JP2000279486A - 薬剤入りプラスチック容器収納体及びピンホール検知剤 - Google Patents

薬剤入りプラスチック容器収納体及びピンホール検知剤

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JP2000279486A
JP2000279486A JP11273570A JP27357099A JP2000279486A JP 2000279486 A JP2000279486 A JP 2000279486A JP 11273570 A JP11273570 A JP 11273570A JP 27357099 A JP27357099 A JP 27357099A JP 2000279486 A JP2000279486 A JP 2000279486A
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pinhole
pinhole detecting
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Hidekatsu Shoji
英克 庄司
Minoru Oka
実 岡
Hiroshi Honda
浩 本田
Kohei Yuyama
恒平 湯山
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薬剤入りプラスチック容器収納体の包装材にピ
ンホールが発生してガスバリア性が低下する際、これを
色調変化により目視確認可能とするピンホール検知剤及
びこれを配置した上記収納体を提供。 【解決手段】薬剤入りプラスチック容器をガスバリア性
包装材で包装した収納体であって、上記容器と包装材と
の空間部を炭酸ガスを含むガス雰囲気とし且つ該空間部
にpH指示薬を含む水溶液又は有機溶媒溶液を担体に含
浸保持させてなるピンホール検知剤を配置したことを特
徴とする薬剤入りプラスチック容器収納体及びこれに用
いられるピンホール検知剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬液入りプラスチ
ック容器をガスバリア性包装材で包装した収納体のため
のピンホール検知剤及びこれを利用した上記収納体、よ
り詳しくは、上記収納体の包装材にピンホールが発生し
てガスバリア性が消失乃至低下した際に、これを色調変
化により収納体外部から容易に目視確認可能とするピン
ホール検知剤及びこれを利用した上記収納体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、炭酸水素ナトリウム等の炭酸
水素塩を含有する薬液は、例えばアシドーシスの是正等
の目的で医薬品分野乃至治療分野において広く用いられ
ている。かかる薬液は、専らガラス製アンプルやバイア
ルに充填した形で市販されていた。
【0003】一方、これまで輪液に用いられるプラスチ
ック容器は、ガスバリア性が低く、これに上記炭酸水素
塩含有薬液を充填して放置すると、薬液から発生する炭
酸ガスが容易に容器外に漏出(揮散、放出)し、次第に
薬液中の炭酸水素イオン含量が低下し、それに伴って薬
液pHが上昇し、惹いては薬液自体の効果を消滅させる
等の重大な問題点があった。そのため、かかる炭酸水素
塩含有薬液を充填したプラスチック容器はこれまで実用
化されていなかった。
【0004】最近、ガスバリア性の高い包装材で上記プ
ラスチック容器を包装し、且つ該包装材と容器との空間
部を炭酸ガスで置換して炭酸水素イオンの安定性を向上
させる方法が開示された(例えば特開平5−49675
号公報、特開平5−261141号公報、特開平6−1
05905号公報等参照)。
【0005】しかしながら、このようなガスバリア性包
装材を利用しても、製造中、移送中等の衝撃や接触によ
り包装材にピンホール等が発生する場合はしばしば認め
られ、かかる包装材のガスバリア性消失乃至低下によれ
ば、次第にプラスチック容器内より炭酸ガスが漏出し、
薬液中の炭酸水素イオン含量が低下し、それに伴い薬液
pHが上昇し、惹いては薬液自体の品質が低下乃至劣化
し、失効する弊害は避けられないものであった。
【0006】上記弊害、殊に包装材のピンホール発生
は、容易に確認できず、そのため、品質が劣化したり失
効した薬液が誤って使用される危険性は回避できず、か
かる薬液の使用は、単に期待した治療効果が得られない
のみならず、pHの高い薬液を投与することによる副作
用の発現等を惹起する懸念があり、従って、上記の如き
薬液入りプラスチック容器収納体では、その利用時に上
記ピンホール発生等について十分なチェックを行なう必
要があった。
【0007】また、最近上記チェックを行なう必要のな
い、重炭酸塩含有薬液入りプラスチック容器収納体とし
て、容器と包装材との空間部を炭酸ガスで置換すると共
に、該空間部に脱酸素剤と酸素検知剤とを収容して、包
装材のガスバリア性の低下を酸素検知剤によって確認す
る方法、即ち該空間部からの炭酸ガスの漏出に代わっ
て、該空間部に侵入してくる酸素を検知して確認する方
法が提案されている(例えば特開平8−164185号
公報参照)。
【0008】しかしながら、この方法は、上記空間部に
侵入する酸素を検知する方法であって、該空間部からの
炭酸ガスの漏出を直接検知するものではない。そのた
