JP3087777B2 - 針状ゲータイト粒子粉末の製造法 - Google Patents

針状ゲータイト粒子粉末の製造法

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JP3087777B2 JP03224862A JP22486291A JP3087777B2 JP 3087777 B2 JP3087777 B2 JP 3087777B2 JP 03224862 A JP03224862 A JP 03224862A JP 22486291 A JP22486291 A JP 22486291A JP 3087777 B2 JP3087777 B2 JP 3087777B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録用磁性粒子粉
末を製造する際の出発原料として好適な、微粒子で且つ
軸比(長軸径/短軸径−以下同じ−)が10以上である
針状ゲータイト粒子粉末を工業的に製造することを目的
とする。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化
が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒
体に対する高性能化の必要性が益々生じてきている。即
ち、高記録密度、高感度特性及び高出力特性等が要求さ
れる。磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足さ
せる為に要求される磁性材料粒子粉末の特性は、高い保
磁力と優れた分散性を有することである。
【0003】即ち、磁気記録媒体の高感度化及び高出力
化の為には磁性粒子粉末が出来るだけ微粒子で高い保磁
力を有することが必要であり、この事実は、例えば、株
式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と磁粉の
高分散化技術」(1982年)の第310頁の「‥‥磁
気テープ性能の向上指向は、高感度化と高出力化それに
低ノイズ化にあったから、針状γ−Fe2 3 粒子粉末
の高保磁力化と微粒子化を重点とするものであった。‥
‥」なる記載の通りである。
【0004】微粒子化することにより、前出「磁性材料
の開発と磁粉の高分散化技術」第312頁の「‥‥粒度
が微細になればノイズは低下する‥‥」なる記載の通
り、ノイズを低減して高画質用の磁気記録媒体とするこ
とができる。
【0005】周知の通り、磁性粒子粉末の保磁力の大き
さは、形状異方性、結晶異方性、歪異方性及び交換異方
性のいずれか、若しくはそれらの相互作用に依存してい
る。
【0006】現在、磁気記録用磁性粒子粉末として使用
されている針状マグネタイト粒子粉末、針状マグヘマイ
ト粒子粉末等の磁性酸化鉄粒子粉末や鉄を主成分とする
金属磁性粒子粉末は、その形状に由来する異方性を利用
すること、即ち、軸比を大きくすることによって比較的
高い保磁力を得ている。
【0007】これら既知の磁性粒子粉末は、出発原料で
あるゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱処理し
て得られた針状ヘマタイト粒子を、水素等還元性ガス中
で還元してマグネタイト粒子又は鉄を主成分とする金属
粒子とすることにより、また、前記マグネタイト粒子
を、空気中で酸化してマグヘマイト粒子とすることによ
り得られている。
【0008】上述した通り、微粒子で且つ大きな軸比を
有する磁性粒子粉末は、現在、最も要求されているとこ
ろであり、このような特性を備えた磁性粒子粉末を得る
ためには、出発原料であるゲータイト粒子粉末が微粒子
で且つ軸比が10以上であることが要求される。
【0009】従来、出発原料であるゲータイト粒子粉末
を製造する方法としては、第一鉄塩水溶液に当量以上
の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄
コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の
温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことによ
り針状ゲータイト粒子を生成させる方法(特公昭39−
5610号公報)、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水
溶液とを反応させて得られるFeCOを含む懸濁液に
酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘
状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法(特開昭5
0−80999号公報)、第一鉄塩水溶液に当量未満
の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加
して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶
液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより
針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該針状ゲー
タイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水溶
液中のFe2+に対し当量以上の水酸化アルカリ水溶液
