JP6062635B2 - 屋根構造 - Google Patents

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Description

本発明は、住宅等の建物の屋根下地に屋根材が敷設された屋根構造に関する。
従来、電気エネルギーを得る手段の1つとして太陽電池パネル(以下、PVパネルということがある)が知られている。このPVパネルは、太陽エネルギーを受け易い場所に設置されることが多く、例えば、住宅やビル等の建物の屋根の上に設置させることが一般的である。
その一例として、図9に示すように、野地板等の屋根下地表面に複数の凸条部11を有した屋根材10を配置し、この屋根材10の凸条部11にPVパネル20を取付けるための架台40を固定させ、この架台にPVパネル20を設置させることが行われている(例えば、特許文献1を参照)。尚、図9は、屋根の傾斜方向側からの断面図を示している。
特開2007−217904号公報
上記の場合、屋根材10の凸条部11に架台40を取付けるにあたっては、架台40にボルトネジ等の連結具5を挿入して架台40及び屋根材10を貫通させ、さらに下側の野地板(屋根下地30)にそのボルトネジが挿入される。この場合、ボルトネジを支える野地板と、屋根材10の凸条部11の山高面とで例えば十数ミリの高さ(段差)があるので、風、地震等で外力が加わってPVパネル20が振動等の挙動を受けた場合、その影響がボルトネジの固定部分で増幅されるおそれがある。そのため、PVパネルにずれが生じる等など、設置状態が不安定となることがあった。また、そのような段差があることで、ボルトネジを屋根下地に対して垂直に挿入しにくく、斜めに挿入された場合には、PVパネルが強固に取り付けられないおそれもあった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、太陽電池パネル等の屋根付設物を設置してもその設置状態が安定となり、施工も容易に行える屋根構造を提供することを目的とするものである。
本発明に係る屋根構造は、屋根下地に複数の凸条部を有する屋根材が敷設されて屋根が形成される屋根構造であって、前記屋根下地には、複数の台座が固定されて設けられ、前記屋根材は、前記凸条部で前記台座を覆うようにして敷設されることを特徴とする。
また、前記屋根下地が略平板の野地板であることが好ましい。
また、前記屋根の上面にさらに屋根付設物が設置され、この屋根付設物は、前記屋根材を介在させて前記複数の台座に連結具により連結されて設置されていることが好ましい。
また、前記連結具は前記屋根下地には挿入されていないことが好ましい。
また、前記台座は、断面略ハット状に形成され、凸形状に形成された台部には前記連結具が貫通されていると共に、両側の支持部には固定具が貫通されることで前記台座が前記屋根下地に固着されていることが好ましい。
本発明の屋根構造では、太陽電池パネル等の屋根付設物を設置してもその設置状態が安定となり、施工も容易に行うことができるものである。そのため、施工に手間がかからない上、長期間にわたって屋根付設物の位置ずれや浮き上がり等を防止することができる。
本発明の屋根構造の実施の形態の一例を示し、(a)及び(b)は屋根の傾斜方向側からみた断面図である。 本発明の屋根構造に使用される台座の一例を示し、(a)は断面図、(b)は側面図である。 屋根下地に台座を固定させた状態の一例を示す平面図である。 本発明の屋根構造の実施の形態の一例を示し、屋根付設物と台座との連結部分を示す拡大図である。 本発明の屋根構造に使用される屋根材の一例を示す屋根材の断面図である。 同上の屋根材の敷設の状態の一例を示し、(a)〜(c)はその断面図である。 同上の屋根材の敷設の状態の一例を示す平面図である。 本発明の屋根構造の実施の形態の一例を示し、屋根の一方の側端部側を示す断面図である。 従来の屋根敷設物の設置の状態を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1に示すように、本発明の屋根構造は、屋根下地30上に、複数の台座1と、複数の凸条部11が形成された屋根材10とを有して形成されるものである。尚、図1では屋根下地30は省略して示している。このように形成された屋根において、屋根材10の上面には、さらに、例えば太陽電池パネル等の屋根敷設物20を設置することもできる。以下、本発明の屋根構造における各部材、並びに屋根構造の形成について詳述する。
本発明の屋根構造において、屋根下地30は、例えば、母屋材の上に野地板を敷設させたものや、桟木、防水シート、野地板、垂木等で構成される下地材を使用することができる。屋根下地30が野地板であれば、台座1が安定に固着され、また、住宅等の屋根にも適している。
台座1は、屋根下地30の上面に固定されるものであり、複数個設けられる。台座1の形状は特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、凸形状(断面略倒コ字状又は断面略逆U字状)の台部3及びこの台部3の両端に延在する平板の支持部2、2を有する断面略ハット状のものを使用することができる。台部3は、台座1の頂部となる。このような台座1は、例えば、金属板を屈曲加工するなどして形成させることができる。また、図2の台座1において、台部3の上端は台座上部3aとして略平坦状に形成され、台部3の両側面は台座側面部3b、3bとして略平坦に形成されている。
一方、台座1としては、上記のような断面略ハット状のもの以外にも、例えば、直方体、立方体のような四角柱のようなものも用いても構わない。しかし、屋根下地30への取り付け状態が安定すると共に、重量が大きくなり過ぎないという点では、図2のような断面略ハット状の台座1を使用することが好ましい。
