JP5802029B2 - 金属屋根材及びその敷設構造 - Google Patents

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本発明は、金属横葺き屋根材などの金属屋根材及びこれを用いた敷設構造に関するものである。
従来より、複数枚の金属屋根材を屋根下地に縦横に敷設することにより屋根を形成することが行われているが、この場合、横方向(屋根の勾配方向と直交する方向)で隣接する金属屋根材を接続するにあたっては、金属屋根材の側部同士を上下に重ね合わせるようにしている。例えば、特許文献1に記載の金属屋根材Aでは、図11(a)に示すように、略平板状に形成される屋根材本体1の両側部2の各々に複数本のリブが設けられている。これらのリブ31は屋根の勾配方向と略平行に長く形成され、また横方向に略等間隔で並設されている。そして、図11(b)に示すように、屋根下地6の上に敷設した金属屋根材Aの側部の上に、他の金属屋根材Aの側部2を被せるようにして、二枚の金属屋根材A、Aを横方向に隣接させて敷設するようにしている。上記のリブ31は防水性を向上させたり接続部分の剛性を高めたりするために設けられている。
特開2010−159597号公報
しかし、上記のような金属屋根材Aでは、上側に重ね合わせた金属屋根材Aの側端部に設けたリブが筋状や溝状に視認されるために、屋根の外観が低下するという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、屋根の外観が低下しにくい金属屋根材及びその敷設構造を提供することを目的とするものである。
本発明に係る金属屋根材は、隣接する金属屋根材のいずれか一方の金属屋根材の側部を他方の金属屋根材の側部に重ね合せて敷設可能な金属屋根材において、金属屋根材の屋根材本体の両方の側端部には下方に折り返し屈曲された補強部が形成され、補強部にはリブ部が下方に突出して屈曲形成されて成ることを特徴とするものである。
前記屋根材本体の上面には、この屋根材本体に隣接する他の屋根材本体との重ね合わせ位置の基準となる位置決め部が設けられていることが好ましい。
本発明に係る金属屋根材の敷設構造は、前記金属屋根材を用いた敷設構造であって、屋根下地に敷設された金属屋根材の屋根材本体と、この金属屋根材に隣接する他の金属屋根材の屋根材本体の側部とが重ね合わせられ、前記補強部及び前記リブ部が前記屋根材本体の下方に位置されて成ることを特徴とするものである。
本発明では、補強部及びリブ部が屋根材本体の下方に形成されているため、補強部及びリブ部が屋根材本体の下方に位置して視認しにくくなり、屋根の外観が低下しにくくなるものである。
本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。 同上の一部を示し、(a)は一例の断面図、(b)は他例の断面図である。 (a)、(b)は同上の断面図である。 同上の接続状態を示す斜視図である。 同上の接続状態を示す一部の断面図である。 同上の接続工程を示し、(a)乃至(f)は一部の断面図である。 同上の接続状態を示す斜視図である。 同上の接続工程を示し、(a)乃至(c)は一部の斜視図である。 同上の接続工程を示し、(a)は一部の断面図、(b)(c)は一部の斜視図である。 同上の他の実施の形態の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は接続状態を示す断面図である。 従来例を示し、(a)は斜視図、(b)は接続状態を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の金属屋根材Aは、金属板をロール成形加工などで加工して所望の形状に形成されている。金属板としては、厚み0.3〜0.5mmのものを好適に用いることができ、また、金属板の種類としては、塗装鋼板や亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)などの各種のものを用いることができる。尚、製造については、従来ではロール成形機で対応するしかなかったが、本発明の金属屋根材AはR加工(曲面加工)がほとんどないためベンダー加工機でも対応でき、また、端部加工はヘミング曲げ加工及びプレス加工で対応できる。
本発明の金属屋根材Aは、図1に示すように、略平板状に形成される屋根材本体1と、屋根材本体1の両方の側部2の下方(下面側)に形成される補強部3と、補強部3に形成されるリブ部7と、屋根材本体1の水下側端部(例えば、軒側端部)に形成される嵌合部4と、屋根材本体1の水上側端部(例えば、棟側端部)に形成される被嵌合部5と、被嵌合部5の水上側端部に突設される固定片10とを備えて形成されている。
