種または複数のモノマーを含むポリマーの
コアと、特殊な溶解性を有する(メタ)アクリレート、
官能化オレフィンモノマーおよび加水分解可能な不飽和
シランを含むコポリマーのシェルとで構成される粒子の
懸濁物が開示されている。このコアは粒子の全重量の75
〜98%を占める。
【0003】特開昭3-41103 号には、貯蔵安定性に優れ
たプラスチゾルの製造に適したコポリマーの製造方法が
開示されている。この特許の実施例5に記載のマイクロ
懸濁重合法では、使用する塩化ビニルの一部を反応前に
導入し、塩化ビニルの残部とブチルメタクリレートとを
連続的に導入する。全メタクリレートはモノマーの変換
率が60%を超えるない前に導入する。この特許に記載の
方法は比較例4、5に記載の欠点を有している。すなわ
ち、ブチルアクリレートモノマーの変換率が60%を超え
るように導入した場合には、ビニルアセテートとの安定
したプラスチゾルを得ることは不可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、コアとそ
れを被覆した1つまたは2つの層を有する構造の粒子か
らなる塩化ビニルのコポリマーのラテックスを見い出し
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の対象は、コアと
それを被覆した1つまたは2つの層を有する構造の粒子
からなる塩化ビニルのコポリマーのラテックスにある。
本発明の粒子は塩化ビニルを主成分としたポリマーのコ
アと、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル (メ
タ) アクリレートおよびモノ−およびポリカルボン酸の
ビニルエステルからなるA群の中から選択される少なく
とも1種のモノマーのポリマーの第1層とを有し、必要
に応じてさらに塩化ビニルを主成分としたポリマーの第
2層を有し、第1層のポリマーは架橋またはグラフトさ
れていてもよい。
【0006】本発明の他の対象は、マイクロ懸濁重合に
よる上記コポリマーのラテックスの製造方法にある。本
発明方法は下記 (a)および(b) を特徴とする: (a) イクロ懸濁重合によって予め調製し且つ少なく
とも1種の有機溶媒に可溶な重合開始剤を含む塩化ビニ
ルを主成分とした種ポリマーP1の存在下で、必要に応
じて架橋剤またはグラフト剤と一緒に、アルキル基が炭
素数1〜8であるアルキル(メタ)アクリレートおよび
モノ−およびポリカルボン酸のビニルエステルからなる
A群の中から選択される少なくとも1種のモノマーを反
応させ、 (b) 必要な場合には、必要に応じて共重合可能なモノ
マーと一緒に、塩化ビニルをさらに導入して (a)段階で
得られたコポリマーを過重合する。
【0007】
【発明の実施の形態】「マイクロ懸濁重合」または「精
密懸濁重合(polymerisation fine) 」とは、平均粒径が
5μm以下の粒子の分散系を得るために、安定化剤とし
て乳化剤を含んだ水性媒体中に強力な機械的手段を用い
て分散させた少なくとも一種のモノマーを有機溶媒に可
溶な重合開始剤を用いて重合させることを意味する。
【0008】「塩化ビニルを主成分としたポリマー」と
は塩化ビニルのホモポリマーと、少なくとも50重量%が
塩化ビニルで、それ以外に塩化ビニルと共重合可能な少
なくとも一種類のモノマーを含む共重合体を意味する。
共重合可能なモノマーとしてはモノカルボン酸およびポ
リカルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニルおよび安息香酸ビニル;不飽和モノカ
ルボン酸およびポリカルボン酸、例えばアクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸および
その脂肪族、脂環式または芳香族エステル、アミドまた
はニトリル;アルキルハライド、ビニルハライドまたは
ビニリデンハライド;アルキルビニルエーテルおよびオ
レフィンを挙げることができる。好ましい共重合可能な
モノマーは酢酸ビニル、脂肪族(メタ)アクリレートお
よびビニリデンハライドである。本発明の塩化ビニルを
主成分としたポリマーは塩化ビニルホモポリマーが有利
である。
【0009】A群の中ではメチルアクリレート、エチル
アクリレート、プロピルアクリレートおよびブチルアク
リレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、プロピルメタクリレートおよびブチルメタクリレー
トおよび酢酸ビニル、プロピオネートおよびベンゾエー
トを選択するのが有効であり、特に、メチルアクリレー
トおよびブチルアクリレートが好ましい。
【0010】本発明では、コアとコアを被覆する1つの
層のみからなる粒子のコポリマーのラテックスは室温、
室温以下または室温以上で乾燥してフィルムとなる特性
を有している。コポリマーの粒子がコア、外層および中
間層からなるコポリマーは、耐衝撃改良剤または加工助
剤等の成形添加剤として用いることができる。また、ユ
ニークな特性、例えばゲル化温度を下げ、可塑剤を減
し、極めて広範囲の温度で優れた特性の発泡体を製造す
ることができる等の特性を有する流体プラスチゾルの形
で使用することもできる。
【0011】共重合に必要な種ポリマーP1は一般的な
マイクロ懸濁重合法で調製することができる。例えば、
水と塩化ビニル単独マイクロ1種または複数の共重合可
能なモノマーとを組み合わせたものを、陰イオン性乳化
剤および有機溶剤に可溶な重合開始剤を用い、モノマー
を強力な機械的手段、例えばコロイドミル、ファストポ
ンプ、振動攪拌器または超音波装置を用いて水中に微細
に分散させ、次いで、得られたマイクロ懸濁物を自己発
生的な圧力下で、所望の生成物の分子量によって決まる
温度で攪拌しながら加熱する。
【0012】種ポリマーP1は平均粒径が一般に0.05〜
3μm、好ましくは0.2 〜1.0 μmである粒子の水性分
散物の形で用いられる。本発明方法を実施するには、種
ポリマーP1が十分な量の有機溶剤に可溶な重合開始
剤、好ましくは種ポリマーに対して1〜3重量%の重合
開始剤を含む必要がある。有機溶剤に可溶な重合開始剤
は一般にラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキ
シド、カプロイルペルオキシド、tert−ブチルペルピバ
レート、tert−ブチルペルオクトエート等の有機過酸化
物である。
【0013】有機溶媒に可溶な重合開始剤は採用する反
応温度での開始剤の分解速度に応じて選択する。すなわ
ち、この開始剤は4〜20時間以内に種ポリマーを生成す
るような十分な反応性、すなわちモノマーまたはモノマ
ー混合物に対して0.1 〜3重量%程度でなければならな
い。しかし、開始剤の分解速度は速すぎてはならず、種
ポリマーの調製中に分解した開始剤の量が使用した開始
剤の量の半分を越えないような値でなければならない。
そのため、種ポリマーの調製中に分解する開始剤の割合
が、使用した全開始剤の5〜50重量%となるような半減
期を有する開始剤を選択することが必要である。ラウロ
イルパーオキシドを選択するのが有利である。
【0014】有機溶媒に可溶な複数の重合開始剤を使用
する場合には、反応性の異なるものを選択して、反応性
が最も高い開始剤を種ポリマーの調製中に作用させ、反
応性が最も低い開始剤は塩化ビニルとA群から選択され
る少なくとも一種のモノマーとの種重合時(さらには架
橋剤またはグラフト剤との種重合時)に作用させるのが
有利である。
【0015】本発明では重合は第2の種ポリマーP2の
存在下で実施することもできる。第2の種ポリマーP2
は(a) 段階を実施するためにP1と同時に存在している
か、(b) 段階を実施するために(a) 段階後に導入され
る。第2の種ポリマーP2は、平均粒径が0.05〜1.5 μ
m、好ましくは0.05〜0.8μmのポリマー粒子の分散系
の形をしており、重合開始剤を含むことができる。この
粒子分散系は通常のマイクロ懸濁重合法または乳化重合
法によって得ることができる。
【0016】第2の種ポリマーP2も上記の方法で調整
するが、このポリマーをマイクロ懸濁重合で調製する場
合、寸法が極めて小さい粒子を得たい時には均質化をよ
り強力に行う必要がある。第2の種ポリマーP2は水
と、塩化ビニル単独またはそれと少なくとも1種の共重
合可能なモノマーとを組み合わせものと、水溶性重合開
始剤と、アニオン乳化剤(必要に応じてさらに非イオン
性乳化剤を組合せることができる)とを乳化重合して調
製するのが好ましい。この場合の粒径は、各乳化重合に
固有の仕方、例えば使用する乳化剤の種類、量を適当に
選択するか、種を使用するか、攪拌速度を変化させるこ
とで調節する。
【0017】反応混合物を自己発生的な圧力下で適度に
