JP3073215U - 包装食品の品質保持剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 包装食品の吸湿防止および酸化防止の２つの
機能を兼ね備えるとともに、人体に無害で環境にやさし
く、廃棄処理が容易な品質保持剤を提供する。 【解決手段】 食品の包装内に同封されて該食品の品質
を保持する品質保持剤であって、平均粒径が１〜１０ｍ
ｍの備長炭顆粒１１を、水分および酸素に対して透過性
をもつＰＥＴ不織布で作った内袋１２に充填し封入して
なる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、包装食品の品質保持剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

菓子・即席めん・のりなどのフィルムや缶の包装の中には、該食品の吸湿防止 のために乾燥剤が同封されたり、酸化防止のために脱酸素剤が同封されたりして いる。

【０００３】 脱酸素剤は、水分の存在下において鉄や有機物の酸化反応を促進させることで 前記包装内の酸素を吸収させる原理に基づいて作用する。このため乾燥剤と脱酸 素剤とを同時に使用するような場合、乾燥剤による脱酸素剤からの水分除去が進 行して脱酸素剤の性能が低下するのを防ぐために、乾燥剤と脱酸素剤とを個別に 薬包する必要があった。すなわち乾燥剤は水分透過性を示す包装材で薬包され、 一方脱酸素剤は水分透過性を抑制した包装材で薬包される。このような個別の薬 包作業はたいへん繁雑であり、生産効率を低下させていた。

【０００４】 また、乾燥剤としては硫化カルシウムやシリカゲル、脱酸素剤としては硫化鉄 やアスコルビン酸、あるいはカテコールなどが使用されており、これらは人体に 有害なものである。このため製造者はＰＬ法に従って「これは食べられません！ 」というような注意書きを印刷するなどし、消費者に注意を促す必要があった。 また、前記の乾燥剤や脱酸素剤は廃棄処理するのが容易でなかった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記のような従来の問題に鑑み、包装食品の吸湿防止および酸化防止 の２つの機能を兼ね備えるとともに、人体に無害で環境にやさしく、廃棄処理が 容易な品質保持剤を提供することを目的としてなされたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、平均粒径が１〜１０ｍｍの備長炭顆粒を、水分お よび酸素に対して透過性をもつ素材で作った内袋に充填し封入して品質保持剤と し、これを食品の外袋（包装）内に同封するようにした。

【０００７】 これにより備長炭顆粒が封入された前記内袋中の空間と前記外袋内の空間とが 、前述した水分および酸素に対して透過性をもつ素材を介して連通状態となる。

【０００８】 備長炭は多孔性物質で吸湿性に優れているため、従来の乾燥剤としての役割を 果たす。また、備長炭は周囲の湿度が所定値よりも高くなったときは水分を吸収 し、一方周囲の湿度が所定値よりも低くなったときには吸収した水分を放出する といった調湿効果を奏するため、従来の硫化カルシウムやシリカゲルなどよりも 優れた吸湿性を示す。この調湿効果は半永久的に持続する。

【０００９】 また、備長炭は１平方センチメートルあたり数十個から数百個のマイナスイオ ンを放出することが知られているので、食品の腐敗を促進する活性酸素の中和効 果（酸化防止効果）や、食品に繁殖しやすい細菌の殺菌効果などを示す。

【００１０】 また、備長炭はその体積の何十倍ものガスを吸着できるため、悪臭の元となる ガスも効率よく吸着し、優れた消臭効果を示す。

【００１１】 また、備長炭は遠赤外線を放射する物質であるから、食品の均等保温管理に適 し、食品の改質・保存・調理効果、抗菌殺菌効果などが期待できる。

【００１２】 また、本考案の備長炭は顆粒状であるため、棒状のままよりも空気との接触面 積が広くなり、上記のような備長炭の効果が有効に発揮される。なお、前記内袋 中の空間と前記外袋内の空間とを隔てる前記素材はこれらの効果を妨げるもので はない。

【００１３】 さらにまた、備長炭は人間に無害であるから、万一小さい子供がこれを食べて しまったとしても大事には至らない。使用後の備長炭は、植木鉢の土などに混ぜ て土壌改良剤として使用したり、バーベキューなどの燃料として使用したりでき る。

【００１４】 なお、好ましくは、前記水分および酸素に対して透過性をもつ素材をＰＥＴ（ ポリエチレンテレフタラート）製不織布とする。これにより、前記内袋が柔軟性 ・耐熱性・強度・透明性に優れたものになる。また最近の成形加工技術の進歩に より、あらゆる形状への加工が比較的容易に行える。さらに可燃性であるので廃 棄処理も容易に行える。

【００１５】

【考案の実施の形態】

以下、この考案の実施の形態を添付図面に基づき説明する。 図１および図２は、備長炭顆粒１１を略長方形の内袋１２に封入してなる品質 保持剤１を示しており、図１は一部破断外観図、図２は図１のＡ−Ａ断面図であ る。図３は、品質保持剤１が食品２とともに外袋３の中に封入されているようす を示す一部破断外観図である。

