JP2000176259A - ポリビニルアルコール系中空繊維膜およびその製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系中空繊維膜およびその製造方法

Info

Publication number
JP2000176259A
JP2000176259A JP10352396A JP35239698A JP2000176259A JP 2000176259 A JP2000176259 A JP 2000176259A JP 10352396 A JP10352396 A JP 10352396A JP 35239698 A JP35239698 A JP 35239698A JP 2000176259 A JP2000176259 A JP 2000176259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
fiber membrane
pva
acetal
acetalization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10352396A
Other languages
English (en)
Inventor
Nozomi Sugo
望 須郷
Kazutoshi Terada
和俊 寺田
Kensaku Komatsu
賢作 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP10352396A priority Critical patent/JP2000176259A/ja
Publication of JP2000176259A publication Critical patent/JP2000176259A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐温水性と耐屈曲性に優れるポリビニルアル
コール系中空繊維膜を提供する。 【解決手段】 ジアルデヒド又はそのアセタール化物に
よりアセタール化されたポリビニルアルコール系中空繊
維膜で、屈曲半径が0.5mm以下でかつ90℃での透
水性保持率が80%以上のポリビニルアルコール系中空
繊維膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリビニルアルコー
ル系中空繊維膜及びその製造方法に関する。さらに詳し
くは、耐屈曲性と耐温水性に優れたポリビニルアルコー
ル系中空繊維膜とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】親水性ポリマーの代表的なものの一つで
あるポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアルコー
ルをPVAと略す)を素材とする中空繊維膜は、耐油
性、耐蛋白汚染性、耐有機溶剤性などに優れることから
各種分離膜として多く実用化されている。PVA系繊維
にホルマールのようなアセタール化処理やジアルデヒド
による架橋処理をすることはよく知られており、PVA
系中空繊維膜についても耐圧性、耐熱性、耐水性を付与
することを目的としてホルムアルデヒド、グルタルアル
デヒドなどでアセタール化することが知られている。
【0003】例えば、特開昭52−21420号公報
に、PVA系重合体からなる中空繊維を反応媒体の存在
下で分子中に2ケ以上のアルデヒド基を有する多価アル
デヒド類を用いて架橋処理し、次いで熱水処理する、透
過性能及び機械的性質に優れたPVA系中空繊維の製造
方法が開示されている。また、特開昭54−11738
0号公報に、分子内アセタール化と分子間アセタール化
を組み合わせた機械的性能に優れたPVA系選択透過性
膜が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、PVA系中空繊
維膜は高温で使用されることが多く、耐温水性に優れる
PVA系中空繊維膜が指向されている。しかしながら、
上記した従来のPVA系重合体からなる中空繊維膜は、
耐温水性を有するものの耐屈曲性が充分といえず、中空
糸をバンドル化してモジュールに組み立てる際に中空糸
が折れたり、また、中空糸を洗浄するときなどのような
過酷な条件で使用した場合、中空糸が折れることがあっ
た。中空糸をバンドル化し、モジュールに組み立てる際
に中空糸が折れると、作業能率は低下し、歩留まりも悪
くなる。また、洗浄時などで中空糸が折れると、作業性
が極端に悪くなる。耐圧性、耐温水性を保持し、耐屈曲
性にも優れるPVA系中空繊維膜を使用することができ
れば、工業的に優れた膜分離システムを構築することが
可能となる。したがって、本発明の目的は耐圧性、耐温
水性を保持し、耐屈曲性にも優れるPVA系中空繊維膜
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を重ね、本発明に至った。すな
