JP3035836B2 - 磁気抵抗素子 - Google Patents
磁気抵抗素子Info
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Description
ッド、磁気バブル検出器等の感磁部に適した磁気抵抗素
子に関する。更に詳しくは強磁性トンネル接合による磁
気抵抗効果を利用して磁気信号を検出する磁気抵抗素子
に関するものである。
いられる磁気抵抗素子1は、単層の磁気抵抗効果を有す
る強磁性薄膜を一定幅のストライプ状に加工した後、そ
の長手方向(y方向)の両端に電極2,3を形成して作
られる。電極2,3に一定の電流を流し、素子1の幅方
向(x方向)に検出すべき磁場を与えたときの電極2,
3間の電圧に基づいて算出された抵抗値から磁場が検出
される。図7に示すように、従来の磁気抵抗素子は電流
の流れる方向に直交する磁場の大きさによって抵抗変化
率(ΔR/R)が最大2〜6%変化する特性を有する。
一方、2つの強磁性薄膜を薄い絶縁層を挟んで接合した
素子において、強磁性薄膜間に一定のトンネル電流を流
し、この状態で強磁性薄膜の膜面に平行に異なる磁場を
与えたときの抵抗の変化により、この素子に新しい磁気
抵抗効果があることが報告されている(S.Maekawa and
U.Gafvert, IEEE Trans. Magn. MAG-18(1982) 707)。
そしてこの報告に基づいて、磁性層に異方性的磁気抵抗
効果が小さく、強磁性トンネル効果を分離し易い、Fe
系合金を用いた磁気抵抗素子が提案されている(中谷、
北田;日本金属学会秋期大会公演概要, 364 (1990))。
この磁気抵抗素子は、2層の磁性層の保磁力を異なる値
にするために、FeにC及びRuをそれぞれ2at%程
度添加し、絶縁層としてAl2O3を用いる。
磁気抵抗素子は、図7の磁気抵抗曲線Aに示すように弱
磁場範囲Bにおける抵抗変化率の変化が小さく感度が良
くない不具合があった。また曲線Aがゼロ磁場を中心に
してほぼ左右対称であって、磁場方向に対する極性がな
いため、従来の磁気抵抗素子はその動作点をゼロ磁場で
はなく、図の矢印Cに示す付近に偏倚させて用いられ
る。この動作点を偏倚させるために従来より磁性膜の近
くにバイアス用の磁石を設けているが、この方法ではバ
イアス用磁石の分だけスペースを要し、構造が複雑化し
小型化できないとともにコスト高になる問題点があっ
た。また一般に磁気抵抗素子は実用上2%以上の抵抗変
化率を必要とするのに対して、後者の強磁性トンネル接
合による磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗素子は、磁気
抵抗効果が十分大きくないため、図8に示すように室温
での抵抗変化率が高々1%程度と小さく実用的でなかっ
た。またこの素子は可逆的に特性が変化する磁場範囲D
が狭く、磁気抵抗素子として安定して利用しにくい問題
点があった。
(ΔR/R)が2%以上であって弱磁場における感度が
良好で、安定して使用できる範囲を有効磁場範囲の2倍
以上とすることができる磁気抵抗素子を提供することに
ある。また本発明の別の目的は、その動作点を偏倚させ
る必要がなく、構造が簡単で小型化し得る磁気抵抗素子
を提供することにある。
明は第1強磁性薄膜11と第2強磁性薄膜12とを薄い
絶縁層を含む非磁性膜13を挟んで接合し、これにより
生じる強磁性トンネル接合を利用した磁気抵抗素子10
の改良である。その特徴ある構成は、前記第1及び第2
強磁性薄膜11,12はそれぞれストライプ状に形成さ
れ、かつ両薄膜11,12の長手方向を互いに直交させ
てそれぞれの磁化容易軸M 1 ,M 2 が互いに直交するよう
に両薄膜11,12が薄い絶縁層を含む非磁性膜13を
挟んで設けられ、第1強磁性薄膜11の磁化容易軸方向
の保磁力が第2強磁性薄膜12の磁化容易軸方向の保磁
力より2倍以上大きく、第1強磁性薄膜11の一端と第
2強磁性薄膜12の一端に両薄膜に一定電流を流すため
の第1電極14,15がそれぞれ設けられ、第1強磁性
薄膜11の他端と第2強磁性薄膜12の他端に両薄膜間
に印加された電圧を測定するための第2電極17,18
がそれぞれ設けられたことにある。
示すように、本発明の磁気抵抗素子10の第1強磁性薄
膜11と第2強磁性薄膜12とは薄い絶縁層を含む非磁
