JP7497282B2 - 軒先構造 - Google Patents

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Description

本開示は、軒先構造に関する。
従来、陸屋根などの屋根の軒先構造として、軒先に設けられたパラペットカバーと屋根パネルの屋根ふき材との間に設けられた軒先空間に沿って軒樋が設けられ、軒先空間の上方がパラペット上カバーに覆われた軒先構造が知られている(例えば、特許文献1)。
この従来技術では、パラペット上カバーにより軒樋に枯葉が堆積したり、積雪の荷重が軒樋に直接かかったりするのを抑制し、軒樋を保護することができる。
特開2015-161128号公報
しかしながら、上述の従来技術では、降雨量が多い場合に、パラペット上カバーの軒先に沿う方向である長手方向の端部の水が、軒樋に確実に誘導されずに、一部が軒天井などに漏れるおそれがあった。
そこで、本開示は、パラペット上カバーに降った雨水を確実に軒樋に誘導可能な軒先構造を提供することを目的としている。
本開示の軒先構造では、略平行に設置された一対の屋根フレームと、前記屋根フレーム間を塞ぐように配置される屋根ふき材とを備える屋根パネルが、前記屋根フレームの延在方向に直交する方向に複数並設されて屋根が形成されている。また、前記屋根の水下側の先端部に設けられた庇部の先端部がパラペットで覆われ、前記庇部の内部に軒樋が設けられ、前記庇部を上方から覆うパラペット上カバーが設けられている。
そして、前記パラペット上カバーは、前記庇部を覆う水下側受部と、前記水下側受部の軒先側端部および前記庇部に沿う長手方向の端部とに起立されたフランジと、を備え、前記パラペット上カバーの前記水下側受部が、前記屋根フレームの先端部に設けられたパラペット上カバー受材により支持されている。
また、前記パラペット上カバー受材は、前記屋根フレームの側面に沿って配置された受材側板と、前記受材側板から前記庇部の内部に向けて突出されるとともに、前記軒樋に向かって下がる傾斜が付与され、前記水下側受部の長手方向端部が固定された支持板と、を備える。
さらに、前記パラペット上カバーの長手方向の両端部および前記支持板の下方に、水下水切部材が設けられている。前記水下水切部材は、前記パラペット上カバー受材の前記支持板の下方に配置され、上方からの水を受け止め可能な平板状で、前記軒樋に向かって下がる第1の傾斜が付与された水受板部と、前記水受板部の第1の傾斜の下側に連続し設けられ、前記水受板部から落下する水を前記軒樋に導くように前記庇部に沿う方向に下がる傾斜が付与された軒樋ガイド部と、を備える。そして、前記水受板部は、前記庇部に沿う方向で前記屋根フレームに近付くほど下がる第2の傾斜がさらに付与されている。
本開示の軒先構造では、パラペット上カバーの長手方向の端部から漏れた雨水は、パラペット上カバー受材の支持板で受け止められ、支持板の傾斜に基づいて軒樋に誘導される。また、パラペット上カバー受材の支持板の傾斜に誘導されずに、支持板の幅方向の先端から落下した雨水は、水下水切部材の水受板部で受け止められる。水受板部で受け止められた雨水は、水受板部の第1の傾斜方向である軒樋の方向に導かれる。その際、水受板部は第2の傾斜方向に基づいて屋根フレームに近付きながら軒樋に導かれ、水受板部において屋根フレームから遠い側の解放された端縁部から庇部の内部に落下するのを抑制できる。したがって、パラペット上カバーに降った雨水を確実に軒樋に誘導可能である。
