JP3051486U - 押圧部付きの蓋を有する容器 - Google Patents
押圧部付きの蓋を有する容器Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】容器の内部を衛生的に保持することができ、且
つウエットペーパーの水分が蒸発しないような容器を提
供すること、及び蓋の閉鎖状態を確実に維持でき、蓋の
開閉が容易に行える構造を少ない製造工程で仕上げるこ
とができる容器を提供すること。 【解決手段】蓋体11の下面に凸状に膨らんだ押圧部2
5が形成されており、該押圧部は蓋体11の閉鎖時に可
撓性フィルム17の取り出し口21付近に圧接するよう
に構成する。蓋体の自由端側には凹部を形成し、天板側
にはこれに整合する凸部を形成し、蓋体の凹部に該凹部
の少なくとも一部に突出する係止板を設ける。
つウエットペーパーの水分が蒸発しないような容器を提
供すること、及び蓋の閉鎖状態を確実に維持でき、蓋の
開閉が容易に行える構造を少ない製造工程で仕上げるこ
とができる容器を提供すること。 【解決手段】蓋体11の下面に凸状に膨らんだ押圧部2
5が形成されており、該押圧部は蓋体11の閉鎖時に可
撓性フィルム17の取り出し口21付近に圧接するよう
に構成する。蓋体の自由端側には凹部を形成し、天板側
にはこれに整合する凸部を形成し、蓋体の凹部に該凹部
の少なくとも一部に突出する係止板を設ける。
Description
【0001】
本考案は、例えば幼児用お尻ふきなどとして用いられるウエットペーパー等を 保管収容しておくための容器に関する。
【0002】
ウエットペーパーは、水などの液体で湿らせた紙質体であり、箱などの容器に 収納されて広く販売されている。ウエットペーパーの用途は極めて多岐にわたり 、幼児のお尻を清潔に保つために用いたり、傷口の汚れを拭き取るために用いる こともある。したがって、ウエットペーパーは衛生的に保管されていなければな らない。 衛生的な保管を行うために、ウエットペーパーは一般にほぼ密閉した容器の中 に収納されている。ウエットペーパーを使用する必要が生じたときには、容器の 蓋を開けて、容器の上面に形成された小さな穴からウエットペーパーを一枚ずつ 抜き取って使用する。
【0003】 ウエットペーパー用容器には、このように気密性と程よい強度が要求されるこ とから、従来はプラスチック容器材料を用いて製造されていた。しかしながら、 プラスチック製容器は、ウエットペーパー使用後に通常の可燃ゴミとともに廃棄 することができない。中には焼却すると有毒ガスを発生して生活環境を悪化させ るプラスチック容器もあり、近年のエコロジー志向に反するものが多い。プラス チックゴミ減量が社会的課題とされている今日では、プラスチック材料の使用量 を極力抑えた容器の開発が求められている。
【0004】 このような社会的要請に応えるために、紙でできた容器を提供することが考え られる。しかしながら、紙製容器では気密性を保持することが必ずしも容易では ない。特にウエットペーパー用容器では、内部を衛生的に保ったうえでウエット ペーパーの水分が蒸発しないようにする必要がある。すなわち、ウエットペーパ ーを使用しないときには、内部を衛生的に保持するために、蓋を閉鎖した状態に 維持しなければならない。その一方で、蓋を開けるときには、容易に開けること ができる構造であることが要求される。更に容器の製造コストを抑えるために、 このような蓋の開閉構造を、なるべく少ない製造工程で仕上げることが要求され る。 しかしながら、これらの要求を満たし、かつ製造コストが安い容器はこれまで 開発されるに至っていなかった。
【0005】
