JP3071750U - リバーシブル和装着物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】和装着物において、表側並びに裏側のいずれを
外向きに着用してもデザイン的にも全く支障のないリバ
ーシブルな和装着物を提供すること。 【解決手段】一反の生地を裁断して各構成部分を準備
し、該各構成部分を縫着して縫成される和装着物にあっ
て、前記各構成部分の接合縫着部Ｓ１、及び、衿下１
３、裾縁１４、袖口１５、身八つ口１６、振八つ口１７
などの縁辺縫着部Ｓ２、並びに、袖口下１８、袂１９、
袖下２０などの留合わせ縫着部Ｓ３が、表側並びに裏側
のいずれの方向からも外観上デザイン的に支障のない縫
成により処理されていることを特徴とするリバーシブル
和装着物。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、和装用長着、特に、浴衣のような単衣長着にあって、表側並びに裏 側の双方を選択的に外向きにして着用することができるようにしたリバーシブル 和装着物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

周知のように、和装用の長着にあって、例えば、浴衣のような単衣長着は、一反 の生地から前身頃、後身頃、袖、袵、衿、共衿の各構成部分を裁断して準備して おき、それらの各構成部分を所定の形態に縫着することによって、一着の単衣長 着として縫成処理されるものである。上記する従来の単衣長着は、当然のことな がら表側と裏側とがあり、専ら、表側を外向きにして着用するものにすぎなかっ た。

【０００３】 すなわち、従来の単衣長着は、上記するように、一反の生地を裁断して各構成部 分を準備し、それらの各構成部分を所定の縫着処理によって仕立てられるもので あり、その縫着処理の段階では裏側を外向きに着用するための工夫は一切なされ ておらず、専ら、表側を外向きにして着用するにすぎない。したがって、上記す る表側のみを外向きにして着用する従来の単衣長着は、着用の変化性並びに着用 の興趣性に乏しいものであった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、この考案は、例えば、浴衣などのような単衣長着にあって、当該単衣長 着を、表側を外向きに着用すること、並びに、裏側を外向きに着用することの双 方を選択的に可能とするものであって、そのために各構成部分の縫着処理に独特 の工夫を凝らし、表側並びに裏側のいずれを外向きに着用してもデザイン的にも 全く支障のないように構成した、所謂リバーシブルな和装着物を提供することに ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記する目的を達成するにあたって、具体的には、一反の生地を裁 断して各構成部分を準備し、該各構成部分を縫着して縫成される和装着物にあっ て、 縫成された和装着物の表側並びに裏側の双方を選択的に外向きにして着用可能に なしたリバーシブル和装着物を構成するものである。

【０００６】 さらに、この考案は、一反の生地を裁断して各構成部分を準備し、該各構成部分 を縫着して縫成される和装着物にあって、 前記各構成部分の接合縫着部、及び、衿下、裾縁、袖口、身八つ口、振八つ口な どの縁辺縫着部、並びに、袖口下、袂、袖下などの留合わせ縫着部が、表側並び に裏側のいずれの方向からも外観上デザイン的に支障のない縫成により処理され ているリバーシブル和装着物を構成するものでもある。

【０００７】

【考案の実施の態様】

以下、この考案になるリバーシブル和装着物について図面に示す具体的な実施例 にもとづいて詳細に説明する。 図１は、この考案にかかるリバーシブル和装着物について、これを単衣長着であ る浴衣に適用した構成例を示すものであって、表側にあたる一方の面を外向きに した状態を示す概略的な正面図である。

【０００８】 一方、図２は、当該リバーシブル和装着物における各主要構成部分における縫着 の状態を概略的な断面図で示すものあって、図２Ａは、図１における２Ａ−２Ａ 線に沿って断面にして示す概略的な２Ａ−２Ａ線断面図であり、図２Ｂは、図１ における２Ｂ−２Ｂ線に沿って断面にして示す概略的な２Ｂ−２Ｂ線断面図であ り、図２Ｃは、図１における２Ｃ−２Ｃ線に沿って断面にして示す概略的な２Ｃ −２Ｃ線断面図である。

【０００９】 なお、図３は、従来の典型的な例になる単衣長着にあって、これを図２Ａに示す 断面図に対応させて図示した概略的な断面図である。

【００１０】 まず、図１に基づいて、この考案の適用になる単衣長着の基本的な構成について 説明する。図１に示す単衣長着１は、前身頃２、後身頃３、袖４、袵５、衿６お よび共衿７の各構成部分を有するものからなっている。

