JP3080592B2 - ポリエステル系樹脂組成物及びその用途 - Google Patents

ポリエステル系樹脂組成物及びその用途

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JP3080592B2 JP08271392A JP27139296A JP3080592B2 JP 3080592 B2 JP3080592 B2 JP 3080592B2 JP 08271392 A JP08271392 A JP 08271392A JP 27139296 A JP27139296 A JP 27139296A JP 3080592 B2 JP3080592 B2 JP 3080592B2
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克彦 遠見
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性のポリエス
テル系樹脂組成物に関し、更に詳しくは、ポリオレフィ
ンに対して優れた接着性(密着性)を有し、かつ透明性
に優れたポリエステル系樹脂組成物及びその用途に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリエステル系樹脂は耐熱性、
耐候性等に優れており、様々な用途で使用されている
が、なかでも成形体や接着剤、粘着剤、塗料といった分
野では有効に使用されており、かかるポリエステル系樹
脂として、特開昭59−215373号公報にはホット
メルト接着剤として、芳香族ジカルボン酸を主成分とす
る有機ジカルボン酸とアルキレングリコールからなる短
鎖エステル単位と、芳香族ジカルボン酸を主成分とする
有機ジカルボン酸と1,2−ポリブタジエングリコール
あるいはその水添物からなる長鎖エステル単位及び/又
は1,2−ポリブタジエンジカルボン酸あるいはその水
添物とアルキレングリコールからなる長鎖エステル単位
とからなるものが提案されている。又、特開平3−16
7284号公報には粘着剤として水添ポリブタジエン構
造を有するジカルボン酸あるいはポリオールを用いた脂
肪族系ポリエステルのものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭59−215373号公報や特開平3−16728
4号公報に記載の樹脂組成物ではポリオレフィン系樹脂
に対する接着性(密着性)については何ら考慮されてい
ない。ポリオレフィン系樹脂は化学的特性に優れ、軽量
かつ安価である等の優れた特性をもっているため従来か
ら成形品などに多く使用されているが、ポリエチレン、
ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂は非極性
で結晶性が高いため、各種接着剤との接着性が極めて悪
く、又、各種塗料を塗布したときにも形成塗膜との密着
性も悪く、この点がポリオレフィン系樹脂を種々の用途
に展開していく上で大きな難点になっており、ポリオレ
フィン系樹脂に優れた接着(密着)性能を有する樹脂の
開発が望まれている。
【0004】かかる対策として特開昭61−7370号
公報に、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体、ダイマー
酸又はその水添物あるいはそれらの誘導体及びダイマー
酸以外の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体を酸成分と
し、炭素数2〜10のアルキレングリコール、平均分子
量350〜6000の分子中にエーテル結合を含まない
長鎖グリコールをグリコール成分とする熱可塑性共重合
ポリエステルエラストマーと、該熱可塑性共重合ポリエ
ステルエラストマーと混和性のある低分子量熱可塑性物
質とからなる接着剤組成物が提案されているが、本発明
者等が詳細に検討した結果、樹脂組成物の透明性及び接
着性の点で問題が残り、上記組成物ではまだまだ満足の
いくものではなく、最近の技術の高度化に伴い更なる改
良が求められている。又、上記特開平3−167284
号公報等の粘着剤は溶剤を配合することが必要な溶剤系
の粘着剤であり、環境問題等の点から近年溶剤の使用が
問題視されており、溶剤系に代わる水溶系の樹脂組成物
の開発も望まれている。そこで、本発明はこのような背
景下において、上記課題を解決したポリオレフィン系樹
脂に対する接着性(密着性)に優れた、水溶性のポリエ
ステル系樹脂組成物及びその用途を提供することを目的
とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】しかるに、本発明者等