本考案はこのような背景に鑑みなされたもので、容器の内部を衛生的に保持す ることができ、且つウエットペーパーの水分が蒸発しないような新しい容器を提 供することを課題とする。 また、本考案は、プラスチック材料の使用量を減らしてエコロジー志向に合致 した容器を提供することを課題とする。 更にまた、蓋の閉鎖状態を確実に維持できる一方、蓋の開閉が容易に行える構 造を少ない製造工程で仕上げることができる容器を提供することを課題とする。
【0006】
本考案者らが鋭意検討を行った結果、ウエットペーパー取り出し口およびその 周囲を可撓性フィルムで構成し、さらに閉鎖したときに該可撓性フィルムを圧接 する押圧部を蓋に形成することによって、上記課題を解決することができること が明らかになった。本考案はこのような知見に基づいて提供されるに至ったもの である。 すなわち、本考案は、天板に開口部が形成されており、該開口部を閉鎖できる ように回動可能な蓋体を備える本体部と、前記開口部を覆うように前記天板に設 けられ、前記本体部内の収容物を取り出すための取り出し口が形成されている可 撓性フィルムとを有しており、前記蓋体の下面には凸状に膨らんだ押圧部が形成 されており、該押圧部は前記蓋体の閉鎖時に前記可撓性フィルムの取り出し口付 近に圧接することを特徴とする容器を提供する(第1の実施形態)。
【0007】 本考案は、天板に形成された切り欠きを閉鎖できるように回動可能な蓋体を備 える箱状の本体部と、前記切り欠きの外周部分を覆うように前記天板に設けられ 、中央に開口部が形成されている閉鎖板と、前記開口部を覆うように前記閉鎖板 に設けられ、前記本体部内の収容物を取り出すための取り出し口が形成されてい る可撓性フィルムとを有しており、前記蓋体の下面には凸状に膨らんだ押圧部が 形成されており、該押圧部は前記蓋体の閉鎖時に前記可撓性フィルムの取り出し 口付近に圧接することを特徴とする容器をも提供する(第2の実施形態)。
【0008】 また本考案は、天板を有する本体部と、前記天板の一部を切り欠いて形成され た開口部と、前記切り欠いた天板部分により構成され、前記開口部を閉鎖できる ように前記天板に回動可能に接続されている蓋体と、前記開口部を覆うように前 記天板に設けられ、前記容器内の収容物を取り出すための取り出し口が形成され ている可撓性フィルムと、前記蓋体の下面に形成され、前記蓋体の閉鎖時に前記 可撓性フィルムの取り出し口付近に圧接することができる凸状に膨らんだ押圧部 とを備え、前記蓋体の自由端側には凹部が形成されており、前記天板には、前記 蓋体の閉鎖時に前記蓋体の凹部に整合する凸部が形成されており、前記蓋体の凹 部には、該凹部の少なくとも一部に突出するように係止板が設けられていること を特徴とする容器をも提供する(第3の実施形態)。 このような容器では、蓋体の凹部の少なくとも一部に突出する係止板が、押圧 部を形成するために天板の下面に設けた部材の一部によって構成されているよう にしてもよい。
【0009】 また本考案は、天板を有する本体部と、前記天板の一部を切り欠いて形成され た開口部と、前記切り欠いた天板部分により構成され、前記開口部を閉鎖できる ように前記天板に回動可能に接続されている蓋体と、前記開口部を覆うように前 記天板に設けられ、前記容器内の収容物を取り出すための取り出し口が形成され ている可撓性フィルムと、前記蓋体の下面に形成され、前記蓋体の閉鎖時に前記 可撓性フィルムの取り出し口付近に圧接することができる凸状に膨らんだ押圧部 とを備え、前記蓋体の自由端側には凸部が形成されており、前記天板には、前記 蓋体の閉鎖時に前記蓋体の凸部に整合する凹部が形成されており、前記天板の凹 部には、該凹部の少なくとも一部に突出するように係止板が設けられていること を特徴とする容器をも提供する(第4の実施形態)。
【0010】 これら第1〜第4の各実施形態において、蓋体の回動軸線側であって蓋体の下 面と可撓性フィルムとの間には、弾性復帰力を有する部材が設けられていてもよ い。
