JP3177929U - ソーラーモジュール取付構造、および屋根 - Google Patents
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Abstract
【課題】ソーラーモジュールを屋根に取り付ける際の作業性を向上させることができるソーラーモジュール取付構造を提供する。
【解決手段】凹凸部の長手方向が屋根1の傾斜方向に一致するように野地板2上に配置された波板11と、固定用部材12と、波板11を固定用部材12を介して野地板2に固定する波板固定具とを備えた。固定用部材12は、波板11の連続する複数の凹凸部を覆う横幅と高さを有し、下面が開放した矩形断面を有し、凹凸部の長手方向に伸びた長手部材である。固定用部材12は、ソーラーモジュール4の被固定部となる。
【選択図】 図2
【解決手段】凹凸部の長手方向が屋根1の傾斜方向に一致するように野地板2上に配置された波板11と、固定用部材12と、波板11を固定用部材12を介して野地板2に固定する波板固定具とを備えた。固定用部材12は、波板11の連続する複数の凹凸部を覆う横幅と高さを有し、下面が開放した矩形断面を有し、凹凸部の長手方向に伸びた長手部材である。固定用部材12は、ソーラーモジュール4の被固定部となる。
【選択図】 図2
Description
本考案は、ソーラーモジュールを建物の屋根に組み込むことにより屋根に取り付けるための取付構造、およびその取付構造によりソーラーモジュールが取り付けられた屋根に関する。
今日、太陽光発電システムが広く普及し、一般家庭の家屋の屋根にも取り付けられるようになった。これに伴い、ソーラーモジュールを屋根に取り付ける技術の開発も進められている。例えば、ソーラーモジュールを屋根に取り付ける技術の一つが、特許文献1に開示されている。
特許文献1の技術は、建物の屋根の野地板上に波形金属板を取り付け、この波形金属板の上面側に保持具を介して太陽電池モジュールパネルを取り付けるものであった。
特許文献1の技術は、波形金属板の上流側、下流側および左右方向両端を防水することにより、野地板に雨漏りが生じることを防止するものであった。しかし、ソーラーモジュールを屋根に取り付ける際の作業性の観点からは、未だ不安が残るものであった。
具体的には、仮に屋根上の誤った位置に、ソーラーモジュールを屋根に取り付けるための固定具(例えば釘、ビス)を取り付けてしまった場合、固定具を介して空いた穴から、雨漏りが生じてしまうなどの問題が生じる恐れがある。また、誤った取付は、ソーラーモジュールの取付強度にも影響を及ぼす恐れがある。すなわち、屋根上における強度が保証される箇所以外の箇所に固定具を取り付けてしまった場合、ソーラーモジュールが屋根に強固に固定されず、強風によりソーラーモジュールが煽られる恐れがあった。
また、特許文献1の波形金属板は山部(凸部)と谷部(凹部)とを有する。この谷部は、雨水の通り道となる。固定具を波形金属板を介して野地板に固定する際、谷部に固定具を取り付けてしまうと、この固定具は雨水により腐食してしまう恐れがある。このため、特許文献1においては、固定具は山部に取り付ける必要があり、固定具の取付箇所の選定作業が容易ではなかった。
本考案はこのような事情を考慮してなされたもので、ソーラーモジュールを屋根に取り付ける際の作業性を向上させることができるソーラーモジュール取付構造、および屋根を提供することを目的とする。
本考案に係るソーラーモジュール取付構造は、上述した課題を解決するために、凹凸部の長手方向が屋根の傾斜方向に一致するように屋根の構成部材上に配置された波板と、前記波板の連続する複数の凹凸部を覆う横幅と高さを有し、下面が開放した矩形断面を有し、前記凹凸部の長手方向に伸びた長手部材である固定用部材と、前記波板を前記固定用部材を介して前記屋根の構成部材に固定する波板固定具とを備え、前記固定用部材は、ソーラーモジュールの被固定部となることを特徴とする。
