JP2013172683A - 食品品質保持剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エタノール蒸気放出体、脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を含み、前記脱酸素促進剤が臭化ナトリウムを含み、少なくとも前記脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を同一の包装体に収容する食品品質保持剤である。前記アルデヒド吸着体が、ポリアリルアミンである態様が好ましい。
【選択図】なし
Description
前記食品品質保持剤としては、これまでに様々な種類が知られており、例えば、鉄粉等の脱酸素剤を食品とともに包装することにより、食品包装体内の酸素を除去して、食品の酸化を防止するとともに、有害微生物、カビなどの発生を抑制する脱酸素型の食品品質保持剤が挙げられる。一方、半生菓子や生麺等の水分が比較的多く含まれる食品においては、食品の乾燥を防ぐ必要があるため、前記脱酸素剤に加えて、エタノール蒸気放出体を食品とともに包装し、食品を乾燥させることなく、有害微生物、カビなどの発生を抑え、食品の風味、風合い、柔軟性などを保持する複合型の食品品質保持剤が用いられる。
しかしながら、この提案では、アセトアルデヒド生成量の低減が十分ではなく、また、前記吸着剤の分だけ食品品質保持剤に充填される成分の総容量が大きくなり、原料コストも掛かるという問題がある。
したがって、脱酸素作用及びエタノール蒸散作用に優れ、かつ、アセトアルデヒドの生成量がより低減された食品品質保持剤の開発が強く求められているのが現状である。
<1> エタノール蒸気放出体、脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を含み、
前記脱酸素促進剤が臭化ナトリウムを含み、
少なくとも前記脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を同一の包装体に収容することを特徴とする食品品質保持剤である。
<2> アルデヒド吸着体が、ポリアリルアミンである前記<1>に記載の食品品質保持剤である。
<3> エタノール蒸気放出体が、シリカ粉体にエタノール溶液又は水溶液を担持させたものである前記<1>から<2>のいずれかに記載の食品品質保持剤である。
<4> 脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体と共に、エタノール蒸気放出体を同一の包装体に収容する前記<1>から<3>のいずれかに記載の食品品質保持剤である。
<5> 脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を収容する包装体と、エタノール蒸気放出体を収容する包装体とが、別の包装体である前記<1>から<3>のいずれかに記載の食品品質保持剤である。
本発明の食品品質保持剤は、エタノール蒸気放出体、脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記エタノール蒸気放出体としては、エタノールを蒸気として放出できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール溶液又はエタノール水溶液を担体に担持させたエタノール担持体、エタノール溶液又はエタノール水溶液に高分子ポリマーを溶解させて粘体、クリーム状、糊状又はゲル状としたエタノールゲルなどが挙げられる。
前記担持体は、例えば、前記担体にエタノール溶液又はエタノール水溶液を含浸、吸着又は吸収させて製造される。
前記カルボキシル基含有ポリマーの分子量としては、前記エタノール溶液又はその水溶液との混合系において、適当な粘度を有する安定なゲルを形成できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記エタノールゲルの粘度としては、特に制限はなく、ゲル安定性、吸収倍率、アルコール蒸散速度などの各種パラメータを勘案して、適宜選択することができる。
前記脱酸素剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉等の金属粉;糖、糖アルコール、グリセリン、アスコルビン酸等のレダクトンなどが挙げられる。これらは、酸化されることにより、雰囲気中の酸素を吸着及び除去して、脱酸素剤として機能する。これらの中でも、酸素との反応速度が速い点及び酸化促進剤の調節による反応速度制御がしやすい点で、鉄粉が好ましい。
前記鉄粉の粒度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、20μm〜150μmが更に好ましい。前記粒度が、250μmを超えると、比表面積が小さくなり反応性が低下する傾向、又は食品品質保持剤の混合粉中で鉄粉が偏析しやすくなる傾向があり、好ましくない。
前記脱酸素促進剤は、前記脱酸素剤に作用して、前記脱酸素剤を効果的に酸化させて、雰囲気中の酸素の吸着及び除去機能を促進させるものである。本発明においては、前記脱酸素促進剤が臭化ナトリウムを含み、これによりアセトアルデヒドの生成量を低減することができる。
