JPH10309427A - 脱酸素剤組成物、脱酸素剤包装体および物品の保存方法 - Google Patents

脱酸素剤組成物、脱酸素剤包装体および物品の保存方法

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JPH10309427A
JPH10309427A JP10061314A JP6131498A JPH10309427A JP H10309427 A JPH10309427 A JP H10309427A JP 10061314 A JP10061314 A JP 10061314A JP 6131498 A JP6131498 A JP 6131498A JP H10309427 A JPH10309427 A JP H10309427A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低湿度雰囲気下でも水分の補給をすることな
く脱酸素能を発揮することができ、保存に低湿度雰囲気
を必要とする乾燥状態にある物品に適用して品質保持を
可能とする脱酸素剤を提供する。 【解決手段】 還元性金属と、金属沃化物および金属臭
化物の少なくとも一方とを含み、このものが乾燥状態で
含まれてなり、かつ粒状を呈する低湿度雰囲気用脱酸素
剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低湿度雰囲気用脱酸
素剤組成物に関する。詳しくは、還元性金属と金属沃化
物又は金属臭化物とを含み、かつ水分含有量が1重量%
以下であることを特徴とする低湿度雰囲気下で脱酸素能
を有する脱酸素剤組成物に関する。さらに本発明は脱酸
素剤組成物を通気性包装材料で包装してなる低湿度雰囲
気用脱酸素剤包装体及びこの脱酸素剤包装体を用いた物
品の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属鉄等の還元性金属の酸化反応を利用
した脱酸素剤は従来から広く知られ、この脱酸素剤を食
品等の物品とともに密封容器に収納して容器内の酸素を
吸収除去することにより、主として酸素による酸化劣化
を防止して食品等の鮮度及び品質を保持するために利用
されている。還元性金属を利用した脱酸素剤は、主剤の
還元性金属の他に促進剤として金属ハロゲン化物が配合
されており、また、還元性金属による酸素吸収反応には
水分の存在を必要とするために、この種の脱酸素剤によ
る酸素吸収には水分が必須とされている。 この種の脱
酸素剤は、主として食品の鮮度等を保持するために、保
存物品とともに容器もしくは包装袋内に投入されるか、
又は、脱酸素剤を入れ込んだ容器もしくは袋を用いて保
存物品を包装することが行われている。
【0003】特公昭56-33980号公報には、金属粉を金属
ハロゲン化物で被覆した酸素吸収剤が開示されている。
還元性金属による脱酸素反応には、水分の存在を必要と
するために、この種の脱酸素剤は、水分含有量の多い
(言い換えると水分活性の高い)保存物品から蒸散する
水分を利用できる高含水食品の保存に使用され、水分依
存型脱酸素剤として知られている。
【0004】一方、特公昭57-31449号公報には、水分含
有量の少ない(言い換えると水分活性の低い)乾燥食品
等の保存には、脱酸素剤組成物中に水分を含浸させた無
機フィラー等の水分供与体を存在させて、酸素吸収反応
に必要な水分を補った酸素吸収剤が開示されている。こ
の種の脱酸素剤は、それ自体が水分を保有しているた
め、保存物品から蒸散する水分に頼らずに酸素吸収を行
える自力反応型脱酸素剤として知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、含有水
分の低い乾燥食品等の保存物品の保存に、水分を保有す
る自力反応型脱酸素剤を使用した場合に、脱酸素剤の水
分が保存物品に移行することが避けられず、場合によっ
ては、水分による食味低下(湿り)、性状変化(粉体の
塊状化)等を来すことがあるという問題を有していた。
また、脱酸素剤から酸素吸収反応に必要な水分が失われ
