JP3034129B2 - 熱可塑性ポリウレタンの製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリウレタンの製造方法

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JP3034129B2
JP3034129B2 JP4141338A JP14133892A JP3034129B2 JP 3034129 B2 JP3034129 B2 JP 3034129B2 JP 4141338 A JP4141338 A JP 4141338A JP 14133892 A JP14133892 A JP 14133892A JP 3034129 B2 JP3034129 B2 JP 3034129B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08G18/06Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates with compounds having active hydrogen
    • C08G18/28Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates with compounds having active hydrogen characterised by the compounds used containing active hydrogen
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    • C08G18/32Polyhydroxy compounds; Polyamines; Hydroxyamines
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ポリウレタン
の製造方法に関し、さらに詳しくは、ゴム状弾性を有
し、かつ耐熱性および機械的強度に優れた熱可塑性エラ
ストマーとして有用なポリウレタンの製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、材料がゴム弾性を示すために
は、分子鎖回転の容易な無定型高分子が部分的に架橋し
ていることが必要である。例えば、弾性を有するゴムで
は硫黄分子が分子鎖間を化学結合により架橋して網目構
造を形成している。また、ゴム以外にも、種々の高分子
化合物と架橋剤とを組み合わせた材料が提案されてい
る。しかし、これらの材料を成形するためには架橋工程
を必要とし、化学的に架橋された後では、熱可塑性を示
さないので、架橋された材料を射出成形や押出成形によ
り成形することはできない。
【0003】一方、熱可塑性エラストマーが成形可能な
材料として従来より注目されており、例えば、熱可塑性
ポリウレタンエラストマーが耐摩耗性、耐衝撃性および
耐クリープ性に優れているので広く用いられている
(「熱可塑性エラストマー」30頁;化学工業日報社(1
991)参照)。しかし、上記熱可塑性ポリウレタンエラス
トマーにおいては、ウレタン結合間の水素結合により物
理的架橋点を形成して材料強度を発現している。従っ
て、ウレタン樹脂の耐熱軟化性は、水素結合の熱安定性
の影響を受け、あまり高くない。従来、ウレタン樹脂の
耐熱軟化性を改善するために、ウレタン結合の導入量を
多くしたり、3以上の官能基を有するモノマーを用いて
化学的架橋点を導入する方法が取られているが、架橋点
の数を多くすると室温および低温での柔軟性が低下する
という問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点を
解決しようとするもので、その目的は、耐熱性および機
械的強度に優れ、かつ室温および低温での柔軟性に優れ
た熱可塑性ポリウレタンの製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の熱可塑性
ポリウレタン製造方法は、(A)下記一般式〔I〕で表
されるジヒドロキシ化合物および下記一般式〔II〕で表
されるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれか
一方であるヒドロキシ化合物と、(B)脂肪族ジカルボ
ン酸と、脂肪族ジオールと、下記一般式〔I〕で表され
るジヒドロキシ化合物および下記一般式〔II〕で表され
るモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれか一方
とを主な構成成分とするポリエステルと、(C)ジイソ
シアネートと、を主な構成成分とする熱可塑性ポリウレ
タンの製造方法であって、該ヒドロキシ化合物(A)に
該ジイソシアネート(C)が付加したジイソシアネート
付加体を得、次いで該ジイソシアネート付加体をポリエ
ステル(B)と反応させることを特徴とし、そのことに
より上記目的が達成される。
【0006】
【化3】
【0007】(式中、R1、R2は独立的にアルキレン基
を示し、pは3または4であり、q、rは独立的に0ま
たは1以上の整数を示す)。
【0008】
【化4】
【0009】(式中、R3はアルキレン基を示し、tは
2または3であり、mは0または1以上の整数を示
す)。
【0010】また本発明の第2の熱可塑性ポリウレタン
製造方法は、(A)第1の熱可塑性ポリウレタンに記載
のジヒドロキシ化合物および第1の熱可塑性ポリウレタ
ンに記載のモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいず
れか一方であるヒドロキシ化合物と、(D)両末端にヒ
ドロキシル基を有するポリエステルまたは(E)両末端
にヒドロキシル基を有するポリラクトンのうち少なくと
もどちらか一方と、(C)ジイソシアネートと、を主な
構成成分とする熱可塑性ポリウレタンの製造方法であっ
て、該ヒドロキシ化合物(A)に該ジイソシアネート
(C)が付加したジイソシアネート付加体を得、次いで
該ジイソシアネート付加体をポリエステル(D)または
ポリラクトン(E)のうち少なくともどちらか一方と反
応させることを特徴とし、そのことにより上記目的が達
成される。
【0011】また本発明の第3の熱可塑性ポリウレタン
製造方法は、(A)第1の熱可塑性ポリウレタンに記載
のジヒドロキシ化合物および第1の熱可塑性ポリウレタ
ンに記載のモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいず
れか一方であるヒドロキシ化合物と、(F)両末端にヒ
ドロキシル基を有するポリシロキサンと、(C)ジイソ
シアネートと、を主な構成成分とする熱可塑性ポリウレ
タンの製造方法であって、該ヒドロキシ化合物(A)に
該ジイソシアネート(C)が付加したジイソシアネート
付加体を得、次いで該ジイソシアネート付加体をポリシ
ロキサン(F)と反応させることを特徴とし、そのこと
により上記目的が達成される。
【0012】また本発明の第4の熱可塑性ポリウレタン
製造方法は、(A)第1の熱可塑性ポリウレタンに記載
のジヒドロキシ化合物および第1の熱可塑性ポリウレタ
ンに記載のモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいず
れか一方であるヒドロキシ化合物と、(G)エチレング
リコールおよび/またはブチレングリコールを主に含む
ジオール成分とテレフタル酸を主に含む酸成分とを構成
成分とする芳香族ポリエステルと、ラクトンモノマーお
よび/またはポリラクトンとを反応させることにより得
られるポリエステル共重合体であって、該ポリエステル
のジオール成分として、下記一般式〔I〕で表されるジ
ヒドロキシ化合物と下記一般式〔II〕で表されるモノヒ
ドロキシ化合物のうち少なくともいずれか一方を構成成
分とし、該化合物がジオール成分の0.1モル%〜30
モル%含有されているポリエステル共重合体と、(C)
ジイソシアネートと、を主な構成成分とする熱可塑性ポ
リウレタンの製造方法であって、該ヒドロキシ化合物
(A)に該ジイソシアネート(C)が付加したジイソシ
アネート付加体を得、次いで該ジイソシアネート付加体
をポリエステル共重合体(G)と反応させることを特徴
とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】次に本発明を詳しく説明する。
【0014】まず本発明の第1の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法について説明する。
【0015】上記熱可塑性ポリウレタンは、ヒドロキシ
化合物(A)とポリエステル(B)とジイソシアネート
(C)とを主な構成成分とする。
【0016】上記ヒドロキシ化合物(A)は、前記一般
式〔I〕で表されるジヒドロキシ化合物および前記一般
式〔II〕で表されるモノヒドロキシ化合物のうち少なく
ともいずれか一方である。
【0017】上記ジヒドロキシ化合物は前記一般式
〔I〕で表されるものであり、ジヒドロキシ化合物〔I〕
は、液晶性を示す低分子化合物であって、アルキレン基
1およびR2はエチレン基又はプロピレン基が好まし
く、qおよびrは0または1が好ましい。上記ジヒドロ
キシ化合物としては、例えば、4,4’’−ジヒドロキ
シ−p−ターフェニル、4,4’’’−ジヒドロキシ−
p−クォーターフェニル、4,4’’’−ジ(2−ヒド
ロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等が好適に
使用される。ジヒドロキシ化合物はそれぞれ単独で使用
しても良く、あるいは併用しても良い。
【0018】液晶性の分子は一般に結晶性が高く、上記
したように4,4’’−ジヒドロキシ−p−ターフェニ
ル、4,4’’’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェ
ニル及び4,4’’’−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)
−p−クォーターフェニル等はその融点が高いために、
これらのジヒドロキシ化合物〔I〕がポリマー鎖中に組
み込まれた場合、そのポリマーは特異な性質を示す。す
なわち、ジヒドロキシ化合物〔I〕が結晶性を示し、し
かもその融点が高いので、ジヒドロキシ化合物〔I〕の
配合量が少量の場合でも強固で耐熱性の高い物理的架橋
を形成する。その結果、ソフトセグメントに由来する柔
軟性を損なうことなく耐熱性の高い熱可塑性エラストマ
ーが得られるものと推察される。
【0019】上記モノヒドロキシ化合物は、前記一般式
〔II〕で表されるものであり、パラフェニレン骨格を有
する剛直性の低分子化合物であり、その特徴ある分子構
造を反映してこれらの化合物の融点は極めて高い。さら
にパラフェニレン骨格は低分子液晶化合物のメソゲンと
して有効であることが知られており、これは該骨格が固
体状態のみならず高温状態(溶融状態)においても、強
い凝集力を有していることを示すものである。従って、
上記のモノヒドロキシ化合物〔II〕をポリマー末端に組
み込んだ場合、非常に強固で耐熱性の高い物理的架橋を
もたらし、耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーが生成
する。
【0020】上記モノヒドロキシ化合物〔II〕において
は、R3はエチレン基またはプロピレン基が好ましく、
nは0または1が好ましい。上記モノヒドロキシ化合物
としては、例えば、4−ヒドロキシ−p−ターフェニ
ル、4−ヒドロキシ−p−クォーターフェニル、4−
(2−ヒドロキシエトキシ)−p−ターフェニル、4−
(2−ヒドロキシエトキシ)−p−クォーターフェニル等
があげられる。モノヒドロキシ化合物〔II〕は、それぞ
れ単独で使用しても良く、あるいはそれらを併用しても
良い。
【0021】本発明に使用するポリエステル(B)は、
脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、前記一般式
〔I〕で表されるジヒドロキシ化合物および前記一般式
〔II〕で表されるモノヒドロキシ化合物のうち少なくと
もいずれか一方とを主な構成成分とする。
