以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1(a)、(b)に示すように、本発明の屋根構造は、屋根下地30上と、複数の台座1と、凸条部11及び平板部12が交互に複数形成された屋根材10とを備えて形成されるものである。そして、本発明の屋根構造では、屋根材10が、凸条部11で台座1を覆うようにして屋根下地30に敷設されるものであり、かつ、平板部12と屋根下地30との間には、湿気や雨水等の排出を容易にするための排出空間7が形成されて成るものである。
以下、本発明の屋根構造における各部材、並びに屋根構造の形成について詳述する。
本発明の屋根構造において、屋根下地30は、例えば、母屋材の上に略平板状の野地板を敷設させたものや、桟木、防水シート、野地板、垂木等で構成される下地材を使用することができる。特に、屋根下地30が野地板であれば、台座1が安定に固着され、また、住宅等の屋根にも適している。
台座1は、屋根下地30の上面に固定されるものであり、複数個設けられる。台座1の形状は特に限定されるものではないが、例えば、図2に示すように、凸形状(断面略倒コ字状又は断面略逆U字状)の台部3及びこの台部3の両端に延在する平板上の支持部2、2を有する断面略ハット状のものを使用することができる。台部3は、台座1の頂部となる。このような台座1は、例えば、金属板を屈曲加工するなどして形成させることができる。また、図2の台座1において、台部3の上端は台座上部3aとして略平坦状に形成され、台部3の両側面は台座側面部3b、3bとして略平坦上に形成されている。尚、台座側面部3b、3bは、支持部2に対して垂下するように形成されていてもよいし、外方に傾斜するように形成されていてもよい。
一方、台座1としては、上記のような断面略ハット状のもの以外にも、例えば、直方体、立方体のような四角柱のようなものも用いても構わない。しかし、屋根下地30への取り付け状態が安定すると共に、重量が大きくなり過ぎないという点では、図2のような断面略ハット状の台座1を使用することが好ましい。
また、台座1の頂部には、上方に突出した突起部4を設けることができる。この突起部4は、台座1の頂部に少なくとも2以上設けられていればよく、例えば、図2の形態の台座1では、台座上部3aの上面において、両側端中央付近に互いに対向するように2個の突起部4が設けられるようにすればよい。
台座1の高さ(台座高さH2)は、後述の屋根材10の凸条部の高さよりも高く形成されるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、10〜40mmとすることができる。
本発明の屋根構造で使用する屋根材10は、図3に示すように、略平板状の金属板の表面に、凸条部11及び平板部12がそれぞれ複数形成されたものを使用する。
凸条部11は、屋根材10に対して上方に突出するように形成されると共に、屋根材10の縦方向の略全長に亘って形成されている。ここでいう上方とは、屋根材10を屋根下地に敷設したときの屋根下地30とは反対側の方向のことをいう。また、屋根材10の縦方向とは、屋根の傾斜方向、あるいは軒棟方向と同じ方向のことをいう。一方、平板部12は、隣り合う凸条部11との間に形成されており、凸条部11と同様、屋根材10の縦方向の略全長に亘って略平板状に形成されている。
上記のように、凸条部11と平板部12とは、屋根材10の横方向(軒棟方向と直交する方向)に向かってそれぞれ交互に繰り返し形成されている。横方向で隣り合う凸条部11は互いに略平行に配列するように形成されている。
平板部12の幅長さ(すなわち、横方向で隣接する凸条部11間の距離)は適宜設定することができるが、後述するように屋根材10は横方向にずらしつつ凸条部11どうしを上下に重ね合わせて敷設させることを考慮すると、凸条部11間の距離は等間隔であることが好ましい。
