JP3098760B2 - 球状エポキシ樹脂用硬化剤 - Google Patents

球状エポキシ樹脂用硬化剤

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明上の利用分野] 本発明はエポキシ樹脂用硬化剤に関するものである。
さらに詳しくはアミン化合物とエポキシ化合物から合成
される室温で固形のアニオン重合硬化型硬化剤にして、
粉末状態でかさばらず、易分散性で粘度上昇が少なく、
かつ貯蔵安定性に優れた硬化組成物を与える球状のエポ
キシ樹脂用硬化剤粒子に関わるものである。
[従来の技術] エポキシ樹脂硬化体は接着性、機械的性質、熱的性
質、耐薬品性および電気的性質に優れていることから、
塗料、接着剤、電気・電子用絶縁材料として、幅広く工
業的に利用されている。これらの用途に用いられるエポ
キシ樹脂配合物は、大きく1成分系と2成分系に分けら
れる。
2成分系はエポキシ樹脂配合物と硬化剤またはその配
合物からなり、それらは別々に保管されて、必要に応じ
てユーザーにおいて両者を計量、混合して使用に供され
るが、計量ミスを避けて常に均質な硬化組成物とするこ
とは実用上困難なことが多い。エポキシ樹脂と硬化剤と
の反応は混合と同時に始まる。エポキシ樹脂硬化組成物
の一般的な形態は液状であるが、この形態の硬化組成物
についていえば、系の粘度は次第に上昇し、ゲル化を経
て硬化にいたる。ゲル化して使用に供し得なくなるまで
の時間は可使時間と呼ばれる。可使時間はエポキシ樹脂
と硬化剤の化学構造および配合によって定まる。一般的
に硬化速度の速い系ほど、可使時間は短くなる。硬化速
度に主眼をおいた硬化剤を用いれば室温あるいは低温硬
化配合も可能となるが、必然的に可使時間が短くなり、
少量を頻繁に配合する必要が生ずるなど作業効率の大幅
な低下は免れ難い。
これに対して1成分系ではエポキシ樹脂に予め硬化剤
が配合されているために、2成分系に付随する問題はす
べて解消される。このような目的に供される硬化剤は潜
在性硬化剤と呼ばれる。もっとも単純な1成分系は、高
温硬化型の硬化剤、例えばジシアンジアミド、フェノー
ルノボラック、アジピン酸ジヒドラジド、ジアリルメラ
ミン、ジアミノマレオニトリル、BF3−アミン錯体、ア
ミン塩、変性イミダゾール化合物などの配合で得られ
る。これらの高温硬化型硬化剤は硬化速度が遅く、室温
における反応が遅々として進まないために、見掛け上あ
る程度の期間室温またはそれ以下の温度での安定な貯蔵
が可能で、高温加熱で硬化する1成分配合を可能とす
る。これが室温ではエポキシ樹脂に溶解しない高温硬化
型硬化剤で、粒子として分散されていると、貯蔵安定性
は格段に改良される。これは明らかにエポキシ樹脂との
接触面積が極端に小さくなるためである。この場合、硬
化剤粒子のサイズが重要であり、それが小さくなるほど
硬化速度が速くなり、硬化体の硬化構造も均一になるこ
とが文献(J.Appl.Polymer Sci.,32,5095(1986)で明
らかにされている。このような分散型硬化剤もまた一種
の潜在性硬化剤といえる。
本格的な1成分系エポキシ樹脂硬化組成物は、そのま
まの状態では本質的にエポキシ樹脂とは反応しないが、
刺激により活性化する潜在性硬化剤の配合を必要とす
る。熱分解により活性化されるアミンイミド化合物、水
分との接触により活性化されるケチミン化合物、光照射
により活性化される芳香族ジアゾニウム塩化合物、ジア
リルヨードニウム塩化合物、トリアリルスルホニウム塩
またはセレニウム塩化合物、機械的圧力または熱で破壊
される材料でマイクロカプセル化された硬化剤などが挙
げられるが、性能上およびコスト上の問題からまだそれ
ほど一般化されず、現時点ではそれが本格化するまでの
つなぎとして、さきに述べた分散型の潜在性硬化剤が重
要である。
この種の硬化剤として実用的に優れているのは、アミ
ン化合物とエポキシ化合物の反応で得られる付加体、い
わゆる変性アミン硬化剤である。エポキシ化合物の付加
による変性で、アミン化合物硬化剤の欠点、例えば取り
扱い上問題となる揮発性ならびに硬化性に大きな影響を
及ぼす吸湿性やエポキシ樹脂との相溶性などが大幅に改
良されるばかりか、融点の制御も可能になる。エポキシ
樹脂は硬化剤との重付加反応、またはイオン重合で硬化
に導かれるが、どうしてもコスト高になるこのような2
次加工型の硬化剤においては、当量比添加にこだわるこ
となく、少量の添加でも硬化が可能なイオン重合型硬化
剤が有利となる。性能面からは、金属腐食のおそれのな
いアニオン重合型硬化剤(3級アミン付加体)が好まれ
る。実用上この目的に適するのがイミダゾール/エポキ
シ樹脂付加体であり、特開昭58−13623および特開昭61
−268721にその技術が詳しく開示されている。このアミ
ン化合物とエポキシ樹脂から合成される固形付加体は、
従来溶媒中でアミン化合物とエポキシ樹脂を反応させた
後、系から溶媒を除去して一先ず塊状として得られる。
次いで粉砕し、さらに分級して目的とするサイズの硬化
剤粒子が取り出される。粉砕には限度があり、ストーク
ス径で3μm以下の微細な粒子を製造することは工業的
にきわめて困難である。
[本発明が解決しようとする課題] 上述の製造方法は工程が長くて煩雑なために、製造コ
ストが非常に高くつくばかりでなく、製造される硬化剤
粒子にも、粉砕による粒子化の限界とその破砕状の形態
に起因して次のような欠点がある。
