JP2704544B2 - 紡錘形を呈した磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 - Google Patents

紡錘形を呈した磁性酸化鉄粒子粉末の製造法

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JP2704544B2 JP1048029A JP4802989A JP2704544B2 JP 2704544 B2 JP2704544 B2 JP 2704544B2 JP 1048029 A JP1048029 A JP 1048029A JP 4802989 A JP4802989 A JP 4802989A JP 2704544 B2 JP2704544 B2 JP 2704544B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、粒子が微細、殊に、0.3μm以下であっ
て、且つ、高い保磁力を有しており、しかも、転写特性
に優れている粒子表面がCoで変成されている紡錘形を呈
した磁性酸化鉄粒子粉末を工業的、経済的に有利に提供
することを目的とする。
〔従来の技術〕
近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化が進むにつれ
て、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対す
る高性能化の必要性が益々生じてきている。即ち、高記
録密度、高感度特性、高出力特性、及び低ノイズ特性等
が要求される。
磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足させる
為に要求される磁性酸化鉄粒子粉末の特性は、粒子が微
細であり、且つ、高い保磁力を有することである。
この事実は、例えば、株式会社総合技術センター発行
「磁性材料の開発と磁粉の高分散技術」(1982年)の第
310頁の「磁気テープ性能の指向は、高感度化と高出力
化それに低ノイズ化にあったから、針状γ−Fe23粒子
粉末の高保磁力化と微粒子化を重点とするものであっ
た。」なる記載、及び同資料第312頁の「針状晶γ−Fe2
3の粒度と磁気テープのノイズには関係があり、粒度
が微細になればノイズは低下することが知られている。
現在、高い保磁力を有する磁性酸化鉄粒子粉末とし
て、所謂、Coドープ型の針状磁性酸化鉄粒子と、所謂、
Co被着型の磁性酸化鉄粒子とが知られており、これら磁
性酸化鉄粒子の保磁力は、Co量が多くなる程高くなる傾
向にある。前者は出発原料である針状ゲータイト粒子の
生成反応にあたり、予めCo塩を添加しておくことによ
り、Co含有針状ゲータイト粒子を生成させ、次いで、還
元してCo含有針状マグネタイト粒子とするか、必要によ
り、更に、酸化してCo含有針状マグヘマイト粒子とする
ことにより、後者は、出発原料である針状ゲータイト粒
子を還元、又は、必要により、更に、酸化して得られた
針状マグネタイト粒子又は針状マグヘマイト粒子を前駆
体粒子として、該前駆体粒子の粒子表面をCo化合物で被
覆することにより得られる。
前者のCoドープ型の磁性酸化鉄粒子粉末は、高い保磁
力を有するものであるが、一方、Coが結晶内に拡散する
等に起因して保磁力分布の拡がりが大きくなり、その結
果、熱的、経時的に不安定であるという欠点を有する。
これに対し、後者のCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末は、熱
的、経時的に安定であるという特徴を有する。
近時、磁性酸化鉄粒子粉末の特性向上に対する要求は
とどまるところがなく、上述した粒子が微細であって、
高い保磁力を有しており、且つ、熱的、経時的に安定で
あることに加えて、更に、対接する磁性層に記録信号が
転写される現象、所謂、転写特性の向上が強く望まれて
いる。
転写特性は、日刊工業新聞社発行「電子技術」(1968
年)第10号第51頁の「‥‥粒子サイズの微小化によるノ
イズレベルの低下につれて、転写効果が劣化するとい
う、好ましくない傾向があることが知られており‥‥」
なる記載の通り、磁性酸化鉄粒子粉末が微細化する程、
殊に、0.3μm以下になると劣化する傾向になる為、高
記録密度、高感度特性及び高出力特性の要求に伴って、
用いられる磁性酸化鉄粒子が益々微細化する傾向にある
今日においては、大きな問題となっている。
粒子表面がCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末の転写特性を
改良する為の方法は、前駆体粒子の粒度分布が出来るだ
け均斉であり、且つ、軸比(長軸径/短軸径)が出来る
だけ大きいことが必要であり、その為には、出発原料で
あるゲータイト粒子の粒度分布が出来るだけ均斉であ
り、且つ、軸比(長軸径/短軸径)が出来るだけ大きい
ことが要求される。
従来、出発原料であるゲータイト粒子粉末を製造する
方法としては、第一鉄塩溶液に当量以上のアルカリ溶液
を加えて得られる水酸化第一鉄粒子を含む溶液をpH11以
上にて80℃以下の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反
応を行うことにより針状ゲータイト粒子を生成させる方
法(特公昭39-5610号公報)、及び、第一鉄塩水溶液と
炭酸アルカリとを反応させて得られたFeCO3を含む水溶
液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより
紡錘形を呈したゲータイト粒子を生成させる方法(特開
昭50-80999号公報)等が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
粒子が微細、殊に、0.3μm以下であって、且つ、高
い保磁力を有しており、、しかも、転写特性に優れてい
るCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末を工業的、経済的に有利
に得ることは、現在、最も要求されているところである
が、出発原料であるゲータイト粒子粉末を製造する前者
の公知方法による場合には、軸比(長軸径/短軸径)の
大きな、殊に、10以上の針状晶ゲータイト粒子が生成す
るが、樹枝状粒子が混在しており、また、粒度から言え
ば、均斎な粒度を有した粒子とは言い難く、また、この
ゲータイト粒子を用いて得られたCo被着型磁性酸化鉄粒
子粉末は、高い保磁力を有するものであるが転写特性が
未だ十分満足できるものとは言い難いものであった。
後者の公知方法による場合には、粒度が均斉であり、
また、樹枝状粒子が混在していない紡錘形を呈した粒子
が生成するが、一方、軸比(長軸径/短軸径)は高々7
程度であり、軸比(長軸径/短軸径)の大きな粒子が生
成し難いという欠点があり、殊に、この現象は生成粒子
の長軸径が小さくなる程顕著になるという傾向にある。
また、このゲータイト粒子を用いて得られたCo被着型磁
性酸化鉄粒子粉末は、高い保磁力を有するものではある
が、転写特性が未だ十分満足できるものとは言い難いも
のであった。
従来、紡錘形を呈したゲータイト粒子の軸比(長軸径
/短軸径)を大きくする方法は種々試みられており、例
えば、特開昭59-232922号公報に開示されている第一鉄
塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られた
FeCO3を含む懸濁易に酸素含有ガスを通気するにあた
り、酸素含有ガスの通気速度を0.1〜2.0cm/sec程度に遅
くするという方法がある。この方法によるときには、0.