また、複数形成されている凸条部11の幅長さLは、いずれも同じ長さであってもよいし、異なっていてもよいが、少なくとも、台座幅M(図2(b)を参照)よりも大きく形成されていればよい。ここでいう凸条部11の幅長さLとは、凸条部11の横方向の長さを示す。また、凸条部11の横方向の長さが、凸条部11の高さ方向で一定でない場合は、その最大の長さの部分を示す。従って、図1の実施の形態の場合では、凸条部11の幅長さLとは、隣り合う平板部12の側端縁どうしの最短距離の長さを示す(図3ではLと表記)。尚、本発明では、複数の凸条部11の幅長さLがそれぞれ異なるように形成された屋根材10を使用することもできるが、これについては後述する。
凸条部11の高さ(凸条部高さH1)は、既述のように、台座高さH2よりも低く形成されているものであれば特に制限されるものではないが、例えば、10〜40mmとすることができ、屋根材10の縦横の寸法や、台座高さH2に応じて任意に設定すればよい。また、複数ある凸条部11の凸条部高さH1はいずれも略同一であることが好ましく、例えば、屋根に付設物を設置させた場合に、その設置状態がより安定し、また、意匠性も低下しにくい。なお、凸条部高さH1は、凸条部11の頂部を通る平面と、平板部12とを通る平面との最短距離のことを示す。
一方、複数の凸条部11の断面形状はいずれも任意の形状にすることができ、例えば、図3の実施の形態に示すような断面略逆U字状(または断面略倒コ字状)、その他、略半円弧状、断面略逆V字状等の形状に形成することができる。凸条部11のより好ましい断面形状は、断面略逆U字状(または断面略倒コ字状)であり、この場合、後述のように、横方向で隣接する屋根材10の凸条部11どうしを互いに上下に重ね合わせて敷設した際に、その敷設状態がより安定する。また、屋根に付設物等を設置させた場合にも、その設置状態が安定しやすい。特に好ましい凸条部11の断面形状は、凸条部11の断面が投影視略台形状であることである。すなわち、図3のように凸条部11の頂部が平坦状の凸条頂部11aが形成されていると共に、凸条頂部11aの両端部から平板部12に向かってそれぞれ下り傾斜する傾斜面6が形成されていることが好ましい。尚、屋根材10に複数形成された凸条部11の断面形状はいずれも同じであることが好ましい。
屋根材10の一方の端部には、屋根材10の側端部先端が屈曲されることによって、固着片15が屋根材10の縦方向の略全長にわたって略平板状に形成され、この固着片15は、平板部12よりも下方に位置するように形成されている。具体的には、屋根材10の最も側端にある傾斜面6の先端が、平板部12を通る平面よりも下方(屋根材10の裏面方向側)まで延伸し、さらにこの先端が屈曲加工されて、屋根材10の外方に突出するように平板部12と略平行方向に延伸して形成される。
一方、屋根材10の他方の端部には、傾斜面6の先端が屈曲されることによって、非固着片16が屋根材10の外方に突出するように縦方向の略全長にわたって略平板状に形成されている。この非固着片16は、少なくとも固着片15よりも上方(凸条部11の突出方向側)、すなわち、固着片15を通る平面よりも上方に位置するものである。特に、屋根材10を敷設するにあたって、後述のように隣接する屋根材10どうしは互いに重ね合わせるものであるので、非固着片16と平板部12とが同一平面状に位置するように非固着片16が形成されていることが好ましい。また、非固着片16は、平板部12と略平行に形成されている。
固着片15を通る平面と、凸条部11の頂部を通る平面との距離(固着片深さE1)は15〜45mm、非固着片16を通る平面と、凸条部11の頂部を通る平面との距離(非固着片深さE2)は10〜40mmとすることができる。そして、上述のように、固着片深さE1と非固着片E2はE1>E2との関係にあるが、E1とE2との差(E1−E2)は、5〜10mmであることが好ましく、この場合、屋根構造における排出空間7を安定に形成させることができる。