め、予め該空間部を実質的に酸素の存在しないガス雰囲
気とする必要があった。また、この方法では脱酸素剤と
酸素検知剤との併用が必須である不利もあった。
【0009】重炭酸塩含有薬液に限らず、酸素により変
質する薬液等の薬剤の収納においても、薬剤の変質防止
のために、薬剤入り容器を包装材で包装する、いわゆる
二重包装技術が知られている。かかる包装技術の場合
も、容器と包装材との空間部を脱酸素状態にする工夫が
開発されている(特開平5−237162号公報参
照)。しかるに、かかる技術においても、ピンホール発
生に対する対処は、考えられておらず、実際には前記し
た酸素検知剤等を封入せざるを得ないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記した従来の薬剤入りプラスチック容器収納体に
おいて、特にピンホール発生等によって生じる容器と包
装材との空間部からの炭酸ガスの漏出を直接検知するこ
とができる手段及びこれを備えた上記収納体を提供する
ことにある。
【0011】本願人は、上記目的より鋭意研究を重ねる
過程において、以前に、密閉空間内では液中の炭酸水素
イオン濃度と発生する炭酸ガス量とが平衡関係にあるこ
とを利用して、炭酸水素イオンを含有する液とpH指示
薬とを混合したpHインジケーターを上記薬剤入りプラ
スチック容器収納体の空間部に配置するときには、包装
材にピンホールが生じて炭酸ガスが漏出すると、上記平
衡関係が崩れて、インジケーター液中の炭酸水素イオン
濃度が低下し、これに伴って該液のpHが上昇し、この
液pHの上昇がpH指示薬の色調変化としてとらえられ
ることを見出し、かかるpHインジケータ及びこれを利
用した重炭酸塩含有容器包装体に係わる発明を完成した
(WO97/48365号参照)。
【0012】この発明に係わるpHインジケーターは、
重炭酸塩含有薬液と同一の重炭酸塩水溶液を利用したこ
とに基づいて、そのpH変化を色調変化として確認すれ
ば、間接的に重炭酸塩含有薬液自体のpH変化を確認す
ることとなり、この点で、薬液のpH変化をよく反映す
るものとして有用なものであった。
【0013】しかるに、上記pHインジケーターは、こ
れが重炭酸塩含有薬液と同様に液体状とされていたた
め、実際の使用に当たっては、これを気密性の高いプラ
スチック製小袋等に充填封入して用いる必要があり、こ
れに伴われる以下の欠点を有するものであった。
【0014】即ち、かかるプラスチック製小袋等は、上
記液体を封入することができる気密性を有する必要があ
る反面、インジケーター自体の機能を充分に発揮し得る
ために炭酸ガス透過性を有する必要があり、かかる要件
を満たすプラスチック製小袋等の使用によれば、その中
に封入されたpHインジケーターのpH変化は、容器と
包装材との空間部の炭酸ガス濃度の変化にかなり遅れる
こととなり、ピンホール発生を速やかに検知することは
できないものであった。
【0015】しかも、上記炭酸ガス透過性プラスチック
製小袋に封入された液状形態のpHインジケーターの利
用は、該小袋自体のピンホール発生や、該インジケータ
ーを利用した包装体製品の製造、移送時等における落
下、荷積みの際の圧迫等による該小袋の破損等によっ
て、所望のpH指示効果が失われたり、内溶液がこぼれ
出して製品を汚す危険があった。また、該インジケータ
ーは、重炭酸水溶液を必須とするため、その保存には炭
酸ガスが抜けないようにガスバリアー性の容器に保管す
る必要があった。
【0016】上記pHインジケーターに見られる課題を
も解決するために、更に鋭意研究を重ねた結果、本発明
者は、pH指示薬を含む水溶液又は有機溶媒溶液を担体
に含浸保持させた保持体が、薬剤入りプラスチック容器
収納体の空間部にこれを配置することによって、ピンホ
ール発生等による包装材のガスバリアー性低下を速やか
に目視確認(検知)可能とし、しかも、収納された薬剤
や製品の汚染等のおそれのない、ピンホール検知剤とし
て有用であることを見出した。更に該検知剤は炭酸ガス
の揮散防止のためにガスバリアー性の容器に炭酸ガス雰
囲気下で保管する等の煩わしさのないものであるとの知
見を得た。またこの保持体が、重炭酸含有薬液に限ら
ず、酸素により変質するおそれのある薬剤等を収容した
容器の収納体に対しても同様にピンホール検知剤として
利用できることをも見出した。本発明は、これらの知見
に基づいて完成されたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、薬剤入
りプラスチック容器をガスバリア性包装材で包装した収
納体であって、上記容器と包装材との空間部を炭酸ガス
を含むガス雰囲気とし且つ該空間部にpH指示薬を含む
水溶液又は有機溶媒溶液を担体に含浸保持させてなるピ
ンホール検知剤を配置したことを特徴とする薬剤入りプ
ラスチック容器収納体が提供される。
【0018】また、本発明によれば、薬剤が、炭酸水素
ナトリウム水溶液である上記容器収納体;ピンホール検
知剤が、更に保湿剤を含むものである上記容器収納体;
ピンホール検知剤が、更に塩基性化合物を含むものであ
る上記容器収納体;及び担体が、濾紙、結晶セルロー
ス、珪藻土、タルク、モンモリロナイト、ベントナイ
ト、カオリナイト、エチルセルロース及び澱粉から選ば
れるものである上記容器収納体が提供される。
【0019】更に、本発明によれば、pH指示薬を含む
