JP3090256U - 組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体 - Google Patents

組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体

Info

Publication number
JP3090256U
JP3090256U JP2002003077U JP2002003077U JP3090256U JP 3090256 U JP3090256 U JP 3090256U JP 2002003077 U JP2002003077 U JP 2002003077U JP 2002003077 U JP2002003077 U JP 2002003077U JP 3090256 U JP3090256 U JP 3090256U
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
medicine
room
solution
discharge port
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002003077U
Other languages
English (en)
Inventor
司 依田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Senju Pharmaceutical Co Ltd
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Senju Pharmaceutical Co Ltd
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Senju Pharmaceutical Co Ltd, Otsuka Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Senju Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2002003077U priority Critical patent/JP3090256U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3090256U publication Critical patent/JP3090256U/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 弱シール部の開封前に、排出部が開封した場
合であっても、混合前の薬剤が使用されるのを防止する
ことができる組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及び
その包装体を提供する。 【解決手段】 ガス非透過性材料で構成され薬剤を収納
可能な第1収納室9と、第1収納室9に収納された薬剤
を外部へ案内可能な排出用ポート11と、排出用ポート
11内に設けられ薬剤を収納可能な第2収納室11a
と、第1及び第2収納室9,11aを常時は閉じ、使用
時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部15と
を備え、第1収納室9に重炭酸イオンを含む薬液が封入
されるとともに、第2収納室11aにオキシグルタチオ
ン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含
む薬液又は固形剤が封入されていることを特徴とする眼
灌流・洗浄液の複室容器封入体。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、眼科手術時、或いは脳手術時の体内組織に対する灌流、洗浄に用い られる重炭酸イオン及びグルタチオン及び/又はデキストロースを含む液を用時 混合して調整するための各成分を、安定に収容した組織灌流・洗浄液の複室容器 封入体、及びこれを包装材に収容してなる組織灌流・洗浄液の複室容器包装体に 関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、眼灌流・洗浄液の複室容器包装体としては、例えば次のようなもの 、すなわち、薬剤を収納する2つの収納室を備えた複室容器と、pH指示薬を含 む溶液を含有するピンホール検知剤と、上記複室容器及びピンホール検知剤を収 容する包装材とを備えたものが知られている。
【0003】 複室容器は、ガス透過性プラスチックからなる2枚のフィルムを、周縁部を融 着して袋状に形成したものであり、各収納室には、オキシグルタチオン及びデキ ストロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液又は固形剤と、重炭酸イオン を含む薬液(以下、「重炭酸イオン液」という)とがそれぞれ封入されており、 これら収納室が弱シール部を介して連通可能に連結されている。弱シール部は、 いずれか一方の収納室内の圧力を高めることで開封可能となっており、弱シール 部を開封すると各収納室内の薬剤が混合される。混合後の薬剤は、一方の収納室 に設けられた排出口から排出可能となっている。
【0004】 複室容器を収納する包装材は、ガス非透過性プラスチックで袋状に構成されて おり、複室容器と包装材との間の空間が炭酸ガス雰囲気とされている。この構成 により、重炭素イオン液から発生する炭酸ガスが、大気中へ揮散するのを防止で きるとともに、重炭素イオン液のpH値を一定に保持することができる。また、 包装材の中にはピンホール検知剤が配置されている。この検知剤は、炭酸ガスを 吸収及び放出するによって起こる重炭酸イオン液のpH変化を色調変化として指 示することができる。そのため、包装材にピンホールが発生した場合に、炭酸ガ スの漏出を色調変化により指示することができる。
【0005】 上記複室容器を使用する際には、まず、複室容器を包装材から取り出した後、 弱シール部を開封する。これにより2つの収納室が連通し、薬剤が混合されて洗 浄液が生成される。そして、排出口に導管を連結し、導管を経た洗浄液を白内障 手術、硝子体手術、緑内障手術等における眼内及び眼外の灌流、洗浄等に使用す る。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記のような複室容器では、2つの薬剤が常時は隔離されて封入さ れているため、仕切り用封止部を開封していないときに、排出口を開封すると混 合前の薬剤のみが排出されるおそれがある。
【0007】 本考案は、上記問題を解決するためになされたものであり、弱シール部の開封 前に、排出口が開封した場合であっても、混合前の薬剤が使用されるのを防止す ることができる組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体を提供する ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体は、上記課題を解決するため になされたものであり、薬剤を収納可能なA室と、ガス非透過性材料で構成され 、前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、該排出用ポー ト内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、前記A室及びB室の少なくとも一方に 連結され、薬剤を収納可能なC室と、前記A室、B室及びC室の間を相互に常時 は閉じ、使用時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、前記A 室にオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含む 薬液又は固形剤が封入されるとともに、前記B室に重炭酸イオンを含む薬液が封 入され、前記C室に溶解液が封入されていることを特徴とする組織灌流・洗浄液 の複室容器封入体を提供するものである(第1考案)。
【0009】 また、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体は、ガス非透過性材料 で構成され、薬剤を収納可能なA室と、前記A室に収納された薬剤を外部へ案内 可能な排出用ポートと、該排出用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、 前記A室とB室との間を常時は閉じ、使用時は連通可能とするように仕切る仕切 り用封止部とを備え、前記A室に重炭酸イオンを含む薬液が封入されるとともに 、前記B室にオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1 種を含む薬液または固形剤が封入されていることを特徴とする組織灌流・洗浄液 の複室容器封入体を提供するものである(第2考案)。
【0010】 また、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体は、薬剤を収納可能な A室と、前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、該排出 用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、前記A室とB室との間を常時は 閉じ、使用時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、前記A室 にオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬 液が封入されるとともに、前記B室に重炭酸塩を含む固形剤が封入されているこ とを特徴とする組織灌流・洗浄液の複室容器封入体を提供するものである(第3 考案)。
