JP3733583B2 - 重炭酸塩含有薬液充填容器包装体 - Google Patents

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【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、重炭酸塩含有薬液を充填した容器を包装した包装体に関する。さらに詳細には、該重炭酸塩含有薬液を充填した容器をガス非透過性包装材にて包装し、該包装材のピンホール発生を検知すること、かつ、該重炭酸塩含有薬液の安定性を維持し、かつ、酸素検知剤の効力を保持する重炭酸塩含有薬液充填容器包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液透析、血液濾過、血液濾過透析および腹膜透析などの人工腎臓療法の最も重要な役割は、水分、代謝産物の除去のほかに、代謝性アシドーシスの矯正である。これらの手法に使用される透析液は全て緩衝剤(アルカリ化剤)を含み、血液透析においては重炭酸ナトリウムの形の重炭酸塩が本来の緩衝剤であった。しかし、重炭酸ナトリウム溶液は常温でも反応して炭酸ガスになり、濃度が変化したり、他の電解質成分として含まれるカルシウムイオンなどと容易に反応し、沈殿を起こすなど製剤化が困難であることから、他の緩衝剤、例えば乳酸塩あるいは酢酸塩が、これらに代わって使用されてきた。乳酸塩あるいは酢酸塩は体内で重炭酸にまで代謝されて緩衝作用を発揮する。
しかしながら、肝障害、糖尿病、外科侵襲時等の大手術で代謝異常のある患者、急性腎不全や多蔵器不全などの重症患者に、乳酸塩や酢酸塩を含む薬液を投与すると、酢酸不耐性による血圧低下や気分不良などの副作用が発生しやすいことやアシドーシス是正効果が低いなどの問題があり、近年、上記血液の緩衝剤として、乳酸塩等の代わりに、再び、重炭酸塩を使用する血液透析液、血液濾過用置換が使用されるようになってきている。
【0003】
この重炭酸塩を含有する薬液とは、通常、重炭酸ナトリウムを含む水溶液であり、必要により電解質あるいは糖類を含有する。このような重炭酸塩を含有する薬液は、一般に重炭酸ナトリウムが分解して炭酸ナトリウムと炭酸ガスとなる。この分解反応が進むに従って、充填された薬液中の炭酸ガスが放出され、薬液のpHが上昇する。このようにpHが上昇した重炭酸塩含有薬液を患者に投与すると、本来の機能である代謝性アシドーシスの矯正が行われず、むしろ、副作用の危険性があり、所期の目的が達成されない。
【0004】
一方、重炭酸塩含有溶液を充填する容器として、ガス非透過性のガラス容器を使用した場合には、分解生成したガスが反応系外に出ることがなく、再び薬液に吸収されて、pHは安定している。ところが、ガラス容器は重いうえに破損しやすく、取り扱いが困難であることから、近年、プラスチック製容器に代替されている。プラスチック容器としては、通常、高いガス透過性を有する材質のものが使用されるため、この容器に重炭酸塩含有薬液を充填すると、加熱滅菌時や長期保存時に発生した炭酸ガスを薬液に再吸収することなく、容器壁から外部へ放出され、薬液のpH変化が生じる。そのために、該薬液を充填した容器をガス非透過性包装材で包装して、炭酸ガス放出による薬液の変化を防止することが一般に行われている。
【0005】
しかしながら、ガス非透過性包装材にピンホールが生じた場合、容器壁から放出された炭酸ガスがさらに包装材の外部へ放出され、容器に充填された薬液のpHがやはり上昇し、また、炭酸ガスの放出により重炭酸塩の含量が低下するなどの変化が生じる。このような薬液を過誤に投与すると、副作用の危険性が懸念される。そのため、容器と包装材との間に酸素検知剤、pH変化により変色するインジケーターなどのピンホールチェッカーを導入することが必要となる(特開平8-164185号公報、特開平11-139461号公報、WO97/48365など)。また、酸素検知剤の効力を保持するためには、脱酸素剤の併用が必要となる(特開平8-164185号公報)。
【0006】