【0011】 また、本考案の容器の開口部縁部と可撓性フィルムとの間にはスペーサが設け られていて、該スペーサによって天板と可撓性フィルムとの間に実質的な間隔が 形成されていてもよい。 また、本考案の容器の押圧部を開口部より大きくして、蓋体の閉鎖時に押圧部 が開口部の全周囲に当接するようにしてもよい。 また、本考案の容器の取り出し口の位置に対応する押圧部の位置には、凹陥部 が形成されていてもよい。
【0012】 また、本考案の容器の可撓性フィルムの取り出し口の下方には、本体部内の収 容物を取り出すための取り出し口を有する内側閉鎖板が設けられていてもよい。 さらに、本考案の容器の蓋体の下面には、紙を折り込んで形成され、その収縮 状態から伸張状態へ復帰傾向を有する紙成形品が設けられていてもよい。
【0013】
以下、本考案の第1の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1は 、本考案が適用された、ウエットペーパーを収容するための容器1を示す。
【0014】 容器1は、天板3と、4つの側板5と、底板7とから構成される箱体9と、該 箱体9の天板3の上面に回動可能に設けられている蓋体11とを備えている。箱 体9と蓋体11とは共に一定の強度を有する厚紙でできているのが好ましく、こ れらは全体として本体部を構成する。
【0015】 天板3には好ましくは楕円形の開口部13が形成されており、天板3の下面に は、図2に示すように、開口部13の全周囲に沿ってスペーサ15が貼付されて いる。スペーサ15は開口部13の全周囲に亘って一定の厚さを有するのが好ま しい。 また天板3の下面には、ポリエチレン等の可撓性を有するフィルム17が接着 剤19で貼付されており、このフィルム17が開口部13全体を覆っている。フ ィルム17の周囲部分は、接着剤19で天板3の下面に貼付されているが、フィ ルム17の中央部分は、天板3からスペーサ15の厚み分だけ下側に離れている 。これによりフィルム17の上方にはスペーサ15の厚み分だけ空間が形成され る。蓋体11が閉じられたとき、この空間はウエットペーパーの端部の収容場所 となる。
【0016】 スペーサ15はフィルム17を天板3から離す目的で設けるものであるから、 その材質は特に問わない。好ましいのは紙である。また本実施形態では開口部1 3の全周囲に亘ってスペーサ15が形成されているが、開口部13の周囲に一定 の間隔毎に同じ厚さのスペーサを配置するようにしてもよい。 また、本実施形態ではスペーサが形成されているが、スペーサを形成せずに図 4に示すようにフィルムが弛むように貼付することによってフィルム上方に空間 を形成してもよい。
【0017】 フィルム17のほぼ中央には、容器1内に収容されたウエットペーパーを取り 出すための取り出し口21が形成されている。図2に示すように、この取り出し 口21は、容器使用前は剥離可能なシール23によって塞がれており、使用者は ウエットペーパーを取り出す前に、このシール23を剥がして使用するようにな っている。
【0018】 このようなシール23付きのフィルム17を天板3に貼付する場合には、図6 に示すように、フィルム17の連続体からフィルムを取り出しながら、取り出し 口21用の孔の形成、シール23の貼付および一定の長さでの切断を連続的に行 い、天板3に貼付していく。
【0019】 蓋体11の下面側には、開口部13と対応する位置に楕円形の紙製の押圧部2 5が形成されている。押圧部25は、蓋体11を閉鎖したときに、押圧部25の 頂点付近がフィルム17の取り出し口21付近に圧接できるような凸状の形状を 有する。これにより蓋体11が閉鎖しているときは、取り出し口21が押圧部2 5で押さえ付けられて密閉される。従って容器内を衛生的に維持することができ ると共に、ウエットペーパーが乾燥することを防止することができる。 本実施形態では押圧部25が楕円形を有しているが、密閉状態を形成すること ができるものであれば、押圧部は円形であっても、波形であってもよい。また、 本実施形態では、押圧部25が蓋体11の下面側に取り付けられているが、蓋体 11を成形することによって押圧部を一体として形成してもよい。