実施の形態1の軒先構造を示す断面図である。 実施の形態1の軒先構造における屋根パネルの構造を示す分解斜視図である。 実施の形態1の軒先構造におけるパラペット上カバーの取付状態を示す斜視図である。 実施の形態1の軒先構造における屋根パネル同士の間に設置されるパラペット上カバー受材の取付状態を示す斜視図である。 実施の形態1の軒先構造における縦カバーの取付状態を示す斜視図である。 実施の形態1の軒先構造における建物の端部に配置された屋根パネルに設置されるパラペット上カバー受材の取付状態を示す斜視図である。 実施の形態1の軒先構造における水下水切部材を示す斜視図である。 実施の形態1の軒先構造における水下水切部材を示す図であり、(a)は水下水切部材の平面図、(b)は水下水切部材の側面図、(c)は水下水切部材の正面図、(d)は水下水切部材の背面図である。 実施の形態1の軒先構造における水下水切部材の取付状態を示す斜視図である。 実施の形態1の軒先構造における課題の説明図である。 実施の形態1の軒先構造の比較例における課題の説明図である。 実施の形態1の軒先構造における作用の説明図である。 実施の形態2の軒先構造における縦カバーの取付状態を示す斜視図である。 実施の形態2の軒先構造におけるパラペット上カバー受材の取付状態を示す斜視図である。 実施の形態3の軒先構造におけるパラペット上カバーの取付状態を示す斜視図である。 実施の形態3の軒先構造を示す断面図である。
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1の軒先構造Aおよびこの軒先構造Aを備えた建物Hの屋根Lについて説明する。
図1は、建物Hの軒先部分の拡大断面図である。
この建物Hは、屋根Lの水下側となる端部に軒樋10を備える。また、屋根Lは、軒先に沿う方向に水平に延びる桁屋根梁H1の上に、複数の屋根パネル20を桁屋根梁H1に沿う方向並設して構築されている。
この屋根パネル20は、図2に示すように、一対の屋根フレーム21,21と、下地鋼板22と、太陽電池モジュール23,23とを備える。
屋根フレーム21,21は、略平行に配置され、桁屋根梁H1(図1参照)の上に、桁屋根梁H1に直交する方向に延在されている。屋根フレーム21は、ウェブ21aと、ウェブ21aの下端に設けられた下フランジ21bと、ウェブ21aの上端に設けられた上フランジ21cとにより、断面視略略コ字形(C字形)に形成されている。
屋根フレーム21,21には、内側面に、野地板31の両側縁部が野地板受金具32(図1参照)により支持されている。なお、この野地板31には、野地板受金具32の傾斜に基づいて矢印W方向に下がる水勾配が付与されており、図1は、水勾配の下側である水下の端部を示している。
野地板31の上面は、ポリエチレンルーフィングなどの防水シートにより覆われており、この防水シートの上に下地鋼板22が設置されている。この下地鋼板22は、例えば防水性能および耐食性能に優れた溶融アルミニウムめっき鋼板などが用いられている。そして、下地鋼板22は、図2に示すように、水下側の先端に軒先傾斜片部22aを備え、かつ、幅方向の両端にフランジ部22fが立設されている。このフランジ部22fは、屋根フレーム21の上フランジ21cの上に重ねられて固定されている。
太陽電池モジュール23は、下地鋼板22の上面から上方に離間して下地鋼板22の上方を跨ぐようにして屋根フレーム21,21に固定されている。
(軒先構造)
次に、水勾配の水下側の端部における軒先構造について説明する。
図1に示すように、屋根パネル20の軒先には、外壁82から張り出した庇部80が設けられている。この庇部80の先端面はパラペット40によって覆われている。そして、この庇部80の下面は、軒天井パネル81によって塞がれている。この軒天井パネル81は、外壁82に対して紙面直交方向に延在されている。また、庇部80の内部において、軒天井パネル81の上方に、軒樋10が設置されている。さらに、軒樋10を含む庇部80は、その上方が、パラペット上カバー50により覆われている。
この軒先部分では、屋根フレーム21の先端部が野地板31および下地鋼板22よりも軒先側に突出して設けられている。また、この屋根フレーム21の突出部分に軒樋吊金具83が設けられ、この軒樋吊金具83に軒樋10が吊下状態で支持されている。
また、軒天井パネル81は、屋根フレーム21の突出部分の先端部に設けられた軒天吊金具84と、桁屋根梁H1に取り付けられた軒天ブラケット85とに支持されている。
軒樋10は、底部に庇部80に沿って水勾配が設けられており、水勾配の最下流位置に開口された排水口(不図示)に集水器を含むたて樋86が接続されている。
