JP3087779B2 - 針状ゲータイト粒子粉末の製造法 - Google Patents

針状ゲータイト粒子粉末の製造法

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JP3087779B2 JP03267242A JP26724291A JP3087779B2 JP 3087779 B2 JP3087779 B2 JP 3087779B2 JP 03267242 A JP03267242 A JP 03267242A JP 26724291 A JP26724291 A JP 26724291A JP 3087779 B2 JP3087779 B2 JP 3087779B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録用磁性粒子粉
末を製造する際の出発原料として好適な粒度が均斉であ
って樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比
(長軸径/短軸径−以下同じ−)を有する針状ゲータイ
ト粒子粉末が工業的に得られる新規製造法を提供するこ
とを目的とする。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化
が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒
体に対する高性能化の必要性が益々生じてきている。即
ち、高記録密度、高感度特性及び高出力特性等が要求さ
れる。磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足さ
せる為に要求される磁性材料粒子粉末の特性は、高い保
磁力と優れた分散性を有することである。
【0003】即ち、磁気記録媒体の高感度化及び高出力
化の為には磁性粒子粉末が出来るだけ高い保磁力を有す
ることが必要であり、この事実は、例えば、株式会社総
合技術センター発行「磁性材料の開発と磁粉の高分散化
技術」(1982年)第310頁の「‥‥磁気テープ性
能の向上指向は、高感度化と高出力化それに低ノイズ化
にあったから、針状γ−Fe2 3 粒子粉末の高保磁力
化と微粒子化を重点とするものであった。‥‥」なる記
載の通りである。
【0004】また、磁気記録媒体の高記録密度の為に
は、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第3
12頁の「‥‥塗布型テープにおける高密度記録のため
の条件は、短波長信号に対して、低ノイズで高出力特性
を保持できることであるが、その為には保磁力Hcと残
留磁化Brが共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄い
ことが必要である。‥‥」なる記載の通り、磁気記録媒
体が高い保磁力と大きな残留磁化Brを有することが必
要であり、その為には磁性粒子粉末が高い保磁力を有
し、ビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填
性が優れていることが要求される。
【0005】周知の通り、磁性粒子粉末の保磁力の大き
さは、形状異方性、結晶異方性、歪異方性及び交換異方
性のいずれか、若しくはそれらの相互作用に依存してい
る。
【0006】現在、磁気記録用磁性粒子粉末として使用
されている針状マグネタイト粒子粉末、針状マグヘマイ
ト粒子粉末等の磁性酸化鉄粒子粉末や鉄を主成分とする
金属磁性粒子粉末は、その形状に由来する異方性を利用
すること、即ち、軸比を大きくすることによって比較的
高い保磁力を得ている。
【0007】これら既知の磁性粒子粉末は、出発原料で
あるゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱処理し
て得られた針状ヘマタイト粒子を、水素等還元性ガス中
で還元してマグネタイト粒子又は鉄を主成分とする金属
粒子とすることにより、また、前記マグネタイト粒子
を、空気中で酸化してマグヘマイト粒子とすることによ
り得られている。
【0008】磁気記録媒体の残留磁化Brは、磁性粒子
粉末のビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充
填性に依存しており、これら特性の向上の為には、ビヒ
クル中に分散させる磁性粒子粉末の粒度が均斉であって
樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有
していることが要求される。
【0009】上述した通り、粒度が均斉であって樹枝状
粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有する磁
性粒子粉末は、現在、最も要求されているところであ
り、このような特性を備えた磁性粒子粉末を得るために
は、出発原料であるゲータイト粒子粉末の粒度が均斉で
あって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸
比を有することが要求される。
【0010】従来、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混
在していない針状ゲータイト粒子を得る為の試みは種々
行われており、有機化合物を用いる技術手段としては、
特公昭47−40758号公報(オキシカルボン酸ある
いはこれらのアルカリ塩)、特公昭53−39880号
公報(水酸基を二個以上含む脂肪族多価アルコール)、
特公昭55−4694号公報(有機ホスホン酸化合
物)、特開昭53−87998号公報(芳香族ニトロ誘
