JP3037524B2 - 横葺パネル構造材の接続構造およびそれに用いる横葺パネル構造材 - Google Patents

横葺パネル構造材の接続構造およびそれに用いる横葺パネル構造材

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JP3037524B2
JP3037524B2 JP5075889A JP7588993A JP3037524B2 JP 3037524 B2 JP3037524 B2 JP 3037524B2 JP 5075889 A JP5075889 A JP 5075889A JP 7588993 A JP7588993 A JP 7588993A JP 3037524 B2 JP3037524 B2 JP 3037524B2
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弘 志田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば住宅などの建築
構造物において、屋根あるいは壁を、複数のパネル構造
材を横葺きにして構成するのに好適な横葺パネル構造材
の接続構造およびそれに用いる横葺パネル構造材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、建築構造物の屋根あるいは壁
を、複数のパネル構造材をこの屋根あるいは壁の水勾配
方向に直交する方向に葺く、いわゆる横葺きにして構成
するときには、隣り合うパネル構造材の接続部から雨水
が侵入するのを防ぐために、この接続部にカバーをかぶ
せている。
【0003】従来、このようなパネル構造材の接続部に
カバーをかぶせる構造においては、カバーとパネル構造
材の隙間から雨水が侵入してきてしまうという問題があ
るため、図11に示すような構造が用いられている。す
なわち、隣り合うパネル構造材1,1の接続部の上面に
はカバー材2がかぶせられ、一方、該接続部の下面には
下部水受け板3が配設されている。この下部水受け板3
は、パネル構造材1,1の接続部に沿った両側端部3
a,3aが上方に折り返されており、これにより、万が
一パネル構造材1,1とカバー材2との隙間から雨水が
侵入してきても、下部水受け板3により雨水を外へ排出
する構造となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のパネル構造材の接続構造には、以下のよ
うな問題が存在する。まず、カバー材2,下部水受け板
3をパネル構造材1,1と別体に設けると、言うまでも
なくコストが上昇するとともに施工の手間がかかる。ま
た、カバー材2を設けると、パネル構造材1,1の接続
部毎にカバー材2が配設され、構成すべき屋根あるいは
壁に多数のカバー材2が配置されることになるので、外
観意匠を損なうため忌否されることが多い。さらに、こ
のような構造では、その施工精度が職人の熟練度に左右
されてしまうという問題がある。本発明は、以上のよう
な点を考慮してなされたもので、コストおよび施工の手
間を低減するとともに外観意匠を損なうことなく、隣り
合うパネル構造材間からの雨水の侵入を確実に防ぐこと
のできる横葺パネル構造材の接続構造およびそれに用い
る横葺パネル構造材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
複数のパネル構造材を横葺きにして構成する屋根あるい
は壁に用いる横葺パネル構造材の接続構造であって、
成すべき屋根あるいは壁の水勾配方向に直交する方向に
おいて隣り合う前記横葺パネル構造材のうち、一方の横
葺パネル構造材には、その側縁部から側方に張り出した
張り出し部と、該張り出し部の先端部から下方に折り曲
げられた折り曲げ部と、該折り曲げ部の下端部から水平
方向内側に折り曲げられた水平部とを有してなるジョイ
ント部が形成されるとともに、前記張り出し部の水勾配
上側に上方に折り返された水返し部が形成され、他方の
横葺パネル構造材の側縁部には、前記水勾配方向に沿っ