屋根材10は、金属板をロール成形加工などで加工して所望の形状に形成することができる。金属板としては、例えば、厚み(板厚)0.3〜0.5mm、面積あたりの重量3〜6kg/m2のものを好適に用いることができる。また、金属板の種類としては、塗装鋼板や亜鉛めっき鋼板、塗装ガルバリウム鋼板(登録商標)などの各種のものを用いることができ、特に不燃性の材料で構成されていることが好ましい。尚、屋根材10の製造については、公知のロール成形機で製造することができる他、ベンダー加工機で製造してもよく、また、端部加工はヘミング曲げ加工及びプレス加工を使用してもよい。
また、屋根材10の縦横の寸法は、屋根下地30の面積等にあわせて適宜設定すればよく、例えば、縦方向の長さが1000〜2500mm、横方向は150〜1000mmとすることができる。
屋根材10において、凸条部11の個数は特に制限はなく、屋根材10の幅寸法によって任意の個数で形成させることができる。具体的に、屋根材10の幅寸法が150〜1000mmである場合、凸条部11の個数は、2〜7個とすることができる。
ここで、屋根材10のその他の部位について説明する。屋根材10の両側端縁部の一方又は両方は、屋根材10の側端部が裏面側に折り返し屈曲されることにより、二重の金属板で形成された補強片として形成されていてもよい(図示省略)。このように補強片が形成されていると、屋根材10の側端縁部の剛性を高めることができると共に、意匠性や取扱い性も向上するものとなる。
次に、本発明の屋根構造を形成させる方法について、図1、図4及び図5により説明する。
まず、屋根下地30の上面に複数の台座1を固定させる。台座1の屋根下地30への固定は、例えば図4(a)に示すように、ねじや釘等の固定具25を台座1から屋根下地30に向けて貫通させることで行うことができる。ここで、台座1が上述の断面略ハット状のものである場合には、図4(a)のように、両端の支持部2が屋根下地30に接地されるように台座1を配置し、固定具25を、各支持部2に貫通させて屋根下地30に貫通するようにすれば、台座1を屋根下地30に固定することができる。
そして、台座1が断面略ハット状のものである場合、台座1を屋根下地30に配置させる向きは、一方の支持部2が屋根の傾斜方向の上側(水上側)、他方の支持部2が屋根の傾斜方向の下側(水下側)を向くように配置させることが好ましい(図1を参照)。すなわち、台座1を屋根下地30に固定させたときに、台座側面部3bが軒棟方向を向いているようにすることが好ましい。この場合、後述するように、屋根材10の凸条部11が台座1を覆うように敷設されるので、その敷設が行い易く、敷設された屋根材10も安定して屋根下地30に敷設されることになるからである。
複数の台座1の配置位置は、例えば、図4(b)に示すように、屋根下地30の上面において、軒棟方向及びこの軒棟方向と直交する方向に亘って所定の間隔を空けながら設けるようにしてもよい。図4(b)の形態では、屋根下地30の軒棟方向(以下、縦方向ということもある)の略全長に亘って直列に設けられており、縦方向で隣り合う台座1、1間(以下、台座間の縦方向距離Rという)はすべて等間隔となっている。そして、このように直列して配列された複数個の台座1は、軒棟方向と直交する方向(以下、横方向ということもある)にも所定の間隔を空けながら同様の配列で順次設けられている。横方向で隣り合う台座1、1間(以下、台座間の横方向距離Pという)がすべて等間隔とすることができる。