a.かさ高で、包装および輸送に不都合である。
b.強固に凝結しやすく、使用に際してエポキシ樹脂中へ
の分散に要する手間が多大である。
c.エポキシ樹脂への配合に際して大きな粘度上昇が起こ
る。
d.粒子サイズを小さくすることによる硬化速度改良に限
界がある。
e.配合した硬化組成物の安定貯蔵期間が比較的短い。
このために、アミン化合物/エポキシ化合物付加体粒
子は硬化剤として折角優れたさまざまな利点をもちなが
らも、それが1成分系硬化組成物においてはそれが十分
に生かされるにはいたっていない。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは従来の技術におけるアミン化合物/エポ
キシ化合物付加体粒子がもつ課題を克服し、1成分系エ
ポキシ樹脂硬化組成物の利点が十分に生かせる硬化剤を
開発すべく鋭意研究を重ねて、本発明をなすにいたっ
た。
すなわち本発明は: 従来技術における有機溶媒中でのアミン化合物とエポ
キシ化合物との付加反応に際して、有機溶媒として、ア
ミン化合物とエポキシ化合物は溶解するが付加体は溶解
しないものを選び、さらに適当な分散安定剤を共存さ
せ、生成する球状付加体粒子を凝集させることなく安定
に分散させることによって、制御された球状のアミン化
合物/エポキシ化合物付加体粒子を一段階で得るもので
ある。こうして生成した分散液から球状付加体粒子が分
離され、乾燥して粉末状として得られる。本発明の方法
により、従来技術によるアミン化合物/エポキシ化合物
付加体粒子の製造プロセスが著しく簡略化されるばかり
か、原料としてのアミン化合物とエポキシ化合物原料の
濃度、分散安定剤の種類と濃度、反応温度、撹拌条件お
よび反応率によって、生成する付加体粒子は、直径で0.
1〜20μmの範囲内で、目的とするサイズに容易に制御
される。従来達成困難であった3μm以下の微細粒子が
容易に得られることと、おそらく使用した分散安定剤の
一部が粒子に固定されることに起因するものと考えられ
るが、硬化反応性が低下することなく著しく貯蔵安定性
に優れた硬化組成物を与える硬化剤粒子が得られること
が、従来技術に対する本発明の大きな特色である。また
従来技術の付加体粒子は形状が第1図の写真に示すよう
に破砕状であるのに対して、本発明のそれは第2図の写
真に示すようにほぼ完全な球状である。これにより、従
来技術の付加体粒子に関わる前記の欠点はすべて改良さ
れる。
本発明の実施態様は以下の通りである。
1. アミン化合物とエポキシ化合物から合成される付加
体で、形状が球状のエポキシ樹脂用硬化剤。
2. 50℃以上の融点を有する上記第1項記載のエポキシ
樹脂用硬化剤。
3. アミン化合物が、分子内に少なくとも1個の2級ア
ミノ基を含むアミン化合物である上記第1項又は第2項
記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
4. エポキシ化合物が、1000以下のエポキシ当量を有す
るものである上記第1項〜第3項のいずれか1項に記載
のエポキシ樹脂用硬化剤。
5. 0.1〜20μmの粒子径を有する上記第1項〜第4項
のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
6. アミン化合物とエポキシ化合物とを分散剤の存在下
において、そのアミン化合物及びそのエポキシ化合物を
ともに溶解するが、両者から生成する付加体は溶解しな
い有機溶媒中で反応させて、上記第1項記載の球状のエ
ポキシ樹脂用硬化剤を製造する方法。
7. 生成するエポキシ樹脂用硬化剤が50℃以上の融点を
有する上記第6項記載の方法。
8. アミン化合物が、分子内に少なくとも1個の2級ア
ミン基を含むアミノ化合物である上記第6項又は第7項
記載の方法。
9. エポキシ化合物が、1000以下のエポキシ当量を有す
るものである上記第6項〜第8項のいずれか1項に記載
の方法。
10. 生成するエポキシ樹脂用硬化剤が0.1〜20μmの粒
子径を有する上記第6項〜第9項のいずれか1項に記載
の方法。
11. 分散剤が、分子量が1000以上の両親媒性化合物で
ある上記第6項〜第10項のいずれか1項に記載の方法。
12. 有機溶媒が、溶解度パラメーターが8〜11の範囲
の単独又は混合有機溶媒である上記第6項〜第11項のい
ずれか1項に記載の方法。
13. 上記第1項〜第5項のいずれか1項に記載の球状
エポキシ樹脂用硬化剤とエポキシ樹脂を主たる構成成分
とする熱硬化性組成物。
14. 上記第6項〜第12項のいずれか1項に記載の方法
で製造された球状エポキシ樹脂用硬化剤とエポキシ樹脂
を主たる構成成分とする熱硬化性組成物。
15. エポキシ樹脂と高温硬化型硬化剤を主たる構成成
分とし、これに上記第1項〜第5項のいずれか1項に記
載の球状エポキシ樹脂用硬化剤を促進剤として加えてな
る熱硬化性組成物。
16. エポキシ樹脂と高温硬化型硬化剤を主たる構成成
分とし、これに上記第6項〜第12項のいずれか1項に記
載の方法で製造された球状エポキシ樹脂用硬化剤を促進
剤として加えてなる熱硬化性組成物。
以下本発明に関してさらに詳細に説明する。まず原料
としてのアミン化合物とエポキシ化合物であるが、これ
らは硬化剤としての付加体の性質を考慮して選択され
る。重要なのはアニオン重合硬化を推進する化学構造、
融点、溶融状態で硬化対象となる配合エポキシ樹脂に対