【0022】上記脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数
が10以下のジカルボン酸が好ましく、例えば、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ス
ベリン酸およびセバチン酸等が挙げられる。
【0023】上記脂肪族ジオールとしては、グリコール
およびポリアルキレンオキシドが挙げられる。上記グリ
コールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、シクロペ
ンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン-−1,2
−オール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロ
ヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4
−ジメタノール等があげられ、これらは単独で使用され
てもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0024】上記ポリアルキレンオキシドとしては、例
えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリヘキサメチレン
オキシド等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。ポリアルキレンオキ
シドの数平均分子量は、小さくなると生成するポリウレ
タンに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなると生
成するポリウレタンの熱安定性等の物性が低下するの
で、100〜20000が好ましく、より好ましくは5
00〜5000である。
【0025】上記ポリエステル(B)に、2個の水酸基
を有するポリシリコーン、ラクトンまたは芳香族ヒドロ
キシカルボン酸を構成成分として含有させてもよい。
【0026】上記ポリシリコーンは2個の水酸基を有す
るものであり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリ
コーンが好ましく、例えば、分子の両末端に2個の水酸
基を有するジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロ
キサン、ジフェニルポリシロキサン等が挙げられる。ポ
リシリコーンの数平均分子量は、小さくなると、生成す
るポリウレタンに柔軟性を付与する能力が低下し、大き
くなるとポリエステルの生成が困難になるので、100
〜20000以下が好ましく、より好ましくは500〜
5000である。
【0027】上記ラクトンは、開環して酸および水酸基
と反応し、脂肪族鎖を付加するものであって、ポリエス
テルに柔軟性を付与するものであり、環の中に4個以上
の炭素原子を有するものが好ましく、より好ましくは5
員環〜8員環であり、例えば、ε−カプロラクトン、δ
−バレロラクトン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられ
る。
【0028】上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリ
エステルに剛性や液晶性を付与するものであり、サリチ
ル酸、メタヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシ安息香
酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ
−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、
3−フェニル−4−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキ
シ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−カルボキ
シビフェニル等が挙げられ、好ましくは、パラヒドロキ
シ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒ
ドロキシ−4’−カルボキシビフェニルなどである。
【0029】さらに、上記ポリエステル(B)に、ポリ
エステルの機械的強度等を向上させるために、上記ジヒ
ドロキシ化合物以外の芳香族ジオールや芳香族ジカルボ
ン酸を構成成分として含有させても良い。
【0030】上記芳香族ジオールとしては、ヒドロキノ
ン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキ
ノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メ
トキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノ
ールA、1,1−ジ(4-ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサン、1,2−ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)
エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタリンなどが挙げられる。
【0031】上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの
金属塩、4,4’−ジカルボキシビフェニルエーテル、
4,4’−ジカルボキシジフェニルサルファイド、4,
4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、3,3’−ジ
カルボキシベンゾフェノン、4,4’−ジカルボキシベ
ンゾフェノン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキ
シ)エタン、1,4−ジカルボキシナフタリンまたは
2,6−ジカルボキシナフタリンなどがあげられる。
【0032】以上のような構成成分から成るポリエステ
ル(B)は、一般に知られている任意の重縮合方法を用
いて製造することができる。例えば、 ジカルボン酸とジオール成分(脂肪族ジオール、ジヒ
ドロキシ化合物、モノヒドロキシ化合物等を含めるもの
とする)とを直接反応させる方法、 ジカルボン酸の低級エステルとジオール成分とをエス
テル交換を利用して反応させる方法、 ジカルボン酸のハロゲン化物とジオール成分をピリジ
ンなどの適当な溶媒中で反応させる方法、 ジオール成分の金属アルコラートをジカルボン酸のハ
ロゲン化物と反応させる方法、 ジオール成分のアセチル化物とジカルボン酸とをエス
テル交換を利用して反応させる方法、等の方法があげら
れる。
【0033】また反応時にジオール成分を過剰に加える
ことによって、おもに両末端がヒドロキシ基であるポリ
マーを得ることができる。このようなポリマーを用いる
方がポリウレタンを得るのに好ましい。
【0034】重縮合する際には、一般にポリエステルを
製造する際に使用されている触媒が使用されてよい。こ
の触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セ
シウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロ
ンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲ
ルマニウム、錫、鉛、アンチモン、ヒ素、セリウム、ホ
ウ素、カドミウム、マンガンなどの金属、その有機金属
化合物、有機酸塩、金属アルコキシド、金属酸化物等が
あげられる。
【0035】特に好ましい触媒は、酢酸カルシウム、ジ
アシル第一錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサ
イド、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、
錫ジオクタノエート、錫テトラアセテート、トリイソブ
チルアルミニウム、テトラブチルチタネート、二酸化ゲ
ルマニウム、および三酸化アンチモンである。これらの
触媒は二種以上併用してもよい。
【0036】また、重合とともに副生する水や、アルコ
ール、グリコールなどを効率よく留出させ、高分子量ポ
リマーを得るためには、反応系を重合後期に1mmHg
以下に減圧することが好ましい。反応温度は一般に15
0〜350℃である。
【0037】本発明に使用するジイソシアネート(C)
としては、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシア
ネートおよび脂環族ジイソシアネートのいずれも使用す
ることができる。
【0038】上記脂肪族ジイソシアネートとしては、例
えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,3−プ
ロピレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシア
ネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が
あげられる。脂環族ジイソシアネートとしては、例え
ば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,
1’−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ
る。また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシネート、トリレン
ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙
げられる。
【0039】上記ジヒドロキシ化合物〔I〕と、上記ポ
リエステル(B)と、上記ジイソシアネート(C)とか
らなる熱可塑性ポリウレタンは、ジヒドロキシ化合物
〔I〕の含有量が少なくなると生成するポリウレタンの
耐熱性が低下し、多くなると生成するポリウレタンの弾
性率が高くなり柔軟性が低下する。従って、上記ポリエ
ステル(B)の構成単位を1モノマーとして数えた場合
(例えば、重合度10のポリエステルは10モノマーと
して数え、芳香族以外のジオールとしてポリアルキレン
オキシドやポリシリコーンを使用する場合その構成単位
を1モノマーとして数える)、上記ジヒドロキシ化合物
〔I〕の含有量は、ポリウレタンを構成する全モノマー
中の0.1〜30モル%が好ましく、、より好ましくは
0.5〜20モル%であり、さらに好ましくは1.0〜
10モル%である。また上記モノヒドロキシ化合物〔I
I〕を用いる場合には、ABA型のトリブロックコポリ
マーとなる。また上記ジヒドロキシ化合物〔I〕とモノ
ヒドロキシ化合物〔II〕を併用する場合には、上記ジヒ
ドロキシ化合物〔I〕とモノヒドロキシ化合物〔II〕の
含有割合は、 0<〔II〕/〔I〕+〔II〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
【0040】さらに、上記熱可塑性ポリウレタンに、鎖
延長剤として上記以外の適当なジヒドロキシ化合物を構
成成分として加えてもよい。このジヒドロキシ化合物と
しては、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノ
ン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニ
ルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒ
ドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒド
ロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタ
ン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4-ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4-ヒドロキ
シフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタリン等の芳香族ジヒド
ロキシ化合物やエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−
ジメタノール等の脂肪族、脂環族ジヒドロキシ化合物等
がある。
【0041】本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法
は、まず、上記ヒドロキシ化合物(A)にジイソシアネ
ート(C)を付加させてイソシアネート付加体を得る。
この反応においては、ヒドロキシ化合物(A)と、ジイ
ソシアネート(C)が溶解する適当な溶媒中で行われ
る。このような溶媒としては、N,Nージメチルホルム
アミド、N,Nージメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシドなどが好適に用いられる。
【0042】ヒドロキシ化合物(A)として、上記ジヒ
ドロキシ化合物〔I〕を用いて、ジイソシアネート付加
体を得る場合、ジヒドロキシ化合物〔I〕1モルに対
し、ジイソシアネート(C)を5モル以上用い、ジイソ
シアネート(C)の溶液に、ジヒドロキシ化合物〔I〕
を加えていくことが望ましい。このとき、モル比で
(A):(C)が1:2のジイソシアネート付加体が生
成する。また、反応を希薄溶液中で行い、ジヒドロキシ
化合物〔I〕1モルに対してジイソシアネート(C)を
1〜1.2モル用いた場合、モル比で(A):(C)が
1:1のジイソシアネート付加体が生成する。ヒドロキ
シ化合物(A)としてモノヒドロキシ化合物〔II〕を用
いる場合は、モノヒドロキシ化合物〔II〕1モルに対
し、ジイソシアネート(C)を1〜1.2モル用いるこ
とが望ましい。
【0043】ヒドロキシ化合物(A)として、ジヒドロ
キシ化合物〔I〕を用いた、モル比で(A):(C)が
1:2のジイソシアネート付加体は、鎖延長剤として作
用する。
【0044】一方、ヒドロキシ化合物(A)として、ジ
ヒドロキシ化合物〔I〕を用いた、モル比で(A):
(C)が1:1のジイソシアネート付加体は、末端封止
剤としても鎖延長剤としても作用する。
【0045】さらに、ヒドロキシ化合物(A)としてモ
ノヒドロキシ化合物〔II〕を用いたジイソシアネート付
加体は、末端封止剤として作用する。
【0046】これらジイソシアネート付加体を合成する
際の反応温度は、通常0〜100℃であり、好ましくは
室温〜50℃である。
【0047】また、この付加反応においては、一般的に
イソシアネートのウレタン化反応に用いられる触媒を用
いることができる。例えば、ジ−n−ブチルスズジラウ
レート、スタナスオクトエート、トリエチレンジアミ
ン、ジエチレンジアミン、トリエチルアミン、ナフテン
酸金属塩、オクチル酸金属塩等があげられる。
【0048】この付加反応により生成したジイソシアネ
ート付加体は結晶化や貧溶媒により沈澱化させることに
より回収される。ここで用いられる貧溶媒としてはイソ
シアネート基に対して不活性であり、反応に用いたジイ
ソシアネート(C)が溶解するものが用いられる。例え
ば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトンなどがあ
げられる。
【0049】次いで、上記で得られたジイソシアネート
付加体のイソシアネート基と、ポリエステル(B)のヒ
ドロキシル基とを反応させることにより、熱可塑性ポリ
ウレタンを得る。
【0050】この反応は、先ず、上記ジイソシアネート
付加体と上記ポリエステル(B)とを均一に混合する。
ジイソシアネート付加体とポリエステル(B1)とを均
一に混合する方法として、プラストミル、押し出し機、
ニーダー、バンバリーミキサーなどによる溶融混練法が
あげられる。この時、ジイソシアネート付加体のイソシ
アネート基とポリエステル(B)のヒドロキシル基とが
反応する。また、重合溶媒を用いずにポリマーが得られ
るので、溶融混練と成形を同時に行う成形方法を用いる
ことも可能である。
【0051】溶融混練時にも、上記のイソシアネート付
加体を得る反応に使用された触媒を用いることができ
る。
【0052】また、溶融混練後および成形後に熱処理を
行うことにより未反応のイソシアネート基と上記ポリエ
ステル(B)のヒドロキシル基とを反応させることがで
きる。熱処理の温度は70〜160℃が好ましく、処理
時間は10分〜24時間が好ましい。なお、熱処理を高
温で行うときは処理時間を短くして樹脂の劣化を防ぐ。
150℃で熱処理を行うときは、30分程度の熱処理が
好ましい。
【0053】また、本発明の熱可塑性ポリウレタンに
は、その実用性を失わない範囲で、さらに以下の添加剤
が添加されてもよい。
【0054】(i)無機繊維:ガラス繊維、炭素繊維、ボ
ロン繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊維、アモロファ
ス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等。
【0055】(ii)有機繊維:アラミド繊維等。
【0056】(iii)無機充填剤:炭酸カルシウム、酸化
チタン、マイカ、タルク等。
【0057】(iv)熱安定剤:トリフェニルホスファイ
ト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニル
ホスファイト、2−tert−ブチル−α−(3−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニルビス(p−ノニ
ルフェニル)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミ
ド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ
(1,3,5−プロピルフェニレン−2,4−カルボジ
イミド)など。
【0058】(v)難燃剤:ヘキサブロモシクロドデカ
ン、トリス-(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェー
ト、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等。
【0059】(vi)紫外線吸収剤:p−tert−ブチル
フェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ-4-メトキシ-2’−カ
ルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシ
ブチロフェノン等。
【0060】(vii)酸化防止剤:ブチルヒドロキシアニ
ソール、ブチルヒドロキシトルエン、ジステアリルチオ
ジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤等。
【0061】(viii)帯電防止剤:N、N−ビス(ヒドロ
キシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネ
ート、アルキルスルファネート等。
【0062】(ix)無機物:硫酸バリウム、アルミナ、酸
化珪素等。
【0063】(x)高級脂肪酸塩:ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム
等。
【0064】(xi)その他の有機化合物:ベンジルアルコ
ール、ベンゾフェノン等。
【0065】次に本発明の第2の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法について説明する。
【0066】上記熱可塑性ポリウレタンは、ヒドロキシ
化合物(A)と、ポリエステル(D)またはポリラクト
ン(E)のうち少なくともいずれか一方と、ジイソシア
ネート(C)とを構成成分とする。
【0067】上記ヒドロキシ化合物(A)と上記ジイソ
シアネート(C)は、第1の熱可塑性ポリウレタンの製
造方法で記載したものと同様である。
【0068】上記ポリエステル(D)は、両末端にヒド
ロキシル基を有し、ジカルボン酸およびジオールを主な
構成成分とする。
【0069】上記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカル
ボン酸が好ましく、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタ
ンの製造方法で記載したものがあげられる。これらは、
それぞれ単独で使用しても良く、2種以上併用しても良
い。
【0070】本発明に使用されるジオールとしては、グ
リコールおよびポリアルキレンオキシドがあげられる。
上記グリコールとしては、例えば、第1の熱可塑性ポリ
ウレタンの製造方法で記載したものがあげられる。これ
らは、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良
い。
【0071】上記ポリアルキレンオキシドとしては、例
えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法で記載し
たものがあげられる。これらは、単独で使用しても良
く、2種以上併用しても良い。ポリアルキレンオキシド
の数平均分子量は、小さくなると生成するポリウレタン
に柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなると生成す
るポリウレタンの熱安定性等の物性が低下するので、1
00〜20000が好ましく、より好ましくは500〜
5000である。
【0072】さらに、上記の両末端にヒドロキシル基を
有するポリエステル(D)に、ポリエステルの機械的強
度などを向上させるために、芳香族ジオールや、芳香族
ジカルボン酸を構成成分として含有させてもよい。これ
らは、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法
で記載したものがあげられる。
【0073】上記両末端にヒドロキシル基を有するポリ
エステル(D)に、2個の水酸基を有するポリシリコー
ン、ラクトンまたは芳香族ヒドロキシカルボン酸を構成
成分として含有させてもよい。
【0074】上記ポリシリコーンは2個の水酸基を有す
るものであり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリ
コーンが好ましく、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタ
ンの製造方法で記載したものがあげられる。ポリシリコ
ーンの数平均分子量は、小さくなると、生成するポリウ
レタンに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなると
ポリエステルの生成が困難になるので、100〜200
00以下が好ましく、より好ましくは500〜5000
である。
【0075】上記ラクトンとしては、開環して酸および
水酸基と反応し、脂肪族鎖を付加するものであって、ポ
リエステルに柔軟性を付与するものであり、環の中に4
個以上の炭素原子を有するものが好ましく、より好まし
くは5員環〜8員環であり、例えば、第1の熱可塑性ポ
リウレタンの製造方法で記載したものがあげられる。上
記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリエステルに剛性
や液晶性を付与するものであり、例えば、第1の熱可塑
性ポリウレタンの製造方法で記載したものがあげられ
る。
【0076】上記両末端にヒドロキシル基を有するポリ
エステル(D)のガラス転移温度は−150℃〜40℃
が好ましく、より好ましくは、−100℃〜20℃であ
る。ガラス転移温度が40℃を超えると、生成するポリ
ウレタンに柔軟性を付与する能力が低下し、他方、ガラ
ス転移温度が−150℃未満では、柔軟性の点では問題
ないが、機械強度が充分なポリウレタンを得ることが困
難である。
【0077】以上のような構成成分からなる、両末端に
ヒドロキシル基を有するポリエステル(D)は、一般に