5μm程度の場合における軸比(長軸径/短軸径)は10
程度、長軸径0.3μm程度の場合における軸比(長軸径
/短軸径)は8程度であり、更に長軸径が小さくなって
0.05μm程度になると軸比(長軸径/短軸径)は5程度
と小さくなってしまい、未だ軸比(長軸径/短軸径)が
十分大きなものとは言い難い。
また、特開昭59-232922号公報の実施例において、軸
比(長軸径/短軸径)が10の紡錘形を呈したゲータイト
粒子が得られているが、これは、鉄濃度を0.2mol/l程度
と薄くすることにより得られたものであり、工業的、経
済的とは言えず、また、未だ軸比(長軸径/短軸径)が
十分大きなものとは言い難い。
そこで、粒子が微細であって、高い保磁力を有してお
り、且つ、熱的、経時的に安定であり、しかも、転写特
性の優れたCo被着型磁性酸化鉄粒子を工業的、経済的に
有利に得る為の技術手段の確立が強く要求されている。
〔課題を解決する為の手段〕
本発明者は、粒子が微細であって、高い保磁力を有し
ており、且つ、熱的、経時的に安定であり、しかも、転
写特性の優れたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末を工業的、
経済的に有利に得るべく種々検討を重ねた結果、本発明
に到達したのである。
即ち、本発明は、炭酸アルカリ水溶液と第一鉄塩水溶
液とを反応させて得られたFeCO3を含む懸濁液を比酸化
性雰囲気下において熟成した後、該FeCO3を含む懸濁液
中に酸素含有ガスを通気して酸化することにより紡錘形
を呈したゲータイト粒子粉末を生成させるにあたり、前
記炭酸アルカリ水溶液、前記FeCO3を含む懸濁液及び酸
素含有ガスを通気して酸化する前の前記熟成を行わせて
いるFeCO3を含む懸濁液のいずれかの液中に前記炭酸ア
ルカリ水溶液に対し1〜50%の水酸化アルカリ水溶液を
添加することにより、炭酸アルカリ水溶液及び水酸化ア
ルカリ水溶液の総和量が前記第一鉄塩水溶液中のFe2+
対し1.1〜2.5倍当量とするとともに、前記熟成における
熟成温度を30〜60℃、熟成時間を10〜100分間とするこ
とにより、又は、必要により、更に、前記炭酸アルカリ
水溶液、前記第一鉄塩水溶液、前記FeCO3を含む懸濁液
及び酸素含有ガスを通気して酸化する前の前記熟成を行
わせているFeCO3を含む懸濁液のいずれかの液中に、あ
らかじめ亜鉛化合物を存在させておくことにより、亜鉛
を含有するか、又は含有しない紡錘形を呈したゲータイ
ト粒子を生成させ、該ゲータイト粒子若しくはこれを加
熱焼成して得られた亜鉛を含有するか、又は、含有しな
い紡錘形を呈したヘマタイト粒子を還元性ガス中で加熱
還元して得られた亜鉛を含有するか、又は、含有しない
紡錘形を呈したマグネタイト(FeOx・Fe23、0<x
≦1)粒子又は、必要により、更に、酸化して得られた
亜鉛を含有するか、又は、含有しない紡錘形を呈したマ
グヘマイト粒子を前駆体粒子として用い、該前駆体粒子
の水分散液と少なくともCo塩水溶液及びアルカリ性水溶
液とを混合して得られたpH11以上の混合液を50〜100℃
の温度範囲で加熱処理することにより、前記前駆体粒子
の粒子表面をFe及びCoに対し0.5〜15.0原子%のCoで変
成することからなる紡錘形を呈した磁性酸化鉄粒子粉末
の製造法である。
〔作用〕
先ず、本発明において最も重要な点は、炭酸アルカリ
水溶液と第一鉄塩水溶液とを反応させて得られたFeCO3
を含む懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成した後、
該FeCO3を含む懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化
することにより紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末を生
成させる方法において、前記炭酸アルカリ水溶液、前記
FeCO3を含む懸濁液及び酸素含有ガスを通気して酸化す
る前の前記熟成をおこなわせているFeCO3を含む懸濁液
のいずれかの液中に、前記炭酸アルカリ水溶液に対し1
〜50%の水酸化アルカリ水溶液を添加することにより、
炭酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の総和量
が前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し1.1〜2.5倍量当量
とするとともに、前記熟成における熟成温度を40〜60
℃、熟成時間を50〜100分間とした場合には、長軸径0.1
5〜0.45μm、軸比(長軸径/短軸径)が11以上を有す
る紡錘形を呈したゲータイト粒子を得ることができ、該
紡錘形を呈したゲータイト粒子若しくはこれを加熱焼成
して得られた紡錘形を呈したヘマタイト粒子を還元性ガ
ス中で加熱還元して得られた紡錘形を呈したマグネタイ
ト(FeOx・Fe23、0<x≦1)粒子、又は、必要に
より、更に、酸化して得られた紡錘形を呈したマグヘマ
イト粒子は、長軸径が0.1〜0.3μm、軸比(長軸径/短
軸径)が7以上、殊に、8以上であり、これらを前駆体
粒子としてCo変成することにより得られた粒子表面がCo
で変成されている磁性酸化鉄粒子粉末は、粒度が微細で
あって、且つ、高い保磁力を有しており、しかも、転写
特性が優れているという事実である。
また、上記紡錘形を呈したゲータイト粒子を生成させ
る反応において、炭酸アルカリ水溶液、第一鉄塩水溶
