JP2885253B2 - 紡錘状を呈したゲータイト粒子粉末の製造法 - Google Patents

紡錘状を呈したゲータイト粒子粉末の製造法

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JP2885253B2
JP2885253B2 JP3208492A JP20849291A JP2885253B2 JP 2885253 B2 JP2885253 B2 JP 2885253B2 JP 3208492 A JP3208492 A JP 3208492A JP 20849291 A JP20849291 A JP 20849291A JP 2885253 B2 JP2885253 B2 JP 2885253B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録用磁性粒子粉
末を製造する際の出発原料として好適な、微粒子で且つ
粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しか
も、軸比(長軸径/短軸径−以下同じ−)の大きい、殊
に、軸比10以上を有する紡錘状を呈したゲータイト粒
子粉末を提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化
が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒
体に対する高性能化の必要性が益々生じてきている。即
ち、高記録密度、高感度特性及び高出力特性等が要求さ
れる。磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足さ
せる為に要求される磁性材料粒子粉末の特性は、高い保
磁力と優れた分散性を有することである。
【0003】即ち、磁気記録媒体の高感度化及び高出力
化の為には磁性粒子粉末が出来るだけ微粒子で高い保磁
力を有することが必要であり、この事実は、例えば、株
式会社総合技術センター発行「‥‥磁性材料の開発と磁
粉の高分散化技術」(1982年)の第310頁の「磁
気テープ性能の向上指向は、高感度化と高出力化それに
低ノイズ化にあったから、針状γ−Fe2 3 粒子粉末
の高保磁力化と微粒子化を重点とするものであった。‥
‥」なる記載の通りである。
【0004】微粒子化することにより、前出「磁性材料
の開発と磁粉の高分散化技術」第312頁の「‥‥粒度
が微細になればノイズは低下する‥‥」なる記載の通
り、ノイズを低減して高画質用の磁気記録媒体とするこ
とができる。
【0005】また、磁気記録媒体の高記録密度の為に
は、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第3
12頁の「‥‥塗布型テープにおける高密度記録のため
の条件は、短波長信号に対して、低ノイズで高出力特性
を保持できることであるが、その為には保磁力Hcと残
留磁化Brが共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄い
ことが必要である。‥‥」なる記載の通り、磁気記録媒
体が高い保磁力と大きな残留磁化Brを有することが必
要であり、その為には磁性粒子粉末が微粒子であって高
い保磁力を有し、ビークル中での分散性、塗膜中での配
向性及び充填性が優れていることが要求される。
【0006】周知の通り、磁性粒子粉末の保磁力の大き
さは、形状異方性、結晶異方性、歪異方性及び交換異方
性のいずれか、若しくはそれらの相互作用に依存してい
る。
【0007】現在、磁気記録用磁性粒子粉末として使用
されている針状マグネタイト粒子粉末、針状マグヘマイ
ト粒子粉末等の磁性酸化鉄粒子粉末や鉄を主成分とする
金属磁性粒子粉末は、その形状に由来する異方性を利用
すること、即ち、軸比を大きくすることによって比較的
高い保磁力を得ている。
【0008】これら既知の磁性粒子粉末は、出発原料で
あるゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱処理し
て得られた針状ヘマタイト粒子を、水素等還元性ガス中
で還元してマグネタイト粒子又は鉄を主成分とする金属
粒子とすることにより、また、前記マグネタイト粒子
を、空気中で酸化してマグヘマイト粒子とすることによ
り得られている。
【0009】磁気記録媒体の残留磁化Brは、磁性粒子
粉末のビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充
填性に依存しており、これら特性の向上の為には、ビヒ
クル中に分散させる磁性粒子粉末が微粒子で且つ粒度が
均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、軸
比が大きいことが要求される。
【0010】上述した通り、微粒子で且つ粒度が均斉で
あって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、軸比の大
きな磁性粒子粉末は、現在、最も要求されているところ
であり、このような特性を備えた磁性粒子粉末を得るた
めには、出発原料であるゲータイト粒子粉末が微粒子で
且つ粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、
しかも、軸比が大きいことが要求される。
【0011】従来、出発原料であるゲータイト粒子粉末
を製造する方法としては、第一鉄塩水溶液に当量以上
の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄
コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の
温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことによ
り針状ゲータイト粒子を生成させる方法(特公昭39−
5610号公報)、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水
溶液とを反応させて得られるFeCOを含む懸濁液に
酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘
状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法(特開昭5
0−80999号公報)、第一鉄塩水溶液に当量未満