知られている任意の重縮合方法を用いて製造することが
できる。例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方
法で記載したものがあげられる。
【0078】また反応時にジオール成分を過剰に加える
ことによって、主に両末端がヒドロキシ基であるポリマ
ーを得ることができる。このようなポリマーを用いる方
がポリウレタンを得るのに好ましい。
【0079】重縮合する際には、一般に、ポリエステル
を製造する際に使用されている触媒が使用されてよい。
この触媒としては、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタ
ンの製造方法で記載したものがあげられる。これらの触
媒は二種以上を併用してもよい。
【0080】また、重合とともに副生する水や、アルコ
ール、グリコールなどを効率よく留出させ、高分子量ポ
リマーを得るためには、反応系を重合後期に1mmHg
以下に減圧することが好ましい。反応温度は一般に15
0〜350℃である。
【0081】本発明に使用するポリラクトン(E)は、
両末端にヒドロキシル基を有し、例えば、ポリカプロラ
クトン、ポリバレロラクトン、ポリブチロラクトンなど
があげられる。これらのポリラクトンは、ε−カプロラ
クトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトンなど
の開環重合によって合成することができる。またこれら
種々のラクトンの共重合体を用いてもよい。ポリラクト
ンの数平均分子量は、小さくなると、生成するポリウレ
タンに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなるとポ
リウレタンの生成が困難になるので、100〜2000
が好ましく、より好ましくは500〜5000である。
これらは単独で用いられてもよく、併用されてもよい。
【0082】上記ジヒドロキシ化合物〔I〕と、上記ポ
リエステル(D)または上記ポリラクトン(E)と、上
記ジイソシアネートとからなる熱可塑性ポリウレタン
は、ジヒドロキシ化合物〔I〕の含有量が少なくなると
生成するポリウレタンの耐熱性が低下し、多くなると生
成するポリウレタンの弾性率が高くなり柔軟性が低下す
る。従って、上記ポリエステル(D)または上記ポリラ
クトン(E)の構成単位を1モノマーとして数えた場合
(例えば、重合度10のポリエステルは10モノマーと
して数え、芳香族以外のジオールとしてポリシリコーン
を使用する場合その構成単位を1モノマーとして数え
る)、上記ジヒドロキシ化合物〔I〕の含有量は、ポリ
ウレタンを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%
が好ましく、より好ましくは0.5〜20モル%であ
り、さらに好ましくは1.0〜10モル%である。また
上記モノヒドロキシ化合物〔II〕を用いる場合には、A
BA型のトリブロックコポリマーとなる。また上記ジヒ
ドロキシ化合物〔I〕とモノヒドロキシ化合物〔II〕を
併用する場合には、上記ジヒドロキシ化合物〔I〕とモ
ノヒドロキシ化合物〔II〕の含有割合は、 0<〔II〕/〔I〕+〔II〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
【0083】さらに、上記熱可塑性ポリウレタンに、鎖
延長剤として上記以外の適当なジヒドロキシ化合物を構
成成分として加えてもよい。このジヒドロキシ化合物と
しては、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方
法で記載したものがあげられる。
【0084】本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法
は、先ず、ヒドロキシ化合物(A)にジイソシアネート
(C)を付加させてジイソシアネート付加体を得る。こ
の反応は、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法に記
載した方法で行われる。
【0085】次いで、上記ジイソシアネート付加体のイ
ソシアネート基と、上記ポリエステル(D)または上記
ポリラクトン(E)の少なくともどちらか一方のヒドロ
キシル基を反応させる。この反応は、先ず、上記ジイソ
シアネート付加体と、上記ポリエステル(D)または上
記ポリラクトン(E)の少なくともどちらか一方とを均
一に混合する。ジイソシアネート付加体と、ポリエステ
ル(D)またはポリラクトン(E)の少なくともどちら
か一方とを均一に混合する方法として、例えば、第1の
熱可塑性ポリウレタンの製造方法で記載したものがあげ
られる。また、重合溶媒を用いずにポリマーが得られる
ので、溶融混練と成形を同時に行う成形方法を用いるこ
とも可能である。
【0086】溶融混練時にも、上記のイソシアネート付
加体を得る反応に使用された触媒を用いることができ
る。
【0087】また、溶融混練後および成形後に熱処理を
行うことにより、未反応のイソシアネート基とポリエス
テル(D)または上記ポリラクトン(E)のうち少なく
ともいずれか一方のヒドロキシル基とを反応させること
ができる。熱処理の温度は70〜160℃が好ましく、
処理時間は10分〜24時間が好ましい。なお、熱処理
を高温で行うときは処理時間を短くして樹脂の劣化を防
ぐ。150℃で熱処理を行うときは、30分程度の熱処
理が好ましい。
【0088】また、本発明の熱可塑性ポリウレタンに
は、その実用性を失わない範囲で、さらに添加剤が添加
されてもよく、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの
製造方法で記載したものがあげられる。
【0089】次に本発明の第3の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法について説明する。
【0090】上記熱可塑性ポリウレタンは、ヒドロキシ
化合物(A)と、ポリシロキサン(F)と、ジイソシア
ネート(C)とを構成成分とする。
【0091】上記ヒドロキシ化合物(A)と上記ジイソ
シアネート(C)は、第1の熱可塑性ポリウレタンの製
造方法で記載したものと同様である。
【0092】上記ポリシロキサン(F)は、両末端にヒ
ドロキシル基を有し、例えば、ポリジメチルシロキサ
ン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサ
ン等があげられる。上記ポリシロキサンは、ジメチルシ
ロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン
等の開環重合や、ジメチルジクロロシランとジメチルジ
ヒドロキシシランの重縮合、ジエチルジクロロシランと
ジエチルジヒドロキシシランの重縮合、ジフェニルジク
ロロシランとジフェニルジヒドロキシシランの重縮合に
よって合成することができる。またこれらのシロキサン
の共重合体を使用してもよい。ポリシロキサンの数平均
分子量は、小さくなると生成するポリウレタンに柔軟性
を付与する能力が低下し、大きくなるとポリウレタンの
生成が困難になるので、100〜20000が好まし
く、より好ましくは500〜5000である。これらは
単独で使用されてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0093】上記ジヒドロキシ化合物〔I〕と、上記ポ
リシロキサン(F)と、ジイソシアネート(C)からな
る熱可塑性ポリウレタンは、ジヒドロキシ化合物〔I〕
の含有量が少なくなると生成するポリウレタンの耐熱性
が低下し、多くなると生成するポリウレタンの弾性率が
高くなり柔軟性が低下する。従って、上記ポリエステル
の構成単位を1モノマーとして数えた場合(例えば、重
合度10のポリシロキサンは10モノマーとして数え
る)、上記ジヒドロキシ化合物〔I〕の含有量は、ポリ
ウレタンを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%
が好ましく、より好ましくは0.5〜20モル%であ
り、さらに好ましくは1.0〜10モル%である。また
上記モノヒドロキシ化合物〔II〕を用いる場合には、A
BA型のトリブロックコポリマーとなる。また上記ジヒ
ドロキシ化合物〔I〕とモノヒドロキシ化合物〔II〕を
併用する場合には、上記ジヒドロキシ化合物〔I〕とモ
ノヒドロキシ化合物〔II〕の含有割合は、 0<〔II〕/〔I〕+〔II〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
【0094】さらに、上記熱可塑性ポリウレタンに、鎖
延長剤として上記以外の適当なジヒドロキシ化合物を構
成成分として加えてもよい。このジヒドロキシ化合物と
しては、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方
法で記載したものがあげられる。
【0095】本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法
は、先ず、ヒドロキシ化合物(A)にジイソシアネート
(C)を付加させてジイソシアネート付加体を得る。こ
の反応は、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法に記
載した方法で行われる。
【0096】次いで、上記ジイソシアネート付加体のイ
ソシアネート基と、上記ポリシロキサン(F)のヒドロ
キシル基とを反応させる。この反応は、先ず、上記ジイ
ソシアネート付加体と、上記ポリシロキサン(F)とを
均一に混合する。ジイソシアネート付加体と、ポリシロ
キサン(F)とを均一に混合する方法として、例えば、
第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法で記載したもの
があげられる。また、重合溶媒を用いずにポリマーが得
られるので、溶融混練と成形を同時に行う成形方法を用
いることも可能である。
【0097】溶融混練時にも、上記のイソシアネート付
加体を得る反応に使用された触媒を用いることができ
る。
【0098】また、溶融混練後および成形後に熱処理を
行うことにより、未反応のイソシアネート基と上記ポリ
シロキサン(F)のヒドロキシル基とを反応させること
ができる。熱処理の温度は70〜160℃が好ましく、
処理時間は10分〜24時間が好ましい。なお、熱処理
を高温で行うときは処理時間を短くして樹脂の劣化を防
ぐ。150℃で熱処理を行うときは、30分程度の熱処
理が好ましい。
【0099】また、本発明の熱可塑性ポリウレタンに
は、その実用性を失わない範囲で、さらに添加剤が添加
されてもよく、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの
製造方法で記載したものがあげられる。
【0100】次に本発明の第4の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法について説明する。
【0101】上記熱可塑性ポリウレタンは、ヒドロキシ
化合物(A)と、ポリエステル共重合体(G)と、ジイ
ソシアネート(C)とを構成成分とする。
【0102】上記ヒドロキシ化合物(A)と上記ジイソ
シアネート(C)は、第1の熱可塑性ポリウレタンの製
造方法で記載したものと同様である。
【0103】上記ポリエステル共重合体(G)は、芳香
族ポリエステルと、ラクトンモノマーおよび/またはポ
リラクトンを反応させることにより得られる。
【0104】上記芳香族ポリエステルは、エチレングリ
コールおよび/またはブチレングリコールを主に含むジ
オール成分とテレフタル酸を主に含む酸性分を構成部分
とする。
【0105】上記ブチレングリコールは、1,4−ブタ
ンジオール、1,3−ブタンジオールのいずれでも使用
することができる。
【0106】上記芳香族ポリエステルは、ジオール成分
として、前記一般式〔I〕で表されるジヒドロキシ化合
物および前記一般式〔II〕で表されるモノヒドロキシ化
合物のうち少なくともいずれか一方を構成成分とし、該
化合物がジオール成分の0.1モル%〜30モル%含有
されている。
【0107】上記芳香族ポリエステルに、上記以外の脂