屋根材本体1は横方向(屋根勾配と直交する方向)に長く形成されており、横方向の長さ寸法L1は、例えば、2000mm程度の定尺とすることができ、また、屋根材本体1の縦方向(屋根勾配方向)の働き幅L2は、例えば、200mm程度とすることができる。図2(a)に示すように、補強部3は、屋根材本体1の側部2を補強するために、側部2の下面(裏面)に接触乃至近接して設けられている。補強部3は屋根材本体1の側端部から側部2の下方に折り返し屈曲して形成することができる。また、補強部3は屋根材本体1の縦方向の略全長にわたって形成されている。補強部3の幅寸法L3は、側部2を補強するために、屋根材本体1の側端から20〜100mmとするのが好ましい。リブ部7は、補強部3の先端に形成されるものであって、補強部3の先端から下方に突出して断面略U字状に屈曲により形成されている。また、リブ部7の先端には支持部8が突設されている。リブ部7及び支持部8は補強部3に縦方向の略全長にわたって形成されている。また、リブ部7の幅寸法L4及び深さ寸法L5は、側部2を補強するために、L4は4〜20mm、L5は1〜5mmとするのが好ましい。また、支持部8のリブ部7からの突出寸法L6は、側部2を補強するために、5〜20mmとするのが好ましい。また、図2(b)に示すように、支持部8の先端にさらに上記と同様のリブ部7と支持部8とを二カ所以上設けることができ、これにより、補強効果を向上させることができる。
屋根材本体1の側端部は、屋根材本体1の表面から斜め下方に下り傾斜するように屈曲された当接部9として形成されている。当接部9は側部2と補強部3の境界部付近を下向きに屈曲することにより形成することができる。当接部9は屋根材本体1の縦方向の略全長にわたって形成されている。当接部9は金属屋根材Aの防錆・剛性を向上させるために屋根材本体1のエッジを外部から見えにくくするものであり、その幅寸法L7は3〜10mmとするのが好ましい。上記の補強部3、リブ部7,支持部8及び当接部9は、屋根材本体1の両方の側部2に各々設けられており、金属屋根材Aは左右対称に形成されている。
嵌合部4は屋根材本体1の横方向の略全長にわたって形成されており、縦方向の断面形状が略倒U字状に形成されており、その厚みTは、例えば、5mm程度とすることができる。被嵌合部5は屋根材本体1の横方向の略全長にわたって形成されており、上片5aと下片5bとを軒側端部で接続することにより縦方向の断面形状が略倒V字状に形成されている。また、図3(a)(b)に示すように、被嵌合部5は上片5aと下片5bとを上下方向で近接離間自在に形成することにより、被嵌合部5は上下に伸縮自在に形成されている。固定片10は屋根材本体1の横方向の略全長にわたって形成されており、縦方向の断面形状が略逆へ字状に形成されており、被嵌合部5の上片5aから後方に向かって突設されている。上記のように、本発明の金属屋根材Aは、嵌合部4の曲げR加工を極力なくし、重ねやすい直線形状の部位を組合せて形成している。また、嵌合部(前はぜ部)4は外観上見えるため及び耐久性(塗膜の割れによる錆発生防止)や水密性の向上のため、R曲げ仕上げをするが、被嵌合部(後ろはぜ部)5は倒V型形状とし、曲げR加工を極力少なくしている。
そして、本発明の金属屋根材Aはその複数枚を野地板などの屋根下地6の上に縦横に敷設するものであり、これにより、金属屋根を形成することができる。この場合、隣接して敷設されて金属屋根材A、Aは取り付け強度の確保や防水性の向上のために接続されている。
図3に示すように、横方向で隣接する金属屋根材A、Aは、一方の金属屋根材Aの屋根材本体1の側部2と他方の金属屋根材Aの屋根材本体1とを上下に重ね合わせることにより接続される。ここで、金属屋根材Aの縦方向の断面形状は横方向の全長にわたって略一定であるため、重ね合わせ寸法は任意に設定可能であり、横方向で隣接する金属屋根材A、Aの接続部分の防水性を向上させるために、屋根材本体1の側端から100mm以上重ね合わせることが好ましいが、金属屋根の各部分の納めの寸法調整に応じて重ね合わせ寸法を変えることができる。尚、重ね合わせる寸法の上限は特に設定されないが、あまりに大きいと金属屋根材Aに無駄な部分が増加してしまうので、重ね合わせる寸法は屋根材本体1の側端から横寸法の半分以下とするのが好ましく、より好ましくは200mm以下にするのがよい。従って、横方向で隣接する金属屋根材A、Aは側部2,2同士を上下に重ね合わせる場合や、一方の金属屋根材Aの屋根材本体1の側部2と他方の金属屋根材Aの屋根材本体1の横方向の中央部付近とを上下に重ね合わせる場合などがある。また、金属屋根材Aは左右対称であるために、横方向で隣接する金属屋根材A、Aの左右のどちらも上に重ねることが可能であり、屋根下地6の横方向の左右何れの方向からでも順次敷設していくことができる。