の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加
して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶
液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより
針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該針状ゲー
タイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水溶
液中のFe2+量に対し当量以上の水酸化アルカリ水溶
液を添加した後酸素含有ガスを通気して前記針状ゲータ
イト核粒子を成長させる方法(特公昭59−48766
号公報、特開昭59−128293号公報、特開昭59
−128294号公報、特開昭59−128295号公
報)及び第一鉄塩水溶液と当量未満の水酸化アルカリ
水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸
化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガス
を通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核
粒子を生成させ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状
ゲータイト核粒子を成長させる方法(特公昭51−17
518号公報、特開昭55−149136号公報、特開
昭58−60506号公報、特開昭60−11300号
公報、特開昭61−140110号公報、特開昭62−
128929号公報)等が知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記の通り、微粒子で
且つ粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、
しかも、軸比の大きな磁性粒子粉末は、現在、最も要求
されているところであるが、出発原料であるゲータイト
粒子粉末を製造する前出の方法による場合には、軸比
の大きな、殊に、軸比10以上の針状ゲータイト粒子を
生成させることはできても、樹枝状粒子が混在してお
り、また、均斉な粒度を有した粒子とは言い難い。尚、
「針状」とは長軸方向の稜線がほぼ平行である形状を言
う。
【0013】前出の方法による場合には、粒度が均斉
であり樹枝状粒子が混在していない紡錘状を呈したゲー
タイト粒子を生成させることはできても、軸比は高々7
程度であり、軸比の大きな粒子が生成し難いという欠点
があり、殊に、この現象は生成粒子の長軸径が小さくな
る程顕著になるという傾向にある。
【0014】前出の方法は、前出及びのそれぞれ
の方法によって得られる針状ゲータイト粒子の諸特性、
即ち、粒度、軸比及び樹枝状粒子の有無等の改良を目的
とするものではあるが、未だ十分満足出来る諸特性を有
するゲータイト粒子粉末は得られていない。
【0015】前出の方法による場合には、粒度が均斉
な針状ゲータイト粒子が得られるが、酸性乃至中性領域
で得られる針状ゲータイト粒子には、硫黄や塩素等の不
純物が粒子表面に残留付着しているため、加熱還元時に
焼結が生起して粒子形状が崩れやすく、適度な軸比の磁
性粒子粉末が得られ難い。
【0016】そこで、本発明は、微粒子で且つ粒度が均
斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、軸比
の大きな、殊に、軸比10以上を有する紡錘状を呈した
ゲータイト粒子粉末を得ることを技術的課題とするもの
である。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0018】即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液と該液中
のFe2+に対し当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は
炭酸アルカリ水溶液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アル
カリ混合水溶液とを反応して得られる水酸化第一鉄コロ
イド又は鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液
に、酸素含有ガスを通気して前記水酸化第一鉄コロイド
又は鉄含有沈澱物コロイドを酸化することにより、グリ
ーンラストと該グリーンラストを経由して生成したゲー
タイト核粒子との混合物を含む第一鉄塩反応溶液を生成
させ、次いで、この混合物を含む第一鉄塩反応溶液中の
Fe2+の酸化度が10〜30%の範囲にある液中に、
当該液中のFe2+に対し当量以上の炭酸アルカリ水溶
液を添加した後酸素含有ガスを通気して前記ゲータイト
核粒子の成長反応を行なうことからなる長軸径が0.2
5μm未満で軸比(長軸径/短軸径)が10以上を有す
紡錘状を呈したゲータイト粒子粉末の製造法である。
【0019】次に、本発明方法実施にあたっての諸条件
について述べる。
【0020】本発明において使用される第一鉄塩水溶液
としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使
用することができる。
【0021】本発明におけるグリーンラストの生成反応
に使用される水酸化アルカリ水溶液としては、水酸化ナ
トリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が、炭酸アル
カリ水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリ
ウム水溶液、炭酸アンモニウム等が使用することがで
き、また、これらの混合水溶液を使用することもでき
る。
【0022】水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水
溶液の使用量は、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量
未満である。当量以上の場合には、粒度が不均斉であっ
て樹枝状粒子が混在しており、大きな軸比を有する紡錘
状を呈したゲータイト粒子が得られない。また、粒状の
マグネタイト粒子が混在してくることもある。好ましい
使用量は0.15〜0.85当量の範囲であって、0.
