JP3054029B2 - ポリスチレン樹脂組成物からなる成型品 - Google Patents

ポリスチレン樹脂組成物からなる成型品

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JP3054029B2 JP6123521A JP12352194A JP3054029B2 JP 3054029 B2 JP3054029 B2 JP 3054029B2 JP 6123521 A JP6123521 A JP 6123521A JP 12352194 A JP12352194 A JP 12352194A JP 3054029 B2 JP3054029 B2 JP 3054029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、AV機器、事務機器、
カメラ等の外装品等に使用される樹脂成型品に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から樹脂表面をメタリックにするた
めに樹脂成型品の表面にメタリック塗料を塗装すること
が行われている。また近年は、アルミニウム片を含有し
た樹脂成型品は、前記従来の樹脂成型品の表面に塗料を
塗装するコストに比較して大幅なコストダウンと生産性
の向上がはかれることから、採用されつつある。例え
ば、合成樹脂100重量部に対して、平均粒径30μm
以下、平均形状比(厚み/粒径)1/20〜1で比較的
球形に近いアルミニウム粒子からなるアルミニウム顔料
を0.3〜10重量部配合した合成樹脂組成物が提案さ
れている(特公昭57−40181号公報)。他の例と
して、熱可塑性樹脂100重量部と最大粒径10μm〜
1mmの任意形状の金属粒子0.1〜20.0容量部よ
りなり、前記金属粒子の平均間隙Dと、ウエルド巾Hと
がD≧Hの関係にある樹脂成型品が提案されている(特
公平4−27932号公報)。さらに他の例としては、
ウエルドマークの巾が30μm以下の樹脂成型品であっ
て、熱可塑性樹脂と表面に光沢を有する粒子の合計体積
100容量部に対して、平均粒径35μm〜1mmで平
均形状比1/8〜1の前記光沢粒子0.1〜10容量部
を含有する樹脂成型品が提案されている(特公平4−5
5462号公報)。前記においてウエルドマークとは、
溶融樹脂が金型内を複数の流れとなって流動する際、樹
脂と樹脂の合流点に発生するもので、成型物となった状
態では割れ目状に見える筋状物をいう。このウェルドマ
ークは、溶融樹脂が金型内を流れるとき、樹脂の合流点
にある空気の逃げ場がないため、空気溜り(エアトラッ
プ)が発生すること、及び合流点では溶融樹脂の流れが
ほかの部分と異なり、これらが原因となってウェルドマ
ークとなり易い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
公昭57−40181号公報の発明は、AV機器等の様
に裏面形状が比較的複雑な前面パネル等に粒径30μm
以下で0.3〜10重量%のアルミニウム顔料を配合し
た場合、樹脂成型品の表面にメタリックムラが発生し更
に、通常のメタリック片を含有する塗装に対して白っぽ
くなる傾向があり、外観を大きく損うと共にウエルドマ
ークを目立たせる結果となる。また前記特公平4−27
932号公報の発明は、樹脂成型品のウエルドマークの
発生の原因は、成型時に樹脂と金型表面の温度差により
樹脂表面に発生するスキン層であり、ウエルドマーク部
には、アルミニウム片の分散はなく、更に樹脂とアルミ
ニウム片の比重の違いにより、ウエルドマーク部近辺に
は、アルミニウム片の分散がすくない為、ウエルドマー
ク部にメタリックムラが発生しやすいという問題があっ
た。さらに、前記特公平4−55462号公報の発明
は、樹脂成型品を高品位を要求される商品に塗装等の表
面処理をせず採用する場合、ウエルドマークの深さは、
3μm以下、巾は15μm以下にする必要があり、ウエ
ルドマークの巾30μmの場合、深さは10μm以上と
なり、採用できないという問題があった。さらにこの方
法も、前記特公昭57−40181号公報の発明と同
様、前面パネル等に粒径30μm以下で0.3〜10重
量%のアルミニウム顔料を配合した場合、通常のメタリ