なお、パラペット40は、パラペット上部材41と、パラペット中部材42と、パラペット下部材43とに分割され、それぞれ、屋根フレーム21の先端に固定された軒天吊金具84に取り付けられたパラペット補強材44に支持されている。
また、パラペット上カバー50は、長手方向両端部を、図3に示すパラペット上カバー受材60および図6に示すパラペット上カバー受材260に支持されている。なお、図3に示すパラペット上カバー受材60は、隣接された屋根パネル20同士の間に設置されたもので、図6に示すパラペット上カバー受材260は、建物Hの端部に配置された屋根パネル20の屋外側端部に設置されたものである。また、パラペット上カバー受材60は、後述する縦カバー90を介して屋根フレーム21の先端部に支持され、パラペット上カバー受材260は、屋根フレーム21の先端部に支持されている。
パラペット上カバー50は、図3に示すように、水下側受部51と傾斜片部52とを備える。
水下側受部51は、パラペット上カバー50において、水下側に配置され、緩やかに水上側の軒樋10に向かって下がるように傾斜されている。なお、水下側受部51の水下側端縁部と庇部80に沿う方向である長手方向端縁部には、フランジ51a,51bが立設されている。また、傾斜片部52は、水下側受部51の水上側に連続して設けられ、軒樋10に向かって下方に傾斜されている。
したがって、屋根パネル20に降った雨水は、下地鋼板22の表面を流れて、矢印W1に示すように、水下側先端の軒先傾斜片部22aから軒樋10に流れ込む。また、パラペット上カバー50に降った雨水は、上カバー傾斜片部から、軒先傾斜片部22aとの間から矢印W1に示すように下地鋼板22からの雨水と合流して軒樋10に流れ込む。そして、軒樋10に流れ込んだ雨水は、軒樋10の水勾配に沿って流れ、たて樋86を通り、排水される。
次に、パラペット上カバー50の長手方向両端部を支持するパラペット上カバー受材60、パラペット上カバー受材260について説明する。
前述した屋根パネル20,20同士の間に設置されたパラペット上カバー受材60は、図4に示すように、屋根フレーム21,21および縦カバー90の水下側の先端部の上に取り付けられている。
ここで、縦カバー90について説明する。縦カバー90は、隣り合って配置された屋根パネル20の端部の屋根フレーム21,21の上方および側方を覆うもので、図5に示すように、帯板状の上板91と、上板91の側端部から下方に垂下された一対の縦カバー側板92,92とにより、下向きのコの字断面状に形成されている。また、縦カバー側板92には、パラペット上カバー受材60を固定するのに用いる下孔92aが貫通して形成されている。
そして、縦カバー90は、上板91の上方からドリルねじ94を屋根フレーム21に向けてねじ込むことで、屋根フレーム21に固定されている。なお、ドリルねじ94を設けた箇所は、防水テープ95により覆われている。
パラペット上カバー受材60は、縦カバー90の水下側の先端部の上方および側方を覆って取り付けられ、図4に示すように、上板61と、一対の受材側板62,62と、一対の支持板63,63とにより略ハット断面形状に形成されている。
上板61は、縦カバー90の上板91に重なる略長方形の板状に形成されている。受材側板62は、上板61の側端縁から垂下され、縦カバー90の縦カバー側板92に沿って設けられる。また、受材側板62は、その下端に連続して設けられた支持板63に、パラペット上カバー50の水下側受部51と同じ傾斜を与えることができるよう、水上方向に向かって徐々に上下方向寸法が大きくなる台形状に形成されている。
さらに、受材側板62には、取付時に縦カバー90の縦カバー側板92の下孔92aと同軸に配置され、リベット64を貫通させる取付用孔62aが貫通して形成されている。また、支持板63には、パラペット上カバー50の水下側受部51をドリルねじ65により固定する際に用いる孔63aが形成されている。