15当量未満の場合には、ゲータイト核粒子が極めて短
時間で生成されるので、酸化度を制御することが困難で
ある。0.85当量を越える場合には、粒状のマグネタ
イトが混在することもあり、また、成長反応における炭
酸鉄の割合が少なくなる為、反応が不均一になり、得ら
れるゲータイト粒子の粒度が不均斉となる。
【0023】本発明においては、グリーンラストと該グ
リーンラストを経由して生成したゲータイト核粒子との
混合物を含む第一鉄塩反応溶液のFe2+の酸化度が10
〜30%の範囲にある液中に、当該液中のFe2+に対し
当量以上の炭酸アルカリ水溶液を添加する。酸化度が1
0%未満の場合には、ゲータイト核粒子の生成が不充分
なために成長反応によっても、軸比の小さい紡錘状を呈
したゲータイト粒子しか得られない。酸化度が30%を
越える場合には、ゲータイト核粒子の粒子サイズが既に
大きく成長しているため、得られる紡錘状を呈したゲー
タイト粒子の粒子サイズも大きくなり、微粒子とはいい
難い。
【0024】尚、酸化度は、反応溶液中のFe2+含有量
を測定し、次式により求められる。 (A−B)÷A×100=酸化度(%) 但し、Aは第一鉄塩水溶液と当量未満のアルカリ水溶液
との混合直後の反応溶液中のFe2+含有量 Bは当該混合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+含有
【0025】炭酸アルカリ水溶液の使用量は、当該混合
液を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+対し当量以上であ
る。当量未満の場合には、得られるゲータイト粒子の粒
度が不均斉となり、また、球状マグネタイト粒子が混在
してくる。
【0026】本発明におけるゲータイト核粒子の成長反
応において使用される炭酸アルカリ水溶液としては、前
記炭酸アルカリ水溶液が使用できる。
【0027】本発明における反応温度は、通常、ゲータ
イト粒子が生成する80℃以下の温度で行えばよい。8
0℃を越える場合には、ゲータイト粒子中に粒状マグネ
タイト粒子粉末が混在してくる。
【0028】本発明における酸化手段は、酸素含有ガス
(例えば、空気)を液中に通気することにより行い、必
要により機械的操作による攪拌を伴ってもよい。
【0029】尚、本発明においては、グリーンラストの
生成反応とゲータイト核粒子の成長反応とを同一の反応
塔を用いて行うことができることはもちろん、別々の反
応塔を用いる場合でも本発明の目的とするゲータイト粒
子が得られる。
【0030】また、本発明においては、磁性粒子粉末の
特性向上等の為、ゲータイト粒子の生成反応中に通常添
加されるCo、Ni、Zn、P、Al、Si等のFe以
外の異種元素を添加することができ、この場合にも同様
の効果が得られる。
【0031】
【作用】本発明においては、前記グリーンラストと該グ
リーンラストを経由して生成した針状ゲータイト核粒子
との混合物を含む第一鉄塩反応溶液を生成させ、この混
合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+の酸化度が1
0〜30%の範囲にある液中に、当該液中のFe2+
対し当量以上の炭酸アルカリ水溶液を添加した後酸素含
有ガスを通気して前記ゲータイト核粒子の成長反応を行
なうことによって、長軸径が0.25μm未満の微粒子
で且つ粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておら
ず、しかも、軸比の大きな、殊に、軸比10以上を有す
る紡錘状を呈したゲータイト粒子粉末を得ている。
【0032】上記反応系について詳しく説明すれば次の
通りである。先ず、グリーンラストについては、例え
ば、粉体粉末冶金協会昭和43年度秋季大会講演概要集
の第80頁の「‥‥試料は硫酸第一鉄に0.7当量のN
aOHを加え生じたbasic saltを空気酸化し
ながらpHを測定しpH5.5になったところで酸化を
停止する。この時得られる化合物がgreen rus
tである。‥‥」なる記載の通りであり、アルカリの当
量比によっても異なるがグリーンラストを生成するpH
は6.5〜5.5であり、グリーンラストがすべてゲー
タイト核粒子に変わるとpHは急激に低下して4以下と
なる。
【0033】そこで、本発明者は、前記反応系における
グリーンラストの酸化度と該グリーンラストを経由して
生成されるゲータイト核粒子の状態を検討し、グリーン
ラストと該グリーンラストを経由したゲータイト核粒子
との混合物を含む第一鉄塩反応溶液に、Fe2+の酸化度
0〜50%の各酸化度において、当該液中のFe2+に対
し当量以上の炭酸アルカリ水溶液を添加し、成長反応を
行なって紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させたと
ころ以下のような結果が得られた。
【0034】酸化度が10%未満の場合には、後出比較
