JPH04339309A - 多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子 - Google Patents

多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子

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JPH04339309A
JPH04339309A JP11012891A JP11012891A JPH04339309A JP H04339309 A JPH04339309 A JP H04339309A JP 11012891 A JP11012891 A JP 11012891A JP 11012891 A JP11012891 A JP 11012891A JP H04339309 A JPH04339309 A JP H04339309A
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JP
Japan
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magnetoresistive
magnetoresistive element
magnetic field
multilayer
metal layer
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JP11012891A
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English (en)
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Ryoichi Nakatani
亮一 中谷
Masahiro Kitada
北田 正弘
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高い磁気抵抗効果を有す
る多層磁性膜を用いた磁気抵抗効果素子に関し、特に磁
気ディスク装置などに用いる再生用磁気ヘッドにおける
磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化に伴い、再生用磁気
ヘッドに用いる磁気抵抗効果材料として、高い磁気抵抗
効果を示す材料が求められている。現在、使用されてい
るパ−マロイの磁気抵抗変化率は約3%であり、新材料
はこれを上回る磁気抵抗変化率を有することが必要であ
る。
【0003】最近、バイビッチ(Baibich)らに
よる、フィジカル・レビュ−・レタ−ズ(Pysica
l Review Letters)、第61巻、第2
1号、2472〜2475ペ−ジに記載の「Giant
Magnetoresistance of (001
)Fe/(001)Cr Magnetic Supe
rlattices」のように、多層構造を持つ磁性膜
(Fe/Cr多層膜)において、約50%の磁気抵抗変
化率(4.2Kにおいて)が観測されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記多層構造
を持つ磁性膜を磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドなどに用
いるためには、外部磁界の変化する範囲での抵抗変化量
の大きいことが要求され、Baibichらによる、フ
ィジカル・レビュ−・レタ−ズ(Pysical Re
view Letters)、第61巻、第21号、2
472〜2475ペ−ジに記載の「Giant Mag
netoresistance of(001)Fe/
(001)Cr Magnetic Superlat
tices」に記載の膜構成だけでは高感度の磁気抵抗
効果素子が得られないという問題がある。
【0005】本発明の目的は、上述の多層磁気抵抗効果
膜を用いた磁気抵抗効果素子の問題の解決方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の材
料および膜厚の強磁性金属層、非強磁性金属層を積層し
た多層磁性膜を用いた磁気抵抗効果素子について鋭意研
究を重ねた結果、多層磁性膜に適した方法によりバイア
ス磁界を印加することによって、磁界センサとして使用
できることを見出した。また、非強磁性金属層の膜厚を
制限することにより、バイアス磁界なしでも多層膜を磁
界センサに用いることができることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0007】すなわち、強磁性金属層と非強磁性金属層
を積層した多層構造に起因する磁気抵抗効果を有する多
層膜を用いた磁気抵抗効果素子において、磁気抵抗効果
素子にバイアス磁界を印加することにより、外部磁界の
向き(正負)を判断できる高感度の磁気抵抗効果素子が
得られる。また、バイアス磁界の印加方法として、シャ
ントバイアス方式、電流による誘導磁界方式、永久磁石
方式、ソフトバイアス方式、相互バイアス方式の中から
選ばれる1種の方式、あるいはこれらの2種以上を併用
した方式が使用できる。また、非強磁性金属層の膜厚を
制限することにより、バイアス磁界なしでも多層膜を磁
界センサに用いることができる。また、バイアス磁界を
印加しない状態での多層膜の磁化容易方向と外部磁界の
検出方向とのなす角度をほぼ直角にすることにより、高
周波特性の優れた磁気抵抗効果素子が得られる。また、
バイアス磁界を印加した状態での多層膜の磁化の方向と
外部磁界の検出方向とのなす角度を30〜70度にする
ことにより、さらに高感度の磁気抵抗効果素子が得られ
る。さらに、強磁性金属層と非強磁性金属層の界面の少
なくとも一部において、エピタキシャル成長が生じてい
る多層膜を用いると、さらに高感度の磁気抵抗効果素子
が得られる。また、強磁性金属層の少なくとも一部と非