水溶液又は有機溶媒溶液を担体に含浸保持させてなるこ
とを特徴とする、上記薬剤入りプラスチック容器収納体
のためのピンホール検知剤が提供される。
【0020】加えて、本発明によれば、更に保湿剤を含
むものである上記ピンホール検知剤;更に塩基性化合物
を含むものである上記ピンホール検知剤;及び担体が、
濾紙、結晶セルロース、珪藻土、タルク、モンモリロナ
イト、ベントナイト、カオリナイト、エチルセルロース
及び澱粉から選ばれるものである上記ピンホール検知剤
が提供される。
【0021】本発明薬剤入りプラスチック容器収納体
は、上記特定のピンホール検知剤を利用したことに基づ
いて、該収納体を構成する包装材のガスバリアー性の低
下、例えばピンホール発生等が、該ピンホール検知剤の
色調変化によって目視確認できるので、収納した薬剤の
変質、特に重炭酸塩含有薬液では炭酸水素イオン含量の
低下とそれに伴うpHの上昇した薬液の誤用を未然に防
止することができる。
【0022】しかも、上記ピンホール検知剤は、pH指
示薬を含む水溶液又は有機溶媒溶液を担体に含浸保持さ
せた形態を有することに基づいて、該担体自体、液状形
態とは異なって、流動性を実質的に有しておらず、従っ
て、袋等の容器に封入して用いられる必要はなく、その
ままの形態でも利用することができ、それ故、上記袋等
の容器による炭酸ガス透過の遅延のおそれはなく、速や
かに炭酸ガスの漏出を検知することができる。
【0023】また本発明に係わるピンホール検知剤は、
それ自体、簡単な操作で容易に製造でき、何ら特殊な薬
剤等を含まず、その製造に特別の装置等をも要さず、更
に保管しやすい利点もある。
【0024】更に、本発明に係わる上記ピンホール検知
剤は、先に開発したpHインジケーターとは異なって、
重炭酸塩含有薬液以外の薬剤、例えば酸素により変質す
る薬剤等の容器収納体に対しても利用できるものであ
り、この点からも非常に価値あるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明薬剤入りプラスチッ
ク容器収納体につき詳述する。
【0026】本発明を適用可能な薬剤には、酸素と接触
して変質するおそれのある薬剤や、炭酸ガスの放出によ
って品質が劣化したり薬効が失われる薬剤等が包含され
る。その例としては、各種輸液剤や注射剤、例えばトリ
プトファンを含む高濃度アミノ酸輸液剤、脂肪乳剤、抗
生物質製剤等を例示できる。特に、本発明における上記
薬剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム
等の重炭酸塩や炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸
塩を含有するものが好ましい。かかる薬剤は、例えば人
工腎臓用透析液、解毒剤液、輸液、腹膜透析液、歯科用
根管拡大剤、人工髄液、臓器保存剤、眼内灌流液、心臓
灌流液、心筋保護液、腹腔洗浄液等としてよく知られて
いる。該薬剤における炭酸水素イオン濃度は、特に限定
されるものではないが、通常約0.01〜1Mの範囲に
あるのが普通である。
【0027】代表的な一つの重炭酸塩含有薬液は、下記
組成範囲の電解質イオン及び還元糖を含有しており、他
にリン酸イオンや銅、亜鉛等の微量金属イオンを含んで
いることがある。 ナトリウムイオン 120〜170mEq/l カリウムイオン 0〜10mEq/l カルシウムイオン 2〜5mEq/l マグネシウムイオン 0〜3mEq/l 塩素イオン 100〜150mEq/l 重炭酸イオン 15〜40mEq/l 還元糖 0〜10w/v% 上記薬剤を収容するプラスチック容器としては、従来よ
り例えば医療用に用いられている各種プラスチック製の
容器のいずれでもよい。該プラスチックの例としては、
例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル
等を例示できる。該容器の形状、大きさ等は、これに収
容される薬剤の種類等に応じて適宜決定でき特に限定さ
れるものではない。通常一般には長方形や円筒形である
のが普通であり、その内容量は20ml程度から3l程
度の範囲が汎用されており、本発明でもかかる形状、大
きさを採用するのが好ましい。
【0028】上記容器は、また連通可能な隔壁を有する
少なくとも2室からなる公知のプラスチック製バッグで
あることもできる。その例としては、例えば特公昭63
−20550号公報、実公昭63−17474号公報、
特開昭63−309263号公報、特開平2−4671
号公報等に記載のものを例示することができる。
【0029】ガスバリア性包装材としては、この種包装
に従来より用いられることのよく知られている各種のガ
スバリア性を有する包装材がいずれも利用できる。その
具体例としては、例えば延伸ビニロン(OV)、エチレ
ンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニル
アルコール(PVA)等の材質のものやこれらの多層フ
ィルムからなるものを例示することができる。尚、該包
装材のガスバリア性は、厳密にガスを透過しないという
ものである必要はなく、そのガスバリア性が上記薬剤容
器のそれよりも大きいものであればよく、これは上記薬
剤容器と同一の材質でもその厚みが大きい場合には、本