このようにして上下に重ね合わされた金属屋根材A、Aにおいて、図5に示すように、下側に位置する金属屋根材Aは、屋根下地6の上面に当接部9の先端が当接し、リブ部7が屋根下地6の上面に近接乃至接触している。従って、リブ部7と当接部9との間において補強部3と屋根下地6との間に隙間29が形成され、この隙間29が等圧空間となるために、雨水等が屋根下地6の上面と当接部9の先端との間から屋根材本体1の下側へ浸入しにくくなって、横方向に隣接する金属屋根材A、Aの接続部分の防水性を向上させることができる。また、上側に位置する金属屋根材Aは、下側の金属屋根材Aの屋根材本体1の上面に当接部9の先端が当接し、上側の金属屋根材Aのリブ部7が下側の金属屋根材Aの屋根材本体1の上面に近接乃至接触している。従って、上側の金属屋根材Aのリブ部7と当接部9との間において上側の金属屋根材Aの補強部3と下側の金属屋根材Aの屋根材本体1との間に隙間28が形成され、この隙間28が等圧空間となるために、雨水等が下側の金属屋根材Aの屋根材本体1の上面と上側の金属屋根材Aの当接部9の先端との間から上側の金属屋根材Aの屋根材本体1の下側へ浸入しにくくなって、横方向に隣接する金属屋根材A、Aの接続部分の防水性を向上させることができる。さらに、上記の隙間28,29に浸入した雨水等は隙間28、29内を屋根の勾配方向に沿って流下するものであり、横方向に隣接する金属屋根材A、Aの接続部分の排水性を向上させることができるものである。
また、金属屋根材Aの側部2は補強部3により補強されており、さらに、リブ部7及び支持部8でも側部2は補強されている。従って、横方向に隣接する金属屋根材A、Aの接続部分は剛性が向上しており、風荷重や施工時に歩行圧が加わっても、破損や変形及びこれらによる防水性の低下が起こりにくくなっている。しかも、補強部3やリブ部7及び支持部8は屋根材本体1の側部2の下方に形成されているため、金属屋根材Aの上方から視認されにくいものであり、屋根の外観が低下しにくくなるものであり、また、フラットな屋根材本体1の場合には建物全体として調和のとれた意匠を表現しやすくなる。
次に、横方向及び縦方向の金属屋根材A、Aの接続について詳述する。まず、図6(a)に示すように、被嵌合部5を上方に伸長した状態で金属屋根材Aを屋根下地6に載置し、図6(b)に示すように、ビスなどの固定具11を固定片10及び屋根下地6に打ち込んで固定片10を固定する。このように固定片10を固定することにより、被嵌合部5を上下に収縮して上下寸法(厚み)を小さくした状態で形状を固定(確定)することができる。次に、固定した金属屋根材Aに別の金属屋根材Aを横方向に並べて載置する。このとき、上記のように、隣接する金属屋根材A、Aは側部2、2を上下に重ね合わせることにより接続する。また、図6(c)に示すように、固定した金属屋根材Aの被嵌合部5の軒側及び上側に、新たに配置する方の金属屋根材Aの被嵌合部5を被せるようにし、また、固定した金属屋根材Aの固定片10の上側に新たに配置する方の金属屋根材Aの固定片10を被せるようにする。次に、図6(d)に示すように、固定具11を新たに配置した金属屋根材Aの固定片10と、固定した金属屋根材Aの固定片10と、屋根下地6に打ち込んで新たに配置した金属屋根材Aの固定片10を固定する。このようにして横一列に複数枚の金属屋根材A、A…を敷設した後、これら敷設した金属屋根材Aの棟側に他の複数枚の金属屋根材A、A…を横一列に順次敷設していく。このとき、図6(e)に示すように、棟側の金属屋根材Aの嵌合部4を軒側の重なった被嵌合部5、5に嵌合し、この後、図6(f)に示すように、さらに他の棟側の金属屋根材Aの嵌合部4を上記の棟側の金属屋根材Aの嵌合部4と軒側の金属屋根材Aの被嵌合部5、5とに嵌合する。このように、最終的には、二つの嵌合部4、4と二つの被嵌合部5、5とが嵌合して重なった状態となるが、被嵌合部5は略倒V字状で重なり、面が総て斜め形状(三角形状)となるため、嵌合部4をスムーズに嵌合することができる。
