JPH0870149A - 磁気抵抗素子 - Google Patents

磁気抵抗素子

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JPH0870149A
JPH0870149A JP6205394A JP20539494A JPH0870149A JP H0870149 A JPH0870149 A JP H0870149A JP 6205394 A JP6205394 A JP 6205394A JP 20539494 A JP20539494 A JP 20539494A JP H0870149 A JPH0870149 A JP H0870149A
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JP
Japan
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thin film
ferromagnetic thin
film
magnetic field
ferromagnetic
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JP6205394A
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Terunobu Miyazaki
照宣 宮崎
Masami Koshimura
正己 越村
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温における抵抗変化率(ΔR/R)が10
%以上であって弱磁場における感度が良好で、安定して
使用可能な室温での磁場範囲を有効磁場範囲の2倍以上
とする。またその動作点を偏倚させる必要がなく、構造
が簡単で小型化し得る。 【構成】 第1強磁性薄膜11と第2強磁性薄膜12と
を薄い絶縁層を含む非磁性膜13を挟んで接合し、これ
により生じる強磁性トンネル接合を利用した磁気抵抗素
子10に関し、薄膜11の磁化容易軸方向の保磁力が薄
膜12の磁化容易軸方向の保磁力より大きく、薄膜11
がFeもしくはFeとCoを主成分とし、薄膜12がF
eを主成分とし、かつ絶縁層を含む非磁性膜13が非磁
性金属膜を酸化させた酸化層を含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気エンコーダ、磁気ヘ
ッド、磁気バブル検出器等の感磁部に適した磁気抵抗素
子に関する。更に詳しくは強磁性トンネル接合による磁
気抵抗効果を利用して磁気信号を検出する磁気抵抗素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6に示すように、磁気抵抗素子として
実用的に用いられている素子の感磁部1は、単層の磁気
抵抗効果を有する強磁性薄膜を一定幅のストライプ状に
加工した後、その長手方向(y方向)の両端に電極2,
3を形成して作られる。これらの電極2,3に一定の電
流を流し、感磁部1の幅方向(x方向)に検出すべき磁
場を与えたときの電極2,3間の電圧に基づいて算出さ
れた抵抗値から磁場が検出される。図7に示すように、
従来の磁気抵抗素子は電流の流れる方向に直交する磁場
の大きさによって抵抗変化率(ΔR/R)が最大2〜6
%変化する特性を有する。
【0003】一方、2つの強磁性薄膜を薄い絶縁層を挟
んで接合した素子において、強磁性薄膜間に一定のトン
ネル電流を流し、この状態で強磁性薄膜の膜面に平行に
異なる磁場を与えたときの抵抗の変化により、この素子
に新しい磁気抵抗効果があることが報告されている(S.
Maekawa and U.Gafvert, IEEE Trans. Magn. MAG-18(19
82) 707)。本発明者らは、上記2つの強磁性薄膜を薄
い絶縁層を含む非磁性膜を挟んで接合し、これにより生
じる強磁性トンネル接合を利用し、2つの強磁性薄膜は
それぞれの磁化容易軸が互いに直交するように配置して
設けられ、一方の強磁性薄膜の磁化容易軸方向の保磁力
がもう一方の強磁性薄膜の磁化容易軸方向の保磁力より
2倍以上大きい磁気抵抗素子を発明し、特許出願した
(特願平3−186807)。この強磁性トンネル接合