発明にいうガスバリア性包装材として利用できる。特に
本発明において上記包装材は、本発明に係わるピンホー
ル検知剤の変色が外部より目視確認できる程度の透明性
を有するのが望ましい。
【0030】之等包装材の形状、大きさ等は上記薬剤入
りプラスチック容器を収容できることを前提として特に
制限されるものではなく、この収容後に容器との間を炭
酸ガスを含むガス雰囲気とすることができる充分な空間
部を有する形状、大きさであればよい。一般には、上記
プラスチック容器の約1.2〜3倍容量程度の大きさで
あるのが望ましい。
【0031】上記容器と包装材との空間部を炭酸ガス雰
囲気とするための手段としては、例えばまず第1に炭酸
ガスと空気との混合ガスや炭酸ガスと窒素ガスとの混合
ガス等の炭酸ガスを含有する混合ガスを上記空間部に封
入する方法が採用できる。この方法において、用いられ
る混合ガスの炭酸ガス濃度は、プラスチック容器に充填
される薬剤の種類等に応じて適宜決定される。例えば上
記薬剤として炭酸水素ナトリウム70gを注射用水に溶
解させて全量を1lとした水溶液を選ぶ場合、該水溶液
の炭酸水素イオン濃度は833mMであり且つpHは
8.2であり、この値を保持するためには、上記混合ガ
ス雰囲気の炭酸ガス濃度を約40%程度とするのがよ
い。
【0032】本発明において薬剤として重炭酸塩含有薬
液を利用する場合、その炭酸水素イオン濃度及びpH
は、一般に0.01〜1M程度及び6.5〜8.6程度
であるため、上記空間部の炭酸ガス分圧は、通常約1mm
Hg〜760mmHgの範囲に調整されるのがよく、これに応
じて上記混合ガス中の炭酸ガスの含有比率を選択するの
が好ましい。より詳しくは、製造後の薬液のpHが所定
の範囲内にある場合には、空間部に封入する炭酸ガスは
薬液の炭酸ガス分圧にほぼ等しくなるようにすればよ
い。尚、上記重炭酸塩含有薬液は、その炭酸水素イオン
の分解によって炭酸ガスを放出するものであるため、該
薬液の炭酸水素イオン濃度を薬液本来の適性値よりも予
め高い所定の濃度に設定しておく場合には、上記空間部
に炭酸ガス含有ガスを封入せずとも、該空間部を所望の
炭酸ガス雰囲気とすることができる。
【0033】次いで、上記容器と包装材との空間部を炭
酸ガス雰囲気とするための他の手段としては、例えば上
記空間部に存在する酸素ガスを吸収してこれに対して一
定割合の容積の炭酸ガスを放出する、炭酸ガス発生型酸
素吸収剤を上記空間部に封入する手段を挙げることがで
きる。この炭酸ガス発生型酸素吸収剤としては、例えば
三菱瓦斯化学株式会社製「エージレスG」及び同「エー
ジレスGM」や凸版印刷株式会社製の鮮度保持剤Cタイ
プ等を例示することができる。
【0034】本発明に従う、薬剤の容器への充填、滅
菌、包装材による包装、空間部を炭酸ガス雰囲気とする
手段等は、通常の注射液の製造等に慣用される各種手段
に従うことができる。
【0035】本発明は、上記の如くして調製される薬剤
入りプラスチック容器包装体の空間部に、更に、特定の
ピンホール検知剤を配置することをその必須の要件とし
ており、本発明はかかるピンホール検知剤をも提供する
ものである。
【0036】上記本発明ピンホール検知剤は、pH指示
薬を含む水溶液又は有機溶媒溶液を担体に含浸保持させ
てなることを特徴としており、これは本発明薬剤入りプ
ラスチック容器収納体の容器と包装材との空間部にこれ
を配置して利用することによって、該空間部からの炭酸
ガスの漏出を色調変化によって指示することができる。
【0037】該ピンホール検知剤において用いられるp
H指示薬としては、炭酸ガスの存在の変化(吸収、放
出)によって起こる本発明検知剤のpH変化を、色調変
化として指示できる各種の酸・塩基指示薬から選択する
ことができる。該pH指示薬の色調は、炭酸ガスが存在
する場合には酸性色を有しており、該ガスが漏出した場
合には塩基性色に変化する。
【0038】上記pH指示薬の例としては、例えばm−
クレゾールパープル、チモールブルー、クレゾールレッ
ド、フェノールフタレイン、ブロモチモールブルー、フ
ェノールレッド、ジブロムフェノールテトラブロム、メ
チルチモールブルー、アリザリン、キシリトールオレン
ジ、ブロモフェノールレッド、コンゴーレッド、アリザ
リンスルホン酸ナトリウム、ニュートラルレッド、アウ
リン、α−ナフトールフタレイン、オレンジI等を例示
できる。之等は1種を単独で用いることもでき、また必
要に応じて2種以上を併用することもできる。之等の内
では特にm−クレゾールパープル(pH7.4〜9.0
で黄色から紫色に変色)、チモールブルー&クレゾール
レッド(pH8.3付近で黄色から紫色に変色)、フェ
ノールフタレイン(pH8.3〜10.0で無色から赤
色に変色)、コンゴーレッド(pH3.0〜5.0で青
色から赤色に変色)が好ましい。
【0039】上記pH指示薬は、水溶液形態又は有機溶
媒溶液形態で用いられる。ここで有機溶媒としては、例
えばエタノール、メタノール、アセトン、之等の混合溶
剤を使用することができる。特に本発明薬剤入りプラス
チック容器収納体に収容される薬剤が重炭酸塩含有薬剤
等のアルカリ性の薬剤の場合、上記ピンホール検知剤に
利用されるpH指示薬は、アルカリ域で変色するもの
(塩基性色に発色するもの)から選択されるのが望まし
く、上記溶媒も例えば塩基性化合物を水に溶かした液等