さらに、本考案に係る屋根は、凹凸部の長手方向が屋根の傾斜方向に一致するように屋根の構成部材上に配置された波板と、前記波板の連続する複数の凹凸部を覆う横幅と高さを有し、下面が開放した矩形断面を有し、前記凹凸部の長手方向に伸びた長手部材である固定用部材と、前記波板を前記固定用部材を介して前記屋根の構成部材に固定する波板固定具と、前記固定用部材を被固定部として設置されたソーラーモジュールと、を備えたことを特徴とする。
本考案に係るソーラーモジュール取付構造、および屋根においては、ソーラーモジュールを屋根に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
本考案に係るソーラーモジュール取付構造、および屋根の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本考案に係るソーラーモジュール取付構造、および屋根は、種々の屋根材で構成される屋根に適用することができる。例えば、粘土、金属、セメント、スレート(コロニアル、カラーベスト)、などで形成される瓦材が葺かれた屋根、スレート、金属などの板材が葺かれた屋根、植物が植えられた緑化屋根などの屋根に適用することができる。また、本考案に係るソーラーモジュール取付構造は、新たに施工される屋根、および既存の屋根のいずれであっても、適用することができる。以下の実施形態においては、本考案に係るソーラーモジュール取付構造、および屋根を、瓦材が葺かれた屋根を例に説明する。
図1は、本考案に係るソーラーモジュール取付構造および屋根の一実施形態を示す斜視図である。
図2は、本考案に係るソーラーモジュール取付構造および屋根の一実施形態を正面から見た断面図である。
図3は、本考案に係るソーラーモジュール取付構造および屋根の一実施形態を側面から見た断面図である。
本実施形態におけるソーラーモジュール取付構造は、野地板2上に瓦材3が葺かれた屋根1に適用される。屋根1は、例えば傾斜を有する屋根である。ソーラーモジュール取付構造は、一部の瓦材3を取り除き形成された領域に、ソーラーモジュール4をはめ込む、いわゆるビルトイン式の構造を有する。なお、本実施形態の説明に用いる屋根のソーラーモジュール取付構造以外の部分は、一例であって、構造はこれに限らない。
図1に示すように、屋根1は、ソーラーモジュール4が配置されるビルトイン領域1aと、ソーラーモジュール4が配置されない非ビルトイン領域1bとを有する。なお、図1においては、ビルトイン領域1aおよび非ビルトイン領域1bとは、図示上下左右方向において略対称的な構造を有するため、屋根1の傾斜方向および横方向の各一端(下端および左端)のみ図示し、各他端は図示を省略する。
図1および3に示すように、ビルトイン領域1aは、屋根1の頂部から傾斜下方向に所定距離離れた箇所1cと、例えば雪止金具6が設置される軒先1dから傾斜上方向に所定距離離れた箇所1eとに、屋根1の傾斜方向(垂木7の長さ方向)の両端部を有する。また、図1および2に示すように、ビルトイン領域1aは、屋根1の横方向両端から中心方向に所定距離離れた箇所1fに、屋根1の横方向(母屋方向、垂木7の長さ方向と直交する方向)の両端部を有する。これらの端部は、瓦材3と隣接する。
図2および図3に示すように、ビルトイン領域1aおよび非ビルトイン領域1bの双方において、野地板2およびアスファルトルーフィング8(以下、単に「野地板2など」という。)が垂木7の上に配置される。非ビルトイン領域1bには、野地板2などの上に瓦材3が配置される。ビルトイン領域1aの全体および非ビルトイン領域1bの少なくとも一部には、野地板2などの上に波板11および固定用部材12が配置される。
波板11は、トタン、ガルバニウム鋼板などのメッキ鋼板や、ステンレス鋼板、アルミ板の金属製波板や、塩ビ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂などの樹脂製波板などや、FRP波板、GRP波板など、各種建築用波板を適用することができる。特に、波板11に強度をもたせる場合には、トタンなどの金属製波板が好ましい。なお、波板11の各波の断面は曲線状でもV字状でも、断面台形状でもよい。