する優れた相溶性、速い硬化性および添加効果(少ない
添加量での高い硬化反応性)である。ただしここでいう
融点とは、通常の融点測定法における溶融開始温度と定
義する。
この目的に供されるアミン化合物としてはすべての種
類が対象たりうるが、それに組み合わせるエポキシ化合
物の種類による制約を受ける。なぜならば本発明におい
ては、重合を避けて付加反応にとどめねばならないから
である。1官能性エポキシ化合物に対してはすべての種
類のアミン化合物を組み合わせることが可能であるが、
多官能性エポキシ化合物に組み合わせうるのはエポキシ
基との反応に寄与する活性水素を1個しかもたないアミ
ン化合物だけとなる。いずれの場合においても活性水素
をもたない3級アミノ基が含まれることは一向に差し支
えない。むしろ付加体の硬化反応に寄与するアミノ基濃
度を高める、すなわち硬化剤としての添加効果を高める
うえにおいてその存在は好ましい。後で述べるようにエ
ポキシ化合物としては2官能性のビスフェノールAジグ
リシジルエーテルがもっとも一般的であるが、この化合
物を例にとって、それに組合せるのに適したアミン化合
物の例を挙げれば、2−メチルイミダゾールや2,4−ジ
メチルイミダゾールを代表とするイミダゾール化合物、
N−メチルピペラジンやN−ヒドロキシエチルピペラジ
ンを代表とするピペラジン化合物、アナバシンを代表と
するアナバシン化合物、3,5−ジメチルピラゾールを代
表とするピラゾール化合物、テトラメチルグアニジンや
プリンを代表とするプリン化合物、ピラゾールを代表と
するピラゾール化合物、1,2,4−トリアゾールを代表と
するトリアゾール化合物などである。
もう一方の原料であるエポキシ化合物としてもすべて
の種類が対象たりうる。例を挙げれば1官能性化合物と
してはn−ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキシ
ド、フェニルグリシジルエーテル、2官能性化合物とし
てはビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェ
ノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグ
リシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、3
官能性化合物としてはトリグリシジルイソシアヌレー
ト、トリグリシジルパラアミノフェノール、4官能性化
合物としてはテトラグリシジルメタキシレンジアミン、
テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、それ以上の
官能基をもつ化合物としてはクレゾールノボラックポリ
グリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシ
ジルエーテルなどがある。ただし組み合わせるアミン化
合物の種類によって制約を受けることはアミン化合物に
ついて述べたと同様である。すなわち活性水素を1個し
かもたないアミン化合物についてはすべての種類のエポ
キシ化合物の組み合わせが可能であるが、2個以上の活
性水素をもつアミン化合物に組み合わせうるのは1官能
性のエポキシ化合物だけである。
エポキシ化合物は、生成する付加体の融点と溶融状態
での(硬化対象であるエポキシ樹脂に対する)相溶性を
考慮して選ばれる。硬化対象となるエポキシ樹脂として
は圧倒的な量がビスフェノールAジグリシジルエーテル
で占められているから、付加体原料としてのエポキシ化
合物としては、それに対する相溶性に優れかつコスト的
にも有利なこの化合物が一般的に用いられうる。エポキ
シ化合物において、エポキシ基の濃度はエポキシ当量で
表わされる。エポキシ当量が低くなるほどエポキシ基濃
度が高くなるが、付加体の3級アミノ基濃度を可及的に
低下させないために、高いエポキシ基濃度が望ましい。
したがってエポキシ化合物のエポキシ当量としては、で
きるかぎり小さいことが望まれる。通常は1,000以下、
好ましくは500以下のエポキシ化合物が用いられる。
アミン化合物/エポキシ化合物付加体の融点は、アミ
ン化合物とエポキシ樹脂の化学構造、ならびに付加の方
式、付加体の構造およびアミン化合物に対するエポキシ
樹脂の付加比率によって決定される。それらの適切な選
択により、目的に応じて低融点から高融点の付加体を合
成することが可能となる。融点が高くなるほど取り扱い
やすくなるが、反対に配合物の硬化反応開始温度が高く
なる。したがって硬化性からみれば融点は低いにこした
ことはないが、取り扱い性、とくに夏期における取り扱
いを考慮すると、最低50℃の融点を必要とする。
原料としてのアミン化合物とエポキシ化合物を溶解す
るが、その付加生成体は溶解せず粒子として沈殿させる
溶媒の選択は重要である。一般的にいって物質はその極
性が近似した溶媒に溶解する。溶媒の極性の高さは溶解
度パラメータ(単位:(cal./cm31/2)で表わされる
が、この表示方法にしたがって一般的な溶解範囲を示せ
ば、エポキシ化合物:8〜11、アミン化合物:8以上、アミ
ン化合物/エポキシ化合物付加体:11〜16となる。した
がって目的とする本発明の沈殿反応を実施するために
は、溶解度パラメーターが8〜11の溶媒が適当である。
本発明の実施に用いられる溶媒の例を挙げれば、メチル
イソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル
エチルケトン、アセトン、酢酸、n−ブチルアセテー
ト、イソブチルアセテート、メチルアセテート、メチル
アセテート、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、
セロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、
トルエン、p−キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、ク
ロロホルム、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ピ
リジンなどがある。単独あるいは2種以上の組み合わせ
で使用に供される。溶解度パラメーターが8〜11の範囲
外の溶媒であっても、2種以上の組み合わせで特定した
範囲内の溶解度パラメーターに調節して使用に供するこ
とも可能である。ただし適合する溶媒の正確な溶解度パ
ラメーターは当然アミン化合物とエポキシ化合物の化学
構造によって多少異なるので、個々の場合に応じて厳密
に選択することが肝要である。選択が厳密でないと、確
かに沈殿反応は円滑に進行したとしても、溶媒に対する
生成付加体の溶解度が高くて収率が低くなるということ
もありうる。
分散安定剤は沈殿反応において析出する付加体粒子を
安定に溶媒中に分散する。それが存在しないと、生成し
た付加体粒子が反応中に凝固して、目的とする球状粒子
が得られなくなる。この目的に供される分散安定剤とし
ては、生成した付加体と有機溶媒の両方に対してともに
高い親和性をもつ両親媒性の高分子化合物が適する。化
学構造的にはグラフト共重合体、ブロック共重合体、ラ
ンダム共重合体およびその他の重合体のいずれもが資格
用件をそなえている。グラフト共重合体の例を挙げれ
ば:スチレンをグラフト共重合したメチルメタクリレー
ト/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート/2−
ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、ポリ2−ヒ
ドロキシメタクリレート、ポリ2,3−ジヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、ポリアクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸
ビニル、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ
エチレンオキシドおよびポリ4−ビニル−エチルピリジ
ウムブロミド、メチルメタクリレートをグラフト共重合
したメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、グ
リシジルメタクリレート/スチレン共重合体およびメチ
ルメタクリレート/フルオロアルキルアクリレート共重
合体、メタクリル酸をグラフト共重合したポリブタジエ
ンおよびメチルメタクリレート/グリシジルメタクリレ
ート共重合体、N−メチロールアクリルアミドをグラフ
ト共重合したポリメチルメタクリレートおよび2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート共重合体、12−ヒドロキシ
ステアリン酸をグラフト共重合したポリメチルメタクリ
レート、エチルアクリレート/メタクリル酸共重合体、
メチルアクリレート/メタクリル酸共重合体およびスチ
レン/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートをグラフト共重合したポリメチルメタクリ
レートならびにエチレンオキシドをグラフト共重合した
ポリ塩化ビニルなどがある。ブロック共重合体の例を挙
げれば:ポリラウリルメタクリレート/ポリメタクリル
酸ブロック共重合体、ポリスチレン/ポリメタクリル酸
ブロック共重合体、ポリエチレンキシド/ポリスチレン
/ポリエチレンオキシドブロック共重合体およびポリ12
−ヒドロキシステアリン酸/ポリエチレングリコール/
ポリ12−ヒドロキシステアリン酸などがある。またラン
ダム共重合体の例を挙げれば:酢酸ビニル/ビニルアル
コール共重合体、酢酸ビニル/N−ビニルピロリドン共重
合体、N−ビニルピロリドン/メチルメタクリレートな
どがある。またその他の重合体の例としてはカチオン化
したアミン変性ポリエステルなどが挙げられる。分散安
定剤の分子量が高くなるほど安定化効果は増大するが、
限度をこえて分子量を高くすると、反対に凝集効果が次
第に強くなるので逆効果となる。したがって本発明の目
的に叶う分散安定剤の分子量としては1,000から200,00
0、好ましくは2,000から100,000の範囲が適する。分散
安定剤としては上述のように多種類のものが存在する
が、その効果は当然アミン化合物/エポキシ化合物の化
学構造によって異なる。実用的には試行錯誤的な選択を
必要とする。
選ばれた溶媒に選ばれたアミン化合物とエポキシ化合
物を溶解し、さらに選ばれた分散安定剤を溶解して、撹
拌しながら加熱すると、当初透明であった溶液は付加体
の生成に伴って不透明になる。反応の進行に伴って系の
不透明度はしだいに増し、分散液特有の白濁状を呈する
ようになる。適当なところで撹拌を止めて冷却すると、