攪拌しながら30℃〜65℃の温度に加熱する。圧力低下後
に反応を停止し、未反応モノマーを脱気する。第2の種
ポリマーP2の調製で必要な水溶性開始剤の代表的なも
のは過酸化水素、アルカリ金属の過硫酸塩または過硫酸
アンモニアを必要に応じて水溶性還元剤、例えばアルカ
リ金属の亜硫酸塩または重亜硫酸塩と組合せたものであ
る。使用量は選択する開始系に応じて広範囲で変えるこ
とができるが、4〜10時間で重合を確実に行うのに十分
な量とする。本発明方法では、(a) 段階のモノマー重量
に対して用いられる種ポリマーP1の量比は一般に0.02
〜10である。2種の種ポリマーを用いる場合の第1の種
ポリマーP1と第2の種ポリマーP2との重量比は95/5
〜5/95である。
【0018】マイクロ懸濁液の安定性を向上させるため
に、重合前および/または重合中に少なくとも一種類の
アニオン性乳化剤を、必要に応じて少なくとも一種の非
イオン性乳化剤と組み合わせて、添加するのが有利であ
る。アニオン性乳化剤はアルカリ性アルキルホスフェー
ト、アルキルスルホスクシネート、アリルスルホネー
ト、ビニルスルホネート、アルキルアリールスルホネー
ト、アルキルスルホネート、エトキシ化アルキルサルフ
ェート、アルキルサルフェート、脂肪酸石鹸や、エチレ
ンオキシドまたはプロピレンオキシドを水酸基を有する
各種有機化合物に重縮合して得られる非イオン性乳化剤
が好ましい。この乳化剤は種ポリマーの調製に使用する
乳化剤と同一でもよい。アルカリ金属のドデシルベンゼ
ンスルホネートおよび/または硫酸ドデシルを選択する
のが好ましい。乳化剤の量は重合すべきモノマーの3重
量%以下にすることができる。重合温度は一般に30〜80
℃である。
【0019】A群の化合物の中ではメチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチ
ルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレ
ート、酢酸ビニル、ビニルプロピオネートまたはビニル
ベンゾエートを選択するのが好ましく、メチルアクリレ
ートおよびブチルアクリレートを選択するのが有効であ
る。
【0020】A群の化合物の全使用量は種ポリマーと
(b)段階のモノマーとの全重量に対して一般に0.01〜1
である。本発明の (b)段階は上記のような1種または複
数の水溶性重合開始剤の存在下で実施することができ
る。アルカリ金属のパーサルフェートまたは過硫酸アン
モニウムを使用するのが好ましい。架橋剤またはグラフ
ト剤としては、少なくとも2つの反応性二重結合を有す
る任意のモノマーを用いることができ、例としてはアリ
ルメタクリレート、ジアリルフタレートまたはジビニル
ベンゼンを挙げることができる。
【0021】種ポリマーの粒子に包まれる開始剤を活性
化することで重合速度を加速させることができる。実際
には、フランス特許第2,234,321 号に記載のように、水
溶性金属塩に錯化剤を除々に導入して生成する有機溶媒
に可溶性の金属錯体を用いて活性化する。金属塩の使用
量は金属塩/重合開始剤モル比が0.001 〜0.1 、好まし
くは0.001 〜0.03となるような量にする。金属の例とし
て鉄、銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、錫、チタン、バ
ナジウム、マンガン、クロムまたは銀を挙げることがで
きる。錯化剤はモノカルボン酸、ポリカルボン酸、アル
キルリン酸、ラクトン、ケトンまたはカルバゾン等で代
表される。錯化剤/金属塩モル比が1〜110 、好ましく
は5〜20にとなるような量で使用する。錯化剤はアスコ
ルビン酸にするのが有利である。本発明の重合に必要な
水の量は、種ポリマー+塩化ビニル+重合すべきモノマ
ーの初期濃度が反応混合物に対して20〜80重量%、好ま
しくは45〜75重量%になるような量にする。重合時間は
一般に30分〜10時間、好ましくは1〜7時間にする。
【0022】こうして製造されたラテックスは1種類ま
たは2種類のポリマー粒子群を含んでいる。1種類の粒
子群を含むラテックスの場合の平均粒径は一般に0.4 〜
2.5μmである。2種類の粒子群を含むラテックスは平
均粒径が互いに異なる粒子、0.4 〜2.5 μmの粒子群
と、0.08〜1μmの粒子群とを粒径比が1〜20、好まし