強磁性金属層の少なくとも一部の格子定数の差を5%以
下にすることにより、上記エピタキシャル成長を容易に
起こさせることができる。さらに、磁気抵抗効果を有す
る多層膜の膜厚を11.5〜100nmにすることによ
り、エレクトロマイグレ−ションを起こしにくく、高い
センス電流を流せる磁気抵抗効果素子が得られる。さら
に、多層膜の膜厚を11.5〜50nmにすると、さら
に高いセンス電流を流すことができる。また、上記磁気
抵抗効果素子を用いることにより、高感度磁気ヘッドが
得られる。また、上記磁気ヘッドを磁気記録再生装置に
用いることにより、高性能磁気記録再生装置が得られる
【0008】
【作用】上述のように、強磁性金属層と非強磁性金属層
を積層した多層構造に起因する磁気抵抗効果を有する多
層膜を用いた磁気抵抗効果素子において、磁気抵抗効果
素子にバイアス磁界を印加することにより、外部磁界の
向き(正負)を判断できる高感度の磁気抵抗効果素子が
得られる。また、バイアス磁界の印加方法として、シャ
ントバイアス方式、電流による誘導磁界方式、永久磁石
方式、ソフトバイアス方式、相互バイアス方式の中から
選ばれる1種の方式、あるいはこれらの2種以上を併用
した方式が使用できる。また、非強磁性金属層の膜厚を
制限することにより、バイアス磁界なしでも多層膜を磁
界センサに用いることができる。また、バイアス磁界を
印加しない状態での多層膜の磁化容易方向と外部磁界の
検出方向とのなす角度をほぼ直角にすることにより、高
周波特性の優れた磁気抵抗効果素子が得られる。また、
バイアス磁界を印加した状態での多層膜の磁化の方向と
外部磁界の検出方向とのなす角度を30〜70度にする
ことにより、さらに高感度の磁気抵抗効果素子が得られ
る。さらに、強磁性金属層と非強磁性金属層の界面の少
なくとも一部において、エピタキシャル成長が生じてい
る多層膜を用いると、さらに高感度の磁気抵抗効果素子
が得られる。また、強磁性金属層の少なくとも一部と非
強磁性金属層の少なくとも一部の格子定数の差を5%以
下にすることにより、上記エピタキシャル成長を容易に
起こさせることができる。さらに、磁気抵抗効果を有す
る多層膜の膜厚を11.5〜100nmにすることによ
り、エレクトロマイグレ−ションを起こしにくく、高い
センス電流を流せる磁気抵抗効果素子が得られる。さら
に、多層膜の膜厚を11.5〜50nmにすると、さら
に高いセンス電流を流すことができる。また、上記磁気
抵抗効果素子を用いることにより、高感度磁気ヘッドが
得られる。また、上記磁気ヘッドを磁気記録再生装置に
用いることにより、高性能磁気記録再生装置が得られる
【0009】
【実施例】以下に本発明の一実施例を挙げ、図表を参照
しながらさらに具体的に説明する。
【0010】(実施例1)多層磁気抵抗効果膜の作製に
は真空蒸着法を用いた。到達真空度は、1/108Pa
、膜形成速度は、0.2〜0.6nm/sである。膜形
成時には、膜面と平行に250Oeの磁界を印加した。 基板にはコ−ニング社製7059ガラスを用いた。 形成した多層磁気抵抗効果膜の断面構造を図1に示す。
【0011】本実施例では、Co(1.5nm)/Cu
(3.5nm)を30周期積層した。すなわち、強磁性
層11としてCo、非強磁性層12としてCuを用いた
。また、上記多層磁気抵抗効果膜と基板との間には、膜
厚5nmのFe層を形成した。Fe層は、上記多層磁気
抵抗効果膜の磁気抵抗効果を高めるための、バッファ層
である。Fe層は磁性層であり、異方性的磁気抵抗効果
を示すが、上記異方性的磁気抵抗効果は小さく、多層構
造に起因する磁気抵抗効果を測定することに対する影響
が小さい。この点においてFe層を用いることは好まし
い。また、多層構造に起因する磁気抵抗効果を測定する
ことに対する影響を全くなくす点では、非強磁性金属層
を用いることが好ましい。非強磁性金属のバッファ層と
しては、Cu、Ti、Cr、Vが有効である。
【0012】室温で、多層膜の磁化困難方向に外部磁界
を印加した時の磁気抵抗効果の測定結果を図2に示す。 磁気抵抗変化率は9%であった。この磁気抵抗変化率は
、現在の実用材料であるパ−マロイの3%よりも大きい
。また、Feバッファ層を使用しない場合の磁気抵抗変
化率は、6%であった。また、Cu、Ti、Cr、Vの
バッファ層を使用した場合の、磁気抵抗変化率は、それ
ぞれ、8%、7.5%、8%、7%であった。以上のよ
うに、磁気抵抗効果素子に用いる多層磁気抵抗効果膜の
下部には、Fe、Cu、Ti、Cr、Vからなる金属層
を形成することが好ましい(言い替えれば、磁気抵抗効
果素子における多層磁気抵抗効果膜の少なくとも、一部
を金属層上に形成することが好ましい)。以上のバッフ
ァ層は、多層磁気抵抗効果膜と基板が接触することによ
り生じる多層磁気抵抗効果膜内の応力の低減、あるいは
、多層磁気抵抗効果膜の結晶性の向上、多層磁気抵抗効
果膜の結晶配向性の向上などの効果があるため、多層磁
気抵抗効果膜の磁気抵抗変化率を増加させるものと思わ
れる。
【0013】また、上記のCu層を非強磁性金属層とし
て用いた多層磁気抵抗効果膜は、Baibichらによ
る、フィジカル・レビュ−・レタ−ズ(Pysical
 Review Letters)、第61巻、第21
号、2472〜2475ペ−ジに記載の「Giant 
Magnetoresistance of (001
)Fe/(001)Cr Magnetic Supe
rlattices」に記載のFe/Cr多層膜よりも
、電気抵抗の変化に要する磁界が低い。電気抵抗の変化
に要する磁界を低くすることは、磁気抵抗効果素子の感
度を高くするためには、非常に重要である。この点から
、非強磁性層としては、Crのような反強磁性材料を用
いるよりも、磁気抵抗効果素子を使用する温度において
常磁性である材料を用いることが好ましい。常磁性材料
としては、室温で常磁性のA12型結晶構造のMn、あ
るいは、Ti、V、Cuが好ましい。
【0014】上記のような多層膜では、以下に述べるよ
