JP4161153B2 - pH指示薬を含有する医薬組成物及びその収容体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、pH指示薬を含有する医薬組成物、より詳しくは、薬液のpH変化を色調変化により目視確認可能とした医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩を含有する薬液は、アシドーシスの是正等の目的で、医薬分野乃至治療分野において広く用いられている。かかる薬液は、専らガラス製アンプルやバイアルに充填した形で市販されていた。
【0003】
一方現在、輪液等の薬液は、一般にプラスチック容器に収納して市販されている。該容器はガスバリア性が低く、これに上記炭酸水素塩含有薬液を充填して放置すると、薬液から炭酸ガスが発生し、これが容易に容器外に漏出(揮散、放出)し、次第に薬液中の炭酸水素イオン含量が低下し、それに伴って薬液pHが上昇し、惹いては薬液自体の効果を消滅させる等の重大な問題点があった。そのため、上記炭酸水素塩含有薬液を充填したプラスチック容器はこれまで実用化されていなかった。
【0004】
最近、ガスバリア性の高い包装材で上記プラスチック容器を包装し、且つ該包装材と容器との空間部を炭酸ガスで置換して炭酸水素イオンの安定性を向上させる方法が開示された(例えば特開平5−49675号公報、特開平5−261141号公報、特開平6−105905号公報等参照)。
【0005】
しかしながら、このようなガスバリア性包装材を利用しても、製造中、移送中等の衝撃や接触により包装材にピンホール等が発生する場合はしばしば認められ、かかる包装材のガスバリア性消失乃至低下によれば、次第にプラスチック容器内より炭酸ガスが漏出し、薬液中の炭酸水素イオン含量が低下し、それに伴い薬液pHが上昇し、惹いては薬液自体の品質が低下乃至劣化し、失効する弊害は避けられないものであった。
【0006】
上記弊害、殊に包装材のピンホール発生は容易に確認できず、そのため、品質が劣化したり失効した薬液が誤って使用される危険性は回避できず、かかる薬液の使用は、単に期待した治療効果が得られないのみならず、pHの高い薬液を投与することによる副作用の発現等を惹起する懸念があり、従って、上記の如き薬液入りプラスチック容器収納体では、その利用時に上記ピンホール発生等について十分なチェックを行なう必要があった。
【0007】
また、最近上記チェックを行なう必要のない、重炭酸塩含有薬液入りプラスチック容器収納体として、容器と包装材との空間部を炭酸ガスで置換すると共に、該空間部に脱酸素剤と酸素検知剤とを収容して、包装材のガスバリア性の低下を酸素検知剤によって確認する方法、即ち該空間部からの炭酸ガスの漏出に代わって、該空間部に侵入してくる酸素を検知して確認する方法が提案されている(例えば特開平8−164185号公報参照)。
【0008】
しかしながら、この方法は、上記空間部に侵入する酸素を検知する方法であって、該空間部からの炭酸ガスの漏出を直接検知するものではない。そのため、予め該空間部を実質的に酸素の存在しないガス雰囲気とする必要があった。また、この方法では脱酸素剤と酸素検知剤との併用が必須である不利もあった。
【0009】
重炭酸塩含有薬液に限らず、酸素により変質する薬液等の薬剤の収納においても、薬剤の変質防止のために、薬剤入り容器を包装材で包装する、いわゆる二重包装技術が知られている。かかる包装技術の場合も、容器と包装材との空間部を脱酸素状態にする工夫が開発されている(特開平5−237162号公報参照)。しかるに、かかる技術においても、ピンホール発生に対する対処は考えられておらず、実際には前記した酸素検知剤等を封入せざるを得ないのが現状である。
【0010】
