JP3041954B2 - アレルギー疾患治療用のテルフェナジン代謝物及びその光学的に純粋な異性体 - Google Patents

アレルギー疾患治療用のテルフェナジン代謝物及びその光学的に純粋な異性体

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロ
キシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−
α,α−ジメチルベンゼンアセテート及び1−[p−
(2−ヒドロキシメチルプロプ−2−イル)−フェニ
ル]−4−[4−(α−ヒドロキシ−α−フェニルベン
ジル)ピペリジン−1−イル]ブタノール及びその光学
的に純粋な誘導体を含む新規な医薬組成物に関する。こ
れらの組成物は、強力な抗ヒスタミン活性を有し、アレ
ルギー性鼻炎(allergic rhinitis)、喘息及びその他
のアレルギー性疾患の治療に有用であり、しかも他のα
−アリール−4−置換ピペリジノアルカノール誘導体、
例えばテルフェナジンの投与に伴う副作用、限定するも
のではないが、心臓不整脈(cardiac arrhythmia)、嗜
眠状態(drowsiness)、悪心(nausea)、疲労(fatigu
e)、衰弱(weakness)及び頭痛を含む副作用を回避す
るものである。またこれらの組成物は、非ステロイド系
抗炎症剤あるいは他の非麻薬性鎮痛剤と組み合わせる
と、咳、風邪、風邪様(cold−like)及び/またはイン
フルエンザ症状、及びそれらに伴う不快感(discomfor
t)、頭痛、痛み、熱、及び全身倦怠感(general malai
se)の治療に有用である。上記の組み合わせは任意に、
うっ血除去薬(decongestant)、咳抑制剤/鎮咳剤(co
ugh suppressant/antitussive)、あるいは去痰薬(exp
ectorant)を含んでもよい。
さらに、これらの4−[1−ヒドロキシ−4−(4−
ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチ
ル]−α,α−ジメチルベンゼンアセテート及び1−
[p−(2−ヒドロキシメチルプロプ−2−イル)−フ
ェニル]−4−[4−(α−ヒドロキシ−α−フェニル
ベンジル)−1−ピペリジン−1−イル]ブタノール及
びその光学的に純粋な誘導体を含む新規な医薬組成物
は、乗り物酔い(motion sickness)、眩暈(vertig
o)、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)、糖尿
病に起因する小血管合併症(small vessel complicatio
ns)、およびH−1ヒスタミンレセプターの拮抗剤とし
てのこれらの誘導体の活性に関連し得る他の症状の治療
に有用であり、他のα−アリール−4−置換ピペリジノ
アルカノール誘導体、例えばテルフェナジンの投与に伴
う副作用を回避するものである。
また、4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ
ジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,
α−ジメチルベンゼンアセテート及び1−[p−(2−
ヒドロキシメチルプロプ−2−イル)−フェニル]−4
−[4−(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)ピ
ペリジン−1−イル]ブタノール又はその光学的に純粋
な異性体を含む前記の医薬組成物をヒトに投与すること
による、そのヒトにおける上記の症状を治療する方法で
あって、他のα−アリール−4−置換ピペリジノアルカ
ノール誘導体、例えばテルフェナジンの投与に伴う副作
用を回避する方法が開示される。
これらの組成物及び方法の活性化合物は、テルフェナ
ジンの代謝誘導体である。化学的には、これらの誘導体
は4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジフェ
ニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α−ジ
メチルベンゼン酢酸メチル、4−[1−ヒドロキシ−4
−(4−ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニ
ル)ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸、及び1
−[p−(2−ヒドロキシメチルプロプ−2−イル)−
フェニル]−4−[4−(α−ヒドロキシ−α−フェニ
ルベンジル)ピペリジン−1−イル]ブタノール及びこ
れらの化合物の光学異性体である。これらの化合物は、
Garteiz et al.,Arzneimittel−Forschung/Drug Resear
ch,32:1185−1190(1982)に記載されている。化学的に
は、これらの化合物の光学異性体はR−(+)−4−
[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジフェニルメ
チル−1−ピペリジニル)ブチル−α,α−ジメチルベ
ンゼン酢酸メチル、S−(−)−4−[1−ヒドロキシ
−4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペリ
ジニル)ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチ
ル、R−(+)−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒ
ドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチ
ル]α,α−ジメチルベンゼン酢酸、S−(−)−4−
[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジフェニルメ
チル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α−ジメチル
ベンゼン酢酸、R−(+)−1−[p−(2−ヒドロキ
シメチル−2−プロプ−2−イル)−フェニル]−4−
[4−(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)ピペ
リジン−1−イル]ブタノール及びS−(−)−1−
[p−(2−ヒドロキシメチルプロプ−2−イル)−フ
ェニル]−4−[4−(α−ヒドロキシ−α−フェニル
