JP2019170336A - 食品用品質保持剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 酸素吸収とアルコール揮散の両機能を併せ持ち、酸素吸収速度の低下等の課題が解消され、また、金属探知機による異物の検査に制約がなく、かつ使用時の食品包装内の体積変化が小さい食品用品質保持剤を提供すること。【解決手段】 エタノール、アスコルビン酸類および/またはその塩、アルカリ性化合物、鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物、および吸着材を含有する食品用品質保持剤であって、アルカリ性化合物がアスコルビン酸類および/またはその塩に対して20〜80重量%であり、かつ、アルカリ土類金属化合物を含まない食品用品質保持剤を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、密封包装内又は密封容器内に食品と共に封入した際、包装系内の酸素を吸収し、且つエタノールを揮散させることにより、食品の保存性を改善する食品用品質保持剤に関する。
従来から、包装系内の雰囲気を調節することにより食品を保存するための保存剤として、乾燥剤、酸素吸収剤、アルコール揮散剤等が知られている。
酸素吸収剤は、酸素による食品の変性、変色、酸化等による劣化を防止するために広く用いられており、食品包装体中に封入する。従来からよく用いられている代表的な酸素吸収剤には、鉄を主剤とする無機金属系の剤とアスコルビン酸やカテコールを主剤とする有機系の剤とがあり、食品の種類や目的によってこれらの酸素吸収剤が使い分けられている。
しかしながら、酸素吸収剤を洋菓子等の水分を比較的多く含有する食品に用いた場合は、包装系内の酸素吸収が進むにつれて、食品が乾燥し、商品価値が低下する等の課題があった。
酸素吸収剤は、酸素による食品の変性、変色、酸化等による劣化を防止するために広く用いられており、食品包装体中に封入する。従来からよく用いられている代表的な酸素吸収剤には、鉄を主剤とする無機金属系の剤とアスコルビン酸やカテコールを主剤とする有機系の剤とがあり、食品の種類や目的によってこれらの酸素吸収剤が使い分けられている。
しかしながら、酸素吸収剤を洋菓子等の水分を比較的多く含有する食品に用いた場合は、包装系内の酸素吸収が進むにつれて、食品が乾燥し、商品価値が低下する等の課題があった。
一方、食品の保存性を改善する別の手段として、アルコール揮散剤が知られており、カビの増殖抑制効果が高く、乾燥を防ぐことができる。アルコール揮散剤は、エタノールを雲母やシリカ等の吸着材に吸着させたエタノール吸着体を含む。アルコール揮散剤は、エタノールガス透過性の小袋に充填したものを、食品と共に封入し、包装系内でエタノールを揮散させることにより食品の保存性を改善する。アルコール揮散剤を用いる食品の保存の場合は、酸素吸収剤を用いたときに見られるような食品の乾燥などの問題は生じないものの、エタノールの揮散による十分な保存効果を得るためには、多量のアルコール揮散剤が必要とされ、それに伴い食品へのアルコール臭の着香等が課題となることがあった。
そこで、上記の酸素吸収剤およびアルコール揮散剤の課題を解消するため、酸素吸収とアルコール揮散の両機能を併せ持つ保存剤が提案されている。
特許文献1には、酸素吸収あるいは酸素吸収と共に炭酸ガスを発生し、かつ結晶水を放出する第一鉄塩化合物を含む組成の薬剤と水に可溶な材料でエチルアルコールを包括したアルコール発生剤を混合してなる食品類の鮮度保持剤が提案されている。特許文献1に記載される保存剤は、酸素吸収剤等の反応によって生じる自由水の発生により、エチルアルコールを包含している物質が溶けてエチルアルコールを溶出する。したがって、酸素吸収剤等の反応が進行するまでアルコールが揮散されず、十分なアルコール濃度に達するまでには時間を要するといった問題があった。また、このような鮮度保持剤は、吸着剤が含まれておらず、そのため特に高水分下では酸素吸収速度の低下が顕著であることから、高水分活性食品に対しては適当でない場合や、二酸化炭素発生のために多くのアルカリ性化合物を添加する必要があった。
特許文献2には、エタノール蒸気放出体、脱酸素剤、臭化ナトリウム、及びアルデヒド吸着体を同一の包装体に収容した食品品質保持剤が提案されている。特許文献2に記載される保存剤は、脱酸素剤として主に鉄粉等の無機金属系の剤を使用している。特許文献2のように、鉄等の無機金属系の脱酸素剤において用いた場合には、臭化ナトリウムは脱酸素促進剤として機能する。しかし、有機系の脱酸素剤においては、脱酸素促進作用が著しく低下するため、脱酸素促進物質として適していない。