また、台座1の頂部には、上方に突出した突起部4を設けることができる。この突起部4は、台座1の頂部に少なくとも2以上設けられていればよく、例えば、図2の形態の台座1では、台座上部3aの上面において、両側端中央付近に互いに対向するように2個の突起部4が設けられるようにすればよい。
上記台座1は屋根下地30の上面に複数個並べて設けられるものである。例えば、図3に示すように、台座1は屋根下地30の上面において、軒棟方向及びこの軒棟方向と直交する方向に亘って所定の間隔を空けながら設けるようにしてもよい。尚、屋根の軒棟方向とは、屋根の傾斜方向、あるいは水流れ方向と同じ方向のことである。図3の例では、屋根下地30の軒棟方向(以下、縦方向ということもある)の略全長に亘って直列に設けられており、縦方向で隣り合う台座1、1間(以下、台座間の縦方向距離Rという)はすべて等間隔となっている。そして、このように直列して配列された複数個の台座1は、軒棟方向と直交する方向(以下、横方向ということもある)にも所定の間隔を空けながら同様の配列で順次設けられている。図3の例では、横方向で隣り合う台座1、1間(以下、台座間の横方向距離Pという)がすべて等間隔となっている。
ここで、縦方向距離Rや横方向距離Pの長さは、後述の屋根材10の寸法や、屋根材10に形成された複数の凸条部11の各々の間隔及び屋根付設物20の大きさ、設置台数、設置箇所に合わせて設定すればよい。特に、台座1は、屋根材10を敷設させた場合に、凸条部11で覆われる位置となるように配置させておけばよく、この場合、あらかじめ屋根材10の寸法や凸条部11の間隔を測っておくなどして位置決めをしておいてから、台座1を取り付ければよい。そのため、縦方向距離Rや横方向距離Pは、敷設される屋根材10や屋根付設物20にもよるが、例えば屋根敷設物として太陽電池パネルを設置する場合は、縦方向距離Rは、300〜1500mmとすることができる。尚、上述のように、縦方向距離Rや横方向距離Pは、敷設される屋根材10や屋根付設物20に応じて設定されればよいので、必ずしも、すべての隣り合う台座1、1間の距離を等しくする必要はない。
台座1の屋根下地30への固定は、例えば図4に示すように、ねじや釘等の固定具25を台座1から屋根下地30に向けて挿入させることで行うことができる。ここで、台座1が図2のような断面略ハット状のものである場合には、両端の支持部2が屋根下地30に接地されるように台座1を配置し、固定具25を、各支持部2に貫通させて屋根下地30に挿入するようにすれば、台座1を屋根下地30に固定することができる。尚、図4は、屋根の軒棟方向と直交する方向から見た屋根の断面を示している。
そして、台座1が断面略ハット状のものである場合、台座1を屋根下地30に配置させる向きは、一方の支持部2が屋根の傾斜方向の上側(水上側)、他方の支持部2が屋根の傾斜方向の下側(水下側)を向くように配置させることが好ましい(図1及び図4を参照)。すなわち、台座1を屋根下地30に固定させたときに、台座側面部3bが軒棟方向を向いているようにすることが好ましい。この場合、後述するように、屋根材10の凸条部11が台座1を覆うように敷設されるので、その敷設が行い易く、敷設された屋根材10も安定して屋根下地30に敷設されることになるからである。
本発明の屋根構造において、屋根材10は、略平板状の金属板の表面に、上方に突出する凸条部11が複数形成されたものを使用する。ここでいう上方とは、屋根材10を屋根下地に敷設したときの屋根下地30とは反対側の方向のことをいう。凸条部11は、屋根材10の縦方向の略全長に亘って形成されていてもよいし、縦方向に沿って所定の間隔を空けて複数個形成されていてもよいが、屋根材10の上に設置させる屋根付設物20の設置がより安定するという点で、屋根材10の縦方向の略全長に亘って形成されていることが好ましい。また、凸条部11が屋根材10の縦方向の略全長に亘って形成されていれば、屋根材10の敷設状態がより安定すると共に雨水等を排水し易いという利点もある。以下、本明細書においては、凸条部11は、屋根材10の縦方向の略全長に亘って形成されていることを前提として説明する。尚、屋根材10の縦方向及び横方向とはそれぞれ、上記軒棟方向及びこの軒棟方向と直交する方向と同じ方向のことをいう。
上記のように縦方向の略全長に形成された凸条部11は、屋根材10の横方向に所定の間隔を空けながら、横方向略全長に亘って複数個形成されている。この場合、横方向で隣り合う凸条部11は互いに略平行に配列している。横方向で隣接する凸条部11間の距離は適宜設定することができるが、後述するように屋根材10は横方向にずらしつつ凸条部11どうしを上下に重ね合わせて敷設させることを考慮すると、凸条部11間の距離は等間隔であることが好ましい。また、所定間隔を介して隣り合う凸条部11、11間には平板部12が屋根材10の縦方向の略全長に亘って形成されている。従って、屋根材10は、凸条部11と平板部12とが横方向に交互に繰り返し形成されて成るものであり、屋根材10の横断面(縦方向から見た断面)が略波形状に形成されて成るものである。
また、複数形成されている凸条部11の幅長さLは、いずれも同じ長さであってもよいし、異なっていてもよいが、少なくとも、台座幅M(図2(b)参照)よりも大きく形成されていればよい。ここでいう凸条部11の幅長さLとは、凸条部11の横方向(すなわち、屋根の軒棟方向と直交する方向)の長さを示す。また、凸条部11の横方向の長さが、凸条部11の高さ方向で一定でない場合は、その最大の長さの部分を示す。従って、図1の実施の形態の場合では、凸条部11の幅長さLとは、隣り合う平板部12、12間の側端縁どうしの最短距離の長さを示す(図示のLで表記)。尚、複数の凸条部11の幅長さLがそれぞれ異なるように形成された屋根材10を使用することもできるが、これについては後述する。