ベンジル)ピペリジン−1−イル]ブタノールである。
1.1立体的関連性及び薬物作用 多くの有機化合物が光学的に活性な形態で存在し、即
ち、それらは平面偏光光の平面を回転させる能力を有す
る。光学活性化合物を記載する場合、接頭辞D及びLま
たはS及びRが、そのキラル中心についての分子の絶対
配置を示すのに使用される。接頭辞d及び1または
(+)及び(−)は、化合物による平面偏光光の回転の
符号を表すのに使用され、(−)または1は化合物が左
旋性であることを示す。(+)またはdの接頭辞が付さ
れた化合物は右旋性である。所与の化学構造についてこ
れらの化合物は立体異性体と呼ばれ、これらは互いに鏡
像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は
エナンチオマー(鏡像異性体)と称され、このような異
性体の混合物はエナンチオマー混合物またはラセミ混合
物と呼ばれる。
立体化学的純度は薬剤の分野で重要であり得、20の最
も多く処方される薬物のうち、12がキラリティーを示
す。適切なケースはβ−アドレナリン作動性効果遮断
薬、プロプラノロールのL型において見られ、これはD
−エナンチオマーよりも100倍強力であることが知られ
ている。
さらに、ある異性体は単に不活性というのではなく、
実際に心身に有害であり得ることから、光学純度が重要
であり得る。例えば、タリドミドのD−エナンチオマー
は安全であり、妊娠期間におけるつわりのコントロール
のために処方すると有効な鎮静薬であるが、対応するL
−エナンチオマーは強力な催奇形物質であると考えられ
ている。
4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジフェ
ニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α−ジ
メチルベンゼン酢酸のエナンチオマーはZamani et al.,
Chirality 3:467−470(1990)に開示されている。この
引用文献は、ラットにおいて経口的に投与されたラセミ
体テルフェナジンの(R)−エナンチオマーは優先的に
酸化され、(R)−エナンチオマーに富んだカルボン酸
代謝物を形成すると記載している。4−[1−ヒドロキ
シ−4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペ
リジニル)ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸の
エナンチオマーは、Chan et al.,J.Chromatog.571:291
−297(1991)にも開示されている。この引用文献は、
ヒトにおいてはテルフェナジンはいかなる立体選択的異
性体相互変換も受けないと記載している。
テルフェナジンは、H−1ヒスタミンレセプタータン
パク質の拮抗物質である。ヒスタミンレセプタータンパ
ク質は組織において、H−1及びH−2レセプターとし
て2つのよく特定された形態で存在する。H−1レセプ
ターは慣用的な抗ヒスタミン物質により拮抗される応答
を媒介するものである。H−1レセプターは、モルモッ
ト回腸、アカゲザルの皮膚、及びモルモットの気管支平
滑筋に存在する。テルフェナジンは、単離されたモルモ
ット回腸においてヒスタミンの効果に拮抗し、アカゲザ
ルの皮膚においてヒスタミンにより誘発されたじんま疹
を抑制し、モルモットにおいてヒスタミンにより誘発さ
れた致死性に対して保護する。
H−2レセプター媒介応答を通して、ヒスタミンはモ
ルモットにおいて胃酸分泌を刺激し、単離されたモルモ
ット心房において変時性効果を刺激する。テルフェナジ
ンは、ヒスタミンにより誘発された胃酸分泌に対して何
の効果も有さず、心房に対するヒスタミンの変時性効果
を変化させない。従って、テルフェナジンはH−2ヒス
タミンレセプターに対して明らかな効果を有していな
い。Cheng et al.,Drug Development Research,2:181−
196(1982)を参照されたい。
テルフェナジンは良く吸収されるが、充分に代謝され
る。Okerholm et al.,Biopharmaceutics and Drug Dist
ribution,2:185−190(1981)を参照されたい。2つの
主要な代謝物が同定され、その代謝物の1つ、4−[1
−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル
−1−ピペリジニル)ブチル]α.α−ジメチルベンゼ
ン酢酸は、インビトロで抗ヒスタミン活性を示すことが
示唆されているが、実際のデータは刊行されていない。
Garteiz et al.,Arzneimittel−Forschung/Drug Resear
ch,32:1185−1190(1982)を参照されたい。
その抗ヒスタミン活性に基づいて、研究者はアレルギ
ー性鼻炎の治療におけるテルフェナジンの効果を評価し
た。効力の臨床試験は、テルフェナジンがもう1つのH
−1拮抗物質であるクロロフェニラミンよりも僅かに効
果が低いことを示した。Connell,Pharmacotherapy,5:20
1−208(1985)を参照。
テルフェナジンは喘息の治療に有用であろうことも提
案されている。モルモットにおいて、LTD4(ロイコトリ
エンD4)により引き起こされた気道抵抗性の増加は、テ
ルフェナジンにより抑制された。Akagi et al.,Oyo Yak
uri,35:361−371(1988)参照。
テルフェナジンは、乗り物酔い及び眩暈の治療にも有
用であり得る。いくつかの抗ヒスタミン物質が乗り物酔
いの予防と治療に有効であることが判明している。Woo
d,Drugs,17:471−479(1979)参照。いくつかの抗ヒス
タミン物質は、前庭障害、例えばメニエール氏病、及び
その他の種類の眩暈の治療に有用であることも判ってい
る。Cohen et al.,Archives of Neurology,27:129−135
(1972)参照。
さらに、テルフェナジンは、糖尿病性網膜症、及び糖
尿病に伴う他の小血管疾患(small vessel disorders)
の治療に有用であり得る。ストレプトゾシン誘発糖尿病
を有するラットでの試験においては、糖尿病性網膜症の
進行に係わる網膜ヒスタミンレセプターの活性化が、抗
ヒスタミン物質による治療により抑制された。糖尿病に
伴う網膜症及び他の小血管疾患の治療への抗ヒスタミン
物質の使用は、米国特許第5,019,591号に開示されてい
る。
テルフェナジンを、非ステロイド系抗炎症剤あるいは
