JP3024576B2 - 電子打楽器 - Google Patents

電子打楽器

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JP3024576B2
JP3024576B2 JP8326995A JP32699596A JP3024576B2 JP 3024576 B2 JP3024576 B2 JP 3024576B2 JP 8326995 A JP8326995 A JP 8326995A JP 32699596 A JP32699596 A JP 32699596A JP 3024576 B2 JP3024576 B2 JP 3024576B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器に関し、特に
電子打楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】自然楽器においては、種々の打楽器が知
られており、それぞれ特徴のある楽音を発生する。電子
楽器においても、これらの楽音を電気的に合成すること
ができる。
【0003】自然打楽器の演奏形態をそのまま取り入れ
て電子打楽器を構成すると、スティックやマレット等の
打撃用演奏操作子を用いてパッド等の被打撃部材を叩
き、パッドの振動を電気的に検出する構成が最も自然で
ある。音色スイッチ等の音色選択機構を設けておけば、
同一の演奏操作機構を用いて種々の楽音を発生させるこ
とがてきる。
【0004】しかしながら、連続した演奏において種々
の打楽器音を発生させようとすると、その度に音色スイ
ッチを選択するのは煩雑である。それぞれ楽音を設定で
きる複数のパッドを設ければ、連続した演奏操作におい
て複数の打楽器音を発生させることができる。この場
合、多数の打楽器音を発生させようとすると、パッドの
数が多数になり、電子楽器全体の寸法を過度に大きくし
てしまう。
【0005】そこで、1つのパッドを複数の領域に分割
し、各領域に独立のセンサを設け、各センサによって独
立に楽音を制御すれば、簡単な構成で複数の音色を有す
る楽音を発生させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】1つのパッドで1つの
楽音を制御する場合、演奏の操作性に優れるが、演奏の
バリエーションが乏しくなる。一方、1つのパッドに複
数の領域を設け、各領域で楽音を制御すれば、簡単な構
成でバリエーションの豊かな演奏が可能になるが、パッ
ド内の領域を間違えると、意図せざる楽音が発生し、演
奏操作が容易でなくなる。
【0007】本発明の目的は、演奏者の意図に応じて、
操作性の良い演奏形態、バリエーション豊かな演奏形態
のいずれをも行なうことのできる電子打楽器を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電子打楽器は、
演奏モードを少なくとも第1モード、第2モードの間で
切り換えるモード切換手段と、複数の領域に分割された
パッドと、前記パッドの各領域に対応して設けられた複
数の打撃センサと、第1モードの時は、前記複数の打撃
センサからの全検出信号に基づき、1つの楽音を制御
し、第2モードの時は、前記複数の打撃センサからの各
検出信号に基づき、それぞれ1つの楽音を制御する楽音
制御回路とを有する。
【0009】
【作用】パッドが複数の領域を有し、各領域に対応した
打撃センサが信号を出力することにより、1つのパッド
から複数の信号を得ることができる。第1モードにおい
ては、これら複数の信号をまとめて1つの楽音を制御す
るために用い、第2モードにおいては複数の信号の各々
を独立に楽音制御に用いることにより、操作性の良い演
奏、バリエーションの豊かな演奏のいずれをも行なうこ
とができる。
【0010】
【実施例】図1は、本発明による電子打楽器の実施例を
示す。図1(A)は、電子打楽器の外観図である。本実
施例は、マレットやスティック等を用いてパッドを叩く
ことにより、スピーカより音を発する電子打楽器であ
る。
【0011】電子打楽器は、スピーカ部6、パネル操作
部7および左と右に2つのパッドPDを有する。パッド
PDは、直径約200[mm]以上の円形を成し、一体
ラバー4により覆われている。一体ラバー4の表面には
スリット5が設けられ、パッドPDは4つの領域に分割
されている。