本発明で使用する屋根材10において、複数の凸条部11の高さはいずれも略同一であることが好ましく、この場合、屋根に設置される屋根付設物20の設置状態がより安定するものとなる。凸条部11の高さは、特に制限されるものではないが、例えば、10〜30mmとすることができ、屋根材10の縦横の寸法に応じて任意に設定すればよい。
一方、複数の凸条部11の断面形状はいずれも任意の形状にすることができ、例えば、図1の実施の形態に示すような断面略逆U字状、その他、断面投影像が略半円状、断面投影像が略半楕円状、断面略逆V字状等の形状に形成することができる。凸条部11のより好ましい断面形状は、断面略逆U字状(または断面略倒コ字状)であり、この場合、屋根に設置される屋根付設物20の設置状態がより安定するし、しかも、隣接する屋根材10の側端部どうしを横方向に互いに上下に重ね合わせて敷設した際に、敷設状態がより安定し、屋根材10のずれや、浮き上がり等を抑制し易い。特に好ましい凸条部11の断面形状は、凸条部11の断面の投影視が略台形状であることである。すなわち、図1のように凸条部11の上部が平坦状の凸条頂部11aが形成されていると共に、凸条頂部11aの両端部から平板部12に向かってそれぞれ下り傾斜する傾斜面6が形成されていることが好ましい。この場合、屋根材10を敷設した際に隣接する屋根材10どうしの接続がより強固になり、また、例えば、屋根材10を敷設して屋根を形成した場合に、屋根の上面に太陽光発電モジュールが設置されやすいと共に、その設置状態もより安定し、振動が起きにくいものとなる。尚、屋根材10に複数形成された凸条部11の断面形状はいずれも同じであることが好ましい。
屋根材10は、金属板をロール成形加工などで加工して所望の形状に形成することができる。金属板としては、例えば、厚み(板厚)0.3〜0.5mm、面積あたりの重量3〜6kg/mのものを好適に用いることができる。また、金属板の種類としては、塗装鋼板や亜鉛めっき鋼板、塗装ガルバリウム鋼板(登録商標)などの各種のものを用いることができ、特に不燃性の材料で構成されていることが好ましい。尚、屋根材10の製造については、公知のロール成形機で製造することができる他、ベンダー加工機で製造してもよく、また、端部加工はヘミング曲げ加工及びプレス加工を使用してもよい。
また、屋根材10の縦横の寸法は、屋根下地30の面積等にあわせて適宜設定すればよく、例えば、縦方向の長さが1000〜2500mm、横方向は300〜1100mmとすることができる。
屋根材10において、凸条部11の個数は、図1の実施の形態の屋根材10に限定されるものではなく、屋根材10の幅寸法によって任意の個数で形成させることができる。具体的に、屋根材10の幅寸法が300〜1100mmである場合、凸条部11の個数は、2〜7個とすることができる。
ここで、屋根材10のその他の部位について説明する。屋根材10の両側端縁部13、14のうちの一方又は両方は、屋根材10の側端部が裏面側に折り返し屈曲されることにより、二重の金属板で形成された補強片13aとして形成されていてもよい。このように補強片13aが形成されていると、屋根材10の側端縁部の剛性を高めることができると共に、意匠性や取扱い性も向上するものとなる。
屋根材10は、上記のように複数個の台座1が固定されて設けられた屋根下地30上に軒棟方向及びこの軒棟方向と直交する方向に順次敷設される。屋根材10は、複数個の台座1が凸条部11で覆われるように敷設させる。このように屋根材10が敷設されると、凸条部10の上端の凸条頂部11aと、台座上部3aとが互いに略平行に上下で重なるようになる。すなわち、台座1は、凸条部11の内側に位置するようになる。この場合、台座上部3aの突起部4により、凸条頂部11aと台座上部3aとの間にはわずかな隙間が生じることがあるが、例えば、敷設された屋根材10を屋根下地30側へ押圧するなどすれば上記隙間がなくなり、凸条頂部11aと台座上部3aとを当接させることができる。屋根材10の屋根下地30側への押圧は、例えば、敷設時に屋根材10を作業者の足で踏みつけるなどすればよい。上記のように凸条頂部11aと台座上部3aとを当接させるようにすると、屋根材10は鋼板のような金属板で形成されたものであるため、屋根材10の凸条頂部11aの表面には、突起部4の形状が転写され、凸条頂部11a表面に突起が浮き出ることになる(図4では凸条頂部11aに転写された突起は省略してある)。この転写された突起の存在によって、屋根材10の表面側からでも台座1の位置を把握することができ、屋根材10上に屋根付設物20を設置させる際の目印にすることができる。
本発明の屋根構造では、屋根材10を上記のように敷設した際、屋根材10に形成されたすべての凸条部11が台座1を覆っている状態になっていなくてもよい。すなわち、台座1を覆わない凸条部11が存在してもよい。具体的には、図1(a)のように、複数の凸条部11は、一つおきの凸条部11で台座1を覆うようにしてもよいし、図1(b)のように、二つおきの凸条部11で台座1を覆うようにしてもよい。言い換えれば、屋根材10において、軒棟方向に直交する方向に所定の間隔を空けて複数個形成されている凸条部11のうちのいくつかの凸条部11が、屋根下字30上の台座1を覆うようにして敷設されていればよい。
