JP3053266B2 - エチレン−ビニルアルコール系共重合体中空糸膜 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体中空糸膜

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JP3053266B2
JP3053266B2 JP3224718A JP22471891A JP3053266B2 JP 3053266 B2 JP3053266 B2 JP 3053266B2 JP 3224718 A JP3224718 A JP 3224718A JP 22471891 A JP22471891 A JP 22471891A JP 3053266 B2 JP3053266 B2 JP 3053266B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐圧性に優れたエチレン
−ビニルアルコール(以下EVAと略称する)系共重合
体中空糸膜、特に人工腎臓用として有用なEVA系共重
合体中空糸膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりEVA系共重合体膜は抗溶血性
や抗血栓性が良好であり、しかも耐久性や化学的安定性
にも優れていることから、人工腎臓用の透析膜として広
く使用されている。また、近年透析医療の高度化にとも
ない膜に対する要求性も高くなってきており、特に適度
な透水性を保ち、溶質の拡散透過性の高い膜が強く要望
されている。溶質の拡散透過性を高める効果的な方法の
一つに膜厚を薄くする方法がある。膜厚を薄くすると溶
質の拡散透過性の向上とともに、人工腎臓の小型化およ
びプライミングボリュームを減少させることができると
いう点もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらEVA系
共重合体膜は単に膜厚を薄くしただけでは膜の強度が低
下して耐圧性が劣り、銅アンモニュウムセルローズ膜な
どの他の膜のように膜厚を薄くすることが困難である。
EVA系共重合体膜に強度を付与するためにグルタール
アルデヒド等のアルデヒド類を架橋する方法が知られて
いるが、この方法で得られた膜はアルデヒド類の濃度と
酸の濃度及びそれらの温度の制御が極めて困難なため
か、強度むらを生じてリークが発生し到底人工腎臓のよ
うな血液処理用途に使用することはできない。したがっ
て、本発明の目的はEVA系共重合体膜に均一に架橋を
導入して、耐圧性を付与することによって、薄膜化を計
り、透水性と溶質の拡散透過性が優れたEVA系共重合
体中空糸膜を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく検討した結果、酢酸ビニル、エチレン及び
ビニルシラン系化合物の共重合体をけん化して得られる
シラン含有EVA系共重合体膜が極めて均一に架橋を導
入することができることを見出だし、更に検討した結果
本発明に到達したものである。すなわち本発明は、酢酸
ビニル、エチレン及びビニルシラン系化合物の共重合体
をけん化して得た、シラン含有量0.001〜1.0モ
ル%、エチレン含有量10〜60モル%、ビニルエステ
ル成分のけん化度95モル%以上のエチレン−ビニルエ
ステル共重合体けん化物からなるエチレン−ビニルアル
コール系共重合体中空糸膜である。
【0005】本発明でEVA系共重合体の製造に用いら
れるビニルシラン系化合物としては、下記化1、化2お
よび化3で示される化合物の中から選ばれた1種または
2種以上の化合物を好適に用いることができる。
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】[但し、ここでnは0〜1、mは0〜2、
1は低級アルキル基、アリール基、またはアリール基
を有する低級アルキル基、R2は炭素数1〜40の直鎖
状または分岐状のアルコキシル基であり、該アルコキシ
ル基は酸素を含有する置換基を有していても良い。R3
は水素またはメチル基、R4は水素または低級アルキル
基、R5はアルキレン基または連鎖炭素原子が酸素もし
くは窒素によって相互に結合された2価の有機残基、R
6は水素、ハロゲン、低級アルキル基、アリール基、ま
たはアリール基を有する低級アルキル基、R7はアルコ
キシル基またはアシロキシル基であり、該アルコキシル
基またはアシロキシル基は酸素もしくは窒素を含有する
置換基を有していても良い。R8は水素、ハロゲン、低
級アルキル基、アリール基、またはアリール基を有する
低級アルキル基、R9は低級アルキル基である。]
【0010】更に詳しく述べれば、R1は炭素数1〜5
の低級アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、また
は炭素数6〜18のアリール基を有する炭素数1〜5の
低級アルキル基、R4は水素または炭素数1〜5の低級
アルキル基、R5は炭素数1〜5のアルキレン基または
連鎖炭素原子が酸素もしくは窒素によって相互に結合さ
れた2価の有機残基、R6は水素、ハロゲン、炭素数1
〜5の低級アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、
または炭素数6〜18のアリール基を有する炭素数1〜