また、食品工場では、金属製異物の検査が金属探知機を利用して行われている。しかしながら、前記文献等に記載の保存剤は、鉄粉等の金属材料が配合されているため、先に食品を投入し、金属探知機による異物検査を行った後、保存剤を投入し、再度、金属探知機による不投入製品の検査を行う必要があるため、保存剤を食品より先に投入することができないなど、様々な食品包装に対応する方法ではなかった。
特許文献3には、エタノールおよび脱酸素剤としてグリセリンを含有する食品用品質保持剤が提案されている。しかしながら、特許文献3に記載される保存剤を用いた場合は、食品包装内の体積変化が大きく、中の食品やトレーが潰れてしまい、外観を損ねるといった問題があった。
上記のような背景から、酸素吸収とアルコール揮散の両機能を併せ持ち、酸素吸収速度の低下等の課題が解消され、また、金属探知機による異物の検査に制約がなく、かつ使用時の食品包装内の体積変化が小さい食品用品質保持剤が望まれていた。
本発明の目的は、酸素吸収とアルコール揮散の両機能を併せ持ち、酸素吸収速度の低下等の課題が解消され、また、金属探知機による異物の検査に制約がなく、かつ使用時の食品包装内の体積変化が小さい食品用品質保持剤を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、エタノール、アスコルビン酸類および/またはその塩と、特定のアルカリ性化合物を特定の量で添加し、さらに特定の酸化反応促進物質を組み合わせることによって、優れた酸素吸収性能およびエタノール揮散性能を示すと共に、食品包装内の体積変化が小さいことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、エタノール、アスコルビン酸類および/またはその塩、アルカリ性化合物、鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物、および吸着材を含有する食品用品質保持剤であって、アルカリ性化合物がアスコルビン酸類および/またはその塩に対して20〜80重量%であり、かつ、アルカリ土類金属化合物を含まない食品用品質保持剤を提供する。本発明はまた、前記食品用品質保持剤を製造する方法を提供する。
本発明の食品用品質保持剤に用いるアスコルビン酸類および/またはその塩としては、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸(D−イソアスコルビン酸)、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カリウム、L−アスコルビン酸アンモニウム、L−アスコルビン酸モノエタノールアミン、L−アスコルビン酸ジエタノールアミン、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウム、エリソルビン酸アンモニウム、エリソルビン酸モノエタノールアミン、エリソルビン酸ジエタノールアミンからなる群から選択される1種以上を用いることができる。これらの中でも、脱酸素能に優れる点で、エリソルビン酸ナトリウムが好ましい。また、これらの化合物は水和物であってもよい。
本発明の食品用品質保持剤に使用するアルカリ性化合物は、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩や、リン酸等の無機酸アルカリ金属塩等の無機酸化合物、または例えば酢酸、クエン酸等の有機酸アルカリ金属塩等の有機酸化合物が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、及びピロリン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1以上の化合物が挙げられる。これらアルカリ性化合物の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、又は炭酸水素カリウムが好ましく、炭酸カリウムがより好ましい。これらアルカリ性化合物は2以上の化合物を併用してもよい。尚、本発明の食品用品質保持剤に使用するアルカリ性化合物には、アルカリ土類金属化合物は含まれない。本発明の食品用品質保持剤にアルカリ土類金属化合物を配合すると脱酸素能あるいは二酸化炭素発生能が低下する傾向がある。
アルカリ性化合物の配合割合は、アスコルビン酸類および/またはその塩に対して20〜80重量%であり、30〜70重量%が好ましく。35〜65重量%がより好ましい。アルカリ性化合物の配合割合がアスコルビン酸類および/またはその塩に対して20重量%未満と低い場合には、酸素吸収能が不十分となる傾向があり、80重量%を超えて高い場合には、その分だけ過剰量となり食品用品質保持剤の酸素吸収性能、二酸化炭素発生能及びアルコール揮散性能が低下する傾向がある。