うな機構で磁気抵抗効果が生じる。多層磁気抵抗効果膜
は、図1のように、多層膜は、強磁性金属層と非強磁性
金属層が交互に積層されている。図3は、多層膜の平面
図であり、奇数層目の強磁性金属層の磁化の向き21と
偶数層目の強磁性金属層の磁化の向き22を示してある
(但し、ここでの奇数、偶数は強磁性金属層のみを数え
た場合のものである)。まず、高い磁界を負の方向に印
加すると、強磁性金属層は磁気飽和する。この状態を図
3(a)に示す。この時、奇数層目の強磁性金属層の磁
化21と偶数層目の強磁性金属層の磁化22は同じ向き
である。この状態では、例えば、強磁性金属層11に存
在する電子は、非強磁性金属層12を通過し、他の強磁
性金属層11に入射する時、あまり散乱されず、従って
電気抵抗が低い。この状態から、磁界を零にすると、図
3(b)のように、磁化の向きが変化する。さらに正の
向きに印加すると、図3(c)のように、約160Oe
で、磁化の向きが反平行になる。この状態では、例えば
、強磁性金属層11に存在する電子は、非強磁性金属層
12を通過し、他の強磁性金属層11に入射する時、散
乱され、従って電気抵抗が高い。さらに磁界が高くなる
と、図3(d)の状態を経て、図3(e)のように、磁
化の向きが再び平行になり、電気抵抗が減少する。
【0015】以上述べたように、強磁性金属層と非強磁
性金属層を積層した多層膜において、高い磁気抵抗効果
が得られる。このため、上記多層磁気抵抗効果膜を用い
ることにより、高感度の磁気抵抗効果素子を作製するこ
とができる。
【0016】なお、真空蒸着法以外の膜形成方法を用い
ても、同様の膜構造が形成できれば、本実施例と同様の
結果を得ることができる。
【0017】しかし、上記の多層磁気抵抗効果膜だけで
磁気抵抗効果素子を形成したところ、微弱な磁界を印加
した時に、大きな出力が得られなかった。これは、図2
のように、磁界が零の付近では、抵抗変化の勾配が低い
ことから当然のこととして理解できる。この問題を解決
するために、多層膜上に50nmのAl2O3からなる
絶縁体の層を形成し、さらにその上にCo−Pt系永久
磁石層を50nm形成した。また、上記永久磁石層は、
素子作製後、多層膜の磁化困難方向に10kOeの磁界
を印加して着磁した。その結果、多層膜の磁化困難方向
にに65Oe程度のバイアス磁界が印加された。
【0018】室温で、多層膜の磁化困難方向に外部磁界
を印加した時の磁気抵抗効果の測定結果を図4に示す。 この図では、磁界が負から正の向きに変化した時の抵抗
変化のみ示してある。同図のように、抵抗変化を示す曲
線23は磁界方向にシフトし、磁界が零の付近で、抵抗
変化の勾配が大きくなっている。また、この状態では、
磁界が負の向きに変化した時には、電気抵抗が減少し、
磁界が正の向きに変化した時には、電気抵抗が増加する
ことになる。従って、磁界の向きの正負を容易に判断で
きる。
【0019】上記バイアスを印加した多層膜を用いて磁
気抵抗効果素子を作製したところ、微弱な磁界において
も、大きな出力が得られた。以上述べたように、多層磁
気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子において、外部
磁界が零近傍の領域における感度が不足している場合は
、磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加し、高感度磁
界領域で磁気抵抗効果素子を使用できるようにすること
が必要である。
【0020】さて、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用い
た磁気抵抗効果素子では、各強磁性金属層が磁気的な相
互作用で結合している。しかし、各強磁性金属層間には
非強磁性金属が存在しているため、上記の磁気的な相互
作用は交換相互作用よりも弱い。この点は、一層のパ−
マロイ層で強磁性金属層が形成されている今までの磁気
抵抗効果素子とは全く異なる。このため、バイアス磁界
の印加に関して、今までのパ−マロイを用いた磁気抵抗
効果素子とは、本質的に異なる状況が生じる。本発明の
多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子では、各
強磁性金属層にできるかぎり均一なバイアス磁界を印加
することが好ましい。本実施例のように、50nm以上
の非磁性層を介して永久磁石層を形成すると、比較的均
一な永久磁石からの漏れ磁界が多層磁気抵抗効果膜に印
加される。この点で、本実施零の要な永久磁石方式は、
多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子における
バイアス印加方式として好ましい。しかし、反面、多層
磁気抵抗効果膜と永久磁石層の間に厚い非磁性層を形成
しなくてはならないため、素子全体が厚くなり、素子の
上下に形成する2枚のシ−ルドの間隔を狭くできない。 このため、磁気抵抗効果素子の分解能を高くすることに
対しては若干の問題がある。
【0021】ところで、一般のパ−マロイ磁気抵抗効果
素子で知られているシャントバイアス方式、ソフトバイ
アス方式、相互バイアス方式などを用いても、バイアス
磁界を印加することが可能である。
【0022】シャントバイアス方式は、多層磁気抵抗効
果膜上に直接、非磁性金属層を形成し、非磁性金属に分
流した電流により生じる誘導電流によりバイアス磁界を
発生させる方法である。この方法は、多層磁気抵抗効果
膜上に直接、非磁性金属層を形成するため、非常に簡便
に素子を形成することができるという、プロセス上の大
きな利点がある。しかし、非磁性金属層に流れる電流に
対しては、磁界による電気抵抗の変化は生じず、素子全
体の磁気抵抗変化率が減少するという欠点がある。また
、非磁性金属層に接している強磁性金属層には大きなバ
イアス磁界が印加されるが、接していない強磁性金属層
に印加されるバイアス磁界は比較的小さいという問題が
ある。
【0023】上記のシャントバイアス方式の欠点を解決