しかし、一般に脱酸素剤として使用されている鉄粉系脱酸素剤を使用すると、重炭酸塩から放出された炭酸ガスが脱酸素剤の主成分である活性炭および鉄に吸収され、逆に重炭酸塩含有溶液の安定性が維持できないなどの問題が生じる。そこで、重炭酸塩含有薬液の安定性を高める対策として、前記容器と包装材との空間部に一定濃度の炭酸ガスを封入したり(特開昭61-355号公報、特許第2750373号公報、特許第2811035号公報、特許第2890142号公報)、炭酸ガス発生型の脱酸素剤を使用しているのが現状である(特許第2527532号公報、特許第27505329号公報、特許第2890142号公報)。
【0007】
ところが、重炭酸塩含有薬液充填容器と包装材との空間部に炭酸ガスを封入する際、封入する炭酸ガスの濃度に特に注意する必要があり、炭酸ガス封入量が多すぎると、充填された薬液のpH低下および該薬液中の重炭酸塩含量が増加して問題となる。また、上記空間部に炭酸ガス発生型脱酸素剤を導入し、かつ、該空間部を通常の空気状態のままで包装を行うと、該脱酸素剤の特性により、吸収した酸素量に相当する量の炭酸ガスが放出されて、薬液のpH低下および重炭酸塩含量の増加が生じる。そこで、薬液の安定性を保持するためには、炭酸ガス吸収剤を用いるか、あるいは、容器と包装材の空間部に窒素ガスを封入して、酸素量を極力少なくするなどの方法が用いられている(特開平8-164185号公報)。
【0008】
上記したように、重炭酸塩含有薬液を充填する容器と包装材との空間部に、炭酸ガス発生型脱酸素剤を導入した場合、該空間部の容量によっては炭酸ガスが多量に発生して、容器に充填された薬液の安定性を維持するために、さらに炭酸ガス吸収剤等を導入して、充填された薬液のpHおよび重炭酸含量を調整するなどの煩雑な操作が必要となる。また、薬液充填容器と包装材との空間部に炭酸ガスを封入する場合、封入量のバラツキにより、保存初期段階におけるpHの変動が生じやすいなどの欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重炭酸塩含有薬液の安全性を高めるため、包装材のピンホールチェッカーとして酸素検知剤を封入し、かつ、重炭酸塩含有薬液の安定性を高めるために、炭酸ガスを封入することなく、重炭酸塩含有薬液の変化を阻止できる該薬液充填容器包装体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために種々鋭意研究した結果、重炭酸塩含有薬液をプラスチック製容器に充填し、ガス非透過性の包装体内に、該容器とともに脱酸素剤好ましくは炭酸ガス発生量の少ない脱酸素剤、たとえば、カテコール系脱酸素剤および酸素検知剤を封入した容器包装体を用いることにより、該容器と該包装材との空間部に外部より積極的に炭酸ガスの封入を施さなくても、充填された薬液の安定性及び酸素検知剤の効力を長期間、維持することが可能であることを見いだし、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は重炭酸塩を含有する薬液を充填したプラスチック製容器がガス非透過性包装材で包装され、前記プラスチック製容器は複室容器であり、前記重炭酸塩を含有する薬液はpHが7.6〜8.6である重炭酸塩溶液(A)およびpHが3.0〜5.0である電解質および/または還元糖を含有する溶液(B)からなり、該複室容器内の一室に溶液(A)および他室に溶液(B)が充填されており、プラスチック製容器と該包装材との空間部に脱酸素剤および酸素検知剤が収容されてなる重炭酸塩含有薬液充填容器包装体である。
【0012】
また、本発明の一態様としては、重炭酸塩を含有する薬液を充填したプラスチック製容器がガス非透過性包装材で包装され、前記プラスチック製容器は複室容器であり、重炭酸塩を含有する薬液はpHが7.6〜8.6であり、さらに、該空間部に脱酸素剤および酸素検知剤が収容されてなる重炭酸塩含有薬液充填容器包装体がある。
【0013】