導体)、特開昭59−78930号公報(二重結合を含
む二塩基性酸又はその塩)、特開昭60−21817号
公報(ヒドロキシカルボン酸またはその塩もしくはその
エステル)、特開昭60−21818号公報(ヒドロキ
シカルボン酸またはその塩もしくはそのエステル)、特
開平2−293330号公報(ウロン酸、アルドン酸、
もしくはそれらのラクトンまたはそれらの塩)等が挙げ
られる。
【0011】尚、アルキルアミン又はオキシアルキルア
ミンを用いる先行技術としては、特開昭61−1685
34号公報や特開昭62−120310号公報等に開示
されているものが存在するが、これらはいずれも板状ゲ
ータイト粒子を生成するための技術手段である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記の通り、粒度が均
斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大き
な軸比を有する針状ゲータイト粒子粉末は、現在最も要
求されているところであるが、前出特公昭47−407
58号公報、特開昭53−87998号公報、特開昭5
9−78930号公報、特開昭60−21817号公
報、特開昭60−21818号公報等に開示された技術
手段においては、軸比が10程度以下と小さいものであ
り、特公昭53−39880号公報、特公昭55−46
94号公報、特開平2−293330号公報に開示され
た技術手段においても多くは軸比が10程度であり、一
部に軸比のでやすいアルカリ領域の反応により大きいも
のもあるが、それでも高々15程度である。
【0013】アルカリ領域の反応で軸比がでやすいの
は、前出特開平2−293330号公報の「‥‥一般的
に酸性法は、粒度分布幅の狭い均一な粒子が得られる利
点を有する反面、高軸比の粒子が得られ難くまた加熱脱
水処理等の後処理における形状保持性に劣る欠点を有し
ている。一方アルカリ法は高軸比の粒子が得られ、また
加熱脱水処理等の後処理における形状保持性に優れる利
点を有する反面、粒度分布幅が広くなる欠点を有してい
る。‥‥」なる記載の通りである。
【0014】また、アルカリ法による場合には、通常、
第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し2当量程度以上のアル
カリ水溶液を使用するため、高価になるとともに、余分
に使用したアルカリ水溶液を廃水処理する場合に公害処
理費用がかさみ相当高いものとなる。
【0015】そこで、本発明は、酸性法で粒度が均斉で
あって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな軸
比を有する針状ゲータイト粒子粉末を工業的に製造する
ことを技術的課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明方法によって達成できる。
【0017】即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液と該第一
鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量未満の水酸化アルカリ
水溶液又は炭酸アルカリ水溶液若しくは水酸化アルカリ
・炭酸アルカリ混合水溶液から選ばれるアルカリ水溶液
とを反応して得られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有
沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガ
スを通気して前記水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱
物コロイドを酸化することにより、グリーンラストを経
由して針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該ゲ
ータイト核粒子を成長させることにより針状ゲータイト
粒子を生成させる方法において、前記針状ゲータイト核
粒子が生成する以前の液中にアルキルアミン又はオキシ
アルキルアミンをFe 2+ に対し5〜30mol%存在さ
せておくことからなる長軸径が0.28〜0.39μm
であって、軸比が15〜22である針状ゲータイト粒子
粉末の製造法である。
【0018】次に、本発明方法実施にあたっての諸条件
について述べる。
【0019】本発明において使用される第一鉄塩水溶液
としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使
用することができる。
【0020】本発明において使用される水酸化アルカリ
水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリ
ウム水溶液等が、炭酸アルカリ水溶液としては、炭酸ナ
トリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウ
ム水溶液等が使用することができ、また、これらの混合
水溶液を使用することもできる。
【0021】水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水
溶液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカリ混合水溶液
の使用量は、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量未満
である。当量以上の場合には、粒度が均斉であって樹枝
状粒子が混在していない針状ゲータイト粒子が得られな