固定用部材12は、波板11の凹凸部11aの長手方向に伸びた長手部材である。ここで、図4は、固定用部材12の斜視図である。図5は、固定用部材12が波板11上に配置された場合の斜視図である。固定用部材12は、波板11の連続する複数の凸部11bを覆う横幅wと高さhとを有する。固定用部材12は、下面が開放した矩形断面を有する。
固定用部材12の矩形断面の横幅wは、強度や、重量などの観点から、例えば波板11の2〜3個の波を覆う横幅であることが好ましい。また、固定用部材12の矩形断面形状は、波板11への密着性の観点から、波板11側に開拡する脚部12aを有する台形形状であることが好ましい。すなわち、「矩形」には、台形形状のものも含む。固定用部材12の矩形断面の高さhは、強度の観点から、固定用部材12の上面12b側が波板11の凸部11bの頂部に接する高さであることが好ましい。
固定用部材12は、ガルバニウム鋼板などのメッキ鋼板などの波板11を固定するだけの強度を有する材質で構成される。固定用部材12をガルバニウム鋼板などのメッキ鋼板で構成した場合、加工性、耐熱性、不燃性、防錆性、強度、特にビスなどの固定具の打ち込み時における耐座屈性に優れた部材となる。
固定用部材12の少なくとも上面には、屋根1の防水性の観点から、ブチルテープなどの防水材14が貼着される。
波板11は、波板11の凹凸部11aの長手方向が、屋根1の傾斜方向に一致するように野地板2などの上に配置される。図2に示すように、波板11は、少なくともビルトイン領域1aの横方向長さに相当する長さ、またはビルトイン領域1aの横方向長さよりもさらに大きい長さを有する。また、図3に示すように、波板11および固定用部材12の傾斜方向下端は、ビルトイン領域1aの傾斜方向下端よりも大きい長さを有し、非ビルトイン領域1bに含まれる軒先1dまで達する長さを有する。波板11および固定用部材12の傾斜方向上端は、ビルトイン領域1aの傾斜方向上端よりも大きい長さを有し、非ビルトイン領域1bに達する長さを有する。すなわち、波板11および固定用部材12は、ソーラーモジュール4が配置されたビルトイン領域1aの傾斜方向の範囲よりも大きい範囲に配置される。
また、波板11上には、固定用部材12が配置される。この固定用部材12は、ソーラーモジュール4および波板11を屋根1上に固定するのに適した位置であれば、波板11上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、固定強度の観点から、垂木7が配置された位置に対応する位置に設置されることが好ましい。
波板11は、釘やビスなどの波板固定具15を用いて、野地板2などや垂木7に固定される(後述する図9参照)。波板固定具15は、固定用部材12の上面12bを介して野地板2などや垂木7に打ち込まれるため、波板11は、固定用部材12を介して固定される。
また、図2に示すように、屋根1の横方向両端部に配置される各固定用部材12には、水案内板12cが設けられる。水案内板12cは、屋根1の横方向両端部に配置された固定用部材12から連続して非ビルトイン領域1bまで延びた板である。水案内板12cは、予め固定用部材12と一体に、または、固定用部材12と別体であって、固定用部材12に取り付けられる事により固定用部材12と一体に構成される。
固定用部材12の上面12bには、架台支持金具20およびレール21が設けられる。架台支持金具20およびレール21は、ソーラーモジュール4を屋根1に取り付けるための固定具である。レール21は、ソーラーモジュール4を屋根1に取り付けるための図示しない固定具を、位置決めの際に移動させるガイドである。架台支持金具20は、レール21を固定用部材12に固定するための部材である。架台支持金具20は、ボルトおよびナットなどの固定具により固定用部材12に固定される。レール21は、例えばボルトおよびナットで架台支持金具20に固定される。
レール21上には、ソーラーモジュール4がアレイ状に配置される。ソーラーモジュール4は、レール21上に配置された所定の固定具で固定される。