性膜13を挟んで接合される。これら2つの強磁性薄膜
11,12はそれぞれの磁化容易軸M1,M2が互いに直
交するように配置して設けられ、かつ磁化容易軸方向の
保磁力が互いに2倍以上異なる。この磁気抵抗素子10
では薄い絶縁層を含む非磁性膜13を挟んで強磁性トン
ネル接合した強磁性薄膜11及び12に電極14及び1
5をそれぞれ設け、両電極14,15間に電流を流す
と、両電極14,15間に流れるトンネル電流は2つの
強磁性薄膜11,12の磁化の向きの相互関係によって
異なり、磁化の向きが変わると抵抗値が変化する磁気抵
抗効果が現れる。即ち、図2の実線矢印で示すように強
磁性薄膜11,12の磁化の向きM1,M2が直交すると
きの抵抗値をR0とすると、強磁性薄膜11,12の磁
化の向きがそれぞれ同一方向であるとき(M2を破線矢
印で示す)には抵抗値は[R0−ΔR/2]となり、強
磁性薄膜11,12の磁化の向きが互いに反対方向であ
るとき(M2を一点鎖線矢印で示す)には抵抗値は[R0
+ΔR/2]となる。
性トンネル接合による磁気抵抗効果現象を利用して、2
つの強磁性薄膜11,12をそれぞれの磁化容易軸
M1,M2が互いに直交するように配置して設けた点にあ
る。これにより、2つの強磁性薄膜11,12の磁化の
向きは外部磁場を与えない状態で直交し、両薄膜間の抵
抗値はR0となる。外部磁場の方向を保磁力の大きな強
磁性薄膜11の磁化の向きM1にとり、磁場を大きくし
ていくと、保磁力の小さな強磁性薄膜12の磁化の向き
M2は徐々に外部磁場の方向に向い、最終的には図の破
線矢印に示すように外部磁場方向と一致する。また外部
磁場の方向を磁化の向きM1と反対にとり、磁場を大き
くしていくと、保磁力の小さな強磁性薄膜12の磁化の
向きM2は同様に図の一点鎖線矢印に示すように外部磁
場方向と一致する。しかし、外部磁場の方向が保磁力の
大きな強磁性薄膜11の磁化の向きM1とは逆でしかも
その保磁力より大きいときには、強磁性薄膜11の磁化
の向きM1が反転し、抵抗値は[R0+ΔR/2]から
[R0−ΔR/2]になってしまい、極性の検知ができ
なくなる。このため、本発明の第二の特徴ある構成は、
強磁性薄膜11及び12の磁化容易軸方向の保磁力を2
倍以上異ならせることにより、可逆的に特性が変化して
磁気抵抗素子として安定な磁場範囲Dを有効磁場範囲E
の2倍以上広く確保するようにした点にある。ここで磁
気抵抗素子として安定な磁場範囲Dとは、保磁力の小さ
な強磁性薄膜12の磁化の向きが変わり、かつ保磁力の
大きな強磁性薄膜11の磁化の向きの変わらない外部磁
場の範囲をいい、有効磁場範囲Eとは磁場により抵抗変
化率が変化する範囲をいう。この保磁力の小さい第2強
磁性薄膜12は従来の強磁性の磁気抵抗効果を有する材
料、即ち電子と磁気モーメントとの相互作用の大きな材
料により構成される。例示すればFe,Co,Ni元素
のうち少なくとも2種以上含み、同時にCo元素の含有
量が40at%以下の強磁性材料が挙げられる。また保
磁力が大きい第1強磁性薄膜11はCoを主成分とする
材料により構成される。例示すればCo,Co−Sm,
Co−Cr−Fe,Co−Pt,Co−Pt−Ni,C
o−Pt−V等のCo元素を20at%以上含む強磁性
材料が挙げられる。
数10オングストローム程度の均一な絶縁層を含む非磁
性膜13である。絶縁層としてはAl2O3層、NiO層
等が挙げられる。この層は電子がスピンを保持してトン
ネルするために非磁性でなければならない。非磁性膜の
全部が絶縁層であっても、その一部が絶縁層であっても
よい。一部を絶縁層にしてその厚みを極小にすることに
より、磁気抵抗効果を更に高めることができる。非磁性
膜の一部が絶縁層である例としては、Al膜の一部を酸
化させて形成されるAl2O3層が挙げられる。
M1,M2を互いに直交させるための方法は、図1に示す
ように強磁性薄膜11,12をイオンビーム蒸着法、真
空蒸着法、スパッタリング蒸着法等により形成するとき
に、エッチングにより、或いは基板にマスクをかぶるこ
とにより、ストライプ状にかつこれらの長手方向が互い
に直交するように磁場中でそれぞれ形成し、着膜時の磁
場の方向を薄膜の長手方向にする。この方法で作られた
強磁性薄膜11,12は各磁化方向が安定な状態とな
り、これにより図3の磁気抵抗曲線に示されるヒステリ