を利用した磁気抵抗素子は室温において抵抗変化率(Δ
R/R)が2%以上であって弱磁場における感度が良好
で、安定して使用可能な磁場範囲を有効磁場範囲の2倍
以上にすることができる特長を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の磁気抵抗素子の抵抗変化率(ΔR/R)は室温で高々
6%であり、強磁性トンネル接合によるものは室温で高
々3%程度であった。このため、従来の磁気抵抗素子は
磁気を検出するに十分な信号出力を得ることが困難で、
温度変化による抵抗変化を取り除くために差動出力構造
にしなければならず、複雑な構造となる不具合があっ
た。また図6に示した強磁性磁気抵抗素子は、図7の磁
気抵抗曲線Aに示すように弱磁場範囲Bにおける抵抗変
化率の変化が小さく感度が良くない不具合があった。ま
た曲線Aがゼロ磁場を中心にしてほぼ左右対称であっ
て、磁場方向に対する極性がないため、従来の磁気抵抗
素子はその動作点をゼロ磁場ではなく、図の矢印Cに示
す付近に偏倚させて用いられる。この動作点を偏倚させ
るために従来より磁性膜の近くにバイアス用の磁石を設
けているが、この方法ではバイアス用磁石の分だけスペ
ースを要し、構造が複雑化し小型化できないとともにコ
スト高になる問題点があった。
【0005】本発明の目的は、室温における抵抗変化率
(ΔR/R)が10%以上であって、弱磁場における感
度が良好である強磁性トンネル接合を利用した磁気抵抗
素子を提供することにある。また本発明の別の目的は、
その動作点を偏倚させる必要がなく、構造が簡単で小型
化し得る磁気抵抗素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、強磁性体
金属において伝導電子がスピン偏極を起こしているた
め、フェルミ面における上向きスピンと下向きスピンの
電子状態が異なっており、このような強磁性体金属を用
いて、強磁性体と絶縁体と強磁性体からなる強磁性トン
ネル接合を作ると、伝導電子はそのスピンを保ったまま
トンネルするため、両磁性層の磁化状態によってトンネ
ル確率が変化し、それがトンネル抵抗の変化となって現
れると考え、この点に着目して本発明に到達した。
【0007】即ち、図1に示すように、本発明は第1強
磁性薄膜11と第2強磁性薄膜12とを薄い絶縁層を含
む非磁性膜13を挟んで接合し、これにより生じる強磁
性トンネル接合を利用した磁気抵抗素子10の改良であ
る。その特徴ある構成は、第1強磁性薄膜11の磁化容
易軸方向の保磁力が第2強磁性薄膜12の磁化容易軸方
向の保磁力より大きく、第1強磁性薄膜11がFeもし
くはFeとCoを主成分とし、第2強磁性薄膜12がF
eを主成分とし、かつ絶縁層を含む非磁性膜13が非磁
性金属膜を酸化させた酸化層を含むことにある。
【0008】以下、本発明を詳述する。図1及び図2に
示すように、基板16上で薄い絶縁層を含む非磁性膜1
3を挟んで強磁性トンネル接合した強磁性薄膜11及び
12に電極14及び15をそれぞれ設け、両電極14,
15間に電流を流すと、両電極14,15間に流れるト
ンネル電流は2つの強磁性薄膜11,12の磁化の向き
の相互関係によって異なり、磁化の向きが変わると抵抗
値が変化する磁気抵抗効果が現れる。即ち、図2の実線
矢印で示すように強磁性薄膜11,12の磁化の向きM
1,M2が直交するときの抵抗値をR0とすると、強磁性
薄膜11,12の磁化の向きがそれぞれ同一方向である
とき(M2を破線矢印で示す)には抵抗値は[R0−ΔR
/2]となり、強磁性薄膜11,12の磁化の向きが互
いに反対方向であるとき(M2を一点鎖線矢印で示す)
には抵抗値は[R0+ΔR/2]となる。
【0009】本発明の第一の特徴ある構成は、この強磁
性トンネル接合による磁気抵抗効果現象を有効に利用す
るために、2つの強磁性薄膜11,12の磁化容易軸方
向の保磁力に差を設けた点にある。上述のように2つの
強磁性薄膜11,12の磁化の向きが外部磁場を与えな
い状態で直交していれば、両薄膜間の抵抗値はR0とな
るが、外部磁場の方向を保磁力の大きな強磁性薄膜11
の磁化の向きM1にとり、磁場を大きくしていくと、保
磁力の小さな強磁性薄膜12の磁化の向きMは徐々に
外部磁場の方向に向い、最終的には図2の破線矢印に示