本願人は従来より、上記従来技術に見られるピンホール発生等による炭酸ガスの漏出や薬液pHの変化を検知する手段の開発を目的として鋭意研究を重ねてきたが、その過程において、以前に、密閉空間内では液中の炭酸水素イオン濃度と発生する炭酸ガス量とが平衡関係にあることを利用して、炭酸水素イオンを含有する液とpH指示薬とを混合したpHインジケーターを上記薬剤入りプラスチック容器収納体の空間部に配置するときには、包装材にピンホールが生じて炭酸ガスが漏出すると、上記平衡関係が崩れて、インジケーター液中の炭酸水素イオン濃度が低下し、これに伴って該液のpHが上昇し、この液pHの上昇がpH指示薬の色調変化としてとらえられることを見出し、かかるpHインジケータ及びこれを利用した重炭酸塩含有容器包装体に係わる発明を完成した(WO97/48365号参照)。
【0011】
この発明に係わるpHインジケーターは、重炭酸塩含有薬液と同一の重炭酸塩水溶液を利用したことに基づいて、そのpH変化を色調変化として確認すれば、間接的に重炭酸塩含有薬液自体のpH変化を確認することとなり、この点で、薬液のpH変化をよく反映するものとして有用なものであった。
【0012】
しかるに、上記pHインジケーターは、これが重炭酸塩含有薬液と同様に液状とされていたため、実際の使用に当たっては、これを気密性の高いプラスチック製小袋等に充填封入して用いる必要があり、このため該小袋自体のピンホール発生や、該インジケーターを利用した包装体製品の製造、移送時等における落下、荷積みの際の圧迫等による該小袋の破損等によって、所望のpH指示効果が失われたり、内溶液がこぼれ出して製品を汚す危険があった。更に、該pHインジケーターは、炭酸水素ナトリウムのような重炭酸塩含有薬液の容器包装体にしか利用できないものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、薬液のpHを直接目視確認することができる新しい医薬組成物を提供することにある。特に、従来のプラスチック容器に収容した重炭酸塩含有薬液等の、ピンホール発生等によってpH変化を生じる薬液の該pH変化を直接目視確認することができる新しい医薬組成物を提供することにある。
【0014】
また、本発明は、その製造、保存、実用段階等においてpH変化が伴われる薬液、例えば実用時に2液を混合(混注)して調製される輸液、注射液等であって、両液のpHが異なるもの等における上記pH変化を目視確認して、上記混合操作が完全に行なわれたことの確認等をすることができる医薬組成物を提供することをも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記pHインジケーターに利用されるpH指示薬に着目し、これを薬液自体に混入するという新しい手段によれば、上記目的に合致する医薬組成物が得られるという事実を発見し、ここに本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明によれば、薬液pHを目視確認可能とした医薬組成物であって、医薬組成物中にpH指示薬を含有させたことを特徴とする医薬組成物が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、薬液が、輸液、洗浄液、点眼液、透析液、眼内灌流液から選ばれるものである上記医薬組成物;pH指示薬がフェノールスルホンフタレインである上記医薬組成物;上記医薬組成物を、ガラスバイアル、プラスチックボトル及びプラスチックバッグから選ばれるいずれかの透明性容器に収容してなることを特徴とする収容体;プラスチックバッグが連通可能な隔壁を有する少なくとも2室からなる透明性ガス透過性プラスチック製複室バッグである上記収容体;複室バッグの少なくとも1室にpH指示薬が封入され、薬液が該複室バッグの内容物を混ぜ合わせることにより形成される上記収容体;及び上記医薬組成物を収容した容器が、透明性ガス非透過性プラスチック製包装体にて包装されている上記収容体が提供される。
【0018】
本発明医薬組成物は、上記の通り、該組成物中にpH指示薬を含有させたことに基づいて、該組成物自体又はこれから調製され投与適用される薬液のpH及びその変動を容易に目視確認することが可能である。
【0019】