【００１６】 備長炭顆粒１１は、平均粒径が約１〜１０ｍｍとなるように成形されている。 この範囲内の大きさに備長炭を成形することで、棒状のままよりも内袋１２中の 空気との接触面積が広く、そして粉末状にしたときのように備長炭特有の多孔性 構造を損なうことがないため、後述するような備長炭のあらゆる効果を有効に引 き出すことができる。

【００１７】 内袋１２は、水分および酸素に対して透過性をもつＰＥＴ不織布を用いて、縦 の長さが約５ｃｍ、横の長さが約４ｃｍの略長方形に成形されている。備長炭顆 粒１１を充填する前は１つの辺のみを開口部とし、残りの辺は熱溶着または折り 返しによって１３のように封じられている。

【００１８】 なお、内袋１２の大きさは食品２の量に応じて自由に設定できる。また、充填 する備長炭顆粒１１の量も食品２の量に応じて自由に設定でき、例えば約２ｇ相 当の備長炭顆粒１１を充填する。

【００１９】 また、内袋１２を作る包装材は前記ＰＥＴ製の不織布に限るものではなく、水 分および酸素に対する透過性と、ある程度の強度を備えた可燃性の不織布等の素 材であれば何でもよい。一方、外袋３は水も酸素も透過させない包装材から作ら れている。

【００２０】 備長炭顆粒１１を内袋１２の前記開口部から充填した後、その開口部を熱溶着 によって１３のように封じ、品質保持剤１とする。そしてこの保持剤１を食品２ とともに外袋３の中に封入し、この状態のままで保管・販売を行う。これにより 製造してから数ヶ月間は食品２の色や香りが変化せず、風味も損なわれない。こ のことは次に示す備長炭顆粒の種々の優れた効果による。

【００２１】

【考案の効果】

以上のように、本考案は、平均粒径が１〜１０ｍｍの備長炭顆粒を、水分およ び酸素に対して透過性をもつ不織布等の素材で作った内袋に充填し封入して品質 保持剤とし、これを食品の包装内に同封するようにしたので、以下のような種々 の優れた効果を奏する。

【００２２】 備長炭は周囲の湿度が所定値よりも高くなったときは水分を吸収し、一方周 囲の湿度が所定値よりも低くなったときには吸収した水分を放出するといった調 湿効果を奏するため、従来の硫化カルシウムやシリカゲルなどよりも優れた吸湿 性を示す。また、この調湿効果は半永久的に持続する。

【００２３】 備長炭は１平方センチメートルあたり数十個から数百個のマイナスイオンを 放出することが知られているので、食品の腐敗を促進する活性酸素の中和効果（ 酸化防止効果）や、食品に繁殖しやすい細菌の殺菌効果などを示す。 このと上記により、従来の乾燥剤と脱酸素剤としての役目を同時に果たす ことになる。よって従来のように乾燥剤と脱酸素剤とを個別に薬包する必要がな くなり、生産効率を向上させることができる。

【００２４】 備長炭はその体積の何十倍ものガスを吸着できるため、悪臭の元となるガス も効率よく吸着し、優れた消臭効果を示す。

【００２５】 備長炭は遠赤外線を放射する物質であるから、食品の均等保温管理に適し、 食品の改質・保存・調理効果、抗菌殺菌効果などが期待できる。

【００２６】 本考案の備長炭は顆粒状であるため、棒状のままよりも内袋中の空気との接 触面積が広くなり、上記〜の効果が有効に発揮される。

【００２７】 備長炭は人間に無害であるから、万一小さい子供がこれを食べてしまったと しても大事には至らない。使用後の備長炭は、植木鉢の土などに混ぜて土壌改良 剤として使用したり、バーベキューなどの燃料として使用したりできる。

【００２８】 前記素材をＰＥＴ製不織布とすると柔軟性・耐熱性・強度・透明性に優れた ものになる。また最近の成形加工技術の進歩により、あらゆる形状への加工が比 較的容易に行える。さらに可燃性であるので廃棄処理も容易に行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る包装食品の品質保持剤を示す一部
破断外観図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】図１および図２の品質保持剤が食品とともに外
袋の中に封入されているようすを示す一部破断外観図で
ある。

【符号の説明】

１ 品質保持剤 １１ 備長炭顆粒 １２ 内袋 １３ 溶着部 ２ 食品 ３ 外袋

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 春木 俊文 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎町490番１号 (72)考案者 保坂 虎夫 東京都大田区池上３丁目７番７号

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 食品の包装内に同封されて該食品の品質
   を保持する品質保持剤であって、平均粒径が１〜１０ｍ
   ｍの備長炭顆粒を、水分および酸素に対して透過性をも
   つ素材で作った内袋に充填し封入してなることを特徴と
   する包装食品の品質保持剤。
2. 【請求項２】 前記素材をＰＥＴ製不織布としたことを
   特徴とする請求項１に記載の品質保持剤。