JP4187898B2 - 電子鍵盤楽器の連打検出制御装置 - Google Patents

電子鍵盤楽器の連打検出制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子鍵盤楽器の連打検出制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ピアノや複合型ピアノ(打弦演奏及び電子音源演奏のいずれかを選択できるピアノ)等に代表される電子鍵盤楽器には、鍵盤の押鍵、離鍵のタイミングを検出するための検出装置が設けられている。
【0003】
この検出装置は、鍵盤が所定の第1深さまで押鍵されたときにオンオフが切り替わる第1スイッチと、鍵盤が第1深さより深い所定の第2深さまで押鍵されたときにオンオフが切り替わる第2スイッチとを備えている。そして、電子鍵盤楽器は、押鍵によって第1スイッチが切り替わったあと第2スイッチが切り替わった時点で発音処理を実行し、離鍵によって第2スイッチが切り替わったあと第1スイッチが切り替わった時点で止音処理を実行する。なお、図7はこのときの様子を例示した参考図である。
【0004】
ここで、押鍵とは演奏者が鍵盤に荷重を加えて押し下げることをいい、離鍵とは演奏者が鍵盤に加えていた荷重を抜くことをいう。なお、離鍵には、鍵盤から指を離す動作のほか、鍵盤に指を触れたまま荷重を抜く動作も含まれる。
ところで、電子鍵盤楽器の演奏時には、ある鍵盤を素早く連続して何度も打鍵する、いわゆる連打を行うことがある。このような連打の場合でも、各鍵盤操作ごとに、押鍵によって第1スイッチが切り替わったあと第2スイッチが切り替わり、離鍵によって第2スイッチが切り替わったあと第1スイッチが切り替わるのであれば、各鍵盤操作ごとに発音・止音がなされるため、特に問題は生じない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、演奏者によっては鍵盤のストローク深さの浅いところで連打したり、あるいは、鍵盤のストローク深さの深いところで連打したりする場合があり、これらの場合には以下のような問題が生じる。
【0006】
即ち、図7を参照して説明すると、ストローク深さの浅いところで連打する場合には、連打の途中で、押鍵によって第2スイッチがオフからオンに切り替わる深さ(第2深さ)まで鍵盤が押し下げられないことがあり、この場合には発音処理が実行されず、音抜けが生じてしまうという問題が生じる。
【0007】
一方、ストローク深さの深いところで連打する場合には、連打の途中で、離鍵によって第1スイッチがオンからオフに切り替わる深さ(第1深さ)まで鍵盤が上がらないうちに再度押鍵されることがあり、この場合には演奏者が鍵盤操作を2回行ったにもかかわらず、それぞれの鍵盤操作に応じた発音、止音がなされないという問題が生じる。
【0008】
本発明は上記問題点を解決することを課題とするものであり、電子鍵盤楽器において、鍵盤のストローク深さの浅いところで連打したとしても演奏に忠実に音を鳴らすことのできる連打検出制御装置を提供することを第1の目的とし、鍵盤のストローク深さの深いところで連打したとしても演奏に忠実に音を鳴らすことのできる連打検出制御装置を提供することを第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明の第1は、押鍵によって第1スイッチが切り替わったあと第2スイッチが切り替わった時点で発音処理を実行し、離鍵によって第2スイッチが切り替わったあと第1スイッチが切り替わった時点で止音処理を実行する電子鍵盤楽器において、今回の鍵盤操作が連打か否かを判定し、今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合には、今回の押鍵によって第1スイッチが切り替わったあと所定時間Taが経過しても第2スイッチが切り替わらなかったとき、その所定時間Taが経過した後に発音処理を実行する連打検出制御装置を要旨とする。
【0010】
なお、以下には説明の便宜のため、第1スイッチ及び第2スイッチは押鍵によってオフからオンへ、離鍵によってオンからオフへ切り替わるものとして説明するが、もちろん押鍵によってオンからオフへ、離鍵によってオフからオンへ切り替わるものであってもよい。
【0011】
本発明の第1の連打検出制御装置では、連打の途中で、押鍵によって第1スイッチがオンになったあと所定時間Taが経過しても第2スイッチがオンにならなかったならば、鍵盤のストローク深さの浅いところで連打されたもの(つまり、押鍵によって第2スイッチが切り替わる深さ(第2深さ)まで鍵盤が押し下げられなかった)とみなし、所定時間Taが経過した後に発音処理を実行する。したがって、鍵盤のストローク深さの浅いところで連打した場合であっても、音抜けすることがなく、演奏に忠実に音を鳴らすことができる。
【0012】
ここで、今回の鍵盤操作が連打か否かは、前回の押鍵によって第1スイッチがオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチがオンするまでの時間に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第2スイッチがオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチがオンするまでの時間に基づいて判定してもよい。つまり、前回の押鍵タイミング(第1スイッチが切り替わった時点又は第2スイッチが切り替わった時点)と今回の押鍵タイミング(第1スイッチが切り替わった時点)との時間間隔に基づいて連打か否かを判定すればよい。
【0013】
但し、鍵盤のストローク深さの浅いところで連打した場合には、前回の鍵盤操作において第2スイッチが切り替わらなかったということもあるため、この点を考慮すれば、今回の鍵盤操作が連打か否かは、前回の押鍵によって第1スイッチが切り替わったあと今回の押鍵によって第1スイッチが切り替わるまでの時間に基づいて判定するのが好ましい。
【0014】