を添加した後酸素含有ガスを通気して前記針状ゲータイ
ト核粒子を成長させる方法(特公昭59−48766号
公報、特開昭59−128293号公報、特開昭59−
128294号公報、特開昭59−128295号公
報)及び第一鉄塩水溶液と当量未満の水酸化アルカリ
水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸
化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガス
を通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核
粒子を生成させ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状
ゲータイト核粒子を成長させる方法(特公昭51−17
518号公報、特開昭55−149136号公報、特開
昭58−60506号公報、特開昭60−11300号
公報、特開昭61−140110号公報、特開昭62−
128929号公報)等が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】微粒子で且つ軸比の大
きい磁性粒子粉末は、現在、最も要求されているところ
であるが、出発原料であるゲータイト粒子粉末を製造す
る前出の方法による場合には、軸比の大きな、殊に、
軸比10以上の針状ゲータイト粒子を生成させることが
できるが、粒子サイズも大きくなる。また、当量以上、
殊に、2当量程度以上の水酸化アルカリ水溶液を使用す
るので経済的ではない。
【0011】前出の方法による場合には、紡錘状を呈
した粒子を生成させることができ、微粒子が得られるが
軸比は高々7程度であり、軸比の大きな粒子が生成し難
いという欠点があり、殊に、この現象は生成粒子の長軸
径が小さくなる程顕著になるという傾向にある。
【0012】また、前出及びにおける方法による場
合には、前記アルカリ水溶液の当量比を低くすれば微粒
子のものはできるが軸比が悪くなり、針状ゲータイト核
粒子の成長反応時間が長くなる。また、前記アルカリ水
溶液の当量比を高くすると針状ゲータイト核粒子の生成
反応時間が長くなり、軸比は大きくなるが粒子サイズも
大きくなる。
【0013】一方、前出いずれの方法においても、高濃
度の反応を短時間で行なう工業的に優れた製造法は未だ
確立されていない。
【0014】そこで、本発明は、微粒子で且つ軸比が1
0以上である針状ゲータイト粒子粉末を工業的に得るこ
とを技術的課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明方法によって達成できる。
【0016】即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液と該液中
のFe2+に対し当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭
酸アルカリ水溶液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカ
リ混合水溶液から選ばれるアルカリ水溶液とを反応して
得られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイ
ドを含む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガスを通気して
前記水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを
酸化することにより、グリーンラストを経由して針状ゲ
ータイト核粒子を生成させ、次いで、該針状ゲータイト
核粒子を成長させることにより針状ゲータイト粒子を生
成させる方法において、前記第一鉄塩反応溶液に酸素含
有ガスを通気して該液中のFe2+の酸化度が30%以下
であって針状ゲータイト核粒子とグリーンラストとの混
合物を含んだ状態にある第一鉄塩反応溶液とし、これに
ゲータイト微粒子粉末を添加し、次いで、当該針状ゲー
タイト核粒子の成長反応を行うことからなる針状ゲータ
イト粒子粉末の製造法である。
【0017】次に、本発明方法実施にあたっての諸条件
について述べる。
【0018】本発明において使用される第一鉄塩水溶液
としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使
用することができる。
【0019】本発明において使用される水酸化アルカリ
水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリ
ウム水溶液等が、炭酸アルカリ水溶液としては、炭酸ナ
トリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウ
ム等が使用することができ、また、これらの混合水溶液
を使用することもできる。
【0020】水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水
溶液の使用量は、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量
未満である。当量以上の場合には、粒度が不均斉であっ
て樹枝状粒子が混在する。また、粒状のマグネタイト粒
子が混在してくることもある。好ましい使用量は、0.
05〜0.85当量の範囲であって、0.05当量未満
の場合には、針状ゲータイト核粒子が極めて短時間で生
成されるので酸化度を制御することが困難である。0.