くは4〜8で、重量比が 0.1〜10、好ましくは2〜5で
含む。2種類の粒子群を含むラテックスは本発明で得ら
れる1種類の粒子群を含むラテックスを混合して製造す
ることもできる。すなわち、粒径比が1〜20、好ましく
は4〜8で、重量比が0.1 〜10、好ましくは2〜5の種
ポリマーP1またはP2、好ましくはP2の粒子の水性
懸濁物を用いて製造することもできる。
【0023】本発明の1種類の粒子群を含むラテックス
および2種類の粒子群を含むラテックスは、乾燥して容
易にフィルムとなるので、可塑剤を含まないプラスチゾ
ルおよび塗料等の被覆で利用するのに適している。本発
明方法で調製された塩化ビニル共重合体は公知の任意手
段、例えば濾過、凝集−分離、フレーキング、遠心分離
またはアトマイジング (噴霧乾燥) 、好ましくは噴霧乾
燥によって水性混合物から分離することができる。こう
して得られたコポリマーはゲル化温度が低いプラスチゾ
ルの製造に適した粉末で供給され、また、極めて広い温
度範囲で優れた気泡品質を有する発泡体を製造となり、
さらに、このコポリマーは耐衝撃改良剤および加工助剤
として用いることもできる。本発明は下記実施例からよ
り良く理解できよう
【0024】
【実施例】実験方法 下記実施例において特に記載のない限り、用いられるア
スコルビン酸水溶液は水1リットル当たり0.7gのアスコ
ルビン酸を含み、硫酸銅はCuSO4 ・5H2 O である。 A.種ポリマーP1の製造 35回転/分で攪拌しながら15℃に調節された800 リット
ル容の反応器に下記をこの順番で導入する: 水 375kg 緩衝溶液 5リットル (426gの燐酸二水素カリウムと、 117gの純粋な水酸化ナトリウムとを含む) ベンゾキノン粉末 11g ラウロイルペルオキシド 6kg 塩化ビニル 320 kg 10重量%スルホネートドデシルベンゼンナトリウム水溶液 48kg 反応器は塩化ビニルの導入直前に真空にする。
【0025】次に、35℃以下の温度で水性混合液を5,50
0 回転/分で105 分間攪拌して水性混合液中に塩化ビニ
ルを微細に分散させる。次に、攪拌速度を30回転/分に
し、自己発生圧力下で反応混合物を45℃の目標重合温度
にする。重合中に10.5g/時の一定流量で連続的にベンゾ
キノンを導入する。3.5 バールに減圧後すなわち8時間
後に、未反応の塩化ビニルを脱気してラテックスを得
る。このラテックスの平均粒径は約0.55μmで、ポリマ
ーに対して約2重量%のラウロイルペルオキシドを含
む。
【0026】B. 種ポリマーP2の製造 B.1. 攪拌器を備えた800 リットル容の反応器に下記を
導入する: 水 415 kg ラウリル酸 1.25 kg 純粋な水酸化ナトリウム 0.8 kg 次に、混合液を65℃にし、この温度に1時間維持する。
次いで、混合液を55℃に冷却した後、反応器を真空にす
る。その後、温度を55℃に維持しながら、400kgの塩化
ビニルと、109 g の過硫酸アンモニウムを含む4リット
ルの水溶液とを導入する。その後、3l/時の一定流量で
0.72g の硫酸銅と、18g のメタビスルフィットカリウム
と、0.54リットルの12N−アンモニア水とを30リットル
の水に含む水溶液を連続的に添加する。過硫酸塩の導入
の3時間後、水40リットル当たり4.56kgのスルホネート
ドデシルベンゼンナトリウムを含む水溶液を反応混合物
に8l/時で5時間連続的に添加する。内圧が4.5 バール
に達した時に反応を急冷して停止させ、次いで、乾燥重
量で7.28kgのスルホネートドデシルベンゼンナトリウム
を含む水溶液を導入する。得られたポリマーの平均粒径
は約0.11μmである。
【0027】B.2. 攪拌器を備えた28リットル容の反応
器に下記を導入する: 水 9650 g 下記を含む水溶液 100 cm 3 エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA) 0.975g 硫酸鉄 0.191g スルホスシナメートナトリウム 1.78g ラウリン酸 9.8 g 純粋な水酸化ナトリウム 3.25g 次に、反応器を真空にし、7000g の塩化ビニルを導入す
る。次いで、反応混合液を58℃の目標温度にする。混合
液が45℃に達した時に水1リットル当たり3.5g の過硫
酸カリウムを含む水溶液を連続的に導入する。水溶液の
導入開始の1時間後に56g のスルホネートドデシルベン