なお、パラペット上カバー受材60の縦カバー90への固定は、リベット64による固定に加え、縦カバー90の上板91の上面とパラペット上カバー受材60の上板61の下面との間にコーキング材100を充填することによる接着でも成される。
また、パラペット上カバー受材60の上板61の先端部の上面には、シールシート66が設けられている。このシールシート66は、パラペット40の上端のフランジとの間をシールする。さらに、支持板63の先端縁部に沿って合成樹脂系粘着剤が塗られたシールテープ67が設けられている。このシールテープ67は、パラペット上カバー50との間に充填され、パラペット上カバー50との接着およびシールを行う。
次に、建物Hの端部に配置された屋根パネル20の屋外側端部に配置されたパラペット上カバー受材260について説明する。
このパラペット上カバー受材260は、図6に示すように、屋根フレーム21の先端から下地鋼板22の位置まで延在された上板261および受材側板262と、パラペット上カバー50が固定される支持板263とにより、半ハット断面状に形成されている。なお、支持板263は、パラペット上カバー受材60の支持板63と同様の寸法および傾斜で形成されている。
そして、パラペット上カバー受材260は、上板261を屋根フレーム21の上フランジ21cにドリルねじ265により固定されている。また、受材側板262の端部には、シールシート266が設けられ、支持板263の端縁部には、シールテープ267が設けられている。
次に、水下水切部材70について説明する。
水下水切部材70は、図4に示すように、屋根フレーム21の先端部において、縦カバー90、パラペット上カバー受材60(260)およびパラペット上カバー50(図4では不図示)の下方に配置され、屋根フレーム21と野地板31とに固定されている。
この水下水切部材70は、図7に示すように、水切材側板71、先端立上片72、水受板部73、野地板取付片74、軒樋ガイド部75を備える。
水切材側板71は、屋根フレーム21のウェブ21aに当接した状態でウェブ21aに取り付けられるもので、図8(b)に示すように、下端縁が、先端立上片72が設けられる先端部から下方に傾斜した形状に形成されている。また、水切材側板71には、屋根フレーム21に固定するビス76(図9参照)を貫通させる上下方向に長い長穴71aが三か所に設けられている。
先端立上片72は、図7に示すように、水受板部73から立ち上げられ、かつ、水切材側板71に対して直角を成して固定されている。なお、先端立上片72において水切材側板71側の端縁部には接合フランジ部72aが設けられており、この接合フランジ部72aを、水切材側板71の先端縁部に重ねてリベット77により固定されている。
水受板部73は、パラペット上カバー受材60,260の支持板63,263から落下する雨水を受け止め、さらに、この雨水を軒樋10に導くために軒樋ガイド部75に導くもので、先端立上片72と一体の板により形成され、水切材側板71の下端縁の傾斜に沿って先端立上片72から離れるほど下がる第1の傾斜が付与されている。また、水受板部73は、水切材側板71側の端部に接合フランジ部73aを備え、この接合フランジ部73aを水切材側板71の下端縁部に重ねてリベット77により固定されている。
さらに、水受板部73は、幅方向で、水切材側板71から遠い側である端縁部が高く、水切材側板71に近い側が低く形成され、矢印W2の方向に下がる第2の傾斜が付与されている。
野地板取付片74は、図1に示す下地鋼板22の軒先部分の下側に差し込まれてタッピンねじ78(図9参照)により野地板31に固定されるもので、水受板部73および軒樋ガイド部75と一体に形成されている。
軒樋ガイド部75は、水切材側板71に一体に連続する金属板を折曲して形成されたもので、底板75aと、側板75b、75cと、垂下片75dとを備える。底板75aと、側板75b、75cとは、図8(b)に示すように、コの字断面状に形成されている。そして、水受板部73から落下する雨水を軒樋10に向けて導くように、底板75aが、水切材側板71から離れるほど下がるように傾斜されている。さらに、垂下片75dは、底板75aの先端(水切材側板71から遠い側の端部)から下方に折曲されて垂下されている。