ここで、縦方向距離Rや横方向距離Pの長さは、後述の屋根材10の寸法や、屋根材10に形成された複数の凸条部11の各々の間隔及び屋根付設物20の大きさ、設置台数、設置箇所に合わせて設定すればよい。特に、台座1は、屋根材10を敷設させた場合に、凸条部11で覆われる位置となるように配置させておけばよく、この場合、あらかじめ屋根材10の寸法や凸条部11の間隔を測っておくなどして位置決めをしておいてから、台座1を取り付ければよい。そのため、縦方向距離Rや横方向距離Pは、敷設される屋根材10や屋根付設物20にもよるが、例えば屋根敷設物として太陽電池パネルを設置する場合は、縦方向距離Rは、300〜1500mmとすることができる。尚、上述のように、縦方向距離Rや横方向距離Pは、敷設される屋根材10や屋根付設物20に応じて設定されればよいので、必ずしも、すべての隣り合う台座1、1間の距離を等しくする必要はない。
次いで、図5に示すように、複数個の台座1が固定されて設けられた屋根下地30上に、屋根材10を軒棟方向及びこの軒棟方向と直交する方向に順次敷設していく。本発明では、凸条部11の延伸方向が軒棟方向に沿うように屋根材10を敷設させるものである。
屋根材10は、複数個の台座1が凸条部11で覆われるように敷設させる。このように屋根材10が敷設されると、凸条部10の上端の凸条頂部11aと、台座上部3aとが互いに略平行に上下で重なるようになる。すなわち、台座1は、凸条部11の内側に位置するようになる。この場合、台座上部3aの突起部4により、凸条頂部11aと台座上部3aとの間にはわずかな隙間が生じることがあるが、例えば、敷設された屋根材10を屋根下地30側へ押圧するなどすれば上記隙間がなくなり、凸条頂部11aと台座上部3aとを当接させることができる。屋根材10の屋根下地30側への押圧は、例えば、敷設時に屋根材10を作業者の足で踏みつけるなどすればよい。上記のように凸条頂部11aと台座上部3aとを当接させるようにすると、屋根材10は鋼板のような金属板で形成されたものであるため、屋根材10の凸条頂部11aの表面には、突起部4の形状が転写され、凸条頂部11a表面に突起が浮き出ることになる。この転写された突起の存在によって、屋根材10の表面側からでも台座1の位置を把握することができ、例えば、屋根材10上に付設物を設置させる際の目印にすることができる。
本発明の屋根構造では、屋根材10を上記のように敷設した際、屋根材10に形成されたすべての凸条部11が台座1を覆っている状態になっていなくてもよい。すなわち、台座1を覆わない凸条部11が存在してもよい。具体的には、図1(a)や図5のように、複数の凸条部11は、一つおきの凸条部11で台座1を覆うようにしてもよいし、二つおきの凸条部11で台座1を覆うようにしてもよい。言い換えれば、屋根材10において、軒棟方向に直交する方向に所定の間隔を空けて複数個形成されている凸条部11のうちのいくつかの凸条部11が、屋根下字30上の台座1を覆うようにして敷設されればよい。
そして、上記のように屋根材10を敷設させると、屋根材10を支持する台座1の台座高さH2の方が凸条部高さH1よりも高く形成されているため、固着片15のみが屋根下地30と当接する状態となり、平板部12及び非固着片16と、屋根下地30との間には排出空間7が形成された状態となる。屋根下地30と当接する固着片15には、図1(b)に示すように、その表面側から屋根下地30側へ固定具25を打入させるなどすれば、屋根材10を屋根下地30に固定させることができる。
屋根材10を軒棟方向(縦方向)に敷設していくにあたっては、屋根材10どうしの一部を上下に重ね合わすように敷設していけばよい。この場合、隣接する屋根材10の凸条部11どうしの一部が互いに上下に重ね合わせられるようにすればよい。すなわち、縦方向で隣接する屋根材10、10どうしを縦方向に所定長さだけずらすことで両者の重なり部分(以下、縦重ね代という)を設けつつ、凸条部11どうし及び平板部12どうしが互いに上下に重なり合うように敷設させればよい。また、屋根材10を敷設するにあたって、複数の屋根材10の左右の向きは、いずれも同じ向きになるように敷設させる。すなわち、固着片15から非固着片16へ向かう方向がいずれも同じになるように、複数の屋根材10を敷設させる。尚、屋根材10の縦方向の敷設においては、屋根材10を屋根の水上側端部から水下側端部に向かって敷設させても、その逆方向に敷設させていってもよいが、施工がスムーズに行えるという点で、水下側端部から水上側端部に向かって敷設させることが好ましい。