【0020】 また、これらの押圧部25の表面には、フィルム17と圧着するフィルムがコ ーティングされていて、押圧部25とフィルム17の密着性をより高くしてもよ い。押圧部25にコーティングするフィルムは、圧着性を有する限りフィルム1 7と同じ材質であっても異なる材質であってもよい。
【0021】 図2に示す押圧部25の形態では、蓋体11を閉じたときに直接取り出し口2 1を押し付けるため、取り出し口21から出ているウエットペーパーの端部も同 時に押さえ付けられてしまう。そこで図7(a)及び(b)に示すように、押圧 部25の中央(取り出し口21に対応する箇所)に凹陥部26を形成するように してもよい。これによりウエットペーパーの端部は凹陥部26内に入り込むこと ができるため、押圧部25による押さえ付けが緩和される。また凹陥部26の周 囲の押圧部の部分28がフィルム17に圧接することにより、容器内を密閉状態 にすることが可能である。
【0022】 図2に戻り、押圧部25は開口部13より少し大きめに形成されており、蓋体 11を閉じたときに、押圧部25の周囲が開口部13の全周囲に当接するように なっている。これにより蓋体11を閉じたときに、開口部13の全周囲を密閉状 態にすることができる。従って容器内の衛生維持とウエットペーパーの乾燥防止 とを一層確実にすることができる。
【0023】 本実施形態の押圧部25は紙で構成されているため、蓋体11を閉じていると きには、フィルム17に当接してある程度弾性変形し、一方蓋体11を開けたと きには、元の形状に復元することができる。押圧部25は紙で構成することが好 ましいが、紙以外にも弾性変形可能なプラスチックシートで構成したり、あるい は全体をスポンジ等の弾性発泡材料で構成してもよい。
【0024】 また押圧部25は、ほとんど弾性力を有しない材料で構成することもできる。 この場合には、蓋体11を閉じたときに、押圧部25が変形せずにフィルム17 が若干延びるようにして押圧部25に圧着し、取り出し口21を塞ぐことができ る。また弾性力をほとんど有しない押圧部25が、開口部13の周囲部分と当接 したときには、開口部13の周囲の紙端部分が弾性変形して、その部分で密閉す ることができる。
【0025】 蓋体11の端部には、係止突起27が形成されており、この係止突起27は天 板3に設けられた係止受け部29に係止できるようになっている。このような係 止構造により、蓋体11を閉じた状態を維持することができる。一方、蓋体11 を開くときには、蓋体11に指を掛けて軽く持ち上げるようにすればよい。
【0026】 更に蓋体11の下面の左右両側には、図3に示すように紙を2つ折りにした紙 成形品24が接着剤で貼付されている。この紙成形品24はその収縮状態から伸 張状態へ復帰傾向を有するため、蓋体11が閉じているときには、常時蓋体11 を持ち上げるように作用する。従って蓋体11と天板3との係止状態が一端解除 されれば、蓋体11は自動的に一定高さまで開くようになる。
【0027】 次に本発明の第2の実施形態について図4、図5を参照しながら説明する。図 4に示す実施形態では、天板3に切り欠き31が形成されており、この切り欠い た部分がそのまま蓋体11として利用されている。 蓋体11の付け根は、図4では天板平面上に位置しているが、側板5と天板3 の交線上にあってもよい。
【0028】 天板3の下面には、切り欠き31の外周部分を覆うように環状の閉鎖板33が 接着剤で貼付されている。閉鎖板33の中央には開口部13が形成されており、 その閉鎖板の下面にはフィルム17が貼付されている。本実施形態の蓋体11に は、先に説明したように中央に凹陥部26を有する押圧部25が形成されている 。蓋体11が閉じたときには、押圧部25の部分28がフィルム17に圧接して 、容器内の密閉状態を維持することができる。