5の低級アルキル基、R8は水素、ハロゲン、炭素数1
〜5の低級アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、
または炭素数6〜18のアリール基を有する炭素数1〜
5の低級アルキル基、R9は炭素数1〜5の低級アルキ
ル基である。
【0011】化1で表されるビニルシラン系化合物とし
ては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメト
キシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビ
ニルジメチルエトキシシラン、アリルトリメトキシシラ
ン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメ
トキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチ
ルジエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニル
イソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシ
シラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジ
ブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビ
ニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジヘキシ
ロキシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビ
ニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジオクチ
ロキシシランビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビ
ニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシ
ラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシ
ラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン等が挙げら
れるが、経済的にみてビニルトリメトキトシシランが好
ましい。
【0012】化2で表されるビニルシラン系化合物とし
ては、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメトキ
シシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリエ
トキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−(メタ)ア
クリルアミドプロピルトリス(N−メチルアミノエトキ
シ)シラン、2−(メタ)アクリルアミドエチルトリメ
トキシシラン、(メタ)アクリルアミドメチルトリメト
キシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルア
ミドプロピルトリメトキシシラン、N−(2−(メタ)
アクリルアミドエチル)−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)−オ
シキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アク
リルアミドプロピルトリアセトキシシラン、2−(メ
タ)アクリルアミドエチルトリアセトキシシラン、4−
(メタ)アクリルアミドブチルトリアセトキシシラン、
3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリプロピオニロ
キシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロビルトリアセトキシシラン、N−(2−(メタ)ア
クリルアミドエチル)アミノプロピルトリアセトキシシ
ラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルイソブチル
ジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミドエチル
ジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド
プロピルオクチルジアセトキシシラン、(メタ)アクリ
ルアミドメチルフェニルジアセトキシシラン、3−(メ
タ)アクリルアミドプロピルベンジルジエトキシシラ
ン、3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)−プ
ロピルトリメトキシシラン、2−(N−メチル−(メ
タ)アクリルアミド)−エチルトリアセトキシシラン、
2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルモノ
クロルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド
−2−メチルプロピルモノハイドロジェンジメトキシシ
ラン等が挙げられるが、経済的にみて3−(メタ)アク
リルアミドプロピルトリメトキシシランおよび3−(メ
タ)アクリルアミドプロピルトリアセトキシシランが好
ましく、また酸または塩基に対する安定性の点で2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメト
キシシランおよび2−(メタ)アクリルアミド−2−メ
チルプロピルトリアセトキシシランが好ましい。
【0013】化3で表されるビニルシラン系化合物とし
ては、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリプロピ
オニロキシシラン、イソプロペニルアセトキシシラン、
ビニルイソプロピルジアセトキシシラン、ビニルメチル
ジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシラ
ン、ビニルフェニルジアセトキシシラン、ビニルモノク
ロルジアセトキシシラン、ビニルモノハイドロジェンジ
アセトキシシラン等が挙げられるが、経済的にみてビニ
ルトリアセトキシシランが好ましい。
【0014】上述したビニルシラン系化合物を共重合し
て得られたEVA中のシラン含有は0.001〜1.0
モル%、好ましくは、0.01〜0.5モル%である。
シラン含有量が0.001モル%未満では、低温での熱
封緘性および熱封緘強度の改善が十分ではなく、一方
1.0モル%を越えると架橋の程度が増大し過ぎて熱不
溶性が発現する。
【0015】ビニルシラン系化合物と、エチレンおよび
ビニルシランエステルとの共重合、および生成した共重
合体のけん化は、公知の方法、例えば特開昭60−14
4304に示されているような方法で実施可能である。
該共重合体は、けん化反応においてビニルアルコキシシ
ラン単位も部分的あるいは高度にけん化されてビニルシ
ラノール単位、そのアルカリ塩あるいはその相互縮合物
に転換される。しかし前記の化2で示されるビニルシラ
ン系化合物含有の該共重合体は、アルカリ性触媒による
けん化反応においてビニルシラン系化合物単位のアミド
結合が分解するということなく安定に保たれる。しか
し、けん化反応時一般式化2で表されるビニルシラン系
化合物のシランに結合したアルコキシル基、カルボキシ
ル基、水素およびハロゲンも同時に部分的あるいは高度
にけん化され水酸基またはそのアルカリ塩に転換され
る。更にこの水酸基の一部は、けん化反応後得られたE
VAを乾燥する際、乾燥条件によってこれ等の官能基同
士を結合させシロキサン結合を形成させても良い。シロ
キサン結合を多く形成せしめた該EVAは熱溶融性が悪
化する場合が見られるので、このような場合にはビニル
シラン系化合物の含有量を調整するか、ビニルシラン系
化合物単位としてアルカリに対して著しく安定性の高い
(メタ)アクリルアミド−分岐アルキルシラン単位を有
するEVAとする事が好ましい。
【0016】ところで、本発明に用いられるシラン含有
EVA系共重合体樹脂の架橋反応は熱水処理、乾熱処理
中に進行するため、溶媒に溶解された状態では架橋は一
部分しか反応しておらず、原液粘度としては良好な状態
で紡糸できるという利点がある。以下シラン含有EVA
系共重合体中空糸膜の製造方法について説明する。
【0017】本発明に用いられるシランを含有するEV
A系共重合体はランダム、ブロック、グラフトいずれの
共重合体でも良い。重合度が800未満のものでは製膜
時の機械的強度が不十分となるため800以上が好まし
い。通常1000以上のものが好ましく用いられる。エ
チレン含有率は10モル%以下では湿潤時の機械的強度
が不十分となり、また60モル%以上では透過性が低下
するので、通常10〜60モル%、なかでも20〜45
モル%のものが好ましく用いられる。EVA系共重合体
のケン化度としては、湿潤時の機械的強度の点から95
モル%以上が必要であり、通常はケン化度99モル%以
上の実質的に完全ケン化のものが用いられる。本発明に
用いられるEVA系共重合体には例えば、メタクリル
酸、ビニルクロライド、メチルメタクリレート、アクリ
ロニトリルなどの共重合可能な重合性単量体が15モル
%以下の範囲内で共重合されていてもよい。
【0018】EVA系共重合体を溶解する溶媒としては
メタノール、エタノール等の1価アルコール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多
価アルコール、フェノール、メタクレゾール、N−メチ
ルピロリドン、ギ酸およびこれらの含水物などが用いら
れているが、適度な透水性と高い拡散透過性及びアルブ
ミン領域における高い阻止率を有する人工腎透析膜を得
るためにはジメチルスルホキシド、ジチメルアセトアミ
ド、ピロリドン、N−メチルピロリドンまたはこれらの
混合物を溶媒として用いるのが好ましい。なかでもEV
A系共重合体にたいして高い溶解性を示すジメチルスル
ホキシドが好ましく用いられる。EVA系共重合体を溶
媒とくにジメチルスルホキシドに溶解する際に水または
メタノール、イソプロパノール、またはジメチルホルム
アミドなどの他の溶媒、または溶媒と混和性のよい他の
液体および無機塩を含んでいてもよい。
【0019】EVA系共重合体を溶媒に溶解するにあた
い、その濃度は任意に選択できるが、通常3〜30重量