他の非麻薬性鎮痛剤と組み合わせると、咳、風邪、風邪
様及び/またはインフルエンザ症状、並びにそれらに伴
う不快感、痛み、頭痛、熱、及び全身倦怠感に有用であ
ることも示唆されている。テルフェナジン、並びに非麻
薬性鎮痛剤または非ステロイド系抗炎症剤、例えばアス
ピリン、アセトアミノフェン及びイブプロフェン等を含
む医薬組成物の使用は、米国特許第4,783,465号及び第
4,829,064号に記載されている。上記の症状の治療のた
めのこれらの組成物は、任意に、うっ血除去薬(例えば
シュードエフェドリン)、咳抑制剤/鎮咳剤(例えばデ
キストロメトルファン)又は去痰薬(例えばグアイフェ
ネシン)等の1種以上の他の活性化合物を含んでもよ
い。
多くの抗ヒスタミン物質は、何らかの類似した副作用
を起こす。この副作用には、限定するものではないが、
鎮静作用(sedation)、胃腸窮迫(gastrointestinal d
istress)、口渇、及び便秘又は下痢が含まれる。テル
フェナジンは、他の抗ヒスタミン物質と比較して、比較
的軽度の鎮静作用、胃腸窮迫、口渇、及び便秘又は下痢
を起こすことが判明した。
しかし、テルフェナジンのヒトへの投与は、他の副作
用を引き起こすことが見い出された。この副作用には、
限定するものではないが、心室頻脈(ventricular tach
yarrhythmias)、トルサード・ド・ポワント(torsades
de pointes)、心室細動(ventricular fibrillatio
n)を含む心臓不整脈(cardiac arrhythmias)等があ
る。最近、テルフェナジンをその他の薬剤、例えばケト
コナゾール、エリスロマイシン等と同時に投与した場
合、あるいはテトラフェナジンを過剰に投与した場合
に、上記のような心臓不整脈の発生が増加することを、
臨床医が指摘した。Brian P.Monahan et al.,in JAMA,5
th Dec 1990,Vol.264,No.21,p−p 2788−90及びSandra
Knowles in the Canadian Journal of Hospital Pharma
cy−Vol.45,No.1,1st Feb 1992,p 33を参照されたい。
従って、上記したような欠点を有しない、テルフェナ
ジンの利点を有する化合物を見い出すことが特に望まし
い。
今回、4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ
ジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,
α−ジメチルベンゼン酢酸メチル、4−[1−ヒドロキ
シ−4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペ
リジニル)ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸、
及び1−[p−(2−ヒドロキシメチルプロプ−2−イ
ル)−フェニル]−4−[4−(α−ヒドロキシ−α−
フェニルベンジル)ピペリジン−1−イル]ブタノール
及びこれらの光学的に純粋な異性体(以下本明細書にお
いては「テルフェナジンの代謝誘導体」及び「テルフェ
ナジンの代謝誘導体の光学的に純粋な異性体」と指称す
る)が効果的な抗ヒスタミン物質であることが発見され
た。また、テルフェナジンの代謝誘導体またはその光学
的に純粋な異性体を含む医薬組成物が、アレルギー疾患
及び抗ヒスタミン物質としての組成物の活性に関連し得
る他の症状、限定するものではないが、アレルギー性鼻
炎、日光じんま疹(solar urticaria)、及び症候性皮
膚描画症(symptomatic dermographism)の治療に有用
であることが発見された。
さらに今回、テルフェナジンの代謝誘導体またはその
光学的に純粋な異性体が喘息の治療において有用である
ことも発見された。また、これらの化合物は、乗り物酔
い及び眩暈の治療並びに糖尿病に伴う網膜症及び小血管
疾患のような疾患の治療に有用である。本発明はまた、
テルフェナジンの代謝誘導体またはその光学的に純粋な
異性体をヒトに投与することによる、ヒトにおける上記
のような症状の治療方法にも係わり、該方法においては
テルフェナジンに伴う副作用、限定するものではない
が、心臓不整脈、鎮静作用、胃腸窮迫、口渇、及び便秘
又は下痢等を回避するものである。
テルフェナジンの代謝誘導体及びその光学的に純粋な
異性体を非ステロイド系抗炎症剤あるいは他の非麻薬性
鎮痛剤と組み合わせると、咳、風邪、風邪様及び/また
はインフルエンザ症状、及びそれらに伴う不快感、痛
み、頭痛、熱、及び全身倦怠感の治療に有用であること
も発見された。(1)テルフェナジンの代謝誘導体また
はその光学的に純粋な異性体、及び(2)他の非麻薬性
鎮痛剤あるいは非ステロイド系抗炎症剤、例えばアスピ
リン、アセトアミノフェンまたはイブプロフェン等を含
む本発明の医薬組成物の使用は、任意にうっ血除去薬
(例えばシュードエフェドリン)、咳抑制剤/鎮咳剤
(例えばデキストロメトルファン)、あるいは去痰薬
(例えばグアイフェネシン)等の1種以上の他の活性化
合物を含んでもよい。
本発明は、アレルギー性疾患に罹患したか(afflicte
d)あるいは罹患しやすい(susceptible)ヒトを治療す
る方法であって、テルフェナジンの投与に伴う副作用の
付随する傾向を回避する方法も包含し、該方法はアレル
ギー性疾患に罹患したか、あるいは罹患しやすいヒト
に、テルフェナジンの代謝誘導体、テルフェナジンの代
謝誘導体の光学的に純粋な異性体及びそれらの医薬上許
容される塩からなる群から選択された1種以上の化合物
のある量を投与することを含み、前記量は前記アレルギ
ー性疾患を治療するのに充分な量であるが、テルフェナ
ジンに伴う副作用を生起するには不十分な量である。
従って、第1の形態においては、本発明は、式I: (式中、ZはCOOH、COOCH3またはCH2OHである)の化合
物またはその医薬上許容できる塩を含む医薬組成物であ
って、式Iの化合物の治療上有効な量をヒト患者に投与
することを含む、有意な心臓不整脈を誘発することのな
い抗ヒスタミン治療における使用のための医薬組成物を
提供する。式Iの化合物は、前記したように、テルフェ
ナジンの代謝誘導体及びテルフェナジンの代謝誘導体の
光学的に純粋な異性体を含む。
本発明以前においては、当業者は、式Iの化合物はト
ルサード・ド・ポワントとして知られている心臓不整脈
のある形態を誘発すると予測したと思われる(Brian P.