【0012】一体ラバー4の下には、4つの鉄板3と4
つの圧電センサSNが設けられている。それらの鉄板3
と圧電センサSNは、一体ラバー4上のスリット5によ
り区分けされた4つの領域にそれぞれ1つずつ設けられ
ている。パッドPDを叩くと、鉄板3が振動する。鉄板
3の振動を圧電センサSNが感知して、パッドへ加えら
れた打撃力を検出することができる。
【0013】パネル操作部7は、液晶表示器等の表示器
と演奏、音色等の制御を行うパネルスイッチを有する。
また、統合パッドモードと分割パッドモードとを切り換
えるモード切換えスイッチ8を有する。
【0014】統合パッドモードは、一体ラバー4のその
ままの大きさを1つのパッドとして扱う。各一体ラバー
4上の何処を叩いても、選択された1種類の音色をスピ
ーカ6より発音する。一方、分割パッドモードは、各一
体ラバー4上のスリット5により分割されている4つの
領域を、それぞれ小さなパッドであるかのように扱う。
各一体ラバー4上の叩く位置により、最大4種類の異な
る音色をスピーカ6より発音させることができる。
【0015】図1(B)は、2つのモードを有する電子
打楽器の機能を説明するための概念図である。電子打楽
器本体に設けられたモード切換えスイッチ8を操作する
ことにより、統合パッドモードと分割パッドモードの2
つの演奏モードの一方を選択することができる。
【0016】図1(B)(α)は、統合パッドモードに
おける機能を説明するための概念図である。統合パッド
モードにおいて、左右のパッドはそれぞれ大型円形の統
合パッドPDとして機能する。統合パッドPDは、4つ
の圧電センサSN1〜SN4を有する。パッドPDを叩
くことにより、打撃個所の鉄板3が振動し、4つの圧電
センサSN1〜SN4の該当するものから打撃信号が出
力される。
【0017】4つの圧電センサSN1〜SN4から出力
された打撃信号は、最高値検出回路9に入力され、4つ
の打撃信号の内の最高値を検出することにより該当する
圧電センサからの信号のみを取り出す。すなわち、打撃
された鉄板の振動が検出される。最高値検出回路9より
出力された最高値の打撃信号は、楽音制御回路10αに
入力される。楽音制御回路10αは、選択された音色の
演奏データを生成する。本モードでは、各統合パッドは
1つのパッドとして扱われるので、それに対応する音色
を1種類選択することができる。
【0018】図1(B)(β)は、分割パッドモードに
おける機能を説明するための概念図である。分割パッド
モードにおいて、左右のパッドはそれぞれ4つの分割パ
ッドPD1〜PD4として機能する。4つの分割パッド
PD1〜PD4は、円形の統合パッドPDを4つの同形
の扇形に分割した形状を有する。分割パッドPD1〜P
D4には、それぞれ前述の圧電センサSN1〜SN4が
1つずつ結合されている。分割パッドPD1〜PD4を
叩くことにより、圧電センサSN1〜SN4からそれぞ
れ打撃信号が出力される。
【0019】4つの圧電センサSN1〜SN4から出力
された打撃信号は、楽音制御回路10βに入力される。
楽音制御回路10βに入力される4つの打撃信号につい
てそれぞれ音色が設定することができる。したがって、
4つの圧電センサSN1〜SN4の内のどの圧電センサ
SNより検出された打撃信号かにより異なる音色の演奏
データを生成することができる。
【0020】図2は、図1のA−A線に沿うパッドの断
面図である。パッドは、一体ラバー4、鉄板3および圧
電センサSNを有する。一体ラバー4は、スリット5を
有する。分割パッドモードにおいては、スリット5がパ
ッドを分割する境界線となる。
【0021】スリット5を境界として、分割された4つ
の領域にそれぞれ鉄板3が設けられている。一体ラバー
4の下に鉄板3が設けられ、一体ラバー4上を叩くこと
により、一体ラバー4の下の鉄板3にも打撃力が伝わ
る。鉄板3の表面上に設けられた圧電センサSNは、打
撃が加えられた鉄板3の振動を検出し、打撃信号を出力
する。
【0022】一体ラバー4上のスリット5は、分割パッ
ドモードにおける境界を表す。この境界部は、厚さを減
少させる等により振動を減衰させ、なるべく隣の領域へ
振動を伝達しない構造となっている。したがって、一体
ラバー4上のある領域が叩かれ、その領域の鉄板3が振
動しても、その振動は境界部を越えて隣の領域の鉄板3
へほとんど伝達されない。
【0023】これにより、分割パッドモードにおいてパ