反応は停止する。得られたアミン化合物/エポキシ化合
物付加体粒子分散液から粒子だけを濾別し、新しい溶媒
で粒子に付着した未反応原料を洗い落して乾燥すれば、
目的とする球状の硬化剤粒子が得られる。
この付加体粒子の生成反応において、重要なのは凝固
体が生成しない円滑な反応の進行と生成する粒子サイズ
の制御である。まず安定な反応であるが、これを支配す
るのは原料濃度、反応温度、分散安定剤濃度、撹拌条件
および反応率である。重要なのは分散安定剤であり、安
定な分散液を生成させるためには、添加量としては通
常、アミン化合物とエポキシ化合物の合計に対して5〜
40%、好ましくは10〜30%必要とする。十分な分散安定
剤が存在していても、反応温度と原料濃度が高くなると
凝固物が生成しやすくなる。したがって反応温度として
は通常、40〜90℃、好ましくは50〜70℃を用いる。また
原料濃度は、溶媒中で通常2〜40%、好ましくは5〜30
%とする。
凝固物の生成にはさらに撹拌条件と反応率が関係す
る。適当する撹拌速度は配合、反応条件および撹拌翼の
形状によってそれぞれ異なるので、一概に述べることは
できないが、速すぎる撹拌は凝固物の生成を促し、遅す
ぎる撹拌は球状粒子をうるのに適さない。個々の系に対
応して試行錯誤的な決定を必要とする。反応条件にもよ
るが、一般的に凝固物は反応率が高くなるにつれて生成
しやすくなる。傾向的にはさきに述べたように、反応温
度と原料濃度が高くなるほど、分散安定剤濃度が低いほ
ど、また生成させる付加体粒子のサイズが小さいほど低
い反応率で凝固物が生成し始める。条件をととのえるこ
とによって100%の反応率を望むことも不可能ではない
が、一般的にはそれ以下の反応率で反応を停止させたほ
うが効率的である。
アミン化合物とエポキシ化合物の比率は、アミン化合
物の活性水素濃度とエポキシ基濃度を当量比とするのが
基本であるが、反応率が100%に達しない系の場合にお
いてはかならずしも当量比にこだわる必要はない。なぜ
ならば反応系から回収された原料はそのまま再使用に供
することができるからである。濾液と洗浄液を合せ、そ
の中に含まれるアミン化合物、エポキシ化合物および分
散安定剤の濃度を正確に測定し、余剰の溶媒を取り除い
て当初の配合に対して不足する原料を充足すれば、最初
とほぼ同じ反応結果が得られる。したがって原料の回
収、再使用を前提とすれば、付加体の構造との関わりで
いずれかの原料を過剰に使用することも可能である。
生成する付加体粒子のサイズは原料の種類、反応条件
および分散安定剤の種類と添加量によって決定される。
これらの因子のうち決定的なのは分散安定剤の種類であ
る。例えば2−メチルイミダゾールとビスフェノールA
ジグリシジルエーテルとのメチルイソブチルケトン中で
の沈殿反応において、スチレンまたはメチルメタクリレ
ートをグラフト共重合したメチルアクリレートエーメタ
クリル酸共重合体分散剤はミクロンサイズの粒子径を与
えるのに対して、カチオン化したアミン変性ポリエステ
ルはサブミクロンの微粒子を与える。次に大きな影響を
及ぼすのは反応条件であり、一般的にいって原料濃度、
分散安定剤濃度、反応温度および反応率が高くなるほ
ど、また撹拌速度が遅くなるほど生成する粒子は大きく
なる。これらの因子に比べて原料の種類の影響は相対的
に小さい。以下比較例および実施例によりさらに詳細に
説明する。
比較例 1 温度計、還流冷却器およびステンレス鋼製プロペラー
型撹拌装置をそなえた内容積3,000mlの丸底三つ口フラ
スコに、キシレン600gと2−メチルイミダゾール300gを
仕込み、撹拌しながら120℃に加熱して、2−メチルイ
ミダゾール(2Mz)を完全に溶解させた。次いで撹拌を
つづけながら、300gのキシレンに680gのエポキシ当量18
6のビスフェノールAジグリシジルエーテル(油化シェ
ル株式会社製、エピコート828)を溶解した溶液を、温
度を120℃に保ちながら90分間にわたって添加した。生
成した付加体はキシレンに不溶のために、反応の進行に
伴って粘稠な飴状体として析出した。さらに2時間にわ
たって反応を続け、実施例4で述べるエポキシ基の分析
法により、反応率が98%以上に到達したことを確認して
から、温度を室温まで下げた。
撹拌を停止し、上層のキシレンを傾斜法で除去してか
ら、フラスコの内容物を、140℃に加熱し、残留キシレ
ンを10mmHgの減圧下で留去した。次いで溶融している付
加体を浅皿に流し込み、冷却して赤褐色の付加体塊を得
た。これをジェットミルで繰り返し粉砕し、最後に分級
してストークス径で2.9μmの粒子を得た。粒子形状を
第1図に電子顕微鏡写真で示す。
こうして従来法(粉砕法)で製造された2Mz/エポキシ
樹脂付加体硬化剤粒子をエピコート828に配合し、硬化
組成物としての性質を測定した。硬化組成物は以下の手
順で調整した:100重量部エピコート828に10重量部(10p
hr)の2Mz/エピコート828付加体粒子を加え、簡単に粗
練りしてから3本ロールミルで硬化剤粒子を完全に分散
させた。周知のように微細粒子は、乾燥状態では本来の
一次粒子が凝結して二次粒子を形成しているので、完全
な分散にはかなり大きな機械的摩砕を必要とする。分散
状態は3本ロールミルを通すたびにつぶゲージでチェッ
クした。120g/分の速度でロールミルを通したが、この
摩砕条件下で硬化剤粒子を完全に分散させるのに3回の
通過を必要とした。
調製した硬化組成物については、粘度と硬化速度の目