液、FeCO3を含む懸濁液及び酸素含有ガスを通気して酸
化する前の熟成を行わせているFeCO3を含む懸濁液のい
ずれかに、あらかじめ亜鉛化合物を存在させた場合に
は、一層軸比(長軸径/短軸径)を向上させることが出
来るため、長軸径0.15〜0.45μm、軸比(長軸径/短軸
径)が15以上である亜鉛を含有する紡錘形を呈したゲー
タイト粒子を得ることができ、該紡錘形を呈したゲータ
イト粒子若しくはこれに加熱焼成して得られた亜鉛を含
有する紡錘形を呈したヘマタイト粒子を還元性ガス中で
加熱還元して得られた亜鉛を含有する紡錘形を呈したマ
グネタイト粒子、必要により、更に、酸化して得られた
亜鉛を含有する紡錘形を呈したマグヘマイト粒子は、長
軸径が0.1〜0.3μm、軸比(長軸径/短軸径)が8以
上、殊に、9以上であり、これら粒子を前駆体粒子とし
てCo変成することにより得られた粒子表面がCoで変成さ
れている磁性酸化鉄粒子粉末もまた、粒度が微細であっ
て、且つ、高い保磁力を有しており、しかも、転写特性
が優れているという事実である。
本発明においては、反応濃度が1.0mol/l程度まで可能
である。
本発明においては、炭酸アルカリ水溶液を単独で使用
する場合に比べ、熟成温度を10℃程度下げた場合にも、
また、熟成時間を40分間程度短縮した場合にも、軸比
(長軸径/短軸径)が大きい紡錘形を呈したゲータイト
粒子を得ることができる。
今、本発明者が行った数多くの実験例からその一部を
抽出して説明すれば、以下の通りである。
図1は、マグヘマイト粒子粉末の長軸径と転写実測値
との関係を示したものである。図1中、直線A、直線B
及び直線Cは、それぞれ本発明における紡錘形を呈した
マグヘマイト粒子粉末、前出特公昭39-5610号公報に記
載の従来法によって得られた針状マグヘマイト粒子粉末
及び前出特開昭50-80999号公報に記載の従来法により得
られた紡錘形を呈したマグヘマイト粒子粉末の場合であ
る。図1に示される通り、本発明における紡錘形を呈し
たマグヘマイト粒子粉末は、転写特性が優れたものであ
る。
本発明における紡錘形を呈したマグネタイト(FeO
・Fe23、0<x≦1)粒子も図1における直線Aと同
様な傾向を示し、転写特性が優れたものである。
ところで、転写特性は、保磁力が480〜500 Oeを越え
て高くなると、保磁力の大きさによる影響を強く受ける
ことが知られている。即ち、図2及び図3は、それぞ
れ、数多くの実験例から本発明者が求めたマグネタイト
粒子粉末、マグヘマイト粒子粉末の保磁力実測値と転写
実測値とり関係を示したものである。同図から保磁力と
転写特性との間には一定の関係があることがわかる。
図4及び図5は、Coで変成されているマグネタイト粒
子粉末、Coで変成されているマグヘマイト粒子粉末の保
磁力700 Oeにおける転写補正値と長軸径との関係を示し
たものである。図4及び図5中、直線A、直線B及び直
線Cは、それぞれ本発明におれる紡錘形を呈したマグヘ
マイト粒子粉末、特公昭39-5610号公報に記載の従来法
により得られた針状マグヘマイト粒子粉末及び特開昭50
-80999号公報に記載の従来法によって得られた紡錘形を
呈したマグヘマイト粒子粉末を前駆体粒子として用い、
Co量をFeに対し0〜15.0原子%とした以外は後出実施例
1と同様にしてCo変成することにより得られたCo被着型
磁性酸化鉄粒子粉末である。図4及び図5に示される通
り、本発明に係る粒子表面がCoで変成されている磁性酸
化鉄粒子粉末は、転写特性が優れたものである。
図6及び図7は、それぞれ硫酸亜鉛の存在量と紡錘形
を呈したゲータイト粒子の長軸及び軸比(長軸径/短軸
径)との関係を示したものである。
即ち、後出実施例4の反応条件下において、硫酸亜鉛
の存在量を0〜10.0重量%とした場合に得られた亜鉛を
含有する紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末の長軸及び
軸比(長軸径/短軸径)を縦軸に、硫酸亜鉛の存在量を
横軸に示したものである。
図6及び図7に示されるように、生成する紡錘形を呈
したゲータイト粒子粉末の長軸は、硫酸亜鉛の存在によ
る影響が小さく、軸比(長軸径/短軸径)は、硫酸亜鉛
の存在量が増加する程大きくなる傾向にある。
このことから、亜鉛化合物は、生成する紡錘形を呈し
たゲータイト粒子の短軸方向の成長を抑制する作用を有
するものと考えられる。
次に、本発明方法実施にあたっての諸条件について述
べる。
本発明において使用される第一鉄塩水溶液としては、
硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等がある。
本発明において使用される炭酸アルカリ水溶液として
は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム
等の水溶液を使用することができる。
本発明において使用される水酸化アルカリ水溶液とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を
使用することができる。
水酸化アルカリ水溶液の添加時期は、炭酸アルカリ水
溶液、FeCO3を含む懸濁液及び酸素含有ガスを通気して
酸化する前の熟成を行わせているFeCO3を含む懸濁液の
いずれの液中に添加してもよく、いずれの場合でも、省
資源、省エネルギーの反応が可能である。
水酸化アルカリの添加量は、炭酸アルカリに対し規定
換算で1〜50%である。