ッドを叩いた時には、その領域の鉄板3のみが振動し、
他の領域の鉄板3は殆ど振動しない。したがって、発音
するのはその領域において出力された打撃信号だけであ
り、1つの領域だけの演奏データが生成される。
【0024】図3は、一体ラバー上におけるスリットの
構造例を3種類示す。スリットは、一体ラバー上におい
て境界を示す役割も有する。図3(A)は、スリット5
上部に境界を印刷した場合の断面図である。一体ラバー
4上に境界線51が印刷され、境界を示している。図3
(B)は、凹形状を成すスリット5の断面図である。一
体ラバー4において、スリット5部分が凹形状と成って
いる。図3(C)は、凸形状を成すスリットの断面図で
ある。一体ラバー4において、スリット5部分が凸形状
と成っている。図3(B)、(C)においては、スリッ
ト自身が境界を表示している。
【0025】図5は、電子打楽器に設けられるパッドの
他の形状および分割の例を示す。図1においては、統合
パッドモードでは円形の統合パッドであり、分割パッド
モードでは同形の扇形状の4つの分割パッドとなるよう
に円形の統合パッドを分割設定した。しかし、これに限
られず、統合パッドの形状、分割数、分割パッド形状は
自由に決めることができる。
【0026】図5(A)は、円形の統合パッドを5つの
分割パッドに分割する例を示す。統合パッド60は円形
の大型パッドであり、統合パッド60を5つの分割パッ
ド61〜65に分割して演奏することができる。分割パ
ッド65は、統合パッド60と同心で、統合パッド60
よりも小さな直径の円形状を有する。4つの分割パッド
61〜64は、統合パッド60の外周に沿って配置さ
れ、全て同形状を有する。
【0027】図5(B)は、四角形の統合パッドを4つ
の分割パッドに分割する例を示す。統合パッド70は正
方形の大型パッドであり、統合パッド70の対角線に境
界線であるスリットを設け、4つの同形状を有する分割
パッド71〜74を構成する。なお、これらは例示であ
って、制限的な意味は有さない。分割パッドの形や大き
さを任意に変更してもよい。
【0028】図4は、本実施例による電子打楽器のシス
テム構成を示す。電子打楽器は、左右に2つの同等の構
成を有する円形のパッドシステム11L,11Rを有す
る。パッドシステム11は、パッド12と4組の打撃検
出部DT1〜DT4を有する。スティック等を用いてパ
ッド12を叩くと、パッド12上で分割された4つの領
域からそれぞれの打撃信号が検出される。
【0029】打撃検出部DTは、圧電センサ21、エン
ベロープ抽出器22、Amp23及びA/D変換器24
を有する。圧電センサ21は、パッド12の振動を検出
し、パッド12が叩かれたことによる打撃信号を出力す
る。
【0030】エンベロープ抽出器22は、圧電センサ2
1において検出されたパッドの打撃信号波形のエンベロ
ープを抽出する。抽出されたエンベロープは、Amp2
3により増幅される。増幅されたエンベロープは、A/
D変換器24によりディジタル信号に変換され、バス3
1に供給される。バス31には、CPU33、ROM3
4、RAM35、スイッチ36及び音源37が接続され
ている。
【0031】左右のパッドシステム11L,11Rに含
まれる8つの打撃検出部DTより出力されたそれぞれの
打撃信号は、バス31に供給される。CPU33は打撃
信号を受け、演奏データ生成の演算処理を行う。ROM
34は演算プログラム等を記憶する。RAM35はフラ
グ、レジスタ、バッファメモリ等のワーキングメモリを
有する。タイマ32はタイミング信号を発し、CPU3
3が演算を行うタイミングを支配する。
【0032】スイッチ36は、液晶表示器等の表示器と
演奏、音色等の制御を行うパネルスイッチ、及びモード
切換えスイッチを有する。モード切換えスイッチは、統
合パッドモードと分割パッドモードを切え換えるスイッ
チである。音源37はCPU33より供給される演奏デ
ータに基づき楽音信号を発生する。
【0033】スイッチ36内のモード切換えスイッチに
よりパッドモードを設定し、スティック等でパッド12
を叩いて演奏を行うと、CPU33、ROM34、RA
M35、タイマ32により、モードに応じた音色波形や
演奏データが生成され、それらに基づいて音源回路37
で楽音信号が生成され、サウンドシステム38において
楽音が発音される。
【0034】図6は、電子打楽器の処理のメインルーチ