は、かかる問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多
塩基酸(A)成分と、炭素数2以上のアルキル基を側鎖
にもつ分岐ジオール(b−1)及び水添ポリブタジエン
ポリオール(b−2)を必須成分とするグリコール
(B)成分とでエステル化してなるポリエステルポリオ
ールプレポリマー(I)、好ましくは多塩基酸(A)成
分として、少なくとも炭素数2〜20の脂肪族ジカルボ
ン酸(a−1)、又は少なくとも炭素数2〜20の脂肪
族ジカルボン酸(a−1)及び芳香族ジカルボン酸(a
−2)を含有し、更に好ましくは多塩基酸(A)成分と
して少なくとも炭素数2以上のアルキル基を側鎖にもつ
分岐多塩基酸(a−3)を含有してなるポリエステルポ
リオールプレポリマー(I)を、3価以上の多価カルボ
ン酸(C)で鎖延長してなるポリエステル系樹脂(II)
を中和した後、硬化剤を配合してなるポリエステル系樹
脂組成物が、上記目的と合致することを見いだし、更に
はかかる樹脂組成物が透明性にも優れていることを見い
だし、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明はグリコール(B)成分に炭
素数2以上のアルキル基を側鎖にもつ分岐ジオール(b
−1)及び水添ポリブタジエンポリオール(b−2)を
用いたことを最大の特徴としており、これより得られる
本発明のポリエステル系樹脂組成物はポリオレフィン系
樹脂に対する接着性(密着性)に優れ、更には透明性に
も優れたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明のポリエステル系樹脂(II)は、ポリエステルポ
リオールプレポリマー(I)を3価以上の多価カルボン
酸(C)で鎖延長してなる重合体として構成され、該ポ
リエステルポリオールプレポリマー(I)は、多塩基酸
(A)を酸成分とし、炭素数2以上のアルキル基を側鎖
にもつ分岐ジオール(b−1)及び水添ポリブタジエン
ポリオール(b−2)を必須のグリコール(B)成分と
して構成される。
【0008】本発明で用いられる多塩基酸(A)成分と
しては、特に制限されることなく2価以上の酸であれば
よいが、中でも、少なくとも炭素数2〜20の脂肪族ジ
カルボン酸(a−1)、又は少なくとも炭素数2〜20
の脂肪族ジカルボン酸(a−1)及び芳香族ジカルボン
酸(a−2)を含むことが好ましい。
【0009】炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸(a
−1)としては、例えばコハク酸、グルタル酸、2,2
−ジメチルグルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボ
ン酸等が挙げられ、中でも相溶性の点で特にドデカンジ
カルボン酸、セバシン酸、アゼライン酸が好ましい。芳
香族ジカルボン酸(a−2)としては、例えばテレフタ
ル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、フタル酸、1,4
−ナフタール酸、1,5−ナフタール酸、ジフェニン
酸、4,4′−オキシ安息香酸、ジグリコール酸、4,
4′−スルホニルジ安息香酸、2,5−ナフタレンジカ
ルボン酸等が挙げられ、中でも安価であることや反応性
の点で特にテレフタル酸、イソフタル酸が好ましい。但
し、これらに限定されるものではない。
【0010】かかる多塩基酸(A)成分のそれぞれの配
合量については、多塩基酸(A)成分全体に対して、炭
素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸(a−1)を10〜
100重量%、好ましくは20〜70重量%、芳香族ジ
カルボン酸(a−2)を0〜90重量%、好ましくは3
0〜80重量%であることが望まれる。
【0011】上記(a−1)の配合量が10重量%未満
では相溶性不良となり好ましくない。又、(a−2)の
配合量が90重量%を越えると相溶性不良となり透明性
に問題が生じることとなる。
【0012】又、上記多塩基酸(A)成分以外に、本発
明においては炭素数2以上、好ましくは2〜20のアル
キル基を側鎖にもつ分岐多塩基酸(a−3)を含有する
ことも好ましい。該分岐多塩基酸(a−3)としては、
ダイマー酸の水添物、1−ブチルヘキサンジカルボン酸
等が挙げられる。又、分岐多塩基酸(a−3)を用いる
場合、その配合量は酸成分全体に対して10〜90重量
%、好ましくは10〜70重量%であることが望まれ
る。かかる配合量が10重量%未満では相溶性不良とな