【００１１】 一方、前記単衣長着１における各構成部分は、以下に示す接合縫着部Ｓ１によっ て接合縫着されている。まず、前記前身頃２に対しては、袵附８を介して前記袵 ５が接合縫着されており、脇縫い９を介して前記後身頃３が接合縫着されている 。前記後身頃３は、背部中央線に沿ってのびる背縫い１０によって接合縫着され ている。前記袖４は、前記前身頃２および後身頃３の上方部位に袖附１１を介し て接合縫着されており、前記衿６は、前記袵５に対して衿附１２を介して接合縫 着されている。

【００１２】 さらに、前記単衣長着１における各構成部分は、以下に示す縁辺縫着部Ｓ２並び に留合わせ縫着部Ｓ３によって縫着処理されている。前記各構成部分における縁 辺縫着部Ｓ２は、衿下１３、裾縁１４、袖口１５、身八つ口１６、振八つ口１７ などの各縁辺縫着部を総称するものである。これに対して、留合わせ縫着部Ｓ３ は、袖口下１８、袂１９、袖下２０の各留合わせ縫着部を総称するものとして表 してある。

【００１３】 次いで、この考案になるリバーシブル和装着物に関し、前記接合縫着部Ｓ１、縁 辺縫着部Ｓ２並びに留合わせ縫着部Ｓ３の具体的な構成例について、図２各図に 基づいて説明する。この考案になるリバーシブル和装着物は、表側並びに裏側の 双方を選択的に外向きにして、それぞれ違和感なく着用可能にするものであって 、これを達成するための手段として、前記接合縫着部Ｓ１、縁辺縫着部Ｓ２並び に留合わせ縫着部Ｓ３の具体的な構成が採られているものである。

【００１４】 図２Ａは、図１における２Ａ−２Ａ線に沿った概略的な拡大断面図であり、特に 、共衿７、前身頃２、後身頃３、袖４に関して、袖附１１、袖口１５、背縫い１ ０の縫着態様を示すものである。この考案において、共衿７の縫着方法は、従来 例と殆ど変わりがなく、前身頃２の表側２ａおよび裏側２ｂに対して、前記共衿 ７、７を２つの縫着線２１、２２によって縫着してある。

【００１５】 前記前身頃２および後身頃３に袖４を取り付ける袖附１１は、前身頃２の縁辺を 表側２ａに折り返しておき、その上に、所定幅（仕上がり状態において約５ｍｍ 〜１０ｍｍ程度）の帯状の共生地２３を縫着線２４、２５によって縫着してある 。同様に、袖４側は、その縁辺を表側４ａに折り返しておき、その上に、同様の 帯状の共生地２６を縫着線２７、２８によって縫着処理してある。当然のことな がら、この接合縫着部Ｓ１の構成にあっては、袖附１１部において前記前身頃２ の縁辺と袖４の縁辺、及び、前記後身頃３の縁辺と袖４の縁辺とが縫着線２９、 ３０によって縫着されている。

【００１６】 前記袖４における袖口１５は、袖４の縁辺を表側４ａに折り返しておき、その上 に、同様の帯状の共生地３１を縫着線３２、３３によって縫着処理してある。図 ２Ａに示すように、前記後身頃３側における袖附１１及び袖口１５の縫着構造も 上記する縫着構造と同様のものである。

【００１７】 一方、図２Ａにおいて示されるように、前記後身頃３における中央線ＣＬに沿っ てのびる背縫い１０の縫着構成も従来の構成と異なる。すなわち、前記背縫い１ ０は、前記中央線ＣＬの両側に沿ってのびる縫着線３４、３５によってＺ折り畳 み状に縫着処理してある。

【００１８】 次いで、図２Ｂに示されるように、身八つ口１６及び振八つ口１７の各縁辺縫着 部Ｓ２は、図２Ａに示す袖口１５の縫着構造と全く同様のものである。これに対 して、袖口下１８、袂１９、袖下２０の各留合わせ縫着部Ｓ３は、袖４の縁辺を 縫着線３６で縫着し、袋折りした後、前記縫着線３６に沿って所定の間隔をおい 袖４、４を縫着線３７によって縫着処理してある。

【００１９】 図２Ｃは、当該リバーシブル和装着物における裾部１４の縫着構造を示すもので ある。この裾部１４は、上記する縁辺縫着部Ｓ２と同様のものであり、例えば図 １における２Ｃ−２Ｃ線断面部において、前身頃２の裾縁を表側２ａに折り返し ておき、その上に、所定幅の帯状の共生地３８を縫着線３９、４０によって縫着 してある。同様に、後身頃３の裾縁を表側３ａに折り返しておき、その上に、所 定幅の帯状の共生地４１を縫着線４２、４３によって縫着してある。