ック片を含有する塗装に対して白っぽくなる傾向があ
り、更に樹脂成型品の表面にメタリックムラが発生し、
外観を大きく損うと共にウエルドマークを更に目立たせ
るという問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
め、低コストで、高品位、高外観のアルミニウム片を含
有した樹脂成型品を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のアルミニウム片含有樹脂成型品は、主成分が
GPスチレン樹脂とHIスチレン樹脂との混合組成物か
らなり、かつHIスチレン樹脂の比率が高いポリスチレ
ン樹脂であり、光輝性成分として鱗片状のアルミニウム
片を含むポリスチレン樹脂組成物からなる成型品であっ
て、前記鱗片状のアルミニウム片の粒径(μm)と配合
量(重量%)との関係が下記式(数2)の範囲であり
かつ平均粒子直径0.2〜5.0μmの範囲のゴム粒子
を3〜7重量%含む組成物であることを特徴とする。
【数2】Y≧1000X ただし、Y:アルミニウム片の粒径(μm) X:アルミニウム片の配合量(重量%)
【0006】前記構成においては、製品可視部に於ける
最大のウエルドマークの幅を15μm以下、かつ深さ3
μm以下にしたことが好ましい。また前記構成において
は、樹脂成型品の製品可視部に於ける最大のウエルドマ
ークの深さHと、金型ホーニングにより樹脂成型品の表
面に施したホーニングの深さhとがほぼ等しく、ウエル
ドマークの幅Wと金型ホーニングの間隔Pがほぼ等しい
関係にあることが好ましい。
【0007】前記構成においては、ゴム粒子の平均粒子
直径が1〜1.5μmの範囲であることが好ましい。
【0008】
【作用】前記した本発明の構成によれば、主成分がGP
スチレン樹脂とHIスチレン樹脂との混合組成物からな
り、かつHIスチレン樹脂の比率が高いポリスチレン樹
脂であり、光輝性成分として鱗片状のアルミニウム片を
含むポリスチレン樹脂組成物からなる成型品であって、
前記鱗片状のアルミニウム片の粒径(μm)と配合量
(重量%)との関係が前記式(数2)の範囲であり、か
つ平均粒子直径0.2〜5.0μmの範囲のゴム粒子を
3〜7重量%含む組成物であることにより、低コスト
で、高品位、高外観のアルミニウム片を含有した樹脂成
型品を実現できる。
【0009】また前記において、製品可視部に於ける最
大のウエルドマークの幅を15μm以下、かつ深さ3μ
m以下にするという好ましい構成によれば、樹脂成型品
を射出成型で成形することにより、塗装を必要とせず
に、メタリック感のある樹脂成型品を実現できる。
【0010】また前記において、樹脂成型品の製品可視
部に於ける最大のウエルドマークの深さHと、金型ホー
ニングにより樹脂成型品の表面に施したホーニングの深
さhとが、ほぼ等しく、ウエルドマークの幅Wと金型ホ
ーニングの間隔Pがほぼ等しい関係にあるいう好ましい
構成によれば、ウエルドマークを更に目立ち難くするこ
とが可能となる。
【0011】また前記において、ポリスチレン樹脂が、
GPスチレン樹脂とHIスチレン樹脂との混合組成物で
あると、コストが安価でかつ強度や耐久性などの面で実
用的である。
【0012】本発明は上記した構成によって、樹脂成型
品上の塗装等の表面処理を廃止することができ、大幅な
コストダウンと生産性の向上が可能となる。
【0013】
【実施例】以下本発明の実施例について、表1〜表2及
び図1〜図11を参照しながら詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明の実施例におけるポリスチ
レン樹脂に対するアルミニウム片の粒径と配合量を示す
ものである。AV機器等の様に、裏面形状が比較的複雑
な前面パネル等にアルミニウム片を含有した場合、樹脂
の流れが複雑になるため、メタリックムラが平面部に発
生しやすく、図1のaの粒径30μmで含有量0.3重
量%の場合は、前面パネルの平面部で裏面にリブ、ボス
のある部分に、樹脂の流れに沿ってメタリックムラが発
生し、更にアルミニウム片の含有量が多い為、メタリッ
ク感が無く外観的に白っぽくなり、商品としては使用で
きないレベルであった。bの粒径35μmで含有量0.