ゼンナトリウムを含む1リットルの溶液を一定流量で4
時間連続的に添加する。内圧が4バールになった時に、
反応器を空気に開放し、冷却する。4時間半重合後のポ
リマーの重量濃度は41%で塩化ビニルの変換率は93%で
ある。ポリマーの平均粒径は0.2 μmである。
【0028】C. 実施例1〜4 下記を混合した: 燐酸二水素カリウム 0.14g 硫酸銅 5.3 mg 種ポリマーP1のラテックス 140g(乾燥重量) 脱イオン水 810g 次に、攪拌器を備えた2リットル容のオートクレーブに
この混合水を室温で導入する。次いで、混合液を攪拌し
ながら減圧する。15分間攪拌後、140gのブチルアクリレ
ートを導入した後、混合物を58℃に加熱する。反応時間
中はこの温度を維持する。混合物が53℃に達した時、ア
スコルビン酸水溶液の連続導入を開始し、全体で0.03g
のアスコルビン酸を導入する。100 分間、2時間、4時
間および5時間の重合後、加熱を停止する。コポリマー
の分散物が得られる。ブチルアクリレートの重量濃度お
よび全変換率は〔表1〕に示した。重合時間中の平均粒
径は0.59μmであった。
【0029】
【表1】
【0030】実施例5 実施例2の操作を繰り返すが、196gのブチルアクリレー
トを導入した。混合水中のコポリマーの濃度は18.4%
で、ブチルアクリレートの変換率は99%であった。コポ
リマーの平均粒径は0.65μmであった。
【0031】実施例6 実施例1の操作を繰り返すが、ブチルアクリレートをメ
チルアクリレートに代え、反応時間は80分にした。反応
終了後のメチルアクリレートの変換率は98%であり、混
合水中のコポリマーの濃度は19.7%であった。コポリマ
ーの平均粒径は0.59μmであった。
【0032】実施例7 実施例1の操作を繰り返すが、1時間反応後に650gの塩
化ビニルを入れ、連続して19.7g の26.3%(乾燥重量)
スルフェートドデシルナトリウム水溶液と、アスコルビ
ン酸水溶液とを導入した。塩化ビニル添加から4時間半
後に加熱を停止し、オートクレーブを冷却した。混合水
中に存在するコポリマーの濃度は37%で、塩化ビニルの
変換率は95%で、コポリマーの平均粒径は1.15μmであ
った。
【0033】実施例8 実施例7の操作を繰り返すが、ブチルアクリレートをメ
チルアクリレートに代えた。塩化ビニルの導入から5.5
時間後、加熱を停止して反応器を冷却した。混合水中に
存在するコポリマーの濃度は35%で、塩化ビニルの変換
率は96%で、コポリマーの平均粒径は1.14μmであっ
た。
【0034】実施例9 予め真空にした28リットル容の攪拌器を備えた反応器に
下記をこの順番で吸引によって導入した: 脱イオン水 7500g 燐酸二水素カリウム 1.5g 硫酸銅 56mg 種ポリマーP1のラテックス 1000g (乾量重量) 脱イオン水 2100g 攪拌器を備えた反応器に室温で上記混合液を収容し、真
空にする。次に、1400g のブチルアクリレートを導入し
た後、混合液を58℃に加熱する。温度上昇中は反応器を
窒素を用いて1バールの圧力下に置く。混合液が54℃に
達した時に初めの30分間で約120ml のアスコルビン酸水
溶液を導入し、次いで、反応の発熱に依存する可変量で
連続的に導入した。アスコルビン酸水溶液の導入開始の
105 分後に加熱を停止して反応器を急冷した。温度が50
℃に下がった時に反応器を大気に開放する。混合液中の
コポリマーの濃度は20重量%で、ブチルアクリレートの
変換率は85%であった。
【0035】実施例10 実施例9の操作を繰り返すが、アスコルビン酸の導入開
始の1時間後に加熱を停止し、次いで 6000gの塩化ビニ
ルを導入した。反応器を加熱し、混合物が53℃に達した
時にアスコルビン酸水溶液を連続的に導入した。次い
で、1時間後、53g のスルフェートドデシルナトリウム
と水1リットル当たり144mg の水酸化ナトリウムとを含
む水溶液を導入した。この溶液は全導入量が1リットル
になるように一定流量で4時間かけて導入した。反応混
合物の圧力が4バールに下がった時、アスコルビン酸の
導入を止め、加熱を停止し、反応器を急冷した。混合液
中のコポリマーの濃度は30%で、塩化ビニルの変換率は
84%で、平均粒径は1.15μmであった。
【0036】実施例11 実施例10の操作を繰り返すが、スルフェートドデシルナ
トリウムをスルホネートドデシルベンゼンナトリウムに
