JP3088108B2 - ポリエステル樹脂水分散液 - Google Patents

ポリエステル樹脂水分散液

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JP3088108B2 JP02031061A JP3106190A JP3088108B2 JP 3088108 B2 JP3088108 B2 JP 3088108B2 JP 02031061 A JP02031061 A JP 02031061A JP 3106190 A JP3106190 A JP 3106190A JP 3088108 B2 JP3088108 B2 JP 3088108B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は有機溶剤を併用しなくとも良好な乳化安定性
を示すポリエステル樹脂水分散液に関するものである。
[従来の技術] 有機溶剤の使用による大気汚染や作業環境汚染の問
題、更には火災の危険といった問題から、ポリエステル
樹脂を利用する各種産業分野においても脱有機溶剤化の
強い要請が出ている。
この様な要請に答えるべく、本出願人の一人は、特公
昭61−58092、同62−21380、同62−21381並びに同63−3
2100に開示した様な発明を次々に開発してきた。これら
の発明はポリエステル樹脂の水分散化を達成しようとい
う方向の下で研究された成果を開示するもので、いずれ
もスルホン酸塩基含有ジカルボン酸をポリエステル構成
々分の1つとして利用するという点で共通するところが
ある。しかしこれらの発明では、更に幾つかの技術的工
夫を付加しているにもかかわらず、いずれの場合も有機
溶剤の併用を前提におき、その使用量を軽減することに
苦心しているというのが実情である。例えば特公昭62−
21380では、全多塩基酸成分の0.1〜7.4モル%をスルホ
ン酸塩基含有ジカルボン酸で構成することを必須要件と
し、また同62−21381では全多塩基酸成分の11〜100モル
%をスルホ酸塩基含有ジカルボン酸で構成することを必
須要件としているが、いずれの場合もポリオール成分を
特定のものに制限する他、特定の水溶解度を有する有機
溶媒を使用することが必須となっている。また特公昭63
−32100は全多塩基酸成分の0.1〜2モル%をスルホン酸
塩基含有ジカルボン酸で構成するポリエステルセグメン
トに、特定のポリエーテルエステル樹脂を配合するとい
う特異な構成にしつつ、なお且つ特定の水溶性有機化合
物を使用しなければならないものである。これらに対し
スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分の使用量を0.
5〜10モル%にするという技術を開示したが(特公昭61
−58092)、この技術においても沸点60〜200℃の水溶性
有機化合物を併用することを前提としてカルボン酸成分
側条件、ポリオール成分側条件、前記有機化合物や水と
の配合比条件等をこと細かに制限するという技術思想を
ベースとしており、有機溶媒と水を併用する概念からの
脱却は図れておらない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は上記の様な状況下になされたものであって、
有機溶媒を一切使用する必要のないポリエステル樹脂水
分散液の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
[課題を解決する為の手段] 本発明によって提供されるポリエステル樹脂水分散液
は、全多塩基酸成分のうち7.5〜10.9モル%がスルホン
酸塩基含有ジカルボン酸である多塩基酸成分(I)とポ
リオール成分(II)を含む分子量2,000〜30,000の非晶
質ポリエステル樹脂(A)と水(B)とが、下記(1)
式及び(2)式を満足する様に混合された水分散液を製
造するに当たり、前記非晶質ポリエステル樹脂(A)を
有機溶媒を使用することなく水(B)に加えて撹拌する
ことを要旨とするものである。
A+B=100(重量%) ……(1) A/B=1〜70/99〜30(重量比) ……(2) [作用] 前記の様な構成、即ちスルホン酸塩基含有ジカルボン
酸成分を全多塩基酸成分の7.5〜10.9モル%含有する分
子量2,000〜30,000の非晶質ポリエステル樹脂(A)を
用いる場合は、水(B)との配合比を適切に定めること
により、有機溶媒の使用を一切必要としなくなったとい
うことは、これまでの研究開発の経緯からして非常に意
外な事実である。即ち上記従来の開発経緯によれば、ス
ルホン酸塩基含有ジカルボン酸成分の使用量が7.4モル
%未満では水への分散が不可能であると考えられ、一方
11モル%以上になると水への分散は容易となるが、この
水分散液を適用した製品、例えばフィルム製品の耐水性
が悪く、また耐ブロッキング性においても劣るところが
あるという欠点を有していた。従って本発明の様にスル
ホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分の使用量を7.5〜1
0.9モル%に定めたものは水分散性が良好となり、且つ