なお、本実施形態においては、ソーラーモジュール4を屋根1に取り付ける方法として、固定用部材12上に架台支持金具20、レール21、および所要の固定具を用いる方法を説明したが、ソーラーモジュール4の取付方法はこれに限らない。例えば、ソーラーモジュール4は、固定用部材12に直接取り付けたり、レール21を省略したりしてもよい。
図3に示すように、ビルトイン領域1a(ソーラーモジュール4)の傾斜上方側の端部1cと、この端部1cと隣接する瓦材3との間隙は、遮蔽部材としてのアレイ上部カバー25により遮蔽される。ここで、図6は、アレイ上部カバー25の一部を示す斜視図である。
アレイ上部カバー25は、例えば一枚の金属板で形成される。アレイ上部カバー25は、ビルトイン領域1aの横方向長さに応じて複数枚の金属板を連続して配置してもよい。アレイ上部カバー25は、基部25aと、基部25aから略垂直に立ち上がる脚部25bと、基部25aと略平行する方向に伸びた鍔部25cとを有する。基部25aと脚部25bとの境界には、基部25a上を流れる水を掃くための孔25eが設けられる。鍔部25cは、隣接するソーラーモジュール4と瓦材3とが密に接するよう、鍔部25cとソーラーモジュール4および瓦材3との高さの違いを吸収するため、ソーラーモジュール4と接する端部25dに若干の傾斜を有する。
また、図3に示すように、ビルトイン領域1aの傾斜下方側の端部1eと、この端部1eと隣接する瓦材3との間隙は、遮蔽部材としての軒先瓦カバー26により遮蔽される。さらに、図2に示すように、ビルトイン領域1aの横方向の両端部1fと、この両端部1fと隣接する瓦材3との間隙は、遮蔽部材としての側面瓦カバー27により遮蔽される。図7は、軒先瓦カバー26の一部を示す斜視図である。図8は、側面瓦カバー27の一部を示す斜視図である。
図7に示すように、軒先瓦カバー26は、例えば一枚の金属板で形成される。軒先瓦カバー26は、基部26aと、基部26aから略垂直に立ち上がる脚部26bと、基部26aと略平行する方向に伸びた鍔部26cとを有する。基部26aと鍔部26cとは、脚部26bに対して互いに逆方向に伸びている。鍔部26cは、端部が折り曲げられて瓦材側折曲部26dを形成する。
また、図8に示すように、側面瓦カバー27は、例えば一枚の金属板で形成される。側面瓦カバー27は、基部27aと、基部27aから略垂直に立ち上がる脚部27bと、基部27aと略平行する方向に伸びた鍔部27cとを有する。基部27aと鍔部27cとは、脚部27bに対して互いに逆方向に伸びている。また、鍔部27cは、脚部27bに対して折り曲げられる際、一旦基部27a側に折り曲げられ、モジュール側折曲部27dを形成する。その後、鍔部27cは、再度戻るように折り曲げられて基部27aの伸び方向と逆方向に伸びる。さらに、鍔部27cは、端部が折り曲げられて瓦材側折曲部27eを形成する。
次に、このようなソーラーモジュール取付構造を構成するための、ソーラーモジュール4の取付方法について説明する。以下の取付方法は、瓦材3が葺かれた既存の屋根1に適用する場合を例に説明する。取付方法が新築の屋根に適用される場合には、以下の第2の工程のうち、瓦材3を取り除く作業が省略される以外は、略同様の工程であるため、ここでは説明を省略する。
第1の工程として、ビルトイン領域1aにおいて、ソーラーモジュール4が配置される位置が墨出しされる。
第2の工程として、ビルトイン領域1a全体と、非ビルトイン領域1bの一部に葺かれた瓦材3が取り除かれる。非ビルトイン領域1bにおける瓦材3が取り除かれる領域は、次工程で設置される波板11が配置される領域に対応する。瓦材3が取り除かれると、野地板2など(ルーフィング4)が露出する。
第3の工程として、野地板2などの上に、波板11および固定用部材12が設置される。まず、野地板2などの上に、波板11が設置される。波板11は、波板11の凹凸部11aの長手方向が、屋根1の傾斜方向に一致するように配置される。また、凹凸部11aの長さ方向に沿って、固定用部材12が配置される。固定用部材12は、例えば3個の凸部11bを覆うように、屋根1の横方向に所定の間隔で配置される。固定用部材12は、ソーラーモジュール4を固定するための架台支持金具20およびレール21が取り付けられる位置に応じて、例えば等間隔に配置される。