85当量を越える場合には、粒状のマグネタイトが混在
することもあるので好ましくない。
【0021】本発明においては、グリーンラストと該グ
リーンラストを経由して生成したゲータイト核粒子との
混合物を含む第一鉄塩反応溶液のFe2+の酸化度が30
%以下の液中に、ゲータイト微粒子粉末を添加する。酸
化度が30%を越える場合には、針状ゲータイト核粒子
の粒子サイズが既に大きく成長しているため、成長反応
後に得られる針状ゲータイト粒子の粒子サイズも大きく
なり、微粒子とはいい難い。酸化度が10%未満の場合
にも添加することはできるが、グリーンラストから針状
ゲータイト核粒子を十分に生成させるためには10%以
上が好ましい。
【0022】尚、酸化度は、反応溶液中のFe2+含有量
を測定し、次式により求められる。 (A−B)÷A×100=酸化度(%) 但し、Aは第一鉄塩水溶液と当量未満のアルカリ水溶液
との混合直後の反応溶液中のFe2+含有量 Bは当該混合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+含有
【0023】本発明における前記混合物を含む第一鉄塩
反応溶液に添加するゲータイト微粒子粉末としては、B
ET比表面積20〜150m2 /g、長軸径0.05〜
0.30μm及び軸比(長軸径/短軸径)5〜30であ
る。BET比表面積が150m2 /gを越えるゲータイ
ト微粒子粉末又は長軸径が0.05μm未満のゲータイ
ト微粒子粉末を用いることもできるが工業的には得るこ
とが困難である。BET比表面積が20m2 /g未満又
は長軸径が0.30μmを越える場合には、ゲータイト
核粒子の成長反応を行なっても、添加したゲータイト微
粒子粉末の粒子程大きくならないため、粒度が不均斉と
なる。軸比が5未満又は軸比が30を越える場合にも、
粒度が均斉なゲータイト粒子粉末を得ることができな
い。尚、グリーンラストから生成させる針状ゲータイト
核粒子とBET比表面積は同等以上、長軸径は同等以下
のゲータイト微粒子粉末を添加することが好ましい。
【0024】また、ゲータイト微粒子粉末の添加量は3
〜20重量%である。3重量%未満の場合には、ゲータ
イト微粒子粉末を添加する効果が得られない。20重量
%を越える場合には、ゲータイト微粒子粉末と生成した
ゲータイト粒子との異なる粒度が存在することになるの
で好ましくない。尚、添加するゲータイト微粒子粉末
は、前記乃至及び本発明によって得られたいずれの
方法による微粒子粉末であってもよい。
【0025】本発明における針状ゲータイト核粒子の成
長反応は、針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶
液に必要により、第一鉄塩を添加した後、pH3〜6に
維持しながら酸素含有ガスを通気する方法、前記針状ゲ
ータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に必要により、
第一鉄塩を添加した後、炭酸アルカリ水溶液又は炭酸ア
ルカリ・水酸化アルカリ水溶液を添加してpH8〜10
の範囲で酸素含有ガスを通気する方法並びに前記針状ゲ
ータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に必要により、
第一鉄塩を添加した後、水酸化アルカリ水溶液を添加し
てpH11以上で酸素含有ガスを通気する方法のいずれ
の方法でもよい。
【0026】本発明における針状ゲータイト核粒子の成
長反応に使用されるアルカリ水溶液としては、前記アル
カリ水溶液を使用できる。
【0027】本発明における反応温度は、通常、ゲータ
イト粒子が生成する80℃以下の温度で行えばよい。8
0℃を越える場合には、針状ゲータイト粒子中に粒状マ
グネタイト粒子粉末が混在することがある。
【0028】本発明における酸化手段は、酸素含有ガス
(例えば、空気)を液中に通気することにより行い、必
要により機械的操作による攪拌を伴ってもよい。
【0029】尚、本発明においては、ゲータイト核粒子
の生成反応と該ゲータイト核粒子の成長反応とを同一の
反応塔を用いて行うことができることはもちろん、別々
の反応塔を用いる場合でも本発明の目的とするゲータイ
ト粒子が得られる。
【0030】また、本発明においては、磁性粒子粉末の
特性向上等の為、ゲータイト粒子の生成反応中に通常添
加されるCo、Ni、Zn、P、Al、Si等のFe以
外の異種元素を添加することができ、この場合にも同様
の効果が得られる。
【0031】
【作用】本発明における第一鉄塩水溶液と該液中のFe
2+に対し当量未満のアルカリ水溶液とを反応して得られ
る水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを含
む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガスを通気して前記水
酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを酸化す
ることにより、該液中のFe2+の酸化度が30%以下で
あってグリーンラストを経由して生成した針状ゲータイ