安としてのゲル化時間(ストロークキュア法による測
定)を測定した。また別に120℃で30分間キュアして硬
化体を作成し、耐熱性の目安としてのTg、引張特性およ
び耐水性(沸騰水に6時間浸漬したときの吸水性率)を
測定した。結果を表1に実施例と比較して表す。
実施例 1 温度計、還流冷却器およびガラス製半月型撹拌装置を
備えた内容積5,000mlの丸底三つ口フラスコに、2,750g
のメチルイソブチルケトン(MIBK)を仕込み、これに16
0gの2Mz(1.94当量)を加え、温度を60℃に上げて完全
に溶解した。次いで分散安定剤としてメチルメタクリレ
ートをグラフト共重合したメチルメタクリレート/メタ
クリル酸共重合体分散安定剤の30%MIBK溶液(東亜合成
株式会社製、GC−10M)425gを加えてから、エピコート8
28の50%MIBK溶液700g(1.88当量)を加えた。付加体原
料濃度:12.6%、全原料濃度:15.8%、付加体原料に対す
る分散安定剤添加量:25%。内容物を400rpmの速度で撹
拌しながら、60℃で8時間反応させた。当初透明な反応
系は次第に青味がかった半透明状を呈するようになる
が、反応終期においては乳白色不透明状に変化した。所
定時間の反応の後室温に冷却し、一昼夜放置して生成し
た粒子を沈殿させた。上澄液を傾斜法で除去してから、
粒子を濾過分離し、MIBKで十分に洗浄した。さらに40℃
で24時間真空乾燥して、268gの白色の硬化剤粒子を得
た。粒子径は反応終了直後のMIBK分散液について、大塚
電子製のレーザー粒子径解析装置、LPA3000/3100で測定
した。平均粒子径で2.5μmであった。
実施例4で述べる未反応原料の回収、再使用の実施例
で明らかにされるように、粒子生成に使用した分散安定
剤の一部は粒子に固定され、回収されない。一部はおそ
らくエポキシ基と反応して粒子に化学的に固定され、一
部は吸着固定されるのであろうが、実施例4における4
回の粒子生成実験についてその量を求めると、消費され
た付加体原料に対して、平均して40%である。この値を
ベースにすれば、本実施例で得られた268gの硬化剤粒子
のうち、生成した付加体は190g、固定された分散安定剤
は78gとなる。したがって反応率は37%、分散安定剤も
生成した粒子の原料と見なせば粒子収率は42%となる。
この実施例においては、反応率37%で反応を停止して
いるが、予備的にこれ以上反応を進めると凝固物が生成
することが確認されている。またここで使用された400r
pmという撹拌速度も予備実験で定められたものであり、
これ以上速い撹拌速度では反応率が37%に到達する以前
に凝固物が生成し、これ以下の速度では完全に球状の付
加体粒子が生成しないことが確認されている。
粒子の形状は電子顕微鏡写真で第2図に示すが、ほぼ
完全な球状である。表1にかさ密度をほぼ同じサイズの
従来法による破砕状粒子のそれと比較してあるが、球状
粒子はコンパクトな充填が可能となるため、かさ密度は
破砕状粒子のそれのほぼ2倍にも達している。このこと
はコンパクトな包装と輸送の便利さを約束する。
こうして製造された球状粒子硬化剤を、比較例で述べ
たとまったく同様にしてエピコート828に配合して硬化
組成物を調製した。ただし3本ロールミルによる硬化剤
粒子の分散は比較例の場合に比べてはるかに容易であ
り、比較例において必要とする3回通過に対してわずか
1回の通過で完全な分散状態が達成された。硬化組成物
の性質を表1に示す。
破砕状硬化剤粒子を配合した硬化組成物と比較して特
徴的な違いはその粘度に見られる。破砕状硬化剤粒子は
わずか10phrの配合でも、20℃で13,800cpsのエピコート
828の粘度を42,000cpsまで上昇させるのに対して、実施
例1の球状硬化剤粒子は27,000cpsまで上昇させるにし
かすぎない。ゲル化速度および貯蔵安定性にも違いが見
られる。本発明の硬化剤粒子は従来法の硬化剤粒子に比
べて、多少硬化速度は遅くなるが、貯蔵安定性は格段に
まさり、比較例1の1週間の安定貯蔵期間に対して8週
間と比較にならないほど長い。従来法の硬化剤粒子は化
学的に純粋であるのに対して、本発明の硬化剤粒子にお
いてはおそらくその界面に分散安定剤が固定され、その
はたらきで上述したような違いが生ずるのであろう。硬
化体の色、物理的性質および耐水性(吸水性)には格別
な違いは見られない。
分散安定剤の固定が貯蔵安定性の向上に寄与すること
は推測されるが、その見返りとして硬化性、ならびに硬
化体の物理的性質、耐熱性、耐水性の低下が懸念される
ところである。しかしこの実施例はそのような懸念を完
全に一掃する。
実施例 2 実施例1におけると同じ反応装置に、3,400gのMIBKを
仕込み、これに115gの2Mz(1.39当量)を加え、温度を5
0℃に上げて完全に溶解した。次いで分散安定剤として
メチルメタクリレートをグラフト共重合メチルメタクリ
レート/メタクリル酸共重合体分散安定剤の25gメチル
エチルケトン/酢酸ブチル溶液(東亜合成株式会社、GC
−10)146gを加えてから、エピコート828の50%MIBK溶
液500g(1.34当量)を加えた。付加体原料濃度:8.8%、
全原料濃度:9.7%、付加体原料に対する分散安定剤の添
加量:10.0%。これを撹拌下50℃で24時間反応させた。
反応終了後、実施例1と同様な手順で81gの白色乾燥硬