するために、多層磁気抵抗効果膜上に非磁性絶縁層を形
成し、さらにその上に非磁性金属層を形成した。上記、
非磁性金属層に電流を流すことにより、バイアス磁界を
発生した。この方法によると、上記シャントバイアス方
式よりも均一な磁界を多層磁気抵抗効果膜に印加するこ
とができる。
【0024】多層磁気抵抗効果膜に比較的均一なバイア
ス磁界を印加するという観点から、ソフトバイアス方式
は好ましい。しかし、多層磁気抵抗効果膜上に非磁性絶
縁層を形成する必要があるため、素子全体が厚くなる可
能性がある。
【0025】相互バイアス方式も、多層磁気抵抗効果膜
に比較的均一なバイアス磁界を印加するという観点から
、ソフトバイアス方式と同様に好ましい。また、2個の
多層磁気抵抗効果膜を用いるため、2個とも素子として
使用することにより、2倍の出力を得たり、差動型素子
とすることも可能である。しかし、素子全体の構造が複
雑になるという問題がある。
【0026】また、以上述べた、ソフトバイアス方式、
シャントバイアス方式、相互バイアス方式、永久磁石方
式、電流による誘導磁界による方式から選ばれる2種類
以上の方式を併用することも可能である。
【0027】また、本実施例では、多層膜の磁化困難方
向の磁界を検出した場合を示したが、多層膜の磁化容易
方向の磁界も高感度で検出できる。但し、高周波磁界を
検出する場合は、多層膜の磁化困難方向を磁界検出方向
とした方が好ましい。これは、本発明の多層磁気抵抗効
果膜では、磁化困難方向の方が、磁化容易方向と比較し
て比透磁率が高いためである。また、多層膜の磁化困難
方向と磁界検出方向との角度の差は10度以下が好まし
い。
【0028】また、図4には、感度に相当する抵抗変化
曲線の傾き24を示してある。このように、抵抗変化率
が3〜8Oeの時に、ほぼ最大の傾きとなる。これを、
磁化の向きと外部磁界検出方向とのなす角度に換算する
と、30〜70度になる。従って、バイアス磁界は、磁
化の向きと磁界検出方向とのなす角度が30〜70度に
なるような大きさで印加することが好ましい。
【0029】また、図1に示すような磁気抵抗変化にヒ
ステリシスが生じる場合、多層磁気抵抗効果膜に高い磁
界を印加し、磁化状態をイニシャライズできる機構を付
加することが好ましい。
【0030】また、多層磁気抵抗効果膜を2個用いた磁
気抵抗効果素子を形成すると再生出力が2倍となる磁気
抵抗効果素子が得られる。
【0031】また、強磁性金属層、非強磁性金属層の材
料を変化させても、図3のような磁化過程が得られれば
、上述と同様の結果が得られる。本発明者らは、Co/
Mn、Ni/Cu、Fe/Cu多層膜でも上述と同様の
結果を得ている。上記の中では、特にCo/Mn多層膜
が優れた特性を示した。
【0032】(実施例2)実施例1と同様の方法で、多
層磁気抵抗効果膜を形成した。図1における、強磁性金
属層11としては、膜厚1.5nmのCo、非強磁性金
属層12としては、膜厚2nmのCuを用いた。また、
上記多層磁気抵抗効果膜と基板との間には、膜厚5nm
のFe層を形成した。
【0033】室温で、多層磁気抵抗効果膜の磁化困難方
向に外部磁界を印加した時の磁気抵抗効果の測定結果を
図5に示す。磁気抵抗変化率は18%であった。
【0034】上記多層磁気抵抗効果膜を用いて磁気抵抗
効果素子を作製した。磁気抵抗効果素子の構造を図6に
示す。磁気抵抗効果素子は、図6にように、シ−ルド層
25および26、多層磁気抵抗効果膜27、電極28よ
りなる。この磁気抵抗効果素子にはバイアス磁界印加機
構は備わっていない。シ−ルド層25、26には、膜厚
1μmのパ−マロイ合金層を用いた。電極28には、膜
厚100nmのCu層を用いた。各層間のギャップ材と
しては、Al2O3を用いた。ギャップ層の膜厚は、1
00nmとした。
【0035】図5のように、上記磁気抵抗効果膜は、外
部磁界が零の近傍においても電気抵抗変化の勾配が大き
い。従って、このような磁気抵抗効果膜を使用すると、
バイアス磁界印加機構は必要ない。バイアス磁界印加機
構がない場合、バイアス磁界印加機構を有する場合と比
較して、2枚のシ−ルド層の間隔を狭くすることができ
る。このため、分解能の高い磁気抵抗効果素子が得られ
るという利点がある。しかしながら、上記のように、外
部磁界が零の近傍においても電気抵抗変化の勾配を大き
くするためには、非強磁性金属層の1層当りの膜厚を制
御する必要がある。図5において、磁界が零の時の磁気
抵抗変化率は11%である。この値は、この素子におけ
る最大の磁気抵抗変化率(18%)の0.6倍に相当す
る。上記の、磁界が零の時の磁気抵抗変化率が、その素
子の最大の磁気抵抗変化率の0.3〜0.9倍に相当す
る時に、比較的、外部磁界が零の近傍においても電気抵
抗変化の勾配が大きいことがわかった。非強磁性金属層
の1層当りの膜厚と(磁界が零の時の磁気抵抗変化率/
素子における最大の磁気抵抗変化率)との関係を図7に
示す。この図のように、非強磁性金属層の1層当りの膜
厚が1.5〜2.5nmの時に、(磁界が零の時の磁気
抵抗変化率/素子における最大の磁気抵抗変化率)の値
が0.3〜0.9になる。従って、バイアスを印加する
必要のない磁気抵抗効果素子を得るためには、非強磁性
金属層の1層当りの膜厚を1.5〜2.5nmとするこ
とが好ましい。
【0036】また、本実施例では、多層膜の磁化困難方
向の磁界を検出した場合を示したが、多層膜の磁化容易
方向の磁界も高感度で検出できる。但し、高周波磁界を
検出する場合は、多層膜の磁化困難方向を磁界検出方向
とした方が好ましい。これは、本発明の多層磁気抵抗効
果膜では、磁化困難方向の方が、磁化容易方向と比較し
て比透磁率が高いためである。また、多層膜の磁化困難
方向と磁界検出方向との角度の差は10度以下が好まし
い。
【0037】また、磁化の向きと磁界検出方向とのなす
角度が30〜70度になっている状態を有する多層磁気
抵抗効果膜とすることが好ましい。
【0038】また、図5に示すように、多層磁気抵抗効