また、側板75b、75cは、接合フランジ部75fを備え、この接合フランジ部75fを水切材側板71の下端縁部に重ねてリベット77により固定されている。
次に、水下水切部材70の固定構造を図9に基づいて説明する。
水下水切部材70は、水切材側板71を屋根フレーム21のウェブ21aに沿わせ、野地板取付片74を野地板31の軒先の先端部の上面に載せる。そして、ウェブ21aに打ち込んだビス76を、水切材側板71の各長穴71aに挿通させて、水切材側板71をウェブ21aに固定する。また、タッピンねじ78を、野地板取付片74の上から野地板31に締結する。
なお、この水下水切部材70の固定の前作業として、水切材側板71と接合フランジ部72a,73a、75fとの合わせ面の部分をシールするために、水切材側板71の端縁部に形成される角部に沿ってシール材79を充填する。
さらに、ビス76、タッピンねじ78も、上からシール材79によりコーキングする。また、水下水切部材70を固定する前に、野地板31の軒先端部には、樹脂製の受材31aを取り付けておく。
(比較例の課題と実施の形態1の作用)
以下に、図10~図12に基づいて、実施の形態1の解決課題と、実施の形態1の作用を説明する。
図10に示すように、パラペット上カバー50に降る雨水は、水下側受部51の傾斜および傾斜片部52の傾斜に基づいて、矢印W3に示すように傾斜片部52の先端から軒樋10に向かって落下する。しかしながら、水下側受部51と、フランジ51aと、フランジ51bとにより形成されるコーナ部53には、微小な隙間が生じ得るため、雨量が多い場合、この部分から水が漏れるおそれがあった(矢印WM)。
このコーナ部53から漏れた水は、パラペット上カバー受材60の支持板63で受け止められ、支持板63の傾斜に沿って図11の矢印W4に示す方向に流れ、水下水切部材070に受け止められた後、軒樋ガイド部075から軒樋10に導かれる。なお、水下水切部材070は、水受板部073は、先端立上片072から軒樋ガイド部075に向かって下がる片流れの第1の傾斜が付与されている。
しかしながら、図10、図11に示す例では、雨量が多い場合、パラペット上カバー受材60の支持板63で受け止められた水の一部が、矢印W5のように横方向に溢れ、さらに、水下水切部材070の水受板部073で受け止められた雨水の一部が、水受板部073を横切って軒樋10で受け止められずに軒天井パネル81(図1参照)に落下するおそれがある。
実施の形態1の軒先構造Aは、上記の課題を解決する。
すなわち、本実施の形態1において、パラペット上カバー50のコーナ部53の隙間から落下した雨水が、パラペット上カバー受材60の支持板63で受け止められた場合、支持板63の端縁部にシールテープ67を設けているため(図4参照)、図11の矢印W5に示すような支持板63の端縁部からの落下を防止することができる。
さらに、仮に、支持板63の端縁部から水下水切部材70の水受板部73に雨水が落下したとしても、水受板部73は、軒樋ガイド部75へ下がる方向の第1の傾斜に加え、図7の矢印W2の方向に下がる幅方向の第2の傾斜が付与されているため、図12の矢印W6に示すように、水受板部73の端縁部から遠ざかる方向に流れる。
したがって、パラペット上カバー受材60の支持板63で受け止められた水の一部が、水受板部73を横切って軒天井パネル81(図1参照)に落下するのを防止することができる。
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の軒先構造Aの効果を列挙する。
(1)実施の形態1の軒先構造Aは、略平行に設置された一対の屋根フレーム21,21と、屋根フレーム21,21間を塞ぐように配置される屋根ふき材としての野地板31、下地鋼板22とを備える屋根パネル20が、屋根フレーム21の延在方向に直交する方向に複数並設されて屋根Lが形成されている。