ンを説明するためのフローチャートである。ステップS
1から処理はスタートし、ステップS2においてレジス
タ類の初期化等の初期設定を行う。
【0035】続いてステップS3へ進み、電子打楽器本
体上に配置された音色選択スイッチ状態をチェックす
る。音色選択スイッチにオンイベントがあればステップ
S4へ進み、オンイベントがなければステップS6へ進
む。音色選択スイッチは、各々のパッドに必要に応じて
ドラム等の様々な楽器の音色を選択設定するためのスイ
ッチである。
【0036】音色選択により音色の変更を行いたいパッ
ドセンサを指定する。統合パッドモードの時には、左右
2つの統合パッドの内の1つをスイッチにより選択す
る。また、分割パッドモードの時には、左右4つずつの
計8つの分割パッドの内から1つをスイッチにより選択
する。ステップS4では、選択されたパッドに対応する
パッドセンサの番号をセンサ番号レジスタPNに格納
し、ステップS5へ進む。
【0037】ステップS5では、ステップS4において
指定されたパッドセンサに所望の音色を設定する。押下
された音色選択スイッチの音色番号をレジスタTCに格
納する。音色番号レジスタTCは、モード番号とセンサ
番号を要素とする2次元配列であり、モード番号レジス
タMDとセンサ番号レジスタPNが示す音色番号レジス
タTC(MD,PN)に選択された音色番号を格納し
て、ステップS6へと進む。
【0038】ステップS6は、電子打楽器本体上に配置
されたモード切換えスイッチ状態をチェックする。モー
ド切換えスイッチは、反転型スイッチであり、押圧毎に
統合パッドモードと分割パッドモードの切換えを行う。
モード切換えスイッチにオンイベントがあればステップ
S7へ進み、オンイベントがなければステップS8へ進
む。
【0039】ステップS7では、モード番号レジスタM
Dを反転し、新たに設定された統合パッドモード又は分
割パッドモードのモード番号を格納する。例えば、モー
ド番号は、統合パッドモードを“0”とし、分割パッド
モードを“1”とする。したがって、モード番号レジス
タMDの1ビット反転を行えば、パッドモードは切り換
わる。つまり、本体上のモード切換えスイッチを押すこ
とにより、モード番号レジスタMDに格納されたモード
番号“0”と“1”の反転を行い、ステップS8へ進
む。モード番号レジスタMDの初期値は、ステップS2
の初期設定において“0”又は“1”に設定される。
【0040】ステップS8では、パッドセンサにより検
出された打撃信号の処理を行い、ステップS9へ進む。
打撃信号処理の詳細は後に説明する。ステップS9で
は、音量の設定や自動伴奏等のその他の処理を行う。そ
して、ステップS3へと進み、処理を繰り返す。
【0041】図7は、パッドセンサにより検出された打
撃信号の処理を示すフローチャートである。ステップT
1から処理はスタートし、ステップT2においてモード
番号レジスタMDをチェックする。モード番号レジスタ
MDが“0”であれば、統合パッドモードであることを
意味するので、ステップT3へ進む。
【0042】また、モード番号レジスタMDが“1”で
あれば、分割パッドモードであることを意味するので、
処理端子Bへと進み分割パッドモードのための処理を行
う。分割パッドモードの処理は、処理端子Bから始ま
り、打撃信号の処理を行った後に処理端子Cに続く。処
理端子Cからは、ステップT17へ進み、図6のメイン
ルーチンの処理へと戻る。なお、処理端子Bに続く処理
については、後の図8において説明する。
【0043】ステップT3以降は、統合パッドモードの
時の処理である。ステップT3では、カウンタレジスタ
Iに0が格納され、ステップT4へ進む。カウンタレジ
スタIには、パッドセンサの番号を表す値が格納され
る。
【0044】ステップT4では、パッドセンサからの打
撃信号を検出する。カウンタレジスタIが示す番号から
連続する4つのセンサ番号I〜I+3に対応するパッド
センサから出力された打撃信号を調べる。4つの打撃信
号の比較を行い、その中で最高値を示す打撃信号が算出
される。算出された最高値の打撃信号は、打撃信号レジ
スタPRに格納され、ステップT5へ進む。
【0045】統合パッドは電子打楽器本体上の左右に2
つ配置され、左の統合パッドはセンサ番号0〜3の4つ
のパッドセンサを有し、右の統合パッドはセンサ番号4
〜7の4つのパッドセンサを有する。カウンタレジスタ