てしまって脱酸素能が低下し、長期間の保存中に包装袋
の外から透過してくる酸素で系内の酸素濃度が上昇し、
品質劣化等を来すという問題もあった。 一方、現行の
水分依存型脱酸素剤は、金属ハロゲン化物として塩化ナ
トリウムや塩化カルシウム等の金属塩化物が使用されて
いるが、相対湿度70%以下、特に60%以下の低湿度
雰囲気では脱酸素能が低下する。
【0006】要するに、従来の脱酸素剤によっては、乾
燥食品等の水分活性が低い物品を相対湿度70%以下の
低湿度雰囲気下、脱酸素状態に保存することが困難であ
った。本発明は上記従来技術の脱酸素剤の問題点を解決
し、相対湿度70%以下の低湿度雰囲気下でも水分の補
給をすることなく脱酸素能を発揮することができ、保存
に低湿度雰囲気を必要とする乾燥状態にある物品に適用
して品質保持を可能とする脱酸素剤を提供することを目
的とする。さらに本発明は、この脱酸素剤組成物を包装
してなる低湿度雰囲気用脱酸素剤包装体及びこの脱酸素
剤包装体を用いた物品の保存方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
課題を解決するために鋭意検討したところ、酸素吸収反
応として、従来では、塩化ナトリウムや塩化カルシウム
等の金属塩化物より劣っているとして全く顧みられなか
った金属沃化物及び金属臭化物が、驚くべきことに、相
対湿度70%以下の低湿度雰囲気下、水分供与体を存在
させることなくして乾燥食品等の水分活性が低い物品を
脱酸素状態に保存することを可能にする酸素吸収反応促
進剤として機能することを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0008】既述の特公昭56-33980号公報は、酸素吸収
反応促進剤の一つとして金属臭化物及び金属沃化物を掲
げてはいるものの、金属沃化物及び金属臭化物からなる
酸素吸収反応促進剤を含む脱酸素剤が乾燥食品等の水分
活性が低い物品の保存に有効であることを開示していな
い。また、特公平2-22701 号公報は、塩基性ハロゲン化
物と鉄粉よりなり、水溶性物質の使用を必須としない脱
酸素剤を開示するものの、低湿度雰囲気下で機能し得る
酸素吸収反応促進剤としてのハロゲン化物を提供するこ
とを目的とするものではなく、金属沃化物及び金属臭化
物からなる酸素吸収反応促進剤を含む脱酸素剤が乾燥食
品等の水分活性が低い物品の保存に有効であることを示
唆するものではない。
【0009】すなわち、本発明は、前記課題を解決する
ための手段として、還元性金属と金属沃化物及び金属臭
化物の少なくとも一方とを含み、これらのものが乾燥状
態、好ましくは水分含有量が1重量%以下にあることを
特徴とする低湿度雰囲気下で脱酸素能を有する脱酸素剤
組成物又は脱酸素剤包装体を提供する。
【0010】ここで、本発明の脱酸素剤においては、還
元性金属は、好ましくは金属粉であり、より好ましくは
鉄粉である。また、金属沃化物及び金属臭化物の金属種
としては、アルカリ金属が好ましく、ナトリウム及びカ
リウムがより好ましい。
【0011】本発明の脱酸素剤組成物又は脱酸素剤包装
体は、前記成分構成をとることにより、相対湿度70%
以下、特に60%以下においても十分な酸素吸収性能を
有し、且つ、脱酸素剤組成物自体の水分含有量が1重量
%以下であるために、脱酸素剤を適用した乾燥対象物へ
の水分移行が起こらない。このため、本発明の脱酸素剤
を用いることにより、吸湿を嫌う乾燥物品を相対湿度7
0%以下、特に60%以下の低湿度雰囲気下で酸素を吸
収除去して保存することができる。また、水分活性(a
w )0.7以下、特に0.6以下の物品に対しては、従
来の水分依存型脱酸素剤を適用しても水分補給なしには
脱酸素できないが、本発明によれば、水分活性0.7以
下、特に0.6以下の物品に対しても水分の補給なしに
脱酸素することができる。
【0012】すなわち、本発明はまた、脱酸素剤包装体
と保存すべき物品とをガスバリヤー性容器に収納して密
封することを特徴とする物品の保存方法を提供する。
【0013】本発明の方法においては、ガスバリヤー性
容器の酸素透過度が0. 05〜100cc/m2 ・24