肪族グリコール、ポリアルキレンオキシド、2個の水酸
基を有するポリシリコーン、ヒドロキシ化合物〔I〕お
よび〔II〕以外の芳香族ジオール成分、テレフタル酸以
外の芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン
酸、および脂肪族ジカルボン酸を構成成分として含有さ
せてもよいが、これらの含有量はジオール成分と酸性分
の合計量の10モル%以下が好ましい。
【0108】上記グリコールとしては、例えば、プロピ
レングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,1
0−デカンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサ
ン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメ
タノール等があげられ、これらは単独で使用されてもよ
く、二種以上が併用されてもよい。
【0109】上記ポリアルキレンオキシドとしては、例
えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法で記載し
たものがあげられる。これらは、単独で使用しても良
く、2種以上併用しても良い。ポリアルキレンオキシド
の数平均分子量は、小さくなると生成するポリウレタン
に柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなると生成す
るポリウレタンの熱安定性等の物性が低下するので、1
00〜20000が好ましく、より好ましくは500〜
5000である。
【0110】上記ポリシリコーンは2個の水酸基を有す
るものであり、2個の水酸基が分子末端にあるポリシリ
コーンが好ましく、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタ
ンの製造方法で記載したものがあげられる。ポリシリコ
ーンの数平均分子量は、小さくなると、生成するポリウ
レタンに柔軟性を付与する能力が低下し、大きくなると
ポリエステルの生成が困難になるので、100〜200
00以下が好ましく、より好ましくは500〜5000
である。
【0111】上記芳香族ジオールとしては、例えば、第
1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法で記載したものが
あげられる。
【0112】上記芳香族ジカルボン酸としては、イソフ
タル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩、4,4’−
ジカルボキシビフェニルエーテル、4,4’−ジカルボ
キシジフェニルサルファイド、4,4’−ジカルボキシ
ジフェニルスルホン、3,3’−ジカルボキシベンゾフ
ェノン、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、1,
2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、1,4
−ジカルボキシナフタリン、または2,6−ジカルボキ
シナフタリン等があげられる。
【0113】上記芳香族ヒドロキシカルボン酸は、ポリ
エステルに剛性や液晶性を付与するものであり、例え
ば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法で記載した
ものがあげられる。
【0114】上記脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数
が10以下のジカルボン酸が好ましく、例えば、第1の
熱可塑性ポリウレタンの製造方法で記載したものがあげ
られる。
【0115】以上のような構成成分からなる芳香族ポリ
エステルは、一般に知られている任意の重縮合方法を用
いて製造することができる。例えば、第1の熱可塑性ポ
リウレタンの製造方法で記載したものがあげられる。
【0116】重縮合する際には、一般にポリエステルを
製造する際に使用されている触媒が使用されてよい。こ
の触媒としては、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタン
の製造方法で記載したものがあげられる。これらの触媒
は二種以上併用してもよい。また、重合時の熱安定性向
上のために、各種の安定剤が使用されてよい。
【0117】また、重合とともに副生する水や、アルコ
ール、グリコールなどを効率よく留出させ、高分子量ポ
リマーを得るためには、反応系を重合後期に1mmHg以下
に減圧することが好ましい。反応温度は一般に150〜
350℃である。
【0118】本発明のポリエステル共重合体(G)は、
上記芳香族ポリエステルと、ラクトンモノマーおよび/
またはポリラクトンを反応させることにより得られる。
【0119】上記ラクトンモノマーは、開環して酸およ
び水酸基と反応し、脂肪族鎖を付加するものであって、
環の中に4個以上の炭素原子を有するものが好ましく、
より好ましくは5員環〜8員環である。例えば、ε−カ
プロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクト
ン、エナントラクトン、カプリラクトン等が挙げられ
る。ラクトンモノマーは2種以上を併用してもよい。ま
た、上記ポリラクトンは、上記芳香族ポリエステルとエ
ステル交換して脂肪族鎖を付加するものであって、ポリ
エステル共重合体に柔軟性を付与する。環の中に4個以
上の炭素原子を有するラクトンモノマーを開環重合して
得られるポリラクトンが好ましく、より好ましくは、5
員環〜8員環のラクトンモノマーモノマーより得られる
ポリラクトンである。例えば、ε−カプロラクトン、δ
−バレロラクトン、エナントラクトン、カプリラクトン
等から重合されるポリラクトンがあげられる。2種以上
のラクトンモノマーからなるポリラクトンでもよく、ま
た、ラクトンモノマーとポリラクトンを併用してもよ
い。
【0120】上記芳香族ポリエステルとラクトン化合物
(ラクトンモノマーおよび/またはポリラクトン)との
組成比は、得られるポリエステル共重合体の弾性特性の
点から、芳香族ポリエステル/ラクトン化合物の重量比
が30/70〜80/20が好ましく、特に好ましい範
囲は、30/70〜70/30である。
【0121】芳香族ポリエステルとラクトンモノマーの
反応には、上記触媒が使用されてよい。反応温度は、無
溶剤系で反応を行う場合には、通常芳香族ポリエステル
とラクトンモノマーとの混合物が均一に溶融する温度で
かつ生成したブロック共重合体の融点以上の温度とす
る。溶液系で芳香族ポリエステルとラクトンモノマーと
を反応させる場合には、反応温度は、一般に180℃〜
300℃の範囲が好ましい。180℃未満では芳香族ポ
リエステルがラクトンモノマーと均一に溶解しにくく、
300℃を超えると分解などの好ましくない副反応が起
こる。また、上記反応を溶液で行う際の溶媒は、芳香族
ポリエステルとラクトンモノマーとの共通溶媒である。
例えば、α−メチルナフタレンがあげられる。
【0122】芳香族ポリエステルとポリラクトンとのエ
ステル交換反応は無触媒でも進行するが、上記触媒が使
用されてもよい。また、この際、上記安定剤を加えても
よい。反応温度は、通常芳香族ポリエステルとポリラク
トンとの混合物が均一に溶融する温度でかつ生成したブ
ロック共重合体の融点以上の温度とする。一般に180
℃〜300℃の範囲が好ましい。180℃未満では芳香
族ポリエステルがポリラクトンと均一に溶解しにくく、
300℃を超えると分解などの好ましくない副反応が起
こる。
【0123】エステル交換反応は通常ポリエステルを重
合するのに用いる重合装置が好適に用いられる。また、
押し出し機や混練機中で芳香族ポリエステルとポリラク
トンとのエステル交換を行わせることもできる。
【0124】上記ジヒドロキシ化合物〔I〕と、上記ポ
リエステル共重合体(G)と、ジイソシアネート(C)
とからなる熱可塑性ポリウレタンは、ジヒドロキシ化合
物〔I〕の含有量が少なくなると生成するポリウレタン
の耐熱性が低下し、多くなると生成するポリウレタンの
弾性率が高くなり柔軟性が低下する。従って、上記ポリ
エステル共重合体の構成単位を1モノマーとして数えた
場合(例えば、重合度10のポリエステル共重合体は1
0モノマーとして数え、芳香族以外のジオールとしてポ
リアルキレンキシドやポリシリコーンを使用する場合そ
の構成単位を1モノマーとして数える。即ち、重合度1
0のポリアルキレンキシドは10モノマーとして数え
る)、上記ジヒドロキシ化合物〔I〕の含有量は、ポリ
ウレタンを構成する全モノマー中の0.1〜30モル%
が好ましく、より好ましくは0.5〜20モル%であ
り、さらに好ましくは1.0〜10モル%である。また
上記モノヒドロキシ化合物〔II〕を用いる場合には、A
BA型のトリブロックコポリマーとなる。また上記ジヒ
ドロキシ化合物〔I〕とモノヒドロキシ化合物〔II〕を
併用する場合には、上記ジヒドロキシ化合物〔I〕とモ
ノヒドロキシ化合物〔II〕の含有割合は、 0<〔II〕/〔I〕+〔II〕<2/3 を満たす範囲が好ましい。
【0125】さらに、上記熱可塑性ポリウレタンに、鎖
延長剤として上記以外の適当なジヒドロキシ化合物を構
成成分として加えてもよい。このジヒドロキシ化合物と
しては、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方
法で記載したものがあげられる。
【0126】本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法
は、先ず、ヒドロキシ化合物(A)にジイソシアネート
(C)を付加させてジイソシアネート付加体を得る。こ
の反応は、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造方法に記
載した方法で行われる。
【0127】次いで、上記ジイソシアネート付加体のイ
ソシアネート基と、上記ポリエステル共重合体(G)の
ヒドロキシル基とを反応させる。この反応は、先ず、上
記ジイソシアネート付加体と、上記ポリエステル共重合
体(G)とを均一に混合する。ジイソシアネート付加体
と、ポリエステル共重合体(G)とを均一に混合する方
法として、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの製造
方法で記載したものがあげられる。また、重合溶媒を用
いずにポリマーが得られるので、溶融混練と成形を同時
に行う成形方法を用いることも可能である。
【0128】溶融混練時にも、上記のイソシアネート付
加体を得る反応に使用された触媒を用いることができ
る。
【0129】また、溶融混練後および成形後に、熱処理
を行うことにより、未反応のイソシアネート基と上記ポ
リエステル共重合体(G)のヒドロキシル基とを反応さ
せることができる。熱処理の温度は70〜160℃が好
ましく、処理時間は10分〜24時間が好ましい。な
お、熱処理を高温で行うときは処理時間を短くして、樹
脂の劣化を防ぐ。150℃で熱処理を行うときは、30
分程度の熱処理が好ましい。
【0130】また、本発明の熱可塑性ポリウレタンに
は、その実用性を失わない範囲で、さらに添加剤が添加
されてもよく、例えば、第1の熱可塑性ポリウレタンの
製造方法で記載したものがあげられる。
【0131】本発明の熱可塑性ポリウレタンの製造方法
によると、耐熱性および機械的強度に優れ、かつ室温お
よび低温での柔軟性に優れた熱可塑性ポリウレタンが得
られる。この熱可塑性ポリウレタンは、プレス成形、押
出成形、射出成形、ブロー成形等により成形品とされ
る。成形品の物性は、その構成成分およびその配合割合
等によって任意に変化させることができ、自動車部品、
ホース、ベルト、パッキンなどの柔軟性と耐熱性が要求
される成形品や、塗料、接着剤等に好適に用いることが
できる。
【0132】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例を挙げて
説明する。
【0133】(ジイソシアネート付加体(C1)の合
成)4,4’’’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェ
ニル(以下DHQと省略する)33.8g(0.1mo
l)を3000mlの乾燥N,Nジメチルホルムアミド
(以下DMFと省略する)に45℃で溶解させた。ま
た、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以
下MDIと省略する)250g(1mol)を2500
mlのDMFに45℃で溶解させた。45℃に保ったま
まDHQのDMF溶液を、激しく攪拌したMDIのDM
F溶液に30分かけて滴下し、その後1時間攪拌を続け
た。この後、DMFを45℃で減圧留去し、反応溶液を
約10倍に濃縮し、室温に戻した。濃縮時に析出した白
色沈澱を濾過により回収した。これを1000mlのト
ルエンで3回洗浄し、減圧乾燥し、乾燥DMFから再結
晶してジイソシアネート付加体(C1)を得た。この化
合物のIRスペクトルを測定すると、2280cm-1
イソシアネート基、1710cm-1にウレタン結合、8
20cm-1にp−クォーターフェニル基に基づく吸収が
それぞれ見られた。また、元素分析の結果を表1に示
す。
【0134】
【表1】
【0135】(ポリエステル(B1)の合成)ジメチル
アジペート871g(5mol)、エチレングリコール
620g(10mol)、およびDHQ84.6g
(0.25mol)のモノマー混合物に、触媒として三
酸化アンチモン0.2gおよび酢酸カルシウム0.4g
と、安定剤として1,3,5−トリメチル−2,4,6
−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン1gおよびトリス(2,4−ジーt−
ブチルフェニル)ホスファイト1gとを加え、反応系を
窒素下、200℃で4時間保ち、メタノールを留出させ
ながらエステル交換反応させた。次いで、この反応系を
300℃に昇温し、エチレングリコールを留出させなが
ら30分間反応させた後、3mmHgに減圧した状態で
1時間反応させた。放冷後、生成物を取り出した。生成
したポリエステル(B1)の数平均分子量は5000
(ゲル濾過クロマトグラフィー法によるポリスチレン換
算時の分子量;移動相クロロホルム/o−クロロフェノ
ール=4/1)であった。
【0136】実施例1 上記ポリエステル(B1)50gに上記ジイソシアネー
ト付加体(C1)8.38gを加え、これをプラストミ
ルを用いて240℃で3分間、260℃で3分間溶融混
練した。このサンプルのIRスペクトルを測定すると、
ウレタン結合に基づく吸収が1710cm-1に観測され
たが、イソシアネート基に基づく吸収は見られなかっ
た。このサンプルから、プレス成形により厚さ5mm、
10mm×10mmの成形体を作成した。この成形体に
ついて1kg荷重でビガット軟化温度(JIS K−7
206準拠)を測定したところ、219℃であった。ま
た、得られたポリウレタンは室温で柔軟性を有するもの
であった。
【0137】比較例1 上記ポリエステル(B1)500g(0.1mol)
と、MDI50.1g(0.2mol)とを3000m
lの乾燥DMFに溶解した。系内を窒素で置換した後、
触媒としてジ−n−ブチルスズラウリレートを0.02
g加えて90℃で4時間反応させた。
【0138】次に、鎖延長剤として1,4−ブタンジオ
ール9.0gを上記の溶液に加え、4時間110℃で攪
拌を続けた。反応終了後、溶液を室温に戻し、1000
mlのメタノールに滴下して析出物を得た。こうして得
たポリウレタンをよく乾燥させた。このポリウレタンに
ついて、実施例1と同様にしてビガット軟化点を測定し
たところ128℃であった。
【0139】(ポリエステル(D)の合成)ジメチルア
ジペート697g(4mol)、エチレングリコール6
20g(10mol)、およびジメチルテレフタレート
194g(1mol)のモノマー混合物に、触媒として
三酸化アンチモン0.2gおよび酢酸カルシウム0.4
gと、安定剤として1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン1gおよびトリス(2,4−ジーt
−ブチルフェニル)ホスファイト1gとを加え、反応系
を窒素下、200℃で4時間保ち、メタノールを留出さ
せながらエステル交換反応させた。次いで、反応系を2
60℃に昇温し、エチレングリコールを留出させながら
30分間反応させた後、20mmHgに減圧した状態で
30分間反応させた。放冷後、生成物を取り出した。生
成したポリエステル(D)の数平均分子量は1000
(ゲル濾過クロマトグラフィー法によるポリスチレン換
算時の分子量;移動相クロロホルム/o−クロロフェノ
ール=4/1)、ガラス転移温度は示差走査熱量計によ
る測定で−14℃であった。
【0140】実施例2 上記ポリエステル(D)40gに上記ジイソシアネート
付加体(C1)16.78gを加え、これをプラストミ
ルを用いて180℃で3分間、200℃で3分間溶融混
練した。さらに、上記ジイソシアネート付加体(C1)
16.78gを混練中の樹脂に加え、220℃で3分
間、240℃で3分間溶融混練した。このサンプルのI
Rスペクトルを測定すると、ウレタン結合に基づく吸収
が1710cm-1に観測されたが、イソシアネート基に
基づく吸収は見られなかった。このサンプルについて、
実施例1と同様にしてビガット軟化点を測定したところ
194℃であった。また、得られたポリウレタンは室温
で柔軟性を有するものであった。
【0141】比較例2 上記ポリエステル(B)の代わりに上記ポリエステル
(D)100g(0.1mol)を用い、かつ、MDI
52.6g(0.21mol)を用い、比較例1と同様
にしてポリウレタンを得た。このポリウレタンについ
て、実施例1と同様にしてビガット軟化点を測定したと
ころ110℃であった。
【0142】実施例3 ポリジメチルシロキサン(信越シリコン製:KF−60
01)40gに上記ジイソシアネート付加体(C1)1
8.64gを加え、これをプラストミルを用いて150
℃で4分間、160℃で2分間、170℃で3分間、1
80℃で5分間溶融混練した。このサンプルのIRスペ
クトルを測定すると、ウレタン結合に基づく吸収が17
10cm-1に観測されたが、イソシアネート基に基づく
吸収は見られなかった。このサンプルについて、実施例
1と同様にしてビガット軟化点を測定したところ84℃
であった。また、得られたポリウレタンは室温で柔軟性
を有するものであった。
【0143】比較例3 ポリジメチルシロキサン180g(0.1mol)と、
MDI52.6g(0.21mol)とを1000ml
の乾燥DMFに溶解した。系内を窒素で置換した後、触
媒としてジ−n−ブチルスズラウリレートを0.2g加
えて100℃で2時間反応させた。
【0144】次に、鎖延長剤として1,4−ブタンジオ
ール9.0g(0.1mol)を上記の溶液に加え、8
時間100℃で攪拌を続けた。反応終了後、溶液を室温
に戻し、3000mlのメタノールに滴下して析出物を
得た。得られたポリウレタンは室温で粘調なオイル状で
あり、シート状に加工することは不可能であった。
【0145】(ポリエステル共重合体(G1)の合成) 芳香族ポリエステルの合成 攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備え
た内容積1lのガラス製フラスコに、テレフタル酸ジメ
チル194g(1.0mol)と、エチレングリコール
138g(2.24mol)と、触媒として酢酸カルシ
ウムおよびジnーブチルスズオキシドとを少量加えた。
フラスコ内を昇温して180℃で3時間反応させた。反
応とともに、フラスコ内からメタノールが留出しはじ
め、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが得
られた。
【0146】このフラスコに、DHQ33.8g(0.
1mol)を加え、フラスコを280℃に昇温し、この
温度で約2時間反応させた。次に、蒸留口を真空器につ
なぎ、フラスコ内を1mmHgに減圧した状態で40分
間反応させた。反応とともにエチレングリコールが留出
し、フラスコ内に極めて粘調な液体が生成した。フラス
コ内を放冷後、ガラスフラスコを破壊し、生成物を取り
出した。
【0147】ポリエステル共重合体(G1)の合成 攪拌羽根、ガス吹き込み口、および蒸留口を備えた内容
積1lのガラス製フラスコに、上記で得られた芳香族
ポリエステル200g,ε−カプロラクトン300g,
触媒としてテトラブチルチタネート1.0g、および熱
安定剤として1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン1gを仕込み、フラスコ内を窒素で置換し
た後に、攪拌しながらオイルバス中で250℃に加熱し
た。反応系は均一で粘調な液体になった。
【0148】続いて、窒素気流下で30分間反応させた
後、ガス吹き込み口を真空ポンプにつなぎ、フラスコ内
を1mmHgに減圧した状態で30分間反応させた。生
成したポリエステル共重合体(G1)の数平均分子量は
6900(ゲル濾過クロマトグラフィー法によるポリス
チレン換算時の分子量;移動相クロロホルム/o−クロ
ロフェノール=4/1)であった。
【0149】実施例4 上記ポリエステル共重合体(G1)50gに上記ジイソ
シアネート付加体(C1)6.07gを加え、これをプ
ラストミルを用いて240℃で3分間、260℃で3分
間溶融混練した。このサンプルのIRスペクトルを測定
すると、ウレタン結合に基づく吸収が1710cm-1
観測されたが、イソシアネート基に基づく吸収は見られ
なかった。このサンプルについて、実施例1と同様にし
てビガット軟化点を測定したところ205℃であった。
また、得られたポリウレタンは室温で柔軟性を有するも
のであった。
【0150】比較例4 上記ポリエステル共重合体(G1)345g(0.15
mol)と、MDI25.0g(0.1mol)とを1
500mlの乾燥DMFに溶解した。系内を窒素で置換
した後、触媒としてジ−n−ブチルスズラウリレートを
0.01g加えて90℃で4時間反応させた。
【0151】次に、鎖延長剤として1,4−ブタンジオ
ール4.5gを上記の溶液に加え、4時間110℃で攪
拌を続けた。反応終了後、溶液を室温に戻し、1000
mlのメタノールに滴下して析出物を得た。こうして得
たポリウレタンをよく乾燥させてから、実施例1と同様
にしてビガット軟化点を測定したところ130℃であっ
た。
【0152】(ジイソシアネート付加体(C2)の合
成)DHQ33.8g(0.1mol)を3000ml
の乾燥DMFに45℃で溶解させた。また、2,4−ト
リレンジイソシアネート(以下TDIと省略する)17
4g(1mol)を2500mlのDMFに45℃で溶
解させた。45℃に保ったままDHQのDMF溶液を、
激しく攪拌したTDIのDMF溶液に30分かけて滴下
し、その後1時間攪拌を続けた。この後、DMFを45
℃で減圧留去し、反応溶液を約10倍に濃縮し、室温に
戻し、体積の3倍のトルエンを加えた。濃縮時およびト
ルエン添加時に析出した白色沈澱を濾過により回収し
た。これを1000mlのトルエンで3回洗浄し、減圧
乾燥し、乾燥DMFから再結晶してジイソシアネート付
加体(C1)を得た。この化合物のIRスペクトルを測
定すると、2280cm-1にイソシアネート基、171
0cm-1にウレタン結合、820cm-1にp−クォータ
ーフェニル基に基づく吸収がそれぞれ見られた。また、
元素分析の結果を表2に示す。
【0153】
【表2】
【0154】(ポリエステル(B2)の合成)ジメチル
アジペート871g(5mol)、エチレングリコール
620g(10mol)、およびDHQ126.8g
(0.375mol)のモノマー混合物に、触媒として
三酸化アンチモン0.2gおよび酢酸カルシウム0.4
gと、安定剤として1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン1gおよびトリス(2,4−ジーt
−ブチルフェニル)ホスファイト1gを加え、反応系を
窒素下、200℃で4時間保ち、メタノールを留出させ
ながらエステル交換反応させた。次いで、反応系を30
0℃に昇温し、エチレングリコールを留出させながら3
0分間反応させた後、3mmHgに減圧した状態で1.