しかるに、従来、pH指示薬を配合した医薬組成物としては、例えばフェノールスルホンフタレインを配合した腎機能検査用薬が知られているが、このものは、フェノールスルホンフタレイン自体の赤色系の色調自体を利用して、その尿中への排泄時間と量とを測定するものであり、液pH及びその変動を色調変化によって目視確認しようとするものとは本質的に異なっている。
【0020】
特に、本発明医薬組成物を、プラスチック容器に収容し透明性ガス非透過性包装体で包装した収容体は、上記の通り薬液にpH指示薬を配合したことに基づいて、例えば上記収納体の包装材にピンホールが発生する等によって薬液のpHが変化すれば、これに応じて薬液自体が色調変化することとなり、かくしてピンホール発生などによる薬液のpH変化を容易に目視確認でき、惹いては、収納した薬液の変質、特に重炭酸塩含有薬液では炭酸水素イオン含量の低下とそれに伴うpHの上昇した薬液の誤用を未然に防止することができる。
【0021】
しかも、かかる本発明収容体は、pH指示薬を直接薬液に配合するだけで、非常に容易に調製できることは勿論のこと、上記pH指示薬を配合する以外には、何らのpHインジケーター、脱酸素剤、酸素検知剤、ピンホール検知剤等をも利用しないので、之等の使用に基づく欠点が惹起されるおそれも皆無である。
【0022】
また、プラスチック容器が連通可能な隔壁を有する少なくとも2室からなる透明性ガス透過性プラスチック製複室バッグであり、その少なくとも1室にpH指示薬が封入された本発明収容体によれば、該複室バッグの隔壁を連通させて薬液を混合後、実用する際に、その混合が完全に行なわれたか否かを、上記薬液のpH変化に伴われる色調変化によって確認することができる。
【0023】
更に、本発明医薬組成物は、これに、pHの異なる他の薬液等を配合(混注)して実用する時にも、該配合を色調変化として把握することができ、該他の薬液の配合忘れ等の医療ミスを未然に防止できる利点があり、加えて、上記配合によって得られる混合薬液を注射剤として用いる場合は、該注射剤として適切なpHを有するか否かを識別することもできる利点がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明医薬組成物及びこれを収容した本発明収容体につき詳述する。
【0025】
本発明に従ってpH指示薬を含有される医薬組成物には、薬液pH及びその変動を目視確認することが望まれるすべてのものを包含する。ここで好ましい薬液としては、輸液、洗浄液、点眼液、透析液、眼内灌流液等を例示することができる。これらはそれぞれ有効成分とする薬理活性化合物と製剤学的に許容される担体(希釈剤を含む)からなっている。
【0026】
特に、本発明における上記薬液としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の重炭酸塩を含有するものが好ましい。かかる薬液は、例えば人工腎臓用透析液、灌流液及び補充液、腹膜透析液、歯科用根管拡大剤、人工髄液、臓器保存剤、眼内灌流液、心臓灌流液、心筋保護液、腹腔洗浄液等としてよく知られている。該薬液における炭酸水素イオン濃度は、特に限定されるものではないが、通常約0.01〜1Mの範囲にあるのが普通であり、その投与に適したpH範囲は一般に6.5〜8の範囲とされている。
【0027】
本発明医薬組成物は、その中にpH指示薬を含有させることが重要である。ここでpH指示薬としては、例えば炭酸ガスの存在の変化(吸収、放出)等によって起こる薬液のpH変化を、色調変化として指示できる各種の酸・塩基指示薬から選択することができる。また、本発明によれば、該pH指示薬は、薬液と共にヒト体内に注射投与される場合があることも考慮すれば、その安全性が保証されたものであるのが好ましい。
【0028】
かかるpH指示薬の例としては、例えばm−クレゾールパープル、チモールブルー、クレゾールレッド、フェノールフタレイン、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ジブロムフェノールテトラブロム、メチルチモールブルー、アリザリン、キシリトールオレンジ、ブロモフェノールレッド、コンゴーレッド、アリザリンスルホン酸ナトリウム等を例示できる。
【0029】