すように外部磁場方向と一致する。また外部磁場の方向
を磁化の向きMと反対にとり、磁場を大きくしていく
と、保磁力の小さな強磁性薄膜12の磁化の向きM2
同様に図2の一点鎖線矢印に示すように外部磁場方向と
一致する。しかし、外部磁場の方向が保磁力の大きな強
磁性薄膜11の磁化の向きM1とは逆でしかもその保磁
力より大きいときには、強磁性薄膜11の磁化の向きM
1が反転し、抵抗値は[R0+ΔR/2]から[R0−Δ
R/2]になってしまい、極性の検知ができなくなる。
【0010】このため、強磁性薄膜11及び12の磁化
容易軸方向の保磁力を2倍以上異ならせることが好まし
い。これにより、図4に示すように可逆的に特性が変化
して磁気抵抗素子として安定な磁場範囲Dを有効磁場範
囲Eの2倍以上広く確保することができる。ここで磁気
抵抗素子として安定な磁場範囲Dとは、保磁力の小さな
強磁性薄膜12の磁化の向きが変わり、かつ保磁力の大
きな強磁性薄膜11の磁化の向きの変わらない外部磁場
の範囲をいい、有効磁場範囲Eとは磁場により抵抗変化
率が変化する範囲をいう。
【0011】本発明の第二の特徴ある構成は、磁化容易
軸方向の保磁力の大きい第1強磁性薄膜11がFeもし
くはFeとCoを主成分とし、磁化容易軸方向の保磁力
の小さい第2強磁性薄膜12がFeを主成分とすること
にある。双方の強磁性薄膜の主成分をFeとする場合に
は、第1強磁性薄膜11の形成時の基板温度より第2強
磁性薄膜12の形成時の基板温度を高くして双方の強磁
性薄膜11,12をそれぞれ形成することが好ましい。
これにより2つの強磁性薄膜が同じFe単層膜であって
も2つの保磁力に差を設けることができる。第1強磁性
薄膜の磁化容易軸方向の保磁力を大きくする成分上の別
の手段として、第2強磁性薄膜12の主成分をFeのみ
にし、第1強磁性薄膜の主成分をFeとCoにする方法
がある。Co成分が多くなると磁化異方性が出易く保磁
力が大きくなる性質を利用したものである。この方法と
前述した強磁性薄膜形成時の基板温度を第2強磁性薄膜
の方を高くする方法とを組合せてもよい。ここで主成分
の割合は、第1強磁性薄膜の場合FeとCoの合計が8
0at%以上であって、第2強磁性薄膜の場合Feが8
0at%以上であることが好ましい。
【0012】本発明の第三の特徴ある構成は、強磁性薄
膜11及び12に挟まれる絶縁層を含む非磁性膜13が
非磁性金属膜を酸化させた酸化層を含むことにある。こ
の非磁性膜13層は数10オングストローム程度の均一
な層である。絶縁層としてはAl23層、NiO層等が
挙げられる。Al23層が絶縁性が高く緻密であるため
好ましい。強磁性薄膜11及び12に挟まれる膜は電子
がスピンを保持してトンネルするために非磁性でなけれ
ばならない。非磁性膜の全部が絶縁層であっても、その
一部が絶縁層であってもよい。一部を絶縁層にしてその
厚みを極小にすることにより、磁気抵抗効果を更に高め
ることができる。非磁性金属膜を酸化させた酸化層にす
る例としては、Al膜の一部を空気中で酸化させてAl
23層を形成する例が挙げられる。
【0013】本発明の2つの強磁性薄膜11,12の磁
化容易軸M1,M2は必ずしも互いに直交させなくてもよ
いが、直交させる場合には次の方法による。即ち、図1
に示すように強磁性薄膜11,12をイオンビーム蒸着
法、真空蒸着法、スパッタリング法等により形成すると
きに、エッチングにより、或いは基板にマスクをかぶせ
ることにより、ストライプ状にかつこれらの長手方向が
互いに直交するように磁場中でそれぞれ形成し、着膜時
の磁場の方向を薄膜の長手方向にする。この方法で作ら
れた強磁性薄膜11,12は各磁化方向が安定な状態と
なり、これにより図3の磁気抵抗曲線に示されるヒステ
リシス現象を小さくすることができる。特に第2強磁性
薄膜の成膜時にNiを添加すると、図3の磁気抵抗曲線
に示されるヒステリシス現象をより一層小さくすること
ができる。
【0014】薄膜11及び12を作る順序としては、図
1に示すように、先ずガラス等の基板16上に第2強磁
性薄膜12を形成し、第2強磁性薄膜12の中央部に薄
い絶縁層を含む非磁性膜13を着膜し、この非磁性膜1
3上に第1強磁性薄膜11を形成する。或いは第1強磁
性薄膜11を先に形成し、次いで非磁性膜13を形成