5時間反応させた。放冷後、生成物を取り出した。生成
したポリエステルの数平均分子量は6500(ゲル濾過
クロマトグラフィー法によるポリスチレン換算時の分子
量;移動相クロロホルム/o−クロロフェノール=4/
1)であった。
【0155】実施例5 上記ポリエステル(B2)50gに上記ジイソシアネー
ト付加体(C2)5.3gを加え、これをプラストミル
を用いて240℃で4分間、260℃で4分間溶融混練
した。このサンプルのIRスペクトルを測定すると、ウ
レタン基に基づく吸収が1710cm-1に観測された
が、イソシアネート基に基づく吸収は見られなかった。
このサンプルについて、実施例1と同様にしてビガット
軟化点を測定したところ210℃であった。また、得ら
れたポリウレタンは室温で柔軟性を有するものであっ
た。
【0156】比較例5 ポリエステル(B1)の代わりに上記ポリエステル(B
2)650g(0.1mol)を用い、かつ、MDIの
代わりにTDI34.8g(0.2mol)を用いて、
比較例1と同様にしてポリウレタンを得た。このポリウ
レタンについて、実施例1と同様にしてビガット軟化点
を測定したところ137℃であった。
【0157】実施例6 数平均分子量3000のポリ(ε−カプロラクトン)5
0gに、上記ジイソシアネート付加体(C2)5.72
gを加え、これをプラストミルを用いて180℃で3分
間、200℃で3分間溶融混練した。さらに、DHQの
TDI付加体5.72gを混練中の樹脂に加え、220
℃で3分間、240℃で3分間溶融混練した。このサン
プルのIRスペクトルを測定すると、ウレタン基に基づ
く吸収が1710cm-1に観測されたが、イソシアネー
ト基に基づく吸収は見られなかった。このサンプルにつ
いて、実施例1と同様にしてビガット軟化点を測定した
ところ133℃であった。また、得られたポリウレタン
は室温で柔軟性を有するものであった。
【0158】比較例6 ポリエステル(B1)の代わりに数平均分子量3000
のポリ(ε−カプロラクトン)300g(0.1mo
l)を用い、かつ、MDIの代わりにTDI36.6g
(0.21mol)を用いた以外は比較例1と同様にし
てポリウレタン得た。このポリウレタンについて、実施
例1と同様にしてビガット軟化点を測定したところ85
℃であった。
【0159】実施例7 実施例3で用いたポリジメチルシロキサン40gと、上
記ジイソシアネート付加体(C2)15.26gとを加
え、これをブラストミルを用いて150℃で4分間、1
60℃で2分間、170℃で3分間、180℃で7分間
溶融混練した。このサンプルについて、実施例1と同様
にしてビガット軟化点を測定したところ62℃であっ
た。また、得られたポリウレタンは室温で柔軟性を有す
るものであった。
【0160】比較例7 実施例3で用いたポリジメチルシロキサン180g
(0.1mol)とTDI34.8g(0.2mol)
とを500mlの乾燥Nーメチルピロリドンに溶解し
た。系内を窒素で置換した後、触媒としてジ−nーブチ
ルスズジラウリレートを0.2g加えて100℃で2時
間反応させた。
【0161】次に、鎖延長剤として1,4−ブタンジオ
ール9.0g(0.1mol)を上記の溶液に加え、8
時間100℃で攪拌を続けた。反応終了後、溶液を室温
に戻し、3000mlのメタノールに滴下して析出物を
得た。得られたポリウレタンは室温で粘調なオイル状で
あり、シート状に加工することは不可能であった。
【0162】(ポリエステル共重合体(G2)の合成) 芳香族ポリエステルの合成 攪拌機、温度計、ガス吹き込み口、および蒸留口を備え
た内容積1lのガラス製フラスコに、テレフタル酸ジメ
チル194g(1.0mol)と、エチレングリコール
138g(2.24mol)と、触媒として酢酸カルシ
ウムおよびジnーブチルスズオキシドとを少量加えた。
フラスコ内を昇温して180℃で3時間反応させた。反
応とともに、フラスコ内からメタノールが留出しはじ
め、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートが得
られた。
【0163】このフラスコに、DHQ40.6g(0.
12mol)を加え、フラスコを280℃に昇温し、こ
の温度で約2時間反応させた。次に、蒸留口を真空器に
つなぎ、フラスコ内を1mmHgに減圧した状態で30
分間反応させた。反応とともにエチレングリコールが留
出し、フラスコ内に極めて粘調な液体が生成した。フラ
スコ内を放冷後、ガラスフラスコを破壊し、生成物を取
り出した。
【0164】ポリエステル共重合体(G2)の合成 上記で合成した芳香族ポリエステル150gを用い、
かつ、ε−カプロラクトン350gを用いた以外はポリ
エステル共重合体(G1)の合成と同様にしてポリエス
テル共重合体(G2)を得た。生成したポリエステル共
重合体(G2)の数平均分子量は5200(ゲル濾過ク
ロマトグラフィー法によるポリスチレン換算時の分子
量;移動相クロロホルム/o−クロロフェノール=4/
1)であった。
【0165】実施例8 ポリエステル(B2)の代わりに上記ポリエステル共重
合体(G2)50gを用い、かつ、ジイソシアネート付
加体(C1)の代わりにジイソシアネート付加体(C
2)6.6gを用いて、実施例5と同様にしてポリウレ
タンを得た。このサンプルのIRスペクトルを測定する
と、ウレタン結合に基づく吸収が1710cm-1に観測
されたが、イソシアネート基に基づく吸収は見られなか
った。このサンプルについて、実施例1と同様にしてビ
ガット軟化点を測定したところ203℃であった。ま
た、得られたポリウレタンは室温で柔軟性を有するもの
であった。
【0166】比較例8 ポリエステル(G1)の代わりに上記ポリエステル共重
合体(G2)を用い、かつ、MDIの代わりにTDIを
用いた以外は比較例1と同様にしてポリウレタンを得
た。このポリウレタンについて、実施例1と同様にして
ビガット軟化点を測定したところ129℃であった。
【0167】(ジイソシアネート付加体(C3)の合
成)DHQ33.8g(0.1mol)を3000ml
の乾燥DMFに40℃で溶解させた。また、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート(以下HDIと省略す
る)168g(1mol)とジーnーブチルスズジラウ
リレート0.168gを2500mlのDMFに40℃
で溶解させた。40℃に保ったままDHQのDMF溶液
を、激しく攪拌したHDIのDMF溶液に30分かけて
滴下し、その後1時間攪拌を続けた。この後、DMFを
45℃で減圧留去し、反応溶液を約20倍に濃縮し、室
温に戻した。濃縮時に析出した白色沈澱を濾過により回
収した。これを1000mlのトルエンで3回洗浄し、
減圧乾燥し、乾燥DMFから再結晶してジイソシアネー
ト付加体(C3)を得た。この化合物のIRスペクトル
を測定すると、2280cm-1にイソシアネート基、1
710cm-1にウレタン結合、820cm-1にp−クォ
ーターフェニル基に基づく吸収がそれぞれ見られた。ま
た、元素分析の結果を表3に示す。
【0168】
【表3】
【0169】(ポリエステル(B3)の合成)ジメチル
アジペート348.4g(2mol)、エチレングリコ
ール298g(2.4mol)、およびDHQ67.7
g(0.18mol)のモノマー混合物に、触媒として
三酸化アンチモン200mgおよび酢酸カルシウム44
0mgと、安定剤として1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン400mgおよびトリス(2,
4−ジーt−ブチルフェニル)ホスファイト400mg
を加え、反応系を窒素下、200℃で2時間保ち、メタ
ノールを留出させながらエステル交換反応させた。次い
で、反応系を30分間で320℃に昇温し、この状態で
20分常圧で保持した後、300℃に降温し、1mmH
gに減圧した状態で30分間重縮合反応を行った結果、
薄灰色の樹脂が得られた。生成したポリエステル(B
3)の数平均分子量は39000(ゲル濾過クロマトグ
ラフィー法によるポリスチレン換算時の分子量;移動相
クロロホルム/o−クロロフェノール=4/1)であっ
た。
【0170】実施例9 上記ポリエステル(B3)50gに上記ジイソシアネー
ト付加体(C3)0.87gを加え、これをプラストミ
ルを用いて250℃で4分間、溶融混練した。このサン
プルのIRスペクトルを測定すると、ウレタン結合に基
づく吸収が1710cm1に観測されたが、イソシアネ
ート基に基づく吸収は見られなかった。このサンプルか
ら、プレス成形により厚さ2mm、150mm×15m
mの成形体を作成した。この成型体を100℃で12時
間熱処理した後、IRスペクトルを測定すると、ウレタ
ン結合に基づく吸収が1710cm-1に観測されたが、
イソシアネート基に基づく吸収は見られなかった。この
成形体からダンベル片をとり、JIS K6301に従
い、引張破壊強度を島津オートグラフAG−5000を
用いて測定したところ、148kgf/cm2であっ
た。また、得られたポリウレタンは室温で柔軟性を有す
るものであった。
【0171】比較例9 ジメチルアジペート348.4g(2mol)、エチレ
ングリコール298g(2.4mol)、およびDHQ
67.7g(0.18mol)のモノマー混合物に、触
媒として三酸化アンチモン200mgおよび酢酸カルシ
ウム440mgと、安定剤として1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン400mgおよびトリ
ス(2,4−ジーt−ブチルフェニル)ホスファイト4
00mgを加え、反応系を窒素下、200℃で2時間保
ち、メタノールを留出させながらエステル交換反応させ
た。次いで、反応系を30分間で320℃に昇温し、こ
の状態で20分常圧で保持した後、300℃に降温し、
1mmHgに減圧した状態で1時間重縮合反応を行った
結果、薄灰色の樹脂が得られた。生成したポリエステル
の数平均分子量は43000(ゲル濾過クロマトグラフ
ィー法によるポリスチレン換算時の分子量;移動相クロ
ロホルム/o−クロロフェノール=4/1)であった。
このサンプルについて、実施例9と同様にして引っ張り
破壊強度を測定したところ、118kgf/cm2であ
った。