例1に示すようにゲータイト核粒子が十分に生成してい
ないために、炭酸アルカリ水溶液による成長反応によっ
ても軸比の小さい紡錘状を呈したゲータイト粒子しか得
られない。酸化度が30%を越える場合には、後出比較
例2に示すようにゲータイト核粒子の粒子サイズが大き
くなるために、針状ゲータイト粒子が得られ粒子サイズ
も大きい。また、酸化度が0%の場合には、後出比較例
3に示すようにゲータイト核粒子が全く生成されていな
いために、前出の方法と同様な軸比の小さい紡錘状を
呈したゲータイト粒子しか得られない。
【0035】そして、後出実施例に示すように、酸化度
が10〜30%の範囲においては、当量以上の炭酸アル
カリ水溶液を添加し、成長反応を行なうことによっての
み、長軸径が0.25μm未満の微粒子で且つ粒度が均
斉であって、しかも、軸比の大きな、殊に、軸比10以
上を有する紡錘状を呈したゲータイト粒子が得られる。
【0036】一般に、グリーンラストから微細なゲータ
イト核粒子が生成され、残存するグリーンラストが微細
なゲータイト核粒子を成長させると考えられており、前
記反応系においてもpH6.5から5.5のグリーンラ
ストの領域において酸化度が30%を越えると溶解析出
反応により熟成されて粒子サイズが大きく成長する。
【0037】一方、前出の方法による第一鉄塩水溶液
と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られるFeCO
3 を含む懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行
なうことにより紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成さ
せた場合には、FeCO3 の粘度が非常に低く高速酸化
が行なわれるため微粒子は得られるが軸比の小さいもの
である。しかし、前記反応系においては、FeCO3
微細なゲータイト核粒子を存在させることにより微粒子
で、しかも、グリーンラストから生成された核粒子の針
状晶の晶癖を引き継ぐので軸比が大きくなる。
【0038】従って、本発明者は、微細なゲータイト核
粒子が生成された時点で当量以上の炭酸アルカリ水溶液
を添加し、直ちに、残存するFe2+と炭酸アルカリ水溶
液とにより生成されたFeCO3 により、微細なゲータ
イト核粒子の成長反応を行なうことができるので微粒子
で且つ粒度が均斉であって、しかも、軸比の大きな紡錘
状を呈したゲータイト粒子が得られたものと考えてい
る。
【0039】本発明においては、当量以上の炭酸アルカ
リ水溶液を添加して成長反応を行なっているので硫黄や
塩素等の不純物が粒子表面に残留付着することもなく、
従って、加熱還元時に焼結が生起して粒子形状が崩れる
こともないので粒度が均斉で適度な軸比の磁性粒子粉末
を得ることができる。
【0040】また、前記混合物を含む第一鉄塩水溶液に
添加する炭酸アルカリ水溶液に代えて水酸化アルカリ水
溶液を使用した場合、ゲータイト核粒子の生成反応にあ
たり当量以上の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ
水溶液を使用した場合のいずれの場合にも、本発明の目
的とする微粒子で且つ粒度が均斉であって樹枝状粒子が
混在しておらず、しかも、軸比の大きなゲータイト粒子
粉末は得られない。
【0041】また、ゲータイト核粒子を当量未満の水酸
化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液により生成さ
せた後に酸性〜中性領域のグリーンラストの存在下で成
長反応を行う技術手段においては、前述した通り、粒度
は均斉なものが得られるとしても、軸比は未だ不十分で
あり、また、硫黄や塩素等の不純物が粒子表面に残留付
着しており、加熱還元時に焼結が生起して粒子形状が崩
れやすく、従って、軸比の大きな磁性粒子粉末を得るこ
とが困難である。
【0042】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。尚、以下の実施例並びに比較例における粒子
の長軸径、軸比は、いずれも電子顕微鏡写真から測定し
た数値の平均値で示した。
【0043】酸化度は、第一鉄塩水溶液又は反応溶液を
フラスコに投入し、不活性ガスで置換し通気しながら硫
酸と燐酸との混酸を添加・加熱溶解した後、当該溶液中
のFe2+を酸化還元滴定法により測定し、Fe2+含有量
から次式により求めた。 (A−B)÷A×100=酸化度(%) 但し、Aは第一鉄塩水溶液と当量未満のアルカリ水溶液
との混合直後の反応溶液中のFe2+含有量 Bは当該混合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+含有
【0044】実施例1 Fe2+1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液13.