シス現象を小さくすることができる。薄膜11及び12
を作る順序としては、図1に示すように、先ずガラス等
の基板16上に第2強磁性薄膜12をストライプ状にか
つその長手方向が磁化容易軸M2になるように形成し、
第2強磁性薄膜12の中央部に薄い絶縁層を含む非磁性
膜13を着膜し、この非磁性膜13上に第2強磁性薄膜
12と長手方向同士が直交するように第1強磁性薄膜1
1をストライプ状にかつその長手方向が磁化容易軸M1
になるように形成する。或いは第1強磁性薄膜11を先
に形成し、次いで非磁性膜13を形成し、最後に第2強
磁性薄膜12を形成してもよい。
M1,M2を互いに直交させるための方法は、図1に示す
ように強磁性薄膜11,12をイオンビーム蒸着法、真
空蒸着法、スパッタリング蒸着法等により形成するとき
に、エッチングにより、或いは基板にマスクをかぶせる
ことにより、ストライプ状にかつこれらの長手方向が互
いに直交するように磁場中でそれぞれ形成し、着膜時の
磁場の方向を薄膜の長手方向にする。この方法で作られ
た強磁性薄膜11,12は各磁化方向が安定な状態とな
り、これにより図3の磁気抵抗曲線に示されるヒステリ
シス現象を小さくすることができる。薄膜11及び12
を作る順序としては、図1に示すように、先ずガラス等
の基板16上に第2強磁性薄膜12をストライプ状にか
つその長手方向が磁化容易軸M2になるように形成し、
第2強磁性薄膜12の中央部に薄い絶縁層を含む非磁性
膜13を着膜し、この非磁性膜13上に第2強磁性薄膜
12と長手方向同士が直交するように第1強磁性薄膜1
1をストライプ状にかつその長手方向が磁化容易軸M1
になるように形成する。或いは第1強磁性薄膜11を先
に形成し、次いで非磁性膜13を形成し、最後に第2強
磁性薄膜12を形成してもよい。
じる磁気抵抗効果のみを有効に検出するために、第1強
磁性薄膜11の一端と第2強磁性薄膜12の一端に両薄
膜に一定電流を流すための第1電極14,15をそれぞ
れ設け、第1強磁性薄膜11の他端と第2強磁性薄膜1
2の他端に両薄膜間に印加された電圧を測定するための
第2電極17,18をそれぞれ設ける。
を利用した従来の磁気抵抗素子の抵抗変化率(ΔR/
R)が最も高くて1%であったものが、本発明の磁気抵
抗素子によれば室温において2%以上の実用域の抵抗変
化率が得られ、しかも一方の強磁性薄膜にCoを主成分
とする保磁力の大きな材料を用いて、両薄膜の磁化容易
軸方向の保磁力を2倍以上異ならせることにより、有効
磁場範囲の2倍以上の安定な磁場範囲が室温において得
られる。特に、本発明の磁気抵抗素子は弱磁場における
抵抗変化率の変化が大きいため、磁場の変化を感度よく
検出することができ、従来の磁気抵抗素子と異なり動作
点を偏倚させるために磁石を用いてバイアス磁場を与え
る必要がなく、構造が簡単で小型化し得る利点がある。
これにより、磁気エンコーダ、磁気ヘッド、磁気バブル
検出器等の磁気を検出する素子として好適に利用するこ
とができる。
ように、ガラス基板16の上に真空蒸着法により厚さが
100nmのパーマロイ薄膜(82at%Ni−Fe)
12を作製した。これをエッチングにより幅1mm、長
さ18mmのストライプ状に形成した。その際磁場を与
えて磁化容易軸M2がストライプの長手方向になるよう
にした。次いでこのパーマロイ薄膜12の中心部に厚さ
15nmで直径2.5mmのアルミニウム膜13を真空
蒸着により着膜させた。このアルミニウム膜13を空気
中に30時間放置して表面を酸化させ、薄いAl2O3か
らなる絶縁層を形成した。更にこのAl−Al2O3層の
上にパーマロイ膜と長手方向同士が直交するように、厚
さが100nmで幅1mm、長さ18mmのストライプ
状のCo膜11を形成した。このときのCo膜の磁化容
易軸M1はストライプの長手方向となるようにした。C
o膜11とパーマロイ薄膜12の各一端に電極14及び
15を設け、それぞれの他端に電極17及び18を設け
て磁気抵抗素子10を得た。
行にかつ磁化容易軸M1に対して角度θだけ転向して磁
場Hを磁気抵抗素子10に与え、電極14及び15に一
定電流を流し、電極17及び18によりCo膜11とパ
ーマロイ薄膜12間の電圧を測定した。この電流値と電
圧値より素子10の抵抗を算出した。図4の磁気抵抗曲
線に示すように、磁場Hの強さを変えたときの抵抗変化