屋根Lの水下側の先端部に設けられた庇部80の先端部がパラペット40で覆われ、庇部80の内部に軒樋10が設けられ、庇部80を上方から覆うパラペット上カバー50が設けられている。
パラペット上カバー50は、庇部80を覆う水下側受部51と、水下側受部51の軒先側端部および庇部80に沿う長手方向の端部とに起立されたフランジ51a,51bと、を備える。そして、パラペット上カバー50の水下側受部51が、屋根フレーム21の先端部に設けられたパラペット上カバー受材60により支持されている。パラペット上カバー受材60は、縦カバー90の縦カバー側板92に固定されて屋根フレーム21の側面に沿って配置された受材側板62と、受材側板62から庇部80の内部に向けて突出されるとともに、軒樋10に向かって下がる傾斜が付与され、水下側受部51の長手方向端部が固定された支持板63と、を備える。
パラペット上カバー50の長手方向の両端部および支持板63の下方に、水下水切部材70が設けられている。水下水切部材70は、パラペット上カバー受材60の支持板63の下方に配置され、上方からの水を受け止め可能な平板状で、軒樋10に向かって下がる第1の傾斜が付与された水受板部73と、水受板部73の第1の傾斜の下側に連続し設けられ、水受板部73から落下する水を軒樋10に導くように庇部80に沿う方向に下がる傾斜が付与された軒樋ガイド部75と、を備える。そして、水受板部73は、庇部80に沿う方向で屋根フレーム21に近付くほど下がる第2の傾斜がさらに付与されている。
したがって、パラペット上カバー50の長手方向の端部から漏れた雨水は、パラペット上カバー受材60の支持板63で受け止められ、支持板63の傾斜に基づいて軒樋10に誘導される。また、パラペット上カバー受材60の支持板63の傾斜に誘導されずに、支持板63の幅方向の先端から落下した雨水は、水下水切部材70の水受板部73で受け止められる。水受板部73で受け止められた雨水は、水受板部73の第1の傾斜方向である軒樋10の方向に導かれる。その際、水受板部73は第2の傾斜方向(矢印W2の方向)に基づいて屋根フレーム21に近付きながら軒樋10に導かれ(矢印W6の方向)、水受板部73において屋根フレーム21から遠い側の解放された端縁部から庇部80の内部に落下するのを抑制できる。したがって、パラペット上カバー50に降った雨水を確実に軒樋10に誘導可能である。
(2)実施の形態1の軒先構造Aは、支持板63の先端縁部とパラペット上カバー50との間に、シール材としてのシールテープ67が充填されている。
したがって、パラペット上カバー受材60の支持板63に落下した雨水が、支持板63の傾斜に誘導されずに、支持板63の幅方向の先端から落下するのを防止できる。
(3)実施の形態1の軒先構造Aでは、水下水切部材70は、庇部80に沿う方向で水受板部73の屋根フレーム21に近い側の縁部に設けられて屋根フレーム21の側面に固定された水切材側板71と、水受板部73の軒先側の端部に立ち上げられた先端立上片72と、軒樋ガイド部75の野地板31側および水切材側板71に連続して設けられ、野地板31に固定された野地板取付片74とを備える。そして、野地板取付片74と水切材側板71との角部と、水切材側板71と水受板部73との角部と、水切材側板71と軒樋ガイド部75との角部と、水切材側板71と先端立上片72との角部と、にシール材79が充填されている。
上記の水下水切部材70は、複数の角部を有し、一枚の板材を折曲して形成するのが難しく、角部に板材同士の合わせ目による隙間が生じていても、この隙間から雨水が漏れるのを防止できる。
(他の実施の形態)
次に、本開示の他の実施の形態について説明する。
なお、他の実施の形態の説明において、他の実施の形態と共通する構成には当該実施の形態と同じ符号を付して説明を省略し、当該実施の形態との相違点のみ説明する。
(実施の形態2)
以下に、図13、図14に示す実施の形態2の軒先構造について説明する。
実施の形態2の軒先構造は、図13に示すように、実施の形態1と比較して屋根パネル20,20同士の間隔Sを拡げて配置した例である。