のアルカリ性を呈するものであるのが望ましい。従っ
て、本発明ピンホール検知剤には、かかるpH指示薬を
塩基性色に発色させるための、塩基性化含物を含ませる
ことができる。該塩基性化合物としては、例えばアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸
水素塩、リン酸塩等が挙げられる。之等は含水塩でもよ
く、無水塩でもよい。より具体的には、ホウ酸ナトリウ
ム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水
酸化バリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。之
等の中でも、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリ
ウム及び水酸化ナトリウムは好ましい。之等塩基性化合
物は、その1種を単独で用いることができ、また2種以
上を併用することもできる。
【0040】本発明ピンホール検知剤には、また適宜保
湿剤を添加配合することができる。該保湿剤は、従来よ
りよく知られている各種のものでよい。その例として
は、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール等を1種単独で又は2種以上混合し
て用いることができる。その配合量は、特に限定される
ものではないが、通常調製される溶液中に、10%(w
/v%、以下同じ)程度迄の濃度となる量とされるのが
よい。この保湿剤の添加配合は、得られるピンホール検
知剤の水分活性保持に有効である。
【0041】本発明ピンホール検知剤は、上記pH指示
薬を含む水溶液又は有機溶媒溶液を担体に含浸保持させ
ることにより調製される。ここで用いられる担体は、上
記水溶液又は有機溶媒溶液を含浸保持でき且つその中の
pH指示薬及び塩基性化合物、更に得られるピンホール
検知剤に吸収される炭酸ガスと反応しないものであるこ
とを前提として、適宜選択することができる。より好ま
しくは、該担体は、pH指示薬の変色の目視確認を妨げ
ない淡色乃至白色又は白色に近い色であり、pH指示薬
のpH指示能を妨げない適度の吸湿性を有しているもの
乃至保持できるものであるのがよい。かかる担体として
は、例えば濾紙、結晶セルロース、珪藻土、タルク、モ
ンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、エチル
セルロース、ポリビニルアルコール、澱粉等が例示でき
る。
【0042】該担体への上記水溶液又は有機溶媒溶液の
含浸保持は、常法に従い単に両者を接触させることによ
り行ない得る。水溶液又は有機溶媒溶液の担体への含浸
保持量は、特に限定されるものではないが、通常5〜3
0重量%程度の範囲から選ばれるのが適当である。
【0043】かくして、本発明ピンホール検知剤を得る
ことができる。該ピンホール検知剤を構成する各成分の
割合(濃度)は、用いる各成分の種類や得られる検知剤
のpH等に応じて適宜決定され、特に制限されるもので
はないが、通常、pH指示薬は0.001〜1%(重量
%、以下同じ)程度の範囲、塩基性化合物の水溶液又は
有機溶媒溶液は1〜70%程度まで、保湿剤は0.1〜
10%程度の範囲、担体は3〜95%の範囲から選択さ
れるのが適当である。特に、得られるピンホール検知剤
は、その水分含量が0.3%程度以上の範囲であるのが
好ましい。
【0044】上記の如くして調製される本発明ピンホー
ル検知剤は、通常、殆ど流動性のないペースト状乃至半
固体状形態或いは粉末形態を含む固体状を有しており、
それ故、本発明者らが先に開発したpHインジケーター
とは異なって、そのままの形態で、即ちプラスチック製
小容器等に封入せずとも本発明薬剤入りプラスチック容
器収納体の空間部に配置することができ、これによっ
て、非常に迅速に所望のピンホール検知を行なうことが
できる。即ち、粉末状のものは、粉末がバラバラになら
ないように適当な小袋に入れたり、プレス成形等によっ
て適当な形状に成形して、本発明薬剤入りプラスチック
容器の空間部に配置することができる。また、ペースト
状乃至半固体状形態を有するものも、流動性がないの
で、そのまま上記空間部に収容することができる。之等
ペースト状形態等を有するものは、また、これらを例え
ば適当な孔をあけた小袋等に収容して本発明収納体の空
間部に配置することもできる。勿論、かかる小袋は、本
発明製品の製造、移送時等における落下、荷積みの際の
圧迫等によって該小袋の破損等が起こっても、液体とは
異なって内容物がこぼれ出て製品を汚す危険もない。
【0045】本発明ピンホール検知剤を、上記の如く適
当な小袋に収容して利用する場合、該小袋は、より好ま
しくは炭酸ガス透過性及び透明性の高いプラスチックフ
ィルム製等であるのがよい。その例としては、例えばポ
リエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ポリエチレ
ンテレフタレート等のプラスチックフィルム及び之等の
ラミネートフィルム、例えばポリプロピレン(外側)と
ポリエチレン(内側)とのラミネートフィルム、ポリ−
4−メチル−1−ペンテン(外側)とポリエチレン(内
側)とのラミネートフィルム等を例示できる。上記小袋
の好ましい使用例としては、例えば上記フィルムに直径