て延びる断面視凹字状の水受け溝が形成され、かつ、前
記各横葺パネル構造材は、前記水受け溝の上部に、外方
に折り返された上部折り返し部とその上側に連続する重
ね代とが形成されるとともに、前記水受け溝の下部に、
内方に折り返された下部折り返し部が形成された構成と
され、前記水勾配に直交する方向においては、互いに隣
接する前記横葺パネル構造材どうしが互いに突き合わせ
て配置されて、前記一方の横葺パネル構造材のジョイン
ト部の前記張り出し部が、前記他方の横葺パネル構造材
の前記水受け溝の上方を覆って嵌合されるとともに、前
記水返し部が、互いに隣接する横葺パネル構造材の上部
折り返し部どうしの接続部を覆う構成とされ、かつ、前
記水勾配方向において互いに上下に隣接する前記横葺パ
ネル構造材どうしは、前記上方の横葺パネル構造材が前
記下方の横葺パネル構造材の重ね代に重ねられるととも
に、前記上方側の横葺パネル構造材の下部折り返し部が
前記下方側の横葺パネル構造材の上部折り返し部に係合
される構造とされていることを特徴としている。
【0006】請求項2に係る発明は、請求項1記載の横
葺パネル構造材の接続構造であって、前記一方の横葺パ
ネル構造材のジョイント部の水平部と前記他方の横葺パ
ネル構造材の前記水受け溝底部との間には、空隙部が形
成されていることを特徴としている。
【0007】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載の横葺きパネルの接続構造に用いる横葺パネル構造
材であって、該横葺パネル構造材は、構成すべき屋根面
あるいは壁面を形成する板材を有した構成とされ、該板
材は、前記屋根あるいは壁の水勾配方向上側の上縁部
に、外方に折り返された上部折り返し部と、その上側に
他の横葺パネル構造材を重ねるための重ね代とが形成さ
れるとともに、前記水勾配方向下側の下縁部には、内方
に折り返された下部折り返し部が形成され、かつ、一方
の側縁部に、側方に張り出した張り出し部と、該張り出
し部の先端部から下方に折り曲げられた折り曲げ部と、
該折り曲げ部の下端部から水平方向内側に折り曲げられ
た水平部とを有してなるジョイント部が形成され、他方
の側縁部に、前記水勾配方向に沿って延びて、前記ジョ
イント部の張り出し部がその上方を覆うよう嵌合される
断面視凹字状の水受け溝が、前記上部折り返し部と下部
折り返し部との間にわたって形成され、さらに、横葺パ
ネル構造材どうしを互いに隣接させたときに双方の上部
折り返し部どうしの接続部を覆うため前記張り出し部の
水勾配上側に上方に折り返された水返し部が形成された
構成とされていることを特徴としている。
【0008】請求項4に係る発明は、請求項3記載の横
葺パネル構造材において、前記板材の裏面には、発泡体
が裏打ちされていることを特徴としている。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明では、複数の横葺パネル構
造材を横葺きにするときには、隣り合う横葺パネル構造
材のうち、一方の横葺パネル構造材の側縁部に形成され
たジョイント部を、他方の横葺パネル構造材の側縁部に
形成された断面視凹字状の水受け溝に、ジョイント部の
張り出し部が該水受け溝を覆うようにして嵌合させて、
隣り合う横葺パネル構造材を接続する。これにより、隣
り合う横葺パネル構造材の接続部においては、一方の横
葺パネル構造材のジョイント部の下方に他方の横葺パネ
ル構造材の水受け溝が位置することになり、この接続部
の隙間から侵入した水は水受け溝を通って排出される。
また、他方の横葺パネル構造材の前記水受け溝の上方
を、一方の横葺パネル構造材のジョイント部の張り出し
部が覆う形態となるので、隣り合う横葺パネル構造材が
略面一となる。さらに、水返し部が、互いに隣接する横
葺パネル構造材の上部折り返し部どうしの接続部を覆う
構成となっているので、強風時等における横葺パネル構
造材の接続部からの雨水の浸入を防止できる。加えて、
互いに上下に位置する横葺パネル構造材どうしは、上方
の横葺パネル構造材が下方の横葺パネル構造材の重ね代