の初期値は、ステップT3において設定された0である
ので、最初はセンサ番号0〜3の4つのパッドセンサか
ら検出される打撃信号を調べる。そして、2回目の処理
においては後述するようにカウンタレジスタIが4とな
っているので、センサ番号4〜7の他方の統合パッドの
パッドセンサから検出される打撃信号を調べる。
【0046】以上においては、4つの打撃信号からの最
高値を算出し、最高値の打撃信号を打撃信号レジスタP
Rに格納する場合について説明した。つまり、1つの統
合パッドに設けられた4つのパッドセンサの内からの代
表値として最高値を採用する。ただし、最高値の代わり
に平均値を採ることもできる。この場合には、パッドセ
ンサから検出される4つの打撃信号の平均値を算出し、
平均値の打撃信号を打撃信号レジスタPRに格納すれば
よい。
【0047】ステップT5では、ノイズ処理を行う。打
撃信号レジスタPRに格納されている値と所定のしきい
値#1を比較し、打撃信号レジスタPRの値が、しきい
値#1以上であればステップT6へ進み、しきい値#1
より小さければステップT11へ進む。
【0048】しきい値#1は、ノイズ成分を除去するた
めに設定する値である。本来は、パッドが叩かれていな
い時は打撃信号が0となるべきであるが、出力される打
撃信号にノイズ成分が加わり、通常0とはならない。そ
こで、しきい値#1を設定し、打撃信号レジスタPRの
値がしきい値#1以上の値となった時にのみパッドが叩
かれているとの判断を行う。
【0049】ステップT6では、パッドセンサが検出し
た打撃信号が、今現在初めてしきい値#1を越えたの
か、或いは継続してしきい値#1を越えているのかを調
べる。状態レジスタON(I)をチェックして、状態レ
ジスタON(I)が0であればステップT7へ進み、0
でなければステップT8へ進む。Iはカウンタレジスタ
Iに格納されているパッドセンサ番号を示し、0の時は
左の統合パッドの表し、4の時は右の統合パッドを表
す。状態レジスタON(I)は、Iのパッドセンサ番号
に応じた状態が格納され、パッドが叩かれていない初期
状態においては0がセットされている。
【0050】ステップT7では、状態レジスタON
(I)に1をセットする。状態レジスタON(I)は、
打撃信号レジスタPRの値がしきい値#1以上になれば
パッドが叩かれていることを示すために1がセットされ
るレジスタである。続いて、ピーク値レジスタMAX
(I)に0を格納し、ステップT8へ進む。ピーク値レ
ジスタMAX(I)は、カウンタレジスタIに格納され
ているセンサ番号に対応するパッドセンサから、時間経
過と共に次々と検出される打撃信号の内のピーク値を格
納するためのレジスタである。
【0051】ステップT8では、打撃信号レジスタPR
とピーク値レジスタMAX(I)との比較を行い、新た
に入力された打撃信号が、しきい値#1を越えてから現
時点までに検出された打撃信号の中での最大値であるの
かどうかを判断する。
【0052】打撃信号レジスタPRが、ピーク値レジス
タMAX(I)以上の打撃信号であればステップT9へ
進み、ピーク値レジスタMAX(I)に打撃信号レジス
タPRの値を格納し、現時点までの打撃信号の内の最大
値MAX(I)の値を更新する。そして、時間レジスタ
TIME(I)に0を格納し、ステップT15へ進む。
時間レジスタTIME(I)は、ピーク値レジスタMA
X(I)に格納された値が更新されてからの経過時間を
格納するためのレジスタである。ステップT8でPRが
ピーク値レジスタMAX(I)以上でなければ直ちにス
テップT15へ進む。
【0053】ステップT15では、カウンタレジスタI
を4増加し、続くステップT16においては、カウンタ
レジスタIに格納された値をチェックする。カウンタレ
ジスタIは、0であれば左の統合パッドを表し、4であ
れば右の統合パッドを表す。カウンタレジスタIが8で
あれば終了を意味するので、ステップT17へ進み、図
6のメインルーチンの処理へと戻る。また、カウンタレ
ジスタIが8でなければ、ステップT4へと進み、他方
の統合パッドについて処理を繰り返す。
【0054】ステップT5でPRがしきい値#1以上で
ない場合はステップT11に進む。ステップT11は、
パッドセンサが検出した打撃信号がしきい値#1より小
さいと判断された後の処理である。打撃信号レジスタP
Rに格納されている値と所定のしきい値#2を比較し、