し、最後に第2強磁性薄膜12を形成してもよい。特に
第2強磁性薄膜12の上にスパッタリング法によりAl
膜を形成した後、このAl膜を酸化させてその表面にA
23層を形成することにより上記非磁性膜13を作る
と、非磁性膜13を均一で緻密にすることができる。
【0015】また、2つの強磁性薄膜11,12間に生
じる磁気抵抗効果のみを有効に検出するために、第1強
磁性薄膜11の一端と第2強磁性薄膜12の一端に両薄
膜に一定電流を流すための第1電極14,15をそれぞ
れ設け、第1強磁性薄膜11の他端と第2強磁性薄膜1
2の他端に両薄膜間に印加された電圧を測定するための
第2電極17,18をそれぞれ設けることが好ましい。
【0016】
【作用】本発明の磁気抵抗素子は、2つの強磁性薄膜
の主成分となる磁性材料として、フェルミ面における上
下スピンの偏極量が大きいFeを選定し、Coを第2成
分として選定し、また例えばAl23層のような緻密
で均一な薄い絶縁層をAl膜のような非磁性金属膜を酸
化させることにより形成して、磁化状態によって変化す
るトンネル電流による抵抗値の差を大きくし、かつ磁化
状態によらず絶縁層を通して流れる電流による抵抗値を
小さくする、上記及びの構成により、伝導電子のス
ピンを保持して絶縁層をトンネルすることにより生じる
強磁性トンネル効果が顕著に現れ、抵抗変化率(ΔR/
R)は図3に示すように10%を越えるようになる。更
に本発明の磁気抵抗素子は、2つの強磁性薄膜の磁化容
易軸方向の保磁力差を2倍以上にした場合には、磁場に
よる磁化状態を有効に利用して図4の磁気抵抗曲線に示
すように有効磁場範囲Eの2倍以上の安定な磁場範囲D
が室温において得られる。同時にこの磁気抵抗曲線はゼ
ロ磁場を中心としたほぼ対称な2つの方形波状の波形を
有する曲線となる。
【0017】
【発明の効果】以上述べたように、強磁性トンネル接合
を利用した従来の磁気抵抗素子の抵抗変化率(ΔR/
R)が室温で高々3%程度であり、また実用化されてい
る強磁性体磁気抵抗素子で高々6%程度であったもの
が、本発明の磁気抵抗素子によれば室温でも10%以上
の抵抗変化率が得られ、しかも2つの強磁性薄膜に磁化
容易軸方向の保磁力に設けることにより、有効磁場範囲
より広い安定な磁場範囲が室温で得られる。特に、本発
明の磁気抵抗素子は弱磁場における抵抗変化率の変化が
大きいため、磁場の変化を感度よく検出することがで
き、従来の磁気抵抗素子と異なり動作点を偏倚させるた
めに磁石を用いてバイアス磁場を与える必要がなく、構
造が簡単で小型化し得る利点がある。これにより、磁気
エンコーダ、磁気ヘッド、磁気バブル検出器等の磁気を
検出する素子として好適に利用することができる。
【0018】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。図1に示す
ように、真空蒸着によりガラス基板16の上にマスクを
用いて幅1mm、長さ18mmのストライプ状で厚さ1
00nmのFe薄膜12を作製した。その際この薄膜1
2の保磁力を小さくするために基板温度を200℃とし
た。またこのときの蒸着速度は0.3〜0.6nm/秒
で真空度は約10-6Torrであった。次いでこのFe
薄膜12の中心部に厚さ5nmで直径5mmのAl膜1
3を高周波スパッタリングにより着膜させた。その際の
アルゴン圧は1.5mTorr、投入電力は4.4W/
cm2、スパッタリング速度は0.56nm/秒であっ
た。このAl膜13を空気中に24時間放置して表面を
酸化させ、薄いAl23からなる絶縁層を形成した。更
にこの上にFe薄膜12と長手方向同士が直交するよう
に、マスクを用いて上記のFe薄膜12と同形同大のス
トライプ状のFe薄膜11をこの膜の保磁力を大きくす
るために基板温度を室温にした以外は、Fe薄膜12と
同一条件で作製した。このときのFe薄膜11の磁化容
易軸M1はストライプの長手方向となるようにした。
【0019】Fe薄膜11と12の各一端に電極14及
び15を設け、それぞれの他端に電極17及び18を設
けて磁気抵抗素子10を得た。温度25℃において、基
板16の表面に平行にかつ磁化容易軸M1に対して平行
に磁場Hを磁気抵抗素子10に与え、電極14及び15
に一定電流を流し、電極17及び18によりFe薄膜1