1重量%の場合は、平面部のメタリックムラ及び白っぽ
さは無くなるが、ウエルドマーク付近においてメタリッ
クムラが発生し商品としては使用できないレベルであっ
た。cの35μm/0.08重量%の場合に於いてもb
とほぼ同様の結果であった。
【0015】以上のように、粒径35μmの場合に於い
て、含有量を0.08重量%にしてもウエルドマーク付
近には、メタリックムラが発生していた、これは前記に
述べた通りウエルドマーク付近には、アルミニウム片の
分散が少なく、更に縦方向に配置しているため、ウエル
ドマーク以外とのアルミニウム片の分散の差によりメタ
リックムラが発生した。
【0016】図1のd〜eの粒径50μmの場合を見る
とdの含有量0.08重量%の場合は、平面部及びウエ
ルドマーク部のメタリックムラについては殆ど目立たな
いレベルとなった。eの含有量を0.015重量%にす
ると黒色のポリスチレン樹脂の場合、アルミニウム片が
適当な間隔を持ち分散し、良好な外観を有する樹脂成型
品が可能となった。
【0017】次に、塗装を廃止する場合ウエルドマーク
を目立ち難くしなければならない。図1のfの粒径20
μmの含有量0.01重量%場合を見ると、ウエルド
マーク部のメタリックムラの発生はなく、外観的にほぼ
良好の樹脂成型品が可能となった。但し、粒径50μm
の場合と比較すると、粒径が25μmと小さく、更に樹
脂着色時の混練においてアルミニウム片が粉砕され小さ
くなるため、外観的には多少白っぽくなった。
【0018】この結果よりAV機器等の様に、裏面形状
が比較的複雑な前面パネル等にアルミニウム片を含有す
る場合の、粒径と配合量との関係は、下記の通りであっ
た。 (A):Y≧500X(ただし、Y:アルミニウム片の
粒径(μm)、X:アルミニウム片の配合量(重量
%)。この関係を図1A線の左上側で示す。
【0019】更にメタリック感を出したい場合の、好ま
しい粒径と配合量との関係は、下記の通りであった。 (B):Y≧1000X(ただし、Y:アルミニウム片
の粒径(μm)、X:アルミニウム片の配合量(重量
%)が得られる。この関係を図1B線の左上側で示す。
【0020】A≧Bの場合は、外観的に艶を落したい場
合、又ウエルドマークを目立ち難くしたい場合に効果が
あり、B≧Aの場合はポリスチレン樹脂の生地色を生か
しながらメタリック感を出したい場合等の使い分けを行
うことにより、高品位、高外観のアルミニウム片を含有
する樹脂成型品を作ることが可能である。
【0021】次に、図2及び表1によりウエルドマーク
の深さと外観の関係を説明する。図2は、AV機器のア
ンプの前面パネルであり、Gはゲート、L1 は360m
m、L2 は120mm、A〜Dはウエルドマークの幅及
び深さと外観評価した部分である。図2のA点は表1の
、同B点は表1の、同C点は表1の、同D点は表
1のを示す。表1は前記パネルを通常の成形条件で成
形し、ウエルドマークの幅及び深さと外観評価を測定し
た表である。図3は、ウエルドマークの幅W及び深さh
を示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかな通り、図2のA〜Dの測
定個所で表1ののウエルドマークの幅及び深さであ
れば外観に使用できるレベルであった。従って塗装を省
略できるパネルの可視部分のウエルドマークとしては、
幅W=15μm以下、深さh=3μm以下が好ましい。
但しウエルドマークの幅及び深さが前記以下であって
も、外観的には、樹脂の割れ、クラックとして判断され
る場合があるため、更にウエルドマークを目立ちにくく
するため、金型ホーニング、成形条件及び金型材料、ポ
リスチレン樹脂などの改善が必要である。
【0024】次に、ウエルドマークを目立ち難くするた
めの、具体策を実施例をもとに説明する。図5〜6はウ