【0011】 また、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体は、薬剤を収納可能な A室と、前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、該排出 用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、前記A室及びB室の少なくとも 一方に連結され、薬剤を収納可能なC室と、前記A室、B室及びC室の間を相互 に常時は閉じ、使用時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、 前記A室に重炭酸塩を含む固形剤が封入されるとともに、前記B室にオキシグル タチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液が封入され 、さらに前記C室に溶解液が封入されていることを特徴とする組織灌流・洗浄液 の複室容器封入体を提供するものである(第4考案)。
【0012】 また、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体は、薬剤を収納可能な A室と、前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、該排出 用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、前記A室とB室との間を常時は 閉じ、使用時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、前記A室 及びB室のいずれか一方に、溶解液が封入されるとともに、他方にオキシグルタ チオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含む固形剤と、重炭酸 塩を含む固形剤とが封入されていることを特徴とする組織灌流・洗浄液の複室容 器封入体を提供するものである(第5考案)。
【0013】 また、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体は、薬剤を収納可能な A室と、前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、該排出 用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、前記A室に連結され薬剤を収納 可能なC室と、前記A室、B室、及びC室の間を相互に常時は閉じ、使用時は連 通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、前記A室、B室、及びC室 に、溶解液と、オキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも 1種を含む固形剤と、及び重炭酸塩を含む固形剤とのいずれか一種が前記各室間 で種類を異ならせるように封入されていることを特徴とする組織灌流・洗浄液の 複室容器封入体を提供するものである(第6考案)。
【0014】 また、前記オキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1 種を含む薬液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なく とも1種を含むものとすることができる。
【0015】 また、前記オキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1 種を含む固形剤は、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1 種を含むものとすることができる。
【0016】 また、前記重炭酸イオンを含む薬液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイ オンから選ばれる少なくとも1種を含むものとすることができる。
【0017】 また、前記重炭酸イオンを含む薬液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイ オンから選ばれる少なくとも一種を含むものであり、かつクエン酸イオンを更に 含むものとすることができる。
【0018】 前記排出用ポートは薬剤の排出を規制する栓体を備え、該栓体に貫通させた導 管をさらに進入させることで、前記仕切り用封止部を開封可能となっており、前 記仕切り用封止部が開封した状態で、前記導管を介して混合後の薬剤が排出可能 となっているものとすることができる。
【0019】 また、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器包装体は、複数の薬剤が収納 された複室容器をガス非透過性材料からなる包装材で包装した包装体であって、 前記複室容器は、ガス透過性材料で構成され薬剤を収納可能なA室と、前記A室 に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、該排出用ポート内に設け られ薬剤を収納可能なB室と、前記A室とB室との間を常時は閉じ、使用時は連 通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、前記A室に重炭酸イオンを 含む薬液が封入されるとともに、前記B室にオキシグルタチオン及びデキストロ ースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液又は固形剤が封入されており、前記 複室容器と包装材との間の空間部は炭酸ガス雰囲気とされており、且つ該空間部 には前記包装材におけるピンホールの発生を検知するピンホール検知剤が配置さ れていることを特徴とする組織灌流・洗浄液の複室容器包装体を提供するもので ある(第8考案)。
【0020】 また、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器包装体は、複数の薬剤が収納 された複室容器をガス非透過性材料からなる包装材で包装した包装体であって、 前記複室容器は、薬剤を収納可能なA室と、ガス透過性材料で構成され、前記A 室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、該排出用ポート内に設 けられ薬剤を収納可能なB室と、前記A室及びB室の少なくとも一方に連結され 、薬剤を収納可能なC室と、前記A室、B室及びC室の間を相互に常時は閉じ、 使用時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、前記A室にオキ シグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液又は 固形剤が封入されるとともに、前記B室に重炭酸イオンを含む薬液が封入され、 さらに前記C室に溶解液が封入されており、前記複室容器と包装材との間の空間 部は炭酸ガス雰囲気とされており、且つ該空間部には前記包装材におけるピンホ ールの発生を検知するピンホール検知剤が配置されていることを特徴とする組織 灌流・洗浄液の複室容器包装体を提供するものである(第9考案)。
【0021】 前記オキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含 む薬液、又は前記重炭酸イオンを含む薬液の少なくとも1つは、カルシウムイオ ン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも1種を含むものとすることが できる。
【0022】 また、前記オキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1 種を含む固形剤は、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1 種を含むものとすることができる。
【0023】 また、前記重炭酸イオンを含む薬液は、カルシウムイオン及びマグネシウムイ オンから選ばれる少なくとも一種を含むものであり、かつクエン酸イオンを更に 含むものとすることができる。
【0024】 前記排出用ポートは薬剤の排出を規制する栓体を備え、該栓体に貫通させた導 管をさらに進入させることで、前記仕切り用封止部を開封可能となっており、前 記仕切り用封止部が開封した状態で、前記導管を介して混合後の薬剤が排出可能 となっているものとすることができる。
【0025】 さらに、上記各複室容器は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選 ばれる少なくとも1種、好ましくは両者を含む薬液(以下、「Ca/Mg液」と いう)、或いはカルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種、 好ましくは両者を含む固形剤(以下、「Ca/Mg固形剤」という)を封入した 室を更に有するものとすることができる。
【0026】 上記組織灌流・洗浄液用複室容器封入体及び包装体において、B室の容積は、 例えば、少なくとも20,30,40,50,60,70,80,90,100 mlとすることができる。
【0027】 また、上記組織灌流・洗浄液用複室容器封入体及び包装体において、仕切り用 封止部を開封することにより混合された薬剤は、眼灌流・洗浄液又は脳灌流・洗 浄液として使用することができる。
【0028】 さらに、上記封入体において使用される溶解液は、複室容器に収納した各固形 剤が、速やかに溶解し、眼組織への使用に際して無害である溶液であれば、いず れも有利に使用できる。溶解液として好適な例は、例えば、注射用水、生理食塩 水、注射用水に等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)及び/または緩 衝剤(酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素 ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウムなど)などを添加し た溶液が挙げられる。
【0029】
【考案の実施の形態】