【0029】 このような第2の実施形態では、予めスペーサ15とフィルム17とを取り付 けた閉鎖板33を容器とは別個に作成しておき、最後に蓋体33を接着剤で天板 3の内面側に貼付することにより、効率よく容器を製造することができる。
【0030】 なお、第1または第2の実施形態において、さらにフィルムの下方に図8に示 すような内側閉塞板35を形成してもよい。このような内側閉鎖板は、取り出し 口21が押圧部25で押さえ付けられることによって密閉状態を形成している場 合に特に有用である。内側閉鎖板には容器のウエットペーパーを取り出すための 取り出し口37が形成されている。閉鎖時には、フィルムに形成された取り出し 口21は蓋体11の押圧部25によって下方に押されるが、該フィルムと内側閉 鎖板35の間には空間が存在しているためにウエットペーパーは該空間に収納さ れる。したがって、ウエットペーパーは押圧部25によって過度に圧迫されるこ とはない。 内側閉鎖板35の形状は、図14(a)に示すように側板5に接着して形成し うるものであってもよい。また、図14(b)に示すような環状閉鎖板であって 、上板と下板に孔部付きフィルムを貼ることによってそれぞれ上側の取り出し口 21と下側の取り出し口37を形成させてもよい。このとき、フィルムは上板と 下板にそれぞれ1枚ずつ張り付けてもよいし、環状閉鎖板の外面を環状に覆うよ うに1枚のフィルムを貼り付けてもよい。
【0031】 次に本考案の第3および第4の実施形態について、図9〜図12を参照しなが ら説明する。図9、図11に示すように、本考案の第3の実施形態では、容器の 天板3がほぼ矩形に切り欠かれており、この切り欠いた天板部分をそのまま蓋体 11として利用している。天板3を切り欠いた領域には、開口部13が形成され ている。 蓋体11の1辺は、天板3から切り離されることなく天板3に接続しており、 この接続部分が蓋体11の回動軸線と一致する。
【0032】 天板3の下面には、可撓性を有するフィルム17が若干弛んだ状態で貼付され ており、このフィルム17は開口部13の全体を覆っている。フィルム17のほ ぼ中央には、上記実施形態同様に取り出し口21が形成されている。 蓋体11の下面には、凸状に膨らんだ押圧部25が蓋体とは別部材として貼付 されており、この押圧部25は、蓋体11を閉鎖したときに、フィルム17の取 り出し口21付近に圧接するようになっている。
【0033】 図9、図10に示すように、蓋体11の下面側の回動軸線の近傍には、ゴム板 39が固定具41によって固定されており、ゴム板39の他端側はフィルム17 に当接するように延びている。ゴム板39は、外力を加えない状態ではまっすぐ 伸びた板状の初期形状を有し、ゴム板39に力を加えて曲げている状態では、初 期形状に戻るような弾性復元力を有する。蓋体11が閉鎖しているとき、および 図9に示すように蓋体11が僅かに開いているときには、ゴム板39は蓋体11 とフィルム17との間に挟まれるようにして屈曲している。このためゴム板39 の弾性復元力により、蓋体11を図10および図15に示すような状態まで自動 的に持ち上げて、開放することができる。
【0034】 本考案の第3の実施形態では、蓋体11が閉鎖されているときに、蓋体11を 天板3に係止してその閉鎖状態を維持できる構造を備えている。この構造につい て、以下容器の製造工程と関連させながら説明する。 本実施形態の容器の展開図を作成するときには、厚紙をブレードで打ち抜いて 形成するが、この打ち抜き行程において同時に、蓋体を形成するためのスリット を天板に形成する。このようにして形成されるスリットのうち、蓋体11の自由 端側(蓋体の回動軸線と対向する側)に形成されるスリットによって、蓋体11 側に凹部45が形成される(図11参照)。そしてこの蓋体11側の凹部45に 対応して、天板3側には凸部49が形成される。蓋体の凹部45は蓋体の自由端 側のほぼ中央に形成されることが好ましい。