次に、固定用部材12を介して、波板11を野地板2などに固定するための作業が行われる。すなわち、固定用部材12の上面12bから釘やビスなどの固定具が打ち込まれ、その結果、波板11は固定用部材12と共に野地板2などに固定される。波板11の固定作業の詳細は、後述する。
第4の工程として、固定用部材12上に、架台支持金具20およびレール21が取り付けられる。このとき、固定用部材12は屋根1の横方向に所定の間隔で、また波板11の凹凸部11aの長さ方向、すなわち屋根1の傾斜方向に沿って配置されている。このため、固定用部材12が、架台支持金具20、レール21、ソーラーモジュール4を波板11上に設置する際のガイド部材として機能する。これにより、固定用部材12は、架台支持金具20およびレール21などのソーラーモジュール4の固定具を波板11上に取り付ける際の位置決めを正確かつ容易とすることができる。
例えば、固定用部材12は屋根1の横方向については所定の間隔で波板11上に取り付けられている。このため、ソーラーモジュール4を本実施形態のように架台支持金具20およびレール21を介して取り付ける場合、架台支持金具20およびレール21の屋根1の横方向の位置決めは、この固定用部材12を基準に容易に行うことができる。作業者は、架台支持金具20の屋根1の傾斜方向の間隔のみを決定すればよく、作業時間を短縮することができる。
第5の工程として、レール21上に、ソーラーモジュール4が設置される。結果として、固定用部材12は、ソーラーモジュール4が屋根1に取り付けられる際の被固定部となる。
第6の工程として、ビルトイン領域1aと非ビルトイン領域1bとの境界部に、アレイ上部カバー25、軒先瓦カバー26、および側面瓦カバー27が設置される。
図3に示すように、アレイ上部カバー25の基部25aは、ボルトなどの固定具により、固定用部材12を介して波板11や野地板2などに固定される。基部25aは、隣接するソーラーモジュール4と瓦材3との間に脚部25bが配置されるように固定される。鍔部25cは、隣接するソーラーモジュール4と瓦材3とに端部25dをそれぞれ密に接することにより、ソーラーモジュール4を配置するために整形された瓦材3の美観を保ち、屋根1の意匠性を保つ。また、アレイ上部カバー25は、隣接するソーラーモジュール4と瓦材3との間隙に雨水や塵埃が入ることを防止することもできる。
図3に示すように、軒先瓦カバー26の基部26aは、ボルトなどの固定具により、ソーラーモジュール4およびレール21の下方に配置された波板11や野地板2などに固定用部材12を介して固定される。基部26aは、隣接するソーラーモジュール4と瓦材3との間に脚部26bが配置されるように固定される。鍔部26cは、瓦材側折曲部26dで瓦材3に密に接しながら、瓦材3を覆う。
図2に示すように、側面瓦カバー27の基部27aは、釘やビスなどの固定具により、ソーラーモジュール4の下方に配置された野地板2などに固定用部材12を介して固定される。基部27aは、隣接する瓦材3とソーラーモジュール4の間に脚部27bが配置されるように固定される。鍔部27cは、モジュール側折曲部27dでソーラーモジュール4の上方を覆う。また、鍔部27cは、瓦材側折曲部27eで瓦材3に密に接しながら、瓦材3を覆う。軒先瓦カバー26および側面瓦カバー27もアレイ上部カバー25と同様に、屋根1の意匠性を保ったり、瓦材3との間隙に雨水や塵埃が入ることを防止したりする。
第7の工程として、非ビルトイン領域1bから取り除かれた瓦材3が、元の位置に戻される。