本発明の食品用品質保持剤に使用する鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物は、アスコルビン酸類および/またはその塩の酸素吸収剤としての作用を発現するための触媒として作用する。鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物を用いない場合、酸素吸収効率、特に酸素吸収速度が低下する傾向にある。鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物としては、例えば塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、水酸化第一鉄、水酸化第二鉄、塩化マンガンおよび炭酸マンガンからなる群から選ばれる1以上の化合物が挙げられるが、その作用の発現性及び安全性から、塩化第一鉄および/または塩化マンガンが好ましく、塩化第一鉄がより好ましい。また、これらの化合物は水和物であってもよい。鉄含有化合物は実質的に金属鉄を含まない。
鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物の配合割合は、鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物の種類によっても異なるが、例えばアスコルビン酸類および/またはその塩に対して、1〜30重量%が挙げられ、2〜25重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましいが、これらに限定されるものではない。
鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物の配合割合が例えばアスコルビン酸類および/またはその塩に対して1重量%未満と低い場合には、酸素吸収性能が不十分となる傾向があり、例えばアスコルビン酸類および/またはその塩に対して30重量%を超えて高い場合には、その分だけ過剰量となり食品用品質保持剤の酸素吸収性能及びアルコール揮散性能が低下する傾向がある。
本発明の食品用品質保持剤に用いる吸着材としては、従来からエタノール等の吸着材に用いられる材料がいずれも好適に用いられ、シリカ、バーミキュライト、雲母、二酸化珪素、タルク、ゼオライト、パーライト、ベントナイト、珪藻土およびアルミナからなる群から選択される1種以上を用いることができる。これらの中でも、エタノール等の吸着性に優れる点で、シリカまたはバーミキュライトが好ましく、シリカおよびバーミキュライトを併用することがより好ましい。
シリカは、一般に食品工業用途に用いられているシリカであればよく、一般的に入手可能な市販のシリカを使用することができる。シリカの形態としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。好ましいシリカとしては、例えば平均粒子径が約5〜500μmのシリカが挙げられる。
バーミキュライトは、一般に食品工業用途に用いられているバーミキュライトであればよく、一般的に入手可能な市販のバーミキュライトを使用することができる。焼成、精製された形態のものを使用することが好ましい。バーミキュライトの形態としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。好ましいバーミキュライトは、例えば平均粒子径が約0.2〜20mmのバーミキュライトが挙げられる。
本発明の食品用品質保持剤に使用するエタノールは、一般に食品工業用途に用いられているエタノール(例えば、95度エタノール)であればよく、特に制限されない。また、変性剤を含有するものであってもよい。変性剤としては、例えばフレーバーH−No.1、3、4、6、9〜13、100〜103、107、又は201等が挙げられるが、これらに限定されない。
エタノール、およびアスコルビン酸類および/またはその塩は、本発明の食品用品質保持剤における主剤であり、その配合割合は特に限定されるものではないが、エタノールの配合割合は、食品用品質保持剤全量に対し、例えば5〜50重量%が挙げられ、6〜42重量%が好ましく、7〜30重量%がより好ましく、7.5〜20重量%がさらに好ましいが、これらに限定されるものではない。エタノールの配合割合が例えば5重量%未満と低い場合にはエタノールの揮散量が少なく、食品の品質保持効果が低下する傾向があり、例えば50重量%を超えて高い場合には、その過剰分だけ他の成分の割合を減少させることとなるため、構成成分全体の組成のバランスが崩れ、食品の品質保持効果が低下する傾向がある。また、食品の周囲雰囲気中のエタノールの濃度が高くなり過ぎると、食品の風味に影響を及ぼす。