【0172】実施例10 上記ポリエステル(D)40gに、上記ジイソシアネー
ト付加体(C3)13.5gを加え、これをプラストミ
ルを用いて180℃で3分間、200℃で3分間溶融混
練した。さらに、上記ジイソシアネート付加体(C3)
13.5gを、混練中の樹脂に加え、220℃で3分
間、240℃で3分間溶融混練した。このサンプルのI
Rスペクトルを測定すると、ウレタン結合に基づく吸収
が1710cm-1に観測されたが、イソシアネート基に
基づく吸収は見られなかった。このサンプルについて、
実施例1と同様にしてビガット軟化点を測定したとこ
ろ、188℃であった。また、得られたポリウレタン
は、室温で柔軟性を有するものであった。
【0173】比較例10 MDIの代わりにHDI35.3g(0.21mol)
を用いた以外は比較例2と同様にしてポリウレタンを得
た。このポリウレタンについて、実施例1と同様にして
ビガット軟化点を測定したところ89℃であった。
【0174】実施例11 ジイソシアネート付加体(C1)の代わりに上記ジイソ
シアネート付加体(C3)13.5gを用いた以外は実
施例3と同様にしてポリウレタンを得た。このサンプル
のIRスペクトルを測定すると、ウレタン結合に基づく
吸収が1710cm-1に観測されたが、イソシアネート
基に基づく吸収は見られなかった。このポリウレタンに
ついて、実施例1と同様にしてビガット軟化点を測定し
たところ53℃であった。また、得られたポリウレタン
は室温で柔軟性を有するものであった。
【0175】比較例11 MDIの代わりにHDIを35.3g(0.21mo
l)用いた以外は比較例3と同様にしてポリウレタンを
得た。得られたポリウレタンは室温で粘調なオイル状で
あり、シート状に加工することは不可能であった。
【0176】実施例12 ポリエステル(B3)の代わりにポリエステル共重合体
(G1)を用い、かつ、ジイソシアネート付加体(C
1)の代わりに上記ジイソシアネート付加体(C3)
4.89gを用いた以外は実施例9と同様にしてポリウ
レタンを得た。このポリウレタンから、プレス成形によ
り厚さ5mm、10mm×10mmの成形体を作成し
た。この成型体を150℃で12時間熱処理した後、I
Rスペクトルを測定すると、ウレタン結合に基づく吸収
が1710cm-1に観測されたが、イソシアネート基に
基づく吸収は見られなかった。この成形体について、実
施例1と同様にしてビガット軟化点を測定したところ1
98℃であった。また、得られたポリウレタンは室温で
柔軟性を有するものであった。
【0177】比較例12 MDIの代わりにHDI16.8g(0.1mol)を
用いた以外は比較例4と同様にしてポリウレタンを得
た。このポリウレタンについて、実施例1と同様にして
ビガット軟化点を測定したところ112℃であった。
【0178】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
熱可塑性ポリウレタンの製造方法によれば、耐熱性およ
び機械的強度に優れ、かつ室温および低温での柔軟性に
優れた熱可塑性ポリウレタンを得られる。この熱可塑性
ポリウレタンは優れた熱可塑性エラストマーとして各種
部材に好適に使用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 岸本 大志郎 大阪府茨木市三島丘2丁目11番20号 (56)参考文献 特開 平3−115353(JP,A) 特許2659452(JP,B2) 特許2643542(JP,B2) 特許2636042(JP,B2) 特表 平2−502384(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)下記一般式〔I〕で表されるジヒド
    ロキシ化合物および下記一般式〔II〕で表されるモノヒ
    ドロキシ化合物のうち少なくともいずれか一方であるヒ
    ドロキシ化合物と、 (B)脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、下記
    一般式〔I〕で表されるジヒドロキシ化合物および下記
    一般式〔II〕で表されるモノヒドロキシ化合物のうち少
    なくともいずれか一方とを構成成分とするポリエステル
    と、 (C)ジイソシアネートと、 を構成成分とし、必要に応じて、さらに該ヒドロキシ化
    合物(A)以外のジヒドロキシ化合物を鎖延長剤として
    用いる熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、ここで、該一般式〔I〕で表されるジヒドロキシ化合物
    の含有量が、ポリウレタンを構成する全モノマー中の
    0.1〜30モル%であり、 該ヒドロキシ化合物(A)に該ジイソシアネート(C)
    が付加したジイソシアネート付加体を得、次いで該ジイ
    ソシアネート付加体をポリエステル(B)と反応させる
    ことを特徴とする熱可塑性ポリウレタンの製造方法。 【化1】 (式中、R1、R2は独立的にアルキレン基を示し、pは
    3または4であり、q、rは独立的に0または1以上の
    整数を示す)。 【化2】 (式中、R3はアルキレン基を示し、tは2または3で
    あり、mは0または1以上の整数を示す)。
  2. 【請求項2】(A)一般式[I]で表されるジヒドロキ
    シ化合物および一般 式[II]で表されるモノヒドロキ
    シ化合物のうち少なくともいずれか一方であるヒドロキ
    シ化合物と、【化5】 (式[I]中、R 1 、R 2 は独立的にアルキレン基を示
    し、pは3または4であり、q、rは独立的に0または
    1以上の整数を示す)。(式[II]中、R 3 はアルキ
    レン基を示し、tは2または3であり、mは0または1
    以上の整数を示す)。 (D)両末端にヒドロキシル基を有するポリエステルま
    たは (E)両末端にヒドロキシル基を有するポリラクトンの
    うち少なくともどちらか一方と、 (C)ジイソシアネートと、を構 成成分とし、必要に応じて、さらに該ヒドロキシ化
    合物(A)以外のジヒドロキシ化合物を鎖延長剤として
    用いる熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、ここで、該一般式〔I〕で表されるジヒドロキシ化合物
    の含有量が、ポリウレタンを構成する全モノマー中の
    0.1〜30モル%であり、 該ヒドロキシ化合物(A)に該ジイソシアネート(C)
    が付加したジイソシアネート付加体を得、次いで該ジイ
    ソシアネート付加体をポリエステル(D)またはポリラ
    クトン(E)のうち少なくともどちらか一方と反応させ
    ることを特徴とする熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
  3. 【請求項3】(A)一般式[I]で表されるジヒドロキ
    シ化合物および一般式[II]で表されるモノヒドロキ
    シ化合物のうち少なくともいずれか一方であるヒドロキ
    シ化合物と、【化6】 (式[I]中、R 1 、R 2 は独立的にアルキレン基を示
    し、pは3または4であり、q、rは独立的に0または
    1以上の整数を示す)。(式[II]中、R 3 はアルキ
    レン基を示し、tは2または3であり、mは0または1
    以上の整数を示す)。 (F)両末端にヒドロキシル基を有するポリシロキサン
    と、 (C)ジイソシアネートと、を構 成成分とし、必要に応じて、さらに該ヒドロキシ化
    合物(A)以外のジヒドロキシ化合物を鎖延長剤として
    用いる熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、ここで、該一般式〔I〕で表されるジヒドロキシ化合物
    の含有量が、ポリウレタンを構成する全モノマー中の
    0.1〜30モル%であり、 該ヒドロキシ化合物(A)に該ジイソシアネート(C)
    が付加したジイソシアネート付加体を得、次いで該ジイ
    ソシアネート付加体をポリシロキサン(F)と反応させ
    ることを特徴とする熱可塑性ポリウレタンの製造方法。
  4. 【請求項4】(A)一般式[I]で表されるジヒドロキ
    シ化合物および一般式[II]で表されるモノヒドロキ
    シ化合物のうち少なくともいずれか一方であるヒドロキ
    シ化合物と、【化7】 (式[I]中、R 1 、R 2 は独立的にアルキレン基を示
    し、pは3または4であり、q、rは独立的に0または
    1以上の整数を示す)。(式[II]中、R 3 はアルキ
    レン基を示し、tは2または3であり、mは0または1
    以上の整数を示す)。 (G)エチレングリコールおよび/またはブチレングリ
    コールを含むジオール成分とテレフタル酸を含む酸成分
    とを構成成分とする芳香族ポリエステルと、ラクトンモ
    ノマーおよび/またはポリラクトンとを反応させること
    により得られるポリエステル共重合体であって、該ポリ
    エステルのジオール成分として、下記一般式〔I〕で表
    されるジヒドロキシ化合物および下記一般式〔II〕で表
    されるモノヒドロキシ化合物のうち少なくともいずれか
    一方を構成成分とし、該化合物がジオール成分の0.1
    モル%〜30モル%含有されているポリエステル共重合
    体と、 (C)ジイソシアネートと、を構 成成分とし、必要に応じて、さらに該ヒドロキシ化
    合物(A)以外のジヒドロキシ化合物を鎖延長剤として
    用いる熱可塑性ポリウレタンの製造方法であって、ここで、該一般式〔I〕で表されるジヒドロキシ化合物
    の含有量が、ポリウレタンを構成する全モノマー中の
    0.1〜30モル%であり、 該ヒドロキシ化合物(A)に該ジイソシアネート(C)
    が付加したジイソシアネート付加体を得、次いで該ジイ
    ソシアネート付加体をポリエステル共重合体(G)と反
    応させることを特徴とする熱可塑性ポリウレタンの製造
    方法。
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