打撃信号レジスタPRの値が、しきい値#2以下であれ
ばステップT12へ進み、しきい値#2より大きければ
ステップT15へ進む。ここで、しきい値#1としきい
値#2とは、同じ値としても異なる値としてもよい。
【0055】しきい値#2は、打撃の余韻による振動を
打ち切るために設定する値である。スティック等をパッ
ドから離し、パッドへの打撃を終了した後にもパッドの
振動は続き、徐々に減衰して行く。そこで、しきい値#
2以下にまで減衰したところで、打撃の効果が終了した
ものとみなす。
【0056】ステップT12では、パッドへの打撃が終
了したと前ステップT11において判断された打撃の演
奏データを音源に出力したかどうかを調べる。状態レジ
スタON(I)をチェックして、状態レジスタON
(I)が2であれば既に演奏データを音源に出力したこ
とを意味するので、ステップT13へ進み、状態レジス
タON(I)には0が格納される。その後、ステップT
15へ進む。つまり、パッドセンサから検出された打撃
信号より生成された演奏データが音源に出力されたこと
が確認されたので、状態レジスタON(I)は初期状態
に戻される。状態レジスタON(I)が2でなければ、
直ちにステップT15へ進む。
【0057】図8は、分割パッドモードにおける打撃信
号の処理を示すフローチャートである。図7のステップ
T2においてモード番号レジスタMDが“1”の時にお
ける後の処理であり、処理端子Bから処理が始まる。
【0058】処理端子Bは、ステップU1へと進み、カ
ウンタレジスタIに0が格納される。そして、ステップ
U2へ進む。カウンタレジスタIは、パッドセンサの番
号を表す。
【0059】ステップU2では、パッドセンサからの打
撃信号を入力する。カウンタレジスタIが示す番号のセ
ンサ番号に対応する分割パッドセンサから出力された打
撃信号を入力する。入力された打撃信号は、打撃信号レ
ジスタPRに格納され、ステップU3へ進む。
【0060】分割パッドは、それぞれの統合パッドを4
つに分割した計8つのパッドである。左の4つの分割パ
ッドはセンサ番号0〜3のパッドセンサをそれぞれ有
し、右の4つの分割パッドはセンサ番号4〜7のパッド
センサをそれぞれ有する。
【0061】ステップU3では、打撃信号レジスタPR
に格納されている値と所定のしきい値#1との比較を行
う。打撃信号レジスタPRの値が、しきい値#1以上で
あれば打撃があったと判断してステップU4へ進み、し
きい値#1より小さければ打撃はないと判断してステッ
プU11へ進む。
【0062】打撃があったと判断した場合ステップU4
では、パッドセンサが検出した打撃信号が、今現在初め
てしきい値#1を越えたのか、或いは継続してしきい値
#1を越えているのかを調べる。状態レジスタON
(I)をチェックして、状態レジスタON(I)が0で
あれば初めてしきい値#1を越えたのでステップU5へ
進み、状態レジスタON(I)に1をセットする。状態
レジスタON(I)は、打撃信号レジスタPRの値がし
きい値#1以上になれば1がセットされるレジスタであ
る。続いて、ピーク値レジスタMAX(I)に0を格納
し、ステップU6へ進む。ピーク値レジスタMAX
(I)は、打撃信号のピーク値を格納するためのレジス
タである。ON(I)が0でなければ既にしきい値を越
えた処理はされているので直ちにステップU6へ進む。
【0063】ステップU6では、打撃信号レジスタPR
が、ピーク値レジスタMAX(I)以上か否かを判断す
る。MAX(I)以上の打撃信号であればステップU7
へ進み、ピーク値レジスタMAX(I)に打撃信号レジ
スタPRの値を格納して、打撃信号の最大値を更新す
る。そして、時間レジスタTIME(I)に0を格納
し、ステップU15へ進む。時間レジスタTIME
(I)は、ピーク値レジスタMAX(I)に格納された
値が更新されてからの経過時間を格納するためのレジス
タである。PRがピーク値レジスタMAX(I)以上で
なければ直ちにステップU15へ進む。
【0064】ステップU15では、カウンタレジスタI
を1増加し、続くステップU16においては、カウンタ
レジスタIに格納された値をチェックする。カウンタレ
ジスタIが8であればI=0〜7の全パッドの処理の終
了を意味するので、処理端子Cへ進み、図7の打撃処理
ルーチンへと戻る。また、カウンタレジスタIが8でな
ければ、ステップU2へと進み次のセンサ番号に対応す
る分割パッドについて処理を繰り返す。