果膜の磁気抵抗変化にヒステリシスが生じる場合、多層
磁気抵抗効果膜に高い磁界を印加し、磁化状態をイニシ
ャライズする機構を付加することが好ましい。
【0039】また、強磁性金属層、非強磁性金属層の材
料を変化させても、図5のような磁化過程が得られれば
、本実施例と同様の結果が得られる。本発明者らは、C
o/Mn、Ni/Cu、Fe/Cu多層膜でも上述と同
様の結果を得ている。上記の中では、特にCo/Mn多
層膜が優れた特性を示した。
【0040】(実施例3)実施例2の多層磁気抵抗効果
膜は、図5のように、磁界が零より高い時と低い時では
、磁気抵抗変化曲線の曲率が異なる。従って、このまま
使用すると、磁気抵抗効果素子の出力波形に歪が生じる
ことになる。そこで、本実施例では、実施例2と同様の
多層磁気抵抗効果膜を2個使用した磁気抵抗効果素子を
作製した。上記2個の磁気抵抗効果膜のうち、1個は負
の大きな磁界を印加し、他の磁気抵抗効果膜は正の大き
な磁界を印加した後、使用した。従って、零から正の向
きに微小な磁界が印加されると、一方は電気抵抗が増加
し、他の一方は電気抵抗が減少する。また、零から負の
向きに微小な磁界が印加される時は、一方は電気抵抗が
減少し、他の一方は電気抵抗が増加する。このため、上
記2個の磁気抵抗効果膜の出力の差を測定すると、磁気
抵抗効果膜が1個の場合と比較して、出力はほぼ2倍に
なる。
【0041】また、図5のように、左右2個の磁気抵抗
変化曲線の形状は、磁界零を基準にして対称である。従
って、上記のように、2個の磁気抵抗効果膜の出力の差
を測定すると、磁界がどちらの向きに変化しても、磁界
変化量が同じならば、出力は同じ値になる。すなわち、
磁気抵抗効果素子の出力波形に歪は生じない。
【0042】以上述べたように、2個の磁気抵抗効果膜
を使用し、その出力の差を出力する構成の磁気抵抗効果
素子を形成した。その結果、磁気抵抗効果膜が1個の場
合と比較して、出力がほぼ2倍になり、かつ再生波形に
歪を生じない磁気抵抗効果素子を得ることができた。
【0043】(実施例4)実施例1と同様の方法で、多
層磁気抵抗効果膜を形成した。図1における、強磁性金
属層11としては、膜厚1.5nmのCo、非強磁性金
属層12としては、膜厚2nmの各種金属を用いた。非
強磁性金属層12の材料による磁気抵抗変化率の変化を
表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】この表にみられるように、非強磁性金属層
の材料により、磁気抵抗変化率は大きく変化する。この
原因について調べるために、多層膜断面の透過型電子顕
微鏡観察を行った。その結果、非強磁性金属層としてC
uを用いた場合についてのみ、非強磁性金属層とCo層
の間で、明瞭なエピタキシャル成長が認められた(Co
層が薄いため、Coは面心立方構造になっていることが
わかった)。エピタキシャル成長と磁気抵抗変化率との
関係は、以下のように考えられる。
【0046】強磁性金属層と非強磁性金属層の界面でエ
ピタキシャル成長が生じないと、界面での原子の配列が
不連続になり、格子欠陥を生じる。電子は、結晶の欠陥
が存在すると、そこで散乱される。この散乱は抵抗を増
加させる。この抵抗は、強磁性金属層の磁化の向きには
依存しない。従って、欠陥が多いと、磁化の向きに関係
なく、常時、電気抵抗が高くなり、磁化の向きによる抵
抗の変化が、相対的に小さくなる。このため、磁気抵抗
効果が小さく観測されるようになる。表3のように、A
g,Au,Al,Pt,Rhなどは格子不整合(ここで
格子不整合は、非強磁性金属層の格子定数と強磁性金属
層の格子定数の差を強磁性金属層の格子定数で除した値
と定義する)が大きく、このため、エピタキシャル成長
しない。これに対し、CoとCuの格子定数の違いは1
.9%程度である。このため、強磁性金属層と非強磁性
金属層の界面でエピタキシャル成長が起こり、強磁性金
属層に欠陥が生じにくい。欠陥による散乱がない場合は
、磁化の向きによる抵抗変化が効率良く観測されるもの
と考えられる。
【0047】また、上記の機構とは別に、界面の局所的
な磁化の向きも、格子欠陥により影響を受けると考えら
れ、エピタキシャル成長が生じ、欠陥の少ないことは、
この点でも高い磁気抵抗効果を得るのに有利である。
【0048】以上、述べたように、非強磁性金属層と強
磁性金属層の界面の少なくとも一部で、エピタキシャル
成長を起こさせることは、高磁気抵抗効果を得るのに対
して好ましい。
【0049】また、上記のエピタキシャル成長による特
性向上は、実施例1に示したようなバイアス磁界印加機
構を有する磁気抵抗効果素子、および、実施例2に示し
たようなバイアス磁界印加機構を持たない磁気抵抗効果
素子のどちらでも観測される。
【0050】(実施例5)実施例1と同様の方法で、多
層磁気抵抗効果膜を形成した。図1における、強磁性金
属層11としては、膜厚1.5nmのCo、非強磁性金
属層12としては、膜厚2nmのCu−Au系合金を用
いた。Cuの格子定数を変化させるために、Auを添加
した。Cu−Au系合金とCoの格子不整合と磁気抵抗
変化率との関係を図8に示す。この図のように、格子不
整合が小さい方が磁気抵抗変化率が大きい。15%以上
の磁気抵抗変化率を得るためには、格子不整合を5%以
下にすることが要求される。これは、格子不整合が5%
より大きくなると、エピタキシャル成長しにくくなるた
めと思われる。
【0051】また、上記のエピタキシャル成長による特
性向上は、実施例1に示したようなバイアス磁界印加機
構を有する磁気抵抗効果素子、および、実施例2に示し
たようなバイアス磁界印加機構を持たない磁気抵抗効果
素子のどちらでも観測される。
【0052】(実施例6)実施例1と同様の方法で、多
層磁気抵抗効果膜を形成した。図1における、強磁性金
属層11としては、膜厚1.5nmのCo、非強磁性金
属層12としては、膜厚2nmのCuを用いた。多層磁
気抵抗効果膜を作製する時の基板温度を変化させること