エルドマークの概念図を示したものである。1は成形材
料が金型内を通過するとき冷却される事により発生する
スキン層、2は樹脂成形品に含有されるアルミニウム
片、3は前記アルミニウム片を含んだ樹脂である。ウエ
ルドマークは金型内に流れる2つ以上の樹脂の合わさり
目に発生するが、ウエルドマークの大、小は樹脂が金型
内を流れる時、冷却されることにより発生するスキン層
1(図5)の厚みと樹脂の合わさり目にある空気4の逃
場がない為空気溜りが発生しウエルドマークとなる。更
にアルミニウム片2を含んだ樹脂3の場合、スキン層1
にはアルミニウム片が無いため、ウエルドマークを目立
たせる結果となる。更に樹脂の比重に対して、アルミニ
ウム片の比重が大きいため、樹脂の合わさり目にアルミ
ニウム片が少なくなり、更にウエルドマークが目立つこ
とになる。図7〜8は、ウエルドマーク部断面と通常断
面部のアルミニウム片の状態を示した図である。図7の
ウエルドマーク部近辺で、メタリック片は縦方向に配置
されており、図8の通常断面部のアルミニウム片は横方
向に配置している。
【0025】以上のように、ウエルドマークは、通常の
アルミニウム片を含まない樹脂成型品であっても、ウエ
ルドマークを目立ちにくくする事は、非常に困難であ
り、更に、メタリック片を含んだ樹脂成型品の場合は、
ウエルドマーク部のスキン層1、樹脂とアルミニウム片
の比重の差、アルミニウム片が縦方向に配置してしまう
為、ウエルドマークが更に目立つことになる。
【0026】以上のように、ウエルドマークを目立ち難
くするためは、前記式(数1)のアルミメタリック片の
粒径と含有量の関係は非常に有効な手段であると共に、
図4の様に、パネル可視部に於ける最大のウエルドマー
クのを幅W15μm以下、深さhを3μm以下にすると
共に、パネルの金型にウエルドマークの幅Wと深さhと
ほぼ同等の金型エッチングのWとPをほぼ等しく、深さ
hとdをほぼ等しく設定することにより、ウエルドマー
クを更に目立ち難くすることが可能となる。
【0027】次に、ウエルドマークを幅W15μm以
下、深さhを3μm以下にする為の具体例を説明する。
表2に成形条件を示す。
【0028】
【表2】
【0029】表2から明らかな通り、通常のAV機器の
塗装等の表面処理パネルの成形条件は、金型のキャビテ
ィ側の温度は、60℃以下、コアー側の温度は40℃以
下で成形しているが、表1、図2に示すとおり、この場
合パネル可視部最大のウエルドマークの幅はW15μm
以上、深さhを3μm以上となり、外観には使用できな
い。ウエルドマークの幅をW15μm以下、深さhを3
μm以下にする為には、金型のキャビティ側の温度は6
5℃以上、75℃以下、コアー側の温度は40℃以上、
70℃以下で成形する必要があり、この成形条件で成形
を行うことにより、スキン層1(図5)を薄くすること
が可能となりウエルドマークを浅くすることができる。
但し、キャビティ側の温度が、80℃以上になると肉厚
部のヒケの発生、成形時間のアップとなる、更にキャビ
ティ側の温度と、コアー側の温度との差が40℃以上に
なると、金型の摺動部が熱膨張により動作しなくなる事
があるため、そのような成型条件成型する場合は金型的
な配慮が必要である。
【0030】次に図9により、ウエルドマークを更に浅
くする為の、金型製作時の具体例を説明する。前に説明
したとおり、ウエルドマークの発生要因として、樹脂の
合わさり目の残留空気があげられるが、金型内の残留空
気を抜けやすくするため、ウエルドマークの発生する部
分に、通気性のある鋼材(たとえばポーラス構造のステ
ンレスプレート)6を採用し、容易にウエルドマーク部
分の残留空気が、容易に抜けるよう金型構成にすること
により、ウエルドマークを浅くすることができ、強制的