わち本発明は、屈曲半径が0.5mm以下でかつ90℃
での透水性保持率が80%以上であることを特徴とする
PVA中空繊維膜である。
【0006】本発明の別の発明は、PVA系中空繊維膜
にジアルデヒド又はそのアセタール化物を含浸し、次い
で湿熱処理することを特徴とするPVA系中空繊維膜の
製造方法である。
【0007】また、本発明のもう一つの発明は、PVA
系中空繊維膜にジアルデヒド又はそのアセタール化物を
含浸し、次いで湿熱処理し、さらにモノアルデヒドでア
セタール化処理することを特徴とするPVA系中空繊維
膜の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のPVA系中空繊維膜を構
成するPVA系重合体は、ケン化度が70モル%以上の
ものが好ましい。とくに耐熱性及び耐油性が要求される
場合、ケン化度は90〜99.99モル%であるのが好
ましい。ここでいうケン化度とは、酢酸ビニルの単独重
合体または共重合体がケン化によりPVAに変換され得
るPVA単位に対する、ケン化後のPVA単位の割合を
表したものであり、残基は酢酸ビニル単位などである。
【0009】PVA系重合体の重合度は、膜強度の点か
ら高い方が好ましい。このような観点から、PVA系重
合体の重合度は、500以上が好ましく、さらに好まし
くは1000以上である。製膜などの加工特性の点から
は40000以下であるのが好ましい。
【0010】本発明の膜を構成するPVA系重合体は、
ポリ酢酸ビニル、ポリピバリン酸ビニル、ポリ蟻酸ビニ
ルなどのポリビニルエステル又はこれらの共重合体をケ
ン化することにより製造することができる。また、t−
ブチルビニルエーテルやトリメチルシリルビニルエーテ
ル、ベンジルビニルエーテルのようなビニルエーテルの
単独重合あるいは共重合体を分解することによっても製
造することができる。ここで、共重合体(ブロック共重
合体、グラフト共重合体を含む)のコモノマー単位は、
共重合体のケン化又は分解によってビニルアルコール単
位を生成する単位とそれ以外の単位に分けられる。
【0011】後者のコモノマー単位は、主として変性を
目的に共重合されるもので、本発明の趣旨を損なわない
範囲で使用される。このような単位としては、例えば、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどの
オレフィン類、アクリル酸およびその塩、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、ア
クリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オ
クタデシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸
およびその塩、メタクリル酸メチル、メ夕クリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メ夕クリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メ夕クリル酸オクタ
デシルなどのメタクリル酸エステル類、アクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルア
ミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセ卜ンア
クリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およ
びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよ
びその塩と4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよ
びその誘導体などのアクリルアミド誘導体、メタクリル
アミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタ
クリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ジ
アセ卜ンメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパン
スルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジ
メチルアミンおよびその塩と4級塩、N−メチロールメ
タクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミ
ド誘導体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニル
エーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニ
ルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ドデシルビニル
エーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエー
テル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの
ニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類、酢酸
アリル、塩化アリルなどのアリル化合物、マレイン酸お
よびその塩とエステル、イタコン酸およびその塩とエス
テル、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化
合物、酢酸イソプロペニルなどを挙げることができる。
【0012】本発明のPVA系中空繊維膜を得るには、
PVA系重合体及び後述するポア形成剤などを水などの
溶剤に溶解した溶液を紡糸原液とし、該原液を環状ノズ
ルから内部凝固液と共に直接凝固浴中に紡出して凝固さ
せる湿式法、空気や窒素などの不活性気体中、水蒸気や
有機溶剤蒸気が含まれた雰囲気中を走行させた後、凝固
浴に導入して凝固させる乾湿式法、空気中や窒素など不
活性の気体中へ紡出する乾式法などの公知の紡糸方法を
採用して紡糸し、しかる後、得られた中空糸をジアルデ
ヒド又はそのアセタール化物(以下、ジアルデヒド類化
合物という)に浸漬して含浸処理し、次いで湿熱処理し
て製造することができる。
【0013】紡糸原液中のPVA系重合体の濃度は分子
量、ケン化度によって異なるが、通常1〜50wt%、
好ましくは3〜25wt%である。溶剤としては、水の
他、アルコール/水、アセトニトリル/水、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムア
ミド、N−メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロ
パノールなどを単独または混合して使用することがで
き、PVA系重合体の紡糸原液への溶解性を向上させる
ため、また凝固を促進させるため、塩化リチウム、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリ
ウム、臭化カリウム、沃化リチウム、沃化ナトリウム、
沃化カリウムなどの各種塩などを添加してもよい。
【0014】紡糸原液には、凝固の促進剤や多孔性を向
上させる目的でポア形成剤と呼ばれる添加剤を加える場
合が多いが、このようなポア形成剤としては、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン
グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペン
タンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなど
のグリコール類、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、オクタノールなどのア
ルコール類、グリセリンなどの多価アルコール類、上記
アルコールのエステル類、乳酸エチル、乳酸ブチルなど
のエステル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの
エーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド化合物、4級
アンモニウム塩あるいは4級アンモニウム塩を含むポリ
マー、ポリビニルピロリドンのような水溶性のポリマー
を例示することができる。これらは単独あるいは2種類
以上の混合物で用いられる。紡糸原液におけるポア形成
剤の添加量は、PVA系重合体の重合度、濃度、ケン化
度、ポア形成剤の種類によって異なるが、紡糸原液が後
述する上限臨界共溶点を有するような添加量にするのが
好ましい。通常は60wt%以下、好ましくは40wt
%以下で実施される。
【0015】上記以外にも、凝固を促進する硼酸、紡糸
原液中のpHを調整することにより硼酸とPVA系重合
体の架橋構造を防止する酢酸などの酸性物質、紡糸安定
性を向上させる界面活性剤、消泡剤など、もしくは、本
発明の趣旨を損なわない範囲において、クレー、シリ
カ、炭酸カルシウムなどの無機化合物などを適宜添加し
てもよく、後述する凝固液を加えてもよい。
【0016】外部凝固液としては、芒硝などの脱水性塩
類の水溶液、水酸化ナトリウムやアンモニア水などのア
ルカリ性物質などの水溶液を例示することができ、これ
らを単独又は混合して使用することができる。また、水
系凝固液以外にもPVA系重合体に対し凝固能を有する
有機系凝固剤を単独又は水系凝固液と混合して使用して
もよい。
【0017】内部凝固剤には上記の外部凝固液と同じ溶
液を用いてもよく、空気、窒素、アンモニアガスなどの
気体を使用してもよい。また、ヘキサン、流動パラフィ
ンといった全く凝固能を有さず、しかも紡糸原液の溶媒
と混和しないような有機溶剤を用いてもよい。