により、各層間の相互拡散量を変化させた。相互拡散量
は、多層磁気抵抗効果膜全体の飽和磁束密度の変化より
算出した。
【0053】相互拡散量と最大の磁気抵抗変化率との関
係を図9に示す。この図のように、拡散量が増加すると
、急激に最大の磁気抵抗変化率が減少する。従って、相
互拡散量は、0.3nm以下が好ましい。
【0054】(実施例7)実施例1と同様の方法で、多
層磁気抵抗効果膜を形成した。図1における、強磁性金
属層11としては、膜厚1.5nmのCo、非強磁性金
属層12としては、膜厚1nmのCuを用いた。
【0055】上記の多層膜を用いた磁気抵抗効果素子に
センス電流を流すと、センス電流の大きさに伴い、磁気
抵抗効果素子の出力が増加する。しかし、ある電流密度
以上の電流を流すと、素子が破断する。これは、ジュ−
ル熱により磁気抵抗効果素子が加熱され、エレクトロマ
イグレ−ションが起きやすくなったためである。図10
に、多層膜の膜厚と素子に流すことのできる最大の電流
密度との関係を示す。この図のように、多層磁気抵抗効
果膜の膜厚が減少するに従い、流すことのできる電流密
度が増加する。これは、膜厚が薄くなると、多層磁気抵
抗効果膜の熱が他の部分に逃げやすくなるためである。 2×1010A/m以上の電流を流すためには、膜厚を
100nm以下にする必要がある。また、4×1010
A/m以上の電流を流すためには、膜厚を50nm以下
にする必要がある。
【0056】また、素子として充分な磁気抵抗効果を得
るためには、強磁性金属層は最低限5層必要なことが明
らかになったため、多層磁気抵抗効果膜の膜厚は11.
5nm以上が好ましい。
【0057】多層膜の膜厚と電流密度との関係は、強磁
性金属層、非強磁性金属層の種類が異なっても、上記と
ほぼ同様の傾向を示す。
【0058】(実施例8)図11に示す断面構造の3種
の磁気抵抗効果素子を作製した。多層磁気抵抗効果膜の
構造は、図1と同様である。強磁性金属層11としては
、膜厚1.5nmのCo、非強磁性金属層12としては
、膜厚2nmのCuを用いた。積層数は、15周期であ
る。
【0059】それぞれの素子における最大の磁気抵抗変
化率は、(a)は12%、(b)は13%、(c)は1
5%であった。素子により、最大の磁気抵抗変化率が異
なるのは、それぞれの素子における電流の流れ方に違い
があるためと考えられる。すなわち、(a)の構造では
、電流が比較的、多層膜の上部を流れるのに対し、(b
)では多層膜全体に、(c)では多層膜の下部に流れや
すい。多層膜の周期構造は、多層膜の下部では、比較的
完全であり、上部になるに従い、周期構造が乱れやすい
。従って、高い磁気抵抗効果を得るためには、電流を多
層膜の下部に流れるような構造にすることが好ましい。 図10において、(b)、(c)に示す構造では、多層
膜の少なくとも一部が金属層上に形成されている。 電流を多層膜の下部に流れるような構造にするためには
、多層膜の少なくとも一部を金属層上に形成する素子作
製方法が比較的容易と考えられる。しかし、(a)の構
造は、(b)、(c)と比較して、構造が単純であり、
プロセス上好ましいという利点がある。
【0060】また、磁気抵抗効果素子の磁界検出領域の
幅は、電極の間隔で規定することがプロセス上容易であ
り、好ましい。
【0061】(実施例9)本発明の磁気抵抗効果素子を
用い、磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッドの構造を以下
に示す。図12は、記録再生分離型ヘッドの一部分を切
断した場合の斜視図である。多層磁気抵抗効果膜を用い
た磁気抵抗効果素子41をシ−ルド層42,43で挾ん
だ部分が再生ヘッドとして働き、コイル44を挾む2つ
の記録磁極45,46の部分が記録ヘッドとして働く。 磁気抵抗効果素子41は実施例1に記載の多層磁気抵抗
効果膜からなる。また、バイアス磁界印加のため、多層
磁気抵抗効果膜上にNbからなる導体層48を形成した
。以下にこのヘッドの作製方法を示す。
【0062】Al2O3・TiCを主成分とする焼結体
をスライダ用の基体47とした。シ−ルド層、記録磁極
にはスパッタリング法で形成したNi−Fe合金を用い
た。各磁性膜の膜厚は、以下のようにした。上下のシ−
ルド層42,43は1.0μm、記録磁極45,46は
3.0μm、多層磁気抵抗効果膜全体の膜厚は100n
mとした。各層間のギャップ材としてはスパッタリング
で形成したAl2O3を用いた。ギャップ層の膜厚は、
シ−ルド層と磁気抵抗効果素子間で0.2μm、記録磁
極間では0.4μmとした。さらに再生ヘッドと記録ヘ
ッドの間隔は約4μmとし、このギャップもAl2O3
で形成した。コイル44には膜厚3μmのCuを使用し
た。
【0063】以上述べた構造の磁気ヘッドで記録再生を
行ったところ、高い再生出力を得た。これは、本発明の
磁気ヘッドに高磁気抵抗効果を示す多層膜を用い、適切
なバイアス磁界を印加したためと考えられる。
【0064】なお、磁気ヘッドとしては、高周波特性の
優れていることが必要であり、このためには、多層膜の
磁化困難方向を磁気記録媒体面に垂直にすることが好ま
しい。
【0065】上記実施例ではバイアス法としてはシャン
トバイアス法を用いた場合を示したが、電流バイアス法
、永久磁石法、ソフトバイアス法、相互バイアス法など
別のバイアス法を使用しても同様な効果が得られる。
【0066】また、実施例2〜3で述べた磁気抵抗効果
素子を用いると、バイアス印加方法の必要がなく、高い
出力を示す磁気ヘッドを得ることができる。
【0067】ところで、磁気ヘッドが記録および再生能
力を同時に有している場合、基板に近い部分に記録用の
素子を形成すると、記録用素子の上部では、コイル、磁
極などの形成のために、大きな段差が生じる。この上に
、多層磁気抵抗効果膜を形成すると、段差の影響で多層
構造が乱れ、好ましくない。これに対し、図12のよう
に、基板に近い部分に再生用の磁気抵抗効果素子を形成
すると、比較的段差の少ない部分に磁気抵抗効果素子が