屋根材10を縦方向に一列敷設した後、新たな屋根材10を別途用意し、これを既に縦方向に敷設された各々の屋根材10に対して一部が互いに重なるようにしつつ、横方向に敷設する。例えば、横方向で隣接する屋根材10において、一方の屋根材10の側端の凸条部11と、他方の屋根材10の側端の凸条部11とが上下で重なり合うようにすればよい。隣接する屋根材10において、少なくとも上側に配置される屋根材10の非固着片16は、下側の屋根材10の平板部12の上面の一部と重なり合った状態となる。
上記のように新たな屋根材10を既に縦方向に敷設された各々の屋根材10に対して横方向にも順次敷設していき、この操作を繰り返し行うことで、屋根下地30に屋根が形成される。
上記のように、屋根材10は台座1に支持されることで、固着片15裏面の略全面のみが屋根下地30と当接しているだけであり、その他の部分は屋根下地30と接触していない。このように、本発明の屋根構造では、屋根材10の平板部12と、屋根下地30との間に排出空間7が形成されて屋根が形成されるものであるので、屋根下地30と屋根材10との間に湿気が溜まりにくく、また、屋根下地30と屋根材10との間に雨水等が浸入したとしても、その排水性もさらに良好なものとなる。すなわち、従来のように、凸条部11と、屋根下地30との間のみに隙間が形成されているだけでなく、平板部12と、屋根下地30との間にも隙間を有するように、屋根材10が敷設されるものである。そのため、雨水や湿気等による屋根下地30や屋根材10への腐食が起こりにくくなり、本発明の屋根構造では、屋根下地30や屋根材10や周辺部材に対して損傷を防止し易いものとなる。
尚、排出空間7の高さ(すなわち、屋根下地30と平板部12との距離)は、固着片深さE1及び非固着片深さE2との差に略等しい高さで形成されるものである。
また、屋根下地30に固定されている台座1は、屋根材10を敷設する際のガイドの役割を果たすものでもあるので、敷設時の屋根材10のずれを防止しやすくなり、敷設作業もスムーズに行うことができる。
次に、図6、7により、本発明の屋根構造において使用する屋根材10の他の形態について説明する。図6に示すように、屋根材10の横方向に複数個形成された凸条部1、1、・・・において、それぞれの凸条部11の幅長さLは、一端側から他端側に向かって段階的に短くなるように形成されている屋根材10を使用することができる。この屋根材10においても、複数の屋根材10を屋根の軒棟方向と直交する方向にずらしつつ、互いの凸条部11どうしを上下に重ね合わせるように敷設した際、凸条部11は、下側に位置する凸条部11が、上側に位置する凸条部11で覆われるように形成されている。
上記屋根材10では、複数の凸条部11のうち、固着片15が形成された側の凸条部11(11R)の幅長さLが最小に形成されており、他方の端部、すなわち、非固着片16が形成された側の凸条部11(11L)の幅長さLが最大に形成されている。従って、この屋根材10では、複数の凸条部11は、非固着片16側の端部から固着片15側に向かって、徐々に幅長さLが小さくなるように形成されている。図6では、凸条部11Lの幅長さLをLmax、凸条部11Rの幅長さLをLminと表記している。以下、最大の幅長さLmaxを有する凸条部11を最大幅凸条部、最小の幅長さLminを有する凸条部11を最小幅凸条部ということがある。このような屋根材10の場合、Lminは、台座幅M(図2(b)参照)よりも大きく形成されていればよい。