以下、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体を眼 灌流・洗浄液の複室容器封入体、及び包装体に適用した場合の実施形態について 図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、複数の実施形態を通じて、 同一又は同種の部分には、同一符号を付して説明を省略することがある。
【0030】 以下の実施形態における眼灌流・洗浄液としては、オキシグルタチオン及びデ キストロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液(以下、「GSSG/GL U液」という。)又は固形剤(以下、「GSSG/GLU固形剤」という。)、 及び重炭酸イオンを含む薬液(以下、「重炭酸イオン液」という。)又は重炭酸 塩を含む固形剤(以下、「重炭酸固形剤」という。)から構成されるものを使用 する。さらに、所望によりCa/Mg液又はCa/Mg固形剤から構成されるも のを使用することができる。
【0031】 なお、本明細書においてイオン及び塩濃度の表示は、特に明記する場合を除い て、複室容器における各収納室の内容物を混合して調整される眼灌流・洗浄液の イオン及び塩濃度(無水物換算とする)を示すものとする。
【0032】 1.眼灌流・洗浄液の複室容器包装体 (実施形態1)[第8,9考案] まず、本考案に係る眼灌流・洗浄液の複室容器包装体の一実施形態について図 面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る眼灌流・洗浄液の複室容器包 装体を示す平面図である。
【0033】 図1に示すように、この眼灌流・洗浄液の複室容器包装体1は、GSSG/G LU液及び重炭酸イオン液が封入された複室容器3と、この複室容器3を収容す る包装材5と、包装材5におけるピンホールの発生を検知するピンホール検知剤 7とを備えている。
【0034】 この複室容器3は、2枚のフィルムの周縁部を熱融着して袋状に構成した第1 収納室(A室)9と、この第1収納室9の一端部に連結され、収納室9内の薬剤 を外部へ案内可能な排出用ポート11とを備えている。第1収納室9は、ガス透 過性プラスチックフィルムからなり、例えばポリエチレン、エチレン酢酸ビニル 共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、或いはこれらを適当な比率で配合 したもので構成することができる。第1収納室9において排出用ポート11とは 反対側の端部には、容器3を支柱等に吊り掛けるための吊掛孔10が形成されて いる。
【0035】 排出用ポート11は、保形性を有する硬質材料で円筒状に形成されている。排 出用ポート11の一端部は閉じており、これが第1収納室9の内部に入り込んで 熱融着により固着されている。また、他端部は、ゴム栓(栓体)13により封止 されている。この排出用ポート11を構成する硬質材料としては、例えばポリエ チレン、ポリプロピレン等の硬質プラスチックを挙げることができる。
【0036】 排出用ポート11の内部空間には、薬剤が収納可能な第2収納室(B室)11 aが設けられており、この第2収納室11aと第1収納室9とが封止部15によ り仕切られている。この封止部15は、常時は閉じ、使用時に開封するように構 成されている。封止部15は種々の構成をとることができるが、例えば、外部か らの力で外れたり、或いは破れることで第1収納室9と第2収納室11aとが連 通するように構成することができる。また、第1収納室9のフィルム面を熱融着 して弱シール部を構成するようにすることもできる。
【0037】 上記第1収納室9には、重炭酸イオン液が封入されるとともに、第2収納室1 1aには、GSSG/GLU液が封入されている。GSSG/GLU液及び重炭 酸イオン液の各液は、それぞれ、オキシグルタチオン及び/又はデキストロース 、及び重炭酸イオンを必須成分として、他にそれぞれ、カルシウムイオン及びマ グネシウムイオンから選ばれる少なくとも1種を含ませることができる。特に重 炭酸イオン液にカルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なくと も1種を含ませる場合には、沈殿防止のために更にクエン酸イオンを含ませる。 また、上記カルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも1 種は、上記GSSG/GLU液及び重炭酸イオン液とは別個に、Ca/Mg液と して調整して、例えば複室容器3に設けられる第3の収納室に封入することもで きる。
【0038】 これら各成分の組成は適宜決定することができる。即ち、各収納室封入成分を 混合した液が従来より汎用されているこの種の眼内灌流、洗浄液の組成と同様の もの又は之等を若干変更したものとすることができる。代表的な眼灌流・洗浄液 組成例としては、以下のものを例示することができる。すなわち、上記眼灌流・ 洗浄液は、1000ml当たりに下記許容範囲、より好ましくは下記好適範囲か ら選ばれる各成分を含有されるように調整される。
【0039】 成分 許容範囲(g) 好適範囲(g) オキシグルタチオン 0〜0.5 0〜0.3 デキストロース 0.4〜1.8 0.7〜1.65 炭酸水素ナトリウム 1.5〜2.5 1.9〜2.3 塩化カルシウム(無水物として) 0.09〜0.17 0.1〜0.15 塩化マグネシウム又は硫酸マグネシウム (いずれも無水物として) 0.07〜0.18 0.08〜0.16 また、クエン酸イオンを含ませる場合には、以下のようにするのが好ましい。
【0040】 成分 許容範囲(g) 好適範囲(g) オキシグルタチオン 0〜0.5 0〜0.3 デキストロース 0.4〜1.8 0.7〜1.65 炭酸水素ナトリウム 1.5〜2.5 1.9〜2.3 塩化カルシウム(無水物として) 0.09〜0.17 0.1〜0.15 塩化マグネシウム又は硫酸マグネシウム (いずれも無水物として) 0.07〜0.18 0.08〜0.16 クエン酸ナトリウム(無水物として) 0.4〜1.4 0.7〜1.1 また、GSSG/GLU液中には、塩化ナトリウムや塩化カリウム等を加えて ナトリウムイオン、カリウムイオン及び塩素イオン等を含ませるのがよい。之等 の配合量は、通常塩化ナトリウムでは約0.5〜0.9w/v%、好ましくは約0 .6〜0.8w/v%の範囲であるのがよく、塩化カリウムでは約0.02〜0. 05w/v%、好ましくは約0.025〜0.045w/v%の範囲であるのが望まし い。尚、上記ナトリウムイオン及びカリウムイオンは、重炭酸イオン液及びCa /Mg液中にも適宜加えることができる。
【0041】 重炭酸イオン液中に配合される重炭酸イオンを生ずる化合物は、炭酸水素ナト リウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、その他の炭酸水素塩のいず れでもよく、之等は水溶液形態で用いられる。また、例えば炭酸ナトリウム、炭 酸カリウム等の炭酸イオンを生じる炭酸塩水溶液は、之等を炭酸塩として添加し ても、調製される薬液のpH範囲では重炭酸イオンを生じるため、之等も上記重 炭酸イオンを生じる化合物として重炭酸イオン液に添加配合することができる。 之等各水溶液の重炭酸イオン濃度は、特に限定されるものではないが、通常15 〜50mM程度の範囲にあるのが普通であり、これは例えば炭酸水素ナトリウム 水溶液の場合、約0.1〜0.4w/v%の濃度に相当する。特に好ましい炭酸水 素ナトリウム水溶液の濃度範囲は、約0.16〜0.24w/v%である。
【0042】 GSSG/GLU液及び重炭酸イオン液に適宜添加配合でき、またCa/Mg 液を構成し得る、カルシウムイオンを生じる化合物及びマグネシウムイオンを生 じる化合物としては、例えばカルシウム及びマグネシウムの塩化物、硫酸塩等の この種眼灌流・洗浄液に慣用されるもののいずれであってもよい。
【0043】 重炭酸イオン液にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンと共に添加 配合されるクエン酸イオンは、得られる液中に共存する重炭酸イオンとカルシウ ムイオンやマグネシウムイオンとの反応によって炭酸カルシウムや炭酸マグネシ ウムの沈殿が生成するのを防止する作用を奏し得る。即ち、クエン酸イオンは、 カルシウムイオンやマグネシウムイオンとキレートを作り、之等カルシウムイオ ン等が炭酸イオンと直接結合するのを阻止する作用を奏する。かかる作用を奏し 得る化合物としては、例えばクエン酸ナトリウム等のクエン酸塩を例示できる。 その配合量は、通常クエン酸塩として約0.35〜2w/v%の範囲、より好まし くは約0.5〜1.2w/v%の範囲から選ばれるのがよい。
【0044】 重炭酸イオン液は、含有される重炭酸イオンの安定性を考慮して、通常、適当 なpH調整剤、例えば水酸化ナトリウム、塩酸等を用いてpHを約7.0〜9. 0、好ましくは約7.0〜8.5の範囲に調整されるのがよい。また、該液には 、更に緩衝作用を有する例えばリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウ ム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリ ウム等の緩衝剤を添加することもでき、これにより急激なpH変化を防止するこ とができる。かかる緩衝剤は、複室容器の各収納室内の薬液を混合したときに充 分な緩衝能を発揮できる濃度で用いられるのがよい。該濃度は、例えばリン酸水 素二ナトリウムを例にとれば、約0.03〜0.06w/v%、好ましくは約0. 035〜0.05w/v%の範囲から選ばれるのがよい。また、酢酸ナトリウムで は、約0.02〜0.06w/v%、好ましくは約0.03〜0.05w/v%の範囲 から選ばれるのがよい。
【0045】 一方、GSSG/GLU液は、該液中のオキシグルタチオン及び/又はデキス トロースを安定に保持するために、通常上記と同様のpH調整剤を用いてpH約 2.5〜6.5の範囲、好ましくは約3.0〜6.0の範囲に調整されるのがよ い。該液にも、上記と同様に、緩衝作用を有する酢酸ナトリウムや酢酸カリウム 等の緩衝剤を添加することができる。