【0065】ステップU11は、ステップU10でパッ
ドセンサが検出した打撃信号がしきい値#1より小さい
と判断された後の処理である。打撃信号レジスタPRに
格納されている値と所定のしきい値#2を比較し、打撃
信号レジスタPRの値が、しきい値#2以下であればス
テップU12へ進み、しきい値#2より大きければステ
ップU15へ進む。
【0066】ステップU12では、状態レジスタON
(I)をチェックして、状態レジスタON(I)が2で
あれば既に演奏データを音源に出力したことを意味する
ので、ステップU13へ進む。状態レジスタON(I)
が2でなければ、ステップU15へ進む。
【0067】ステップU13では、演奏データが音源に
出力されたことが前ステップU12において判断された
ので、状態レジスタON(I)には0が格納される。そ
して、ステップU15へ進む。
【0068】以上、電子打楽器のメインルーチンの処理
について説明したが、このメインルーチンが行われてい
る間には、0.1[msec]毎に割込み処理が行われ
る。この割込み処理では、適したタイミングにて演奏デ
ータを音源に出力する。
【0069】図9は、電子打楽器の処理中に発生する割
込み処理を説明するためのフローチャートである。ステ
ップV1から処理はスタートし、ステップV2におい
て、8つのパッドセンサに対応する8つの時間レジスタ
TIME(0)〜TIME(7)を全て1増加する。そ
して、ステップV3へ進む。
【0070】ステップV3では、カウンタレジスタJに
0を格納する。カウンタレジスタJには、以下の処理対
象となるパッドセンサの番号を示す値が格納される。次
にステップV4において、状態レジスタON(J)と時
間レジスタTIME(J)に格納されている値をチェッ
クする。状態レジスタON(J)が1であり、且つ時間
レジスタTIME(J)が所定値であればステップV5
へ進み、それ以外はステップV8へ進む。つまり、ステ
ィック等がパッドに接触している状態で現在パッドが打
撃を行われている最中であって、且つピーク値レジスタ
MAX(J)が新たに更新されてから所定時間が経過し
た時には、ステップV5へ進む。
【0071】ここで、所定時間経過するまで待機する理
由について説明する。打撃信号は、時間経過に対して複
数個の極大値を有することが多い。ピーク値レジスタM
AX(J)に格納されたある打撃信号が、最大値でない
極大値の場合には、その後検出される打撃信号はある期
間中は減少し続ける。しかし、その後増大し、再びピー
ク値レジスタMAX(J)が更新されることがある。
【0072】もし、ピーク値レジスタMAX(J)に格
納された打撃信号が最大値であれば、パッドへの打撃が
終了するまでMAX(J)は更新されることはない。ま
た、打撃信号の最大値が検出されてから、打撃信号がし
きい値#2以下に減衰するまで、ピーク値レジスタMA
X(J)は更新されない。したがって、ピーク値レジス
タMAX(J)が更新してから、所定時間経過した場合
はその値が、最大値であるとみなすことができる。
【0073】ステップV5では、速度レジスタVELに
ピーク値レジスタMAX(J)の値を格納し、ステップ
V6へ進む。速度レジスタVELは、パッドを叩く速度
を表す。速度レジスタVELの値が大きくなるほど、パ
ッドを叩く速度が速いことを示し、大きな音を発音す
る。逆に、速度レジスタVELの値が小さくなるほど、
パッドを叩く速度が遅いことを示し、小さな音を発音す
る。つまり、速度レジスタVELは音量を制御するため
のレジスタである。
【0074】ステップV6では、音色番号レジスタTC
(MD,J)、速度レジスタVELに格納された値、及
びキーオン信号等の演奏データを音源に出力する。そし
て、ステップV7へ進む。
【0075】ステップV7では、状態レジスタON
(J)に2を格納し、ステップV8へ進む。したがっ
て、状態レジスタON(J)に2が格納されていれば既
に演奏データを音源に出力したことを意味する。
【0076】ステップV8では、パッドモードのチェッ
クをする。モード番号レジスタMDが“0”であれば、
統合パッドモードを表し、ステップV9へ進む。そし
て、カウンタレジスタJを4増加し、統合パッドを更新
してステップV11へ進む。
【0077】また、モード番号レジスタMDが“1”で
あれば、分割パッドモードを表し、ステップV10へ進
む。そして、カウンタレジスタJを1増加し、分割パッ