代えた。混合液中のコポリマーの濃度は35重量%で、塩
化ビニルの変換率は84%で、コポリマーの平均粒径は1.
22μmであった。
【0037】比較例12 下記を混合した: 燐酸二水素カリウム 0.14g 硫酸銅 5.3mg 種ボリマー1のラテックス 46g (乾量重量) 脱イオン水 1000g 次に、攪拌器を備えた2リットル容のオートクレーブに
混合液を室温で導入した。次いで、混合液を攪拌し、減
圧した。 700g の塩化ビニルを反応器に導入した後、混
合液を自己発生圧力下で58℃に加熱した。混合液. 53℃
に達した時にアスコルビン酸の全量を0.03g にするため
に、アスコルビン酸水溶液を一定流量で5時間かけて連
続的に導入した。アスコルビン酸の導入の最初の1時間
後、133g/lのスルフェートドデシルナトリウム水溶液を
一定流量で4時間かけて連続的に導入した。流量は導入
されたスルフェートドデシルナトリウムの全量が5.6gと
なるようにする。反応混合液の圧力が4バールに下った
時に加熱を止め、反応器を急冷した。こうして42重量%
のポリマー濃度を有するラテックスが得られた。塩化ビ
ニルの変換率は92%で、平均粒径は1.19μmであった。
【0038】実施例13 (比較例) 実施例12の操作を繰り返すが、スルフェートドデシルナ
トリウムをスルホネートドデシルベンゼンナトリウムに
代えた。運転終了後、ラテックスは41重量%のポリマー
濃度を有し、ポリマーの平均粒径は1.16μであった。塩
化ビニルの変換率は83%であった。実施例14 実施例7の操作を繰り返すが、196gのブチルアクリレー
トを用いた。混合水中のコポリマーの濃度は34.1重量%
で、塩化ビニルの変換率は92%で、コポリマーの平均粒
径は1.24μmであった。実施例15 実施例7の操作を繰り返すが、スルフェートドデシルナ
トリウムをスルホネートドデシルベンゼンナトリウムに
代えた。反応終了後、35%のコポリマーの濃度を有し、
コポリマーの平均粒径が1.24μであるラテックスが得ら
れた。塩化ビニルの変換率は92%であった。
【0039】プラスチゾルの製造 実施例8および実施例13〜16で製造されたラテックスを
噴霧乾燥した後に得られた 100部の樹脂を、45部のフタ
ル酸ジオクチルと混合した。得られたプラスチゾルの特
性は〔表2〕に示してある。使用した流動計はB型 (ブ
ルックフィールド) で、測定は25℃で30分後および24時
間後に行った。本発明のコポリマーを主成分とするプラ
スチゾルは塩化ビニルホモポリマーよりも黄変しない
(YIは黄変指数、Rはホモポリマーに対するYI値の
比を表す)。
【0040】
【表2】
【0041】フィルムの製造 実施例1〜6および実施例9で製造されたラテックスを
型へ注入し、室温に放置した。水の蒸発後、エラストマ
ー特性を有するフィルムが得られた。
【0042】実施例16 予め真空にした28リットル容の攪拌器を備えた反応器に
下記をこの順番で吸引によって導入した: 脱イオン水 7200g ヒドロゲンホスフェートカリウム 1.2g 硫酸銅 4.5mg 種ポリマーP1のラテックス 222g(乾量重量) 次に、攪拌速度を80回転/分にし、混合液を室温にし
た。次いで、311gのブチルアクリレートを導入し、反応
器を窒素を用いて1バールの圧力にした。その後反応混
合物を30分間で目標温度の58℃にした。
【0043】混合液が53℃に達した時に15分間で50mlの
アスコルビン酸を導入し、次いで、反応の発熱量に応じ
た可変量で連続的に導入した。アスコルビン酸の導入開
始の45分後、加熱を停止し、反応器を冷却した。温度が
35℃に下がった時に反応器を真空にした。次いで、216g
(乾量基準)の(B.1) で製造された種ポリマーP2のラ
テックスを導入した。反応器を真空にし、6000g の塩化
ビニルを導入した。次いで、反応混合物を30分間で目標
温度の58℃にした。混合液が53℃に達した時にアスコル
ビン酸水溶液を連続的に導入した。すなわち最初の30分
で 120ml、その後は反応の発熱量に応じた可変量で導入
した。アスコルビン酸の導入開始の1時間後、4.8gのス
ルフェートドデシルナトリウムと、144mg の純粋な水酸
化ナトリウムとを含む1リットルの水溶液を一定流量で
4時間導入する。
【0044】混合液の圧力が4バールに下がった時に加
熱およびアスコルビン酸の導入を止め、攪拌を減速し