Monahan et al.がJAMA,5th Dec 1990,Vol.264,No.21,p
−p 2788−90に、及びSandra KnowlesがThe Canadian J
ournal of Hospital Pharmacy,Vol.45,No.1,1 Feb 199
2,p 33に報告したように)。これは、不整脈原性(arrh
ythmogenicity)は、非鎮静抗ヒスタミン物質の抗ヒス
タミン能と結合しているものと考えられていたという意
味において、上記の潜在的に致死的な不整脈はそのよう
な化合物間の「クラス効果」だと考えられていたからで
ある。従って、本発明による組成物がそのような心臓不
整脈を何ら起こさないという事実は新規であって、極め
て有用であり、また驚くべき技術的効果であり、これに
より本発明の組成物は、心臓不整脈に罹患しやすい個体
に、現在一般に使用されている非鎮静抗ヒスタミン剤、
例えばテルフェナジン等よりもかなり高い投与量で投与
することが可能となるものである。
前記抗ヒスタミン治療は、アレルギー性疾患;乗り物
酔い;眩暈;糖尿病に伴う網膜症もしくは他の小血管疾
患;咳、風邪、風邪様もしくはインフルエンザ症状;ま
たはそれらに伴う不快感、痛み、熱もしくは全身倦怠感
に罹患したあるいは罹患しやすいヒトを治療する方法で
あり得る。実施態様においては、本発明は上記の治療方
法の全てのものの任意の1つ、あるいは任意の組み合わ
せに関し得るものである。
好ましくは、本発明はアレルギー性疾患、好ましくは
喘息またはアレルギー性鼻炎の治療に関する。
好ましい態様においては、前記抗ヒスタミン治療は、
式Iの化合物を1−500mg/日の量、好ましくは20−200
mg/日の量で投与することを含む。本発明の組成物を、
喘息または糖尿病に伴う網膜症もしくは他の小血管疾患
の治療方法に使用する場合は、0.01−500 mg/日の量、
好ましくは0.1−200mg/日の量で式Iの化合物が患者に
与えられるように、充分な本発明の組成物が投与されな
ければならない。
好ましい態様においては、本発明の組成物はさらに医
薬上許容されるキャリアまたは賦形剤を含む。
特に、抗ヒスタミン治療がヒトにおける咳、風邪、風
邪様もしくはインフルエンザ症状、またはそれらに伴う
不快感、痛み、熱、もしくは全身倦怠感の治療である場
合には、組成物はさらに治療上有効な非ステロイド系抗
炎症剤、あるいは非麻薬性鎮痛剤、例えばアセチルサリ
チル酸、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプ
ロフェンもしくはナプロキセン等、あるいはその医薬上
許容される塩を含むことができる。選択的に、または追
加的に、本発明の組成物はさらに治療上有効な量のうっ
血除去薬、例えばシュードエフェドリンあるいはその医
薬上許容される塩を含むことができる。
好ましい態様においては、本発明の組成物は20mg〜20
0mgの式Iの化合物と、25mg〜600mgの抗炎症剤または鎮
痛剤とを含む。本発明の組成物が治療上有効な量のうっ
血除去薬を含む場合は、組成物は20mg〜200mgの式Iの
化合物と5 mg〜150mgのうっ血除去薬とを含む。
本発明の好ましい態様においては、式Iの化合物は単
一の光学異性体の形態にあり、本発明の組成物は実質的
に他のそのような異性体を含まないものである。そのよ
うな態様においては、式Iの化合物は、好ましくは、R
−(+)−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキ
シジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−
α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチル、R−(+)−4
−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジフェニル
メチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α−ジメチ
ルベンゼン酢酸、及びR−(+)−1−[p−(2−ヒ
ドロキシメチルプロプ−2−イル)−フェニル]−4−
[4−(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)ピペ
リジン−1−イル]ブタノール、並びにそれらの医薬上
許容される塩からなる群から選択され、組成物は選択さ
れた化合物のS立体異性体を実質的に含まないか、ある
いはS−(−)−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒ
ドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニ ル)ブチ
ル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチル、S−
(−)−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ
ジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,
α−ジメチルベンゼン酢酸、及びS−(−)−1−[p
−(2−ヒドロキシメチルプロプ−2−イル)フェニ
ル]−4−(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)
ピペリジン−1−イル]ブタノール、並びにそれらの医
薬上許容される塩からなる群から選択され、組成物は、
選択された化合物のR立体異性体を実質的に含まないも
のである。
好ましくは、式Iの化合物は、90%以上の選択された
R−またはS−立体異性体を含むものである。
最も好ましい態様においては、式IのZはCOOHであ
り、式Iの化合物がテルフェナジンカルボキシレートで
あるものである。
第2の形態においては、本発明は、有意な心臓不整脈
を誘発することのない抗ヒスタミン治療をヒト患者に与
える方法に関し、該方法は、本発明の第1の形態、好ま
しくは、その好ましい態様の1つによる医薬組成物の治
療上有効な量を前記ヒト患者に投与することを含む。好
ましくは、本発明の方法は、アレルギー性疾患;乗り物
酔い;眩暈;糖尿病に伴う網膜症もしくは他の小血管疾
患;咳、風邪、風邪様もしくはインフルエンザ症状;ま
たはそれらに伴う不快感、痛み、熱、及び全身倦怠感に
罹患したあるいは罹患しやすいヒトを治療する方法であ
る。好ましくは、該方法は、アレルギー性疾患に罹患し
たあるいは罹患しやすいヒトを治療する方法であり、よ
り好ましくは、前記アレルギー性疾患は喘息またはアレ
ルギー性鼻炎である。
第3の形態においては、本発明は、本発明の第1の形
態、好ましくはその好ましい態様の1つによる組成物
の、有意な心臓不整脈を誘発することのない抗ヒスタミ
ン治療であって治療上有効な量の式Iの化合物をヒト患
者に投与することを含む前記治療に使用するための薬剤
の製造のための使用に関する。好ましくは、前記使用
は、アレルギー性疾患;乗り物酔い;眩暈;糖尿病に伴
う網膜症もしくは他の小血管疾患;咳、風邪、風邪様も
しくはインフルエンザ症状;またはそれらに伴う不快