【００２０】 参考のため、図３に従来の典型的な単衣長着の縫着構成例を図２Ａに対応する概 略的な断面図に基づいて説明しておく。前記従来の典型的な単衣長着５１におい て、例えば、袖附６１部は、前身頃５２の縁辺を裏側５２ｂに折り返し、さらに 、折り返し先端縁を巻き込み状に折り返し、該巻き込み状に折り返し部に沿って 縫着線６４によって縫着してある。同様に、袖５４側は、その縁辺を裏側５４ｂ に折り返し、さらに、折り返し先端縁を巻き込み状に折り返し、該巻き込み状に 折り返し部に沿って縫着線６８によって縫着してある。この接合縫着部の構成に あっては、袖附６１部において前記前身頃５２の縁辺と袖５４の縁辺、及び、前 記後身頃５３の縁辺と袖５４の縁辺とが縫着線７９、８０によって縫着されてい る。

【００２１】 前記袖５４における袖口６５は、袖５４の縁辺を裏側５４ｂに折り返し、さらに 、折り返し先端縁を巻き込み状に折り返し、該巻き込み状に折り返し部に沿って 縫着線８１及び縫着線８２によって縫着してある。したがって、この従来の典型 的な単衣長着５１は、その裏側を外向きにして着用しようとすると、各縫着処理 部の構造が露出し、外観上、問題とされるものである。

【００２２】

【考案の効果】

以上の構成になるリバーシブル和装着物は、構造が簡単であり、製造が容易であ って、多量生産に適合し得る点において、経済的にも極めて有利に作用するもの であり、さらに、構成部材が少ないものであるという点においても極めて実効性 の高いものであるといえる。

【００２３】 さらに、この考案になるリバーシブル和装着物は、例えば、浴衣などのような単 衣長着にあって、各構成部分の縫着処理に独特の工夫を凝らした点において、当 該単衣長着を、表側を外向きに着用すること、並びに、裏側を外向きに着用する ことの双方を選択的に可能とするものであって、表側並びに裏側のいずれを外向 きに着用してもデザイン的に全く支障がなく、着用の変化性並びに着用の興趣性 の点において極めて有効に作用するものといえる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この考案にかかるリバーシブル和装着
物について、これを単衣長着である浴衣に適用した構成
例を示すものであって、表側にあたる一方の面を外向き
にした状態を示す概略的な正面図である。

【図２】図２は、当該リバーシブル和装着物における各
主要構成部分における縫着の状態を概略的な断面図で示
すものあって、図２Ａは、図１における２Ａ−２Ａ線に
沿って断面にして示す概略的な２Ａ−２Ａ線断面図であ
り、図２Ｂは、図１における２Ｂ−２Ｂ線に沿って断面
にして示す概略的な２Ｂ−２Ｂ線断面図であり、図２Ｃ
は、図１における２Ｃ−２Ｃ線に沿って断面にして示す
概略的な２Ｃ−２Ｃ線断面図である。

【図３】図３は、従来の典型的な例になる単衣長着にあ
って、これを図２Ａに示す断面図に対応させて図示した
概略的な断面図である。

【符号の説明】

１ 単衣長着 ２ 前身頃 ３ 後身頃 ４ 袖 ５ 袵 ６ 衿 ７ 共衿 Ｓ１ 接合縫着部 Ｓ２ 縁辺縫着部 Ｓ３ 留合わせ縫着部 ８ 袵附 ９ 脇縫い １０ 背縫い １１ 袖附 １２ 衿附 １３ 衿下 １４ 裾縁 １５ 袖口 １６ 身八つ口 １７ 振八つ口 １８ 袖口下 １９ 袂 ２０ 袖下 ２１、２２ 縫着線 ２３ 共生地 ２４、２５ 縫着線 ２６ 共生地 ２７、２８ 縫着線 ２９、３０ 縫着線 ３１ 共生地 ３２、３３ 縫着線 ＣＬ 中央線 ３４、３５ 縫着線 ３６ 縫着線 ３７ 縫着線 ３８ 共生地 ３９、４０ 縫着線 ４１ 共生地 ４２、４３ 縫着線

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一反の生地を裁断して各構成部分を準備
   し、該各構成部分を縫着して縫成される和装着物にあっ
   て、縫成された和装着物の表側並びに裏側の双方を選択
   的に外向きにして着用可能になしたことを特徴とするリ
   バーシブル和装着物。
2. 【請求項２】 一反の生地を裁断して各構成部分を準備
   し、該各構成部分を縫着して縫成される和装着物にあっ
   て、前記各構成部分の接合縫着部、及び、衿下、裾縁、
   袖口、身八つ口、振八つ口などの縁辺縫着部、並びに、
   袖口下、袂、袖下などの留合わせ縫着部が、表側並びに
   裏側のいずれの方向からも外観上デザイン的に支障のな
   い縫成により処理されていることを特徴とするリバーシ
   ブル和装着物。