之等は1種を単独で用いることもでき、また必要に応じて2種以上を併用することもできる。之等の内では、フェノールレッド(pH6.8〜8.4で黄色から赤色に変色)、m−クレゾールパープル(pH7.4〜9.0で黄色から紫色に変色)、チモールブルー&クレゾールレッド(pH8.3付近で黄色から紫色に変色)、フェノールフタレイン(pH8.3〜10.0で無色から赤色に変色)、コンゴーレッド(pH3.0〜5.0で青色から赤色に変色)が好ましい。特にフェノールレッドは、別名フェノールスルホンフタレインとも呼ばれ、細胞培養の培地等のpH指示薬として利用されており、また日局各条収載品でもあり、従ってその安全性に問題はない。
【0030】
上記pH指示薬は、これをそのまま薬液中に添加配合することもでき、また適当にpHを調製した水溶液形態又は有機溶媒溶液形態として薬液中に添加配合することもできる。ここで有機溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、アセトン、之等の混合溶剤を使用することができる。
【0031】
上記pH指示薬の本発明組成物中への配合量は、組成物中のpH指示薬のpH変化による色調変化が肉眼で目視確認できることを前提として、特に限定されるものではなく、組成物の種類やpH指示薬の種類(特にその変色域における色調)等に応じて、当業者が適宜決定することができる。一般にはpH指示薬が全組成物1リットル中に、0.01〜1000mg程度、好ましくは0.1〜10mg程度の範囲で含まれる量から選ばれるのがよい。
【0032】
本発明は、また上記本発明医薬組成物を、透明性容器に収容してなる収容体をも提供するものである。ここで透明性容器とは、外部より内容物の色調が確認できるものであればよい。該容器の例としては、最も基本的にはガラスバイアルを挙げることができる。また、上記容器の他の例としては、プラスチック製のボトル、バッグ等を挙げることができる。かかるプラスチック製容器は、従来より例えば医療用に用いられている各種プラスチック製の容器のいずれでもよい。プラスチック素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等を例示できる。該容器の形状、大きさ等は、これに収容される薬剤の種類等に応じて適宜決定でき特に限定されるものではない。通常一般には長方形や円筒形であるのが普通であり、その内容量は20ml程度から3l程度の範囲が汎用されており、本発明でもかかる形状、大きさを採用することができる。
【0033】
上記容器は、また連通可能な隔壁を有する少なくとも2室からなる公知の透明性ガス透過性プラスチック製複室バッグであることもできる。その例としては、例えば特公昭63−20550号公報、実公昭63−17474号公報、特開昭63−309263号公報、特開平2−4671号公報等に記載のものを例示することができる。かかる複室バッグの一つの好ましい態様によれば、上室にアミノ酸液が、下室に糖、電解質溶液が収容され、pH指示薬は通常緩衝作用のない下室の溶液中に添加配合される。また、上記複室バッグには、液体−液体の組合せに限らず、液体−個体の組合せ、例えば抗生物質粉末とその溶解のための生理食塩水溶液等を収容することもできる。この場合、pH指示薬は任意のいずれか一方に添加配合すればよい。
【0034】
更に、上記プラスチック製の本発明収容体は、透明性ガス非透過性プラスチック製包装材により包装されていてもよい。ここで、透明性ガス非透過性包装材としては、この種包装に従来より用いられることのよく知られている各種のガスバリア性を有する包装材がいずれも利用できる。その具体例としては、例えば延伸ビニロン(OV)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)等の材質のものやこれらの多層フィルムからなるものを例示することができる。尚、該包装材のガス非透過性(ガスバリア性)は、厳密にガスを透過しないというものである必要はなく、そのガスバリア性が上記薬液収容容器のそれよりも大きいものであればよく、これは上記薬液収容容器と同一の材質でもその厚みが大きい場合には、本発明にいうガスバリア性包装材として利用できる。特に本発明において上記包装材は、本発明医薬組成物の変色が外部より目視確認できる程度の透明性を有していればよい。