約50μm以上の孔を1ヶ所以上あけたものを例示する
ことができる。
【0046】かかる小袋の大きさ、形状は、これに本発
明ピンホール検知剤が収容できればよく、特に限定され
ない。通常、前記に例示した大きさのプラスチック容器
の場合を例にとれば、その大きさは、外寸縦約1〜5c
m×横約1〜5cm袋状形態であることができる。
【0047】上記小袋への本発明ピンホール検知剤の収
容は、常法に従って、例えば、縦型3方シール機、縦型
ピロー包装機、ロータリーパッカー等を用いて、製袋
し、これにピンホール検知剤成分を収容し、シールを連
続して行なう方法によることができる。
【0048】尚、本発明ピンホール検知剤は、通常その
色調変化が充分に目視確認できる鮮明なものであるた
め、特に必須ではないが、その色調変化をより一層鮮明
なものとするため、適当な色素を適宜添加配合すること
もできる。例えば無色(白色基材の利用によれば白色)
から赤色に変色するフェノールフタレインを利用したピ
ンホール検知剤では、これに青色系色素を添加すること
によって、青色から紫色への変色としてピンホールを検
出することができる。
【0049】本発明ピンホール検知剤を薬剤入りプラス
チック容器収納体の空間部に配置するに当たっては、単
に薬剤容器と本発明ピンホール検知剤とを一緒に、ガス
バリア性包装材で二次包装することにより行うことがで
き、その配置位置は、ピンホール検知剤が二次包装材に
よる包装後にも外部から目視できる限り特に限定はな
い。かくして、本発明所期の薬剤入りプラスチック容器
収納体を得ることができる。
【0050】本発明収納体の好ましい一実施態様は、添
付図面(図1)に示す通りである。これは薬液(内容
液、1)を封入したプラスチック容器2と、該容器を二
次包装する包装材3と、上記容器2と包装材3との空間
部に配置された本発明ピンホール検知剤4(図では小袋
に収容した形態を例示している)とからなり、且つ該空
間部は炭酸ガス含有雰囲気とされている。
【0051】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、ピ
ンホール検知剤の製造例を挙げ、次いで本発明薬剤入り
プラスチック容器収納体の実施例を挙げる。
【0052】
【製造例1】m−クレゾールパープル20mgに0.0
8%炭酸ナトリウム水溶液を加えて溶解し、グリセリン
10gを加えて100mLとした。この液0.06mL
を東洋濾紙1650(10mm×10mm)に含浸さ
せ、得られる含浸紙を三方シール機を用いて低密度ポリ
エチレン(厚さ:45μm、大きさ:15mm×15m
m)で包装して、本発明ピンホール検知剤を製造した。
【0053】
【製造例2】フェノールフタレイン20mgに0.08
%水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶解し、グリセリン
10gを加えて100mLとした。この液0.06mL
を東洋濾紙1650(10mm×10mm)に含浸さ
せ、得られる含浸紙を三方シール機を用いて低密度ポリ
エチレン(厚さ:45μm、大きさ:15mm×15m
m)で包装して、小袋入り形態の本発明ピンホール検知
剤を製造した。
【0054】
【製造例3】チモールブルー25mg及びクレゾールレ
ッド15mgの混合物に0.08%水酸化ナトリウム水
溶液を加えて溶解し、グリセリン10gを加えて100
mLとした。この液0.06mLを東洋濾紙1650
(10mm×10mm)に含浸させ、得られる含浸紙を
三方シール機を用いて低密度ポリエチレン(厚さ:45
μm、大きさ:15mm×15mm)で包装して、小袋
入り形態の本発明ピンホール検知剤を製造した。
【0055】
【製造例4】m−クレゾールパープル2mgに0.27
%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて溶解し、グリセリ
ン10gを加えて100mLとした。この液0.06m
Lを東洋濾紙1650(10mm×10mm)に含浸さ
せ、得られる含浸紙を三方シール機を用いて低密度ポリ
エチレン(厚さ:45μm、大きさ:15mm×15m
m)で包装して、小袋入り形態の本発明ピンホール検知
剤を製造した。
【0056】
【製造例5】コンゴーレッド20mgに水を加えて溶解
して100mLとした。この液0.06mLを東洋濾紙
1650(10mm×10mm)に含浸させ、得られる
含浸紙を三方シール機を用いて、有孔低密度ポリエチレ
ン(厚さ:45μm、大きさ:15mm×15mm、注
射針(27G、テルモ社、ネオラス)で直径約200μ
mの孔を任意に10ヶ所あけたもの)で包装して、有孔
小袋入り形態の本発明ピンホール検知剤とした。
【0057】
【製造例6】m−クレゾールパープル20mgに0.3
%炭酸ナトリウム水溶液を加えて溶解し、100mLと
した。この液5mLを結晶セルロース20gに含浸さ
せ、得られる含浸物を打錠機により打錠して、錠剤形態
(1錠0.5g)の本発明ピンホール検知剤を製造し
た。
【0058】
【製造例7】m−クレゾールパープル20mgにグリセ
リン10及び0.3%炭酸ナトリウム水溶液を加えて溶
解し、100mLとした。この液10mLにPVA水溶
液(PVA:熱水=2g:50mL)を加えて攪拌し、