hr・atm(25℃、50%RH)であることが好ま
しい。本発明の方法は、水分活性0. 2〜0. 7、特に
0. 2〜0. 6の物品に対して好適に使用できる。
【0014】本発明の方法によれば、相対湿度(RH)
20〜70%、特に20〜60%の低湿度雰囲気下で脱
酸素が可能であり、特に吸湿が嫌われ、保存に低湿度の
乾燥雰囲気を必要とする物品、例えば、粉末、顆粒、錠
剤等の医薬品、健康食品、スナック菓子、乾燥食品、油
揚げ食品、調味料等の乾燥状態にある食品や食品原料、
化学原料、電気部品等の保存物品を長期間、脱酸素状態
に維持し、良好に品質を保持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。脱酸素剤組成物の主剤となる還元性金属としては、
従来から公知の脱酸素剤の主剤として知られる、例え
ば、鉄粉、銅粉、亜鉛粉等の粒状の金属粉を使用するこ
とができる。粒状の金属粉は、酸素との接触を良好にす
るために、通常1700μm(10メッシュ)以下、特
に10〜300μm (50メッシュ)の径が好まし
い。金属粉としては、鉄粉が好ましく、還元鉄粉、電解
鉄粉、噴霧鉄粉等が好適に用いられる。その他、鋳鉄等
の粉砕物、研削品等を用いることができる。
【0016】また、脱酸素剤組成物の酸素吸収反応促進
剤となる金属沃化物及び金属臭化物としては各種金属の
沃化物と臭化物が挙げられるが、安全面や触媒性能面か
らはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の沃化物と臭化
物が好ましく、沃化ナトリウム、沃化カリウム、臭化ナ
トリウム、臭化カリウムがより好ましく、沃化ナトリウ
ム、沃化カリウムが最も好ましい。本発明の脱酸素剤組
成物が、従来の脱酸素剤と比べて優れて有用な使用条件
は、相対湿度20〜70%、特に30〜70%、顕著に
は30〜60%の範囲である。酸素吸収反応促進剤とし
て金属臭化物を用いた場合には、前記相対湿度の範囲に
おいて従来の脱酸素剤と比べて優れた性能を発揮する
が、特に相対湿度が50〜70%の範囲で優れている。
【0017】還元性金属に対する金属沃化物又は金属臭
化物の配合量は、還元性金属100重量部当たり、金属
沃化物又は金属臭化物0. 01〜20重量部、好ましく
は0. 1〜10重量部、より好ましくは0. 5〜6重量
部である。金属沃化物又は金属臭化物の配合量が0. 0
1重量部より少なくなると、酸素吸収能力が低下した
り、また20重量部より多くなると、脱酸素剤組成物の
流動性が悪化したり、脱酸素剤組成物が吸湿して染み出
しの原因となったりするので、いずれにしても好ましく
ない。
【0018】金属粉と金属沃化物又は金属臭化物との混
合方法は、必ずしも制限されず、例えば、金属沃化物又
は金属臭化物を粉粒体又は溶液として金属粉と混合する
ことができる。特に金属沃化物又は金属臭化物の水溶液
を金属粉と混合しその後乾燥する方法が、金属粉と金属
沃化物又は金属臭化物との密着を促すので好ましい。こ
の場合、金属沃化物又は金属臭化物の配合量を下げても
脱酸素性能を維持することができる。なお、金属粉と金
属沃化物又は金属臭化物との混合に際しては、できるだ
け大気に触れないようにするのが好ましい。
【0019】本発明の脱酸素剤組成物には、上記金属
粉、金属沃化物又は金属臭化物の他に、必要に応じて添
加剤を加えることができ、例えば、臭気防止、粉塵抑
制、錆滲出防止等のために、シリカ粉末、パーライト、
珪藻土、水酸化アルミニウム、アルミナ、活性炭、吸水
性高分子等を、適宜、混合することができる。添加剤を
加えてなる脱酸素剤組成物の水分含有量は1重量%以下
であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5重量
%以下である。
【0020】本発明の脱酸素剤組成物は、水分含有量が
多くなるにしたがって、脱酸素剤組成物からの水分移行
が多くなり、また脱酸素剤組成物の流動性も悪くなるの
で、水分含有量は1重量%以下であることが好適であ
る。その水分含有量は、全体の1重量%以下、好ましく