【0046】 また、Ca/Mg液は、カルシウム及び/又はマグネシウムの沈殿の生成を確 実に防止するために、通常上記と同様のpH調整剤を用いてpH約3.5〜5. 5の範囲、好ましくは約4.0〜5.0の範囲に調整されるのが望ましい。該液 にも上記と同様に緩衝作用を有する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸二水 素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等の緩衝剤を添加することができる。
【0047】 GSSG/GLU液、重炭酸イオン液及びCa/Mg液には、更に例えばリン 酸イオン、銅、亜鉛等の微量金属のイオン等を含ませることもできる。
【0048】 また、本実施形態においては、上記GSSG/GLU液に代えて、GSSG/ GLU固形剤を利用することができる。また、上記Ca/Mg液に代えてCa/ Mg固形剤を利用することもできる。
【0049】 GSSG/GLU固形剤には、オキシグルタチオン及びデキストロースから選 ばれる少なくとも1種を必須成分として、更にカルシウム塩及びマグネシウム塩 から選ばれる少なくとも1種を含有させることができる。また、Ca/Mg固形 剤は、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種、好ましく は両者を用いて調整できる。かかるカルシウム塩及びマグネシウム塩としては、 この種眼灌流・洗浄液に慣用される通常のもののいずれでもよい。その例として はカルシウム及びマグネシウムの塩化物、硫酸塩等を例示できる。
【0050】 GSSG/GLU固形剤及びCa/Mg固形剤には、更に、塩化ナトリウム、 塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素 二カリウム、リン酸二水素カリウム等のナトリウム塩、カリウム塩、リン酸塩等 並びに銅、亜鉛等の微量金属の塩等を添加することができる。之等の添加量は、 之等を混合して得られる眼灌流・洗浄液中の之等イオン濃度が前述した範囲とな る量とすればよい。
【0051】 之等の固形剤は、その構成成分化合物を、通常入手される形態、例えば粉末形 態で単に混合して粉末形態に調整してもよく、各成分混合物を常法に従い賦形剤 とともに細粒、顆粒、錠剤等の形態に調整することもできる。また、各成分を水 その他の適当な溶媒に溶解した溶液を通常の方法に従い凍結乾燥して得られる凍 結乾燥粉末等の形態とすることもできる。
【0052】 上記複室容器を収容する包装材5は、ガス非透過性プラスチック材料で構成さ れている。ここにいう「ガス非透過性」とは、厳密にガスを透過しないという意 味ではなく、そのガス透過性が複室容器のそれよりも相対的に小さいことを意味 している。例えば上記複室容器3の第1収納室9と同一の材質でもその厚みが大 きい場合には、本実施形態にいうガス非透過性プラスチック包装材として利用す ることができる。かかる包装材としては、通常のもの、例えばポリエチレンテレ フタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアル コール(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化 ビニリデン(PVDC)、ナイロン等の材質のものや、之等の表面に更に酸化珪 素、酸化アルミニウム等の無機物を蒸着させたものや、之等各種材質の多層フィ ルム(ラミネートフィルム)からなるものを例示できる。なお、上記のように複 室容器3と包装材5とを、ガス透過性及びガス非透過性の関係とするための各材 料の酸素透過性の一例を挙げると、複室容器が100〜1000cc/m2・24hrs/1 atm、包装材が10cc/m2・24hrs/1atm以下となるように構成するのが好ましい。
【0053】 なお、包装材の形状及び大きさは、上記複室容器3を収容できることを前提と して特に制限されない。但し、次に説明するように、この収容後に複室容器3と の間を炭酸ガス雰囲気とすることのできる空間部が存在し得る形状及び大きさと されるのが好ましく、一般には、上記複室容器3の約1.2〜3倍容量程度の大 きさであるのが望ましい。
【0054】 上記のように複室容器3と包装材5との間の空間部19は炭酸ガス雰囲気とさ れており、これにより第1収納室9の炭酸ガスと平衡状態を形成する。したがっ て、収納室11内のpH値を一定に維持することができる。ここで、空間部19 を炭酸ガス雰囲気とするための手段としては、例えば、まず第1に炭酸ガスと空 気との混合ガスや炭酸ガスと窒素ガスとの混合ガス等の炭酸ガスを含有する混合 ガスを上記空間部19に封入する方法を採用できる。この方法において、用いら れる混合ガスの炭酸ガス濃度は、複室容器3に充填される眼灌流・洗浄液の種類 、特にその炭酸水素イオン濃度及びpHに応じて適宜決定される。例えば上記液 として炭酸水素ナトリウム2.1gを滅菌精製水に溶解させて全量を1リットル とした水溶液を選ぶ場合、該水溶液の炭酸水素イオン濃度は25mMであり且つ pHは8.2であり、この値を保持するためには、上記混合ガス雰囲気の炭酸ガ ス濃度を約0.5〜20%程度とするのがよい。
【0055】 本実施形態における重炭酸イオン液の炭酸水素イオン濃度及びpHは、一般に 15〜50mM程度及び7.0〜9.0程度であるから、上記空間部19の炭酸 ガス分圧は、通常約1mmHg〜250mmHgの範囲に調整されるのがよく、これに応 じて上記混合ガス中の炭酸ガスの含有比率を選択するのが好ましい。より詳しく は、製造後の重炭酸イオン液のpHが所定の範囲内にある場合には、空間部19 に封入する炭酸ガスは該薬液の炭酸ガス分圧にほぼ等しくなるようにすればよい 。
【0056】 また、空間部19を炭酸ガス雰囲気とするための他の手段としては、例えば上 記空間部19に存在する酸素ガスを吸収し、この吸収量に対して一定割合の容積 の炭酸ガスを放出する、炭酸ガス発生型脱酸素剤を、空間部19に封入する手段 を挙げることができる。この炭酸ガス発生型脱酸素剤としては、例えば三菱瓦斯 化学株式会社製「エージレスG」及び同「エージレスGM」や凸版印刷株式会社 製の鮮度保持剤Cタイプ等を例示することができる。之等は通常入手される形態 のままで空間部19に封入して用いることができる。
【0057】 本実施形態に従う、眼灌流・洗浄液のバッグへの充填、滅菌、包装材による包 装等は、通常の注射液の製造方法と同様にして容易に行なうことができる。
【0058】 また、複室容器3と包装体5との間の空間部19には、ピンホール検知剤7が 配置されている。 ピンホール検知剤7は、pH指示薬を含む水溶液又は有機溶 媒溶液を担体に保持させてなることを特徴としており、これを複室容器3と包装 材5との間の空間部19に配置することによって、ピンホール発生等による該空 間部19からの炭酸ガスの漏出を、色調変化によって指示することができる。
【0059】 該ピンホール検知剤7において用いられるpH指示薬としては、ピンホール検 知剤7の炭酸ガス吸収及び放出によって起こるpH変化を、色調変化として指示 できる各種の酸・塩基指示薬から選択することができる。該pH指示薬の色調は 、炭酸ガスが存在する場合には酸性色を有しており、該ガスが漏出した場合には 塩基性色に変化する。
【0060】 特に好ましい上記pH指示薬は、更に(1)変色域が狭いこと、(2)発色強度が大 きいこと、(3)変色の方向が適切であること(目立たない色から目立つ色へ)、( 4)衛生性に優れること(物質自体の安全性が高く、移行性がないこと)、(5)安 定性がよく、長期に亘って初期の変色能を保持すること等の性質を具備するもの から選択されるのがよい。
【0061】 上記pH指示薬の例としては、例えばm−クレゾールパープル、チモールブル ー、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、ブロモチモールブルー、フェノ ールレッド、ジブロムフェノールテトラブロム、メチルチモールブルー、アリザ リン、キシリトールオレンジ、ブロモフェノールレッド、コンゴーレッド、アリ ザリンスルホン酸ナトリウム等を例示できる。之等は1種を単独で用いることも でき、また必要に応じて2種以上を併用することもできる。之等の内では特にm −クレゾールパープル(pH7.4〜9.0で黄色から紫色に変色)、チモール ブルー&クレゾールレッド(pH8.3付近で黄色から紫色に変色)、フェノー ルフタレイン(pH8.3〜10.0で無色からピンク色に変色)、コンゴーレ ッド(pH3.0〜5.0で青色から赤色に変色)が好ましい。
【0062】 上記pH指示薬は、水溶液形態又は有機溶媒溶液形態で用いられる。ここで有 機溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、アセトン、之等の混合溶剤を 使用することができる。
【0063】 本実施形態に利用するピンホール検知剤7におけるpH指示薬が塩基性色に発 色するもの、即ちアルカリ域で変色するものの場合、該ピンホール検知剤7には 、更に塩基性化含物を含ませることができる。該塩基性化合物としては、例えば アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩 等が挙げられる。之等は含水塩でもよく、無水塩でもよい。より具体的には、水 酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、リン 酸水素二ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。之 等の中でも、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム及 び水酸化ナトリウムが好ましい。之等塩基性化合物は、その1種を単独で用いる ことができ、また2種以上を併用することもできる。その配合量は適当なpHに 調整できるものであればよく、通常得られるピンホール検知剤中に2w/w%程度 までで充分である。