【0035】 一方、蓋体11の下面には、押圧部25を形成するために紙部材51が貼付さ れる。このとき図9、図11に示すように、紙部材51の1辺(蓋体の自由端側 に位置する辺)が蓋体11の凹部45の中に僅かに突出するように、紙部材51 を貼付する。このようにして凹部45内に形成された突出部分53は、蓋体11 を閉じたときに天板3の凸部49に係止することができる。なお本実施形態では 、突出部分53が形成されている紙部材51の部分が係止板に相当する。
【0036】 蓋体11を閉鎖するときに、蓋体を軽く押し込むことにより、突出部分53が 天板3側の凸部49に係止することができる。したがってこのような係止構造に より、蓋体11の閉鎖状態を維持することができる。蓋体11を開けるときには 、蓋体側の突出部分53と天板側の凸部49との係止状態を解除するように、天 板の凸部49付近を指で押し込むようにする。
【0037】 上記の実施形態では、押圧部を形成するための紙部材51の一部によって突出 部分53を形成するようにしたが、押圧部を形成するための紙部材ではなく、別 の紙部材を蓋体11の下面に貼付して、該紙部材の一部が蓋体の凹部45内で突 出部分53を形成するようにしてもよい。
【0038】 また上記実施形態とは逆に、図12に示すように、蓋体11側に凸部43を形 成し、天板3側に凹部47を形成しておき、該凹部47の一部に突出部分53が 形成されるように係止板55を天板3側に貼付するようにしてもよい。 凸部と凹部の形状は、図11及び図12に示すものに限らず、蓋体側あるいは 天板側の凹部の少なくとも一部に突出できるように係止板を設けることができる ような形状であれば、波形やギザギザ形状など、種々の凸部と凹部の組合せを採 用することができる。例えば、図13に示すように、蓋体自由端とそれに対応す る天板スリット辺を直線状に形成しておき、蓋体の下面に舌状紙部材51を突出 部分53が蓋体自由端から突出するように貼付してもよい。
【0039】 なお図11及び図12では、本考案の特徴をより明瞭に示すために、凹部の深 さと突出部分の長さとを、大きめに図示している。しかし実際の設計では、凹部 の深さは1〜5mm程度で十分であり、また突出部分の長さは0.1〜2mm程度で 十分である。凹部のの深さおよび突出部分の長さは、使用する紙材の性質や厚さ 等に応じて、最も良好な係止状態が達成できるように適宜変更することができる 。
【0040】
以上説明したように本考案によれば、蓋体の下面に形成された凸状に膨らんだ 押圧部が、蓋体の閉鎖時に可撓性フィルムの取り出し口付近に圧接するから、取 り出し口が塞がれて、容器内の衛生環境を維持することができると共に、容器内 のウエットペーパーが乾燥することを防止することができる。 また、天板と可撓性フィルムとの間に実質的な間隔が形成されるように、開口 部の縁部と可撓性フィルムとの間にスペーサが設けられるから、フィルムの上部 にウエットペーパーの端部の収容する空間を形成することができる。
【0041】 また押圧部が開口部より大きく、押圧部が蓋体の閉鎖時に開口部の全周囲に当 接するから、開口部の周囲でも容器の密閉性が担保されて、容器内の衛生環境の 維持をより確実にすることができる。 また取り出し口の位置に対応する押圧部の位置に凹陥部が形成されているから 、蓋体閉鎖時にウエットペーパーの端部が凹陥部内に収容され、押圧部による押 し潰しが緩和される。
【0042】 また蓋体の下面に、紙を折り込んで形成され、その収縮状態から伸張状態へ復 帰傾向を有する紙成形品を設けることにより、蓋体を自動的に持ち上げて使用者 が蓋体を開け易くすることができる。 さらに、本考案の容器の大部分を紙で構成することにより、ウエットペーパー を使い切った後に通常のゴミとともに廃棄し得るようにすることができる。