このようなソーラーモジュール取付方法により施工されたソーラーモジュール取付構造および屋根1は、ビルトイン領域1aおよび非ビルトイン領域1bに亘って波板11および固定用部材12が設置されている。この固定用部材12は、波板11を野地板2などに取り付けるための固定具や架台支持金具20などを取り付けるための固定面となっている。また、この固定用部材12で覆われた波板11の凹凸部11aは、屋根1の傾斜方向において、ビルトイン領域1aおよび非ビルトイン領域1bに亘って覆われている。すなわち、固定用部材12で覆われた凹部11cには雨水が入り込むことがない。具体的には、固定用部材12の屋根1の傾斜方向の上端側は、非ビルトイン領域1bの瓦材3まで延びており、その上端側の開口部からは、雨水が入り込むことがない。また、固定用部材12の屋根1の傾斜方向の下端側は、非ビルトイン領域1bの軒先1dまで延びている。この結果、固定用部材12で覆われた波板11の凹凸部11aは、雨水の通り道にはほとんどならない。
また、このような固定用部材12が設けられていると、この固定用部材12の上面12bを足場にして作業ができるので、ソーラーモジュール4の取付作業を安全に行える。
次に、波板11および固定用部材12の野地板2などに対する固定作業の詳細について説明する。
図9は、固定用部材12を用いて波板11を野地板2などに固定した状態を示す説明断面図である。
垂木7上に固定配置された野地板2上に波板11を配置して、この波板11の連続する3つの凸部11bを覆うように波板11上に固定用部材12を配置する。その後、釘やビスなどからなる波板固定具15を、固定用部材12、波板11、野地板2を順次貫通させて垂木7に向かって打ち込む。なお、波板固定具15は、必ずしも垂木7に打ち込まれる必要はない。
ここで、固定用部材12がない場合、波板11の凹凸部11aのうち凹部11cは、通常雨水の流路となったり、雨水が滞留したりする。このため、凹部11cに波板固定具15を打ち込むと、雨水により固定具が腐食してしまい、雨漏りが発生したり屋根の老朽化が進んでしまったりする。このため、一般的には、固定具は凹凸部11aのうち、凸部11bに打ち込む必要がある。
これに対し、本実施形態におけるソーラーモジュール取付構造は、波板固定具15などの取付箇所となる波板11の凹凸部11aを固定用部材12により覆う。上述した通り、覆われた凹凸部11aは、雨水の通り道にならない。このため、固定用部材12の上面であれば、波板固定具15などが凹部11cに打たれても、波板固定具15などが腐食することがない。
具体的には、固定用部材12を用いて波板11を固定した場合、図9に示すように、波板固定具15が波板11の凹部11cに打ち込まれることもある。この場合であっても、波板11の凹部11cは固定用部材12によって覆われており雨水に晒されないため、波板固定具15が錆びたりしたり、また、そこから漏水を起こすということもない。
また、固定用部材12の上面12b全体が釘やビスなどの波板固定具15などを打ち込む面として利用される。これにより、波板固定具15などを波板11に打ち込める範囲が広くなり、固定具の打ち込み作業がしやすくなる。
また、固定用部材12の上面12bに防水用の防水材14を貼着した場合には、波板固定具15の周囲からの漏水の問題も生じない。
このようなソーラーモジュール取付構造は、ソーラーモジュール4を屋根1に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
すなわち、固定用部材12で覆われた波板11の凹凸部11aは、雨水の通り道にはならないため、固定用部材12の上面12b上であれば、波板11上の凹凸を選ばずに、どこにでも固定具を打ち込むことができる。
また、固定用部材12は、ソーラーモジュール4や、ソーラーモジュール4を取り付けるための固定具を波板11や野地板2などに設置する際のガイドとして機能する。このため、取付位置の位置出し作業を容易に行うことができる。
また、固定用部材12は、ソーラーモジュール4を取り付ける際の足場としても機能する。作業者は、不安定な波板11上を渡ったり作業したりする必要がなく、安全に作業性よく作業することができる。
なお、固定用部材12の断面形状は、直線からなる矩形に限らず曲線を含むものであってもよい。
アレイ上部カバー25、軒先瓦カバー26、および側面瓦カバー27は、省略してもよい。