感、痛み、熱、及び全身倦怠感に罹患したあるいは罹患
しやすいヒトを治療する方法における使用のための薬剤
の製造のためのものである。より好ましくは、該方法は
好ましくは喘息またはアレルギー性鼻炎であるアレルギ
ー性疾患に罹患したあるいは罹患しやすいヒトを治療す
る方法である。
テルフェナジンは、抗ヒスタミン活性を有し、アレル
ギー性疾患、糖尿病及びその他の症状に関連する種々の
症状及び疾患について兆候の治療と軽減を与える。しか
し、この薬剤は、有効性の期待を与えるものの、副作用
を引き起こす。テルフェナジンの代謝誘導体またはそれ
らの実質的に光学的に純粋な異性体を使用することは、
よりはっきりとした投与量依存的な効果の明確さ及び副
作用の減少をもたらし、従って、改善された治療指標を
与える。従って、テルフェナジン自体を使用するより
も、テルフェナジンの代謝誘導体またはそれらの光学的
に純粋な異性体を使用することがより望ましい。
「副作用」の用語は、限定するものではないが、心臓
不整脈、鎮静作用、胃腸窮迫、口渇、便秘、及び下痢を
含むものである。「心臓不整脈」の用語は、限定するも
のではないが、心室頻脈、トルサード・ド・ポワント、
及び心室細動を含む。
本明細書で使用する「S立体異性体を実質的に含まな
い」の用語は、組成物中のテルフェナジンの代謝誘導体
が、テルフェナジンの代謝誘導体のR異性体の少なくと
も90重量%と、10重量%以下のS誘導体とを含むことを
意味する。好ましい態様においては、「S立体異性体を
実質的に含まない」の用語は、組成物中のテルフェナジ
ンの代謝誘導体が、テルフェナジンの代謝誘導体のR異
性体の少なくとも99重量%と、1重量%以下のS誘導体
とを含むことを意味する。別の好ましい態様において
は、本明細書で使用する「S立体異性体を実質的に含ま
ない」の用語は、組成物中のテルフェナジンの代謝誘導
体が、99重量%よりも多いテルフェナジンの代謝誘導体
のR異性体と、1重量%よりも少ないS誘導体とを含む
ことを意味する。「テルフェナジンの代謝誘導体の実質
的に光学的に純粋なR異性体」及び「テルフェナジンの
代謝誘導体の光学的に純粋なR異性体」の用語も、上記
の定義に包含されるものである。
本明細書で使用する「R立体異性体を実質的に含まな
い」の用語は、組成物が、テルフェナジンの代謝誘導体
のS異性体の少なくとも90重量%と、10重量%以下のR
誘導体とを含むことを意味する。好ましい態様において
は、「R立体異性体を実質的に含まない」の用語は、組
成物が、テルフェナジンの代謝誘導体のS異性体の少な
くとも99重量%と、1重量%以下のR誘導体とを含むこ
とを意味する。別の好ましい態様においては、本明細書
で使用する「R立体異性体を実質的に含まない」の用語
は、組成物が、99重量%よりも多いテルフェナジンの代
謝誘導体のS異性体と、1重量%よりも少ないR誘導体
とを含むことを意味する。これらの百分率は、組成物中
のテルフェナジンの代謝誘導体の総量に基づくものであ
る。「テルフェナジンの代謝誘導体の実質的に光学的に
純粋なS異性体」及び「テルフェナジンの代謝誘導体の
光学的に純粋なS異性体」の用語も、上記の定義に包含
されるものである。
「治療上有効な量」の語句は、アレルギー性疾患、喘
息、糖尿病に伴う網膜症もしくは他の小血管疾患、乗り
物酔い、眩暈、または咳、風邪、風邪様及び/またはイ
ンフルエンザ症状、並びにそれらに伴う不快感、痛み、
熱、及び全身倦怠感の治療及び管理を含む抗ヒスタミン
治療において治療上の利益をもたらす、本発明の1種以
上の化合物の量を意味するものである。アレルギー性疾
患の例としては、限定するものではないが、アレルギー
性鼻炎、日光じんま疹、及び症候性皮膚描画症が挙げら
れる。これらのアレルギー性疾患に伴う症状、及び咳、
風邪、風邪様及び/またはインフルエンザ症状は、限定
するものではないが、くしゃみ、鼻漏(rhinorrhea)、
流涙(lacrimation)、及び皮膚炎症(dermal irritati
on)を含む。「喘息」の用語は、喘鳴、咳、及び呼吸困
難を含む症状をもたらす、種々の刺激に対する気管及び
気管支の応答の増加により特徴付けられる疾患として定
義される。本明細書で使用する「眩暈」の用語は、限定
するものではないが、運動、高度及び身体の位置の変化
に伴うめまいを意味する。「糖尿病性網膜症」あるいは
「糖尿病に伴う網膜症」の用語は、眼中の出血及び浮腫
を起こし、失明を起こし得る、眼中の毛細管の透過性の
増加により起こる疾患である。「糖尿病に伴う小血管疾
患」の用語は、限定するものではないが、糖尿病性網膜
症及び末梢血管疾患を含む。
テルフェナジンの代謝誘導体の光学的に純粋な異性体
の分離は、慣用の手段、例えば光学活性分割酸を用い
て、テルフェナジンの代謝誘導体のエナンチオマーのラ
セミ混合物を分割することにより行うことができる。さ
らに、テルフェナジンの代謝誘導体の光学的に純粋な異
性体は、酵素的な生物触媒分割によりラセミ混合物から
調製することができる。例えば、米国特許第5,057,427
号及び第5,077,217号を参照されたい。これらの開示は
引用により本明細書の一部とする。
テルフェナジンの代謝誘導体あるいはその光学的に純
粋な異性体の、疾患の急性のあるいは慢性の管理におけ
る予防的あるいは治療的投与量は、治療すべき症状の重
篤度及び投与経路により変化する。投与量及びおそらく
投与頻度は、個々の患者の年齢、体重及び応答によって
も変化する。一般には、本明細書に記載した症状につい
ては、1日当たりの投与量の範囲は約0.01mg〜約500mg
であり、単一または分割した投与量で、経口的に、局所
的に、経皮的に、またはエアロゾルにより部分的に投与
される。例えば、好ましい1日当たりの経口投与量範囲
は約1mg〜約500mgであり、最も好ましくは1日当たりの
経口投与量範囲は約20mg〜約200mgである。さらに、小
児、65歳を越える患者、腎臓または肝臓機能に障害のあ
る者については当初は低い投与量を与え、その後個々の
反応、あるいは血中レベルに基づいて決定することが推
奨される。当業者には明らかであるように、これらの範
囲外の投与量を用いることが必要となる場合がある。さ
らに、臨床医あるいは治療内科医であれば、個々の患者
の反応に応じてどのようにして、そしていつ治療を中断
し、調整し、終了するかを理解するであろうことを明記
しておく。
「アレルギー性疾患を軽減するには充分であるが、副
作用を起こすには不充分な量」、「喘息を軽減するには
充分であるが、副作用を起こすには不充分な量」、「乗
り物酔いを軽減するには充分であるが、副作用を起こす
には不充分な量」及び「糖尿病に伴う網膜症あるいはそ
の他の小血管疾患を軽減するには充分であるが、副作用
を起こすには不充分な量」の種々の用語は、上記の投与
量及び投与頻度スケジュールに包含されるものである。
さらに、「(i)治療上有効な量の少なくとも1種のテ
ルフェナジンの代謝誘導体またはその光学的に純粋な異
性体を、(ii)治療上有効な量の少なくとも1種の非ス
テロイド系抗炎症剤あるいは非麻薬性鎮痛剤とともに含
む、ヒトにおける、咳、風邪、風邪様及び/またはイン
フルエンザ症状、及びそれらに伴う不快感、痛み、熱、
及び全身倦怠感の治療における使用のための医薬組成