【0043】 また蓋体の自由端側には凸部と凹部とを形成し、天板が、蓋体の閉鎖時に蓋体 の凸部と凹部とに整合する凹部と凸部とを有する辺を有し、蓋体または天板にお ける凹部の少なくとも一部に突出するように係止板を設けることにより、該係止 板の突出部分が対応する天板または蓋体における凸部と係合して蓋体を閉鎖した 状態に保持することができる。 特に天板を切り欠いた部分を蓋体として利用する構造では、蓋体部分を形成す るために天板にスリットを形成するときに、同時に上記凸部及び凹部が形成され るようにスリットを形成しておき、その後に凹部側に係止板を貼付するようにす るだけで簡単に蓋体の係止構造を形成することができる。
【0044】 また押圧部を形成するために天板の下面に設ける部材の一部が凹部の一部に突 出するように構成すれば、わざわざ別部材として係止板を用意しなくてもよく、 また係止板だけを凹部内に取り付ける行程を省略することもできる。
【0045】 蓋体の回動軸線側であって、蓋体の下面と可撓性フィルムとの間に、弾性復帰 力を有する部材を設ければ、蓋体を自動的に開放させることができる。
【図1】本考案の容器の斜視図である。
【図2】本考案の容器の第1の実施形態を示す縦断面図
である。
である。
【図3】本考案の容器の第1の実施形態の上面図であ
る。
る。
【図4】本考案の容器の第2の実施形態を示す縦断面図
である。
である。
【図5】本考案の容器の第2の実施形態の上面図であ
る。
る。
【図6】シール付きのフィルムを予め成形する行程を示
す斜視図である。
す斜視図である。
【図7】凹陥部が形成された押圧部を示す断面図であ
る。
る。
【図8】内側閉鎖板が形成された押圧部を示す断面図で
ある。
ある。
【図9】本考案の容器の第3の実施形態を示す縦断面図
である。
である。
【図10】蓋体を自動的に開放する構造を示す断面図で
ある。
ある。
【図11】蓋体を天板に係止する構造を示す斜視図であ
る。
る。
【図12】蓋体を天板に係止する他の構造を示す斜視図
である。
である。
【図13】蓋体を天板に係止する他の構造を示す斜視図
である。
である。
【図14】閉鎖板の態様を示す断面図である。
【図15】本考案の第3の実施形態を示す斜視図であ
る。
る。
1 容器 3 天板 5 側板 7 底板 9 箱体 11 蓋体 13 開口部 15 スペーサ 17 フィルム 19 接着剤 21 取り出し口 23 シール 24 紙成形品 25 押圧部 26 凹陥部 27 係止突起 28 押圧部の部分 29 係止受け部 31 切り欠き 33 閉鎖板 34 環状閉鎖板 35 内側閉鎖板 37 取り出し口 39 ゴム板 41 固定具 43 蓋体側の凸部 45 蓋体側の凹部 47 天板側の凹部 49 天板側の凸部 51 押圧部を形成するための紙部材 53 突出部分 55 係止板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年2月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【実用新案登録請求の範囲】
Claims (11)
- 【請求項1】天板に開口部が形成されており、該開口部
を閉鎖できるように回動可能な蓋体を備える本体部と、 前記開口部を覆うように前記天板に設けられ、前記本体
部内の収容物を取り出すための取り出し口が形成されて
いる可撓性フィルムとを有しており、 前記蓋体の下面には凸状に膨らんだ押圧部が形成されて
おり、該押圧部は前記蓋体の閉鎖時に前記可撓性フィル
ムの取り出し口付近に圧接することを特徴とする容器。 - 【請求項2】天板に形成された切り欠きを閉鎖できるよ