い。また、マグネタイト粒子が混在してくることもあ
る。
【0022】本発明における針状ゲータイト核粒子の量
は、生成ゲータイト粒子に対し10mol%以上が好ま
しい。10mol%未満の場合には、生成した針状ゲー
タイト核粒子の形態を維持しながら成長反応が生起する
ことが困難となり、本発明の目的とする針状ゲータイト
粒子が得られない。
【0023】本発明におけるアルキルアミンまたはオキ
シアルキルアミンは、生成する針状ゲータイト粒子の粒
度、樹枝状粒子の有無や軸比等の形態に影響するもので
あるから、針状ゲータイト核粒子が生成する以前の液中
に存在させておくことが必要であり、第一鉄塩水溶液、
水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液若しくは
水酸化アルカリ・炭酸アルカリ混合水溶液、水酸化第一
鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反
応溶液並びにグリーンラストの生成時の反応液のいずれ
の液中に添加してもよい。
【0024】アルキルアミンとしては、メチルアミン、
エチルアミン、プロピルアミン等の脂肪族第一アミン、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン等
の脂肪族第二アミン並びにトリメチルアミン、トリエチ
ルアミン、トリプロピルアミン等の脂肪族第三アミンな
どであり、これらの水溶性のものを使用することができ
る。
【0025】また、オキシアルキルアミンとしては、モ
ノメタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノ
ールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン等であり、これらの水溶性の
ものを使用することができる。
【0026】アルキルアミン又はオキシアルキルアミン
の添加量は、Fe2+に対し5〜30mol%である。5
mol%未満の場合には、本発明の目的とする粒度が均
斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大き
な軸比を有する針状ゲータイト粒子が得られない。30
mol%を越える場合には、生成する針状ゲータイト粒
子の長軸径が小さくなり、その結果、軸比も小さくな
り、本発明の目的とする針状ゲータイト粒子が得られな
い。
【0027】本発明における針状ゲータイト核粒子の成
長反応は、針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶
液に必要により、第一鉄塩を添加した後、pH3〜6に
維持しながら酸素含有ガスを通気する方法、前記針状ゲ
ータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に必要により、
第一鉄塩を添加した後、炭酸アルカリ水溶液又は炭酸ア
ルカリ・水酸化アルカリ混合水溶液を添加してpH8〜
10の範囲で酸素含有ガスを通気する方法並びに前記針
状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に必要によ
り、第一鉄塩を添加した後、水酸化アルカリ水溶液を添
加してpH11以上で酸素含有ガスを通気する方法のい
ずれの方法でもよい。
【0028】本発明における反応温度は、通常、ゲータ
イト粒子が生成する80℃以下の温度で行えばよい。8
0℃を越える場合には、針状ゲータイト粒子中に粒状マ
グネタイト粒子が混在することがある。
【0029】本発明における酸化手段は、酸素含有ガス
(例えば空気)を液中に通気することにより行い、必要
により機械的操作による攪拌を伴ってもよい。
【0030】尚、本発明において、ゲータイト核粒子の
生成反応と該ゲータイト核粒子の成長反応とを同一の反
応塔を用いて行うことができることはもちろん、別々の
反応塔を用いる場合でも本発明の目的とするゲータイト
粒子が得られる。
【0031】また、本発明においては、磁性粒子粉末の
特性向上等の為、ゲータイト粒子の生成反応中に通常添
加されるCo、Ni、Zn、P、Al、Si等のFe以
外の異種元素を添加することができ、この場合にも同様
の効果が得られる。
【0032】
【作用】本発明においては、第一鉄塩水溶液と該液中の
Fe2+に対し当量未満の前記アルカリ水溶液とを反応し
て得られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロ
イドを含む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガスを通気し
て酸化することにより、グリーンラストを経由して針状
ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該ゲータイト核
粒子を成長させることにより針状ゲータイト粒子を生成
させる方法において、前記針状ゲータイト核粒子が生成
する以前の液中にアルキルアミンまたはオキシアルキル
アミンをFe 2+ に対し5〜30mol%存在させた場合
には、粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておら
ず、しかも、軸比の大き針状ゲータイト粒子を得てい
る。
【0033】針状ゲータイト粒子粉末の製造法として
は、酸性法とアルカリ法とがあり、酸性法による場合に
は、形状保持性に劣り、アルカリ法による場合には、形
状保持性に優れていることが、前掲特開平2−2933
30号公報に記載されていることを述べた。
【0034】従って、本発明者は、安価に製造出来る酸