間隔Sが空けられた部分を挟んで配置された屋根フレーム21,21の間には、屋根フレーム21のウェブ21aに取り付けられた野地板受金具296に野地板297が設置されている。
そして、屋根フレーム21,21および野地板297を覆って縦カバー290が設けられている。縦カバー290は、上板291と縦カバー側板292,292により、実施の形態1で用いた縦カバー90よりも幅広のコの字断面形状に形成されている。また、縦カバー290は、ドリルねじ94により野地板297に固定されている。なお、ドリルねじ94は、防水テープ295により覆われている。
図14に示すように、屋根フレーム21,21および縦カバー290の軒先側の端縁部には、パラペット上カバー受材360が設置されている。パラペット上カバー受材360は、実施の形態1で用いたパラペット上カバー受材60よりも幅広に形成されている。すなわち、パラペット上カバー受材360は、上板361、受材側板362、支持板363により形成されている。そして、上板361は、実施の形態1で用いたパラペット上カバー受材60の上板61よりも幅広に形成されている。
また、パラペット上カバー受材360は、上板361の軒先側の先端部にシールシート366が設けられ、支持板363の端縁部にシールテープ367が設けられている。さらに、上板361には、軒先側の先端部に、溝部368が形成されている。この溝部368は、幅方向の一方に下がるに水勾配が付与されている。そして、パラペット上カバー受材360は、実施の形態1と同様にリベット64とコーキング材100により縦カバー290に固定されている。
なお、実施の形態1と同様に、パラペット上カバー50がパラペット上カバー受材360に支持され、パラペット上カバー受材360の下方には、水下水切部材70が設置されている。
以上説明した実施の形態2の軒先構造にあっても、基本的な構造は実施の形態1の軒先構造Aと同様であり、実施の形態1の軒先構造と同様の作用効果を得ることができる。そして、屋根パネル20の間隔Sが広がった屋根にも適用することができる。
(実施の形態3)
以下に、図15、図16に示す実施の形態3の軒先構造について説明する。
実施の形態3の軒先構造は、実施の形態1の軒先構造よりも庇部380の張出量が大きく形成され、屋根パネル20とパラペット40との間隔が広く形成された庇部380に適用した例である。
この実施の形態3では、パラペット上カバー350と、パラペット上カバー受材460と水下水切部材370の形状が、実施の形態1と異なる。
パラペット上カバー350は、図13に示すように、水下側受部351と軒先カバー部352と支持用凸部353と垂下片354とを備える。
軒先の先端側の水下側受部351と、水上側の軒先カバー部352との間に、上方に凸状の支持用凸部353が設けられている。この支持用凸部353は、屋根フレーム21,21に架け渡された補強材300に支持されている。
そして、図14に示すように、補強材300および支持用凸部353は、野地板31の水下側の先端部の上方に配置され、軒先カバー部352は、野地板31の太陽電池モジュール23よりも水下側の部分の上方に配置され、水下側受部351は、野地板31とパラペット40との間を覆っている。垂下片354は、下地鋼板22の軒先傾斜片部22aの先端の上方に配置され、下地鋼板22を伝って落下する雨水が軒先側に飛び散るのを抑制する。
パラペット上カバー受材460は、実施の形態1で示したパラペット上カバー受材60と同様に、上板461と受材側板462,262と支持板463,463とにより、ハット断面状に形成されている。そして、パラペット上カバー受材460の実施の形態1との相違点は、屋根フレーム21の延在方向の寸法が実施の形態1のものよりも長くなっている点である。
水下水切部材370についても、実施の形態1で示した水下水切部材70と同様の構成であり、相違点は、屋根フレーム21の延在方向の寸法が実施の形態1のものよりも長くなっている。
以上説明した実施の形態3の軒先構造にあっても、基本的な構造は実施の形態1の軒先構造Aと同様であり、実施の形態1の軒先構造と同様の作用効果を得ることができる。