【0064】 また、本実施形態に利用するピンホール検知剤7には、適宜保湿剤を添加配合 することができる。該保湿剤は、従来よりよく知られている各種のものでよい。 その例としては、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレング リコール等を1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。その配合量 は、特に限定されるものではないが、通常調製される溶液中に、10%(w/v% 、以下同じ)程度迄の濃度となる量とされるのがよい。この添加配合は、得られ るピンホール検知剤7の水分活性保持に有効である。
【0065】 本実施形態のピンホール検知剤7は、上記pH指示薬を含む水溶液又は有機溶 媒溶液を担体に保持させることにより調製される。ここで用いられる担体は、上 記水溶液又は有機溶媒溶液を含浸保持でき且つその中のpH指示薬及び塩基性化 合物、更に得られるピンホール検知剤7に吸収される炭酸ガスと反応しないもの であることを前提として、適宜選択することができる。より好ましくは、該担体 は、pH指示薬の変色の目視確認を妨げない淡色乃至白色又は白色に近い色であ り、pH指示薬のpH指示能を妨げない適度の吸湿性を有しているもの乃至保持 できるものであるのがよい。かかる担体としては、例えば濾紙、結晶セルロース 、珪藻土、タルク、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、エチルセ ルロース、ポリビニルアルコール、澱粉等が例示できる。
【0066】 該担体への上記水溶液又は有機溶媒溶液の保持は、常法に従い単に両者を接触 させることにより行ない得る。水溶液又は有機溶媒溶液の担体への保持量は、特 に限定されるものではないが、通常5〜70重量%程度の範囲から選ばれるのが 適当である。
【0067】 かくして、本実施形態に利用するピンホール検知剤7を得ることができる。該 ピンホール検知剤7を構成する各成分の割合(濃度)は、用いる各成分の種類や 得られる検知剤のpH等に応じて適宜決定され、特に制限されるものではないが 、通常、pH指示薬は0.001〜1.0%(重量%、以下同じ)程度の範囲、 塩基性化合物の水溶液又は有機溶媒溶液は1〜70%程度まで、保湿剤は0.1 〜10%程度の範囲、担体は約30〜95%の範囲から選択されるのが適当であ る。特に、得られるピンホール検知剤は、その水分含量が0.3%程度以上の範 囲であるのが好ましい。
【0068】 上記の如くして調製されるピンホール検知剤は、通常、殆ど流動性のないペー スト状乃至半固体状形態或いは粉末形態を含む固体状を有しており、それ故、そ のままの形態で、包装体1の空間部19に配置することができ、これによって、 迅速に所望のピンホール検知を行なうことができる。これに対して、例えば液状 形態のものでは、気密性の高いプラスチック製小袋等に封入して上記空間部19 に配置する必要があるが、かかる使用ではプラスチック製小袋の炭酸ガス透過性 に依存して、該小袋に封入された検知剤の炭酸ガス量変化が、空間部の炭酸ガス 量の変化よりかなり遅れて生じることとなり、速やかなピンホール検知はできな い不利がある。
【0069】 上記ピンホール検知剤7の空間部19への配置の例としては、例えば粉末状形 態のピンホール検知剤では、これを更に例えばプレス成形等によって適当な形状 に賦形し、得られる成型物を、そのまま上記空間部に配置する方法を例示できる 。また、ペースト状乃至半固体及び固体状のピンホール検知剤は、流動性がない ので、そのまま上記空間部に配置することができる。之等ペースト状形態等を有 するものは、更に例えば適当な孔をあけた小袋等(気密性を有しない)に収容し て空間部19に配置することもできる。かかる小袋は、該包装体の製造、移送時 等における落下、荷積みの際の圧迫等によって該小袋の破損等が起こっても、液 体とは異なって内容物がこぼれ出て製品を汚す危険はない。
【0070】 ピンホール検知剤7を、上記の如く適当な小袋に収容して利用する場合、該小 袋は、より好ましくは炭酸ガス透過性及び透明性の高いプラスチックフィルム製 等であるのがよい。その例としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン(外 側)とポリエチレン(内側)とのラミネートフィルム、ポリ−4−メチル−1− ペンテン(外側)とポリエチレン(内側)とのラミネートフィルム等を例示でき る。上記小袋の好ましい使用例としては、例えば上記フィルムに直径約50μm 以上の孔を1箇所以上あけたものを例示することができる。
【0071】 かかる小袋の大きさ、形状は、これにピンホール検知剤7が収容できればよく 、特に限定されない。通常、前記に例示した大きさのプラスチック製小袋の場合 を例にとれば、その大きさは、外寸縦約1〜5cm×横約1〜5cmの袋状形態であ ることができる。
【0072】 上記小袋へのピンホール検知剤7の収容は、常法に従って、例えば、縦型3方 シール機、縦型ピロー包装機、ロータリーパッカー等を用いて製袋し、これにピ ンホール検知剤成分を収容し、シールを連続して行なう方法によることができる 。
【0073】 尚、上記ピンホール検知剤7は、通常その色調変化が充分に目視確認できる鮮 明なものであるため、特に必要ではないが、その色調変化をより一層鮮明なもの とするため、適当な色素を適宜添加配合することもできる。例えば無色(白色基 材の利用によれば白色)から赤色に変色するフェノールフタレインを利用したピ ンホール検知剤では、これに青色系色素を添加することによって、青色から紫色 への変色としてピンホールを検知することができる。
【0074】 上記ピンホール検知剤7は、pH値の変化から炭酸ガスの漏出を検知し、これ によってピンホールが生じていることを検知するようにしているが、ピンホール 検知剤はこれ以外の種々の構成をとることができる。例えば、包装材5に流入す る酸素を検知することで、ピンホールの発生を検知することができる酸素検知剤 を用いることもできる。この酸素検知剤としては、例えば、三菱ガス化学社製の エージレスアイを例示できる。
【0075】 上記ピンホール検知剤7を包装体5の空間部19に配置するに当たっては、単 に複室容器3とピンホール検知剤とを一緒に、ガス非透過性プラスチック包装材 で二次包装することにより行うことができ、その配置位置は、ピンホール検知剤 が二次包装材による包装後にも外部から目視できる限り特に限定はない。かくし て、眼灌流・洗浄液の複室容器包装体を得ることができる。
【0076】 上記のように構成された包装体1を使用するには、包装材5を開封して複室容 器3を取り出した後、封止部15を開いて2つの収納室9,11aを連通させる 。これにより、GSSG/GLU液と重炭酸イオン液とが混合し、眼灌流・洗浄 液が生成される。続いて、吊掛孔10を支柱等の突起に引っ掛けて複室容器3を 吊り下げ、このとき下方に位置する排出用ポート11のゴム栓13に導管を刺入 して眼灌流・洗浄液を排出させる。
【0077】 ところで、上記の説明では、封止部15を開封した後に排出用ポート11に導 管16を刺入しているが、例えば、封止部15を開封する前に、ゴム栓13に導 管16を刺入した場合には、混合前の薬液が排出されることがある。これに対し て、本実施形態では、次のようにして混合前の薬液が使用されるのを防止するこ とができる。すなわち、導管16の先端には刺入針16aが設けられており、こ の刺入針16aの先端の孔16bから薬剤が排出されるようになっている。一方 、排出用ポート11の第2収納室11aには、GSSG/GLU液が封入されて いるが、第2収納室11a全体に封入されているのではなく、第2収納室11a 内の一部は空気で構成されている。したがって、例えば排出ポート11を下側に して容器3を吊り掛けると、図2(a)に示すように、第2収納室11aの上部 には空気の層が形成される。このとき、刺入針16aは第2収納室11aの奥端 付近まで進入されるため、刺入された刺入針16aの先端の孔16bは、この空 気の層の中に位置するように配置される。これにより、刺入針16を刺入しても 薬液は排出されず、使用者は正しい使用がされていないことを認識することがで きる。
【0078】 また、図2(b)に示すように、刺入針16aの先端面を平坦にし、この平坦 面に孔16bを形成するようにすると、薬液の排出がさらに防止される。すなわ ち、このようにすると、刺入針16aの先端が空気の層に位置しているときに、 孔16bが薬液の液面から離れるようになるため、薬液が孔16bに入りにくく なる。この場合、刺入針16aをゴム栓13に刺入しやすくするため、ゴム栓1 3に切り込み13a等を入れておくことが好ましい。
【0079】 一方、例えば、刺入針16aを充分に進入させておらず、刺入針16a先端が 第2収納室11aの薬液の中に位置した場合には、薬液が刺入針の孔16bから 外部へ排出されることもあるが、第2収納室11aの容積は小さいため、薬液が 継続して排出されず、これにより使用者は封止部15が開封されていないことを 認識することができる。すなわち、第2収納室11aの薬液は、短時間で導管1 6内に排出され、目的物(手術対象)に到達する前に導管16内に留まったり等 するため、使用者は複室容器が正しく使用されていないこと、つまり封止部15 が開封されていないことを視認することができる。
【0080】 また、第2収納室11aに封入されている薬剤が、固形剤である場合には、導 管16を刺入しても薬剤が排出されることがないため、これにより使用者は、正 しい使用がなされていないことを視認することができる。
【0081】 以上のような構成により、本実施形態の複室容器包装体1は、使用者に正しい 使用方法を喚起することができ、混合前の薬剤が使用されるのを防止することが できる。また、本実施形態では、複室容器に収納される薬剤の一つを排出用ポー ト11内に封入しているため、容器全体を小型化及び軽量化することができ、容 器の運搬等を容易に行うことができるという利点もある。