1%未満の場合には、省資源、省エネルギーの反応が
困難である。50%を越える場合には、紡錘形を呈したゲ
ータイト粒子中に粒状を呈したマグネタイト粒子が混在
してくる。
本発明において使用する炭酸アルカリ水溶液及び水酸
化アルカリ水溶液の総和量は、第一鉄塩水溶液中のFeに
対し1.1〜2.5倍当量であり、鉄に対するアルカリ性水溶
液の使用割合を少なくすることが可能である。1.1倍当
量未満の場合には、紡錘形を呈したゲータイト粒子中に
粒状を呈したマグネタイト粒子が混在してくる。2.5倍
当量を越える場合には、高価なアルカリの使用量が多く
なり、経済的ではない。
本発明における熟成は、N2ガス等の不活性ガスを液
中に通気することにより不活性雰囲気下において行い、
また、当該通気ガスや機械的操作等により撹拌しながら
行う。
本発明における熟成温度は30〜60℃である。30℃未満
の場合には、軸比(長軸径/短軸径)が小さくなり、軸
比(長軸径/短軸径)の大きい紡錘形を呈したゲータイ
ト粒子粉末が得られない。60℃を越える場合でも、軸比
(長軸径/短軸径)の大きい紡錘形を呈したゲータイト
粒子粉末を得ることができるが、必要以上に熟成温度を
上げる意味がない。
本発明における熟成時間は、10〜100分間である。10
分未満の場合には、軸比(長軸径/短軸径)の大きい紡
錘形を呈したゲータイト粒子粉末を得ることができな
い。100分を越える場合にも軸比(長軸径/短軸径)の
大きい紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末を得ることが
できるが必要以上に長時間とする意味がない。
本発明における亜鉛化合物は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等
を用いることができる。
亜鉛化合物の添加量は、第一鉄塩水溶液のFeに対しZn
換算で0.3〜10.0原子%である。0.3原子%未満である場
合には、軸比(長軸径/短軸径)が大きな紡錘形を呈し
たゲータイト粒子を得ることができない。10.0原子%を
越える場合にも、軸比(長軸径/短軸径)の大きな紡錘
形を呈したゲータイト粒子を得ることができるが、この
ゲータイト粒子を加熱還元、又は、必要により更に酸化
して得られた磁性酸化鉄粒子の磁化値が低下する。紡錘
形を呈したゲータイト粒子の軸比(長軸径/短軸径)を
考慮した場合、0.5〜8.0原子%が好ましい。
添加した亜鉛化合物は、後出実施例に示す通り、ほぼ
全量が生成する紡錘形を呈したゲータイト中に含有され
る。亜鉛化合物は、生成する紡錘形を呈したゲータイト
粒子の軸比(長軸径/短軸径)に関するものであるか
ら、Fe含有沈澱物を含む懸濁液中に酸素含有ガスを通気
して酸化する前に存在させておくことが必要であり、従
って、その添加時期は、炭酸アルカリ水溶液、第一鉄塩
水溶液、Fe含有沈澱物を含む懸濁液及び酸素含有ガスを
通気する前の熟成を行わせているFe含有沈澱物を含む懸
濁液のいずれかであり、熟成を行わせているFe含有沈澱
物を含む懸濁液に添加するのが最も効果的である。
本発明の酸化時における反応温度は、30〜70℃であ
る。30℃未満である場合には、軸比(長軸径/短軸径)
の大きい紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末を得ること
ができない。70℃を越える場合には、紡錘形を呈したゲ
ータイト粒子中に粒状ヘマタイト粒子粉末が混在してく
る。
本発明におけるpHは7〜11である。7未満、又は11を
越える場合には、紡錘形を呈したゲータイト粒子を得る
ことができない。
本発明における酸化手段は、酸素含有ガス(例えば空
気)を液中に通気することにより行い、また、当該通気
ガスや機械的操作等により撹拌しながら行う。
本発明においては、従来から磁性酸化鉄粒子粉末の各
種特性の向上の為に、ゲータイト粒子の生成に際し、通
常添加されるCo、Ni、Cr、Al、Mn等のFe以外の異種金属
を添加することができ、この場合にも、軸比(長軸径/
短軸径)の大きな紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末が
できる。
本発明における出発原料粒子としては、生成した紡錘
形を呈したゲータイト粒子はもちろん、該ゲータイト粒
子を常法により加熱脱水して得られた紡錘形を呈したヘ
マタイト粒子、前記ゲータイト粒子を常法により非還元
性雰囲気中250〜800℃の温度範囲で加熱処理することに
よって得られた高密度化された紡錘形を呈したヘマタイ
ト粒子のいずれをも使用することができる。
本発明における還元性ガス中における加熱還元処理及
び酸化処理は常法により行うことができる。
また、出発原料粒子は、加熱還元処理に先立って周知
の方法により、Si、Al、P化合物等の焼結防止効果を有
する物質によって、あらかじめ被覆処理して粒子及び粒
子相互間の焼結を防止することにより、出発原料粒子の
粒子形状及び軸比(長軸径/短軸径)を保持継承するこ
とが容易となる。
本発明における前駆体粒子粉末のCo変成は、常法によ
り行うことができ、例えば、特公昭52-24237号公報、特
公昭52-24238号公報、特公昭52-36751号公報及び特公昭
52-36863号公報に記載されているように、前駆体粒子の
水分散液と少なくともCo塩水溶液及びアルカリ性水溶液
とを混合することにより得られたpH11以上の混合液を50
〜100℃の温度範囲で加熱処理することにより行われ