化剤粒子を得た。得られた粒子は完全に球状で、直径は
0.21μmであった。実施例1と同様の基準で計算する
と、反応率:16%、粒子収率:20%となる。
得られた硬化剤粒子は、サイズが小さくなった分かさ
密度が表1に示したように大幅に低下したが、エピコー
ト828に10phr配合しての硬化組成物の調製においては、
とくに分散性が低下するような傾向はうかがえず、1回
の3本ロールミル通過で完全な分散状態が得られた。
硬化組成物の諸性質を表1に比較例および他の実施例
と比較して示す。実施例1に比べると、粒子サイズが小
さくなったことにより、硬化組成物の粘度は上昇し、硬
化速度はかなり速くなる。その反面、硬化速度が速くな
った分だけ分貯蔵安定性が低下するが、比較例に比べれ
ば水準は格段に高い。また硬化体の性質にも硬化剤粒子
が小さくなった影響が見られる。硬化体の色は実施例1
と同じく赤褐色半透明であったが、耐熱性、引張り強さ
と伸びおよび耐水性はわずかではあるが改良される。
実施例 3 実施例1で述べた反応装置に、2,750gのMIBKを仕込
み、これに195gのN−メチルピラジン(NMPz)(1.94当
量)を加え、温度を60℃に上げて完全に溶解した。次い
で分散安定剤としてGC−10Mを425gを加えてから、エピ
コート828の50%MIBK溶液700g(1.88当量)を加えた。
付加体原料濃度:13.4%、全原料濃度:16.5%、付加体原
料に対する分散安定剤の添加量:23.4%。これを400rpm
の撹拌下、60℃で14時間反応させた。反応終了後、実施
例1におけると同様の手順で生成した球状硬化剤粒子を
回収し、白色乾燥粒子として得た。得られた粒子は174g
で、粒子径は0.55μm、かさ比重は0.26であった。実施
例1と同様の基準で計算すると、反応率:23%、粒子収
率:26%となる。
ここで得られた硬化剤粒子を比較例におけると同様に
して、エピコート828に10phr配合して硬化組成物を調製
した。分散性は実施例1および2と変わらず、1回の3
本ロールミル通過で完全な分散状態が得られた。硬化組
成物の諸性質を表1に比較例および他の実施例と比較し
て示す。2Mz/エピコート828付加体硬化剤に比べると、1
20℃における硬化速度は速く140℃における硬化速度は
遅い。他方貯蔵安定は2Mz/エピコート828付加体硬化剤
に比べてかなり優れている。
硬化体の性質を2Mz/エピコート828付加体硬化剤と比
較すると、もっとも大きな違いはその外観に見られる。
後者の赤褐色半透明と異なり、NMPz/エピコート828付加
体硬化剤粒子は淡黄色透明は硬化体を与えた。耐熱性、
引張り強さと伸びおよび吸水性には大きな違いは見られ
ないが、NMPz/エピコート828付加体硬化剤粒子のほうが
引張り強さにはやや劣るが伸びが大きく、多少耐熱性と
耐水性に劣る硬化体を与えた。
実施例 4 実施例1〜3においては、反応はいずれも50%以下の
低反応率で中断されている。工業的見地からすれば、当
然未反応原料の回収、再利用が望まれる。そのためには
回収された濾液中と洗浄液中における原料の濃度を正確
に定量して、不必要な溶媒を除去してから元の反応組成
に再調整し、それから第1回目の反応と同じ付加体粒子
が得られることが望ましい。それが可能ならば、その繰
り返しで無駄なく原料を付加体粒子に変換することがで
きる。その実施例を以下に示す。
実施例1で述べた反応装置に、2,750gのMIBKを仕込
み、これに160gの22Mzを加え、温度を60℃に上げて完全
に溶解した。次いで分散安定剤としてGC−10Mを425gを
加えてから、エピコート828の50%MIBK溶液70gを加え
た。付加体原料濃度:12.6%、全原料濃度:15.8%、付加
体原料に対する分散安定剤添加量:25%。これを400rpm
の撹拌下、60℃で8時間反応させた。反応終了後、実施
例1におけると同様の手順で生成した粒子を回収し、白
色乾燥粒子として得た。
粒子を取り出した後の濾液と洗浄液を合一して、それ
を含む2Mz、エピコート828および分散安定剤の濃度を測
定した。測定方法は以下の通りであった。エポキシ樹脂
共存下における2Mz濃度:試料液に氷酢酸とクリスタル
バイオレットを加えた後、0.1規定過塩素酸/酢酸溶液
で滴定して決定。2Mz共存下におけるエポキシ樹脂濃
度:塩酸でエポキシ基を開環し、余剰の塩酸を硝酸銀溶
液で電位差計的に滴定して決定。分散安定剤濃度:GPCに
より測定。標準ポリスチレンを内部標準とし、予め決定
してあった比例定数を使用して、ピーク面積比から決
定。測定結果は原料に対する回収率として表2に示して
ある。測定精度がかならずしも十分に高くないので、残
念ながら理論どうりの回収率が得られていない。しかし
後で述べるように、この程度の精度でも、実用上問題な
く使用に耐えうる。
合一された濾液と洗浄液は2,500gまで真空濃縮して、
第2回目の反応に供された。2Mz、エピコート828および
GC−10Mを追加して初回の配合に再調整し、同一条件で
6時間反応させた。この反応時間が初回と異なるのは反
応の経過が多少異なり、この反応時間で外観的に凝固物
発生の兆しが見られたためである。同じ操作で第3回
目、さらに第4回目の反応を行なった。結果を表2に総
括して示す。繰り返し反応が進むにつれて、反応経過に
は若干の違いが生ずるが、問題なくほぼ同じサイズの付
加体粒子が得られている。
表2において、エピコート828の回収率は常に2Mzのほ