アスコルビン酸類および/またはその塩の配合割合は、食品用品質保持剤全量に対して、例えば10〜50重量%が挙げられ、15〜45重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましく、25〜35重量%がさらに好ましいが、これらに限定されるものではない。アスコルビン酸類および/またはその塩の配合割合が例えば10重量%未満と低い場合には酸素吸収性能が不十分となる傾向があり、例えば50重量%を超えて高い場合には、その過剰分だけ他の成分の割合を減少させることとなるため、構成成分全体の組成のバランスが崩れ、食品の品質保持効果が低下する傾向がある。
又、エタノールと、アスコルビン酸類および/またはその塩の混合比としては、エタノールに対してアスコルビン酸類および/またはその塩の配合割合が高い方が好ましく、例えば1:1.5〜1:10が挙げられ、1:1.6〜1:8が好ましく、1:1.7〜1:6がより好ましく、1:1.8〜1:5がさらに好ましい。
エタノールとアスコルビン酸類および/またはその塩の合計配合割合は、食品用品質保持剤全量に対して、例えば30〜60重量%が挙げられ、35〜55重量%が好ましく、38〜45重量%がより好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の食品用品質保持剤は、アセトアルデヒド吸着物質を含有してもよい。アセトアルデヒド吸着物質としては、従来公知の成分が適用可能であり、例えばポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、尿素、又はエチレン尿素等が例示されるが、それらに限定されるものではない。その中でも、入手の容易さ、安全性の点でポリアリルアミン、エチレン尿素が好ましい。
アセトアルデヒド吸着物質の配合割合は、食品用品質保持剤全量に対して、例えば1〜50重量%が挙げられ、3〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
本発明の食品用品質保持剤においては、目的に応じて水を予め添加しても良い。水を添加する場合、この水はどのような形態で存在していてもよい。水の添加方法としては、各成分を混合する際に別途、水を直接に添加する方法、鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物を予め水に溶解させた後に水溶液として添加する方法、エタノールをエタノール水溶液とした後にエタノール水溶液として添加する方法等が例示される。
この場合の水の配合割合は、食品用品質保持剤全量に対して、例えば3〜30重量%が挙げられ、5〜25重量%が好ましく、7〜20重量%がより好ましい。水の配合割合が例えば3重量%未満と低い場合には、酸素吸収性能が低下する場合があり、特に乾燥食品に対しては効果が不十分となる傾向がある他、製剤の製造時の原料の飛散性が増大し、製造性が悪化する場合がある。また、例えば30重量%を超えて高い場合には流動性が悪化する場合がある。
また、本発明の食品用品質保持剤には上記各成分の他、さらに脱酸素能を高めるためのその他の酸化促進剤を添加してもよい。その他の酸化促進剤としてはヤシガラ系活性炭、石炭系活性炭、木質系活性炭、合成樹脂系活性炭、ピッチ系活性炭等の活性炭、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、2,5−di−tert−ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン、ピロガロール、ヒドロキシキノール、フロログルシノール等の3価フェノール、および硫酸銅、カプリル酸銅等の銅含有化合物等からなる群から選ばれる1以上の化合物が挙げられる。上記酸化促進剤の配合割合としては、酸化促進剤の種類によっても異なるが、例えばアスコルビン酸類および/またはその塩に対して、0.1〜50重量%が挙げられ、0.5〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましく、3〜20重量%がさらに好ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明の食品用品質保持剤を製造する方法としては、各成分を単に混合してもよいが、例えば、エタノール、アスコルビン酸類および/またはその塩、および鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物を予め均一に混合した後、吸着材と混合し、さらにアルカリ性化合物と均一に混合する方法などが挙げられる。もちろんこれらに限定されるものではない。