1と12の間の電圧を測定した。この電流値と電圧値よ
り素子10の抵抗を算出した。
【0020】図4の磁気抵抗曲線に示すように、磁場H
の強さを変えたときの抵抗変化率(ΔR/R)は最大で
18%の極めて高い値であった。図4の範囲Eが磁場に
よりΔR/Rが変化する有効磁場範囲であり、範囲Dが
保磁力の大きなFe薄膜11がその磁化の向きを変えな
い磁気抵抗素子として安定な磁場範囲である。範囲Dを
越えた磁場が磁気抵抗素子に与えられると、保磁力の大
きなFe薄膜11の磁化は磁場方向に向くようになり、
ΔR/Rの値は小さくなる。この挙動は図5の磁化曲線
に示される。図4及び図5から本実施例の磁気抵抗素子
10は安定な磁場範囲Dが有効磁場範囲Eの2〜3倍あ
ることが判る。
【0021】図3に示すように、この安定な磁場範囲D
でΔR/Rを測定してみたところ、この磁気抵抗曲線か
らこの素子10は弱磁場での感度が高く、しかも曲線は
ゼロ磁場に関して非対称であるため、特別にバイアス磁
場を与えなくても磁場Hの方向を検出することができ
た。なお、図3の磁気抵抗曲線ではヒステリシス現象が
みられたが、第2強磁性薄膜12を作製するときに磁場
を与えるか、ストライプ幅を小さくするか、或いはFe
にNi等を添加すれば、磁化容易軸M2がストライプの
長手方向となり、更に2つの磁化容易軸が完全に直交す
れば、この現象はなくヒステリシス現象は小さくなっ
て、微小な磁場の大きさを正確に測定できるようにな
り、実用上好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の強磁性トンネル接合を利用した
磁気抵抗素子の斜視図。
【図2】本発明の強磁性トンネル接合を利用した磁気抵
抗素子の原理を示す斜視図。
【図3】本発明実施例の磁気抵抗素子の可逆領域Dにお
ける磁気抵抗曲線図。
【図4】その磁気抵抗曲線図。
【図5】その磁化曲線図。
【図6】従来例の強磁性磁気抵抗効果を利用した磁気抵
抗素子の斜視図。
【図7】その磁気抵抗曲線。
【符号の説明】
10 磁気抵抗素子 11 第1強磁性薄膜 12 第2強磁性薄膜 13 非磁性膜 14,15 第1電極 16 基板 17,18 第2電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1強磁性薄膜(11)と第2強磁性薄膜(1
    2)とを薄い絶縁層を含む非磁性膜(13)を挟んで接合し、
    これにより生じる強磁性トンネル接合を利用した磁気抵
    抗素子(10)において、 前記第1強磁性薄膜(11)の磁化容易軸方向の保磁力が前
    記第2強磁性薄膜(12)の磁化容易軸方向の保磁力より大
    きく、 前記第1強磁性薄膜(11)がFeもしくはFeとCoを主
    成分とし、 前記第2強磁性薄膜(12)がFeを主成分とし、かつ前記
    絶縁層を含む非磁性膜(13)が非磁性金属膜を酸化させた
    酸化層を含むことを特徴とする磁気抵抗素子。
  2. 【請求項2】 第1強磁性薄膜(11)の磁化容易軸方向の
    保磁力が第2強磁性薄膜(12)の磁化容易軸方向の保磁力
    より2倍以上大きい請求項1記載の磁気抵抗素子。
  3. 【請求項3】 基板(16)上に第1及び第2強磁性薄膜(1
    1,12)を形成する場合で前記第1及び第2強磁性薄膜(1
    1,12)の主成分をそれぞれFeとするときに前記第1強
    磁性薄膜(11)の形成時の基板温度より第2強磁性薄膜(1
    2)の形成時の基板温度を高くして前記第1及び第2強磁
    性薄膜(11,12)がそれぞれ形成された請求項1又は2記
    載の磁気抵抗素子。
  4. 【請求項4】 非磁性金属膜がAlからなり、その酸化
    層がAl23からなる請求項1記載の磁気抵抗素子。
  5. 【請求項5】 非磁性金属膜がスパッタリング法により
    作製された請求項1記載の磁気抵抗素子。
  6. 【請求項6】 非磁性膜(13)の全部が絶縁層である請求
    項1記載の磁気抵抗素子。
  7. 【請求項7】 非磁性膜(13)の一部が絶縁層である請求
    項1記載の磁気抵抗素子。
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