【0018】紡糸原液、外部凝固液及び内部凝固剤の温
度は、目的とするPVA系中空繊維膜の分画性に応じて
適宜選択される。とくに紡糸原液の温度は、紡糸原液の
上限臨界共溶点の温度が30℃〜95℃、とくに50℃
〜90℃となるように実施するのが好ましい。紡糸原液
の上限臨界共溶点の温度をこのような範囲に設定して紡
糸することにより、高温溶解型のPVA系重合体の紡糸
原液が、紡糸原液の上限臨界共溶点より低い温度の凝固
液に紡出され、ミクロ相分離が促進されて、より透水性
に優れるPVA系中空繊維膜を得ることができる。紡糸
原液の上限臨界共溶点とは、紡糸原液を通常95℃以上
の高温状態で透明な均一溶液とし、該原液の温度を徐々
に下げたとき透明溶液から白濁溶液に変化するときの温
度であり、白化点や曇点と同義である。
【0019】凝固液又は不活性ガスで凝固させて製造し
たPVA系中空繊維膜は、必要に応じて、延伸、中和、
水洗、湿熱処理、芒硝置換、乾燥などの処理を製造工程
のいずれの段階においても行うことができる。また、P
VA系重合体からなる中空繊維膜の外径及び膜厚につい
てはとくに制限はないが、通常50μm〜3000μm
程度、膜厚は10μm〜1000μm程度であり、外圧
濾過や内圧循環濾過などの使用方法に応じて適宜選択す
ることができる。中空繊維膜の膜表面構造及び断面構造
についてもとくに制限はなく、膜表面構造(孔)につい
ては円形、楕円形などの単独孔や連続孔、網状微細孔、
スリット状微細孔いずれでもよく、断面構造については
断面方向に均一あるいは異方性のスポンジ構造、フィン
ガー構造いずれでもよい。
【0020】本発明のPVA系中空繊維膜の最大の特徴
は、PVA系中空繊維膜が、屈曲半径が0.5mm以下
でかつ90℃での透水性保持率が80%以上を有するこ
とにある。屈曲半径とは、PVA系中空繊維膜を水洗し
た後、円錐状のステンレス棒の裾側に巻き付け、中空繊
維膜の両端部を引っ張りながら円錐頂上に向けて移動さ
せ、中空繊維膜が折れたときの円錐の半径(mm)をい
う。また、透水性保持率とは、1.0kg/cm2、9
0℃における透水量を水の粘性係数から25℃に相当す
る透水量に換算した値を1.0kg/cm2、25℃に
おける透水量で除した値(%)であり、耐温水性を表す
指標となる。本発明のPVA系中空繊維膜は、このよう
な特性を有することにより、耐圧性に加え、耐温水性及
び耐屈曲性に優れた中空繊維膜となる。
【0021】このような本発明のPVA系中空繊維膜
は、例えば、紡糸して得られた中空繊維膜をジアルデヒ
ド類化合物でアセタール化処理するときに、アセタール
化度を制御することにより得ることができる。アセター
ル化度があまり低いと耐屈曲性には優れるものの、乾燥
時に中空繊維膜が膠着しやすく、また、高温での透水性
が低下する傾向にあり、一方、アセタール化度があまり
高い場合には、乾燥時に中空繊維膜は膠着せず、耐温水
性にも優れるが、耐屈曲性が低下することがあるので、
アセタール化度をPVA単位に対して2〜6モル%に設
定するのが望ましい。本発明におけるアセタール化度と
は、ジアルデヒド類化合物によりアセタール化した場
合、PVA系中繊維膜中におけるアセタール結合の存在
割合をいい、分子間及び分子内アセタールを包含する。
【0022】本発明で使用するジアルデヒド類化合物
は、得られる中空繊維膜の機械強度の面からアルデヒド
基もしくはアセタールに含まれる酸素原子と、他方のア
ルデヒド基もしくはアセタール結合に含まれる酸素原子
との間の最短炭素数が2から20であることが好まし
く、3から9であるとさらに好ましい。このようなジア
ルデヒド類化合物の例としては、グリオキザール、マロ
ンジアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデ
ヒド、ヘキサンジアール、ヘプタンジアール、オクタン
ジアール、ノナンジアール、デカンジアール、ドデカン
ジアール、2,4−ジメチルヘキサンジアール、5−メ
チルヘプタンジアール、4−メチルオクタンジアール、
2,5−ジメチルオクタンジアール、3,6−ジメチル
デカンジアールなどの化合物、オルソフタルアルデヒ
ド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フ
ェニルマロンジアルデヒドなどの芳香族化合物、シクロ
ヘキサンジアルデヒド、ノルボルナンジアルデヒド、ト
リシクロデカンジアルデヒドのような脂環式化合物など
をあげることができる。
【0023】アセタール化合物の例としては、上述した
ジアルデヒド化合物とメタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレン
グリコールなどのアルコール類を反応させて両末端また
は片末端をアセタール化した例えば、テトラメトキシノ
ナンなどの化合物があげられる。これらの化合物は、1
種又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】ジアルデヒド類化合物によるPVA系中空