【0035】
上記包装材の形状、大きさ等は本発明プラスチック製容器を包装収容できることを前提として特に制限されるものではない。また、上記プラスチック製容器の包装材による包装は、常法に従うことができる。その際、容器と包装材との空間部は、気密性を有するもの(例えば真空状態)とすることもでき、また炭酸ガス雰囲気とすることもできる。そのための手段としては、例えば炭酸ガスと空気との混合ガスや炭酸ガスと窒素ガスとの混合ガス等の炭酸ガスを含有する混合ガスを上記空間部に封入する方法が採用できる。この方法において、用いられる混合ガスの炭酸ガス濃度は、プラスチック製容器に充填される薬液の種類等に応じて適宜決定される。例えば上記薬液として炭酸水素ナトリウム70gを注射用水に溶解させて全量を1リットルとした水溶液を選ぶ場合、該水溶液の炭酸水素イオン濃度は833mMであり且つpHは8.2であり、この値を保持するためには、上記混合ガス雰囲気の炭酸ガス濃度を約40%程度とするのがよい。一般に重炭酸塩含有薬液は、その炭酸水素イオン濃度が833〜1000mEqの範囲に調製されるのが普通であり、かかる重炭酸薬液を利用する場合、上記混合ガス中の炭酸ガス濃度は、約20〜80%の範囲に調整されるのが適当である。
【0036】
本発明において薬液として重炭酸塩含有薬液を利用する場合、その炭酸水素イオン濃度及びpHは、一般に0.01〜1M程度及び6.5〜8程度であるため、上記空間部の炭酸ガス分圧は、通常約1mmHg〜760mmHgの範囲に調整されるのがよく、これに応じて上記混合ガス中の炭酸ガスの含有比率を選択するのが好ましい。より詳しくは、製造後の薬液のpHが所定の範囲内にある場合には、空間部に封入する炭酸ガスは薬液の炭酸ガス分圧にほぼ等しくなるようにすればよい。尚、上記重炭酸塩含有薬液は、その炭酸水素イオンの分解によって炭酸ガスを放出するものであるため、該薬液の炭酸水素イオン濃度を薬液本来の適性値よりも予め高い所定の濃度に設定しておく場合には、上記空間部に炭酸ガス含有ガスを封入せずとも、該空間部を所望の炭酸ガス雰囲気とすることができる。
【0037】
上記容器と包装材との空間部を炭酸ガス雰囲気とするための他の手段としては、例えば上記空間部に存在する酸素ガスを吸収してこれに対して一定割合の容積の炭酸ガスを放出する、炭酸ガス発生型酸素吸収剤を上記空間部に封入する手段を採用することもできる。この炭酸ガス発生型酸素吸収剤としては、例えば三菱瓦斯化学株式会社製「エージレスG」及び同「エージレスGM」や凸版印刷株式会社製の鮮度保持剤Cタイプ等を例示することができる。」
本発明に従う、薬液の容器への充填、滅菌、包装材による包装、空間部を炭酸ガス雰囲気とする手段等は、通常の注射液の製造等に慣用される各種手段に従うことができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。
【0039】
【実施例1】
連通可能な隔壁を有する2室からなる透明性ポリエチレン製複室バッグ(平均厚み約0.5mm)の上室に、塩化ナトリウム19.87g/l、塩化カリウム0.99g/l、塩化カルシウム0.74g/l及びフェノールスルホンフタレイン10mg/lからなる組成の液150mlを充填し、下室に炭酸水素ナトリウム3.36g/l水溶液350mlを充填した。該薬液入り複室バッグを、ナイロン(15μm)/ポリビニルアルコール(18μm)/ポリエチレン(60μm)のラミネートフィルム製袋中に、炭酸ガス9%及び空気91%の混合ガス置換下に封入して、本発明収容体を得た。
【0040】
該収容体に収容された複室バッグの上室内液は黄色を呈していたが、該収容体の包装袋を開封し、複室バッグの隔壁を連通して上室内液と下室内液とを混合すると、混合液は赤色を呈した。このことから、2液を混合後の混合液pHは、投与に適正なものであることが目視判断できることが明らかとなった。
【0041】