に重ねられるとともに、上方側の横葺パネル構造材の下
部折り返し部が下方側の横葺パネル構造材の上部折り返
し部に係合される構成となっている。これにより、複数
の横葺パネル構造材が構成すべき屋根あるいは壁の水勾
配方向に接続されたときに、水受け溝が各横葺パネル構
造材において上部折り返し部と下部折り返し部との間に
形成されているので、上側の横葺パネル構造材の水受け
溝からの水は、下側の横葺パネル構造材の重ね代および
上部折り返し部よりも下側に形成された水受け溝に流れ
込むことになる。
【0010】請求項2記載の発明では、一方の横葺パネ
ル構造材のジョイント部の折り曲げ部の水平部と前記隣
り合う他方の横葺パネル構造材の前記水受け溝底部との
間に、例えばリブなどを設けて、空隙部を形成する構成
とした。これにより、一方の横葺パネル構造材と他方の
横葺パネル構造材との接続部に、毛細管現象により雨水
が侵入するのを防ぐことができる。
【0011】請求項3記載の発明では、屋根面あるいは
壁面を形成する板材の、前記屋根あるいは壁の水勾配方
向上側の上縁部には、外方に折り返された上部折り返し
部を形成し、該板材の水勾配方向下側の下縁部には、内
方に折り返された下部折り返し部を形成するとともに、
前記板材の一方の側縁部には、側方に張り出した張り出
し部と、該張り出し部の先端部から下方に折り曲げられ
た折り曲げ部と、該折り曲げ部の下端部から水平方向内
側に折り曲げられた水平部とを有してなるジョイント部
を形成し、他方の側縁部には、前記水勾配方向に沿って
延びる断面視凹字状の水受け溝を形成した。このような
板材を有した構成の横葺パネル構造材を複数用いて、屋
根あるいは壁を横葺きにして構成するときには、各横葺
パネル構造材に水受け溝とジョイント部とを一体に備え
たことになるので、一の横葺パネル構造材のジョイント
部を、他の横葺パネル構造材の水受け溝に嵌め込むのみ
で、これらの横葺パネル構造材が接続され、横葺パネル
構造材の接続が容易になる。また、水返し部が互いに隣
接する横葺パネル構造材の上部折り返し部どうしの接続
部を覆う構成となっているので、強風時等におけるこの
部分からの雨水の浸入を防止できる。さらに、一の横葺
パネル構造材の上部折り返し部と、他の横葺パネル構造
材の下部折り返し部とを係合させることにより、複数の
横葺パネル構造材が構成すべき屋根あるいは壁の水勾配
方向に接続される。さらに、このような横葺パネル構造
材を用いることによって、請求項1記載の発明に係る横
葺パネル構造材の接続構造が実現される。
【0012】請求項4記載の発明では、前記横葺パネル
構造材の板材の裏面には、発泡体を裏打ちしたので、こ
の発泡体により、板材を補強するとともに、構成すべき
屋根あるいは壁の遮音,断熱効果を向上させることがで
きる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を図1ないし図10に示す実施
例を参照して説明する。ここでは、本発明に係る横葺パ
ネル構造材の接続構造およびそれに用いる横葺パネル構
造材を適用して、例えば屋根を構成する場合の実施例を
用いて説明する。図1に示すように、屋根パネル(横葺
パネル構造材)5は、プレス成形した金属板により形成
されて、屋根面を構成する板材6と、この裏面側に裏打
ちされた発泡ウレタン等からなる発泡体Hとから構成さ
れている。
【0014】図1および図2に示すように、板材6の水
勾配上側(水勾配方向上側)となる上縁部には外方に折
り返された上部折り返し部7が形成されている。この上
部折り返し部7よりも水勾配上側には、この屋根パネル
5を葺いたときに他の屋根パネル5を重ねる重ね代8
が、上部折り返し部7に連続して形成されている。ま
た、この板材6の水勾配下側(水勾配方向下側)となる
下縁部には、内方に折り返された垂直部9aと湾曲部9
bとからなる下部折り返し部9が形成されている。
【0015】板材6の一方の側縁部6aには、端部6b
から一定寸法離間した位置に、屋根パネル5の水勾配方
向に沿って延びる断面視凹字状の水受け溝10が形成さ