た。未反応の塩化ビニルを脱気して除去した。コポリマ
ー濃度が35%のラテックスが得られた。塩化ビニルの変
換率は86%であった。粒径分析からコポリマーは2種類
の粒子群、平均粒径が0.13μmおよび1.04μmの粒子か
ら形成されていることが分かった。微粒子はコポリマー
の9重量%であった。
【0045】実施例17 実施例16の操作を繰り返すが、種ポリマーP2ラテック
スを種ポリマーP1ラテックスと一緒に導入した。塩化
ビニルの変換率は96%で、得られたラテックスは34重量
%のポリマーの濃度を有していた。粒径分析からコポリ
マーは2種類の粒子群、平均粒径が0.15μmと1.05μm
の粒子から形成されていることが分かった。微粒子はコ
ポリマーの16重量%であった。
【0046】実施例18 実施例17の操作を繰り返すが、0.15g の過硫酸ナトリウ
ムを塩化ビニルの導入と同時に導入した。実施例19 実施例18の操作を繰り返すが、0.5gの過硫酸ナトリウム
を導入した。実施例20 実施例19の操作を繰り返すが、300gのブチルアクリレー
トと、9825g の水と、7500g の塩化ビニルと、278g(乾
量基準)のポリマーP2ラテックスおよび270gのポリマ
ーP1ラテックスと、1.5gの燐酸二水素カリウムと、56
mgの硫酸銅と、60g のスルホネートドデシルベンゼンナ
トリウムと、180 mgの水酸化ナトリウムを導入した。
【0047】実施例21 実施例20の操作を繰り返すが、ブチルアクリレートを32
2gのメチルアクリレートに代えた。実施例22 実施例21の操作を繰り返すが、0.15g の過硫酸ナトリウ
ムを導入した。実施例23 (比較例) 実施例17の操作を繰り返すが、A群のモノマーの非存在
下で実施した。実施例18〜23で製造されたラテックスの
特性は〔表3〕に示してある。
【0048】
【表3】
【0049】プラスチゾルの製造 実施例19および実施例21〜23で製造されたラテックスを
噴霧乾燥し、得られた粉末を微粉砕した。100 重量部の
微粉砕されたコポリマーを、100 重量部のフタル酸ジオ
クチルと混合してプラスチゾルを製造した。240g(乾量
基準)の実施例11のラテックスを、60g (乾量基準)の
(B.2) で製造された平均粒径が0.2 μmのP2ラテック
スと混合し、得られた混合物を噴霧乾燥した。得られた
粉末を微粉砕し、実施例19のラテックスから得られた粉
末と同じ比率でフタル酸ジオクチルと混合した。各プラ
スチゾルのゲル化温度を〔表4〕に示した。流動学的特
性はB(ブルックフィールド)型RTV型の回転流動計
を用いて25℃で30分後に測定した。
【0050】
【表4】 (注)実施例24は、実施例11のラテックスと、(B.2) で製造されたポリマーP 2のラテックスとの混合物から得られたラテックスを示している。
【0051】フォームの製造 実施例19および実施例21〜24で製造されたラテックスを
噴霧乾燥後、得られた粉末100 重量部を65部のフタル酸
ジオクチルと、2.5 部のアゾジカルボンアミドと、2部
の活性化剤と混合した。得られた混合物を塗布した後、
195 ℃の炉内に150 秒置く。こうして得られた発泡体は
極めて優れた気泡品質(極めて微細な発泡構造)を有し
ている。実施例19および24のラテックスから得られた混
合物は195 ℃以下、一般に130℃以下の温度で優れた気
泡品質のフォームを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブノワ エルンスト フランス国 27170 ボーモン−ル−ロ シェ リュ サン−ニコラ 38 (56)参考文献 特開 平6−234802(JP,A) 特開 昭50−16790(JP,A) 特開 平3−153712(JP,A) 特開 昭51−133387(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/44

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ懸濁重合によって予め調製され
    且つ少なくとも1種の有機溶媒に可溶な重合開始剤を含
    んだ塩化ビニルを主成分とした種ポリマーP1の存在下
    で、アルキル基が炭素数1〜8であるアルキル(メタ)
    アクリレートおよびモノ-およびポリカルボン酸のビニ