り、90重量%を越えると凝集力が弱く、接着力の低下
となり本発明の効果を顕著には発揮しない。
【0013】グリコール(B)成分の必須成分である炭
素数2以上、好ましくは2〜20のアルキル基を側鎖に
もつ分岐ジオール(b−1)としては、2、2′−ブチ
ルエチルプロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキ
サンジオール、2−メチル−2−n−プロパンジオール
が挙げられ、1種又は2種以上が用いられる。好適には
2、2′−ブチルエチルプロパンジオールが用いられ
る。又、グリコール(B)成分の必須成分として水添ポ
リブタジエンポリオール(b−2)も用いられる。該水
添ポリブタジエンポリオール(b−2)としては、下記
化1で示される構造を有するものであり、分子量が30
0〜6000、特に500〜3000のものが良い。
又、ヨウ素価は0〜50、好ましくは0〜20で、水酸
基価は15〜400、好ましくは30〜250であるも
のがよい。
【0014】
【化1】 ここで、nは3〜110の整数である。
【0015】本発明では上記(b−1)、(b−2)の
グリコール(B)成分以外にその他のグリコール成分と
して、炭素数2〜20のアルキレングリコールが用いら
れ、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,9−ノナンジオール等が挙げられ、1種又は2種以
上が用いられる。中でもエチレングリコール、1,4−
ブタンジオール等が好適に採用される。
【0016】上記各々のグリコール(B)成分の配合量
については、特に限定されないが、グリコール(B)成
分全体に対して、炭素数2以上のアルキル基を側鎖にも
つ分岐ジオール(b−1)を10〜90重量%、好まし
くは10〜70重量%、水添ポリブタジエンポリオール
(b−2)を10〜90重量%、好ましくは30〜90
重量%であるのがよい。又、その他のグリコール成分の
配合量はグリコール(B)成分全体に対して、80重量
%以下、好ましくは60重量%以下であることが望まれ
る。
【0017】かかる配合量において、炭素数2以上のア
ルキル基を側鎖にもつ分岐ジオール(b−1)が10重
量%未満では相溶性不良となり、90重量%を越えると
接着力の低下となり好ましくない。又、水添ポリブタジ
エンポリオール(b−2)が10重量%未満ではオレフ
ィンに対する接着性が悪くなり、90重量%を越えると
樹脂の凝集力が弱く、結果的に接着力が低下することと
なり、更に、その他のグリコール成分が80重量%を越
えると相溶性不良と接着力の低下となり好ましくない。
【0018】かくして本発明では上記酸成分とグリコー
ル成分をエステル化してポリエステルポリオールプレポ
リマー(I)が得られるが、該ポリエステルポリオール
プレポリマー(I)の製造方法については特に制限され
ることなく、公知の通常の方法に従って行うことができ
る。例えば、前記の酸成分とグリコール成分を同時に又
は段階的に直接エスエル化するか、あるいはエステル交
換反応させる方法等が採用される。その際、任意の各種
の触媒、安定剤、改質剤、あるいは添加剤等を使用して
もよい。例えば、エステル化の触媒としてはジブチルス
ズオキサイド、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、ラウリル第一錫、
テトラn−ブチルチタネート等がある。溶媒は特に必要
でないが、必要ならば酢酸メチル、ベンゼン、アセト
ン、キシレン、トルエン等の不溶性触媒を使用してもよ
い。又、目的の分子量になるように酸成分とグリコール
成分はモル比でで適宜調節されるが、例えば酸成分:グ
リコール成分=1:1.01〜1:2.0で行うことが
望ましい。
【0019】上記方法によりポリエステルポリオールプ
レポリマー(I)が得られるが、得られたポリエステル
ポリオールプレポリマー(I)は相溶性に優れており、
又、該ポリエステルポリオールプレポリマー(I)は分
子量が500〜30000、好ましくは1000〜20
000で、粘度が1〜10000ポイズ(120℃)、
好ましくは1〜5000ポイズ(120℃)、ガラス転
移温度(Tg)が−60〜50℃、好ましくは−40〜
30℃であることが望まれ、本発明の効果が顕著に発揮
される。
【0020】更に、本発明ではポリエステルポリオール
プレポリマー(I)を3価以上の多価カルボン酸(C)
で鎖延長してポリエステル系樹脂(II)が得られる。3
価以上の多価カルボン酸としては特に制限されず、例え
ばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット
酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−
1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸等が挙げら
れ、中でも特に無水トリメリット酸、ピロメリット酸が
好ましい。かかる3価以上の多価カルボン酸(C)の配
合量については、ポリエステルポリオールプレポリマー
(I)100重量部に対して1〜80部、好ましくは1
〜50部であるのがよい。又、(I)と(C)の鎖延長
方法については、特に制限はなく上記のエステル化方法
と同様の方法により行われる。得られたポリエステル系
樹脂(II)の酸価は10〜200、好ましくは30〜1
50であることが望まれる。
【0021】本発明のポリエステル系樹脂組成物は、上
記ポリエステル系樹脂(II)を中和した後、硬化剤を配
合することにより得られ、ポリオレフィンに対する接着
性(密着性)に優れ、更に透明性に優れた樹脂組成物と
なる。中和に際しては、該ポリエステル系樹脂(II)を
アンモニア等のアルカリ水溶液に溶解させることにより
行われるが、これに限定されず浸漬、噴霧等も可能であ
る。溶解させる場合、濃度については1〜50重量%、
好ましくは5〜40重量%に調整することが望ましい。
該水溶液には本発明の効果を損なわない範囲の溶剤(酢
酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、等)を含有
しても差し支えない。
【0022】上記硬化剤としては、水溶性となり得るも
のであれば特に限定されないが、例えばポリイソシアネ
ート化合物、アミノ化合物、エポキシ化合物、金属塩、
金属キレート等、前記のポリエステル系樹脂(II)に含
まれる水酸基及び/又はカルボキシル基と反応し得る基
を有する化合物であればいかなるものでもよいが、中で
もポリイソシアネート化合物、アミノ化合物が特に好ま
しく用いられる。
【0023】ポリイソシアネート化合物としては、重亜
硫酸ナトリウムでブロック化したエチレンジイソシアネ
ート化合物、ブチレンジイソシアネート化合物、ヘキサ
メチレンジイソシアネート化合物等が挙げられ、又、ア
ミノ化合物としてはメチル化メラミン系水溶性アミノ樹
脂、ベンゾグアナミン系水溶性アミノ樹脂、メチル化尿
素系水溶性アミノ樹脂等が挙げられる。これら上記の硬
化剤は単独又は2種以上の混合系で用いられる。
【0024】硬化剤の配合量については特に限定されず
使用用途に応じて適宜選択されるが、好ましい配合割合
としては、ポリエステル系樹脂(II):硬化剤=50:
50〜99.9:0.1(重量比)、より好ましくは6
0:40〜99:1である。かかる配合割合において、
硬化剤が50重量%を越えると凝集力が強くなり接着力
が低下し、又、0.1重量%未満では凝集力が弱く接着
力が低下することとなり好ましくない。
【0025】本発明のポリエステル系樹脂組成物には、
例えばジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、
トリフェニルホスフェート等の種々の酸の誘導体、グリ
コール誘導体、グリセリン誘導体、エポキシ系誘導体、
低・中分子量のポリエステル系可塑剤、ポリエーテル系
可塑剤、パラフィン系・ナフテン系・芳香族系等のプロ
セスオイル、ひまし油等の軟化剤、あるいは安定剤、無
機・有機充填剤、色料(無機又は有機の顔料、酸性染
料、塩基性染料、油溶染料、分散染料等)、分散剤、湿
潤剤、乳化剤、ゲル化剤、消泡剤、他の熱可塑性樹脂等
を必要に応じて、本発明の効果を損なわない程度に含有
させることができる。
【0026】かくして本発明のポリエステル系樹脂組成
物は、水溶性で溶剤等を使用する必要がないため環境問
題等の心配がなく、又、金属や合成樹脂(ポリオレフィ
ンを除く)のみでなく、非極性で結晶性が高いため接着
性が極めて困難なポリエチレン、ポリプロピレンのよう
なポリオレフィン系樹脂やその成形品(フィルム、シー
ト、カップ、等)に対しても優れた接着(密着)性能を
有する樹脂組成物であり、更に透明性にも優れているた
め接着剤や塗料、コーティングといった用途、特に接着
剤、塗料に有効に用いられる。
【0027】接着剤組成物としては、水に溶解して溶液
状態として一般のアプリケーターあるいはロールコータ
ー、バーコーター等により塗布することができる。又、
塗料組成物としては、木材、金属、合成樹脂、皮、繊維
等の基材に塗布し、基材表面の改良に使用することも有
効である。特に本発明においては、合成樹脂の中でもポ
リオレフィン系樹脂からなる成形品を基材にするとき、
本発明の効果が顕著に発揮される。使用に際しては、濃