率(ΔR/R)は最大で2.7%の極めて高い値であっ
た。図4の範囲Eが磁場によりΔR/Rが変化する有効
磁場範囲であり、範囲Dが保磁力の大きなCo膜がその
磁化の向きを変えない磁気抵抗素子として安定な磁場範
囲である。範囲Dを越えた磁場が磁気抵抗素子に与えら
れると、Co膜の磁化は磁場方向に向くようになり、Δ
R/Rの値は小さくなる。この挙動は図5の磁化曲線に
示される。図4及び図5から本実施例の磁気抵抗素子1
0は安定な磁場範囲Dが有効磁場範囲Eの2〜3倍ある
ことが判る。
でΔR/Rを測定してみたところ、この磁気抵抗曲線か
らこの素子10は弱磁場での感度が高く、しかも曲線は
ゼロ磁場に関して非対称であるため、特別にバイアス磁
場を与えなくても磁場Hの方向を検出することができ
た。なお、図3の磁気抵抗曲線では若干のヒステリシス
現象がみられたが、実用上この程度のヒステリシスは問
題なく、磁性薄膜を形成するときの2つの磁化容易軸が
完全に直交すればこの現象はなくなる。
抗素子の原理を示す斜視図。
抗素子の斜視図。
抗素子の磁気抵抗曲線。
Claims (6)
- 【請求項1】 第1強磁性薄膜(11)と第2強磁性薄膜(1
2)とを薄い絶縁層を含む非磁性膜(13)を挟んで接合し、
これにより生じる強磁性トンネル接合を利用した磁気抵
抗素子(10)において、 前記第1及び第2強磁性薄膜(11,12)はそれぞれストラ
イプ状に形成され、かつ両薄膜(11,12)の長手方向を互
いに直交させてそれぞれの磁化容易軸(M 1 ,M 2 )が互いに
直交するように両薄膜(11,12)が薄い絶縁層を含む非磁
性膜(13)を挟んで設けられ、 前記第1強磁性薄膜(11)の磁化容易軸方向の保磁力が前
記第2強磁性薄膜(12)の磁化容易軸方向の保磁力より2
倍以上大きく、 前記第1強磁性薄膜(11)の一端と前記第2強磁性薄膜(1
2)の一端に両薄膜に一定電流を流すための第1電極(14,
15)がそれぞれ設けられ、 前記第1強磁性薄膜(11)の他端と前記第2強磁性薄膜(1
2)の他端に両薄膜間に印加された電圧を測定するための
第2電極(17,18)がそれぞれ設けられた ことを特徴とす
る磁気抵抗素子。 - 【請求項2】 第1強磁性薄膜(11)がCo元素を20a
t%以上含む強磁性材料により構成され、第2強磁性薄
膜(12)がFe,Ni,Co元素のうち少なくとも2種以
上含みCo元素の含有量が40at%以下の強磁性材料
により構成された請求項1記載の磁気抵抗素子。 - 【請求項3】 非磁性膜(13)の全部が絶縁層である請求
項1記載の磁気抵抗素子。 - 【請求項4】 非磁性膜(13)の一部が絶縁層である請求
項1記載の磁気抵抗素子。 - 【請求項5】 非磁性膜(13)がAl層と絶縁層のAl2
O3層により構成された請求項4記載の磁気抵抗素子。 - 【請求項6】 絶縁層のAl2O3層がAl層の表面を酸
化させて形成された請求項5記載の磁気抵抗素子。
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JP3186807A JP3035836B2 (ja) | 1991-07-01 | 1991-07-01 | 磁気抵抗素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06244477A JPH06244477A (ja) | 1994-09-02 |
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ID=16194934
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP3186807A Expired - Lifetime JP3035836B2 (ja) | 1991-07-01 | 1991-07-01 | 磁気抵抗素子 |
Country Status (1)
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- 1991-07-01 JP JP3186807A patent/JP3035836B2/ja not_active Expired - Lifetime
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