また、本発明の一態様としては、前記プラスチック製容器は複室容器であり、前記重炭酸塩を含有する薬液は、pHが7.6〜8.6である重炭酸塩溶液(A)およびpHが3.0〜5.0である電解質および/または還元糖を含有する溶液(B)からなり、該溶液(A)および該溶液(B)を混合した際のpHが7.0〜7.6である薬液であり、該複室容器内の一室に溶液(A)および他室に溶液(B)が充填されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の態様】
本発明の薬液は、重炭酸塩含有薬液であり、例えば、pHが7.0〜7.6である重炭酸塩含有薬液であり、好ましくは、pHが7.6〜8.6である重炭酸塩含有溶液(A)および電解質および/または糖類を含有し、pHが3.0〜5.0である溶液(B)からなり、溶液(A)および溶液(B)を混合した際のpHが7.0〜7.6である。
本発明において使用する溶液(A)は、重炭酸塩および電解質および/または糖類を含有する。重炭酸塩としては、従来から各種透析液及び電解質輸液に使用されるものでよく、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩の単独水溶液あるいはこれら混合液であり、さらに、必要により重炭酸塩以外の電解質イオンおよび糖類を含むことが可能である。ここで、電解質イオンとしては、重炭酸と反応して不溶性塩を生じないナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。糖類としては、グルコース、キシリトール、ソルビトールなどが挙げられ、還元糖であるグルコースが特に好ましい。さらにグリセロールなどの多価アルコールも使用できる。
【0015】
また、本発明において調製される溶液(B)は、少なくともカルシウムおよびマグネシウムなどの陽イオンを含む溶液であり、さらに、カルシウムおよびマグネシウム以外の他の電解質イオンおよび糖類、たとえば還元糖を含むことも可能である。
【0016】
本発明において使用する電解質は、従来から使用されているものは何れも使用可能であり、例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、クエン酸カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等をあげることができる。
【0017】
本発明における溶液(A)の製造に当たっては、通常は、pHを7.6〜8.6、好ましくは7.9〜8.5、最も好ましくは8.1〜8.3に調整する。
【0018】
本発明において使用する溶液(B)は、還元糖および電解質を含有する。これらの溶液は常法に従って調製し、通常は、pHを3.0〜5.0、好ましくは3.7〜4.3、最も好ましくは3.9〜4.1に調整する。
【0019】
本発明に使用する容器は、その形状、厚さは特に限定されないが、薬液流入口および薬液排出口を有する単室または複数の室を有するプラスチック製容器、例えばバッグである。特に、複数の室を有する柔軟なプラスチック製容器が好ましい。その材質は、従来から使用されているポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む一般的な熱可塑性樹脂であり、医療用安全性が高く高圧蒸気滅菌を行う場合には少なくとも105℃の温度に耐えるものが望まれる。本発明では容器のガス透過性は特に制限されない。
複数の室を有する容器では、該室と室との隔離壁の全部または一部は該容器外から隔離開放が可能であり、該室と室との連通可能にする隔離開放手段で形成された医療用プラスチック製容器である。また、隔離開放が可能な手段は剥離強度が容器周辺部を溶着させた部分よりも小さな接着強度を有するか、あるいは接着部において、接着強度を低下させるための部材を挿入することにより形成される。
【0020】
さらに、これらの容器を収容するガス非透過性包装材は、例えばエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロンなどから構成された包装材、そしてこれらの素材にシリカやアルミナなどのガスバリア性物質の蒸着処理を行った包装材、また、これらの素材を組み合わせた多層フィルムから作製された包装材が使用できる。ここでいうガス非透過性とは、通常、酸素透過率が10ml/m2/24時間/1気圧以下、好ましくは1ml/m2/24時間/1気圧以下のもであればよい。
