JPH0427932B2

JPH0427932B2 -

Info

Publication number: JPH0427932B2
Application number: JP17149684A
Authority: JP
Inventors: Ikuo Fuchi; Hideji Yoshida
Original assignee: Teijin Chemicals Ltd; Canon Inc
Current assignee: Canon Inc; Teijin Ltd
Priority date: 1984-08-20
Filing date: 1984-08-20
Publication date: 1992-05-13
Also published as: JPS6149817A

Description

【発明の詳細な説明】〔技術分野〕本発明は、カメラ、VTR、OA機器、電気カミ
ソリ、化粧品容器等に使用する樹脂成型品に関す
る。

〔従来技術〕

従来、熱可塑性樹脂と金属粒子を混合、溶触成
形した成形品は知られており、それらは、目的に
よつて、３つに大別することが出来る。その第１
は、例えば特開昭58−37045号公報で開示されて
いるようにABS樹脂に、粒径約20μｍ以下の金属
粉を（ここで、金属粉とは金属粒子の集合したも
のをいう）を２〜20PHR（Parts per Hundred
of Resin、重量部、以下同様）を混入すること
によつて全面が一様な金属調、すなわち、メタリ
ツク調の外観を有する成形品を得るものであるが
メタリツク調外観モールドを射出成形する場合、
金属粉含有樹脂の流動断面は第２，３図に示すよ
うに流動過程で流れ先端に金属粒子１のない層２
が存在するため樹脂同士の合わさり目に金属粉の
ない樹脂だけの層ウエルドライン３が形成され
る。ウエルドライン層は金属粉を含まないため光
を吸収して黒く見え外観を著しく損なう。従つ
て、従来の金属調外観を有する樹脂成形品は、カ
メラ外装のカバーのような複雑形状の高級モール
ド品には使用し得ないものであつた。

その第２はポリエチレンテレフタレート又はポ
リブチレンテレフタレートに粒径80〜500μｍの
金属粒片を１〜15PHR混入することによつて、
金属粉を散在せしめた外観を有する成形品を得る
ことを開示した特開昭50−129651号公報である。
しかしながら、かかる結晶性ポリエステルを基材
とするものでは、成形品の寸法精度が得難く、
又、薄肉の成形品にあつては変形を生ずることが
あり、これを除くためにガラス繊維を混入する
と、ガラスとポリエステルの屈折率の相違に起因
して、ガラス繊維とポリエステルの界面で光が反
射屈折するため、折角混入した金属粉による反射
光が乱されて、その輝やきがぼかされるという問
題がある。更に、同様の目的を有するものとし
て、特公昭42−22522号公報でエチレン・ビニル
アルコール共重合体に粒径74−88μｍの金属粉を
10〜50PHR混入したキヤステイングフイルム及
び圧縮成形品が開示されているが、該共重合体は
射出成形や押出成形には適当でないという問題が
ある。

その第３は、フレーク状又は繊維状の金属を多
量（（例えば50PHR以上）混入することによつ
て、導電性や電磁遮蔽性を有する成形品を得るも
のであるが、優れた外観のものは得ることができ
ない。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、カメラ外装カバー、VTRカ
バー等の複雑形状の高級モールド品にも使用し得
る優れた外観、即ち晴天の夜空に散りばめられて
輝く銀河の如き（以下、銀河調という）外観を有
する樹脂成形品を提供することにある。

〔発明の開示〕

本発明の目的は、次の樹脂成形品によつて達成
される。すなわち、熱可塑性樹脂100容量部と最
大外径10μｍ〜１mmの任意形状の金属粒子0.1〜
20.0容量部よりなり、前記金属粒子の平均間隙Ｄ
と、ウエルド巾ＨとがＤ≧Ｈの関係にあることを
特徴とする樹脂成型品である。

前記金属粒子の形状は、球状あるいは片状が好
ましい特に限定するものではない。

前記金属粒子は、例えばアルミニウム、錫、
銅、黄銅、ステンレス、鉄などの金属、あるいは
これらの合金など表面が金属光沢のあるものが好
ましい。

また、前記金属粒子の大きさは、最大外径が
10μｍより小さいと金属調外観となり、1.0mmより
大きいと金属粒子が樹脂との外観バランスをそこ
なう。10μｍ〜1.0mmであれば、従来に比べ格段に
大きいため、金属粒子４のある層とない層の外観
差が少なく、ウエルドライン３はほとんど目立た
ない（第４図）。好ましくは15μｍ〜100μｍであ
る。ポリプロピレン樹脂に１辺が50μｍの片状ア
ルミを５容量％溶融混合した樹脂を750Kg／cm²の
射出圧力で成形した場合、顕微鏡で観察してもウ
エルドは目立たなかつた。