屋根材10は、屋根下地30の一方の側端から他方の側端に向かって敷設させればよい。具体的に敷設の一例を説明すると、まず、屋根下地30の一方の端部側において、縦方向(軒棟方向又は屋根の傾斜方向)の全長に亘って屋根材10を一列敷設させる。縦方向の敷設においては、屋根材10を屋根の水上側端部から水下側端部に向かって敷設させていってもよいし、その逆方向に敷設させていってもよい。このように縦方向に敷設する際、縦方向で隣接する屋根材10、10の一部が互いに重なるように敷設すればよい。すなわち、縦方向で隣接する屋根材10、10どうしを縦方向に所定長さだけずらすことで両者の重なり部分(以下、縦重ね代という)を設けつつ、凸条部11どうし及び平板部12どうしが互いに上下に重なり合うように敷設させればよい。屋根材10は、ねじ等の固定部材を用いて屋根材10を貫通させることで、屋根下地30等に直接固定させることができる。屋根材10を縦方向に敷設した際に形成される上記縦重ね代の長さは、特に限定されるものではないが、屋根材10の縦横の寸法や、屋根上に設置する屋根付設物20の大きさや配置位置、あるいは、屋根面の流れ長さに応じて適宜設定すればよい。
次に、新たな屋根材10を別途用意し、これを既に縦方向に敷設された各々の屋根材10に対して横方向にも敷設する。このように横方向に敷設する際、隣接する屋根材10、10の一部が互いに重なるように敷設すればよい。すなわち、横方向で隣接する屋根材10、10どうしを横方向に所定長さだけずらすことで両者の重なり部分(以下、横重ね代という)を設けつつ、凸条部11どうし及び平板部12どうしが互いに上下に重なり合うように敷設させればよい。例えば、図1に示すように、横方向で隣接する屋根材10において、一方の屋根材10の側端の凸条部11と、他方の屋根材10の側端の凸条部11とが上下に重なり合うように敷設すればよい。
上記のように新たな屋根材10を既に縦方向に敷設された各々の屋根材10に対して横方向にも順次敷設していき、この操作を繰り返し行うことで、屋根下地30に屋根が形成されると共に、台座1は凸条部11に覆われた状態となる。
屋根材10の敷設においては、屋根下地30に設けられた複数の台座1は、屋根材10を敷設する際のガイドの役割を果たすものでもあるので、敷設時の屋根材10のずれを防止しやすくなり、敷設作業もスムーズに行うことができる。
本発明の屋根構造において、屋根上(屋根材10上)には、例えば太陽電池パネルのような屋根付設物20を設置することができる。以下、屋根上への屋根付設物20の設置について詳述する。ここでは、屋根付設物20として、太陽電池パネルを例に、図4により説明する。
図4は、屋根の横方向(軒棟方向と直行する方向)から見た断面図を示している。ここでは一例として、図4のように汎用の抑え金具26を有する太陽電池パネルの設置について説明する。
抑え金具26は、太陽電池パネルのユニット(図4では各ユニットを20aと表記)どうしを接続させるためのパネル接続部26bを有する共に、パネル接続部26bの先端で略直角に屈曲されて太陽電池パネルを屋根材10に固定させるための略平板の固着部26aを有して略L字状に形成されているものである。また、パネル接続部26bの一端は、2つの係合片26c、26cが左右対称に断面略m字状で形成されており、太陽電池パネルのユニット20aの側端上部に引っ掛け係合されることで、隣接する太陽電池パネルのユニットどうしを接続可能にしている。上記抑え金具26は、隣接する太陽電池パネルのユニット間に所定の間隔を空けながら複数個設けることができる。また、抑え金具26は長尺状に形成されていてもよく、このものでは隣接する太陽電池パネルのユニット間において、太陽電池パネルユニットの略全長に亘って設けられることになる。
上記抑え金具26は一例として示したものであって、もちろんその他の構成のものでもよく、太陽電池パネルと屋根材10とを接続可能にする構成で形成されたものであれば、特に形状は限定されない。また、太陽電池パネルの各ユニット20aは、下部が開口した箱型形状に形成されており、本体部はガラス部材と、この周面を補強する補強部材とで構成されるものが挙げられる。
屋根材10の上面への太陽電池パネルを取付けにあたっては軒側(水下側)から棟側(水上側)の方向に順次行っていくことができる。まず、一方の端部に複数の押さえ金具26が所定の間隔を空けながら設けられた太陽電池パネルのユニット20aを準備し、これを、固着片26aが凸条頂部11a上に当接するように設置させる。この場合、複数の押さえ金具26の各々の固着片26aが、台座1の上側に配置されるようにする。すなわち、固着片26aと台座1とが屋根材10(凸条部11)を介在して上下に重なるようにする。そのため、あらかじめ複数の押さえ金具26の太陽電池パネルのユニット20aへの取付け位置を調整しておけばよいし、また、太陽電池パネルのユニット20aの屋根材10への配置させる位置も、複数の押さえ金具26の各々の固着片26aが、台座1の上側に配置されるように調整させればよい。台座1は、屋根材10の下側に隠れているため、屋根上から台座1を直接視認することはできないが、既述のように凸条頂部11a表面には、台座1の突起部4の形状が転写されて台座1の位置を確認できる目印が存在する。そのため、この目印によって、固着片26aを配置させる場所を容易に判断することができる。また、図2に示すように一つの台座1につき両端に突起部4が形成されていると、凸条頂部11a表面には、目印が2つ形成されるので、両者の目印の間に固着片26aを配置させればよい。そのため、台座1の配置位置のばらつき又はずれ等が生じたとしても、あるいは、屋根下地のひずみ等が生じたとしても、太陽電池パネルの設置位置を適切な位置に調節することが可能にできるものである。尚、抑え金具26は長尺状に形成されている場合は、固着片26aと、凸条部11とが平面上で互いに直交するように太陽電池パネルのユニット20aを配置させればよく、この場合は押さえ金具26が屋根材10の横方向に並んだ凸条部11に架け渡すようになるが、その他については上記と同様である。