は0. 5重量%以下である。水分含有量の制御方法に制
限は無いが、加熱、減圧、乾燥剤の使用又はこれらの組
み合わせによる乾燥操作処理によることが好ましい。
【0021】以上のように、本発明の脱酸素剤組成物
は、主剤の還元性金属と反応促進剤としての金属沃化物
又は金属臭化物とを含む混合物からなり、実質的に水分
を含まない粉粒状の脱酸素性組成物である。本発明の脱
酸素剤組成物は、通常、通気性包装材料の小袋に充填包
装して脱酸素剤包装体として使用される。通気性包装材
料には、有孔又は酸素透過性のプラスチック、不織布、
紙又はこれらの積層体からなるフィルム、シートもしく
は成型体が用いられる。プラスチック素材には、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィ
ンが例示される。包装材料同士の接着面には、ポリエチ
レンやポリプロピレン等のヒートシール可能な素材を配
置することが好ましい。また、本発明の脱酸素剤組成物
を不織布、紙等の通気性包装材料の間に挟んだり、漉き
込んだりして固定し、取り扱い性の良いシート状脱酸素
剤とした後、前記したように通気性包装材料により包装
してなる包装体も本発明の脱酸素剤包装体として使用で
きる。
【0022】本発明の脱酸素剤組成物包装体が、従来の
脱酸素剤包装体と比べて優れて有用な使用条件は、相対
湿度20〜70%、特に30〜70%、顕著には30〜
60%の範囲である。酸素吸収反応促進剤に金属臭化物
を用いた場合、前記範囲で従来の脱酸素剤と比べて優れ
て有用であるが、特に50〜70%の範囲で優れてい
る。また、本発明の脱酸素剤組成物包装体が、従来の脱
酸素剤包装体と比べて優れて有用性を発揮する保存対象
は、水分活性(aw )0.2〜0.7、特に0.3〜
0.6の比較的乾燥した物品である。酸素吸収反応促進
剤に金属臭化物を用いた場合、前記範囲で従来の脱酸素
剤と比べて優れて有用であるが、特に水分活性0.5〜
0.7%の物品に対して優れている。本発明によれば、
比較的乾燥した条件において、また、比較的乾燥した物
品に対して、水分の補給なしに、また、水分移行を伴う
ことなく脱酸素することができる。
【0023】本発明の脱酸素剤組成物又は脱酸素剤包装
体を用いて物品を脱酸素状態にて保存できるが、その場
合においては、ガスバリヤー性容器(以下、単に容器と
言うことがある)が使用される。容器の形状、材質は制
限されず、例えば、金属缶、ガラス瓶、プラスチック容
器、袋等、密封可能で実質的にガスバリヤー性であれば
よい。また、ポリエチレンテレフタレート/蒸着アルミ
/ポリエチレン、延伸ポリプロピレン/ポリビニルアル
コール/ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンコート(K
コート)延伸ナイロン/ポリエチレン等の積層体、ナイ
ロン系の共押出積層体に例示される、酸素透過度0. 0
5〜100cc/m2 ・24hr・atm(25℃、5
0%RH)の多層シート又はフィルムからなる成型容
器、袋が好適に使用できる。本発明に係わる脱酸素剤
は、低湿度の環境内で低水分の食品の脱酸素に使用され
ても、次のような脱酸素性能を発揮する。
【0024】本発明の金属沃化物及び金属臭化物の少な
くとも一方を含む脱酸素剤は、2gの使用で従来の金属
塩化物を含む脱酸素剤では脱酸素が困難な相対湿度70
%乃至50%の比較的乾燥した空気500mlを、摂氏
25度、一日で完全に脱酸素することができる。本発明
の金属沃化物を含む脱酸素剤は、2gの使用で相対湿度
30%の乾燥した空気500mlに対しても、摂氏25
度、一日で完全に脱酸素することができる。本発明の脱
酸素剤は、粉末食品、粉末スープ、クッキー等の食品、
その他比較的乾いた物品の脱酸素保存に好適に使用でき
る。
【0025】
【実施例】
実施例1 鉄粉(平均粒径50μm)100gに沃化カリウム水溶
液(沃化カリウム2g)を混合しながら加え、40℃、
40mmHg下で減圧乾燥して、粒状の脱酸素剤組成物
を調製した。得られた脱酸素剤組成物1の2gを、図1