又、得られた食品用品質保持剤は、通常、適当量を通気性小袋(例えば、従来から知られているエタノール蒸気を透過する袋)に充填した包装体とし、食品と共に密封することによって実用に供される。
通気性小袋の材質としては、プラスチック、紙、又は不織布等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、その中でもプラスチック包材が耐油性の点で好ましい。また、エタノール蒸気非透過性のフィルムに孔を設けたものも使用可能である。
本発明の食品用品質保持剤は、従来の酸素吸収剤およびアルコール揮散剤を適用し得る食品であれば特に限定されず、様々な食品に用いることができるが、水分活性値が0.3以上となる食品への適用が好ましい。水分活性値が0.3以上である食品の例としては、浅漬けなどの漬物、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、魚肉ソーセージ、生干し、魚開きなどの水産製品、コロッケ、トンカツ、フライドチキン、魚フライ、唐揚げなどのフライ製品、ハンバーグ、肉団子、餃子、シュウマイ、ソーセージなどの食肉惣菜、餅、白玉等の餅系食品、生麺、生パン粉、ピザクラスト、パン、洋菓子、和菓子、味噌、荒削節、又は佃煮等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の食品用品質保持剤は、金属探知機による金属製異物検査の前に食品用品質保持剤を包装食品中に投入し、金属製異物検査を行った後に質量検査機により不投入製品を検査するといった検品方法を可能にする。
本発明の食品用品質保持剤は、アスコルビン酸類および/またはその塩の酸化分解により、食品包装内の酸素を吸収し、二酸化炭素を発生することで、食品包装内の体積変化を小さくすることができる。
食品包装内の酸素濃度および二酸化炭素濃度は、ガス分析計を用いて測定することができるが、本発明の食品用品質保持剤はアルコールを揮散させるため、アルコールによる影響を受けにくいガルバニ式酸素計および赤外吸光式二酸化炭素計を備えたものが好ましく、例えば「CheckMate3」(MOCON Europe社製)を用いて測定される。
食品包装内の酸素濃度は、本発明の食品用品質保持剤を食品包装内に封入後30時間経過後において、2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましい。食品包装内の酸素濃度が2%を上回る場合、食品の変性、変色、酸化等が進行してしまう恐れがある。
食品包装内の二酸化炭素濃度は、本発明の食品用品質保持剤を食品包装内に封入後30時間経過後において、10〜30%が好ましく、15〜25%がより好ましく、17〜23%がさらに好ましい。食品包装内の二酸化炭素濃度が10%を下回る場合、食品包装内の体積変化による食品の変形等が発生する恐れがあり、30%を上回る場合、包装が破裂したり、包装に穴が開いたりすることによって、食品包装内の密閉状態を維持できなくなる恐れがある。
また、エタノールガスの濃度は市販の気体検知管またはガスクロマトグラフィー測定機器を用いて測定することができるが、これに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を更に説明する。
実施例1〜2および比較例1〜10
食品用品質保持剤の調製
本発明の食品用品質保持剤の製造例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、下記の方法により、本発明の食品用品質保持剤の具体例、および必須成分を含まない比較例を調製した。
下記に示す材料を表1に示す重量で配合して混合し、その混合物をそれぞれエタノール0.173g入るように3層ラミネート製(ポリエチレンテレフタレート/紙/ポリエチレン、透気度:6000秒)の小袋(5.0cm×4.5cm)に充填した後、ヒートシールにより封止して食品用品質保持剤を得た。・エリソルビン酸ナトリウム一水和物;エルビットN(扶桑化学工業株式会社製)
・グリセリン:98.5wt%精製グリセリン(株式会社シンコー・サイエンス・コーポレーション製)
・鉄粉:NC−200(DOWA IP クリエイション株式会社製)
・エタノール:95wt%エタノール(第一アルコール株式会社製)
・シリカ:シペルナート22(平均粒子径115μm、エボニック ジャパン株式会社製)
・バーミキュライト:B−1(平均粒子径2mm、旭工業株式会社製)
・炭酸カリウム;試薬 食品添加物(和光純薬工業株式会社製)
・水酸化カルシウム:消石灰 特号(株式会社カルファイン製)
・塩化第一鉄四水和物:試薬 特級(和光純薬工業株式会社製)・塩化マンガン四水和物:試薬 特級(関東化学株式会社製)・硫酸亜鉛七水和物:試薬 特級(和光純薬工業株式会社製)