性法により、アルカリ法程度の形状保持性を有する粒度
が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、
大きな軸比を有する針状ゲータイト粒子粉末を得ること
ができる方法について、酸性法とアルカリ法で得られた
それぞれのゲータイト粒子のX線粒径を測定してその違
いを検討した。
【0035】その結果、図1に示すように、ゲータイト
粒子の(100)面のX線粒径と(010)面のX線粒
径との比(以下、D010/D100とする。)が相違
していることが判った。それは、酸性法により得られた
ゲータイト粒子Aは、D010/D100が1.0〜
1.4であるのに対し、アルカリ法で得られたゲータイ
ト粒子Bは、D010/D100が1.6〜2.3であ
った。
【0036】そこで、酸性法によりD010/D100
が2程度となる方法を検討した結果、水酸化第一鉄コロ
イド又は鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液
に酸素含有ガスを通気して酸化し、グリーンラストを経
由してゲータイト核粒子が生成する以前の液中にアルキ
ルアミン又はオキシアルキルアミンを存在させておくこ
とにより、得られる針状ゲータイト粒子のD010/D
100が2に近いものになることを見い出したのであ
る。
【0037】尚、D010/D100の値は、「X線回
折装置 RAD−IIA型」(理学電機(株)製)を用
いて回折線の測定された半価幅からシラー(Scher
rer)の式によりX線粒径を測定し求めた。
【0038】本発明における針状ゲータイト核粒子の成
長反応としては、前述したように針状ゲータイト核粒子
を含む第一鉄塩反応溶液をpH3〜6に維持しながら酸
素含有ガスを通気する方法、前記針状ゲータイト核粒子
を含む第一鉄塩反応溶液に炭酸アルカリ水溶液又は炭酸
アルカリ・水酸化アルカリ混合水溶液を添加してpH8
〜10の範囲で酸素含有ガスを通気する方法並びに前記
針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に水酸化
アルカリ水溶液を添加してpH11以上で酸素含有ガス
を通気する方法のいずれの方法でもよい。
【0039】中でも好ましい方法は、pH8〜10の範
囲又はpH11以上のアルカリ性領域において成長反応
を行なう方法であり、この場合には硫黄や塩素等の不純
物が粒子表面に残留付着することがないので、加熱還元
時に焼結が生起して粒子形状が崩れることもないから粒
度が均斉で軸比の大きい、殊に、軸比15以上の針状ゲ
ータイト粒子粉末が得られる。
【0040】また、最も好ましい方法としては、針状ゲ
ータイト核粒子を含む第一鉄塩反応溶液に炭酸アルカリ
水溶液を添加してpH8〜10の範囲で酸素含有ガスを
通気して酸化反応を行なう方法であり、この場合には該
第一鉄塩反応溶液中に残存するFe2+と炭酸アルカリと
が反応して生成されたFeCO3 により、グリーンラス
トから生成されたゲータイト核粒子の針状晶の晶癖を引
き継いで軸比を更に大きくすることができるので粒度が
均斉で軸比の大きい、殊に、軸比20以上の針状ゲータ
イト粒子粉末が得られる。
【0041】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明方
法を説明する。尚、以下の実施例並びに比較例における
粒子の長軸径及び軸比は、いずれも電子顕微鏡写真から
測定した数値の平均値で示した。
【0042】D010/D100の値は、「X線回折装
置 RAD−IIA型」(理学電機(株)製)を用いて
回折線の測定された半価幅からシラー(Scherre
r)の式によりX線粒径を測定し求めた。
【0043】実施例1 Fe2+ 1.0mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液25
lと1.25NのNaOH水溶液20 l(硫酸第一
鉄水溶液中のFe2+に対し0.5当量に該当する。)と
を混合し、pH7.4、温度38℃においてFe(O
H)2 を含む硫酸第一鉄水溶液の生成を行った。
【0044】上記Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶
液に、モノエタノールアミン 152.8gを含む水溶
液5 l(モノエタノールアミンはFe2+に対し10m
ol%に該当する。)を添加した後、温度40℃におい
て毎分50 lの空気を3時間通気してゲータイト粒子
を生成させた。反応溶液の一部を抜き取り、常法によ
り、濾過、水洗、乾燥して得られた粒子粉末の電子顕微
鏡写真(×30000)を図2に示す。
【0045】得られた針状ゲータイト粒子粉末は、図2
に示す通り、長軸径0.17μm、軸比12の針状粒子
であった。また、粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しない
ものであった。
【0046】上記ゲータイト粒子を針状ゲータイト核粒
子として用い、該針状ゲータイト核粒子を含む硫酸第一
鉄水溶液(ゲータイト核粒子の存在量は生成ゲータイト
粒子に対し50mol%に該当する。)に、5.0Nの
Na2 CO3 水溶液10 l(残存硫酸第一鉄水溶液中
のFe2+に対し2.0当量に該当する。)を加え、pH
9.4、温度40℃において毎分100 lの空気を5
時間通気してゲータイト粒子粉末を生成した。生成ゲー
タイト粒子は、常法により、濾過、水洗、乾燥した。
【0047】得られたゲータイト粒子粉末は、図3の電
子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、長軸径0.