ト核粒子とグリーンラストとの混合物を含んだ状態にあ
る第一鉄塩反応溶液とし、これにゲータイト微粒子粉末
を添加した場合には、前記液中から針状ゲータイト核粒
子の析出を促進させて微細な針状ゲータイト核粒子を生
成させ、次いで、該針状ゲータイト核粒子の成長反応を
行なうことによって、長軸径0.30μm以下の微粒子
で且つ軸比が10以上である針状ゲータイト粒子粉末を
得ている。
【0032】上記反応系について詳しく説明すれば次の
通りである。先ず、 グリーンラストについては、例え
ば、粉体粉末冶金協会昭和43年度秋季大会講演概要集
の第80頁の「‥‥試料は硫酸第一鉄に0.7当量のN
aOHを加え生じたbasic saltを空気酸化し
ながらpHを測定しpH5.5になったところで酸化を
停止する。この時得られる化合物がgreen rus
tである。‥‥」なる記載の通りであり、アルカリの当
量比によっても異なるがグリーンラストを生成するpH
は6.5〜5.5であり、グリーンラストがすべて針状
ゲータイト核粒子に変わるとpHは急激に低下して4以
下となる。
【0033】そこで、本発明者は、前記反応系における
グリーンラストの酸化度と該グリーンラストを経由して
生成されるゲータイト核粒子の状態を検討し、グリーン
ラストと該グリーンラストを経由したゲータイト核粒子
との混合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+の酸化度
が10〜50%の各酸化度において、ゲータイト微粒子
粉末を添加し、針状ゲータイト核粒子を生成させ、次い
で、当該針状ゲータイト核粒子の成長反応を行なって針
状ゲータイト粒子を生成させたところ以下のような結果
が得られた。
【0034】酸化度が30%を越える場合には、ゲータ
イト核粒子の粒子サイズが大きくなるために、得られた
針状ゲータイト粒子の粒子サイズも大きい。これは、一
般にグリーンラストから微細なゲータイト核粒子が生成
され、残存するグリーンラストが微細なゲータイト核粒
子を成長させると考えられていることから、pH6.5
から5.5のグリーンラストの領域において酸化度が3
0%を越えると溶解析出反応により熟成されて粒子サイ
ズが大きくなったものと考えられる。
【0035】そして、後出実施例に示すように酸化度が
30%以下の範囲において、ゲータイト微粒子粉末を添
加し、針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、当該
針状ゲータイト核粒子の成長反応を行なって針状ゲータ
イト粒子を生成させた場合にのみ、長軸径が0.30μ
m以下の微粒子で且つ軸比が10以上てある針状ゲータ
イト粒子が得られる。
【0036】従って、本発明者は、グリーンラスト中に
微細な針状ゲータイト核粒子が生起した後のpH6.5
〜5.5のグリーンラストの領域において、前記第一鉄
反応溶液中のFe2+の酸化度が30%以下である針状ゲ
ータイト核粒子とグリーンラストとの混合物とを含んだ
状態にある第一鉄塩反応溶液とし、これにゲータイト微
粒子粉末を添加すると、急激に、微細で粒度が均斉な針
状ゲータイト核粒子が生成・析出させることができるこ
とがわかり、しかも、短時間で生成させることができる
ことを見いだした。
【0037】また、グリーンラスト領域における反応を
大幅に短縮することができると同時に高濃度の反応も可
能であるので工業的である。
【0038】本発明における針状ゲータイト核粒子の成
長反応としては、前述したように針状ゲータイト核粒子
を含む第一鉄塩反応溶液をpH3〜6に維持しながら酸
素含有ガスを通気する方法、前記針状ゲータイト核粒子
を含む第一鉄塩反応溶液に炭酸アルカリ水溶液又は炭酸
アルカリ・水酸化アルカリ水溶液を添加してpH8〜1
0の範囲で酸素含有ガスを通気する方法並びに前記針状
ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に水酸化アル
カリ水溶液を添加してpH11以上で酸素含有ガスを通
気する方法のいずれの方法でもよい。
【0039】中でも好ましい方法としては、pH8〜1
0の範囲又はpH11以上のアルカリ性領域において成
長反応を行なう方法が、硫黄や塩素等の不純物が粒子表
面に残留付着することもなく、従って、加熱還元時に焼
結が生起して粒子形状が崩れることもないので粒度が均
斉で軸比の大きい、殊に、軸比12以上の針状ゲータイ
ト粒子粉末が得られる。
【0040】また、最も好ましい方法としては、針状ゲ
ータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に炭酸アルカリ
水溶液を添加してpH8〜10の範囲で酸素含有ガスを
通気して酸化反応を行なった場合には、該第一鉄塩反応
溶液中に残存するFe2+と炭酸アルカリとが反応して生
成されたFeCO3 により、粘度が低く高速酸化ができ
るので微粒子で且つ粒度が均斉になるとともに、グリー
ンラストから生成された核粒子の針状晶の晶癖を引き継
いで軸比を大きくすることができるので粒度が均斉で軸
比の大きい、殊に、軸比13以上の針状ゲータイト粒子
粉末が得られる。