本考案に係るソーラーモジュール取付構造、および屋根においては、野地板2、アスファルトルーフィング8は、必須の構成ではなく省略してもよく、これら以外の屋根20の構成部材上に波板11を設置してもよい。
波板11は、固定用部材12を介して波板固定具15で固定される必要はなく、固定用部材12で覆われる領域であれば直接野地板2などに直接固定されてもよい。
固定用部材12の上面に、防水材14を貼着する代わりに、または防水材14とともに、固定用部材12に打ち付けられる釘やビスなどの固定具にシール機能を持たせたものを使用してもよい。例えば、固定具において打ち込まれたりねじ込まれたりする部分(固定用部材12などを貫通する部分)にシール材を取り付けることにより、シール機能を有する固定具が得られる。
実際の施工においては、野地板2などの上には屋根20の寸法に応じて用意された複数枚の波板11が、部分的に重なり合いながら配置される。屋根20の横方向においても、波板11は複数個の凹凸部11aが重なり合うことになる。重なり合った箇所においては、各波板11を固定するために、釘やビスなどの固定具により野地板2などの上に固定されることになる。そこで、他の実施形態として波板11の横方向端部が固定用部材12とほぼ同様の形状となるように形成し、波板11と固定用部材12とが一体となった一体型波板40を用いてもよい。
図10(A)は波板41が曲線状である場合の一体型波板40を示す斜視図であり、(B)は波板41がV字状である場合の一体型波板を示す斜視図である。
図11は、隣接する一体型波板40が重なり合って配置された際の斜視図である。
一体型波板40は、波板41の横方向端部に、固定用部材42を有する。固定用部材42は、波板形成時において端部のみを断面矩形上に変形することにより形成される。固定用部材42は、上述した固定用部材12とほぼ同様の形状を有する。一体型波板40は、図11に示すように、隣接する波板41の複数個の凸部を覆うように、野地板2などの上に配置される。
一体型波板40を用いることにより、波板11と固定用部材12との2点の部材が1点の部材になり、部材点数を減らすことができる。また、部材点数の低減に伴い、野地板2などに設置する際の作業を容易にすることができる。すなわち、一体型波板40の固定と同時に、固定用部材42を設置することができる。さらに、一体型ではない波板11を用いる場合、波板11が横方向において重なり合う箇所と、固定用部材12とが配置される箇所とが重なり合う可能性がある。この場合、波板11を固定する釘やビスなどの固定具は、3枚の鋼板を貫通する必要がある。しかし、一体型波板40を用いる場合、波板41を固定するためには、波板41と固定用部材42との2枚の鋼板を貫通すればよい。これにより、優れた施工性を得ることができる。さらにまた、波板11と固定用部材12とを別体として製造する手間を省略することができる。
また、一体型波板40の横方向の寸法、すなわち固定用部材42の間隔が、垂木7の横方向の間隔と一致するように設定することにより、隣接し重なり合う波板41と固定用部材42とを固定するために打ち付けられる釘やビスなどの固定具の固定先を、垂木7上とすることができる。一体型波板40の設置後においては、固定用部材42を介して打ち付けられる固定具は、垂木7上に固定させることもできる。
さらに他の実施形態として、波板11と野地板2(屋根)との間における結露を防止するため、結露防止材を配置してもよい。これにより、結露により水滴が発生し、水滴が野地板2から屋内に浸入することを防止することができる。結露防止材は、例えば発泡材を用いることができる。例えば、結露防止材は、波板11の長さ方向においては両端部間に亘って配置される。また、例えば、結露防止材は、波板11の横方向においては、波板11と波板11とが重なり合う箇所(すなわち横方向端部)以外の箇所に配置される。波板41と固定用部材42とが一体となった一体型波板40を用いる場合には、波板41の横方向端部と固定用部材42以外の箇所に配置される。