度1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%(硬化剤
を含めた濃度)とした水溶液として塗布することが好ま
しい。
【0028】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断り
のない限り重量基準を示す。 施例1 酸成分として、ドデカンジカルボン酸0.20モル、イ
ソフタル酸0.80モル(ドデカンジカルボン酸:イソ
フタル酸=28:72(重量比))、グリコール成分と
して、2,2′−ブチルエチルプロパンジオール0.9
0モル、水添ポリブタジエンポリオール(商品名;ポリ
テールHA、三菱化学社製)0.10モル、エチレング
リコール0.30モル(2,2′−ブチルエチルプロパ
ンジオール:水添ポリブタジエンポリオール:エチレン
グリコール=37:58:5(重量比))、及び触媒と
して酢酸亜鉛2.0×10-4モル/酸、ジブチルスズオ
キサイド2.0×10-4モル/酸を仕込み、窒素雰囲気
下、240℃で溶融加熱してエステル化反応を行い、ポ
リエステルポリオールプレポリマー(I−1)を得た。
(分子量2100、ガラス転移温度(Tg)−31
℃)。
【0029】該ポリエステルポリオールプレポリマー
(I−1)1モルと無水ピロメリット酸0.5モルを上
記に準じて鎖延長反応を行い、ポリエステル系樹脂(II
−1)を得た(分子量5000、ガラス転移温度(T
g)−18℃)。
【0030】得られたポリエステル系樹脂(II−1)2
0部を(II−1)の酸価と当量のアンモニア水80部に
溶解し、該ポリエステル系樹脂の水溶液90部と硬化剤
としてのイソシアネート化合物(商品名;エラストロン
H−38、第一工業製薬社製)10部、及び触媒(商品
名;エラストロンキャタリスト32、第一工業製薬社
製)0.5部を配合し、ポリエステル系樹脂組成物を得
た。該ポリエステル系樹脂組成物について、下記の如き
方法により接着性及び透明性、透明性を評価した。
【0031】(接着性)ポリエステル系樹脂組成物をポ
リエチレンテレフタレート(サイズ:縦6cm、横7c
m、厚み:70μ)に乾燥後の塗布厚が70μとなるよ
うにバーコーターで塗布し、その後100℃で1分間乾
燥したものを、120℃で0.3kg/cm2×10秒
間の条件下でポリプロピレン板と貼合した。次いで60
℃で1日放置し、その後更に20℃、60%RHで1日
放置したものを180度剥離試験により測定した。 (透明性)8mlのガラスビンにポリエステル系樹脂組
成物7gを入れ、光の透過度を測定し、何も入れない状
態を100%として評価した。
【0032】実施例2 実施例1に準じて、表1に示す如き酸成分及びグリコー
ル成分を用いた以外は同様に行い、ポリエステルポリオ
ールプレポリマー(I−2)を得(分子量2200、ガ
ラス転移温度(Tg)−53℃)、更に、実施例1に準
じてポリエステル系樹脂(II−2)を得た(分子量56
00、ガラス転移温度(Tg)−31℃)。
【0033】得られたポリエステル系樹脂(II−2)
を、実施例1と同様、アンモニア水に溶解し、該ポリエ
ステル系樹脂の水溶液90部と硬化剤としてのイソシア
ネート化合物(商品名;エラストロンH−38、第一工
業製薬社製)10部、及び触媒(商品名;エラストロン
キャタリスト32、第一工業製薬社製)0.5部を配合
し、ポリエステル系樹脂組成物を得た。該ポリエステル
系樹脂組成物について、実施例1と同様に接着性及び透
明性を評価した。
【0034】実施例3 実施例1に準じて、表1に示す如き酸成分及びグリコー
ル成分を用いた以外は同様に行い、ポリエステルポリオ
ールプレポリマー(I−3)を得(分子量2300、ガ
ラス転移温度(Tg)−35℃)、更に、実施例1に準
じてポリエステル系樹脂(II−3)を得た(分子量58
00、ガラス転移温度(Tg)−22℃)。
【0035】得られたポリエステル系樹脂(II−3)
を、実施例1と同様、アンモニア水に溶解し、該ポリエ
ステル系樹脂の水溶液90部と硬化剤としてのイソシア
ネート化合物(商品名;エラストロンH−38、第一工
業製薬社製)10部、及び触媒(商品名;エラストロン
キャタリスト32、第一工業製薬社製)0.5部を配合
し、ポリエステル系樹脂組成物を得た。該ポリエステル
系樹脂組成物について、実施例1と同様に接着性及び透
明性を評価した。
【0036】比較例1 実施例1に準じて、表1に示す如き酸成分及びグリコー
ル成分を用いた以外は同様に行い、ポリエステルポリオ
ールプレポリマー(I−4)を得(分子量2100、ガ
ラス転移温度(Tg)−36℃)、更に、実施例1に準
じてポリエステル系樹脂(II−4)を得た(分子量54