また、該包装材は酸素検知剤の変色を確認できる透明性を有し、かつ、液体非透過性の包装材を使用することが望ましい。
【0021】
本発明に使用する重炭酸塩含有薬液の容器包装体は、上記薬液を充填したプラスチック製容器をガス非透過性包装材に収容する際、酸素検知剤と脱酸素剤を封入する。該空間部は脱酸素剤の酸素吸収効果を発揮しやすいように、周囲にさらに大きな空間が存在することが望ましい。
酸素検知剤としては、酸素の存在により、その物性を変化させるものであれば、特に制限されないが、好ましくは酸素の存在により、変色をともなうもの、例えば、三菱瓦斯化学(株)製エージレスアイなどが例示される。
また、脱酸素剤としては、好ましくは炭酸ガス発生量の少ない脱酸素剤、たとえば、カテコール系脱酸素剤があり、具体的には、炭酸ガス分率が1.0〜8.0vol%である脱酸素剤がある。このような脱酸素剤としては、王子化工株式会社製「タモツD」及び「タモツV」などが例示される。
【0022】
また、該空間部のガス状態については、酸素検知剤の変色を迅速に生じさせるためには、空間部の空気を窒素で置換することが好ましい。しかし、空間部の窒素ガス置換を行わない空気状態であっても、空間部の容量を調整し、かつ、脱酸素剤として炭酸ガスの発生量及び吸収量が共に少ないカテコール系脱酸素剤を同封して包装すれば良い。このような脱酸素剤としては、上記したカテコール系脱酸素剤、例えば、王子化工株式会社製「タモツD」及び「タモツV」などが例示される。
【0023】
本発明では重炭酸塩を含有する薬液を充填したプラスチック製容器がガス非透過性包装材で包装され、該プラスチック容器と該包装材との空間部が、積極的に炭酸ガス濃度調整を施さない雰囲気であることが特徴であり、その一態様としては、窒素ガス雰囲気または積極的に炭酸ガスが存在しない空気雰囲気である。積極的に炭酸ガス濃度調整を施さない雰囲気とすることにより、重炭酸塩の含量低下やpH上昇を防止することが可能である。
また、該空間部に酸素検知剤が収容されてなることにより、保存時に包装材にピンホールが生じた場合、重炭酸塩濃度の低下および薬液のpH上昇が生じても事前に検知することが可能である。さらに、該空間部に脱酸素剤が存在することにより、酸素検知剤の効力を維持することが可能となる。
また、薬液充填容器として2室容器を用いることにより、重炭酸塩および還元糖の安定性が高まり、従来の重炭酸塩含有薬液より安全性及び安定性の面で優れている。
【0024】
【実施例】
以下に、実施例、比較例及び試験例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
下記表1の組成に従い、溶液(A)の各成分を常温で適量の蒸留水に溶解し、該溶液中に炭酸ガスを吹き込んで、pHを約7.4に調整し、注射用水を加えて全量を10Lとした後、孔径 0.22μmのメンブレンフィルターで濾過した。この溶液をポリプロピレン製の2室容器のI室に各500ml充填した。
一方、下記表2の組成に従い、溶液(B)の各成分を適量の蒸留水に溶解し、注射用水を加えて全量を10Lとした。この溶液を同様の方法で濾過し、ポリプロピレン製の2室容器の他室に各500ml充填した後、常法に従って、121℃、20分間にて高圧蒸気滅菌を行った。
このようにして得られた上記重炭酸塩含有薬液容器を室温に冷却後、脱酸素剤(大江化学(株)製タモツD、炭酸ガス分率1.0〜4.0vol%))および酸素検知剤(三菱瓦斯化学(株)製エージレスアイ)と共に包装材(シリカ蒸着PET/ナイロン/CPPのラミネートフィルム)に収容し、容器と包装材との空間部を高純度窒素ガスを用いて窒素置換し(置換率95%以上)、密封して重炭酸塩含有薬液収容プラスチック製容器の包装体を製造した。
【0026】
【表1】
Figure 0003733583