る。
Co塩水溶液は、必要によりFe(II)塩水溶液を含んで
いてもよい。
本発明のCo変成におけるCo塩水溶液としては、硫酸コ
バルト、塩化コバルト、硝酸コバルト等の水溶液があ
る。
Fe(II)塩水溶液としては、硫酸第一鉄、塩化第一
鉄、硝酸第一鉄等がある。
本発明のCo変成におけるアルカリ性水溶液としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。
本発明におけるCo変成の温度は、処理時間に関与する
ものであり、温度を50℃未満とすれば、Co又はCoとFe
(II)で変成されたマグネタイト粒子又はマグヘマイト
粒子が生成し難く、生成するとしても極めて長時間の処
理を必要とする。
本発明におけるCoの変成量は、Fe及びCoに対しCo換算
で0.5〜15.0原子%である。0.5原子%未満である場合に
は、得られる紡錘形を呈したマグネタイト粒子又はマグ
ヘマイト粒子の保磁力を向上させるという効果が得られ
るが、必要以上に変成させる意味がない。
添加したCoは、ほぼ全量が磁性酸化鉄粒子の粒子表面
における変成の為に利用される。
紡錘形を呈したマグネタイト粒子又はマグヘマイト粒
子の保磁力を考慮した場合、2.0〜13.0原子%が好まし
い。
〔実施例〕
次に、実施例並びに比較例により、本発明を説明す
る。
尚、以下の実施例並びに比較例における粒子の長軸
径、軸比(長軸径/短軸径)は、いずれも電子顕微鏡写
真から測定した数値の平均値で示した。また、亜鉛含有
量は、螢光X線分析により測定した値で示した。
本発明における紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末
及び紡錘形を呈したマグヘマイト粒子粉末の転写特性
は、転写実測値と長軸径とを、転写実測値と長軸径との
関係を示す後出図1中の直線Aから求めた下記の式
(1)に挿入し、長軸径0.2μmにおける転写補正値Q1
で示した。
2=40×(0.2−A)+B ‥‥‥‥(1) また、本発明における粒子表面がCoで変成されている
紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末及び紡錘形を呈し
たマグヘマイト粒子粉末の転写特性は、転写実測値及び
保磁力実測値を下記の式(2)に挿入し、保磁力700 Oe
における転写補正値Q2を求め、この転写補正値Q2と長
軸径とを、転写補正値Q2と長軸径との関係を示す後出
図2及び図3中の直線Aから求めた下記の式(3)に挿
入し、保磁力700 Oe、長軸径0.2μmにおける転写補正
値Q3で示した。
2=(700−C)×0.02+B ‥‥‥(2) Q3=40×(0.2−A)+Q2 ‥‥‥(3) 但し、上記式(1)乃至(3)において、 Q1=長軸径0.2μmにおける転写補正値(dB) Q2=保磁力700 Oeにおける転写補正値(dB) Q3=保磁力700 Oe、長軸径0.2μmにおける転写補正値
(dB) A=長軸径(μm) B=転写実測値(dB) C=保磁力実測値(dB) である。
実測値は、社団法人粉体粉末冶金協会発行「粉体およ
び粉末冶金」(1979年)第26巻第4号第149頁及び社団
法人電子通信学会発行「電子通信学会技術研究報告」MR
77-27第2頁に記載の方法に準じて行った。即ち、直径6
mm、高さ5mmの円筒形容器につめた磁性酸化鉄粒子粉末
を50 Oeの磁界中、60℃で80分間保持して磁化した後、
室温まで冷却して、残留磁化Irpを測定し、次いで、こ
の試料に直流磁界をかけ、飽和残留磁化Irsを求め、次
式によって計算したものである。
転写実測値P.T.(dB)=−20log Irp/Irs 〈紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末の製造〉 実施例1〜8 比較例1〜6; 実施例1 毎秒3.4cmの割合でN2ガスを流すことによって非酸化
性雰囲気に保持された反応容器中に、1.32mol/lのNa2CO
3水溶液580l及び13.5mol/lのNaOH水溶液20.0l(Na2CO3
に対し17.6%に該当する。)を添加(Na2CO3及びNaOHの
総和量は、Feに対し1.5倍当量に該当する。)した後、F
e2+1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液400lを添加、混合
(Fe2+濃度は0.60mol/l該当する。)し、温度45℃にお
いてFe含有沈澱物を生成した。
上記Fe含有沈澱物を含む懸濁液中に、引き続きN2
スを毎秒3.4cmの割合で吹き込みながら、温度45℃で50
分間保持した後、当該Fe含有沈澱物からなる懸濁液中
に、温度47℃において毎秒4.5cmの空気を5.5時間通気し
て黄褐色沈澱粒子を生成させた。尚、空気通気中におけ
るpHは8.5〜10.0であった。
黄褐色沈澱粒子を含む懸濁液の一部を、常法により、
別、水洗、乾燥、粉砕した。
得られた黄褐色粒子粉末は、X線回折の結果、ゲータ
イトであり、図8に示す電子顕微鏡写真(×30000)か
ら明らかな通り、平均値で長軸径0.29μm、軸比(長軸
径/短軸径)12.0の紡錘形を呈した粒子からなり、粒度
が均斉で樹枝状粒子が混在しないものであった。
上記紡錘形を呈したゲータイト粒子を含む懸濁液を
別し、水洗したペースト3000g(紡錘形を呈したゲータ
イト粒子約1000gに相当する。)を60lの水中に懸濁させ
た。この時の懸濁液のpHは9.7であった。