%、好ましくは5〜20重量%の範囲が適当である。ま
た、ポリマー溶液の温度は通常0〜120℃、好ましく
は5〜80℃である。120℃を越えると重合体が変質
するおそれがあり、0℃未満では原液粘度が高くなりす
ぎて、紡糸が困難である。
【0020】中空糸膜を製造するには、二重円環ノズル
を用いてノズルの中心部より空気、窒素等の気体または
n−ヘキサン等のポリマー溶液に対し非凝固性の液体を
注入しつつ、水を一成分とする凝固液中に押し出しなが
ら凝固させる。凝固液に用いる凝固剤としては水性媒体
が用いられる。通常水とジメチルスルホキシド、ジメチ
ルアセトアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、
アルコール等の水に可溶性の有機溶媒との混合溶媒、さ
らには、水に可溶のNaCl、Na2SO4、NaOH、
CaCl2等の無機塩等を含有する水等が用いられる。
特にジメチルスルホキシドと水の混合溶媒が好ましく用
いられる。
【0021】本発明のEVA系共重合体中空糸膜製造方
法としては、溶媒に溶解したEVA系共重合体の液体を
円環状のノズルより直接凝固浴中に押し出し凝固させる
湿式法、またはEVA系共重合体の溶液を円環状ノズル
から押し出し、気体雰囲気中を通過させて凝固液中で凝
固させる乾湿式方法のいずれの方法を用いてもよい。通
常湿式法が好ましく用いられる。凝固浴の温度は、通常
50℃以下、好ましくは−5〜10℃である。かかる凝
固浴の温度は均質微細構造が形成されるような緩慢な条
件で凝固が起こる温度に調整すると適度な透水性と高い
拡散透過性を有する透析膜を得ることができる。
【0022】凝固完了後、延伸、湿熱処理を行うが、該
湿熱処理温度は40℃〜80℃、通常50℃〜70℃が
好ましい。40℃未満では湿熱処理が不十分となり、後
工程における工程通過性が損なわれ、乾燥後の寸法及び
性能の保存安定性が低下する。また、90℃を越えると
湿熱処理が過剰となり、膜構造に変化が生じ充分な性能
を有する中空糸膜が得られない。湿熱処理は通常、水洗
を兼ねて行われるが、湿熱処理と水洗は必ずしも同時に
行なう必要はない。しかしながら連続工程においては工
程簡略化という点から、湿熱処理と水洗は同時に行うこ
とが好ましい。
【0023】湿潤状態の膜は水混和揮発性有機溶媒に浸
漬し、膜の表面あるいは内部に有する水を置換後、常圧
ないし減圧にて乾燥させる。この場合の有機溶媒として
は炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールまたはケトンが
好ましく、例えばメタノール、エタノール、アミルアル
コール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン等が用いられる。なかでもアセトンがとくに好まし
い。乾燥は、常圧ないし減圧下で行われるが、その温度
及び水蒸気圧はEVA系共重合体のガラス転移点以下、
好ましくは50℃以下で、水蒸気圧は20mmHg以
下、好ましくは10mmHg以下である。このような条
件下で溶媒置換及び乾燥を行うことにより、湿潤時の性
能を維持したまま乾燥を行うことが出来る。
【0024】乾燥された中空糸膜は主に寸法及び性能の
保存安定性の向上を目的として乾熱処理を行う。乾熱処
理温度は40〜80℃、好ましくは50〜70℃であ
る。80℃を越えると定長処理時において中空糸膜が偏
平化する恐れがある。また、膜製造にも変化が生じ膜性
能が低下する。40℃未満では充分な熱固定が出来ず、
経時的に収縮が進行し、膜性能の低下を招く。乾熱処理
雰囲気下の水蒸気圧は60mmHg以下が好ましく、6
0mmHgを越えるとEVA系共重合体への水分子の吸
着が起こり、乾熱処理後室温雰囲気下へ放出した際に、
この水分子の脱離にともなって膜構造に変化が生じ性能
が低下する恐れがある。
【0025】乾熱処理後、EVA系共重合体中空糸膜
は、ボビン、枠等に巻き取るか、一定長に切断後一定本
数に束ねて中空糸束を成形する。かくして得られた中空
糸膜は乾燥状態における寸法安定性に優れ、ボビン、枠
等捲いたまま保存が可能であるし、中空糸束の状態にお
いても経時変化は起こらないため、保存に有利である。
また、乾燥させているため輸送等にも便利である。乾燥
中空糸膜は使用前に水または生理食塩水で再湿潤させる
ことにより乾燥前の性能を再現することができる。
【0026】
【作用】本発明のEVA系共重合体中空糸膜は酢酸ビニ
ル、エチレン及びビニルシラン系化合物の共重体をけん
化して得られたシラン含有EVA系共重合体膜が均一に
架橋を導入することができて膜の強度が高く、耐圧性の
優れたEVA系共重合体中空糸膜を提供することができ
る。かかるEVA系共重合体中空糸膜は薄膜化が可能で
透過性及び溶質の拡散透過性が高い膜を得ることがで
き、この中空糸膜を用いるとプライミングボリュームの
小さい小型のモジュールが提供できる。
【0027】
【実施例】
実施例1 酢酸ビニル、エチレン、ビニルトリメトキシシラン共重
合体をケン化して得られるシランを含有するEVA系共
重合体(エチレン含量32モル%、シラン含量0.02
5モル%、重合度1210,けん化度99.9%)をD
MSOに15重量%に溶解し紡糸原液とした。DMSO
溶液の粘度より求めた重合度は1660、チャールスビ