・塩化第一すず二水和物:試薬 特級(和光純薬工業株式会社製)
・活性炭:ヤシコール(太平化学産業株式会社製)
・t−ブチルヒドロキノン:試薬 1級(東京化成工業株式会社製)
・水:イオン交換水
食品用品質保持剤の調製
本発明の食品用品質保持剤の製造例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、下記の方法により、本発明の食品用品質保持剤の具体例、および必須成分を含まない比較例を調製した。
下記に示す材料を表1に示す重量で配合して混合し、その混合物をそれぞれエタノール0.173g入るように3層ラミネート製(ポリエチレンテレフタレート/紙/ポリエチレン、透気度:6000秒)の小袋(5.0cm×4.5cm)に充填した後、ヒートシールにより封止して食品用品質保持剤を得た。・エリソルビン酸ナトリウム一水和物;エルビットN(扶桑化学工業株式会社製)
・グリセリン:98.5wt%精製グリセリン(株式会社シンコー・サイエンス・コーポレーション製)
・鉄粉:NC−200(DOWA IP クリエイション株式会社製)
・エタノール:95wt%エタノール(第一アルコール株式会社製)
・シリカ:シペルナート22(平均粒子径115μm、エボニック ジャパン株式会社製)
・バーミキュライト:B−1(平均粒子径2mm、旭工業株式会社製)
・炭酸カリウム;試薬 食品添加物(和光純薬工業株式会社製)
・水酸化カルシウム:消石灰 特号(株式会社カルファイン製)
・塩化第一鉄四水和物:試薬 特級(和光純薬工業株式会社製)・塩化マンガン四水和物:試薬 特級(関東化学株式会社製)・硫酸亜鉛七水和物:試薬 特級(和光純薬工業株式会社製)
・塩化第一すず二水和物:試薬 特級(和光純薬工業株式会社製)
・活性炭:ヤシコール(太平化学産業株式会社製)
・t−ブチルヒドロキノン:試薬 1級(東京化成工業株式会社製)
・水:イオン交換水
表1
(表1の続き)
(表1の続き)
酸素吸収性能、二酸化炭素発生能およびエタノールガス発生能試験
(1)酸素濃度および二酸化炭素濃度の測定
塩化ビニリデンコート延伸ナイロン/ポリエチレン製(以下、KON/PE製と称する)の袋に、上記で得られた食品用品質保持剤、飽和塩化ナトリウム水溶液1.0mlをしみ込ませた濾紙(φ110mm)および空気250mlを投入し(水分活性:0.75)、封入した後、25℃で保管した。30時間後の袋内の酸素濃度および二酸化炭素濃度を「CheckMate3」(MOCON Europe社製)にて測定した。測定結果を表2に示す。
(1)酸素濃度および二酸化炭素濃度の測定
塩化ビニリデンコート延伸ナイロン/ポリエチレン製(以下、KON/PE製と称する)の袋に、上記で得られた食品用品質保持剤、飽和塩化ナトリウム水溶液1.0mlをしみ込ませた濾紙(φ110mm)および空気250mlを投入し(水分活性:0.75)、封入した後、25℃で保管した。30時間後の袋内の酸素濃度および二酸化炭素濃度を「CheckMate3」(MOCON Europe社製)にて測定した。測定結果を表2に示す。
(2)酸素吸収量の測定
KON/PE製の袋に、上記で得られた食品用品質保持剤、飽和塩化ナトリウム水溶液1.0mlをしみ込ませた濾紙(φ110mm)および空気1500mlを投入し(水分活性:0.75)、密封した後、25℃で保管した。72時間後の袋内の酸素濃度を「CheckMate3」(MOCON Europe社製)にて測定した。また、72時間後の酸素濃度の測定値を用いて下記計算式にて酸素吸収量を算出した。
酸素吸収量(ml)=[(初期酸素濃度−72時間後酸素濃度)/100]×1500
初期酸素濃度は20.9%として算出した。酸素吸収量の測定結果を下記表2に示す。
KON/PE製の袋に、上記で得られた食品用品質保持剤、飽和塩化ナトリウム水溶液1.0mlをしみ込ませた濾紙(φ110mm)および空気1500mlを投入し(水分活性:0.75)、密封した後、25℃で保管した。72時間後の袋内の酸素濃度を「CheckMate3」(MOCON Europe社製)にて測定した。また、72時間後の酸素濃度の測定値を用いて下記計算式にて酸素吸収量を算出した。
酸素吸収量(ml)=[(初期酸素濃度−72時間後酸素濃度)/100]×1500
初期酸素濃度は20.9%として算出した。酸素吸収量の測定結果を下記表2に示す。
(3)エタノールガス濃度の測定
KON/PE製の袋に、上記で得られた食品用品質保持剤、塩化ナトリウム水溶液18gをしみ込ませた脱脂綿および空気(250ml)を袋内に封入した後(水分活性:0.85)、25℃で72時間保管した。72時間後の袋内のエタノールガス濃度を測定した。