次いで、複数の固着片26aのそれぞれに対して屋根下地30の方向へボルト等の連結具5を少なくとも一つ以上挿入させ、各々の連結具5が屋根材10及び台座1(台座上部3a)を貫通するようにする。このようにしてユニット20aの一方の端部を固定し、次いで、他方の端部に新たな押さえ金具26を一方の係合片26cで引っ掛け係合させてユニット20aに取り付けると共に、別のユニット20aを用意して、これを他方の係合片26cに同様に引っ掛け係合させ、屋根材10上に設置する。そして、上記と同様の手順で連結具5を貫通させればよい。この操作を順次繰り返し行っていくことで、軒側から端部側に向かってユニット20aが取付けられ、太陽電池パネルが屋根の上に固定されて取り付けられることになる。尚、本発明の屋根構造では、台座1は、上述のようにあらかじめ太陽電池パネルの配置に合わせて位置決めされて設けられているので、適切に位置合わせさせすれば、台座1の上方に固着片26aが配置されるようになる。
本発明の屋根構造の場合では、屋根下地30に設けた台座1に太陽電池パネルを連結させているので、図9のように太陽電池パネルを、屋根材10を介在させて屋根下地30と直接連結させた場合に比べて連結部間の距離が短くなっている。このため、太陽電池パネルが風力や地震等の外力で振動したとしても、連結部間の距離が長い場合に比べて連結部分での振動が増幅されにくいものとなり、結果として、太陽電池パネルの位置ずれが生じにくいものとなり、設置状態が安定するものとなる。さらに、台座1は屋根下地30に強固に固着されて配置されているので、このことも太陽電池パネルに大きな振動を生じにくいものとしている。また、太陽電池パネルを屋根材10に設置するにあたって、連結具5はすぐ下の台座1と連結されるように挿入すればよいので、図9のように屋根下地30に挿入しなければならなかった場合に比べると、連結具5は斜め挿入されるおそれが小さくなる。そのため、太陽電池パネルがより強固に固定されるものとなるし、また、連結も容易に行えるので施工性にも優れるものとなる。
さらに、屋根材10の下側に台座1が設けられていることで、太陽電池パネルのような重量の大きいものを載置させても、屋根材10の撓みやひずみが生じにくいため、上記外力が加わったとしても、屋根付設物20への振動を抑制させることができるのである。
以上のように、本発明の屋根構造では、連結具5によって、屋根付設物20と屋根材10とが連結されると共に、屋根付設物20は、屋根材10を介在させてその下側の台座1とも連結されるものであり、しかも、台座1は屋根下地30に固定されたものであるので、屋根付設物20の設置状態がより安定するものとなる。従って、設置後、長期間にわたって屋根付設物20の位置ずれや浮き上がり等を防止することができるものである。
本発明の屋根構造であれば、上記例で示した太陽電池パネルのような発電装置の他、給湯システム装置、換気装置、融雪装置、受信装置等の屋根付設物20を搭載させることも可能であり、いずれの場合でも長期間安定した状態に設置させることができる。
さらに、図4に示すように、連結具5は屋根下地30に挿入されていない状態にすることが好ましい。すなわち、挿入側の先端である連結具先端部5aが屋根下地30に到達していないことが好ましい。連結具5が屋根下地30に挿入されてしまうと、例えば、台部3の内側(すなわち、台座1と屋根下地30との間の空間部分)に雨水等が浸入してしまった場合に、その雨水が連結具5と屋根下地30との挿入部分の隙間にも浸入し、屋内側に漏水してしまうおそれがある。しかし、連結具5が屋根下地30に挿入されていない場合、そのような屋内側への漏水を防止しやすくなり、防水性を高めることができる。尚、支持部2に挿入されている固定具25は屋根下地30を挿入しているが、この場合、支持部2と屋根下地30とが強固に密着しているので、この挿入部分への雨水等の浸入は起こりにくいものである。
また、断面略ハット状の台座1を使用する場合、連結具5は台座上部3aに挿入されると共に、屋根下地30に固定させるための固定具25は支持部2に挿入されており、連結具5と固定具25とが屋根下地30に対して鉛直方向で同一直線状に並んでいない。すなわち、連結具5と固定具25とが屋根下地30に対して左右にずらされつつ挿入されている。この結果、仮に雨水が連結具5と屋根材10との隙間から浸入して連結具5をつたって流れたとしても、その直下には固定具25が挿入されているわけでないので、屋根下地30より下側(屋内側)に雨水が浸入する可能性が非常に低いといえるものである。
また、屋根の側端には、図8に示すように水切り材16を設けるなどすれば、屋根側端の防水性を高めることもできるので、結果として屋根全体の防水性を高めることができる。さらに、屋根材10との縁切りとしての役割も果たし、この場合、別の屋根材(例えば、周辺屋根材33)を取り付けることもできる。屋根の側端部の一例を図8により以下説明する。
敷設された屋根材10のうちの最も側端に位置する屋根材10と、屋根の側端部に配置されている登り木32との間には、屋根下地30を覆うように屋根周辺材33が設けられている。そして、屋根下地30に敷設された最も側端に位置する屋根材10の側端部には、雨水等を排水させるために、断面略L字状の水切り材16を設けることができる。水切り材16の一端は凸条部11の下側に配置されていると共に、他端は屋根周辺材33と屋根下地30との間に配置されており、この他端の先端には係止片18が形成されている。そして、水切り材16には、上方に突出する複数の凸条リブ17が設けられており、この凸条リブ17が屋根周辺材33と屋根下地30との間に位置するように水切り材16が配置されている。このように凸条リブ17が形成されていることで、雨水等が屋根下地30へ到達するのを防止することができる。一方、屋根の側端部にも雨水等を排水するための端部水切り材31が設けられている。端部水切り材31は、一端側が登り木32を覆うようにして設けられていると共に、他端側は屋根周辺材33と屋根下地30との間に配置されており、この他端の先端には係止片18が形成されている。そして、端部水切り材31には、上方に突出する複数の凸条リブ17が設けられており、この凸条リブ17が屋根周辺材33と屋根下地30との間に位置するように端部水切り材31が配置されている。このように凸条リブ17が形成されていることで、雨水等が屋根下地30へ到達するのを防止することができる。