に金型内の空気を除去させることにより、ウエルドマー
クを更に浅くすることができると共に、樹脂から出るガ
ス等も強制的に除去することができ、金型へのガスの付
着の防止、金型ホーニングの目ずまりを防ぐことがで
き、高品質のアルミメタリック片を含有した樹脂成型品
を容易に生産することが可能となる。4は金型からの排
気方向を示す次に図10〜11を用いてアルミニウム片
を含有した樹脂成型品に使用するポリスチレン樹脂につ
いて説明する。
【0031】従来、ポリスチレン樹脂の欠点としては、
ABS樹脂等に対してコストは安価であるが、外観の光
沢が無い、成型時の流動性が悪いためウエルドマークが
発生しやすい等の、問題があり、アルミニウム片を含有
した樹脂成型品には、ABS樹脂、ポリカーボネート、
アクリル系樹脂等、高光沢、高流動性の樹脂が一般的に
使用されていたが、本実施例(図11)のポリスチレン
樹脂は、図10の従来のポリスチレンに対して、ゴム7
の粒径をできる限り小さく、変形のしにくいゴム7を使
用することにより、耐衝撃性等の物性を保ちながら、流
動性の向上と外観の光沢、更に耐傷つき性を上げること
により、ポリスチレン樹脂でのアルミニウム片を含有し
た樹脂成型品を可能とした。前記本実施例で使用するゴ
ム7の平均粒径は0.2〜5.0μmの範囲が好まし
く、とくに1〜1.5μmの範囲が好ましい。
【0032】更に、アルミニウム片を含有した樹脂成型
品に、重要なことは表面処理をせず使用するため、樹脂
内に含まれる流動性を上げるためのパラフィン系の油、
アルミニウム片をペレット状にするための油等を、着色
前、又着色時に取除く必要がある。
【0033】以下具体的実施例を説明する。 (実施例1) アルミニウム片含有樹脂成型品においては、前記に示し
た通り、アルミニウム片の粒径と配合量の選定が重要で
あり、今回のアルミニウム片含有樹脂成型品では、生地
色を生かし、夜空に星を散りばめたようなメタリック感
を出すため、平均粒径50μmの燐片状のアルミニウム
片(東洋アルミニウム(株)製、品番:1460YL)
0.015重量%配合した。
【0034】平均粒径50μmの選定理由としては、ア
ルミニウム片を樹脂に配合する場合、着色メーカーにお
いて、混練機にかけ樹脂の中に均一にアルミニウム片を
分散させるが、この段階でアルミニウム片凝集体が細か
く粉砕されるため比較的大きめのアルミニウム片を採用
した。この実験においても、35μm、20μm、15
μm等の比較的小さい平均粒径のアルミニウム片の場
合、着色の混練時にメタリック片が粉砕され、更にアル
ミニウム片が小さくなるため、メタリック感が無く白っ
ぽくなった。
【0035】ポリスチレン樹脂についても、従来のポリ
スチレン樹脂の流動性が悪い、外観光沢が無い、ウエル
ドマークが大きい等の欠点を除去するため改良を行っ
た。基本的には、従来のポリスチレン樹脂は、GPスチ
レンとHIスチレンの配合比率が50重量%:50重量
%(MIタイプ)のものを一般的に使用していたが、こ
の実験では、HIスチレンの比率を80%(HIタイ
プ)とし、流動性、高光沢にすると共に、機械的強度の
向上を図った。
【0036】まずウエルドマークを小さくするために
は、樹脂の流動性を上げ、金型内に樹脂を早く充填し樹
脂が重なり合う部分の融着を完全にしなければならな
い。その為、今回はゴム粒子の平均粒子径を、従来の
2.3μm(重量平均粒径)から1.3μmにすること
により、メルトフローレートを従来品6に対して本発明
のポリスチレン樹脂は8とし、流動性を向上した。更に
ゴムの粒子の径を小さくしたため、樹脂表面が滑らかに
なり外観光沢を上げることができ、ウエルドマークを目
立ち難くする事ができた。しかし、ゴムの粒子径を小さ
くすることは機械的強度の低下につながるため、この実