金属粉の混入割合は、熱可塑性樹脂100容量部
に対し、0.1〜20容量部、好ましくは0.3〜12.0容
量部である。

樹脂100容量部に対し、金属粒子の容量部が0.1
より少ないと金属粒子が異物のように見え、20容
量部を超えると外観が白つぽくなる。この範囲で
の物性強度・耐候性・耐溶剤性などの低下は、ほ
とんど見られない。例としてポリカーボネート樹
脂（帝人化成製、パンライトL1225Y）にアルミ
（東洋アルミ製、FM1415）を加えたときの物性
を第１図に示す。成形温度280℃と300℃において
引張り破断（TS）、伸び率（TE）、曲げ強度
（FS）、曲げ弾性率（FM）、衝撃値（1/8″Imp）
をアルミニウム含量2.0，4.0，6.0，8.0容量％の
場合について測定した。第１図から明らかなよう
に、本発明の樹脂成形品はカメラ・VTR等外装
品として十分耐えうる物性値を示している。ま
た、成形性も通常樹脂と変わらない。以上より、
金属粒子は、最大外径が10μｍ〜1.0mmで、樹脂
100容量部に対し、0.1〜20容量部が適している。

更に、本発明の成形品においては、混入された
金属粒子の平均間隙Ｄと、ウエルドラインの幅Ｈ
とが、次式(1) Ｄ≧Ｈ (1) の関係を満たしていることが必要である。ＤがＨ
より小さいときはウエルドラインが目立つてく
る。

金属粒子を球と仮定し、球の中心間距離が全て
同じに分散している系においては、金属粒子の平
均間隙は次式(2)で表わされる。

ここでＤ：金属粒子の平均間隙Ｒ：金属粒子の平均相当直径Ｖ：熱可塑性樹脂と金属粒子の合計体積
に対する全金属粒子の体積比である。

例えば、例１従来の金属調モールドメタリツク 2μｍの金属粒子が５容量％混入している
ときＤ＝1.46μｍ例２銀河調モールドメタリツク 50μｍ径の金属粒子が５容量％混入してい
るときＤ＝36.4μｍＤは、ウエルドラインの目立ちぐあいの示数で
あり、Ｄが大きいと金属はまばらとなりウエルド
ラインは目立たなくなる。

ウエルドラインの目立ち方は、樹脂表面からの
光の透過度や成形品形状、ゲート位置等で異なる
が、通常メタリツクモールドのウエルド巾Ｈは５
〜30μｍである。このため、例１で示したように
従来の金属調モールドメタリツクはＤの値がウエ
ルド巾Ｈより小さいためウエルドが目立ち、複雑
形状の高級外観に使用することができない。

式(1)と(2)より、金属粒子の体積比は次式(3)で表
わされる。

Ｖ≦π／３√２（Ｒ／Ｈ＋Ｒ）³ (3) 本発明において使用される熱可塑性樹脂は例え
ばアクリル樹脂スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹
脂、メチルペンテン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド、
ABS等の樹脂で相互に混合されていたり着色さ
れていてもよい。ただし、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート樹脂はあま
り適さない。また、本発明の樹脂成形品に着色剤
を例えば0.1〜12.0容量％混合することで更に多
様な外観を形成できる。その他に、本発明の効果
を損なわない範囲内で、各種の安定剤、離型剤、
帯電防止剤、難燃剤等を添加することができる。

熱可塑性樹脂100容量部と金属粒子0.1〜20.0容
量部、所望により着色剤等の添加剤を混合した材
料を射出成型法により成型する。

上述したウエルドラインの形成形態としては、
第５，６図に示したように正面衝突ウエルドライ
ン（第５図）と並走ウエルドライン（第６図）の
２種類がある。正面衝突ウエルドラインは、流れ
方向エネルギが大きいためウエルドラインは衝突
時に巾が小さくなつたりよじれたりして目立ちに
くいが並走ウエルドラインの場合は流れ方向と平
行にウエルドラインが形成されるためウエルドラ
イン巾を小さくしようとするエネルギが働かず、
ウエルドラインは黒く目立つ。並走ウエルドライ
ンの場合は、ウエルド巾が70μｍに達することも
ある。尚、２は樹脂のみの層、５は金属粒子含有
量を示す。