次に、図5〜7により、本発明の屋根構造において使用する屋根材10の他の形態について説明する。図5に示すように、屋根材10の横方向に複数個形成された凸条部1、1・・・において、それぞれの凸条部11の幅長さLは、一端側から他端側に向かって段階的に短くなるように形成されている屋根材10を使用することができる。この凸条部11は、複数の屋根材10を屋根の軒棟方向と直交する方向にずらしつつ、互いの凸条部11どうしを上下に重ね合わせるように敷設した際、下側に位置する凸条部11が、上側に位置する凸条部11で覆われるように形成されている。
図5に示す屋根材10では、横方向に複数形成されている凸条部11において、両側端に形成されている2つの凸条部11のうちの一方の凸条部11の幅長さLが最大であり、他方の凸条部11の幅長さLが最小となるように形成されている。図5では、両側端に形成されている2つの凸条部11、11のうちの一方を凸条部11L、他方を凸条部11Rと表しており、凸条部11Lが、上記最大の幅長さL(図示ではLmaxと表記)、凸条部11Rが、上記最小の幅長さL(図示ではLminと表記)で形成されている。もちろん、上記とは逆に、一方の側端部である凸条部1Rが最大の幅長さLmax、他方の側端部である凸条部1Lが最小の幅長さLminとなるように形成されたものであってもよい。尚、以下、最大の幅長さLmaxを有する凸条部11を最大幅凸条部、最小の幅長さLminを有する凸条部11を最小幅凸条部ということがある。
そして、所定の間隔S(又は平板部2)を介して上記凸条部11Lと隣り合う凸条部11(図示では11Aと表記)の幅長さL(図示ではLaと表記)は、凸条部11Lの幅長さLmaxよりも短くなるように形成されている(すなわち、Lmax>Laとなる)。さらに、上記凸条部11Aと間隔Sを介して隣り合う凸条部11、11のうち、凸条部11Lと逆側の凸条部11(図示では凸条部11B)は、幅長さLaよりもさらに短い幅長さLbで形成されている(すなわち、La>Lbとなる)。同様に、上記凸条部11Bと隣り合う凸条部11C(凸条部11Aと逆側)、及び凸条部11Cと隣り合う凸条部11Dも、徐々にこれらの幅長さLc、Ldが短くなるように形成されている。そして、凸条部11Lと逆側の端部に形成されている凸条部11Rは、これと隣り合う凸条部11Dよりも幅長さLが短く形成されており、横方向に並んだ凸条部11のうちで、最も短い幅長さLminとなる。
上記のように、屋根材10の横方向において、一方の端部に形成された凸条部11Lから逆側の端部に形成された凸条部11Rに向かうにしたがって、各凸条部11の幅長さLが段階的に短くなるように形成されている。そのため、この屋根材10では、横方向に並んだ凸条部11のうちで、一方の側端部に位置する凸条部11の幅長さLが最大であると共に、他方の側端部に近づくにつれて段階的に幅長さLが短くなっていき、他方の側端部に位置する凸条部11の幅長さLが最小の長さで形成されて成るものである。図1の実施の形態でいうと、屋根材10は、幅長さがLmax>La>Lb>Lc>Ld>Lminの関係で各凸条部11が横方向にそれぞれ形成されて成るものである。この場合、Lminは、台座幅M(図2(b)参照)よりも大きく形成されていればよい。
ここで、間隔Sを介して隣り合う凸条部11、11の幅長さLの長さの差(例えば、Lmax−Laや、La−Lbなど)は、いずれも同じであってもよいし、異なっていてもよいが、屋根材10の敷設時の施工性や、屋根材10の意匠性を考慮すると、同じであることが好ましい。
また、隣り合う凸条部11において、幅長さLが長い方の凸条部11と幅長さLが短い方の凸条部11との幅長さLの比(例えば、Lmax/Laや、La/Lbなど)は、1.01〜1.2であることが好ましく、この場合、屋根材10の敷設時の施工性が低下しにくくなると共に、屋根材10の意匠性が低下してしまうおそれが小さくなる。つまり、隣り合う凸条部11の幅長さLが大きく異ならない限りは、屋根材10の外観の美麗性が低下しにくく、また、隣り合う凸条部11の幅長さLの比が上記の範囲であれば、後述のように一方の屋根材10と、他方の屋根材10との側端部どうしの重ね合わせがスムーズに行える。
さらに、屋根材10の両側端部側にそれぞれ形成されている凸条部11L及び凸条部11Rにおいて、それぞれの幅長さLの比、すなわち、最大幅凸条部と最小幅凸条部との幅長さの比(図示ではLmax/Lmin)は、1.1〜1.5であることが好ましく、この場合、屋根材10の意匠性が低下してしまうおそれが小さくなる。
また、最小凸条部の幅長さLminは、台座1の台座幅Mと略同一であることが好ましく、この場合、屋根材10が台座1に強く固定されるので、敷設された屋根材10がずれ動いたり、振動したりするのを防ぐことができ、屋根材10の敷設状態が安定する。そのため、屋根材10の上に設置された屋根付設物20にも振動が伝わりにくいものとなって屋根付設物20の設置状態も安定させることができる。
尚、屋根材10のその他の構成については、図1で説明した屋根材10のものと同様である。