00、ガラス転移温度(Tg)−25℃)。該ポリエス
テル系樹脂は白濁し、相溶性不良となるものであった。
【0037】得られたポリエステル系樹脂(II−4)
を、実施例1と同様、アンモニア水に溶解し、該ポリエ
ステル系樹脂の水溶液90部と硬化剤としてのイソシア
ネート化合物(商品名;エラストロンH−38、第一工
業製薬社製)10部、及び触媒(商品名;エラストロン
キャタリスト32、第一工業製薬社製)0.5部を配合
し、ポリエステル系樹脂組成物を得た。該ポリエステル
系樹脂組成物について、実施例1と同様に接着性及び透
明性を評価した。
【0038】比較例2 実施例1に準じて、表1に示す如き酸成分及びグリコー
ル成分を用いた以外は同様に行い、ポリエステルポリオ
ールプレポリマー(I−5)を得(分子量2300、ガ
ラス転移温度(Tg)9℃)、更に、実施例1に準じて
ポリエステル系樹脂(II−5)を得た(分子量580
0、ガラス転移温度(Tg)25℃)。該ポリエステル
系樹脂は白濁し、相溶性不良となるものであった。
【0039】得られたポリエステル系樹脂(II−6)
を、実施例1と同様、アンモニア水に溶解し、該ポリエ
ステル系樹脂の水溶液90部と硬化剤としてのイソシア
ネート化合物(商品名;エラストロンH−38、第一工
業製薬社製)10部、及び触媒(商品名;エラストロン
キャタリスト32、第一工業製薬社製)0.5部を配合
し、ポリエステル系樹脂組成物を得た。該ポリエステル
系樹脂組成物について、実施例1と同様に接着性及び接
着剤を評価した。
【0040】比較例3 実施例1において、ポリエステルポリオールプレポリマ
ーを得た後、多価カルボン酸で鎖延長することなくポリ
エステル系樹脂を得た。得られたポリエステル系樹脂
を、実施例1と同様に行い、ポリエステル系樹脂組成物
を得た。該ポリエステル系樹脂組成物について、実施例
1と同様に接着性及び透明性を評価した。実施例及び比
較例のそれぞれの評価結果を表2に示す。
【0041】
【表1】 酸成分 グリコール成分 カルホ゛ン酸 (a-1) (a-2) (a-3) (b-1) (b-2) 他のク゛リコール成分 (C) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) 実施例1 DDA IPA − BEPG PTHA EG PMAn (28) (72) (28) (67) (5) (10) 〃 2 DDA − − BEPG PTHA EG PMAn (100) (28) (67) (5) (10) 〃 4 DDA IPA DA BEPG PTHA EG PMAn (40) (33) (27) (28) (67) (5) (10) 比較例1 DDA IPA − − PTHA EG NPG PMAn (28) (72) (74) (7) (19) (10) 〃 2 DDA IPA − BEPG − EG PMAn (28) (72) (82) (18) (10) 〃 3 DDA IPA − BEPG PTHA EG − (26) (74) (28) (67) (5)
【0042】注)表中の記号は次の通りである。 (a−1):炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸 (a−2):芳香族ジカルボン酸 (a−3):炭素数2以上のアルキル基を側鎖にもつ分
岐多塩基酸 (b−1):炭素数2以上のアルキル基を側鎖にもつ分
岐ジオール (b−2):水添ポリブタジエンポリオール (C):3価以上の多価カルボン酸(プレポリマー10
0%に対する%) (%):酸成分においては酸成分全体に対する各成分の
重量% グリコール成分においてはグリコール成分全体に対する
各成分の重量% DDA:ドデカンジカルボン酸、IPA:イソフタル
酸、DA:ダイマー酸の水添物、BEPG:2,2′−
ブチルエチルプロパンジオール、PTHA:ポリテール
HA(三菱化学社製)、EG:エチレングリコール、N
PG:ネオペンチルグリコール、PMAn:無水ピロメ
リット酸
【0043】
【表2】
【0044】実施例4〜6、比較例4〜6 実施例1〜3及び比較例1〜3の樹脂20部を水80部
に溶解した。次に、各々の樹脂水溶液90部と硬化剤と
してのイソシアネート化合物(商品名;エラストロンH
−38、第一工業製薬社製)10部及び触媒としてジ−
n−ブチルスズジラウレート0.1部を添加し、ポリエ
ステル系樹脂組成物を得た。各ポリエステル系樹脂組成
物をポリエチレン及びポリプロピレンの厚み2μm、幅
70mm、長さ150mmのテストピース上にバーコー
ターにより、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布