3 lと0.75NのNaOH水溶液26.7 l(硫
酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し0.5当量に該当す
る。)とを混合し、pH7.4、温度39℃においてF
e(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶液の生成を行った。
【0045】上記Fe(OH)2 を含む硫酸第一鉄水溶
液に温度42℃において毎分150lの空気を30分間
通気してグリーンラストと該グリーンラストを経由して
生成させたゲータイト核粒子との混合物を含む第一鉄塩
反応溶液を生成させた。反応溶液の一部を抜き取り、測
定した酸化度は25%であった。
【0046】上記ゲータイト核粒子との混合物含む第一
鉄塩反応溶液に、1.33NのNa2 CO3 水溶液15
l(残存硫酸第一鉄水溶液中のFe2+に対し2.0当
量に該当する。)を加え、pH9.2、温度42℃にお
いて毎分100 lの空気を5時間通気してゲータイト
粒子粉末を生成した。生成ゲータイト粒子は、常法によ
り、濾過、水洗、乾燥した。
【0047】得られたゲータイト粒子粉末は、図1の電
子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、粒度が均斉
であって樹枝状粒子が混在しておらず、長軸径0.21
μm、軸比13の紡錘状を呈した粒子であった。
【0048】実施例2〜5、比較例1〜4 グリーンラストとゲータイト核粒子との混合物の生成時
における第一鉄塩水溶液の種類、濃度及び使用量、アル
カリ水溶液の種類、濃度及び使用量、異種元素の種類及
び量、混合時のpH、生成時の反応温度、アルカリ水溶
液の添加時の酸化度、成長反応のアルカリ水溶液の種
類、濃度及び使用量、反応時のpH、反応温度を種々変
化させた以外は実施例1と同様にしてゲータイト粒子を
生成した。
【0049】この時の主要製造条件及び生成ゲータイト
粒子の諸特性を表1及び表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明に係る紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の製造法によれば、前出実施例に示した通り、
長軸径が0.25μm以下の微粒子で且つ粒度が均斉で
あって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、軸比の大
きな、殊に、軸比10以上を有する紡錘状を呈したゲー
タイト粒子粉末を得ることができる。
【0053】本発明に係る紡錘状を呈したゲータイト粒
子粉末を出発原料とし、加熱還元して得られた紡錘状を
呈したマグネタイト粒子粉末や加熱還元し、次いで、酸
化して得られた紡錘状を呈したマグヘマイト粒子粉末も
また微粒子で且つ粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在
しておらず、しかも、軸比の大きい紡錘状を呈した粒子
であるので、高記録密度、高感度、高出力用磁性粒子粉
末として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図2】実施例3で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図3】比較例1で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図4】比較例2で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図5】比較例3で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図6】比較例4で得られた針状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液と該液中のFe2+に対
    し当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水
    溶液若しくは水酸化アルカリ・炭酸アルカリ混合水溶液
    とを反応して得られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有
    沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に、酸素含有ガ
    スを通気して前記水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱
    物コロイドを酸化することにより、グリーンラストと該
    グリーンラストを経由して生成したゲータイト核粒子と
    の混合物を含む第一鉄塩反応溶液を生成させ、次いで、
    この混合物を含む第一鉄塩反応溶液中のFe2+の酸化
    度が10〜30%の範囲にある液中に、当該液中のFe
    2+に対し当量以上の炭酸アルカリ水溶液を添加した後
    酸素含有ガスを通気して前記ゲータイト核粒子の成長反
    応を行なうことを特徴とする長軸径が0.25μm未満
    で軸比(長軸径/短軸径)が10以上を有する紡錘状を
    呈したゲータイト粒子粉末の製造法。
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