【0082】 本実施形態における複室容器3及び包装材5の容積は、複室容器3が包装材5 に収納できれば、特に限定されるものではないが、例えば、複室容器を200〜 500ml、包装材を300〜800mlとすることができる。また、複室容器 3において排出用ポート11を構成する材料の厚さは、例えばEVOH(エチレ ンビニルアルコール)、PEN(ポリエチレンナフタレード)を使用する場合、 2〜5mm程度にすることができ、第1収納室11は、例えばPE(ポリエチレ ン)、PP(ポリプロピレン)を使用する場合、200〜300μmとすること ができる。また、包装材5としては、多層構造のものを使用することができ、例 えばNY(ナイロン)/PET−Al23(アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタ ラート)/LLPDE(直鎖状低密度ポリエチレン)からなるものを使用する場 合、NYを20μm,PET−Al23を10μm,LLPDEを80μmとす ることができる。
【0083】 本実施形態では、第1収納室9に重炭酸イオン液を封入するとともに、第2収 納室11aにGSSG/GLU液を封入しているが、排出用ポート11がガス透 過性材料で構成される場合には、これらを入れ換えることもできる。この場合、 排出用ポート11の容積が小さいため、第2収納室11aに濃縮した重炭酸イオ ン液を封入するとともに、各薬剤を溶解する注射用水をさらに備えるのが好まし い。この注射用水は、図3に示すように、第1収納室9に上記と同一構成の仕切 り用封止部23を介して第3の収納室21を設け、この中に封入する。第3収納 室21は、第1収納室9と連通するようになっているが、第2収納室11aと直 接連通するように構成することもできる。
【0084】 なお、上記の例では、注射用水を使用しているが、これに限定されるものでは ない。すなわち、他の薬剤を速やかに溶解し、眼組織に対して無害のものであれ ばよく、例えば、生理食塩水、或いは注射用水に等張化剤や緩衝剤などを添加し た溶液を用いることができる。
【0085】 また、本実施形態では、GSSG/GLU液を使用しているが、その代わりに GSSG/GLU固形剤を使用することもできる。
【0086】 本実施形態では、眼灌流・洗浄液を生成するために重炭酸イオン液を使用する とともに、この薬液をガス透過性フィルムからなる第1収納室9に収納している 。そのため、炭酸ガスの漏出による支障を回避するためには、複室容器3を収容 する包装材5及び炭酸ガスの漏出を検知するピンホール検知剤7を使用する必要 がある。しかしながら、複室容器全体をガス非透過性材料で構成して炭酸ガスの 漏出を防止したり、或いは炭酸ガスが発生しない重炭酸固形剤を使用すると、上 記包装材5及びピンホール検知剤7は不要になる。以下の実施形態では、包装材 及びピンホール検知剤を使用しない眼灌流・洗浄液の複室容器封入体について説 明する。なお、以下の実施形態で使用するGSSG/GLU液、GSSG/GL U固形剤、及び重炭酸イオン液は、上記実施形態で説明したものと同様のものを 使用することができるため、詳しい説明は省略する。また、上記と同様にCa/ Mg液或いはCa/Mg固形剤も使用することができる。
【0087】 2.眼灌流・洗浄液の複室容器封入体 (実施形態2−1)[第1,2考案] 次に、本考案に係る眼灌流・洗浄液の複室容器封入体の第1の実施形態につい て図面を参照しつつ説明する。図4は、本実施形態に係る複室容器封入体の平面 図である。
【0088】 図4に示すように、本実施形態に係る複室容器封入体は、複室容器3及びその 内部に収納される薬剤とからなる。複室容器3は、上記包装体で使用した複室容 器とほぼ同様の構成であるが、次の点で相違している。すなわち、この複室容器 3は、非ガス透過性の材料で構成されており、重炭酸イオン液からの炭酸ガスの 漏出を防止している。このように非ガス透過性とするためには、上記した包装材 と同様に、容器を構成するフィルム或いはプラスチックの厚みを大きくしたり、 他のフィルムで覆って多層構造にすることで行うことができるが、酸素透過性が 例えば10cc/m2・24hrs/1atm以下である材料で構成するのが好ましい。
【0089】 第1収納室(A室)9には重炭酸イオン液が封入され、排出用ポート11内、 つまり第2収納室(B室)11aにはGSSG/GLU液或いはGSSG/GL U固形剤が封入されている。但し、上記包装体と同様に、これらを入れ換えて使 用することもできる。
【0090】 本実施形態の複室容器封入体3は、上記の包装体の場合と同様に、容積の小さ い排出用ポート11に一方の薬剤が封入されているため、封止部15の開封前に 導管を刺入しても混合前の薬剤が排出されるのを防止することができる。また、 たとえ排出されたとしても、少量であることから、目的物に到達する前に導管内 に留まったり等するため、これにより誤った使用方法であることを認識すること ができる。さらに、容器を小型化することができ、運搬が容易になる。
【0091】 また、複室容器3全体をガス非透過性の材料で構成しているため、炭酸ガスの 漏出を防止することができる。そのため、複室容器3を収容する包装材やピンホ ール検知剤を、炭酸ガス漏出による支障を回避するために設ける必要がない。
【0092】 本実施形態では、複室容器全体を非ガス透過性材料で構成しているが、必ずし もこのようにする必要はなく、炭酸ガスの漏出を防止できるように、少なくとも 重炭酸イオン液を封入する第1収納室9又は排出用ポート11が非ガス透過性材 料で構成されていればよい。
【0093】 なお、本実施形態では、第1収納室9に重炭酸イオン液が封入されるとともに 、第2収納室11aにGSSG/GLU液或いはGSSG/GLU固形剤を封入 しているが、これらを入れ換えることもできる。但し、この場合には、上記包装 体の場合と同様に、第1収納室11に重炭酸イオン液の濃縮液を封入するととも に、第1或いは第2収納室9,11aと連通可能な第3収納室(C室)を設け、 これに注射用水等の溶解液を封入することが好ましい。
【0094】 (実施形態2−2)[第3,4考案] 次に、本考案に係る眼灌流・洗浄液の複室容器封入体の第2の実施形態につい て説明する。本実施形態では、図4に示すような実施形態2−1と同様の複室容 器を使用するが、内部に封入する薬剤を次のようにしている。すなわち、排出用 ポート内、つまり第2収納室11a(B室)に、重炭酸イオン液に換えて重炭酸 固形剤を封入する。このように固形剤を使用するため、第1収納室9(A室)に は薬液、つまりGSSG/GLU液を封入する。
【0095】 上記構成によれば、重炭酸固形剤を使用するため、炭酸ガスが発生しない。そ のため、上記実施形態2−1と同様に包装材及びピンホール発生剤が不要になる 。また、炭酸ガスが発生しない固形剤を使用しているため、複室容器3をガス非 透過性材料で構成するのが不要になり、任意の材料を使用することができる。さ らに、排出用ポート11が、上記実施形態2−1と同様であるため、混合前の薬 剤が使用されるのを防止できるとともに、容器を小型化することが可能となる。
【0096】 なお、重炭酸固形剤とGSSG/GLU液とは、上記各実施形態と同様に、封 入する収納室を入れ換えることができる。この場合は、溶解用の注射用水等を封 入するための第3収納室(C室)を上記と同様に設けることが望ましい。
【0097】 (実施形態2−3)[第5,6考案] 次に、本考案に係る眼灌流・洗浄液の複室容器封入体の第3の実施形態につい て説明する。本実施形態では、図4に示すような実施形態2−2と同様の複室容 器を使用し、内部に封入する薬剤を、重炭酸固形剤、GSSG/GLU固形剤、 及び注射用水としている。
【0098】 上記薬剤は、注射用水を第1収納室(A室)、重炭酸固形剤とGSSG/GL U固形剤とを同一の収納室、つまり第2収納室11a(B室)に封入する。但し 、上記と同様に、収納室の入れ換えを行うことができる。
【0099】 封止部15を開封すると、重炭酸固形剤及びGSSG/GLU固形剤が注射用 水に溶解されて眼灌流・洗浄液が生成され、排出用ポート11から排出される。
【0100】 この実施形態によれば、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる 。つまり、炭酸ガスを排出しない重炭酸固形剤を使用しているため、包装材及び ピンホール検知剤が不要となる。また、容量の小さい排出用ポートに薬剤を封入 しているため、混合前の薬剤が使用されるのを防止することができる。また、炭 酸ガスが発生しない固形剤を使用しているため、複室容器3をガス非透過性材料 で構成する必要がなく、任意の材料を使用することができる。なお、本実施形態 では、重炭酸固形剤とGSSG/GLU固形剤とを溶解するために注射用水を使 用しているが、上記実施形態と同様に、これに限定されるものではない。すなわ ち、固形剤を速やかに溶解し、眼組織に対して無害のものであればよく、例えば 、生理食塩水、或いは注射用水に等張化剤や緩衝剤などを添加した溶液を用いる ことができる。
【0101】 また、本実施形態では、重炭酸固形剤とGSSG/GLU固形剤とを同一の収 納室11aに封入しているが、これらを別々に収納するようにしてもよい。例え ば、図5に示すように、第1収納室9と連通可能な第3収納室(C室)21を仕 切り用封止部23を介して設け、第1収納室9に重炭酸固形剤、第2収納室11 aにGSSG/GLU固形剤、第3収納室21に注射用水をそれぞれ封入しても よい。収納場所は、上記以外であっても、各薬剤が1つの収納室にそれぞれ封入 されるようにしていればよい。
【0102】 以上、本考案の実施形態を説明したが、本考案は上記実施形態に限定されるも のではなく、種々の変更が可能である。例えば、複室容器において、排出用ポー ト11の形状は、上記した円筒以外であっても薬剤を収納可能であれば、特に限 定されない。また、材質についても薬剤を収納可能であれば、特に限定されない 。