ここで、図5の形態の屋根材10のように凸条部11の断面の投影像が略台形状に形成されている場合について詳述する。この場合、凸条頂部11aは平坦部12と平行に形成されている。そして、屋根材10に複数形成された凸条部11における凸条頂部11aの幅長さはいずれも、同じ長さで形成されていてもよいが、屋根材10を重ね合わせて敷設しやすいという点で、凸条部11と同様、凸条頂部11aの幅長さも一端側から他端側に向かって、段階的に短くなっていることが好ましい。そして、凸条頂部11aの幅長さが段階的に短くなっていく方向は、凸条部11の幅長さLが段階的に短くなっていく方向と同じである。この場合、傾斜面6の長さ(凸条頂部11aの側端と、平板部12との最短距離)は、複数の凸条部11において同じであってもよいし、同様に一端側から他端側に向かって、段階的に短くなるように形成されていてもよい。
図5の形態の屋根材10を屋根下地30への敷設する方法について説明する。この場合も、屋根下地30の軒棟方向及びこの軒棟方向に直交する方向に順次敷設させることで屋根を形成することができる。
まず、屋根下地30の一方の側端部において、縦方向(軒棟方向又は屋根の傾斜方向)の略全長に亘って屋根材10を一列敷設させる。縦方向の敷設においては、まず、複数枚の屋根材10を用意し、そのうち一枚の屋根材10を屋根下地30の一方の側端に配置させる。配置させる屋根材10の向きは、最大幅凸条部(11L)が側端に位置するように、すなわち、最大幅凸条部(11L)が屋根の最も外側(屋外側)に位置するように屋根材10を配置させる。例えば、屋根下地30の平面視において、屋根下地30の左側端に屋根材10を配置させる場合、最大幅凸条部(11L)が最も左側に位置する向きに屋根材10を配置させる。同様に、屋根下地30の平面視における右側の側端に最初に配置させる屋根材10を配置させる場合、最大幅凸条部(11L)が最も右側に位置する向きに屋根材10を配置させる。尚、ここでいう左右とは、棟側(水上側)を上、軒側(水下側)を下として見た場合の方向を示す。以下、屋根下地30の左側端部から右側端部へ、屋根材10を敷設していく場合についての敷設方法を説明する。
屋根材10を縦方向に敷設していく際、縦方向で隣接する屋根材10の一部が互いに重なるように敷設する点は、既述した敷設の方法と同様に行えばよい。
次に、新たな屋根材10(以下、新設屋根材A3という)を別途用意し、これを、図6に示すように、既に縦方向に敷設されている各々の屋根材10(以下、既設屋根材A1という)に対して横方向にも敷設する。この屋根材10は凸条部11の幅長さLが屋根材10の一端から他端に向かって段階的に短くなっているが、その一端から他端に向かう方向と、屋根材10の横方向への敷設の方向とが一致するように新設屋根材A3を配置させていく。すなわち、一方の端部に形成された最大幅凸条部から、他方の端部に形成された最小幅凸条部へ向かう方向が、いずれの屋根材10も同じとなるように新設屋根材A3を敷設させる。このように屋根材10を敷設させることで、敷設されたすべての屋根材10は、それらの左右方向がすべて同じ向きとなる。
屋根材10を横方向に敷設する際には、新設屋根材A3の一部と、既設屋根材A1の一部とが互いに上下に重なり合うように、すなわち、新設屋根材A3と既設屋根材A1とを、所定長さだけ互いに横方向にずらして重なり部分(以下、横重ね代という)を設けるように敷設する。この場合、横方向に隣接する屋根材10において、互いの凸条部11どうし及び平板部2どうしが上下に重なるように敷設させるが、新設屋根材A3の最大幅凸条部(11L)は、既設屋根材10の最大幅凸条部(11L)以外の凸条部11(すなわち、最大幅凸条部11Lよりも幅長さLが短く形成されている凸条部11)の上側に重ね合わせるようにする。
ここで、横重ね代の長さ(以下、横重ね代長さTという)は、図6に示すように、新設屋根材A3の凸条部1Lを、既設屋根材10の複数の凸条部11のうちのいずれの凸条部11に重ね合わせるかによって、調節することが可能である。ここでいう横重ね代長さTとは、横方向で隣接する屋根材10、10どうしの横方向における重ね合わせの長さのことをいう。以下、図6によって、上記横重ね代長さTの調整について具体的に説明する。尚、図6では屋根下地30及び台座1は省略示してある。
図6(a)では、既設屋根材A1の最小幅凸条部(11R)から起算して3つめの位置に形成された凸条部11(11a)と、新設屋根材A3における最大幅凸条部(11L)とが互いに上下に重ね合わせられている。この場合、既設屋根材A1の最小幅凸条部(11R)及びこれと間隔Sを介して隣り合う凸条部11bとはそれぞれ、新設屋根材A3の凸条部11b及び凸条部11aと、互いに上下に重なり合っている。すなわち、図6(a)では、既設屋根材A1の3つの凸条部11と、新設屋根材A3の3つの凸条部11とがそれぞれ上下で重なり合っている。
また、図6(b)では、既設屋根材A1の凸条部11Rから起算して2つめの位置に形成された凸条部11(11b)と、新設屋根材A3の最大幅凸条部(11L)とが、互いに上下に対向して重なり合っている。この場合、既設屋根材A1の最小幅凸条部(11R)は、新設屋根材A3の凸条部11aと上下で重なり合っている。さらに、図6(c)では、既設屋根材A1の最小幅凸条部(11R)と、新設屋根材A3の最大幅凸条部(11L)とが、上下で重なり合っている。
上記のように横重ね代長さTを所定の長さに調整しつつ既設屋根材A1の横方向に新設屋根材A3を敷設するようにして縦方向に亘って敷設していく。この場合の新設屋根材10の縦方向への敷設は図1の形態の屋根材10と同じ方法で行えばよい。このような手順、すなわち、縦方向の敷設及び横方向への敷設を繰り返し行うことで、屋根が形成されることになる。尚、図6の実施の形態の屋根材10では、4つの凸条部11が形成されたものを例に挙げて示しているが、この実施の形態の屋根材10に限られず、凸条部11の形成個数がさらに多いものであっても、同様に横重ね代長さTを任意に調整することができる。