該水分散液を適用した製品の耐水性および耐ブロッキン
グ性が良好なものになるという事実は非常に意外な発見
であって、本発明は上記発見を基礎とし、更に種々検討
の結果、上記の様な特定の構成要件に到達したものであ
る。
本発明に係るポリエステル樹脂は、多塩基酸成分また
はそのエステル形成性誘導体に、ポリオール成分または
そのエステル形成性誘導体を反応させることによって得
られる実質的に線状のポリマーである。
多塩基酸成分におけるもっとも中心的な多塩基酸とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘ
キサノンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリ
メリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸等を非限定的
に例示することができ、これらの中から1種若しくは2
種以上が使用される。
本発明において特徴的に用いられるスルホン酸塩基含
有ジカルボン酸はポリエステル樹脂内に親水基を導入す
る為のものであって、代表的なものとしては、例えば5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−アンモニウムス
ルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホイソフタル
酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−
ナトリウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイ
ソフタル酸、4−カリウムスルホイソフタル酸、2−カ
リウムスルホテレフタル酸、ナトリウムスルホコハク酸
等の様にアルカリ金属スルホン酸塩基、アンモニウムス
ルホン酸塩基、スルホン酸アミン塩基等を置換分として
含む芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸または脂
環族ジカルボン酸が例示される。そしてこれらのスルホ
ン酸塩基含有ジカルボン酸成分は全多塩基酸成分に対し
て7.5〜10.9モル%、好ましくは10モル%超、10.9モル
%以下使用するものであり、これによって本発明の特有
の効果が発揮される。
一方ポリオール成分については一切の制限がなく、脂
肪族、芳香族並びに脂環族の如何を問わないが、特に代
表的なものを例示すると、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリ
レングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ
ド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリ
コール等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂は上述した多塩基酸成分と
ポリオール成分のみからなるものに限定されず、これら
の成分と共に、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等
の不飽和脂肪族又は不飽和脂肪族多塩基酸、またはp−
ヒドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)
安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等を使用することが
でき、それらは多くても全成分中10モル%以下、好まし
くは5モル%以下である。
非晶質ポリエステル樹脂(A)の分子量を2,000〜30,
000と定めたのは、2,000未満では皮膜の機械的強度が不
十分になり、30,000を超えると水分散液の粘度が高くな
り過ぎて非晶質ポリエステル樹脂の濃度を高くすること
ができないからである。
これらの諸成分を用いて公知の重縮合反応を行なって
ポリエステル樹脂を得た後、水分散液を調製するに当た
っては、樹脂濃度1〜70重量%、好ましくは20〜40重量
%となる様に上記ポリエステル樹脂を70〜80℃の温水に
加え、2〜5時間程度加温下に攪拌する。その結果ポリ
エステル樹脂が温水中へ均一に溶解分散し、これを常温
まで冷却しても均一分散状態は安定に維持される。また
非晶質ポリエステル樹脂(A)の水(B)の比率を1〜
70/99〜30と定めたのは、ポリエステル樹脂が少ないと
きは粘度が低過ぎて被処理物への付着性が悪くなり、他
方多過ぎると粘度が高くなり過ぎて作業性の低下を招く
からである。
尚上記分散液の調製に際しては、該分散液の用途に応
じて種々の添加剤を加えることができる。例えば造膜性
を考慮してポリエステル樹脂100重量部に対して30重量
部以下、好ましくは10重量部以下の可塑剤を添加するこ
とができる。また他の例としては、帯電防止剤、ブロッ
キング防止剤(ワックスやポリエチレンエマルジョン
等)、フィラー(炭酸カルシウム、クレー、シリカ等)
等が挙げられる。尚更に必要であれば他の水溶性樹脂、