また、本発明の金属屋根材Aは嵌合部4や被嵌合部5に屋根材本体1の表面に対して垂直となる部位がないため、図7に示すように、屋根材本体1をその側部2が上方に突出するように略直角に容易に折り曲げることができる。従って、屋根下地6と立ち上がり壁との境界部分の納め構造において、金属屋根材Aを切断することが無くなり、重ね合わせ寸法で調整することができ、施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができる。また、本発明は上記のように折り曲げやすい形状であるので、切断することなく、屋根下地6の表面に沿わせて降り棟に敷設することができる。すなわち、屋根下地6の長面6aと短面6bとが降り棟6cを介して隣接する場合、まず、図8(a)に示すように、長面6aに複数枚の金属屋根材A、A…を横方向及び軒側から棟側に向かって敷設していくが、最も短面6bに近い部分に敷設した金属屋根材Aの短面6b側の側部2を折り曲げて短面6bの表面に沿わせて配置するようにする。次に、図8(b)に示すように、短面6bに複数枚の金属屋根材A、A…を横方向及び軒側から棟側に向かって敷設していくが、最も長面6aに近い部分に敷設した金属屋根材Aの長面6a側の側部2を折り曲げて、長面6aに敷設した金属屋根材Aの表面に沿わせて配置するようにする。この後、図8(c)及び図9(a)に示すように、断面略へ字状のカバー材13を降り棟6c及び棟6dに取り付けることにより、金属屋根材Aを施工することができる。そして、図9(b)に示すように、屋根下地と立ち上がり壁との境界部分に施工する場合と同様に、金属屋根材Aを切断することなく、重ね合わせ寸法を調整して納めることができ、施工現場での廃材の発生を極力少なくすることができる。また、図9(c)に示すように、本発明の金属屋根材Aは短面6bに施工する場合、軒側から棟側に葺き上げていくにつれて、重ね合わせ部分K(点々模様で示す)の寸法が短くなっていくが、長面6aに施工する場合は重ね合わせ部分K(点々模様で示す)の寸法が一定で切断もすることなく納めることができる。
図10(a)に他の実施の形態を示す。この金属屋根材Aには、上記のようにして横方向に隣接する金属屋根材Aを上下に重ね合わせる際に、重ね合わせ位置の基準(目安)となる位置決め部30が形成されている。その他の構成は上記図1に示す実施の形態と同様である。位置決め部30は屋根材本体1の横方向の中央部を挟んで両側に一箇所ずつ設けることができる。位置決め部30は金属屋根材Aの上方から視認可能であればよく、例えば、屋根材本体1に縦方向に長い段差を設けて位置決め部30とすることができる。この場合、段差の高低差は、あまり目立たないようにするために、0.5〜5mmとするのが好ましい。
そして、位置決め部30を備えた金属屋根材Aも上記と同様にして敷設して屋根を形成することができる。図10(b)に示すように、横方向で隣接する金属屋根材A、Aを接続するにあたっては、一方の金属屋根材Aの屋根材本体1の側部2と他方の金属屋根材Aの屋根材本体1とを上下に重ね合わせるようにするが、この場合、下側の金属屋根材Aの位置決め部30に上側の金属屋根材Aの当接部9を載置する。これにより、当接部9が位置決め部30に係止されて下側の金属屋根材Aに対する上側の金属屋根材Aを位置決めすることができ、施工を容易に行うことができる。また、位置決め部30の部分は目地のような外観に見え、屋根の外観が低下しにくくなる。もちろん、横方向に隣接する金属屋根材A、Aの接続部分の防水性や排水性や剛性は上記と同様に向上させることができるものである。
A 金属屋根材
1 屋根材本体
2 側部
3 補強部
7 リブ部
30 位置決め部

Claims (3)

  1. 隣接する金属屋根材のいずれか一方の金属屋根材の側部を他方の金属屋根材の側部に重ね合せて敷設可能な金属屋根材において、金属屋根材の屋根材本体の両方の側端部には下方に折り返し屈曲された補強部が形成され、補強部にはリブ部が下方に突出して屈曲形成されて成ることを特徴とする金属屋根材。
  2. 前記屋根材本体の上面には、この屋根材本体に隣接する他の屋根材本体との重ね合わせ位置の基準となる位置決め部が設けられて成ることを特徴とする請求項1に記載の金属屋根材。
  3. 請求項1又は2に記載の金属屋根材を用いた敷設構造であって、屋根下地に敷設された金属屋根材の屋根材本体と、この金属屋根材に隣接する他の金属屋根材の屋根材本体の側部とが重ね合わせられ、前記補強部及び前記リブ部が前記屋根材本体の下方に位置されて成ることを特徴とする金属屋根材の敷設構造。
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