以上のように、図5の形態の屋根材10を屋根下地30に敷設すると、横方向(軒棟方向と直交する方向)で隣接する屋根材10は、凸条部11どうしが互いに上下に重ねあわされて敷設される。このとき、横方向で隣接する屋根材10の平板部12どうしも互いに略平行になるように重ね合わされている。そして、互いに上下に重ねられた凸条部11においては必ず、下側の凸条部11の幅長さLよりも長い幅長さLを有する凸条部11が上側に位置するようになる。これは、少なくとも凸条部11は、一方の側端に形成された凸条部の幅長さLが最大であると共に、他方の側端に近づくにつれて前記凸条部の幅長さLが段階的に(徐々に)短くなるように形成されていること、並びにすべての屋根材10は、その左右が同じ方向となるように敷設されているからである。
そして、上側の凸条部1の幅長さLの方が、下側の凸条部1の幅長さLよりも長いことによって、屋根材10どうしを横方向に互いに重ね合わせて敷設する際に、必要以上に力を加えなくても重ね合わせができるようになり、屋根の施工性に優れるものである。
一方で、上下に重ね合わせる凸条部11の幅長さLが異なると、屋根材10を敷設したときに横方向にわずかにずれが生じてしまうこともある。しかし、本発明の場合では、屋根下地30にあらかじめ固定された台座1を凸条部11が覆うように屋根材10が敷設されるので、この台座1が敷設時のガイドの役割を果たし、そのようなずれを生じるにくくすることができる。
ここで、図5の形態の屋根材10が縦方向及び横方向に順次敷設された場合における縦横に隣接する4枚の屋根材10に着目すると、図7に示すように、屋根材10が4重になって重ね合わされる部分(以下、4重部Fという)が存在する。尚、図7では、4重部Fを斜線部及び斜線で囲まれる領域を示している。
図7では、4重部Fにおいて、最も下側(屋根下地側)に位置している屋根材10が屋根材A1であり、この上に屋根材A2、A3、A4がこの順で縦横にずらされつつ重なっている。尚、凸条部11や屋根下地30などは省略して示している。そして、凸条部11の幅長さLがすべて同じ長さで形成されていた屋根材10では、この4重部Fの重ね合わせには大きなストレスをかけなければならなかったが、図5の形態の屋根材10では、4重部Fの部分でも大きなストレスをかけることなく、容易に重ね合わせを行うことができる。これは、下側の凸条部11の幅長さLよりも長い幅長さLを有する凸条部11が上側に位置するようになるので、過度の力を加えなくても、凸条部11どうしが嵌合されやすいためである。そのため、屋根材10をスムーズに敷設することができ、その上、4重部Fでの屋根材10の浮き上がりの発生や、不陸の発生を抑えることもできる。凸条部11の幅長さLがすべて同じ長さのものの場合、2重の重ね合わせまでであれば、ストレスをかければ浮き上がりを防げることがあったものの、4重部Fでは不陸の発生等が起こり易いものであるのに対し、図5の形態の屋根材10では屋根の全体にわたって不陸の発生等が起こりにくくすることができ、また、隣接する屋根材10どうしの密着性も高くすることができる。そのため、このような屋根材10を用いて形成させた屋根構造であれば、屋根付設物20が設置された場合に、外力が加わったとしても振動の発生を大きく抑制することが可能であり、屋根付設物20の設置の状態がより安定となる。そして、屋根付設物20の振動が少ないことで、家屋への振動による騒音の影響も低減できる。その上、屋根の防水性の低下や意匠性の低下も防ぐことができるものとなる。
さらに、図5の形態の屋根材10では、横方向で隣接する屋根材10における横重ね代の長さTも自在に調節することも可能である。そのため、屋根材10を切断することなく、屋根の横方向の長さを調節することができる。具体的にいうと、図6からもわかるように、横重ね代の長さTは、凸条部11の幅長さLと間隔Sの長さの和の分だけ(すなわち、L+Sピッチで)長くしたり短くしたりすることができる。従って、図1の形態の屋根材10を使用した場合では、一方の側端から他方の側端に向かって敷設していく際に、他方の側端にさしかかったときに、寸法調整のために屋根材10を所定の部分で切断する場合があるが、図5の形態の屋根材10では、屋根材10をあえて切断する必要がない。そのため、施工性が非常に優れると共に、施工時の廃材も低減させることも可能となる。
そして、この屋根材10を使用する屋根構造では上記のように横重ね代の長さTの調節が容易であるため、屋根付設物20の寸法に応じて屋根の横方向の寸法を調整することができ、様々なサイズの屋根付設物20の設置に対応することが可能となる。
1 台座
2 支持部
3 台部
5 連結具
10 屋根材
11 凸条部
20 屋根付設物
25 固定具
30 屋根下地

Claims (2)

  1. 軒棟方向に直交する方向に間隔を空けて複数形成された凸条部を有する複数の屋根材が、複数の台座を固定させた略平板状の野地板に、前記台座が前記凸条部で覆われるように敷設され、
    前記屋根材のうち、隣り合う屋根材同士の凸条部が重ねられ
    前記屋根材の上面にさらに屋根付設物が設置され、この屋根付設物は、前記屋根材を介在させて前記複数の台座に連結具により連結されて設置され、
    前記連結具は、前記屋根材から前記野地板の方向へ前記台座上部を貫通するとともに前記野地板には挿通されていないことを特徴とする屋根構造。
  2. 前記台座は断面略ハット状に形成され、凸形状に形成された台部には前記連結具が貫通されていると共に、両側の支持部には固定具が貫通されることで前記台座が前記野地板に固着されていることを特徴とする請求項に記載の屋根構造。
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