し、その後80℃で15分間乾燥した。各塗膜の密着性
について、乾燥直後の1mmマス目のゴバン目セロテ
ープ剥離密着性及び80℃温水24時間浸漬後の1m
mマス目のゴバン目セロテープ剥離密着性を評価した。
それぞれの評価結果を表3に示す。
【0045】
【表3】 樹脂組成物 密着性 密着性 実施例4 実施例1 100/100 100/100 〃 5 実施例2 100/100 100/100 〃 6 実施例3 100/100 100/100 比較例4 比較例1 100/100 80/100 〃 5 比較例2 0/100 0/100 〃 6 比較例3 100/100 0/100 注)密着性の数値は塗膜の残存率である。
【0046】
【発明の効果】本発明のポリエステル系樹脂組成物は、
水溶性であり環境問題の心配がなく、ポリオレフィン系
樹脂に対する接着性(密着性)に優れた効果を示し、更
に透明性に優れているため、接着剤や塗料、コーティン
グといった用途に有効に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02 C09D 167/00 - 167/02 C09J 167/00 - 167/02

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多塩基酸(A)成分と、炭素数2以上の
    アルキル基を側鎖にもつ分岐ジオール(b−1)及び水
    添ポリブタジエンポリオール(b−2)を必須成分とす
    るグリコール(B)成分とでエステル化してなるポリエ
    ステルポリオールプレポリマー(I)を3価以上の多価
    カルボン酸(C)で鎖延長してなるポリエステル系樹脂
    (II)を中和した後、硬化剤を配合してなることを特徴
    とするポリエステル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 多塩基酸(A)成分として、少なくとも
    炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸(a−1)、又は
    少なくとも炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸(a−
    1)及び芳香族ジカルボン酸(a−2)を含み、多塩基
    酸(A)成分全体に対して、炭素数2〜20の脂肪族ジ
    カルボン酸(a−1)を10〜100重量%、芳香族ジ
    カルボン酸(a−2)を0〜90重量%配合することを
    特徴とする請求項1記載のポリエステル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 多塩基酸(A)成分として、少なくとも
    炭素数2以上のアルキル基を側鎖にもつ分岐多塩基酸
    (a−3)を含有してなることを特徴とする請求項1又
    は2記載のポリエステル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 グリコール(B)成分全体に対して、炭
    素数2以上のアルキル基を側鎖にもつ分岐ジオール(b
    −1)を10〜90重量%、水添ポリブタジエンポリオ
    ール(b−2)を10〜90重量%配合することを特徴
    とする請求項1〜3いずれか記載のポリエステル系樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 ポリエステルポリオールプレポリマー
    (I)100重量部に対して、3価以上の多価カルボン
    酸(C)を1〜80重量部配合することを特徴とする請
    求項1〜4いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ポリエステル系樹脂(II)と硬化剤の配
    合割合が50:50〜99.9:0.1(重量比)であ
    ることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリエ
    ステル系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか記載のポリエステ
    ル系樹脂を用いることを特徴とする接着剤組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6いずれか記載のポリエステ
    ル系樹脂を用いることを特徴とする塗料組成物。
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