ぼ80%にしか達していない。仕込量は2Mzの97%である
が、この相対回収率はそれをかなり下回っている。一方
分散安定剤の回収率は、粒子への固定がなければ、ほぼ
100%に到達しなければならないはずである。これらの
ことは明らかに、一部のエポキシ基の分散安定剤による
消費と、おそらくそれに起因する分散安定剤の粒子への
化学的固定を示唆している。その他は吸着による固定で
あろう。粒子に固定される分散安定剤の量を試算する
と、かなりのばらつきは見られるが、平均して生成した
付加体に対して40%に達する。
実施例1と同様にして得られた付加体粒子をエピコー
ト828に10phr配合して硬化組成物とした。その性質を表
2に示すが、硬化性と貯蔵安定性には大きな違いはみら
れない。以上の結果は、回収された未反応原料の回収は
問題なく再使用に供しうることを示している。
[発明の効果] 本発明の沈殿反応法によって、エポキシ樹脂用硬化剤
としてのアミン化合物/エポキシ化合物付加体粒子を、
従来的な粉砕法に比べて大幅に工程を省略して製造する
ことができる。しかも生成する粒子は硬化剤としての適
性に優れる球状であり、そのサイズは従来法では不可能
なサブミクロンにまでもいたる。これに加えて、分散安
定性の付与を目的として加えた両親媒性化合物に起因し
て、得られる硬化剤粒子の潜在硬化性は従来法のそれに
比べて格段に優れている。
球状形態は硬化剤自身またはそれを配合した硬化組成
物に対して、次のようなさまざまな利点を提供する。
a.かさ比重が大きい。この性質のために梱包容積が小さ
くなり、包装コストと輸送コストの低減に寄与する。
b.エポキシ樹脂への配合に際して分散が容易になる。こ
のために硬化組成物の製造工程が大きく簡略化される。
c.エポキシ樹脂への配合において配合物の粘度上昇が小
さい。比較的高い粘度のエポキシ樹脂の配合において粘
度上昇傾向の小さい配合原料は非常に好ましいことであ
り、配合設計の自由度を広げるのに大きく寄与する。
また微細な硬化剤粒子はそれを配合する硬化組成物に
対して、次のような利点を提供する。
d.硬化速度が速くなり、より均質な硬化構造を与える。
e.硬化組成物の適用範囲を拡大する。従来の大サイズ硬
化剤粒子配合硬化組成物では、細いスリットを通しての
注入に際して、往々にして硬化剤粒子が濾過されて硬化
組成物に硬化不良をもたらしたが、小サイズ硬化剤粒子
ではこのような懸念は一掃される。
最後に、改良された潜在硬化性は当然、 f.長い間安定に貯蔵可能な硬化組成物を与える。1成分
系硬化組成物において、硬化性を損なうことなく貯蔵可
能期間を延長することの重要性はことさら述べるまでも
ない。
本発明の球状硬化剤粒子は単独では潜在性のアニオン
重合型硬化剤としても機能するし、他の高温硬化性の重
付加型硬化剤、例えばジシアンジアミドや酸無水物と併
用されてはそれらの硬化温度を効果的に低下させる潜在
性の促進剤として有効にはたらく。この特性を生かして
本発明の球状硬化剤粒子は広い分野に1成分エポキシ樹
脂硬化組成物の提供を可能にする。例を挙げれば、構造
接着剤分野:車両組立用接着剤、光学機械組立用接着
剤、電子・電気機器組立用接着剤など、塗料分野:粉体
塗料、焼付け塗料など、電子分野:プリント配線基板ガ
ラスクロス含浸材、ICチップ封止材、導電性塗料、ソル
ダーレジスト、ダイボンディング用接着剤、プリント基
板接着剤、導電性接着剤など、電気分野:電気絶縁材
料、コイル含浸材、バッテリーケース接着剤、テープヘ
ッド接着剤など。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来的な粉砕法で製造されたアミン化合物/エ
ポキシ化合物付加体粒子の構造を示す電子顕微鏡写真で
ある。 第2図は本発明の方法で製造されたアミン化合物/エポ
キシ化合物付加体粒子の構造を示す電子顕微鏡写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭47−33200(JP,A) 特開 昭61−268721(JP,A) 特開 昭58−13623(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/50 C08G 59/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミン化合物とエポキシ化合物から合成さ
    れる固体付加体で、形状が球状のエポキシ樹脂用粉体硬
    化剤。
  2. 【請求項2】アミン化合物とエポキシ化合物とを分散剤
    の存在下において、そのアミン化合物およびそのエポキ
    シ化合物をともに溶解するが、両者から生成する付加体
    は溶解しない有機溶媒中で反応させて、請求項1記載の
    球状のエポキシ樹脂用粉体硬化剤を製造する方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の球状エポキシ樹脂用粉体硬
    化剤とエポキシ樹脂を主たる構成成分とする熱硬化性組
    成物。
  4. 【請求項4】エポキシ樹脂と高温硬化型硬化剤を主たる
    構成成分とし、これに請求項1記載の球状エポキシ樹脂
    用粉体硬化剤を促進剤として加えてなる熱硬化性組成
    物。
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