【0027】
【表2】
Figure 0003733583
【0028】
実施例2
容器と包装材との空間部を窒素ガス雰囲気に代えて、空気雰囲気としたことを除いて、実施例1と同様にして、重炭酸塩含有薬液収容プラスチック製容器の包装体を製造した。
【0029】
実施例3
脱酸素剤として、大江化学社製「タモツD」(炭酸ガス分率1.0〜4.0vol%)に代えて、大江化学社製「タモツV」(炭酸ガス分率1.0〜8.0vol%)を使用した点および容器と包装材との空間部を窒素雰囲気に代えて、空気雰囲気とした点を除き、実施例1と同様にして、重炭酸塩含有薬液充填プラスチック製容器の包装体を製造した。
【0030】
比較例1
脱酸素剤を「タモツD」に代えて、「エージレスZH」(三菱瓦斯化学(株)製)を使用した点および容器と包装材との空間部を窒素雰囲気に代えて、空気雰囲気とした点を除き、実施例1と同様にして、重炭酸塩含有薬液充填プラスチック製容器の包装体を製造した。
【0031】
比較例2
脱酸素剤を「タモツD」に代えて、「エージレスG」(三菱瓦斯化学(株)製)を使用した点と容器と包装材との空間部を窒素ガス雰囲気に代えて、空気雰囲気とした点を除き、実施例1と同様にして、重炭酸塩含有薬液充填プラスチック製容器の包装体を製造した。
【0032】
試験例1
実施例1〜3および比較例1〜2で得られた包装体を40℃、75%RH条件にて、2ケ月間保存した。該包装体に収容された容器中の薬液について、pH、異物検査を測定した。その結果を下記表3に示す。
【0033】
【表3】
Figure 0003733583
【0034】
上記表3から、実施例1に示すように、「タモツD」タイプの脱酸素剤を使用して、薬液容器と包装体との空間部を窒素置換した薬液が、最もpH変化が少なく安定であった。また、実施例2または3に示すように、容器と包装材との空間部が空気であっても、「タモツD」タイプあるいは「タモツV」タイプの脱酸素剤を使用すれば、従来の鉄粉系やアスコルビン酸系の脱酸素剤を使用した比較例1〜2と比較して、重炭酸塩含有薬液の安定性が大幅に改善することが明らかとなった。
【0035】
【発明の効果】
本発明では、重炭酸塩含有薬液充填容器包装体ガス非透過性の包装体内に、該容器とともに脱酸素剤好ましくは炭酸ガス発生量の少ない脱酸素剤、たとえば、カテコール系脱酸素剤を使用しているため、容器と包装材との空間部に外部より積極的に炭酸ガスあるいは窒素ガスを封入しなくても空気のままで、薬液の安定性及び酸素検知剤の効力を維持することが可能である。また、包装材にピンホールが生じても、外部から酸素が混入した際には、薬液のpHが変化する前に、酸素検知剤の色が変化することにより、不良品の識別が可能となる。
さらに、本発明では、2室を有するプラスチック製容器に重炭酸塩含有薬液を充填し、該容器と該包装材の間の空間部にピンホールチェッカーとして酸素検知剤を封入し、さらに、好ましくはカテコール系脱酸素剤である脱酸素剤を同封して、製剤の安定性及び安全性の点で有用性の高い重炭酸含有薬液を充填した容器包装体を得ることができる。

Claims (3)

  1. 重炭酸塩を含有する薬液を充填したプラスチック製容器がガス非透過性包装材で包装され、前記プラスチック製容器は複室容器であり、該複室容器内の一室に溶液(A)および他室に溶液(B)が充填されており、前記重炭酸塩を含有する薬液はpHが7.6〜8.6である重炭酸塩溶液(A)およびpHが3.0〜5.0である電解質および/または還元糖を含有する溶液(B)からなり、プラスチック製容器と該包装材との空間部に脱酸素剤および酸素検知剤が収容されてなる重炭酸塩含有薬液充填容器包装体。
  2. 前記脱酸素剤はカテコール系脱酸素剤である請求項1記載の重炭酸塩含有薬液充填容器包装体。
  3. 前記溶液(A)および前記溶液(B)を混合した際のpHが7.0〜7.6の薬液である請求項1記載の重炭酸塩含有薬液充填容器包装体。
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