以上、図面を参照して、本開示の軒先構造の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施の形態では、太陽電池モジュールが設置された屋根を示したが、太陽電池モジュールが設置されない屋根に適用することができる。
10 軒樋
20 屋根パネル
21 屋根フレーム
22 下地鋼板(屋根ふき材)
31 野地板(屋根ふき材)
40 パラペット
50 パラペット上カバー
51 水下側受部
51a フランジ
51b フランジ
52 傾斜片部
53 コーナ部
60 パラペット上カバー受材
62 受材側板
63 支持板
67 シールテープ(第1のシール材)
70 水下水切部材
71 水切材側板
72 先端立上片
73 水受板部
75 軒樋ガイド部
79 シール材(第2のシール材)
80 庇部
90 縦カバー
260 パラペット上カバー受材
262 受材側板
263 支持板
267 シールテープ(シール材)
350 パラペット上カバー
351 水下側受部
360 パラペット上カバー受材
362 受材側板
363 支持板
367 シールテープ(シール材)
370 水下水切部材
460 パラペット上カバー受材
462 受材側板
463 支持板
A 軒先構造
L 屋根

Claims (3)

  1. 略平行に設置された一対の屋根フレームと、前記屋根フレーム間を塞ぐように配置される屋根ふき材とを備える屋根パネルが、前記屋根フレームの延在方向に直交する方向に複数並設されて屋根が形成され、
    前記屋根の水下側の先端部に設けられた庇部の先端部がパラペットで覆われ、
    前記庇部の内部に軒樋が設けられ、
    前記庇部を上方から覆うパラペット上カバーが設けられ、
    前記パラペット上カバーは、前記庇部を覆う水下側受部と、前記水下側受部の軒先側端部および前記庇部に沿う長手方向の端部とに起立されたフランジと、を備え、
    前記パラペット上カバーの前記水下側受部が、前記屋根フレームの先端部に設けられたパラペット上カバー受材により支持され、
    前記パラペット上カバー受材は、前記屋根フレームの側面に沿って配置された受材側板と、前記受材側板から前記庇部の内部に向けて突出されるとともに、前記軒樋に向かって下がる傾斜が付与され、前記水下側受部の長手方向端部が固定された支持板と、を備え、
    前記パラペット上カバーの長手方向の両端部および前記支持板の下方に、水下水切部材が設けられ、
    前記水下水切部材は、前記パラペット上カバー受材の前記支持板の下方に配置され、上方からの水を受け止め可能な平板状で、前記軒樋に向かって下がる第1の傾斜が付与された水受板部と、前記水受板部の第1の傾斜の下側に連続し設けられ、前記水受板部から落下する水を前記軒樋に導くように前記庇部に沿う方向に下がる傾斜が付与された軒樋ガイド部と、を備え、
    前記水受板部は、前記庇部に沿う方向で前記屋根フレームに近付くほど下がる第2の傾斜がさらに付与されている軒先構造。
  2. 請求項1に記載の軒先構造において、
    前記支持板の先端縁部と前記パラペット上カバーとの間に、シール材が充填されている軒先構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の軒先構造において、
    前記水下水切部材は、前記庇部に沿う方向で前記水受板部の前記屋根フレームに近い側の縁部に設けられて前記屋根フレームの側面に固定された水切材側板と、前記水受板部の軒先側の端部に立ち上げられた先端立上片と、前記軒樋ガイド部の前記屋根ふき材側および前記水切材側板の内側に連続して設けられ、前記屋根ふき材に固定された取付片とを備え、
    前記取付片と前記水切材側板との角部と、前記水切材側板と前記水受板部との角部と、前記水切材側板と前記軒樋ガイド部との角部と、前記水切材側板と前記先端立上片との角部と、に第2のシール材が充填されている軒先構造。
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