験ではHIスチレンの比率を上げると共に、ゴム粒子の
含有量は変えず分散粒子数を多くし、更にゴムの架橋度
を上げることで樹脂との結合強度を向上し、従来のMI
タイプと同等の機械的強度を保つ事ができた。
【0037】更に、本発明のポリスチレン樹脂は、通常
流動性の向上に使用する流動パラフィンの量を従来の2
重量%より1重量%に減らすことにより、成型時に樹脂
より発生するガスの付着による製品表面のムラをなくす
と共に、樹脂より析出する油による不良の対策を実施し
ている。
【0038】成型方法としては、金型温度は、キャビテ
ィ表面温度約70℃、コアー表面温度約60℃とし、最
も安定した成型条件に設定し、更に前記した気泡材料を
ウエルドマークの発生部分に採用すると共に、外部より
金型内の空気を強制的に抜くバキューム成型法により、
樹脂の合わさり目にある空気を強制的に除去し、ウエル
ドマークを浅くすると共に、樹脂より発生するガスを除
去し、外観品質の向上と品質の安定化を図った。
【0039】ここでバキューム成型法を図12を用いて
説明する。図12において、8は金型、9は真空ポン
プ、10はフィルター、11は3方向弁、12は真空ゲ
ージである。バキューム成型工法は、型締め後金型8内
の空気を強制的に抜くことにより、ウエルドマークを浅
くすると共に、樹脂より発生するガスを抜き、製品表面
のガス析出による外観不良の防止、更に、ガスの金型へ
の付着によるエッチングの目ずまりの防止、及び、金型
のメンテナンス期間を延ばす目的で採用した。この実験
で採用した真空ポンプ9は、常用真空度650mmHg
/排気量330リットル/minを採用し、金型吸引容
量3リットルとして吸引時間を計算すると真空ポンプ2
台の場合は、2.2秒、1台の場合は4.4秒となり、
この実験では成型時間短縮とウエルドマークを浅くする
ため真空ポンプを2台使用した。更に、バキューム成型
のメリットを生かすためには、金型の下面にポーラス材
料を用いることがウエルドマークを浅くするためには効
果的である。
【0040】図13は以上のようにして作成したカセッ
トデッキパネルである。図13(a)は平面図で、L3
は430mm、L4 は121.5mmである。図13
(b)は中央部分断面図で、L5 は55.5mmであ
る。また全体的に光輝性であり、ウェルドマークも目立
たなかった。
【0041】また以上のようにして作成したカセットデ
ッキパネルと、比較例として従来のパネルトをまとめて
表3〜4に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】以上の実施例の説明の通り、アルミニウム
片の粒径と配合量、ウエルドマークを見え難くするため
金型ホーニング、浅くするための成形条件と通気性のあ
る金型材料、高流動、高光沢のポリスチレン樹脂によ
り、高品位、高外観のアルミニウム片を含有した樹脂成
型品が可能となり、AV機器、事務機器、カメラ等の外
装品に使用でき、しかも塗装等の表面処理が不要とな
り、大幅なコストの低減と生産性を向上を図ることがで
き、極めて効果が大である。
【0045】本発明によれば、主成分がGPスチレン樹
脂とHIスチレン樹脂との混合組成物からなり、かつH
Iスチレン樹脂の比率が高いポリスチレン樹脂であり、
光輝性成分として鱗片状のアルミニウム片を含むポリス
チレン樹脂組成物からなる成型品であって、前記鱗片状
のアルミニウム片の粒径(μm)と配合量(重量%)と
の関係が前記式(数2)の範囲であり、かつ平均粒子直
径0.2〜5.0μmの範囲のゴム粒子を3〜7重量%
含む組成物であることにより、低コストで、メタリック
感があり、高品位、高外観のアルミニウム片を含有した
樹脂成型品を実現できる。
【0046】また、製品可視部に於ける最大のウエルド