繊維膜のアセタール化処理は、ジアルデヒド類化合物の
存在下、30℃以上の水、芒硝、塩化カルシウムなどの
脱水性塩類の水溶液、PVA系重合体が溶出しない有機
溶媒中、気相中、水蒸気中で実施することができる。ア
セタール化処理を実施する際の触媒としては、硫酸、塩
酸、りん酸、硝酸などの無機酸、あるいはカルボン酸、
パラトルエンスルホン酸のようなスルホン酸などの有機
酸をあげることができる。また、前述した塩を加えても
よい。
【0025】PVA系中空繊維膜のアセタール化度を2
〜6モル%にするには、以下に述べるように、製造過程
における制御が必要であり、従来のPVA系中空繊維膜
においては、アセタール化度が平衡到達アセタール化度
近辺までアセタールされていたため、本発明のPVA系
中空繊維膜よりも耐屈曲性に劣っていたものと推定され
る。PVA系中空繊維膜中のアセタール化度は、使用す
るPVAの分子量、ジアルデヒド類化合物の濃度、触媒
として用いる酸の濃度、アセタール化処理の時間、温
度、膜重量対ジアルデヒド類化合物浴量の比によって制
御することが可能であり、例えば、アセタール化処理の
時間を長くする、アセタール化処理温度を高くする、ジ
アルデヒド類化合物の濃度を高くする、酸濃度を高くす
る、塩化リチウムなどの塩を添加することによって、ア
セタール化度を高くすることが可能である。また、逆に
アセタール化処理の時間を短くする、アセタール化処理
温度を低くする、ジアルデヒド類化合物の濃度を低くす
る、酸濃度を低くすることによって、アセタール化度を
低くすることも可能である。
【0026】アセタール化処理は、PVA系中空繊維膜
をまずアセタール化反応が進みにくい条件下でアセター
ル化処理に必要な液を必要量のみ含浸し、その後中空繊
維膜を取り出してから、次いでアセタール化反応を促進
する条件で処理することで、アセタール化度の制御を容
易に行うことができる。例として、PVA系中空繊維膜
をジアルデヒド類化合物のみを含む溶液に浸漬して含浸
させてから、ジアルデヒド類化合物を含まない酸溶液に
浸漬する手法、PVA系中空繊維膜をジアルデヒド類化
合物、酸、塩などを含む溶液に短時間浸漬し、これらを
含浸させてから、湿熱処理する手法をあげることができ
るが、PVA系中空繊維膜をジアルデヒド類化合物、
酸、塩などを含む溶液に短時間浸漬し、含浸させてか
ら、湿熱処理する後者の手法がより制御しやすく好まし
い。
【0027】上記ジアルデヒド類化合物の溶液は、通常
0.1〜100g/lのジアルデヒド類化合物と5〜3
00g/lの硫酸や塩酸などの酸を含む溶液であり、P
VA系中空繊維膜は、50℃以下の比較的低温、3時間
以下のアセタール化反応が進みにくい条件下で該溶液に
浸漬され、ジアルデヒド類化合物が含浸される。湿熱処
理の温度は40℃〜130℃で実施するのが好ましく、
より好ましくは、50℃〜121℃である。湿熱処理に
は水蒸気を使用すればよい。
【0028】このようにして得られたPVA系中空繊維
膜に、さらにモノアルデヒドでアセタール化処理する
と、強靱化するので好ましい。このようなモノアルデヒ
ドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ク
ロルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ノルボルナ
ンアルデヒド、ブチルアルデヒドなどを例示することが
できる。PVA系中空繊維膜をモノアルデヒドでアセタ
ール化処理する場合、通常10〜300g/lのモノア
ルデヒド化合物を50〜400g/lの硫酸又は塩酸な
どの酸を含む浴中で、30〜90℃、好ましくは40〜
60℃で浸漬処理する。
【0029】以上のPVA系中空繊維膜の製造工程にお
いて、必要に応じて、エステル化、エーテル化などの変
性処理をしたり、ジアルデヒド類化合物による処理前及
び/又は処理後及び/又は処理中の工程で、熱延伸/熱
処理してもよい。これらは、単独で実施しても、また、
組み合わせて実施してもよい。以下、本発明を実施例に
より具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定
されるものではない。
【0030】
【実施例】本発明における各種の物性値は以下の方法で
測定されるものである。 アセタール化度 ジアルデヒド類化合物がPVAの水酸基と反応した際、
結合が生じるアセタール部位のPVA単位に対する割合
(モル%)であり、PVA系中空繊維膜中におけるアセ
タール結合の存在割合を示す。該アセタール化度は、固
体カーボンNMRにより、該ジアルデヒド類化合物とP
VAとのアセタール結合に由来するピーク面積とPVA
のメチン炭素ピーク面積との比から求めた。
【0031】透水性 中空繊維膜を十分水洗した後乾燥し、長さ15cmの中
空繊維膜20本程度を市販のポッティング剤を用いて集
束固定することにより小型モジュールを作製し、親水化
処理後25℃に保って中空繊維膜の外側より内側に1.