に示すように、表面がポリエステル(10)/ポリエチ
レン(12)、裏面が通気性のポリエチレン不織布(1
4)からなる小袋(20)に充填包装して脱酸素剤包装
体(30)とした。なお、脱酸素剤組成物の水分含有量
は、カールフィッシャー法で測定したところ、0. 1重
量%以下であった。次に、Kコートナイロン/ポリエチ
レンのラミネートフィルムからなるガスバリヤー性袋
に、脱酸素剤包装体と、袋内を所定の湿度に調湿するた
めに、それぞれ、下記4種のグリセリン水溶液10ml
を含ませた綿とを入れ、空気500mlを封入してヒー
トシールにより密封した。脱酸素剤包装体とグリセリン
水溶液を含ませた綿とを密封した袋を25℃で保存して
おき、ジルコニア式酸素濃度計(東レエンジニアリング
(株)製)を用いて、袋内の酸素濃度を経日的に測定
し、袋内の脱酸素状態を追跡した。結果を第1表に示
す。用いたグリセリン水溶液の濃度と袋内空気の相対湿
度(RH)の関係は次の通り。 (1)グリセリン34重量%:RH90%、(2)グリ
セリン63重量%:RH70%、(3)グリセリン79
重量%:RH50%、(4)グリセリン92重量%:R
H30%
【0026】
【表1】
【0027】実施例2〜実施例4 実施例1の沃化カリウムに代えて、それぞれ、実施例2
では沃化ナトリウム、実施例3では臭化カリウム、及び
実施例4では臭化ナトリウムを使用したこと以外、実施
例1と同様に行った。調製した脱酸素剤組成物の水分含
有量は、いずれも0. 1重量%以下であった。結果を第
1表に示す。
【0028】比較例1〜比較例3 実施例1の沃化カリウムに代えて、それぞれ、比較例1
では塩化カリウム、比較例2では塩化ナトリウム、及び
比較例3では塩化カルシウムを使用したこと以外、実施
例1と同様に行った。調製した脱酸素剤組成物の水分含
有量は、いずれも0. 1%以下であった。結果を第1表
に示す。
【0029】実施例5 実施例1で調製した脱酸素剤組成物0. 5gを、有孔ポ
リエステル/有孔ポリエチレン/耐油紙/有孔ポリエチ
レンからなる通気性小袋に充填包装した脱酸素剤包装体
と、市販の顆粒状スープの素(水分活性0. 35)50
gとを複合フィルム(ポリエチレンテレフタレート/ア
ルミ箔/ポリエチレン)のガスバリヤー性袋に入れ、空
気30mlを封入して密封した。この密封袋を25℃で
1ヶ月間保存した後、袋内の酸素濃度を測定したところ
0. 1%以下であった。顆粒状スープの素は、風味は良
好であり、また顆粒の固化は認められなかった。
【0030】比較例4 実施例5において、比較例2で調製した脱酸素剤組成物
0. 5gを通気性小袋にヒートシールにより充填包装し
た脱酸素剤包装体を使用したこと以外は、実施例5と同
様に行った。脱酸素剤包装体と顆粒状スープの素とを封
入した密封袋を25℃、1ヶ月保存した後の袋内の酸素
濃度は19. 7%であった。顆粒状スープの素の固化は
認められなかったものの、風味が低下していた。
【0031】比較例5 実施例5において、水分を含ませた鉄粉系脱酸素剤組成
物を通気性小袋に充填包装した脱酸素剤包装体である市
販の自力反応型脱酸素剤(商品名;エージレスZ−20
PT、三菱ガス化学(株)製)を使用したこと以外は、
実施例5と同様に行った。脱酸素剤包装体と顆粒状スー
プの素とを封入した密封袋を25℃、1ヶ月保存した後
の袋内の酸素濃度は0. 1%以下であった。顆粒状スー
プの素の風味は良好であったが、顆粒の凝集、固化が認
められた。
【0032】実施例6 鉄粉(平均粒径90μm)100gに臭化ナトリウム水
溶液(臭化ナトリウム1g)を混合しながら加え、熱風
で乾燥して、粒状の脱酸素剤組成物を調製した。脱酸素
剤組成物の水分含有量は、カールフィッシャー法で測定
したところ、0. 1重量%以下であった。得られた脱酸
素剤組成物0. 5gを、表面がポリエステル/ポリエチ
レン、裏面がポリエチレン不織布からなる通気性包材の
小袋に充填包装した脱酸素剤包装体と、クッキー(水分
活性0. 7)50gとを複合フィルム(Kコートナイロ
ン/ポリエチレン)からなるガスバリヤー性袋に入れ、
空気30mlを封入して密封した。この密封袋を25℃