次いで、上記懸濁液にヘキサメタリン酸ナトリウム15
gを含む水溶液300ml(紡錘形を呈したゲータイト粒子に
対し1.5wt%に相当する。)を添加して30分間攪拌し
た。次いで、上記懸濁液にケイ酸ナトリウム(3号ガラ
ス)10g(紡錘形を呈したゲータイト粒子に対し1.0wt%
に相当する。)を添加し60分間攪拌した後、懸濁液のpH
が5.8となるように10%の酢酸を添加した後、プレスフ
ィルターにより紡錘形を呈したゲータイト粒子を別、
乾燥してP化合物及びSi化合物で被覆された紡錘形を呈
したゲータイト粒子粉末を得た。
実施例2〜3、比較例1、2、5 Fe含有沈殿物又はFeCo3の生成反応における炭酸アル
カリ水溶液の種類、濃度及び使用量、水酸化アルカリ水
溶液の種類、濃度、使用量、混合割合及び添加時期、Fe
2+水溶液の種類、濃度及び使用量、反応(Fe2+)濃度、
混合時温度、熟成工程における温度及び時間、酸化工程
における温度、空気流量及び反応時間並びに被覆処理工
程における種類及び量を種々変化させた以外は、実施例
1と同様にして黄褐色粒子粉末を得た。
この時の主要製造条件及び諸特性を表1及び表2に示
す。
実施例2〜3で得られた紡錘形を呈したゲータイト粒子
粉末は、いずれも粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しない
ものであった。
また、比較例1及び比較例2で得られた粒子粉末はそ
れぞれ図10及び図11に示す電子顕微鏡写真(×30000)
及びX線回折の結果、いずれも紡錘形を呈したゲータイ
ト粒子中に粒状を呈したマグネタイト粒子が混在してい
た。
実施例4 毎秒3.4cmの割合でN2ガスを流すことによって非酸化
性雰囲気に保持された反応容器中に、0.968mol/lのNa2C
O3水溶液558l及び6.5mol/lのNaOH水溶液42.0l(Na2CO3
に対し25.3%に該当する。)を添加(Na2CO3及びNaOHの
総和量は、Feに対し1.5倍当量に該当する。)した後、F
e2+1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液300lを添加、混合
(Fe2+濃度は0.50mol/l該当する。)し、温度50℃にお
いてFe含有沈澱物を生成した。
上記Fe含有沈澱物を含む懸濁液中に、引き続きN2
スを毎秒3.4cmの割合で吹き込みながら、温度50℃で70
分間保持し、次いで、Feに対しZn3.0原子%を含むよう
に硫酸亜鉛水溶液を添加した後、更に10分間保持した。
熟成後のFe含有沈澱物を含む懸濁液中に、温度50℃にお
いて毎秒4.0cm/秒の空気を6.7時間通気して黄褐色沈澱
粒子を生成させた。尚、空気通気中におけるpHは8.7〜
9.8であった。
黄褐色沈澱粒子を含む懸濁液の一部を、常法により、
別し、水洗、乾燥、粉砕した。
得られた黄褐色粒子粉末は、X線回折の結果、ゲータ
イトであり、図9に示す電子顕微鏡写真(×30000)か
ら明らかな通り、平均値で長軸径0.29μm、軸比(長軸
径/短軸径)17.6の紡錘形を呈した粒子からなり、粒度
が均斉で樹枝状粒子が混在しないものであった。また、
亜鉛含有量は、Fe対しZnで3.0原子%であった。
上記紡錘形を呈したゲータイト粒子を含む懸濁液を
別し、水洗したペースト3000g(紡錘形を呈したゲータ
イト粒子約1000gに相当する。)を60lの水中に懸濁させ
た。この時の懸濁液のpHは9.8であった。
次いで、上記懸濁液にケイ酸ナトリウム(3号ガラ
ス)20g(紡錘形を呈したゲータイト粒子に対し2.0wt%
に相当する。)を添加し60分間攪拌した後、懸濁液のpH
が5.8となるように10%の酢酸を添加した後、プレスフ
ィルターにより紡錘形を呈したゲータイト粒子を別、
乾燥してSi化合物で被覆された紡錘形を呈したゲータイ
ト粒子粉末を得た。
実施例5〜8、比較例3、4、6 Fe含有沈澱物又はFeCO3の生成反応における炭酸アル
カリ水溶液の種類、濃度及び使用量、水酸化アルカリ水
溶液の種類、濃度、使用量、混合割合及び添加時期、Fe
2+水溶液の種類、濃度及び使用量、反応(Fe2+)濃度、
混合時温度、熟成工程における温度及び時間、亜鉛化合
物の添加の有無、種類、添加量及び添加時期、酸化工程
における温度、空気流量及び反応時間並びに被覆処理工
程における種類及び量を種々変化させた以外は、実施例
4と同様にして黄褐色粒子粉末を得た。
この時の主要製造条件及び諸特性を表1及び表2に示
す。
実施例5〜8で得られた紡錘形を呈したゲータイト粒子
粉末は、いずれも粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しない
ものであった。
比較例3及び比較例4で得られた粒子粉末は、それぞ
れ図12及び図13に示す電子顕微鏡写真(30000)及びX
線回折の結果、いずれも紡錘形を呈したゲータイト粒子
中に粒状を呈したマグネタイト粒子が混在していた。
〈焼結防止剤で被覆された紡錘形を呈してヘマタイト粒
子粉末の製造〉 実施例9〜16 比較例7、8; 実施例9 実施例1で得られたP化合物とSi化合物で被覆された
紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末800gを空気中600℃
で加熱処理して、P化合物とSi化合物で被覆された紡錘
形を呈したヘマタイト粒子粉末を得た。
この粒子は、電子顕微鏡観察の結果、平均値で長軸0.