0kg/cm2の圧力をかけ、水の透過量を測定し、透
水性(l/m2・hr・atm)を求めた。
【0032】透水性保持率 上記透水性の測定を行う際の雰囲気温度を90℃として
透過量を測定し、(90℃の水の粘度/25℃の水の粘
度)を透過量にかけて90℃の透水性を25℃相当の透
水性に換算してから、(90℃における透水性/25℃
における透水性)×100(%)によって算出した。
【0033】耐屈曲性 中空繊維膜を十分水洗後、円錐状のステンレス棒の裾側
に巻き付け、中空繊維膜の両端部を引っ張りながら円錐
頂上に向けて移動させ、中空繊維膜が折れた時の半径
(mm)を求めた。この値を耐屈曲半径とする。尚、計
測は10回の平均値である。
【0034】乾燥時の膠着性 中空繊維膜を十分水洗後、60℃で4時間熱風乾燥機で
乾燥後、膜間の膠着を肉眼及び実体顕微鏡で観察した。
【0035】参考実験例 ケン化度98.4モル%、平均重合度2400のPVA
(株式会社クラレ製PVA−124)、平均分子量60
0のポリエチレングリコール(三洋化成工業株式会社製
PEG♯600)、硼酸および酢酸に水を加えて100
℃で加熱溶解し、PVA17.0wt%、ポリエチレン
グリコール26.5wt%、硼酸0.7wt%、酢酸
0.07wt%からなる紡糸原液を調製した。この紡糸
原液は80℃に上限臨界共溶点を有する高温溶解型原液
であった。外部凝固液及び内部凝固液として、水酸化ナ
トリウム40g/l及び硫酸ナトリウム230g/lか
らなる混合水溶液を27℃に調節したものを使用し、8
5℃に調節した紡糸原液及び内部凝固液を、環状ノズル
より外部凝固液中に直接紡出し、300g/lの硫酸ナ
トリウム水溶液中で硫酸を用いて中空繊維膜の内部まで
pH7.0になるように制御し、外径1100μm、膜
厚250μmのPVA中空繊維膜を製造した。
【0036】実施例1 参考実験例で得た中空繊維膜55.5mを30cm単位
で綛巻し、グルタルアルデヒド0.5wt%、硫酸3.
3wt%、硫酸ナトリウム18wt%及び水からなる2
0℃の混合水溶液中に2時間浸漬後、中空繊維膜を取り
出し、90℃の水蒸気雰囲気下に30分静置した。中空
繊維膜について、アセタール化度、透水性、透水性保持
率、屈曲半径及び乾燥時の膠着を測定し、表1に示し
た。
【0037】実施例2 グルタルアルデヒドの濃度を0.9wt%とする以外は
実施例1と同様にして中空繊維膜を処理した。中空繊維
膜について、アセタール化度、透水性、透水性保持率、
屈曲半径及び乾燥時の膠着を測定し、表1に示した。
【0038】比較例1 グルタルアルデヒドの濃度を0.2wt%とする以外は
実施例1と同様にして中空繊維膜を処理した。中空繊維
膜について、アセタール化度、透水性、透水性保持率、
屈曲半径及び乾燥時の膠着を測定し、表1に示した。
【0039】実施例3 実施例1で得た中空繊維膜をホルムアルデヒド95g/
l、硫酸33g/l、硫酸ナトリウム200g/lから
なる60℃の混合水溶中に3時間浸漬し、ホルムアルデ
ヒドによるアセタール(ホルマール)処理を行った。中
空繊維膜について、アセタール化度、透水性、透水性保
持率、屈曲半径及び乾燥時の膠着を測定し、表1に示し
た。
【0040】実施例4 参考実験例で得た中空繊維膜55.5mを30cm単位
で綛巻し、20℃の水酸化ナトリウム10g/lの水溶
液に10分間浸漬する操作を3回行い、硫酸ナトリウム
を除去した。その後、中空繊維膜を20℃のイソプロピ
ルアルコール溶液に10分間浸漬する操作を3回行った
後、40℃のテトラメトキシノナン200g/lのイソ
プロピルアルコール溶液中に2時間浸漬した。
【0041】テトラメトキシノナンが含浸された中空繊
維膜を20℃の水酸化ナトリウム120g/lの水溶液
に10分間浸漬する操作を3回行ない、中空繊維膜の雰
囲気を水系に換えた後、20℃の水酸化ナトリウム12
0g/lと硫酸ナトリウム345g/lを含む水溶液、
20℃の硫酸20g/lと硫酸ナトリウム345g/l
を含む水溶液に浸漬することにより中空繊維膜の中側ま
でpH7.0になるように制御した。このようにして得
られた中空繊維膜を、硫酸33g/l、硫酸ナトリウム
200g/lからなる20℃の混合水溶液中に2時間浸
漬後、中空繊維膜を取り出し、90℃の水蒸気雰囲気下
に30分静置した。中空繊維膜について、アセタール化
度、透水性、透水性保持率、屈曲半径及び乾燥時の膠着
を測定し、表1に示した。
【0042】実施例5 参考実験例で得た中空繊維膜を実施例4と同様に綛巻
し、20℃の水酸化ナトリウム10g/lの水溶液に1