【0041】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。尚、以下の実施例並びに比較例における粒子
の長軸径、軸比は、いずれも電子顕微鏡写真から測定し
た数値の平均値で示した。
【0042】酸化度は、第一鉄塩水溶液又は反応溶液を
フラスコに投入し、不活性ガスで置換し通気しながら硫
酸と燐酸との混酸を添加・加熱溶解した後、当該溶液中
のFe2+を酸化還元滴定法により測定し、Fe2+含有量
から次式により求めた。 (A−B)÷A×100=酸化度(%) 但し、Aは第一鉄塩水溶液と当量未満のアルカリ水溶液
との混合直後の反応溶液中のFe2+含有量 Bは当該混合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+含有
【0043】実施例1 Fe2+ 1.0mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20
lと1.0NのNaOH水溶液20 l(硫酸第一鉄
水溶液中のFe2+に対し0.50当量に該当する。)と
を混合し、pH7.4、温度38℃においてFe(O
H)2 を含む硫酸第一鉄反応溶液の生成を行った。上記
Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄反応溶液に温度40℃
において毎分80lの空気を通気し、前記硫酸第一鉄反
応溶液の酸化度が15%のときに、該液中に針状ゲータ
イト微粒子粉末(長軸径0.13μm、軸比8及びBE
T比表面積123m2 /g)120gを添加し、空気を
継続して通気し、ゲータイト粒子を生成させた。この時
のpHは3.8であった。反応溶液の一部を抜き取り、
常法により、濾過、水洗、乾燥して得られた粒子粉末の
電子顕微鏡写真(×30000)を図1に示す。得られ
たゲータイト粒子粉末は、図1に示す通り、長軸径0.
16μm、軸比10の針状粒子であった。
【0044】上記ゲータイト粒子を針状ゲータイト核粒
子として用い、該針状ゲータイト核粒子を含む硫酸第一
鉄反応溶液(ゲータイト核粒子の存在量は生成ゲータイ
ト粒子に対し50mol%に該当する。)に、2.0N
のNa2 CO3 水溶液10l(残存硫酸第一鉄水溶液中
のFe2+に対し2.0当量に該当する。)を加え、pH
9.3、温度45℃において毎分100 lの空気を3
時間通気してゲータイト粒子粉末を生成した。生成ゲー
タイト粒子は、常法により、濾過、水洗、乾燥した。得
られたゲータイト粒子粉末は、図2の電子顕微鏡写真
(×30000)に示す通り、粒度が均斉であって樹枝
状粒子が混在しておらず、長軸径0.18μm、軸比1
3の針状粒子であった。
【0045】実施例2 Fe2+ 1.0mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20
lとヘキサメタリン酸ソーダ(硫酸第一鉄水溶液中の
Fe2+に対しP換算で0.28mol%に該当する。)
5.7gと1.08NのNa2 CO3 水溶液20 l
(硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し0.45当量に該
当する。)とを混合し、pH7.3、温度35℃におい
てFe(OH)2 を含む硫酸第一鉄反応溶液の生成を行
った。上記Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄反応溶液に
温度38℃において毎分80lの空気を通気し、前記硫
酸第一鉄反応溶液の酸化度が10%のときに、該液中に
針状ゲータイト微粒子粉末(長軸径0.17μm、軸比
8及びBET比表面積110m2 /g)80gを添加
し、空気を継続して通気し、ゲータイト粒子を生成させ
た。この時のpHは3.5であった。反応溶液の一部を
抜き取り、常法により、濾過、水洗、乾燥して得られた
粒子粉末の電子顕微鏡写真(×30000)を図3に示
す。得られた針状ゲータイト粒子粉末は、図3に示す通
り、長軸径0.26μm、軸比12の針状粒子であっ
た。
【0046】上記ゲータイト粒子を針状ゲータイト核粒
子として用い、該針状ゲータイト核粒子を含む硫酸第一
鉄反応溶液(ゲータイト核粒子の存在量は生成ゲータイ
ト粒子に対し45mol%に該当する。)に、3号水ガ
ラス(硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対しSi換算で
0.5mol%に該当する。)8.2gと5.94Nの
NaOH水溶液10 l(残存硫酸第一鉄水溶液中のF
2+に対し2.25当量に該当する。)を加え、pH1
3.5、温度40℃において毎分100 lの空気を4
時間通気してゲータイト粒子粉末を生成した。生成ゲー
タイト粒子は、常法により、濾過、水洗、乾燥した。得
られたゲータイト粒子粉末は、図4の電子顕微鏡写真
(×30000)に示す通り、粒度が均斉であって樹枝
状粒子が混在しておらず、長軸径0.33μm、軸比1
5の針状粒子であった。
【0047】比較例1 針状ゲータイト核粒子を含む硫酸第一鉄反応溶液の酸化
度が40%のときに、該液中に針状ゲータイト微粒子粉
末を添加した以外は実施例1と同様にしてゲータイト核