結露防止材は、例えば波板11、40の波形状などを形成する前の平板の一方の面に貼付けられる。このとき、横方向に相当する端部においては、結露防止材が貼付けられない。結露防止材が貼付けられた平板は、波形状または固定用部材の形状に変形されることにより、結露防止材付きの波板11、40が形成される。
1 屋根
1a ビルトイン領域
1b 非ビルトイン領域
2 野地板
3 瓦材
4 ソーラーモジュール
6 雪止金具
7 垂木
8 アスファルトルーフィング
11 波板
12 固定用部材
20 架台支持金具
21 レール
25 アレイ上部カバー
26 軒先瓦カバー
27 側面瓦カバー
1a ビルトイン領域
1b 非ビルトイン領域
2 野地板
3 瓦材
4 ソーラーモジュール
6 雪止金具
7 垂木
8 アスファルトルーフィング
11 波板
12 固定用部材
20 架台支持金具
21 レール
25 アレイ上部カバー
26 軒先瓦カバー
27 側面瓦カバー
Claims (6)
- 凹凸部の長手方向が屋根の傾斜方向に一致するように屋根の構成部材上に配置された波板と、
前記波板の連続する複数の凹凸部を覆う横幅と高さを有し、下面が開放した矩形断面を有し、前記凹凸部の長手方向に伸びた長手部材である固定用部材と、
前記波板を前記固定用部材を介して前記屋根の構成部材に固定する波板固定具とを備え、
前記固定用部材は、ソーラーモジュールの被固定部となることを特徴とするソーラーモジュール取付構造。 - 前記屋根は、前記ソーラーモジュールがビルトイン方式で配置されるビルトイン領域と、前記ソーラーモジュールが配置されない非ビルトイン領域とを有する請求項1記載のソーラーモジュール取付構造。
- 前記波板の前記屋根の傾斜方向に直交する方向である横方向長さは、少なくとも前記ビルトイン領域の前記横方向長さに相当する長さ、または前記ビルトイン領域の前記横方向長さよりも大きい長さを有し、
前記波板の傾斜方向下端は、前記ビルトイン領域の傾斜方向下端よりも大きい長さを有し、前記非ビルトイン領域に含まれる軒先まで達する長さを有し、
前記波板の傾斜方向上端は、前記ビルトイン領域の傾斜方向上端よりも大きい長さを有し、前記非ビルトイン領域に達する長さを有し、
前記固定部材の傾斜方向下端および上端は、前記波板の傾斜方向下端および上端とそれぞれほぼ等しい長さを有する請求項2記載のソーラーモジュール取付構造。 - 前記矩形断面が波板側に開拡する台形形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のソーラーモジュール取付構造。
- 前記固定用部材の上面に沿って防水材を貼着したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のソーラーモジュール取付構造。
- 凹凸部の長手方向が屋根の傾斜方向に一致するように屋根の構成部材上に配置された波板と、
前記波板の連続する複数の凹凸部を覆う横幅と高さを有し、下面が開放した矩形断面を有し、前記凹凸部の長手方向に伸びた長手部材である固定用部材と、
前記波板を前記固定用部材を介して前記屋根の構成部材に固定する波板固定具と、
前記固定用部材を被固定部として設置されたソーラーモジュールと、
を備えたことを特徴とする屋根。
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JP2012003541U JP3177929U (ja) | 2012-06-13 | 2012-06-13 | ソーラーモジュール取付構造、および屋根 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016050430A (ja) * | 2014-08-29 | 2016-04-11 | 株式会社神清 | 屋根構造 |
CN110572114A (zh) * | 2019-05-09 | 2019-12-13 | 江苏省建筑工程集团有限公司 | 一种用于屋顶的太阳能发电和雨水回收装置 |
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