0分間浸漬する操作を3回行い、硫酸ナトリウムを除去
した。その後、中空繊維膜を20℃の1,4−ジオキサ
ン溶液に10分間浸漬する操作を3回行った後、テトラ
メトキシノナン5.58g/l、パラトルエンスルホン
酸38g/lの20℃の1,4−ジオキサン溶液中に2
時間浸漬後、中空繊維膜を取り出し、90℃の水蒸気雰
囲気下に30分静置した。中空繊維膜について、アセタ
ール化度、透水性、透水性保持率、屈曲半径及び乾燥時
の膠着を測定し、表1に示した。
【0043】比較例2 実施例1で得た中空繊維膜55.5mを37cm単位で
綛巻し、グルタルアルデヒド0.01wt%、硫酸3.
3wt%、硫酸ナトリウム18wt%からなる60℃の
混合水溶液25l中に1時間浸漬することにより架橋処
理を実施した。中空繊維膜について、アセタール化度、
透水性、透水性保持率、屈曲半径及び乾燥時の膠着を測
定し、表1に示した。
【0044】比較例3 グルタルアルデヒドの濃度を0.3wt%とする以外は
比較例2と同様に処理した。中空繊維膜について、アセ
タール化度、透水性、透水性保持率、屈曲半径及び乾燥
時の膠着を測定し、表1に示した。
【0045】比較例4 比較例3で得られた中空繊維膜をホルムアルデヒド95
g/l、硫酸33g/l、硫酸ナトリウム200g/l
からなる60℃の混合水溶中に3時間浸漬し、ホルムア
ルデヒドによるアセタール化処理を実施した。中空繊維
膜について、アセタール化度、透水性、透水性保持率、
屈曲半径及び乾燥時の膠着を測定し、表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明により、耐圧性、耐温水性及び耐
屈曲性に優れるPVA系中空繊維膜を提供することがで
きる。本発明による中空繊維膜は、上記特性を有するの
で、中空糸をモジュールに組み立てる際や使用時の中空
糸折れが低減し、工業的に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 MA01 MA31 MA33 MB02 MB15 MB16 MB20 MC33X MC71X MC88 NA03 NA04 NA05 NA10 NA13 NA14 NA54 4L033 AA05 AC15 BA08 BA09 BA10 DA02 DA07 4L035 BB06 BB11 BB13 CC20 DD03 DD14 EE04 EE20 FF01 HH10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジアルデヒド又はそのアセタール化物に
    よりアセタール化されたポリビニルアルコール系中空繊
    維膜であって、屈曲半径が0.5mm以下でかつ90℃
    での透水性保持率が80%以上であることを特徴とする
    ポリビニルアルコール系中空繊維膜。
  2. 【請求項2】 アセタール化度が2〜6モル%である請
    求項1記載のポリビニルアルコール系中空繊維膜。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール系中空繊維膜にジ
    アルデヒド又はそのアセタール化物を含浸し、次いで湿
    熱処理することを特徴とするポリビニルアルコール系中
    空繊維膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアルコール系中空繊維膜にジ
    アルデヒド又はそのアセタール化物を含浸し、次いで湿
    熱処理し、さらにモノアルデヒドでアセタール化処理す
    ることを特徴とするポリビニルアルコール系中空繊維膜
    の製造方法。
JP10352396A 1998-12-11 1998-12-11 ポリビニルアルコール系中空繊維膜およびその製造方法 Pending JP2000176259A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10352396A JP2000176259A (ja) 1998-12-11 1998-12-11 ポリビニルアルコール系中空繊維膜およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10352396A JP2000176259A (ja) 1998-12-11 1998-12-11 ポリビニルアルコール系中空繊維膜およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000176259A true JP2000176259A (ja) 2000-06-27