    ルエステルからなるA群の中から選択される少なくとも
    1種のモノマーを反応させる段階(a)を含むことを特徴
    とするマイクロ懸濁重合によるコポリマーラテックスの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 段階(a)を架橋剤またはグラフト剤の存
    在下で行う請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 段階(a)で得られたコポリマーに塩化ビ
    ニルをさらに導入して、段階(a)で得られたコポリマー
    を過重合する段階(b)をさらに含む請求項1または2に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 段階(a)を第2の種ポリマーP2の存在
    下で行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 段階(b)を第2の種ポリマーP2の存在
    下で行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 第2の種ポリマーP2を乳化重合で調製
    する請求項4または5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 第2の種ポリマーP2の平均粒径がP1
    の平均粒径以下である請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 段階(b)の過重合を水溶性重合開始剤の
    存在下で行う請求項3〜7のいずれか一項に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 水溶性重合開始剤がアルカリ金属のパー
    サルフェアトまたは過硫酸アンモニウムである請求項8
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 乳化剤を重合前および/または重合中
    および/または重合後に添加する請求項1〜9のいずれ
    か一項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 種ポリマーの粒子内に含まれる重合開
    始剤の活性化によって重合速度が加速される請求項1〜
    10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 A群のモノマーがブチルアクリレート
    またはメチルアクリレートから選択する請求項1〜11
    のいずれか一項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 塩化ビニルベースのポリマーのコア
    と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル (メ
    タ) アクリレートおよびモノ−およびポリカルボン酸の
    ビニルエステルからなるA群のモノマーから選択される
    少なくとも1種のポリマーの層とで構成される、平均粒
    径が5μm以下の粒子の形をした塩化ビニルコポリマー
    を主成分としたラテックス。
  14. 【請求項14】 架橋剤またはグラフト剤を含む請求項
    13に記載のラテックス。
  15. 【請求項15】 粒子が塩化ビニルを主成分とした第2
    のポリマーの層でさらに被覆される請求項13または1
    2に記載のラテックス。
  16. 【請求項16】 請求項13〜15のいずれか一項に記
    載のラテックスを乾燥して得られるフィルム。
  17. 【請求項17】 請求項13〜15のいずれか一項に記
    載のラテックスを乾燥して得られる塩化ビニルコポリマ
    ー。
  18. 【請求項18】 請求項17のコポリマーを主成分とし
    たプラスチゾル。
  19. 【請求項19】 請求項17のコポリマーを主成分とし
    た耐衝撃性改良剤。
  20. 【請求項20】 請求項17のコポリマーを主成分とし
    た発泡体。
  21. 【請求項21】 請求項17のプラスチゾルを主成分と
    した発泡体。
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