例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メ
ラミン樹脂等を混合して使用することもできる。
[実施例] 第1表に示す組成からなるポリエステル樹脂を重縮合
反応によって製造し、下記実施例及び比較例に供した。
実施例1,2、比較例1,2 第1表のA1〜A4で示したポリエステル樹脂30重量部を
70〜80℃の温水70重量部に加え、70℃に保持しながら4
時間攪拌した後、冷却し、固形分30重量%のポリエステ
ル樹脂水分散液を得た。
尚上記水分散液のpHは実施例1,比較例2が6.5、実施
例2、比較例1が6.6であった。
上記した水分散液に水を加えて固形分濃度を10重量%
に薄め、通常のポリエステルフィルム上にバーコーター
No.8を用いて塗布した後、95℃×1分の乾燥及び180℃
×30秒のキュアリングを施し、以下述べる評価を行なっ
た。結果は第2表に示す。
評価基準 (1)乳化安定性;70〜80℃の温水と樹脂の乳化分散後
の液の安定性を肉眼にて判定する。
○…良好 ×…乳化不可 (2)耐 水 性;塗工ポリエステルフィルムを常
温水に24時間浸漬し、フィルム塗工面の変化を肉眼にて
判定する。
○…変化なし △…若干白化 ×…完全白化、剥離あり (3)耐ブロッキング性;50℃×85%RH条件にて、塗工
面と未塗工面を重ねて、荷重10Kg/cm2をかけ24時間放置
後のフィルムの剥離状態を判定する。
○…軽く剥離する △…若干剥離に抵抗あり ×…フィルムが接着する (4)ポリエステルフィルムへの密着性;塗工面に碁板
目に切り込みを入れ、ニチバン(株)セロテープを貼っ
てゴムローラを押しあてた後180゜の剥離状態を判定
し、塗工面の残存碁盤目を確認する。
○…残存率100% △…残存率80%以上 ×…残存率80%未満 (5)接 着 性 ;塗工したポリエステルフィル
ム上に、塩ビ−酢ビ溶液を塗工して乾燥後、碁盤目に切
り込みを入れて、ニチバン(株)のセロテープを貼り、
180゜の剥離状態を判定し、塗工面の残存碁盤目を確認
する。
○…残存率100% △…残存率80%以上 ×…残存率80%未満 上記評価結果のように、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸が7モル%以下の場合は乳化不可であり、11モル
%以上の場合は耐水性、ブロッキング性が悪く、接着性
も若干悪い結果が得られた。
[発明の効果] 本発明は上記の様に構成されているので、完全無溶剤
型のポリエステル樹脂水分散液を得ることが望まれてい
た分野、例えば、ポリエステルフィルム生産時のインラ
イン工程におけるクローズドシステム方式で使用される
塗布剤として大いに期待される。
また、大気汚染の観点からみても、塗料、インキ、接
着剤等の分野においては完全無溶剤型のポリエステル樹
脂水分散液の開発が望まれており、これらの要請に対応
することが可能となった。
その他、ポリエステルフィルム以外のプラスチックフ
ィルム、紙、木材、金属、ガラス等に対する接着および
密着性の向上剤としての使用も可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊達 雅和 大阪府高槻市南平台3丁目4番9号 (72)発明者 小寺 宣一 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋 紡績株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−70426(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全多塩基酸成分のうち7.5〜10.9モル%が
    スルホン酸塩基含有ジカルボン酸である多塩基酸成分
    (I)とポリオール成分(II)を含む分子量2,000〜30,
    000の非晶質ポリエステル樹脂(A)と水(B)とが、
    下記(1)式及び(2)式を満足する様に混合された水
    分散液で、かつ、リン酸塩化合物を含まない水分散液を
    製造するに当たり、前記非晶質ポリエステル樹脂(A)
    を有機溶媒を使用することなく水(B)に加えて撹拌す
    ることを特徴とするポリエステル樹脂水分散液の製造方
    法。 A+B=100(重量%) ……(1) A/B=1〜70/99〜30(重量比) ……(2)
  2. 【請求項2】ポリエステル樹脂(A)を、70〜80℃の温
    水に加え、2〜5時間撹拌するものである請求項1に記
    載のポリエステル樹脂水分散液の製造方法。
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TW593533B (en) * 1999-07-02 2004-06-21 Mitsui Chemicals Inc Aqueous polyester dispersion and process for producing the same

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