れている。水受け溝10の水勾配上側は、上部折り返し
部7に連続した傾斜面10aで形成されている。また、
図3に示すように、水受け溝10の下端10bと下部折
り返し部9の垂直部9aとの間には、隙間Cが形成され
ている。図1および図4(a)に示すように、この水受
け溝10と前記端部6bとの間には、段部11が形成さ
れている。この段部11には、段部11の延在する方向
に延びるリブ11a,11aが形成されている。この段
部11およびそこに形成された複数のリブ11aは、板
材6の強度を高めている。
【0016】一方、板材6の他方の側縁部6cには、発
泡体Hよりも側方へ張り出した張り出し部12と、この
張り出し部12の先端部から下方に折り曲げられた折り
曲げ部13と、折り曲げ部13の下端部から水平方向に
折り曲げられた水平部14とからなるジョイント部15
が形成されている。水平部14には、このジョイント部
15が延在する方向に沿ったリブ14aが形成されてい
る。このジョイント部15は、このように折り曲げ加工
により形成され、板材6の強度を高めている。図1に示
したように、この張り出し部12の水勾配上側には、上
方へ折り返された水返し部16が形成されており、この
水返し部16は前記上部折り返し部7から側方に突出し
た形態とされている。また、ジョイント部15の水平部
14の水勾配上側には、前記水受け溝10の傾斜面10
aと対応する部分が切り欠かれた切り欠き部17が形成
されている。ここで、図4(b)は、この部分の正断面
図を示すものである。
【0017】上記のような板材6と前記発泡体Hとから
なる屋根パネル5を用いて構成する屋根は、以下のよう
な構造となっている。図5に示すように、コンクリート
で構成された屋根躯体18の上面にはルーフィング等の
被覆材19が敷設されている。この被覆材19の上面に
は、複数の屋根パネル5が横葺きにして配設されてい
る。
【0018】このとき、図6および7に示すように、横
葺きされ、隣り合って配置された屋根パネル5,5は、
下記の如き接続構造とされている。隣り合って配置され
た屋根パネル5のうち、一方の屋根パネル5aの側縁部
に形成されたジョイント部15が、他方の屋根パネル5
bの側縁部に形成された水受け溝10に、前記ジョイン
ト部15の張り出し部12がこの水受け溝10を覆うよ
うにして嵌合されている。また、図7(b)に示したよ
うに、一方の屋根パネル5aに形成された水返し部16
は、他方の屋根パネル5bの上部折り返し部7の水勾配
下側に位置するようになっており、この水返し部16に
より、一方の屋根パネル5aと他方の屋根パネル5bの
上部折り返し部7,7の接続部を覆う形態とされてい
る。このような接続構造で隣り合う屋根パネル5,5を
接続するには、一方の屋根パネル5aのジョイント部1
5を、他方の屋根パネル5bの水受け溝10に斜め上方
から嵌め込むのみでよい。
【0019】また、図5に示したように、屋根躯体18
の水勾配方向に沿って配設された屋根パネル5,5,…
の各接続部においては、水勾配下側の屋根パネル5cの
上部折り返し部7に、水勾配上側の屋根パネル5dの下
部折り返し部9を係合させることにより、これら屋根パ
ネル5,5,…が接続されている。なお、軒先側に位置
する屋根パネル5eは、その重ね代8をファスニング等
の固定具20で屋根躯体18に固定されている。また、
図3に示したように、雨水が逆流しないように、下部折
り返し部9の垂直部9aと、水勾配下側の屋根パネル5
cの上部折り返し部7の先端部7aとの間には所定寸法
の隙間Dが形成されている。
【0020】次に、上記のような屋根パネル5の接続構
造において、雨水が侵入してきたときの作用について図
3ないし図6を参照して説明する。図4および図6に示
したように、横葺きされて、隣り合った屋根パネル5,
5の接続部においては、一方の屋根パネル5aのジョイ
ント部15の下方に、他方の屋根パネル5bの水受け溝
10が位置することになり、ジョイント部15と水受け
溝10との隙間から侵入した雨水は、この水受け溝10
を通って排出される。このとき、図3に示したように、