物」及び「(i)治療上有効な量の少なくとも1種のテ
ルフェナジンの代謝誘導体またはその光学的に純粋な異
性体を、(ii)治療上有効な量のうっ血除去剤とともに
含む、ヒトにおける、咳、風邪、風邪様及び/またはイ
ンフルエンザ症状、及びそれらに伴う不快感、痛み、
熱、及び全身倦怠感の治療における使用のための医薬組
成物」の用語、並びに「治療上有効な量の少なくとも1
種のα−アリール−4−置換ピペリジノアルカノール誘
導体」の用語も、上記の投与量及び投与頻度スケジュー
ルに包含されるものである。
本発明の組成物の有効な投与量を患者に与えるために
は、任意の適当な投与経路を使用できる。例えば、経
口、経直腸、非経口、経皮、皮下、筋肉内等の投与形態
を使用することができる。投与形態としては、錠剤、ト
ローチ、分散物、懸濁物、溶液、カプセル、パッチ等が
挙げられる。
本発明の医薬組成物は、テルフェナジンの代謝誘導体
もしくはその光学的に純粋な異性体、またはそれらの医
薬上許容される塩を活性成分として含み、また医薬上許
容されるキャリア、及び任意にその他の治療成分も含み
得る。
「医薬上許容される塩」の用語は、無機酸若しくは塩
基又は有機酸若しくは塩基を含む、医薬上許容される無
毒または塩基から調製されたその周辺の塩を含む。その
ような無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化
水素酸、硫酸及びリン酸が挙げられる。適当な有機酸
は、例えば、有機酸の脂肪族、芳香族、カルボン酸及び
スルホン酸類から選択され、その例としては、蟻酸、酢
酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルクロ
ン酸、マレイン酸、フロン酸、グルタミン酸、安息香
酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マン
デル酸、エンボン(emboni c)酸(パモイック,pamoi
c)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテ
ン酸、ベンゼンスルホン酸、ステアリン酸、スルファニ
ル酸、アルゲン(algenic)酸及びガラクツロン酸が挙
げられる。上記のような無機塩基の例としては、アルミ
ニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウ
ム、ナトリウム、及び亜鉛から形成された金属塩が挙げ
られる。適当な有機塩基は、例えは、N,N′−ジベンジ
ルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエ
タノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N
−メチルグルカミン)、リジン及びプロカインから選択
できる。
本発明の組成物は、懸濁物、溶液及びエリキシル、エ
アロゾル等のような組成物を含み、あるいは経口用固体
調製物(例えば、散剤、カプセル、及び錠剤等)の場合
は、澱粉、砂糖、微細結晶セルロース等のキャリア、希
釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等を含むが、経
口用液体調製物よりも経口用固体調製物のほうが好まし
い。最も好ましい経口用固体調製物は錠剤である。
その投与の容易性のため、錠剤及びカプセルは最も有
利な経口投与単位形態を代表するものであり、この場
合、固体薬剤キャリアが使用される。所望の場合は、錠
剤を標準的な水性または非水性法により被覆することが
できる。
上記した一般的な投与形態に加えて、本発明の化合物
は、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,
809号、第3,598,123号及び第4,008,719号に記載された
もののような、制御された放出手段及び/またはデリバ
リー装置により投与されてもよい。
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、例えばカプ
セル、カシェ剤もしくは錠剤、またはエアロゾルスプレ
ーのような分かれた単位として提供されてもよく、それ
ぞれ粉末あるいは顆粒として活性成分の所定の量を含む
ものであり、あるいは水性液体、非水性液体、水中油型
エマルションもしくは油中水型液体エマルション中の溶
液または懸濁物として提供されてもよい。このような組
成物は任意の調剤方法で製造し得るが、全ての方法は活
性成分を、1種以上の必要な成分を構成するキャリアと
合わせる段階を含む。一般に、組成物は、活性成分を液
体キャリアまたは細かく粉砕された固体キャリア、ある
いはその両方と均一にまた緊密に混合し、そして必要で
あれば、生成物を所望の形に成形することによって製造
される。
例えば、錠剤は圧縮または成形により、任意に1種以
上の付属的成分とともに製造することができる。圧縮さ
れた錠剤は、例えば任意に結合剤、滑沢剤、不活性希釈
剤、表面活性剤若しくは分散剤と混合した粉末又は顆粒
のような自由流動形態の活性成分を、適当な機械中で圧
縮することにより製造できる。成形された錠剤は、不活
性液体希釈剤で湿らせた粉末化した化合物の混合物を、
適当な機械中で成形することにより製造できる。望まし
くは、錠剤は、それぞれ約10mg〜約150 mgの活性成分を
含み、カシェ剤またはカプセルはそれぞれ約10mg〜約15
0 mgの活性成分、即ちテルフェナジンの代謝誘導体を含
む。最も好ましくは、錠剤、カシェ剤、またはカプセル
は、活性成分の30mg、60mgまたは90mgの3種の投与量の
いずれか1を含む。
本発明を、本発明の化合物及び組成物の製造、並びに
その有用性について詳細に記載する以下の実施例を参照
して、さらに明確にする。当業者には、材料及び方法の
両方について、本発明の範囲内で多くの変形が実施し得
ることが明らかであろう。
4.実施例 4.1実施例1 A. R−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ
ジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,
α−ジメチルベンゼン酢酸メチルの製造 4−(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)ピペ
リジン(4.3 gm)を、p−(4−クロロ−1−オキソブ
チル)−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチル(4.5 g
m)、重炭酸カリウム(2.9 gm)、ヨウ化カリウム(約5
0 mg)及びメチルイソブチルケトン(50 ml)と合わ
せ、加熱して48時間還流させた。追加の4−(α−ヒド
ロキシ−α−フェニルベンジル)ピペリジン(1.1 gm)
を加え、さらに48時間加熱を継続した。混合物を室温に
冷却し、水を加え、水性水酸化ナトリウムを加えること
により溶液のpHを約12に調整した。混合物を酢酸エチル
で抽出した。酢酸エチル溶液を飽和水性重炭酸ナトリウ
ムとブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ
た。ロータリーエバポレーター上で酢酸エチルを除去
し、残留物をヘキサン中の25%酢酸エチルで処理した。
得られた沈殿を濾過し、風乾して4−[1−オキソ−4
−(4−ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニ
ル)ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチルを
得た。この中間体の沈殿(2.4 gm)をテトラヒドロフラ
ン(10 ml)及び(+)−β−クロロジイソピノカンフ
ェニルボラン(4.5 gm)と合わせ、48時間攪拌した。メ
タノール(10 ml)及び重炭酸ナトリウム(1.5 gm)を
反応溶液に加え、混合物を12時間攪拌した。混合物を酢
酸エチル(200 ml)で希釈し、飽和水性重炭酸ナトリウ
ムで洗浄し、R−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒ
ドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチ
ル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチルを得た。
B. R−(+)−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒ
ドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチ
ル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸[R−(+)−テ
ルフェナジンカルボキシレート] R−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジ
フェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α
−ジメチルベンゼン酢酸メチル(1.2 gm)を水酸化カリ
ウム(0.4 gm)及びエタノール(5 ml)と合わせ、混合
物を加熱して7時間還流させた。ロータリーエバポレー
ター上でエタノールを除去し、残留物を水(2 ml)に溶
解した。水性溶液を氷酢酸で酸性化して固体を生成し、
これを1:1のメタノール/酢酸エチルから再結晶させて
R−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジフ
ェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α−
ジメチルベンゼン酢酸(R−テルフェナジンカルボキシ
レート)を得た。(mp=213−215℃) C. S−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ
ジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,
α−ジメチルベンゼン酢酸メチルの製造 4−(α−ヒドロキシ−α−フェニルベンジル)ピペ
リジン(4.3 gm)をp−(4−クロロ−1−オキソブチ
ル)−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチル(4.5 g
m)、重炭酸カリウム(2.9 gm)、ヨウ化カリウム(約5
0 mg)及びメチルイソブチルケトン(50 ml)と合わ
せ、加熱して48時間還流させた。追加の4−(α−ヒド
ロキシ−α−フェニルベンジル)ピペリジン(1.1 gm)
を加え、さらに48時間加熱を継続した。混合物を室温に
冷却し、水を加え、水性水酸化ナトリウムを加えること
により溶液のpHを約12に調整した。混合物を酢酸エチル
で抽出した。酢酸エチル溶液を飽和水性重炭酸ナトリウ
ムとブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ
た。ロータリーエバポレーター上で酢酸エチルを除去
し、残留物をヘキサン中の25%酢酸エチルで処理した。
得られた沈殿を濾過し、風乾して4−[1−オキソ−4
−(4−ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニ
ル)ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチルを
得た。この中間体の沈殿(2.4 gm)をテトラヒドロフラ
ン(10 ml)及び(−)−β−クロロジイソピノカンフ
ェニルボラン(4.5 gm)と合わせ、48時間攪拌した。メ
タノール(10 ml)及び重炭酸ナトリウム(1.5 gm)を
反応溶液に加え、混合物を12時間攪拌した。混合物を酢
酸エチル(200 ml)で希釈し、飽和水性重炭酸ナトリウ
ムで洗浄してS−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒ
ドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチ
ル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチルを得た。前
記の中間体の沈殿をラセミ体β−クロロジイソピノカン
フェニルボランと反応させると、4−[1−ヒドロキシ
−4−(4−ヒドロキシジフェニルメチル−1−ピペリ
ジニル)ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸メチ
ルのラセミ混合物が生成されることになる。
D. S−(−)−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒ
ドロキシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチ
ル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸[S−(−)−テ
ルフェナジンカルボキシレート] S−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシジ
フェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−α,α
−ジメチルベンゼン酢酸メチル(1.2 gm)を水酸化カリ
ウム(0.4 gm)及びエタノール(5 ml)と合わせ、混合
物を加熱して7時間還流させた。ロータリーエバポレー
ター上でエタノールを除去し、残留物を水(2 ml)に溶
解した。水性溶液を氷酢酸で酸性化して固体を生成し、
これを1:1のメタノール/酢酸エチルから再結晶させて
S−(−)−4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロ
キシジフェニルメチル−1−ピペリジニル)ブチル]−
α,α−ジメチルベンゼン酢酸(S−テルフェナジンカ
ルボキシレート)を得た(mp=215−218℃) 4.2実施例2 Chang et al.,J.Neurochem.32:1653−1663(1979)に
記載された[3H]ピリラミン結合アッセイを使用して、
ヒスタミンH1−レセプターにおける本発明の化合物の活