22μm、軸比(長軸径/短軸径)8.4であった。
実施例10〜16、比較例7、8 紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末の種類、及び加熱
処理温度を種々変化させた以外は、実施例9と同様にし
て紡錘形を呈したヘマタイト粒子粉末を得た。
この時の主要製造条件および特性を表3に示す。
〈紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末の製造〉 実施例17〜24 比較例9、10; 実施例17 実施例9で得られた紡錘形を呈したホマタイト粒子粉
末600gを1.0lのレトルト還元容器中に投入し、駆動回転
させながらH2ガスを毎分0.2lの割合で通気し、還元温
度330℃で還元して紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉
末を得た。
得られた紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末は、図
14に示す電子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、平均
値で長軸径0.20μm、軸比(長軸径/短軸径)7.2の紡
錘形を呈した粒子からなり、粒度が均斉で、樹枝状粒子
のないものであった。また、時期測定の結果、保磁力は
365 Oe、飽和磁化は80.6emu/gであって、補正転写値Q1
は45.8dBであった。
実施例18〜24、比較例9、10 ヘマタイト粒子粉末の種類、還元温度を種々変化させ
た以外は、実施例17と同様にして紡錘形を呈したマグネ
タイト粒子粉末を得た。
この時の主要製造条件及び粒子粉末の特性を表4に示
す。
実施例20で得られた紡錘形を呈したマグネタイト粒子
粉末の電子顕微鏡写真(×30000)を図15に示す。
〈紡錘形を呈したマグヘマイト粒子粉末の製造〉 実施例25〜32 比較例11、12; 実施例25 実施例17で得られた紡錘形を呈したマグネタイト粒子
粉末600gを空気中270℃で30分間酸化して紡錘形を呈し
たマグヘマイト粒子粉末を得た。
得られた紡錘形を呈したマグヘマイト粒子粉末は、図
16に示す電子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、平均
値で長軸径0.20μm、軸比(長軸径/短軸径)7.1の紡
錘形を呈した粒子からなり、粒度が均斉で樹枝状粒子の
混在しないものであった。また、磁気測定の結果、保磁
力は400 Oe、飽和磁化は70.5emu/gであって、補正転写
値Q1は54.0dBであった。
実施例26〜32、比較例11、12 紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末の種類を種々変
化させた以外は、実施例25と同様にして紡錘形を呈した
マグヘマイト粒子粉末を得た。
この時の主要製造条件及び粒子粉末の特性を表5に示
す。
実施例28及び比較例11で得られた紡錘形を呈したマグ
ヘマイト粒子粉末の電子顕微鏡写真(×30000)をそれ
ぞれ図17、図18に示す。
〈Coで変成された紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末
の製造〉 実施例33〜40 比較例13、14; 実施例33 実施例17で得られた紡錘形を呈したマグネタイト粒子
粉末100gを可及的に空気の混入を防止しながら硫酸コバ
ルトを用いたコバルト0.085molが溶存している1.0lの水
中に投入し、微細なスラリーになるまで分散させ、次い
で、該分散液に18−NのNaOH水溶液226mlを注加し、更
に水を加えて全容を1.3lとしてOH基濃度3.0mol/lの分散
液とした。該分散液の温度を100℃に昇温し、この温度
で攪拌しながら10時間後にスラリーを取り出し、水洗、
過し、60℃で乾燥して、Coで変成された紡錘形を呈し
たマグネタイト粒子を得た。
得られた粒子は、電子顕微鏡観察の結果、前駆体であ
る紡錘形を呈したマグネタイト粒子の形状、粒度を継承
しており、長軸径0.20μm、軸比(長軸径/短軸径)6.
9の紡錘形を呈した粒子であった。また、磁気測定の結
果、保磁力Hcは760 Oe、飽和磁化σsは77.0emu/gであ
って、転写補正値Q3は53.9dBであった。該粒子は、コ
バルトをCo/(Fe+Co)で6.15原子%含有していた。
実施例34〜40、比較例13〜14 前駆体である紡錘形を呈したマグネタイト粒子の量を
100g、処理液全容量を1.3lとして、前駆体の種類、コバ
ルト添加量、Fe(II)添加量、NaOHの添加量、OH基濃度
及び温度を種々変化させた以外は、実施例33と同様にし
てCo又はCoとFe(II)で変成された紡錘形を呈したマグ
ネタイト粒子を得た。
この主要製造条件及び特性を表6に示す。
実施例36で得られたCoとFe(II)で変成された紡錘形
を呈したマグネタイト粒子粉末の電子顕微鏡写真(×30
000)を図19に示す。
〈Coで変成された紡錘形を呈したマグヘマイト粒子粉末
の製造〉 実施例41〜48 比較例15、16; 実施例41 実施例25で得られた紡錘形を呈したマグヘマイト粒子
粉末100gを可及的に空気の混入を防止しながら硫酸コバ
ルトを用いたコバルト0.153molが溶存している1.0lの水
中に投入し、微細なスラリーになるまで分散させ、次い
で、該分散液に18-6NのNaOH水溶液378mlを注加し、更に
水を加えて全容を1.3lとしてOH基濃度5.0mol/lの分散液
とした。該分散液の温度を100℃に昇温し、この温度で
攪拌しながら10時間後にスラリーを取り出し、水洗、
過し、60℃で乾燥して、Coで変成された紡錘形を呈した
マグヘマイト粒子を得た。
得られた粒子は、図20の電子顕微鏡写真(×30000)
に示す通り、前駆体である紡錘形を呈したマグヘマイト
粒子の形状、粒度を継承しており、長軸径0.20μm、軸
比(長軸径/短軸径)6.5の紡錘形を呈した粒子であっ
た。また、磁気測定の結果、保磁力Hcは912 Oe、飽和磁
化σsは67.9emu/gであって、転写補正値Q3は59.5dBで
あった。該粒子は、コバルトをCo/(Fe+Co)で10.88原
子%含有していた。
実施例42〜48、比較例15、16 前駆体である紡錘形を呈したマグヘマイト粒子の量を
100g、処理液全容量を1.3lとして、前駆体の種類、コバ
ルト添加量、Fe(II)添加量、NaOHの添加量、OH基濃度
及び温度を種々変化させた以外は、実施例41と同様にし
てCo又はCoとFe(II)で変成された紡錘形を呈したマグ
ヘマイト粒子を得た。
この主要製造条件及び特性を表7に示す。
〔発明の効果〕 本発明に係る紡錘形を呈した磁性酸化鉄粒子粉末の製
造法によれば、前出実施例に示した通り、高濃度の反応
が可能で、且つ、アルカリ性水溶液の鉄に対する使用割
合を少なくすることが可能であり、しかも熟成工程にお
けるエネルギー量の節減が可能であることに起因して生
産性を高めることができる省資源、省エネルギーの反応
によって軸比(長軸径/短軸径)が大きい紡錘形を呈し