水受け溝10の下端10bと下部折り返し部9の垂直部
9aとの間には、隙間Cが形成されているので、この隙
間Cから雨水は流れ落ちる。そして、隙間Cから流れ落
ちる雨水は、水勾配下側の屋根パネル5cの上部折り返
し部7よりも水勾配下側に流れ落ちるので、そのまま水
勾配下側の屋根パネル5cの水受け溝10に流れ込む。
このとき、図1に示したように、ジョイント部15の水
勾配上側には、切り欠き部17が形成されているので、
流れ落ちてくる雨水が、水勾配下側の屋根パネル5cの
水受け溝10に容易に流れ込む。これを繰り返すことに
より、最終的に、雨水は軒先から外部へ排出される。ま
た、図4(a)に示したように、ジョイント部15の水
平部14にはリブ14aが形成されているので、すなわ
ちジョイント部15と水受け溝10との間に空隙部Fが
形成されたことになり、これにより、毛細管現象によっ
て雨水がここに侵入してくるのを防止することができ
る。また、水受け溝10の側方の段部11にはリブ11
aが形成されており、豪雨時など、大量の雨水により水
受け溝10からあふれ出た時に、この雨水を下方に流す
ことができる。
【0021】上述した屋根パネル5の接続構造では、横
葺きされて、隣り合った屋根パネル5,5の接続部へ侵
入した雨水は、一方の屋根パネル5aのジョイント部1
5の下方に位置した他方の屋根パネル5bの水受け溝1
0を通って外部へ排出される。したがって、屋根パネル
5,5の接続部から侵入した水が、屋根パネル5,5よ
りも内方に侵入することを防ぐことができる。これによ
り、構成すべき屋根の防水効果を高めることができる。
また、この屋根パネル5,5の接続部は、一方の屋根パ
ネル5aのジョイント部15の張り出し部12が他方の
屋根パネル5bの水受け溝10を覆う形態とされている
ので、隣り合う屋根パネル5,5の表面が略面一とさ
れ、従来のカバーなどを廃して、構成すべき屋根の外観
意匠を美麗とすることができる。
【0022】また、ジョイント部15の水平部14には
リブ14aが形成されているので、すなわちジョイント
部15と水受け溝10との間に空隙部Fが形成されたこ
とになり、これにより、毛細管現象によって雨水がここ
に侵入してくるのを防止することができる。
【0023】また、上述した接続構造に用いる屋根パネ
ル5は、一方の側縁部にジョイント部15を備え、他方
の側縁部には水受け溝10を備え、すなわちジョイント
部15と水受け溝10とを一体に備えた構成とされてい
る。このような構成の複数の屋根パネル5を横葺きにす
るときには、隣り合った屋根パネル5,5のうち、一方
の屋根パネル5aのジョイント部15を、他方の屋根パ
ネル5bの水受け溝10に嵌め込むのみでこれらが接続
される。したがって、従来のように、下部水受け板や上
部カバー材を用いることなく、屋根パネル5を容易に接
続することが可能になり、屋根を構成するためのコスト
および施工の手間を大幅に低減することができる。ま
た、構成すべき屋根の水勾配方向に屋根パネル5,5を
接続するに際しても、水勾配下側の屋根パネル5cの上
部折り返し部7と、水勾配上側の屋根パネル5dの下部
折り返し部9とを係合させるのみで、これらを接続する
ことができ、この点からもコストおよび施工の手間を低
減することができる。
【0024】また、屋根パネル5の裏面に発泡体Hを裏
打ちする構成としたので、板材6を補強するとともに、
構成すべき屋根の遮音,断熱効果を向上させることがで
き、さらには、万が一の雨水の侵入時の防水効果を高め
ることができる。
【0025】さらに、隣り合った屋根パネル5,5のう
ち一方の屋根パネル5aの張り出し部12の水勾配上側
には水返し部16が形成され、この水返し部16によ
り、一方の屋根パネル5aと他方の屋根パネル5b双方
の上部折り返し部7,7の接続部を覆う形態となってい
るので、強風時等における、屋根パネル5,5の接続部
からの雨水の侵入を防ぐことができる。
【0026】なお、上記実施例において、屋根パネル5
の一方の側縁部にジョイント部15を備え、他方の側縁
部に水受け溝10を備える構成としたが、これに限るも