マークの幅を15μm以下、かつ深さ3μm以下にする
という好ましい構成によれば、樹脂成型品を射出成型で
成形することにより、塗装を必要とせずに、メタリック
感のある樹脂成型品を実現できる。
【0047】また、樹脂成型品の製品可視部に於ける最
大のウエルドマークの深さHと、金型ホーニングにより
樹脂成型品の表面に施したホーニングの深さhとが、ほ
ぼ等しく、ウエルドマークの幅Wと金型ホーニングの間
隔Pがほぼ等しい関係にあるいう好ましい構成によれ
ば、ウエルドマークを更に目立ち難くすることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のポリスチレン樹脂に対する
アルミメタリックの粒径とアルミニウム片の配合量の関
係を示す図。
【図2】従来の前面パネルの平面図である。
【図3】同ウエルドマークの拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるウエルドマーク
の巾、深さと金型ホーニングの図である。
【図5】同アルミニウム片を含有する樹脂の流動断面図
である。
【図6】同アルミニウム片を含有する樹脂の成形後の断
面図である。
【図7】同アルミニウム片を含有する樹脂のウエルドマ
ーク部のアルミニウム片の状態の図である。
【図8】同アルミニウム片を含有する樹脂の通常断面部
のアルミニウム片の状態の図である。
【図9】同金型下部にポーラス材料を用いた概念図。
【図10】従来のポリスチレン樹脂の顕微鏡写真の倍率
10000倍のトレース図。
【図11】本発明の一実施例のポリスチレン樹脂の顕微
鏡写真の倍率10000倍のトレース図。
【図12】本発明の一実施例で用いたバキューム成型法
の概略図。
【図13】本発明の一実施例で作成したカセットデッキ
パネルで、(a)は平面図で、(b)は中央部分の断面
図である
【符号の説明】
1:スキン層 2:アルミニウム片 3:アルミニウム片を含んだ樹脂 4:金型内の残留空気 5:ウエルドマーク 6:通気性のある鋼材 7:ゴム粒子 8:金型 9:真空ポンプ 10:フィルター 11:3方向弁 12:真空ゲージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−95345(JP,A) 特開 昭62−96566(JP,A) 特開 昭61−159453(JP,A) 特開 昭61−241333(JP,A) 特開 平7−228747(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/14 C08J 5/00 C08K 3/00 - 13/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分がGPスチレン樹脂とHIスチレ
    ン樹脂との混合組成物からなり、かつHIスチレン樹脂
    の比率が高いポリスチレン樹脂であり、光輝性成分とし
    て鱗片状のアルミニウム片を含むポリスチレン樹脂組成
    物からなる成型品であって、前記鱗片状のアルミニウム
    片の粒径(μm)と配合量(重量%)との関係が下記式
    (数1)の範囲であり、かつ平均粒子直径0.2〜5.
    0μmの範囲のゴム粒子を3〜7重量%含む組成物であ
    ることを特徴とするポリスチレン樹脂組成物からなる成
    型品。 【数1】Y≧1000X ただし、Y:アルミニウム片の粒径(μm) X:アルミニウム片の配合量(重量%)
  2. 【請求項2】 ゴム粒子の平均粒子直径が1〜1.5μ
    mの範囲である請求項1に記載のポリスチレン樹脂組成
    物からなる成型品。
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