形成されるため、多層構造の乱れが生じにくい。これは
、パ−マロイ単層膜を用いた磁気抵抗効果素子とは本質
的に異なる現象である。
【0068】以上の観点から、磁気ヘッドが記録および
再生能力を同時に有している場合、基板に近い部分に再
生用の磁気抵抗効果素子を形成することが好ましい。
【0069】また、同じ観点から、記録用の素子と、再
生用の磁気抵抗効果素子を同じ基板における他の場所に
形成すると、段差の少ない部分に磁気抵抗効果素子を形
成できる。
【0070】また、さらに、上記磁気ヘッドを磁気記録
再生装置に用いることにより、高性能磁気記録再生装置
が得られる。
【0071】
【発明の効果】上述のように、強磁性金属層と非強磁性
金属層を積層した多層構造に起因する磁気抵抗効果を有
する多層膜を用いた磁気抵抗効果素子において、磁気抵
抗効果素子にバイアス磁界を印加することにより、外部
磁界の向き(正負)を判断できる高感度の磁気抵抗効果
素子が得られる。また、バイアス磁界の印加方法として
、シャントバイアス方式、電流による誘導磁界方式、永
久磁石方式、ソフトバイアス方式、相互バイアス方式の
中から選ばれる1種の方式、あるいはこれらの2種以上
を併用した方式が使用できる。また、非強磁性金属層の
膜厚を制限することにより、バイアス磁界なしでも多層
膜を磁界センサに用いることができる。また、バイアス
磁界を印加しない状態での多層膜の磁化容易方向と外部
磁界の検出方向とのなす角度をほぼ直角にすることによ
り、高周波特性の優れた磁気抵抗効果素子が得られる。 また、バイアス磁界を印加した状態での多層膜の磁化の
方向と外部磁界の検出方向とのなす角度を30〜70度
にすることにより、さらに高感度の磁気抵抗効果素子が
得られる。さらに、強磁性金属層と非強磁性金属層の界
面の少なくとも一部において、エピタキシャル成長が生
じている多層膜を用いると、さらに高感度の磁気抵抗効
果素子が得られる。また、強磁性金属層の少なくとも一
部と非強磁性金属層の少なくとも一部の格子定数の差を
5%以下にすることにより、上記エピタキシャル成長を
容易に起こさせることができる。さらに、磁気抵抗効果
を有する多層膜の膜厚を11.5〜100nmにするこ
とにより、エレクトロマイグレ−ションを起こしにくく
、高いセンス電流を流せる磁気抵抗効果素子が得られる
。さらに、多層膜の膜厚を11.5〜50nmにすると
、さらに高いセンス電流を流すことができる。また、上
記磁気抵抗効果素子を用いることにより、高感度磁気ヘ
ッドが得られる。また、上記磁気ヘッドを磁気記録再生
装置に用いることにより、高性能磁気記録再生装置が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層磁気抵抗効果膜の断面図。
【図2】多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果を示すグラ
フ図。
【図3】多層磁気抵抗効果膜の磁化過程を示す概念図。
【図4】本発明のバイアス磁界を印加した多層磁気抵抗
効果膜の磁気抵抗効果を示すグラフ図。
【図5】多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果を示すグラ
フ図。
【図6】本発明のバイアス磁界を必要としない磁気抵抗
効果素子の構造を示す斜視図。
【図7】非強磁性金属の1層当りの膜厚と(磁界が零に
おける磁気抵抗変化率/素子における最大の磁気抵抗変
化率)との関係を示すグラフ図。
【図8】本発明の多層磁気抵抗効果膜における強磁性金
属層と非強磁性金属層の格子不整合と磁気抵抗変化率と
の関係を示すグラフ図。
【図9】相互拡散による磁気抵抗効果の低下を示すグラ
フ図。
【図10】本発明の多層磁気抵抗効果膜の膜厚と流すこ
とのできる最大の電流密度との関係を示すグラフ図。
【図11】本発明の磁気抵抗効果素子の構造を示す断面
図。
【図12】本発明の磁気ヘッドの構造の一例を示す斜視
【符号の説明】
11.強磁性金属層 12.非強磁性金属層 21.奇数層目の強磁性金属層の磁化の向き22.偶数
層目の強磁性金属層の磁化の向き23.抵抗変化を示す
曲線 24.抵抗変化曲線の傾き 25,26.シ−ルド層 27.多層磁気抵抗効果膜 28.電極 35.多層磁気抵抗効果膜 36.電極 37.基板 38.絶縁体 41.磁気抵抗効果素子 42,43.シ−ルド層 44.コイル 45,46.記録磁極 47.基体 48.導体層

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強磁性金属層と非強磁性金属層を積層した
    多層膜を用いた磁気抵抗効果素子において、上記多層膜
    が多層構造に起因する磁気抵抗効果を有することを特徴
    とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の磁気抵抗効果素子におい
    て、磁気抵抗効果素子がバイアス磁界印加機構を有する
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の磁気抵抗効果素子に対す
    るバイアス磁界の印加方法が電流による誘導磁界である
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の磁気抵抗効果素子に対す
    るバイアス磁界の印加方法がシャントバイアス方式であ
    ることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】請求項2に記載の磁気抵抗効果素子に対す
    るバイアス磁界の印加方法が永久磁石方式であることを
    特徴とする磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】請求項2に記載の磁気抵抗効果素子に対す
    るバイアス磁界の印加方法がソフトバイアス方式である