のではなく、隣り合った屋根パネル5,5の接続部にお
いて、一方の屋根パネル5aにジョイント部15を備
え、他方の屋根パネル5bに水受け溝10を備える構成
であればよい。したがって、例えば一方の屋根パネルに
は両側縁部にジョイント部を備え、他方の屋根パネルに
は両側縁部に水切り溝を備える構成として、これら二種
類の屋根パネルを交互に配置して接続する構成としても
同様の効果を得ることができる。屋根パネル5の水受け
溝10の側方に、段部11を設ける構成としたが、この
段部11を省略した構成としてもよい。また、この段部
11に形成したリブ11aを省略した構成としてもよ
い。ジョイント部15の水平部14にリブ14aを形成
する構成としたが、例えば、図8(a)あるいは(b)
に示すような構成としても、ジョイント部15と水受け
溝10との間に空隙部Fを形成することができるのであ
れば、毛細管現象を防ぐことができ、同様の効果を得る
ことができる。さらには、図8(c)に示すような構成
として、空隙部Fを廃した構成としてもよい。また、屋
根パネル5を構成する板材6の一方の側端部6aに水返
し部16を形成したが、図9に示すように、板材6の他
方の側端部6cに水返し部16’を形成する構成として
もよい。ただし、このとき、図9(b)に示すように、
水返し部16’は、一方の屋根パネル5aの上部折り返
し部7の内部に挟み込む構成とする。また、水受け溝1
0の下端から雨水を排出するために、水受け溝10の下
端10bと下部折り返し部9の垂直部9aとの間に隙間
Cを形成する構成としたが、これに限るものではなく、
水受け溝10の下端10bから雨水を排出できるのであ
れば、例えば図10に示すように、水受け溝10の下端
10bに切り欠き21を形成したり(図10(a)参
照)、水切り22を形成する構成としてもよい(図10
(b)参照)。さらに、上記実施例においては、屋根を
構成する場合の実施例を用いて説明したが、壁を構成す
る場合においても、同様の構成とすることにより、上記
と同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る横
葺パネル構造材の接続構造によれば、構成すべき屋根あ
るいは壁に、横葺きされて隣り合った横葺パネル構造材
の接続部へ侵入した雨水は、一方の横葺パネル構造材の
ジョイント部の下方に位置した、他方の横葺パネル構造
材の水受け溝を通って外部へ排出される。したがって、
横葺パネル構造材の接続部から侵入した水が、横葺パネ
ル構造材よりも内方に侵入することを防ぐことができ、
高い防水効果を発揮することができる。このとき、水返
し部が、互いに隣接する横葺パネル構造材の上部折り返
し部どうしの接続部を覆う構成となっているので、強風
時等におけるこの部分からの雨水の浸入を防止できる。
加えて、各横葺パネル構造材の水受け溝は上部折り返し
部と下部折り返し部との間に形成されているので、互い
に上下に位置する横葺パネル構造材どうしの接続部にお
いて、上側の横葺パネル構造材の水受け溝からの水は、
下側の横葺パネル構造材の重ね代および上部折り返し部
よりも下側に形成された水受け溝に流れ込むことにな
る。また、この横葺パネル構造材の接続部は、一方の横
葺パネル構造材のジョイント部の張り出し部が他方の横
葺パネル構造材の断面視凹字状の水受け溝の上方を覆う
形態とされているので、従来のカバー材を廃することが
でき、隣り合う横葺パネル構造材の表面が略面一とされ
るので、構成すべき屋根あるいは壁の外観意匠を美麗と
することができる。
【0028】請求項2に係る横葺パネル構造材の接続構
造によれば、ジョイント部の水平部と水受け溝底部との
間にはリブ等により空隙部が形成されているので、これ
により、毛細管現象によって、雨水が、隣り合った横葺
パネル構造材の接続部に侵入してくるのを防止すること
ができる。
【0029】請求項3に係る横葺パネル構造材によれ
ば、この横葺パネル構造材はジョイント部と断面視凹字
状の水受け溝とを一体に備えた構成とされている。この
ような構成の複数の横葺パネル構造材を横葺きにして屋