Family

ID=18423791

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10352396A Pending JP2000176259A (ja) 1998-12-11 1998-12-11 ポリビニルアルコール系中空繊維膜およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000176259A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006001528A1 (ja) * 2004-06-28 2006-01-05 Kureha Corporation 水処理用多孔質膜及びその製造方法
CN109772182A (zh) * 2018-12-29 2019-05-21 清大国华环境集团股份有限公司 一种改性聚偏氟乙烯膜的制备方法
CN111993724A (zh) * 2020-08-31 2020-11-27 武汉智达纺织科技有限公司 一种二氧化硅改性的多孔聚乙烯醇无纺布的制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006001528A1 (ja) * 2004-06-28 2006-01-05 Kureha Corporation 水処理用多孔質膜及びその製造方法
CN109772182A (zh) * 2018-12-29 2019-05-21 清大国华环境集团股份有限公司 一种改性聚偏氟乙烯膜的制备方法
CN111993724A (zh) * 2020-08-31 2020-11-27 武汉智达纺织科技有限公司 一种二氧化硅改性的多孔聚乙烯醇无纺布的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5976433A (en) Polyvinyl alcohol-based hollow fiber membrane and process for producing the same
JP2010527772A (ja) セルロース又はセルロース誘導体を含む高流束流体分離膜
JP4599787B2 (ja) 中空糸膜の製造方法および中空糸膜
JPS6227162B2 (ja)
JPS6214642B2 (ja)
CN105008029B (zh) 长链支化的氟聚合物膜
JP4991686B2 (ja) 複合中空糸膜の製造方法
JP2000325765A (ja) 耐溶剤性微孔質ポリベンゾイミダゾール薄膜
JPH03220309A (ja) 繊維およびその製造方法
JP2000176259A (ja) ポリビニルアルコール系中空繊維膜およびその製造方法
KR20130040620A (ko) 친수화 개질 폴리불화비닐리덴 수지를 이용한 고강도 수처리용 중공사막의 제조방법
JP5637483B2 (ja) 中空糸膜およびその製造方法
JP3053266B2 (ja) エチレン−ビニルアルコール系共重合体中空糸膜
JPH10245442A (ja)
JPS62102801A (ja) 選択透過性複合中空繊維
KR20190060552A (ko) 중공사막 형성용 조성물, 이를 이용한 중공사막 제조방법 및 중공사막
KR102399330B1 (ko) 아세틸화 알킬 셀룰로오스 분리막 및 그의 제조방법
JP4272144B2 (ja) 多孔質体の製造方法
KR20200076868A (ko) 여과막 형성용 조성물, 이를 이용한 여과막 제조방법 및 여과막
JP2000136430A (ja) ポリビニルアルコール系繊維の製造方法
JPH07185278A (ja) 分離膜の製造方法
JP2656245B2 (ja) 高速収縮繊維およびその製造方法
JP3549682B2 (ja) 高耐湿熱性ポリビニルアルコール系繊維
JPH11140120A (ja) 膜の製造方法
JP4312482B2 (ja) ポリビニルアルコール不溶化物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20040407

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050607

A02 Decision of refusal

Effective date: 20060117

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02