うに回動可能な蓋体を備える本体部と、 前記切り欠きの外周部分を覆うように前記天板に設けら
れ、中央に開口部が形成されている閉鎖板と、 前記開口部を覆うように前記閉鎖板に設けられ、前記本
体部内の収容物を取り出すための取り出し口が形成され
ている可撓性フィルムとを有しており、 前記蓋体の下面には凸状に膨らんだ押圧部が形成されて
おり、該押圧部は前記蓋体の閉鎖時に前記可撓性フィル
ムの取り出し口付近に圧接することを特徴とする容器。 - 【請求項3】天板を有する本体部と、 前記天板の一部を切り欠いて形成された開口部と、 前記切り欠いた天板部分により構成され、前記開口部を
閉鎖できるように前記天板に回動可能に接続されている
蓋体と、 前記開口部を覆うように前記天板に設けられ、前記容器
内の収容物を取り出すための取り出し口が形成されてい
る可撓性フィルムと、 前記蓋体の下面に形成され、前記蓋体の閉鎖時に前記可
撓性フィルムの取り出し口付近に圧接することができる
凸状に膨らんだ押圧部とを備え、 前記蓋体の自由端側には凹部が形成されており、 前記天板には、前記蓋体の閉鎖時に前記蓋体の凹部に整
合する凸部が形成されており、 前記蓋体の凹部には、該凹部の少なくとも一部に突出す
るように係止板が設けられていることを特徴とする容
器。 - 【請求項4】前記蓋体の凹部の少なくとも一部に突出す
る係止板は、前記押圧部を形成するために前記天板の下
面に設けた部材の一部によって構成されていることを特
徴とする請求項3記載の容器。 - 【請求項5】天板を有する本体部と、 前記天板の一部を切り欠いて形成された開口部と、 前記切り欠いた天板部分により構成され、前記開口部を
閉鎖できるように前記天板に回動可能に接続されている
蓋体と、 前記開口部を覆うように前記天板に設けられ、前記容器
内の収容物を取り出すための取り出し口が形成されてい
る可撓性フィルムと、 前記蓋体の下面に形成され、前記蓋体の閉鎖時に前記可
撓性フィルムの取り出し口付近に圧接することができる
凸状に膨らんだ押圧部とを備え、 前記蓋体の自由端側には凸部が形成されており、 前記天板には、前記蓋体の閉鎖時に前記蓋体の凸部に整
合する凹部が形成されており、 前記天板の凹部には、該凹部の少なくとも一部に突出す
るように係止板が設けられていることを特徴とする容
器。 - 【請求項6】前記蓋体の回動軸線側であって、前記蓋体
の下面と前記可撓性フィルムとの間に、弾性復帰力を有
する部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいず
れかに記載の容器。 - 【請求項7】前記取り出し口の位置に対応する前記押圧
部の位置には凹陥部が形成されていることを特徴とする
請求項1〜6のいずれかに記載の容器。 - 【請求項8】前記天板と前記可撓性フィルムとの間に実
質的な間隔が形成されるように、前記開口部の縁部と前
記可撓性フィルムとの間にスペーサを備えることを特徴
とする請求項1〜7のいずれかに記載の容器。 - 【請求項9】前記押圧部は前記開口部より大きく、前記
押圧部は前記蓋体の閉鎖時に前記開口部の全周囲に当接
することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の
容器。 - 【請求項10】前記可撓性フィルムの取り出し口の下方
に、前記本体部内の収容物を取り出すための取り出し口
を有する内側閉鎖板を備えることを特徴とする請求項1
〜9のいずれかに記載の容器。 - 【請求項11】前記蓋体の下面に、紙を折り込んで形成
され、その収縮状態から伸張状態へ復帰傾向を有する紙
成形品が設けられていることを特徴とする請求項1〜1
0のいずれかに記載の容器。
Priority Applications (6)
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