根あるいは壁を構成するときには、隣り合った横葺パネ
ル構造材のうち、一方の横葺パネル構造材のジョイント
部を、他方の横葺パネル構造材の水受け溝に嵌め込むの
みでこれらが接続できる。したがって、従来のように、
下部水受け板や上部カバー材を用いることなく、横葺パ
ネル構造材を容易に接続することが可能になり、屋根あ
るいは壁を構成するためのコストおよび施工の手間を大
幅に低減することができる。また、水返し部が互いに隣
接する横葺パネル構造材の上部折り返し部どうしの接続
部を覆う構成となっているので、強風時等におけるこの
部分からの雨水の浸入を防止できる。さらに、構成すべ
き屋根あるいは壁の水勾配方向に横葺パネル構造材を接
続するに際しても、水勾配下側の横葺パネル構造材の上
部折り返し部と、水勾配上側の横葺パネル構造材の下部
折り返し部とを係合させるのみで、これらを接続するこ
とができ、この点からもコストおよび施工の手間を低減
することができる。しかも、各横葺パネル構造材の水受
け溝は上部折り返し部と下部折り返し部との間に形成さ
れているので、互いに上下に位置する横葺パネル構造材
どうしを接続するときに、その接続部において、上側の
横葺パネル構造材の水受け溝からの水は、下側の横葺パ
ネル構造材の重ね代および上部折り返し部よりも下側に
形成された水受け溝に流れ込むことになる。さらに、こ
のような横葺パネル構造材を用いることによって、請求
項1記載の発明に係る横葺パネル構造材の接続構造が実
現され、特に、ジョイント部の張り出し部がその上方を
覆うよう嵌合される水受け溝が形成されているので、隣
り合う横葺パネル構造材の表面が略面一とされ、構成す
べき屋根あるいは壁の外観意匠を美麗とすることができ
る、といった前記請求項1に係る効果を奏することが可
能となる。
【0030】請求項4に係る横葺パネル構造材によれ
ば、横葺パネル構造材の裏面に発泡体を裏打ちする構成
としたので、板材を補強するとともに、構成すべき屋根
あるいは壁の遮音,断熱効果を向上させることができ、
さらには、万が一の雨水の侵入時の防水効果を高めるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る横葺パネル構造材の一実施例を示
す斜視図である。
【図2】同横葺パネル構造材を示す側面図である。
【図3】同横葺パネル構造材の接続構造の一部を示す側
面図である。
【図4】本発明に係る横葺パネル構造材の接続構造を適
用して構成した屋根の一部を示す正断面図である。
【図5】同屋根の一部を示す側断面図である。
【図6】同屋根の一部を示す斜視図である。
【図7】同屋根の一部を示す平面図および側断面図であ
る。
【図8】本発明に係る横葺パネル構造材の接続構造の他
の例を示す正断面図である。
【図9】同横葺パネル構造材の他の例を示す斜視図およ
び側断面図である。
【図10】同横葺パネル構造材の接続構造の他の例を示
す側断面図である。
【図11】従来のパネル構造材の接続構造を示す正断面
図である。
【符号の説明】
5 屋根パネル(横葺パネル構造材) 6 板材 7 上部折り返し部 9 下部折り返し部 10 水受け溝 12 張り出し部 13 折り曲げ部 14 水平部 15 ジョイント部 F 空隙部 H 発泡体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 仁純 茨城県水海道市花島町1455−16 山本金 属株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−357246(JP,A) 実開 昭60−148423(JP,U) 実公 昭6−11775(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04D 3/362

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のパネル構造材を横葺きにして構成
    する屋根あるいは壁に用いる横葺パネル構造材の接続構
    造であって、構成すべき屋根あるいは壁の水勾配方向に直交する方向