粒子を生成させ、次いで、該ゲータイト核粒子の成長反
応を行なって針状ゲータイト粒子粉末を得た。得られた
ゲータイト核粒子は、電子顕微鏡写真観察の結果、長軸
径0.20μm、軸比14の針状粒子であった。また、
得られた針状ゲータイト粒子は、電子顕微鏡写真観察の
結果、長軸径0.31μm、軸比19の針状粒子であっ
た。それぞれ、実施例1に比べ粒子サイズも大きく粒度
も不均斉であり、反応時間も実施例に比べ3.0倍であ
った。
【0048】比較例2 針状ゲータイト核粒子を含む硫酸第一鉄反応溶液に針状
ゲータイト微粒子粉末を添加しなかった以外は実施例1
と同様にしてゲータイト核粒子を生成させ(酸化度とし
ては50%に相当する。)、次いで、該ゲータイト核粒
子の成長反応を行なって針状ゲータイト粒子粉末を得
た。得られたゲータイト核粒子は、図5の電子顕微鏡写
真(×30000)に示す通り、長軸径0.21μm、
軸比15の針状粒子であった。また、得られた針状ゲー
タイト粒子は、図6の電子顕微鏡写真(×30000)
に示す通り、長軸径0.32μm、軸比20の針状粒子
であった。それぞれ、実施例1に比べ粒子サイズも大き
く、反応時間も実施例に比べ3.2倍であった。
【0049】比較例3 針状ゲータイト核粒子を含む硫酸第一鉄反応溶液に針状
ゲータイト微粒子粉末を添加しなかった以外は実施例2
と同様にしてゲータイト核粒子を生成させ(酸化度とし
ては45%に相当する。)、次いで、該ゲータイト核粒
子の成長反応を行なって針状ゲータイト粒子粉末を得
た。得られたゲータイト核粒子は、図7の電子顕微鏡写
真(×30000)に示す通り、長軸径0.30μm、
軸比18の針状粒子であった。また、得られた針状ゲー
タイト粒子は、図8の電子顕微鏡写真(×30000)
に示す通り、長軸径0.40μm、軸比16の針状粒子
であった。それぞれ、実施例2に比べ粒子サイズも大き
く、反応時間も実施例に比べ2.5倍であった。
【0050】
【発明の効果】本発明に係る針状ゲータイト粒子粉末の
製造法によれば、前出実施例に示した通り、微粒子で且
つ軸比が10以上である針状ゲータイト粒子粉末を工業
的に得ることができる。
【0051】本発明に係る針状ゲータイト粒子粉末を出
発原料とし、加熱還元して得られた針状マグネタイト粒
子粉末や加熱還元し、次いで、酸化して得られた針状マ
グヘマイト粒子粉末もまた微粒子で且つ大きな軸比を有
しているので、高記録密度、高感度、高出力用磁性粒子
粉末として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図2】実施例1で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図3】実施例2で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図4】実施例2で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図5】比較例2で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図6】比較例2で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図7】比較例3で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図8】比較例3で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液と該液中のFe2+に対し
    当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶
    液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカリ混合水溶液か
    ら選ばれるアルカリ水溶液とを反応して得られる水酸化
    第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄
    塩反応溶液に、酸素含有ガスを通気して前記水酸化第一
    鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを酸化することに
    より、グリーンラストを経由して針状ゲータイト核粒子
    を生成させ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を成長さ
    せることにより針状ゲータイト粒子を生成させる方法に
    おいて、前記第一鉄塩反応溶液に酸素含有ガスを通気し
    て該液中のFe2+の酸化度が30%以下であって針状ゲ
    ータイト核粒子とグリーンラストとの混合物を含んだ状
    態にある第一鉄塩反応溶液とし、これにゲータイト微粒
    子粉末を添加し、次いで、当該針状ゲータイト核粒子の
    成長反応を行うことを特徴とする針状ゲータイト粒子粉
    末の製造法。
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