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  7. 【請求項7】請求項2に記載の磁気抵抗効果素子に対す
    るバイアス磁界の印加方法が相互バイアス方式であるこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】請求項2に記載の磁気抵抗効果素子に対す
    るバイアス磁界の印加方法が、シャントバイアス方式、
    電流による誘導磁界方式、永久磁石方式、ソフトバイア
    ス方式、相互バイアス方式の中から選ばれる2種以上を
    併用した方式であることを特徴とする磁気抵抗効果素子
  9. 【請求項9】バイアス磁界印加機構を有さないことを特
    徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 【請求項10】請求項9に記載の磁気抵抗効果素子にお
    いて、非強磁性金属層の1層当りの厚さが1.5〜2.
    5nmであることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】請求項2から10のうちいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子において、磁気抵抗効果素子が2個
    存在し、上記2個の磁気抵抗効果素子の電圧の差を出力
    することを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  12. 【請求項12】請求項2から8のうちいずれか、または
    請求項11に記載の磁気抵抗効果素子において、バイア
    ス磁界を印加しない状態での多層磁気抵抗効果膜の磁化
    容易方向と外部磁界の検出方向とのなす角度がほぼ直角
    であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  13. 【請求項13】請求項12に記載の磁気抵抗効果素子に
    おいて、バイアス磁界を印加し、外部磁界を検出してい
    ない状態での、多層磁気抵抗効果膜の磁化の方向と外部
    磁界の検出方向とのなす角度が30〜70度であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  14. 【請求項14】請求項9または10に記載の磁気抵抗効
    果素子において、多層磁気抵抗効果膜の磁化容易方向と
    外部磁界の検出方向とのなす角度がほぼ直角であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  15. 【請求項15】請求項14に記載の磁気抵抗効果素子に
    おいて、外部磁界を検出していない状態での多層磁気抵
    抗効果膜の磁化の方向と外部磁界の検出方向とのなす角
    度が30〜70度であることを特徴とする磁気抵抗効果
    素子。
  16. 【請求項16】請求項1から15のうちいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子において、強磁性金属層と非強磁性
    金属層の界面の少なくとも一部において、エピタキシャ
    ル成長が生じていることを特徴とする磁気抵抗効果素子
  17. 【請求項17】請求項16に記載の磁気抵抗効果素子に
    おいて、強磁性金属層の少なくとも一部と非強磁性金属
    層の少なくとも一部の格子定数の差が5%以下であるこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  18. 【請求項18】請求項1から17のうちいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子において、強磁性金属層と非強磁性
    金属層との間の相互拡散層が0.3nm以下であること
    を特徴とする磁気抵抗効果素子。
  19. 【請求項19】請求項1から18のうちいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子において、磁気抵抗効果を有する多
    層膜の膜厚が11.5〜100nmであることを特徴と
    する磁気抵抗効果素子。
  20. 【請求項20】請求項19に記載の磁気抵抗効果素子に
    おいて、磁気抵抗効果を有する多層膜の膜厚が11.5
    〜50nmであることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  21. 【請求項21】請求項1から20のうちいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子における多層磁気抵抗効果膜の少な
    くとも一部が金属層上に形成されていることを特徴とす
    る磁気抵抗効果素子。
  22. 【請求項22】請求項1から21のうちいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子を少なくとも一部に用いた磁気ヘッ
    ド。
  23. 【請求項23】請求項22に記載の磁気ヘッドにおいて
    、上記磁気ヘッドが記録および再生能力を同時に有し、
    基板に近い部分に再生用の磁気抵抗効果素子が形成され
    ていることを特徴とする磁気ヘッド。
  24. 【請求項24】請求項22に記載の磁気ヘッドにおいて
    、上記磁気ヘッドが記録および再生能力を同時に有し、
    基板および再生用の磁気抵抗効果素子および記録用素子
    が同一直線上に形成されていないことを特徴とする磁気
    ヘッド。
  25. 【請求項25】請求項22から24のうちいずれかに記
    載の磁気ヘッドを少なくとも一部に用いた磁気記録再生
    装置。
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