ーの式より求めた架橋後の重合度は2850であった。
かかる紡糸原液を二重環ノズルの内側から窒素ガスを注
入しつつ、ノズル内に導入し、0℃の10重量%DMS
O水溶液中へ押し出して凝固させ、常法に従って湿熱延
伸、乾燥、乾燥処理を行って乾燥中空糸膜を得た。この
中空糸膜は膜厚21μ、耐圧2.1Kg/cm2であっ
た。次に上記中空糸を束ねて有効面積1m2のモジュー
ルに組み立て、ダイアライザー性能評価基準に従い水系
での透水性、尿素クリアランス、及びアルブミン阻止率
を測定した。結果を表1に示す。
【0028】実施例2 酢酸ビニル、エチレン、ビニルトリメトキシシラン共重
合体をケン化して得られるシランを含有するEVA系共
重合体(エチレン含量25モル%、シラン含量0.03
モル%、重合度1200,けん化度99.9%)をDM
SOに12重量%に溶解し紡糸原液とした。DMSO溶
液の粘度より求めた重合度は1830、チャールスビー
の式より求めた架橋後の重合度は3810であった。か
かる紡糸原液を二重環ノズルの内側から窒素ガスを注入
しつつ、ノズル内に導入して−3℃の5重量%DMSO
水溶液中へ押し出して、凝固させ、実施例1と同様な処
理を行って、乾燥中空糸膜を得た。この中空糸膜の膜厚
は20μ、耐圧2.4Kg/cm2であった。次に実施
例1と同様にしてモジュールに組み立て膜の性能を測定
した結果を表1に示す。
【0029】実施例3 酢酸ビニル、エチレン、ビニルトリメトキシシラン共重
合体をケン化して得られるシランを含有するEVA系共
重合体(エチレン含量38モル%、シラン含量0.03
モル%、重合度1100,けん化度99.9%)をDM
SOに15重量%に溶解し紡糸原液とした。DMSO溶
液の粘度より求めた重合度は1600、チャールスビー
の式より求めた架橋後の重合度は2960であった。か
かる紡糸原液を二重環ノズルの内側から窒素ガスを注入
しつつ、ノズル内に導入して5℃の15重量%DMSO
水溶液中へ押し出して、凝固させ、実施例1と同様な処
理を行って、乾燥中空糸膜を得た。この中空糸膜の膜厚
は19μ、耐圧は3.0Kg/cm2であった。次に実
施例1と同様にしてモジュールに組み立て膜の性能を測
定した結果を表1に示す。
【0030】実施例4 酢酸ビニル、エチレン、3−メタアクリルアミド−プロ
ピルトリメトキシシラン共重合体をシラン化して得られ
るケイ素を含有するEVA系共重合体(エチレン含量3
モル%、シラン含量0.025モル%、重合度120
0,けん化度99.9%)をDMSOに15重量%に溶
解し紡糸原液とした。DMSO溶液の粘度より求めた重
合度は16750、チャールスビーの式より求めた架橋
後の重合度は2940であった。かかる紡糸原液を二重
環ノズルの内側から窒素ガスを注入しつつ、ノズル内に
導入して0℃の10重量%DMSO水溶液中へ押し出し
て、凝固させ、実施例1と同様な処理を行って、乾燥中
空糸膜を得た。この中空糸膜の膜厚は20μ、耐圧は
2.3Kg/cm2であった。次に実施例1と同様にし
てモジュールに組み立て膜の性能を測定した結果を表1
に示す。
【0031】比較例1 酢酸ビニル、エチレン、ビニルトリメトキシシラン共重
合体をケン化して得られるシランを含有するEVA系共
重合体(エチレン含量32モル%、シラン含量0.00
05モル%、重合度1300,けん化度99.9%)を
DMSOに15重量%に溶解し紡糸原液とした。実施例
1と同様に二重環ノズルを用い、ノズルの内側に窒素ガ
スを注入しつつ、0℃の10重量%DMSO水溶液中へ
押し出し、凝固させて、乾燥中空糸膜を得た。この中空
糸膜の膜厚は22μ、耐圧は1.5Kg/cm2であっ
た。次に実施例1と同様にモジュールに組み立て膜の性
能を測定した結果を表1に示す。
【0032】比較例2 酢酸ビニル、エチレン、ビニルトリメトキシシラン共重
合体をケン化して得られるシランを含有するEVA系共
重合体(エチレン含量44モル%、シラン含量2.5モ
ル%、重合度750けん化度99.9%)はDMSOに
溶解しようとしたが、膨潤するだけで溶解しなかった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明により、適度な透水性、高い溶質
の拡散透過性、アルブミン領域における高い阻止率を有
する、バランスのとれたEVA系共重合体中空糸膜を提
供することができる。かかる中空糸膜はとくに人工腎臓
用透析膜として有用なものである。また、本発明のEV
A系共重合体中空糸膜は、従来のEVA系共重合体中空
糸膜と同様の条件で紡糸、成形、加工ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 71/76

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸ビニル、エチレン及びビニルシラン
    系化合物の共重合体をけん化して得た、シラン含有量
    0.001〜1.0モル%、エチレン含有量10〜60
    モル%、ビニルエステル成分のけん化度95モル%以上
    のエチレン−ビニルエステル共重合体けん化物からなる
    エチレン−ビニルアルコール系共重合体中空糸膜。
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