そこに徐々に四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)飽和水溶液
60mLを攪拌しながら加えてゲル体を調製した。得ら
れたゲル体1gを三方シール機により低密度ポリエチレ
ン(厚さ:45μm、大きさ:15mm×15mm)で
包装して、本発明ピンホール検知剤を製造した。
【0059】
【実施例1】pH8.30に調製した7%炭酸水素ナト
リウム注射液を無菌的に充填した低密度ポリエチレン
(宇部興産B−128H)製20mLプラスチックアン
プル(平均厚み:0.6mm)を、製造例1で得たピン
ホール検知剤と共に、ポリプロピレン(200μm)/
エチレン−ビニルアルコール共重合体(100μm)/
ポリプロピレン(200μm)の積層シートから成形し
た底材とPET(12μm)/ポリビニルアルコール
(14μm)/特殊ポリプロピレン(40μm)のラミ
ネートフィルムである蓋材とからなるブリスター包装中
に、炭酸ガス50%及び空気50%の混合ガスで置換し
て封入(空間容量30mL)して、本発明薬剤入りプラ
スチック容器収納体を得た。
【0060】ピンホール検知剤は、製造当初紫色であっ
たが、50分後には黄色(正常色)になった。
【0061】上記で製造した本発明収納体製品の二次包
装材(ブリスター包装材)に、注射針(27G、テルモ
社、ネオラス)でピンホール(長径約500μm、短径
約50μm)をあけて、ピンホール検知剤の変色を観察
した。その結果、8時間後、検知剤は紫色となり、この
ときの二次包装内の炭酸ガス率は1.0%であり、薬液
のpHは8.40であった。
【0062】尚、日本薬局方炭酸水素ナトリウム注射液
のpH規格(純度試験)は7.9〜8.6である。
【0063】
【実施例2】pH8.3に調製した7%炭酸水素ナトリ
ウム注射液を、低密度ポリエチレン(宇部興産B‐12
8H)製20mLプラスチックアンプル(平均厚み:
0.6mm)に無菌的に充填し、これと共に製造例2で
得たピンホール検知剤を、ポリプロピレン(200μ
m)/エチレン−ビニルアルコール共重合体(100μ
m)/ポリプロピレン(200μm)の積層シートから
成形した底材とPET(12μm)/ポリビニルアルコ
ール(14μm)/特殊ポリプロピレン(40μm)の
ラミネートフィルムである蓋材とからなるブリスター包
装中に、炭酸ガス50%及び空気50%の混合ガスで置
換して封入(空間容量30mL)して、本発明薬材入り
プラスチック容器収納体を得た。
【0064】上記ピンホール検知剤は最初ピンク色であ
ったが、製造120分後に無色(正常色)になった。
【0065】上記で作製した本発明収納体製品の二次包
装材に、注射針(27G、テルモ社、ネオラス)でピン
ホール(長径約500μm、短径約50μm)をあけて
その変色を観察した。その結果、5時間後、ピンホール
検知剤はピンク色となり、このときの二次包装内の炭酸
ガス率は2.5%であり、薬液のpHは8.30であっ
た。
【0066】
【実施例3】pH8.30に調製した7%炭酸水素ナト
リウム注射液を、直鎖性低密度ポリエチレン製プラスチ
ックバッグ250mL(平均厚み:0.4mm)に無菌
的に充填し、このものと製造例4で得たピンホール検知
剤とを、PET(12μm)/ポリビニルアルコール
(14μm)/特殊ポリプロピレン(40μm)のラミ
ネートフイルムからなる包装中に、炭酸ガス50%及び
空気50%の混合ガスで置換して封入(空間容量100
mL)して、本発明薬剤入りプラスチック容器収納体を
得た。
【0067】ピンホール検知剤は最初紫色であったが、
50分後に黄色(正常色)になった。
【0068】上記で作製した本発明収納体製品の二次包
装材に、注射針(27G、テルモ社、ネオラス)でピン
ホール(長径約500μm、短径約50μm)をあけて
その変色を観察した。その結果、10時間後、ピンホー
ル検知剤は紫色となり、このときの二次包装内の炭酸ガ
ス率は1.0%であり、薬液のpHは8.40であっ
た。
【0069】
【実施例4】pH8.30に調製した7%炭酸水素ナト
リウム注射液を、直鎖性低密度ポリエチレン製プラスチ
ックバッグ250mL(平均厚み:0.4mm)に無菌
的に充填し、このものと製造例5で得たピンホール検知
剤とを、PET(12μm)/ポリビニルアルコール
(14μm)/特殊ポリプロピレン(40μm)のラミ
ネートフイルムからなる包装材中に、炭酸ガス50%及
び空気50%の混合ガスで置換して封入(空間容量10
0mL)して、本発明薬剤入りプラスチック容器収納体
を得た。
【0070】ピンホール検知剤は最初赤色であったが、
5分後に青色(正常色)になった。
【0071】上記で作製した本発明収納体製品の二次包
装材に、注射針(27G、テルモ社、ネオラス)でピン
ホール(長径約500μm、短径約50μm)をあけて
その変色を観察した。その結果、20分後、ピンホール
検知剤は赤色となり、このときの二次包装内の炭酸ガス
率は1.0%であり、薬液のpHは8.35であった。
【0072】
【実施例5】pH8.30に調製した7%炭酸水素ナト
リウム注射液を、低密度ポリエチレン(宇部興産B−1
28H)製20mLプラスチックアンプル(平均厚み:
0.6mm)に無菌的に充填し、このものと製造例6で
得た炭酸ガス検知剤とを、ポリプロピレン(200μ
m)/エチレン−ビニルアルコ一ル共重合体(100μ
m)/ポリプロピレン(200μm)の積層シートから