    において隣り合う前記横葺パネル構造材のうち、一方の
    横葺パネル構造材には、その側縁部から側方に張り出し
    た張り出し部と、該張り出し部の先端部から下方に折り
    曲げられた折り曲げ部と、該折り曲げ部の下端部から水
    平方向内側に折り曲げられた水平部とを有してなるジョ
    イント部が形成されるとともに、前記張り出し部の水勾
    配上側に上方に折り返された水返し部が形成され、他方
    の横葺パネル構造材の側縁部には、前記水勾配方向に沿
    って延びる断面視凹字状の水受け溝が形成され、 かつ、前記各横葺パネル構造材は、前記水受け溝の上部
    に、外方に折り返された上部折り返し部とその上側に連
    続する重ね代とが形成されるとともに、前記水受け溝の
    下部に、内方に折り返された下部折り返し部が形成され
    た構成とされ、 前記水勾配に直交する方向においては、互いに隣接する
    前記横葺パネル構造材どうしが互いに突き合わせて配置
    されて、前記一方の横葺パネル構造材のジョイント部の
    前記張り出し部が、前記他方の横葺パネル構造材の前記
    水受け溝の上方を覆って嵌合されるとともに、前記水返
    し部が、互いに隣接する横葺パネル構造材の上部折り返
    し部どうしの接続部を覆う構成とされ、 かつ、前記水勾配方向において互いに上下に隣接する前
    記横葺パネル構造材どうしは、前記上方の横葺パネル構
    造材が前記下方の横葺パネル構造材の重ね代に重ねられ
    るとともに、前記上方側の横葺パネル構造材の下部折り
    返し部が前記下方側の横葺パネル構造材の上部折り返し
    部に係合される構造 とされていることを特徴とする横葺
    パネル構造材の接続構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の横葺パネル構造材の接続
    構造であって、前記一方の横葺パネル構造材のジョイン
    ト部の水平部と前記他方の横葺パネル構造材の前記水受
    け溝底部との間には、空隙部が形成されていることを特
    徴とするパネル構造材の接続構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の横葺きパネルの
    接続構造に用いる横葺パネル構造材であって、該横葺パ
    ネル構造材は、構成すべき屋根面あるいは壁面を形成す
    る板材を有した構成とされ、該板材は、前記屋根あるい
    は壁の水勾配方向上側の上縁部に、外方に折り返された
    上部折り返し部と、その上側に他の横葺パネル構造材を
    重ねるための重ね代とが形成されるとともに、前記水勾
    配方向下側の下縁部には、内方に折り返された下部折り
    返し部が形成され、かつ、一方の側縁部に、側方に張り
    出した張り出し部と、該張り出し部の先端部から下方に
    折り曲げられた折り曲げ部と、該折り曲げ部の下端部か
    ら水平方向内側に折り曲げられた水平部とを有してなる
    ジョイント部が形成され、他方の側縁部に、前記水勾配
    方向に沿って延びて、前記ジョイント部の張り出し部が
    その上方を覆うよう嵌合される断面視凹字状の水受け溝
    が、前記上部折り返し部と下部折り返し部との間にわた
    って形成され、 さらに、横葺パネル構造材どうしを互いに隣接させたと
    きに双方の上部折り返し部どうしの接続部を覆うため前
    記張り出し部の水勾配上側に上方に折り返された水返し
    部が形成された 構成とされていることを特徴とする横葺
    パネル構造材。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の横葺パネル構造材におい
    て、前記板材の裏面には、発泡体が裏打ちされているこ
    とを特徴とする横葺パネル構造材。
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