隣り合う凸条部11、11の幅長さLの長さの差は、いずれも同じであってもよいし、異なっていてもよいが、屋根材10の敷設時の施工性や、屋根材10の意匠性を考慮すると、同じであることが好ましい。
また、隣り合う凸条部11において、幅長さLが長い方の凸条部11と幅長さLが短い方の凸条部11との幅長さLの比は、1.01〜1.2であることが好ましく、この場合、屋根材10の敷設時の施工性が低下しにくくなると共に、屋根材10の意匠性が低下してしまうおそれが小さくなる。つまり、隣り合う凸条部11の幅長さLが大きく異ならない限りは、屋根材10の外観の美麗性が低下しにくく、また、隣り合う凸条部11の幅長さLの比が上記の範囲であれば、後述のように一方の屋根材10と、他方の屋根材10との側端部どうしの重ね合わせがスムーズに行える。
さらに、屋根材10の両側端部側にそれぞれ形成されている凸条部11L及び凸条部11Rにおいて、それぞれの幅長さLの比、すなわち、最大幅凸条部と最小幅凸条部との幅長さの比(図示ではLmax/Lmin)は、1.1〜1.5であることが好ましく、この場合、屋根材10の意匠性が低下してしまうおそれが小さくなる。
また、最小凸条部の幅長さLminは、台座1の台座幅Mと略同一であることが好ましく、この場合、屋根材10が台座1に強く固定されるので、敷設された屋根材10がずれ動いたり、振動したりするのを防ぐことができ、屋根材10の敷設状態が安定する。そのため、屋根材10の上に付設物等が設置された場合でも、振動が伝わりにくいものとなって付設物の設置状態を安定させることができる。
また、図6の形態の屋根材10のように凸条部11の断面の投影像が略台形状に形成されている場合は、凸条頂部11aの幅長さも同様に一端側から他端側に向かって、段階的に短くなって形成されているものである。
尚、屋根材10のその他の構成については、図1で説明した屋根材10のものと同様である。また、図6の形態の屋根材10の屋根下地30への敷設は、既述した手順と同様に行うことができる。
上記のような屋根材10の場合、横方向で隣接する屋根材10において、互いに上下に重ねられた凸条部11、11に着目すると、下側の凸条部11の幅長さLよりも長い幅長さLを有する凸条部11が上側に位置するようになる。このように、上側の凸条部1の幅長さLの方が、下側の凸条部1の幅長さLよりも長いことによって、屋根材10どうしを横方向に互いに重ね合わせて敷設する際に、必要以上に力を加えなくても重ね合わせができるようになり、屋根の施工性に優れるものである。
そして、横方向で隣接する屋根材10において、上側の屋根材の凸条部11を、下側の屋根材10の複数の凸条部11のうちのいずれの凸条部11に重ね合わせるかによって、横重ね代の長さを調節することが可能であるが、図6の形態の屋根材10では、その横重ね代の長さの調節もしやすいものとなる。尚、ここでいう横重ね代長さTとは、横方向で隣接する屋根材10、10どうしの横方向における重なり長さのことをいう。
一方で、上下に重ね合わせる凸条部11の幅長さLが異なると、屋根材10を敷設したときに横方向にわずかにずれが生じてしまうこともある。しかし、本発明の場合では、屋根下地30にあらかじめ固定された台座1を凸条部11が覆うように屋根材10が敷設されるので、この台座1が敷設時のガイドの役割を果たし、そのようなずれを生じるにくくすることができる。
本発明の屋根構造において、屋根上(屋根材10上)には、例えば太陽電池パネルのような屋根付設物20を設置することができる。以下、屋根上への屋根付設物20の設置について詳述する。ここでは、屋根付設物20として、太陽電池パネルを例に、図7により説明する。
図7は、屋根の横方向(軒棟方向と直交する方向)から見た断面図を示している。ここでは一例として、図7のように汎用の押さえ金具26を有する太陽電池パネルの設置について説明する。