性を評価した。簡単には、ウシ小脳から得た膜を、
3H]ピリラミン及び種々の濃度の試験化合物とともに
インキュベートした。反応は、50 mMリン酸ナトリウム
緩衝液(pH 7.5)中、25℃で30分間行った。反応は、グ
ラスファイバーフィルター上への急速真空濾過により終
了させた。フィルター上についた放射活性を測定し、コ
ントロール値と比較して試験化合物のH1−レセプターと
の相互作用を確かめた。結果は以下の通りである。
4.3実施例3 慣用の方法により単離されたネコ心臓から単一の心室
筋細胞を得た。ロッド形態の単一の細胞をHEPES緩衝液
中で維持し、吸引ピペットを用いてそれらを「パッチク
ランプ(patch clamped)」した。パッチクランプL/M−
PEC 7増幅器を、電流トレースを記録するのに用い、記
録電極をアスパラギン酸カリウムの溶液で満たした。電
圧クランプパルス及びデータ獲得は、P Clampソフトウ
ェアを作動させたSperry PC/ITコンピュータによって制
御した。
以下の薬剤:ラセミ体テルフェナジン、ラセミ体テルフ
ェナジンカルボキシレート、及びキニジン(参照化合物
として)の各試験濃度において、最少で4つの細胞を試
験した。結果は以下の通りである。
これらの結果は、テルフェナジンカルボキシレート
が、驚くべきことに、テルフェナジン自体では心臓不整
脈の明確なリスクがあるような投与量レベルで、そのよ
うな副作用を起こしそうにないことを示している。
4.4実施例4 活性成分(これは(R)テルフェナジンカルボキシレ
ートあるいはラセミ体テルフェナジンカルボキシレート
に代えてもよい)を篩にかけ、賦形剤と混合する。混合
物を、適当な機械を用いて適当なサイズを有する2ピー
スの硬質ゼラチンカプセルに充填する。充填重量を変化
させ、必要によりカプセルのサイズを適するように変え
ることによって他の投与量のものを得ることができる。
4.5実施例5 活性成分(これは(S)テルフェナジンカルボキシレ
ートあるいはラセミ体テルフェナジンカルボキシレート
に代えてもよい)を適当な篩を通して篩にかけ、均一な
ブレンドが形成されるまでラクトースと混合する。適当
な容量の水を加え、粉末を造粒する。乾燥した後、顆粒
を篩にかけ、ステアリン酸マグネシウムと混合する。得
られた顆粒を所望の形態の錠剤に圧縮する。活性成分の
賦形剤に対する比率を変化させ、あるいは圧縮重量を変
化させることにより、別の強度の錠剤を製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 43/00 111 A61P 43/00 111 // C07D 211/22 C07D 211/22 前置審査 (72)発明者 グレイ,ナンシー エム. アメリカ合衆国 01752 マサチューセ ッツ州 マールボロー, デシモーン ドライブ 261番地 (72)発明者 ウースレイ,レイモンド エル. アメリカ合衆国 20016 ワシントン ディー.シー.,エヌ.ダブリュ., チェイン ブリッジ ロード 2720番地 (72)発明者 チェン,イーワン アメリカ合衆国 20906 メリーランド 州 シルバー スプリング, ハイドラ ス ロード 14926番地 (56)参考文献 特開 昭55−141469(JP,A) 米国特許4929605(US,A) 米国特許4254129(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/445 A61K 9/48 A61P 17/00 A61P 27/16 A61P 37/08 A61P 43/00 C07D 211/22 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テルフェナジンを投与したときに心臓不整
    脈を起こしやすいアレルギー患者用の、テルフェナジン
    カルボキシレートまたはその薬学的に許容される塩を
    含有する抗ヒスタミン剤。
  2. 【請求項2】前記患者の肝機能が正常である、請求項1
    に記載の抗ヒスタミン剤。
  3. 【請求項3】アレルギー性鼻炎用の抗ヒスタミン剤であ
    る、請求項1に記載の抗ヒスタミン剤。
  4. 【請求項4】日光蕁麻疹用の抗ヒスタミン剤である、請
    求項1に記載の抗ヒスタミン剤。
  5. 【請求項5】症候性皮膚描記症用の抗ヒスタミン剤であ
    る、請求項1に記載の抗ヒスタミン剤。
  6. 【請求項6】経口投与用の固体製剤である、請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の抗ヒスタミン剤。
  7. 【請求項7】経口投与用の固体製剤が錠剤である、請求
    項6に記載の抗ヒスタミン剤。
  8. 【請求項8】テルフェナジンを投与したときに心臓不整
    脈を回避する必要があるアレルギー性鼻炎患者用の、テ
    ルフェナジン カルボキシレートまたはその薬学的に許
    容される塩および薬学的に許容される担体または賦形剤
    を含有する治療薬。
  9. 【請求項9】活性成分であるテルフェナジン カルボキ
    シレートまたはその薬学的に許容される塩を、液状担体
    または微細な固形担体またはその両方と均一かつ均質に
    混合し、その後必要であれば、該混合生成物を所望の剤
    形に成形することを含んでなる、テルフェナジンを投与
    したときに心臓不整脈を起こしやすいアレルギー患者用
    の抗ヒスタミン剤の製造法。
  10. 【請求項10】前記抗ヒスタミン剤が経口投与用の固体
    製剤である、請求項9に記載の製造法。
  11. 【請求項11】前記固体製剤が錠剤である、請求項10に
    記載の製造法。
  12. 【請求項12】テルフェナジン カルボキシレートまた
    はその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される
    担体または賦形剤を圧縮して所望の形の錠剤とする、請
    求項11に記載の製造法。 項11に記載の製造法。
  13. 【請求項13】経口投与用の固体製剤がカプセル剤であ
    る、請求項10に記載の製造法。
  14. 【請求項14】テルフェナジン カルボキシレートまた
    はその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される
    担体または賦形剤をカプセル内に充填する、請求項13に
    記載の製造法。
  15. 【請求項15】1〜500mgの活性成分が含まれる、請求
    項9〜14のいずれか1項に記載の製造法。
  16. 【請求項16】20〜200mgの活性成分が含まれる、請求
    項15に記載の製造法。
  17. 【請求項17】30mg、60mgまたは90mgの活性成分が含ま
    れる、請求項16に記載の製造法。
  18. 【請求項18】前記抗ヒスタミン剤がアレルギー性鼻
    炎、日光蕁麻疹または症候性皮膚描記症用の治療薬であ
    る、請求項9〜17のいずれか1項に記載の製造法。
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