成形した底材とPET(12μm)/ポリビニルアルコ
ール(14μm)/特殊ポリプロピレン(40μm)の
ラミネートフィルムである蓋材とからなるブリスター包
装中に、炭酸ガス50%及び空気50%の混合ガスで置
換して封入(空間容量30mL)して、本発明薬材入り
プラスチック容器収納体を得た。
【0073】ピンホール検知剤は最初赤紫色であった
が、2分後に黄色(正常色)になった。
【0074】上記で作製した本発明収納体製品の二次包
装材に、注射針(27G、テルモ社、ネオラス)でピン
ホール(長径約500μm、短径約50μm)をあけて
その変色を観察した。その結果、5分後、ピンホール検
知剤は紫色となり、このときの二次包装内の炭酸ガス率
は1.0%であり、薬液のpHは8.40であった。
【0075】
【実施例6】連通可能な隔壁を有する2室からなるポリ
エチレン製プラスチックバッグ(厚み:約260μm)
の各室にそれぞれ下記薬液を充填閉塞し、熱水シャワー
滅菌(滅菌後、各室薬液混合後のpH:7.24)し
た。このものを製造例6で得たピンホール検知剤と共
に、ナイロン(15μm)/酸化ケイ素蒸着ポリエチレ
ンテレフタレート(12μm)/ポリビニルアルコール
(12μm)/ポリエチレン(60μm)のラミネート
フィルム製袋(二次包装材)中に、炭酸ガス10%及び
空気90%の混合ガスで置換して封入(空間容量400
mL)して、本発明薬材入りプラスチック容器収納体を
得た。 〔薬液処方〕 (第1室)300mL中に以下の成分を含む 塩化カルシウム・2水塩 0.17g 塩化マグネシウム・6水塩 0.22g ブドウ糖 0.61g (第2室)700mL中に以下の成分を含む 塩化ナトリウム 7.15g 塩化カリウム 0.13g 炭酸水素ナトリウム 1.94g リン酸2水素カリウム 0.15g ピンホール検知剤は最初紫色であったが、5分後に黄色
(正常色)になった。
【0076】上記で作製した本発明収納体製品の二次包
装材に、注射針(27G、テルモ社、ネオラス)でピン
ホール(長径約500μm、短径約50μm)をあけて
その変色を観察した。その結果、15分後、ピンホール
検知剤は紫色となり、このときの二次包装内の炭酸ガス
率は1%であり、各室薬液の混合後のpHは7.26で
あった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明薬剤入りプラスチック容器収納体の一実
施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1 薬液 2 プラスチック容器 3 ガスバリア性包装材 4 ピンホール検知剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 AA03 AB96 BA01B BA12C BB14B BB14C CA04 EA06 EE47 FA04 FC01 GA19

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬剤入りプラスチック容器をガスバリア性
    包装材で包装した収納体であって、上記容器と包装材と
    の空間部を炭酸ガスを含むガス雰囲気とし且つ該空間部
    にpH指示薬を含む水溶液又は有機溶媒溶液を担体に含
    浸保持させてなるピンホール検知剤を配置したことを特
    徴とする薬剤入りプラスチック容器収納体。
  2. 【請求項2】薬剤が、重炭酸塩含有薬液である請求項1
    に記載の容器収納体。
  3. 【請求項3】ピンホール検知剤が、更に保湿剤を含むも
    のである請求項1に記載の容器収納体。
  4. 【請求項4】ピンホール検知剤が、更に塩基性化合物を
    含むものである請求項1に記載の容器収納体。
  5. 【請求項5】担体が、濾紙、結晶セルロース、珪藻土、
    タルク、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイ
    ト、エチルセルロース及び澱粉から選ばれるものである
    請求項1に記載の容器収納体。
  6. 【請求項6】pH指示薬を含む水溶液又は有機溶媒溶液
    を担体に含浸保持させてなることを特徴とする、請求項
    1に記載の薬剤入りプラスチック容器収納体のためのピ
    ンホール検知剤。
  7. 【請求項7】更に保湿剤を含むものである請求項6に記
    載のピンホール検知剤。
  8. 【請求項8】更に塩基性化合物を含むものである請求項
    6に記載のピンホール検知剤。
  9. 【請求項9】担体が、濾紙、結晶セルロース、珪藻土、
    タルク、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイ
    ト、エチルセルロース及び澱粉から選ばれるものである
    請求項6に記載のピンホール検知剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011123026A (ja) * 2009-12-14 2011-06-23 Toppan Printing Co Ltd 炭酸ガスインジケーター、及びこれを用いた包装体
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