押さえ金具26は、太陽電池パネルのユニット(図7では各ユニットを20aと表記)どうしを接続させるためのパネル接続部26bを有する共に、パネル接続部26bの先端で略直角に屈曲されて太陽電池パネルを屋根材10に固定させるための略平板上の固着部26aを有して略L字状に形成されているものである。また、パネル接続部26bの一端は、2つの係合片26c、26cが左右対称に断面略m字状で形成されており、太陽電池パネルのユニット20aの側端上部に引っ掛け係合されることで、隣接する太陽電池パネルのユニットどうしを接続可能にしている。上記押さえ金具26は、隣接する太陽電池パネルのユニット間に所定の間隔を空けながら複数個設けることができる。また、押さえ金具26は長尺状に形成されていてもよく、このものでは隣接する太陽電池パネルのユニット間において、太陽電池パネルユニットの略全長に亘って設けられることになる。
上記押さえ金具26は一例として示したものであって、もちろんその他の構成のものでもよく、太陽電池パネルと屋根材10とを接続可能にする構成で形成されたものであれば、特に形状は限定されない。また、太陽電池パネルの各ユニット20aは、下部が開口した箱型形状に形成されており、本体部はガラス部材と、この周面を補強する補強部材とで構成されるものが挙げられる。
屋根材10の上面への太陽電池パネルを取付けにあたっては軒側(水下側)から棟側(水上側)の方向に順次行っていくことができる。まず、一方の端部に複数の押さえ金具26が所定の間隔を空けながら設けられた太陽電池パネルのユニット20aを準備し、これを、固着片26aが凸条頂部11a上に当接するように設置させる。この場合、複数の押さえ金具26の各々の固着片26aが、台座1の上側に配置されるようにする。すなわち、固着片26aと台座1とが屋根材10(凸条部11)を介在して上下に重なるようにする。そのため、あらかじめ複数の押さえ金具26の太陽電池パネルのユニット20aへの取付け位置を調整しておけばよいし、また、太陽電池パネルのユニット20aの屋根材10への配置させる位置も、複数の押さえ金具26の各々の固着片26aが、台座1の上側に配置されるように調整させればよい。台座1は、屋根材10の下側に隠れているため、屋根上から台座1を直接視認することはできないが、既述のように凸条頂部11a表面には、台座1の突起部4の形状が転写されて台座1の位置を確認できる目印が存在する。そのため、この目印によって、固着片26aを配置させる場所を容易に判断することができる。また、図2に示すように一つの台座1につき両端に突起部4が形成されていると、凸条頂部11a表面には、目印が2つ形成されるので、両者の目印の間に固着片26aを配置させればよい。そのため、台座1の配置位置のばらつき又はずれ等が生じたとしても、あるいは、屋根下地のひずみ等が生じたとしても、太陽電池パネルの設置位置を適切な位置に調節することが可能にできるものである。しかも、台座上部3aは略平坦状(例えば、長辺が30〜100mm)に形成されていると共に、太陽電池パネルと対向するように設けられているものである。そのため、台座1と、太陽電池パネルとの連結において、台座上部3aが調整面の役割を果たすものとなるので、両者の位置合わせを容易に行うことができ、位置合わせに多少の誤差が生じても問題ないものである。
尚、押さえ金具26は長尺状に形成されている場合は、固着片26aと、凸条部11とが平面上で互いに直交するように太陽電池パネルのユニット20aを配置させればよく、この場合は押さえ金具26が屋根材10の横方向に並んだ凸条部11に架け渡すようになるが、その他については上記と同様である。