尚、エタノールガス濃度は、下記の条件にてガスクロマトグラフィーにより測定した。
また、エタノールガス濃度の測定結果を下記表2に示す。
KON/PE製の袋に、上記で得られた食品用品質保持剤、塩化ナトリウム水溶液18gをしみ込ませた脱脂綿および空気(250ml)を袋内に封入した後(水分活性:0.85)、25℃で72時間保管した。72時間後の袋内のエタノールガス濃度を測定した。
尚、エタノールガス濃度は、下記の条件にてガスクロマトグラフィーにより測定した。
また、エタノールガス濃度の測定結果を下記表2に示す。
[ガスクロマトグラフィー(GC)]
装置:株式会社島津製作所製GC−2014/GCsolution
カラム型番:Porapak Q(80/100mesh,2.1mmI.D.×1.1m)
注入量:200μL
カラム温度:120℃
検出温度:150℃
注入温度:150℃
キャリアガス:窒素
キャリアガス流量:45mL/min
検出器:FID
装置:株式会社島津製作所製GC−2014/GCsolution
カラム型番:Porapak Q(80/100mesh,2.1mmI.D.×1.1m)
注入量:200μL
カラム温度:120℃
検出温度:150℃
注入温度:150℃
キャリアガス:窒素
キャリアガス流量:45mL/min
検出器:FID
表2
(表2の続き)
(表2の続き)
実施例1および2の食品用品質保持剤は、酸素濃度が低く、酸素吸収量が高いことから、優れた酸素吸収能を示すとともに、酸素吸収量と同程度の二酸化炭素を発生しているため、包装内の体積変化が極めて小さい。これに対し、比較例1〜10の食品用品質保持剤は酸素吸収能または二酸化炭素発生能のどちらかが劣る結果であった。
Claims (8)
- エタノール、アスコルビン酸類および/またはその塩、アルカリ性化合物、鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物、および吸着材を含有する食品用品質保持剤であって、アルカリ性化合物がアスコルビン酸類および/またはその塩に対して20〜80重量%であり、かつ、アルカリ土類金属化合物を含まない食品用品質保持剤。
- アスコルビン酸類および/またはその塩が、エリソルビン酸ナトリウムである、請求項1に記載の食品用品質保持剤。
- アルカリ性化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムからなる群から選ばれる1以上である、請求項1または2に記載の食品用品質保持剤。
- 鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物が、塩化第一鉄および/または塩化マンガンである、請求項1〜3のいずれかに記載の食品用品質保持剤。
- 鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物の配合割合が、アスコルビン酸類および/またはその塩に対して、1〜30重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の食品用品質保持剤。
- 吸着材が、シリカおよび/またはバーミキュライトである、請求項1〜5のいずれかに記載の食品用品質保持剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の食品用品質保持剤を、通気性の袋に充填してなる食品用品質保持剤包装体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の食品用品質保持剤を製造する方法であって、
エタノール、アスコルビン酸類および/またはその塩、アルカリ性化合物、鉄含有化合物および/またはマンガン含有化合物、および吸着材を混合する工程を含む、方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018065383A JP2019170336A (ja) | 2018-03-29 | 2018-03-29 | 食品用品質保持剤 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022102640A1 (ja) * | 2020-11-11 | 2022-05-19 | 株式会社ウエノフードテクノ | 食品用品質保持剤 |
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2018
- 2018-03-29 JP JP2018065383A patent/JP2019170336A/ja active Pending
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