【0103】 また、薬液を排出する際に、次のようにすれば、効率的な排出が可能となる。 すなわち、図6(a)に示すように、各収納室9,11aを仕切る封止部15を 排出用ポート11の端部に設けると、ゴム栓13に刺入された刺入針16をその まま進入させることにより、封止部15を開封することができる。このとき、図 6(b)に示すように、封止部15において刺入針16が押圧する部分を、回り の部分より薄く形成したり、或いは図6(c)に示すように、刺入針16が押圧 する部分の周囲を薄く形成すると、開封がし易くなる。なお、封止部15の構成 は、これ以外にも、刺入針16の押圧により開封しやすいものであれば特に限定 されない。
【0104】 また、第1収納室9は、内部に薬剤を収納できるものであれば、その形状及び 材質とも特に限定されない。例えば、上記したフィルム以外の軟質材料でもよい し、硬質材料で構成することもできる。
【0105】 上記各実施形態では、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体及び包 装体を眼灌流・洗浄液の複室容器封入体及び包装体に適用した場合について説明 したが、この封入体及び包装体に収納される薬剤は、眼灌流・洗浄液として使用 する以外に、脳灌流・洗浄液として使用することもできる。すなわち、上記各実 施形態の封入体及び包装体は、そのまま脳手術における脳灌流・洗浄液を供給す るために使用することができる。
【0106】
【考案の効果】
以上の説明から明らかなように、本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封 入体、及びその包装体によれば、薬剤の一つが排出用ポートに収納されており、 このポートは使用時にのみ開封する仕切り用封止部によって薬剤が収納される室 と連通可能に仕切られている。ここで、例えば排出用ポートに固形剤が封入され ている場合には、仮に仕切り用封止部を開封する前に排出用ポートに導管を連結 しても、固形剤であることから、これが導管から排出されることはない。したが って、混合前の薬剤の排出を確実に防止することができる。
【0107】 また、排出用ポートに薬液が封入されている場合であっても、この部分の容積 が小さく、しかも収納される薬液が少量であることから、仮に仕切り用封止部を 開封する前に排出用ポートに導管を連結しても、薬液は目的物に到達する前にす べてポートから排出されて導管内に留まる等するため、これにより封止部が開封 されていないことを容易に視認することができる。したがって、封止部を開封し てから、排出用ポートを開封するという正しい使用方法を喚起することができる 。
【0108】 さらに、薬剤を収納する収納室の一つを排出用ポート内に設けているため、容 器の縮小及び軽量化を図ることができ、その結果、容器の運搬が容易になるとい う利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器包装
体の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す複室容器包装体の使用方法を示す図
である。
【図3】図1に示す複室容器包装体の他の例を示す平面
図である。
【図4】本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入
体の第1の実施形態を示す平面図である。
【図5】本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器封入
体の第3の実施形態の別の態様を示す平面図である。
【図6】本考案に係る組織灌流・洗浄液の複室容器包装
体及び封入体の排出用ポートの他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 眼灌流・洗浄液の複室容器包装体 3 複室容器 5 包装材 7 ピンホール検知剤 9 第1収納室(A室) 11 排出用ポート 11a 第2収納室(B室) 13 ゴム栓(栓体) 15,23 仕切り用封止部 21 第3収納室(C室)

Claims (19)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬剤を収納可能なA室と、 ガス非透過性材料で構成され、前記A室に収納された薬
    剤を外部へ案内可能な排出用ポートと、 該排出用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、 前記A室及びB室の少なくとも一方に連結され、薬剤を
    収納可能なC室と、 前記A室、B室及びC室の間を相互に常時は閉じ、使用
    時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備
    え、 前記A室にオキシグルタチオン及びデキストロースから
    選ばれる少なくとも1種を含む薬液又は固形剤が封入さ
    れるとともに、前記B室に重炭酸イオンを含む薬液が封
    入され、 前記C室に溶解液が封入されていることを特徴とする組
    織灌流・洗浄液の複室容器封入体。
  2. 【請求項2】 ガス非透過性材料で構成され、薬剤を収
    納可能なA室と、 前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポ
    ートと、 該排出用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、 前記A室とB室との間を常時は閉じ、使用時は連通可能
    とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、 前記A室に重炭酸イオンを含む薬液が封入されるととも
    に、前記B室にオキシグルタチオン及びデキストロース
    から選ばれる少なくとも1種を含む薬液または固形剤が
    封入されていることを特徴とする組織灌流・洗浄液の複
    室容器封入体。
  3. 【請求項3】 薬剤を収納可能なA室と、 前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポ
    ートと、 該排出用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、 前記A室とB室との間を常時は閉じ、使用時は連通可能
    とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、 前記A室にオキシグルタチオン及びデキストロースから
    選ばれる少なくとも1種を含む薬液が封入されるととも
    に、前記B室に重炭酸塩を含む固形剤が封入されている
    ことを特徴とする組織灌流・洗浄液の複室容器封入体。
  4. 【請求項4】 薬剤を収納可能なA室と、 前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポ
    ートと、 該排出用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、 前記A室及びB室の少なくとも一方に連結され、薬剤を
    収納可能なC室と、 前記A室、B室及びC室の間を相互に常時は閉じ、使用
    時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備
    え、 前記A室に重炭酸塩を含む固形剤が封入されるととも
    に、前記B室にオキシグルタチオン及びデキストロース
    から選ばれる少なくとも1種を含む薬液が封入され、さ
    らに前記C室に溶解液が封入されていることを特徴とす
    る組織灌流・洗浄液の複室容器封入体。
  5. 【請求項5】 薬剤を収納可能なA室と、 前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポ
    ートと、 該排出用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、 前記A室とB室との間を常時は閉じ、使用時は連通可能
    とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、 前記A室及びB室のいずれか一方に、溶解液が封入され
    るとともに、他方にオキシグルタチオン及びデキストロ
    ースから選ばれる少なくとも1種を含む固形剤と、重炭
    酸塩を含む固形剤とが封入されていることを特徴とする
    組織灌流・洗浄液の複室容器封入体。
  6. 【請求項6】 薬剤を収納可能なA室と、 前記A室に収納された薬剤を外部へ案内可能な排出用ポ
    ートと、 該排出用ポート内に設けられ薬剤を収納可能なB室と、 前記A室に連結され薬剤を収納可能なC室と、 前記A室、B室、及びC室の間を相互に常時は閉じ、使
    用時は連通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを
    備え、 前記A室、B室、及びC室に、溶解液と、オキシグルタ
    チオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種
    を含む固形剤と、及び重炭酸塩を含む固形剤とのいずれ
    か一種が前記各室間で種類を異ならせるように封入され
    ていることを特徴とする組織灌流・洗浄液の複室容器封
    入体。
  7. 【請求項7】 前記オキシグルタチオン及びデキストロ
    ースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液は、カルシ
    ウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なく
    とも1種を含むものであることを特徴とする請求項1か
    ら4のいずれかに記載の組織灌流・洗浄液の複室容器封
    入体。
  8. 【請求項8】 前記オキシグルタチオン及びデキストロ
    ースから選ばれる少なくとも1種を含む固形剤は、カル
    シウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1
    種を含むものであることを特徴とする請求項1,2,
    5,6のいずれかに記載の組織灌流・洗浄液の複室容器
    封入体。
  9. 【請求項9】 前記重炭酸イオンを含む薬液は、カルシ
    ウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なく
    とも1種を含むものであることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の組織灌流・洗浄液の複室容器封入体。
  10. 【請求項10】 前記重炭酸イオンを含む薬液は、カル
    シウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少な
    くとも一種を含むものであり、かつクエン酸イオンを更
    に含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の組織灌流・洗浄液の複室容器封入体。
  11. 【請求項11】 前記排出用ポートは薬剤の排出を規制
    する栓体を備え、該栓体に貫通させた導管をさらに進入
    させることで、前記仕切り用封止部を開封可能となって
    おり、 前記仕切り用封止部が開封した状態で、前記導管を介し
    て混合後の薬剤が排出可能となっていることを特徴とす
    る請求項1から10のいずれかに記載の組織灌流・洗浄
    液の複室容器封入体。
  12. 【請求項12】 前記仕切り用封止部を開封することに
    より混合された薬剤は、眼灌流・洗浄液又は脳灌流・洗
    浄液として使用されることを特徴とする請求項1から1
    1のいずれかに記載の組織灌流・洗浄液の複室容器封入
    体。
  13. 【請求項13】 複数の薬剤が収納された複室容器をガ
    ス非透過性材料からなる包装材で包装した包装体であっ
    て、 前記複室容器は、ガス透過性材料で構成され薬剤を収納
    可能なA室と、前記A室に収納された薬剤を外部へ案内
    可能な排出用ポートと、該排出用ポート内に設けられ薬
    剤を収納可能なB室と、前記A室とB室との間を常時は
    閉じ、使用時は連通可能とするように仕切る仕切り用封
    止部とを備え、前記A室に重炭酸イオンを含む薬液が封
    入されるとともに、前記B室にオキシグルタチオン及び
    デキストロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液
    又は固形剤が封入されており、 前記複室容器と包装材との間の空間部は炭酸ガス雰囲気
    とされており、且つ該空間部には前記包装材におけるピ
    ンホールの発生を検知するピンホール検知剤が配置され
    ていることを特徴とする組織灌流・洗浄液の複室容器包
    装体。
  14. 【請求項14】 複数の薬剤が収納された複室容器をガ
    ス非透過性材料からなる包装材で包装した包装体であっ
    て、 前記複室容器は、薬剤を収納可能なA室と、ガス透過性
    材料で構成され、前記A室に収納された薬剤を外部へ案
    内可能な排出用ポートと、該排出用ポート内に設けられ
    薬剤を収納可能なB室と、前記A室及びB室の少なくと
    も一方に連結され、薬剤を収納可能なC室と、前記A
    室、B室及びC室の間を相互に常時は閉じ、使用時は連
    通可能とするように仕切る仕切り用封止部とを備え、前
    記A室にオキシグルタチオン及びデキストロースから選
    ばれる少なくとも1種を含む薬液又は固形剤が封入され
    るとともに、前記B室に重炭酸イオンを含む薬液が封入
    され、さらに前記C室に溶解液が封入されており、 前記複室容器と包装材との間の空間部は炭酸ガス雰囲気
    とされており、且つ該空間部には前記包装材におけるピ
    ンホールの発生を検知するピンホール検知剤が配置され
    ていることを特徴とする組織灌流・洗浄液の複室容器包
    装体。
  15. 【請求項15】 前記オキシグルタチオン及びデキスト
    ロースから選ばれる少なくとも1種を含む薬液、及び前
    記重炭酸イオンを含む薬液の少なくとも1つは、カルシ
    ウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なく
    とも1種を含むものであることを特徴とする請求項13
    又は14に記載の組織灌流・洗浄液の複室容器包装体。
  16. 【請求項16】 前記オキシグルタチオン及びデキスト
    ロースから選ばれる少なくとも1種を含む固形剤は、カ
    ルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも
    1種を含むものであることを特徴とする請求項13又は
    14に記載の組織灌流・洗浄液の複室容器包装体。
  17. 【請求項17】 前記重炭酸イオンを含む薬液は、カル
    シウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少な
    くとも一種を含むものであり、かつクエン酸イオンを更
    に含むものであることを特徴とする請求項13又は14
    に記載の組織灌流・洗浄液の複室容器包装体。
  18. 【請求項18】 前記排出用ポートは薬剤の排出を規制
    する栓体を備え、該栓体に貫通させた導管をさらに進入
    させることで、前記仕切り用封止部を開封可能となって
    おり、 前記仕切り用封止部が開封した状態で、前記導管を介し
    て混合後の薬剤が排出可能となっていることを特徴とす
    る請求項13から17のいずれかに記載の組織灌流・洗
    浄液の複室容器包装体。
  19. 【請求項19】 前記仕切り用封止部を開封することに
    より混合された薬剤は、眼灌流・洗浄液又は脳灌流・洗
    浄液として使用されることを特徴とする請求項13から
    18のいずれかに記載の組織灌流・洗浄液の複室容器包
    装体。
JP2002003077U 2002-05-24 2002-05-24 組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体 Expired - Lifetime JP3090256U (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002003077U JP3090256U (ja) 2002-05-24 2002-05-24 組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002003077U JP3090256U (ja) 2002-05-24 2002-05-24 組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3090256U true JP3090256U (ja) 2002-11-29

Family

ID=43241484

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002003077U Expired - Lifetime JP3090256U (ja) 2002-05-24 2002-05-24 組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3090256U (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3879017B2 (ja) 重炭酸塩含有薬液容器包装体及びpHインジケーター
JP3060133U (ja) 眼灌流・洗浄液バッグ包装体
AU2004244877B2 (en) Aseptic combination preparation
JP3116118B2 (ja) 眼灌流・洗浄液バッグ包装体
JP2000281147A (ja) 眼灌流・洗浄液バッグ包装体
JP3090256U (ja) 組織灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体
JP2000288066A (ja) 眼灌流・洗浄液バッグ包装体
AU744248B2 (en) System for preserving and delivering gas-containing solutions
WO2004010918A1 (ja) 眼灌流・洗浄液収容容器包装体およびその製造方法
US20220203009A1 (en) Reservoir assembly for providing cardioplegic solution containing bicarbonate ion, and method for manufacturing the same
JP2003299712A (ja) 眼灌流・洗浄液の複室容器封入体、及びその包装体
JP2000279486A (ja) 薬剤入りプラスチック容器収納体及びピンホール検知剤
JP4161153B2 (ja) pH指示薬を含有する医薬組成物及びその収容体
JP2000308669A (ja) 重炭酸塩含有薬液容器包装体
JP3733583B2 (ja) 重炭酸塩含有薬液充填容器包装体
KR20030029460A (ko) 복실용기제제
JP7375276B2 (ja) 重炭酸リンゲル液の輸液バッグの包装袋
JPH11262514A (ja) 重炭酸塩含有薬液容器包装体及び炭酸ガス分圧コントロール剤
JPH11139461A (ja) 容器包装体
CA2484240C (en) Packaged ocular irrigating solution bag
JP2005034639A (ja) 眼灌流液収容体
JP2000126273A (ja) 眼灌流・洗浄液バッグ
JPH06339512A (ja) 炭酸ガス発生型脱酸素剤の新規な用途
WO2005000190A1 (ja) 眼灌流液収容体
JP2001106626A (ja) 眼灌流・洗浄液及びその沈殿防止方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080911

Year of fee payment: 6