尚、2液混合後の混合液の電解質及びフェノールスルホンフタレイン組成は次の通りであった。
Na+ 130mEq/l
+ 4mEq/l
Ca2+ 3mEq/l
Cl- 109mEq/l
HCOO3 - 28mEq/l
フェノールスルホンフタレイン 3mg/l
【0042】
【実施例2】
連通可能な隔壁を有する2室からなる透明性ポリエチレン製複室バッグ(平均厚み約0.5mm)の上室に、塩化ナトリウム2.066g、塩化カリウム0.104g、塩化カルシウム0.077g、炭酸水素ナトリウム0.824g及びフェノールスルホンフタレイン1mgを混合した混合粉末を収容し、下室に注射用水350mlを充填した。該複室バッグを、ナイロン(15μm)/ポリビニルアルコール(18μm)/ポリエチレン(60μm)のラミネートフィルム製袋中に、炭酸ガス9%及び空気91%の混合ガス置換下に封入して、本発明収容体を得た。
【0043】
該収容体の包装袋を開封し、複室バッグの隔壁を連通して上室内粉末を下室内液に溶解させると、赤色を呈する液が得られ、かくして、粉末が均一に溶解し、投与適正pHの液がえられることが目視確認断できた。
【0044】
尚、2液混合後の混合液の電解質及びフェノールスルホンフタレイン組成は、実施例1と同じであった。
【0045】
【実施例3】
透明性ポリエチレン製バッグ(平均厚み約0.5mm)に、下記組成の液500mlを充填して、本発明収容体を得た。
Na+ 130mEq/l
+ 4mEq/l
Ca2+ 3mEq/l
Cl- 109mEq/l
HCOO3 - 28mEq/l
フェノールスルホンフタレイン 1mg/l
該収容体に注射針を突き刺して1モル/l塩酸(1N−HCl注)3mlを注入した。その結果、注入前の収容体内液の赤橙色が、塩酸水溶液の注入によって黄色に変色することが目視確認断できた。
【0046】
【実施例4】
透明性ポリエチレン製バッグ(平均厚み約0.5mm)に、下記組成の液500mlを充填した。
Na+ 130mEq/l
+ 4mEq/l
Ca2+ 3mEq/l
Cl- 109mEq/l
HCOO3 - 28mEq/l
フェノールスルホンフタレイン 3mg/l
次いで、該バッグを、ナイロン(15μm)/ポリビニルアルコール(18μm)/ポリエチレン(60μm)のラミネートフィルム製袋中に、炭酸ガス50%及び空気50%の混合ガス置換下に封入して、本発明収容体を得た。
【0047】
上記で得た本発明収容体製品の包装袋に、注射針(22G)でピンホール(長径約500μm、短径約50μm)をあけて、経時的に薬液の変色を観察した。
【0048】
その結果、ピンホールを開ける前の収容体内薬液は黄色に観察されたが、ピンホールを開けて72時間後には、赤橙色に観察された。このことから、ピンホール発生による液pHを目視確認できることが判った。

Claims (4)

  1. 連通可能な隔壁を有する少なくとも2室からなる透明性ガス透過性プラスチック製複室バッグからなり、
    前記複室バッグの内容物を混ぜ合わせることにより薬液が形成される収容体であって、
    少なくとも1室に収容された内容物が液体であり、
    さらに、少なくとも1室に収容された内容物がpH指示薬を含むものであり、
    前記複室バッグの内容物が混ぜ合わされることにより形成される薬液が、
    前記少なくとも1室に収容された液体とは異なるpHを有し、
    内容物の混合操作が完全に行われたことを、pH指示薬により呈される色調によって確認することが可能な収容体。
  2. 薬液が、輸液、洗浄液、点眼液、透析液及び眼内灌流液からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の収容体。
  3. pH指示薬がフェノールスルホンフタレインである請求項1又は2に記載の収容体。
  4. 収容体が、さらに透明性ガス非透過性プラスチック製包装体にて包装されている請求項1〜3のいずれかに記載の収容体。
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