で1ヶ月間保存した後、袋内の酸素濃度を測定したとこ
ろ0. 1%以下であった。クッキーは、風味及び色調は
良好であり、湿りも認められなかった。
【0033】比較例6 実施例6の臭化ナトリウムに代えて、塩化ナトリウムを
使用したこと以外、実施例6と同様に行った。脱酸素剤
包装体とクッキーとを封入した密封袋を25℃、1ヶ月
保存した後の袋内の酸素濃度は15.0%であった。中
のクッキーは、風味及び色調が悪化していた。
【0034】比較例7 実施例6において、水分を含ませた鉄粉系脱酸素剤組成
物を通気性小袋に充填包装した脱酸素剤包装体である市
販の自力反応型脱酸素剤(商品名;エージレスZ−20
PT、三菱ガス化学(株)製)を使用したこと以外は、
実施例6と同様に行った。脱酸素剤包装体とクッキーと
を封入した密封袋を25℃、1ヶ月保存した後の袋内の
酸素濃度は0. 1%以下であった。中のクッキーの風味
及び色調は良好であったが、クッキーに湿りが認められ
た。
【0035】
【発明の効果】本発明の特徴は、自力反応型脱酸素剤の
ように水分を持ち込むことなく、かつ、従来の水分依存
型脱酸素剤の適用できなかった低湿度雰囲気下で脱酸素
を行うという、これまでの還元性金属系脱酸素剤ではな
し得なかった作用効果を有する脱酸素剤組成物及び脱酸
素剤包装体が提供される点にある。
【0036】本発明によれば、相対湿度70%以下の低
湿度雰囲気下においても十分な酸素吸収反応を達成する
ことができる脱酸素剤組成物又は脱酸素剤包装体が提供
される。従って、本発明の脱酸素剤を用いた物品の保存
方法によれば、水分活性の低い物品、殊に乾燥状態にあ
る医薬品や食品等を、吸湿を伴うことなく低酸素環境に
保持することができ、品質低下や性状変化を来すことな
く、長期に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 脱酸素剤の包装体の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 脱酸素剤組成物 10 ポリエステル 12 ポリエチレン 14 通気性ポリエチレン不織布 20 小袋 30 脱酸素剤包装体

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性金属と、金属沃化物及び金属臭化
    物の少なくとも一方とを含み、これらのものが乾燥状態
    で含まれてなり、かつ粒状を呈する低湿度雰囲気用脱酸
    素剤組成物。
  2. 【請求項2】 水分含有量が1重量%以下である、請求
    項1記載の脱酸素剤組成物。
  3. 【請求項3】 還元性金属が鉄粉である請求項1又は2
    記載の脱酸素剤組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項記載の脱
    酸素剤組成物を通気性包装材料で包装してなる、低湿度
    雰囲気用脱酸素剤包装体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の包装体と保存すべき物品
    とをガスバリヤー性容器に収納して密封することを特徴
    とする物品の保存方法。
  6. 【請求項6】 ガスバリヤー性容器の酸素透過度が、
    0. 05〜100cc/m2 ・24hr・atm(25
    ℃、50%RH)である、請求項5記載の物品の保存方
    法。
  7. 【請求項7】 保存される物品が水分活性0. 2〜0.
    7の医薬品または食品である、請求項5記載の物品の保
    存方法。
  8. 【請求項8】 ガスバリヤー性容器内部の相対湿度が2
    0〜70%である、請求項5記載の物品の保存方法。
  9. 【請求項9】 ガスバリアー性包装容器と、この包装容
    器内に収容された請求項4記載の脱酸素剤包装体及び水
    分活性が0.2〜0.7の保存物品とを備えてなる、内
    部相対湿度が20〜70%の保存物品の包装体。
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