次いで、複数の固着片26aのそれぞれに対して屋根下地30の方向へボルト等の固定具25を少なくとも一つ以上貫通させ、各々の固定具25が屋根材10及び台座1(台座上部3a)を貫通するようにする。このようにしてユニット20aの一方の端部を固定し、次いで、他方の端部に新たな押さえ金具26を一方の係合片26cで引っ掛け係合させてユニット20aに取り付けると共に、別のユニット20aを用意して、これを他方の係合片26cに同様に引っ掛け係合させつつ、屋根材10上に設置する。そして、上記と同様の手順で固定具25を貫通させればよい。この操作を順次繰り返し行っていくことで、軒側から端部側に向かってユニット20aが取付けられ、太陽電池パネルが屋根の上に固定されて取り付けられることになる。尚、本発明の屋根構造では、台座1は、上述のようにあらかじめ太陽電池パネルの配置に合わせて位置決めされて設けられているので、適切に位置合わせさせすれば、台座1の上方に固着片26aが配置されるようになる。
本発明の屋根構造の場合では、屋根下地30に設けた台座1に太陽電池パネルを連結させているので、太陽電池パネルが風力や地震等の外力によって振動が増幅されにくいものとなり、結果として、太陽電池パネルの位置ずれが生じにくく、設置状態が安定するものとなる。さらに、台座1は屋根下地30に強固に固着されて配置されているので、このことも太陽電池パネルに大きな振動を生じにくいものとしている。また、太陽電池パネルを屋根材10に設置するにあたって、固定具25はすぐ下の台座1と連結されるように貫通すればよいので、固定具25が斜め貫通されるおそれが小さくなる。そのため、太陽電池パネルがより強固に固定されるものとなるし、また、連結も容易に行えるので施工性にも優れるものとなる。
さらに、屋根材10の下側に台座1が設けられていることで、太陽電池パネルのような重量の大きいものを載置させても、屋根材10の撓みやひずみが生じにくいため、上記外力が加わったとしても、屋根付設物20への振動を抑制させることができるのである。
以上のように、固定具25によって、屋根付設物20と屋根材10とが連結されると共に、屋根付設物20は、屋根材10を介在させてその下側の台座1とも連結されるものであり、しかも、台座1は屋根下地30に固定されたものであるので、屋根付設物20の設置状態がより安定するものとなる。従って、設置後、長期間にわたって屋根付設物20の位置ずれや浮き上がり等を防止することができるものである。
本発明の屋根構造であれば、上記例で示した太陽電池パネルのような発電装置の他、給湯システム装置、換気装置、融雪装置、受信装置等の屋根付設物20を搭載させることも可能であり、いずれの場合でも長期間安定した状態に設置させることができる。
さらに、図7に示すように、固着片26aを貫通させる固定具25は、屋根下地30には挿入されていない状態にすることが好ましい。すなわち、固定具25の挿入側の先端である固定具先端部25aが屋根下地30に到達していないことが好ましい。固定具25が屋根下地30に挿入されてしまうと、例えば、台部3の内側(すなわち、台座1と屋根下地30との間の空間部分)に雨水等が浸入してしまった場合に、その雨水が固定具25と屋根下地30との挿入部分の隙間にも浸入し、屋内側に漏水してしまうおそれがある。しかし、固定具25が屋根下地30に挿入されていない場合、そのような屋内側への漏水を防止しやすくなり、防水性を高めることができる。尚、支持部2に貫通されている固定具25は屋根下地30を貫通しているが、この場合、支持部2と屋根下地30とが強固に密着しているので、この貫通部分への雨水等の浸入は起こりにくいものである。
また、断面略ハット状の台座1を使用する場合、固定具25は台座上部3aに貫通されると共に、屋根下地30に固定させるための固定具25は支持部2に貫通されており、固定具25と固定具25とが屋根下地30に対して鉛直方向で同一直線状に並んでいない。すなわち、固定具25と固定具25とが屋根下地30に対して左右にずらされつつ貫通されている。この結果、仮に雨水が固定具25と屋根材10との隙間から浸入して固定具25をつたって流れたとしても、その直下には固定具25が挿入されているわけでないので、屋根下地30より下側(屋内側)に雨水が浸入する可能性が非常に低いといえるものである。