30μm、軸比20の針状粒子であった。また、D01
0/D100は1.85であり、粒度が均斉であって樹
枝状粒子が混在しないものであった。
【0048】実施例2〜5、比較例1〜2 針状ゲータイト核粒子の生成時における第一鉄塩水溶液
の種類及び使用量、アルカリ水溶液の種類、濃度及び使
用量、アルキルアミン又はオキシアルキルアミンの種
類、量及び添加時期、異種元素の種類、量及び添加時
期、生成時の反応温度及び空気の通気量、針状ゲータイ
ト核粒子の成長反応時におけるゲータイト核粒子の存在
量、アルカリ水溶液の種類、濃度及び使用量、反応時の
pH、反応温度及び空気の通気量を種々変化させた以外
は実施例1と同様にして針状ゲータイト粒子を生成し
た。
【0049】この時の主要製造条件及び生成針状ゲータ
イト粒子の諸特性を表1及び表2に示す。
【0050】実施例1乃至5で得られた針状ゲータイト
粒子は電子顕微鏡観察の結果、いずれも粒度が均斉で樹
枝状粒子が混在しないものであり、軸比が大きく、D0
10/D100もほぼ2に近いものであった。
【0051】尚、比較例1で得られた針状ゲータイト粒
子は、粒度が不均斉で樹枝状粒子が混在していた。ま
た、軸比は小さく、D010/D100も1程度のもの
であった。
【0052】比較例2は、グリーンラストを経由して針
状ゲータイト核粒子を生成させることなく、pH11以
上で酸素含有ガスを通気することにより、直接針状ゲー
タイト粒子を生成させるものである。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明に係る針状ゲータイト粒子粉末の
製造法によれば、前出実施例に示した通り、粒度が均斉
であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、大きな
軸比を有する針状ゲータイト粒子粉末を得ることができ
る。
【0056】本発明に係る針状ゲータイト粒子粉末を出
発原料とし、加熱還元して得られた針状マグネタイト粒
子粉末や加熱還元し、次いで、酸化して得られた針状マ
グヘマイト粒子粉末もまた粒度が均斉であって樹枝状粒
子が混在しておらず、しかも、大きな軸比を有している
ので、高記録密度、高感度、高出力用磁性粒子粉末とし
て好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(100)面のX線粒径(D100)とD01
0/D100との関係を示し、酸性法により得られたゲ
ータイト粒子Aとアルカリ法で得られたゲータイト粒子
Bとの関係図である。
【図2】実施例1で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図3】実施例1で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図4】実施例4で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図5】実施例4で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図6】比較例1で得られた針状ゲータイト核粒子粉末
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図7】比較例1で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図8】比較例2で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中の
    Fe2+に対し当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸
    アルカリ水溶液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカリ
    混合水溶液から選ばれるアルカリ水溶液とを反応して得
    られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイド
    を含む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガスを通気して前
    記水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを酸
    化することにより、グリーンラストを経由して針状ゲー
    タイト核粒子を生成させ、次いで、該ゲータイト核粒子
    を成長させることにより針状ゲータイト粒子を生成させ
    る方法において、前記針状ゲータイト核粒子が生成する
    以前の液中にアルキルアミン又はオキシアルキルアミン
    Fe 2+ に対し5〜30mol%存在させておくことを
    特徴とする長軸径が0.28〜0.39μmであって、
    軸比が15〜22である針状ゲータイト粒子粉末の製造
    法。
JP03267242A 1991-09-17 1991-09-17 針状ゲータイト粒子粉末の製造法 Expired - Fee Related JP3087779B2 (ja)

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