ドを更新してステップV11へ進む。
【0078】ステップV11では、カウンタレジスタJ
をチェックする。カウンタレジスタJが8でなければ、
ステップV4へ進み、カウンタレジスタJが示すセンサ
番号のパッドセンサについての処理を繰り返す。また、
カウンタレジスタJが8であれば、全てのパッドについ
てそ処理が終了したことを意味するので、ステップV1
2へ進み、割込み処理を終了する。
【0079】以上、統合パッドモードにおいて、4つの
パッドセンサに分割されたどの領域を叩いても、選択設
定された1つの音色のみを発音する場合について説明し
たが、本発明はこれに限られない。例えば、モードは2
種類に限定されない。4つのパッドセンサの内でどのパ
ッドセンサが打撃信号を検出したかにより、発音すべき
音色を同一種類の楽音に保ちつつ、微妙に変化させるモ
ードを設けること等もできる。
【0080】このように、同一のパッドセンサを用い
て、統合パッドモードと分割パッドモードの両方を使い
分けることにより多様な演奏が可能となる。統合パッド
モードは、パッド上の打撃面の面積が広いので、演奏の
操作性がよい。また、分割パッドモードは、複数のパッ
ドセンサのそれぞれについて音色を設定することが可能
であるので、バリエーションのある演奏を行うことがで
きる。
【0081】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組合わせ等が可能なことは当業者に自
明であろう。
【0082】
【発明の効果】モード切換手段を切え換えることによ
り、パッド全体で1つの楽音を制御する第1モードとパ
ッド内の複数の領域の各々で楽音を制御する第2モード
の両方を使い分けることができる。これにより、演奏の
操作性又は演奏のバリエーションの優れた電子打楽器を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電子打楽器の実施例を示す。図
1(A)は電子打楽器の外観図であり、図1(B)は電
子打楽器の機能を説明するための概念図である。図1
(B)(α)は統合パッドモードにおける機能を説明す
るための概念図であり、図1(B)(β)は分割パッド
モードにおける機能を説明するための概念図である。
【図2】 図1のA−A線に沿うパッドの断面図であ
る。
【図3】 一体ラバー上におけるスリットの構造例を示
す。図3(A)はスリット上部に境界を印刷した場合の
断面図であり、図3(B)は凹形状を成すスリットの断
面図であり、図3(C)は凸形状を成すスリットの断面
図である。
【図4】 本実施例による電子打楽器のシステム構成を
示すブロック図である。
【図5】 電子打楽器に設けられるパッドの他の形状お
よび分割の例を示す概略図である。図5(A)は円形の
統合パッドを5つの分割パッドに分割する例を示す概略
図であり、図5(B)は四角形の統合パッドを4つの分
割パッドに分割する例を示す概略図である。
【図6】 電子打楽器の処理のメインルーチンを説明す
るためのフローチャートである。
【図7】 パッドセンサにより検出された打撃信号の処
理を示すフローチャートである。
【図8】 分割パッドモードにおける打撃信号の処理を
示すフローチャートである。
【図9】 電子打楽器の処理中に発生する割込み処理を
説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
PD パッド、 SN 圧電センサ、 3 鉄板、
4 一体ラバー、5 スリット、 6 スピーカ
部、 7 パネル操作部、 8 モード切換えスイ
ッチ、 9 最高値検出回路、 10 楽音制御回

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 演奏モードを少なくとも第1モード、第
    2モードの間で切り換えるモード切換手段と、 複数の領域に分割されたパッドと、 前記パッドの各領域に対応して設けられた複数の打撃セ
    ンサと、 第1モードの時は、前記複数の打撃センサからの全検出
    信号に基づき、1つの楽音を制御し、第2モードの時
    は、前記複数の打撃センサからの各検出信号に基づき、
    それぞれ1つの楽音を制御する楽音制御回路とを有する
    電子打楽器。
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