そこで金型設計の際には並走ウエルドラインを
形成させないゲート設計をすることでよりいつそ
う複雑形状品に応用することができる。例えば、
カメラの前カバーであれば第７図のＡ，Ｂで示す
位置に２点サブマリンゲートを、VTRカバーで
あれば第８図に示すような位置Ｃにサイドゲート
を、タイプライター外装カバーであれば第９図に
示すような位置Ｄ，Ｅにゲートを設ければ、並走
ウエルドラインを形成させないで成形が可能であ
る。なお、第７図〜第９図において、６は正面
図、７は右側面図、８は左側面図、９は上面図、
１０は底面図である。

メタリツク外観品の成形においては、外観不良
の一つであるシルバーストリークが発生しやすい
ことが以前より言われているが、乾燥時間を２時
間以上とること及び金型温度を下げすぎないよう
にすることを守れば銀河調外観の場合シルバース
トリークは発生しない。また金属調外観の場合、
ピンポイントゲートはシルバーストリークを発生
させやすいが、本発明の銀河調外観の場合は、ピ
ンポイントゲートでもシルバーストリークは発生
しない。

さらに本発明の樹脂成形品成形は、射出成形に
限らず押出し成形、射出圧縮成形などの溶融成形
法でもよい。熱可塑性樹脂と金属粒子は予め樹脂
を溶融させて混合物した組成物、例えばペレツト
として使用することが、成形品中に金属粒子を均
一に分散させるために好ましい。

以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説
明する。

実施例１ポリカーボネート樹脂（帝人化成(株)製）92.3容
量％、アルミニウム粒子（東洋アルミ(株)製）2.7
容量％（平均径35μｍ）、酸化チタン・染料レツ
ド・染料イエロー等の着色剤3.7容量％の材料を
用い、第７図に示すカメラ前カバーを下記の成形
条件にて、射出成型した。

成形条件材料乾燥 120℃、20時間シリンダ温度 280゜、280゜、280゜240℃ 射出圧力 1200Kg／cm² 金型温度 105〜125℃ 得られた成型品は、外観を損なうようなウエル
ドライン、シルバーストリークもなく、夜空に散
りばめられて輝く銀河の如き美麗な外観を有して
いた。

実施例２ ABS樹脂（宇部サイコン(株)製）89容量％、ア
ルミニウム粒子（東洋アルミ(株)製）6.5容量％
（平均径75μｍ）、酸化チタン、カーボンブラツ
ク、染料ブルー等の着色剤4.5容量％の材料を用
い、第８図に示すVTRカバーを下記の成形条件
にて成形した。

成形条件材料乾燥 80℃ ６時間シリンダ温度 230゜、230゜、230゜、180℃ 射出圧力 840Kg／cm² 金型温度 75〜90℃ 得られた成形品は、実施例１同様優れた外観を
有していた。

実施例３ PS樹脂（旭化成(株)製）87.8容量％、アルミニ
ウム粒子（東洋アルミ(株)製）9.0容量％（平均径
100μｍ）、酸化チタン・カーボンブラツク・シア
ニンブルー等の着色剤3.2容量％の材料を用い第
９図に示すタイプライター外装を下記の成形条件
にて射出成形した。

成形条件材料乾燥 80℃ ５時間シリンダ温度 210゜、210゜、210゜、160℃ 射出圧力 650Kg／cm² 金型温度 40〜50℃ 得られた成型品は、実施例１同様優れた外観を
有していた。

〔発明の効果〕

本発明の樹脂成形品は、カメラ外装カバー、
VTRカバー等の高級モールド品にも使用し得る
銀河調外観を有する。特に染料着色された熱可塑
性樹脂を使用した場合にその効果は著しく、複雑
形状品にも応用可能である。

しかも射出成形のみで最終成形品となるため、
コストが安くできるほか生産性も高く、極めて効
率的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の樹脂成形品の物性例を示
す。第２図は、金属粉含有樹脂の流動断面図、第
３図は金属粉含有樹脂の成形後断面図、第４図は
本発明の金属粉含有樹脂の成形後断面図、第５図
は、正面衝突ウエルドラインの形成形態を示す流
動断面図、第６図は並走ウエルドラインの形成形
態を示す流動断面図である。第７図は、本発明の
カメラ外装カバー、第８図はVTRカバー、第９
図はタイプライター外装カバーである。１……金属粉、２……樹脂のみの層、３……ウ
エルドライン、４……金属片、５……金属片含有
層、６……正面図、７……右側面図、８……左側
面図、９……上面図、１０……底面図。

Claims

【特許請求の範囲】

１熱可塑性樹脂100容量部と最大外径10μｍ〜
１mmの任意形状の金属粒子0.1〜20.0容量部より
なり、前記金属粒子の平均間隙Ｄと、ウエルド巾
ＨとがＤ≧Ｈの関係にあることを特徴とする樹脂
成型品。