前記アルデヒド吸着体は、食品包装体内のエタノールが酸化して発生するアセトアルデヒドを吸着することにより、アセトアルデヒドに伴う臭気発生、変色などを防止して、食品の品質を保持するものである。前記アルデヒド吸着体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、強塩基性、弱塩基性、両性など各種のイオン交換体が挙げられる。これらの中でも、強塩基性及び弱塩基性のイオン交換体が好ましい。
具体的な前記イオン交換体としては、陰イオン交換樹脂、キトサン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンが好ましく、アセトアルデヒドの吸着能力が高く、前記脱酸素促進剤として含まれる臭化ナトリウムと併用することにより、更にその効果を向上できる点で、ポリアリルアミンがより好ましい。
前記酸素濃度は、例えば、酸素分析計(LC−700F、東レ・エンジニアリング社製)を用いて測定することができる。
また、前記食品品質保持剤を用い25℃で保存した場合における保存開始後48時間の食品包装体内におけるエタノールガス濃度としては、0.04%以上が好ましく、0.06%以上がより好ましい。
前記エタノールガス濃度は、例えば、ガスクロマトグラフ(GC−9A、株式会社島津製作所製)によって測定することができる。
・鉄粉:粒度150μm以下のアトマイズ鉄粉(純鉄粉270M、株式会社神戸製鋼所製)
・94質量%エタノール水溶液:変性剤として食品香料を含む変性エタノール
・シリカゲル:重量平均粒径150μmの多孔質シリカ粉体(フロイント産業株式会社製)
・ポリアリルアミン吸着粉末:シリカゲルの表面にポリアリルアミン15質量%を吸着させた粉末(ニットーボーメディカル社製)
・エチレン尿素:試薬
・焼塩(エバーフロー300、株式会社日本海水製;未精製の海水塩を高温で焼成したもの。主成分は塩化ナトリウム)
・臭化ナトリウム:試薬
・塩化カリウム:試薬
・活性炭:0.25mm〜0.5mmの粒状活性炭(ヤシコールS、太平化学産業株式会社製)
・食品品質保持剤用の小袋:有孔ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/紙/有孔ポリエチレンで構成されるフィルム包材を外形40mm×50mmの小袋状になるようヒートシールにより成形したもの。
・食品用包装袋:密封可能な市販の非晶質ナイロン/ポリエチレン袋(空気量500mL)
<食品品質保持剤の調製方法>
表1に示す各成分を、最終的に表1の含有量となる割合で、次の通りに混合した。
シリカゲル及びポリアリルアミン吸着粉末に対し、水に溶解させた臭化ナトリウム(NaBr)及び94質量%エタノール水溶液を配合して混合した後、鉄粉及び活性炭を配合して混合した。得られた粉末を表1に示す1包質量の通り測り採り、食品品質保持剤用の小袋に充填した後、ヒートシールにより封止して、エタノール蒸気放出及び脱酸素機能を有する食品品質保持剤を得た。
なお、前記シリカゲルに前記エタノール水溶液が担持されていることは、ガスクロマトグラフ(GC−9A、株式会社島津製作所製)で経時測定することによって確認することができる。
食品用包装袋に食品品質保持剤及び相対湿度58%恒湿塩(水分を含む食品の代わりに使用)10gを入れて、ヒートシールにより食品用包装袋を密封した後、温度25℃で48時間静置保管した。保管開始から24時間後の食品用包装内の酸素濃度を酸素分析計(LC−700F、東レ・エンジニアリング社)にて測定し、保管開始後48時間の食品用包装袋内のエタノールガス及びアセトアルデヒドガスの濃度をガスクロマトグラフ(GC−9A、株式会社島津製作所製)にて測定した。
実施例1において、食品品質保持剤に含まれる各成分の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、食品品質保持剤を作製した。得られた各食品品質保持剤を用い、実施例1と同様にして、酸素、エタノールガス、及びアセトアルデヒドガスの濃度を評価した。結果を表2に示す。
表2から、脱酸素促進剤として臭化ナトリウムを含む本発明の食品品質保持剤は、脱酸素作用及びエタノール蒸散作用に優れ、かつ、アセトアルデヒドの生成量をより低減できることが分かった。したがって、本発明の食品品質保持剤は、アセトアルデヒドによる異臭を低減し、変色を防止することができ、水分を比較的多く含む食品の保存に好適に利用することができる。
Claims (5)
- エタノール蒸気放出体、脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を含み、
前記脱酸素促進剤が臭化ナトリウムを含み、
少なくとも前記脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を同一の包装体に収容することを特徴とする食品品質保持剤。 - アルデヒド吸着体が、ポリアリルアミンである請求項1に記載の食品品質保持剤。
- エタノール蒸気放出体が、シリカ粉体にエタノール溶液又は水溶液を担持させたものである請求項1から2のいずれかに記載の食品品質保持剤。
- 脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体と共に、エタノール蒸気放出体を同一の包装体に収容する請求項1から3のいずれかに記載の食品品質保持剤。
- 脱酸素剤、脱酸素促進剤、及びアルデヒド吸着体を収容する包装体と、エタノール蒸気放出体を収容する包装体とが、別の包装体である請求項1から3のいずれかに記載の食品品質保持剤。
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