たゲータイト粒子を得ることが出来ることに起因して、
粒子が微細、殊に、0.3μm以下であって、且つ、高い
保磁力を有しており、しかも、転写特性が優れているCo
で変成されている紡錘形を呈した磁性酸化鉄粒子を工業
的、経済的に有利に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、マグヘマイト粒子粉末の長軸径と転写実測値と
の関係を示したものである。 図2及び図3は、それぞれマグネタイト粒子粉末、マグ
ヘマイト粒子粉末の保磁力実測値と転写実測値との関係
を示したものである。 図4及び図5は、それぞれCoで変成されているマグネタ
イト粒子粉末、Coで変成されているマグヘマイト粒子粉
末の700 Oeにおける転写補正値と長軸径との関係を示し
たものである。 図6及び図7は、それぞれ硫酸亜鉛の存在量と紡錘形を
呈したゲータイト粒子の長軸及び軸比(長軸径/短軸
径)との関係を示したものである。 図8及び図9は、それぞれ、実施例1及び実施例4で得
られた紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末の粒子構造を
示す電子顕微鏡写真(×30000)である。 図10乃至図13は、それぞれ比較例1乃至比較例4で得ら
れた紡錘形を呈したゲータイト粒子粉末と粒状を呈した
マグネタイト粒子粉末との混合粒子粉末の粒子構造を示
す電子顕微鏡写真(×30000)である。 図14及び図15は、それぞれ実施例17及び実施例20で得ら
れた紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末の粒子構造を
示す電子顕微鏡写真(×30000)である。 図16乃至図18は、それぞれ実施例25、実施例28及び比較
例11で得られた紡錘形を呈したマグヘマイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。 図19及び図20は、それぞれ実施例36で得られたCoで変成
されている紡錘形を呈したマグネタイト粒子粉末及び実
施例41で得られたCoで変成されている紡錘形を呈したマ
グヘマイト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
(×30000)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 礒合 勝 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号 戸田工業株式会社創造センター内 審査官 平塚 政宏 (56)参考文献 特開 平1−115827(JP,A) 特開 平2−51429(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭酸アルカリ水溶液と第一鉄塩水溶液とを
    反応させて得られたFeCo3を含む懸濁液を非酸化性雰囲
    気下において熟成した後、該FeCO3を含む懸濁液中に酸
    素含有ガスを通気して酸化することにより紡錘形を呈し
    たゲータイト粒子粉末を生成させるにあたり、前記炭酸
    アルカリ水溶液、前記FeCO3を含む懸濁液及び酸素含有
    ガスを通気して酸化する前の前記熟成を行わせているFe
    CO3を含む懸濁液のいずれかの液中に前記炭酸アルカリ
    水溶液に対し1〜50%の水酸化アルカリ水溶液を添加す
    ることにより、炭酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリ
    水溶液の総和量が前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し1.
    1〜2.5倍当量とするとともに、前記熟成における熟成温
    度を30〜60℃、且つ、熟成時間を10〜100分間とするこ
    とにより、紡錘形を呈したゲータイト粒子を生成させ、
    該ゲータイト粒子若しくはこれを加熱焼成して得られた
    紡錘形を呈したヘマタイト粒子を還元性ガス中で加熱還
    元して得られた紡錘形を呈したマグネタイト(FeOx・F
    e23、0<x≦1)粒子又は、必要により、更に、酸
    化して得られた紡錘形を呈したマグヘマイト粒子を前駆
    体粒子として用い、該前駆体粒子の水分散液と少なくと
    もCo塩水溶液及びアルカリ性水溶液とを混合して得られ
    たpH11以上の混合液を50〜100℃の温度範囲で加熱処理
    することにより、前記前駆体粒子の粒子表面をFe及びCo
    に対し0.5〜15.0原子%のCoで変成することを特徴とす
    る紡錘形を呈した磁性酸化鉄粒子粉末の製造法。
  2. 【請求項2】炭酸アルカリ水溶液と第一鉄塩水溶液とを
    反応させて得られたFeCO3を含む懸濁液を非酸化性雰囲
    気下において熟成した後、該FeCO3を含む懸濁液中に酸
    素含有ガスを通気して酸化することにより紡錘形を呈し
    たゲータイト粒子粉末を生成させるにあたり、前記炭酸
    アルカリ水溶液、前記FeCO3を含む懸濁液及び酸素含有
    ガスを通気して酸化する前の前記熟成を行わせているFe
    CO3を含む懸濁液のいずれかの液中に前記炭酸アルカリ
    水溶液に対し1〜50%の水酸化アルカリ水溶液を添加す
    ることにより、炭酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリ
    水溶液の総和量が前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し1.
    1〜2.5倍当量とするとともに、前記熟成における熟成温
    度を30〜60℃、熟成時間を10〜100分間とし、且つ、前
    記炭酸アルカリ水溶液、前記第一鉄塩水溶液、前記FeCO
    3を含む懸濁液及び酸素含有ガスを通気して酸化する前
    の前記熟成を行わせているFeCO3を含む懸濁液のいずれ
    かに、あらかじめ亜鉛化合物を存在させておくことによ
    り、亜鉛を含有する紡錘形を呈したゲータイト粒子を生
    成させ、該ゲータイト粒子若しくはこれを加熱焼成して
    得られた亜鉛を含有する紡錘形を呈したヘマタイト粒子
    を還元性ガス中で加熱還元して得られた亜鉛を含有する
    紡錘形を呈したマグネタイト(FeOx・Fe23、0<x
    ≦1)粒子又は、必要により、更に、酸化して得られた
    亜鉛を含有する紡錘形を呈したマグヘマイト粒子を前駆
    体粒子として用い、該前駆体粒子の水分散液と少なくと
    もCo塩水溶液及びアルカリ性水溶液とを混合して得られ
    たpH11以上の混合液を50〜100℃の温度範囲で加熱処理
    することにより、前記前駆体粒子の粒子表面をFe及びCo
    に対し0.5〜15.0原子%のCoで変成することを特徴とす
    る紡錘形を呈した磁性酸化鉄粒子粉末の製造法。
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