判定に際しては、例えば、この時間間隔と判定基準値と比較し、判定基準値を下回る場合には連打であると判定し、判定基準値を上回る場合には連打ではないと判定すればよい。この判定基準値は、例えば、予め実際に連打した時の上記時間間隔を採用してもよいし、前回の鍵盤操作が連打だった場合にはその前回における上記時間間隔を採用してもよい。
【0015】
所定時間Taの経過後に発音処理を実行する際には、前回の打鍵強度に基づいて発音処理を実行するか、又は、それまでの連打における打鍵強度の平均値に基づいて発音処理を実行することが好ましい。発音処理における打鍵強度は、本来、押鍵により第1スイッチがオンになったあと第2スイッチがオンになるまでの時間に応じて決められるべきだが、押鍵により第1スイッチがオンになるものの第2スイッチがオンにならない場合には、そのようにして打鍵強度を決めることができないため、便宜上、前回が連打だった場合にはその打鍵強度に基づいて発音処理するか、又は、それまでの連打における打鍵強度の平均値に基づいて発音処理を実行するのである。
【0016】
所定時間Taは、例えば、前回の押鍵によって第1スイッチがオンになってから第2スイッチがオンになるまでの時間(押鍵インターバル時間という)としてもよいし、それまでの連打における押鍵インターバル時間の平均値としてもよい。但し、連打といっても、今回の鍵盤操作における押鍵インターバル時間が比較的長いこともあり得ることから、前回の押鍵インターバル時間を経過した直後や、それまでの連打における押鍵インターバル時間の平均値を経過した直後に発音処理を開始した場合には、その後に第2スイッチがオンになるという事態も起こり得る。このため、この点を考慮すれば、前回の押鍵インターバル時間(又はそれまでの連打における押鍵インターバル時間の平均値)に所定許容時間を加算した時間を所定時間Taとするのが好ましい。
【0017】
一方、本発明の第2は、今回の鍵盤操作が連打か否かを判定し、今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合には、今回の離鍵によって第2スイッチが切り替わったあと所定時間Tbを経過しても第1スイッチが切り替わらなかったとき、その所定時間Tbが経過した後に止音処理を実行する連打検出制御装置を要旨とする。
【0018】
この連打検出制御装置では、連打の途中で、離鍵によって第2スイッチがオフになったあと所定時間Tbが経過しても第1スイッチがオフにならなかったならば、鍵盤のストローク深さの深いところで連打されたもの(つまり、離鍵によって第1スイッチが切り替わる深さ(第1深さ)まで鍵盤が戻らなかった)とみなし、その所定時間Tbが経過した後に止音処理を実行する。したがって、鍵盤のストローク深さの深いところで連打した場合であっても、いつまでも音が途切れない状況に陥ることはなく、演奏に忠実に音を鳴らすことができる。
【0019】
ここで、今回の鍵盤操作が連打か否かは、前回の押鍵によって第1スイッチがオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチがオンするまでの時間に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第1スイッチがオンしたあと今回の押鍵によって第2スイッチがオンするまでの時間に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第2スイッチがオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチがオンするまでの時間に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第2スイッチがオンしたあと今回の押鍵によって第2スイッチがオンするまでの時間に基づいて判定してもよい。つまり、前回の押鍵タイミング(第1スイッチが切り替わった時点又は第2スイッチが切り替わった時点)と今回の押鍵タイミング(第1スイッチが切り替わった時点又は第2スイッチが切り替わった時点)との時間間隔に基づいて連打か否かを判定すればよい。
【0020】
但し、鍵盤のストローク深さの深いところで連打した場合には、前回の鍵盤操作において押鍵しても第1スイッチが切り替わらなかったということもあるため、この点を考慮すれば、今回の鍵盤操作が連打か否かは、前回の押鍵によって第2スイッチが切り替わったあと今回の押鍵によって第2スイッチが切り替わるまでの時間に基づいて判定するのが好ましい。
【0021】
判定に際しては、例えば、この時間間隔と判定基準値と比較し、判定基準値を下回る場合には連打であると判定し、判定基準値を上回る場合には連打ではないと判定する。この判定基準値としては、例えば、予め実際に連打した時の上記時間間隔を採用してもよいし、前回の鍵盤操作が連打だった場合にはその前回における上記時間間隔を採用してもよい。
【0022】
この連打検出制御装置では、今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合において、今回の離鍵によって第2スイッチがオフしたあと所定時間Tbを経過しても第1スイッチがオフしなかったとき、その所定時間Tbが経過した後に止音処理を実行し、その後次回の押鍵によって第2スイッチが切り替わったとき、発音処理を実行することが好ましい。このようにすれば、今回の離鍵によって第1スイッチがオフしなかったとしても、次回の押鍵に応じた発音処理を確実に行える。
【0023】
また、このように次回の押鍵に応じた発音処理を実行する際には、押鍵によって第1スイッチがオフからオンに切り替わらないため、第1スイッチがオンになってから第2スイッチがオンになるまでの時間に応じて定められる打鍵強度が得られない。このため、次回の押鍵に応じた発音処理は、今回の打鍵強度に基づいて実行するか、又は、それまでの連打における打鍵強度の平均値に基づいて実行するのが好ましい。
【0024】
所定時間Tbは、例えば、前回の離鍵によって第2スイッチがオフになってから第1スイッチがオフになるまでの時間(離鍵インターバル時間という)としてもよいし、それまでの連打における離鍵インターバル時間の平均値としてもよい。但し、連打といっても、今回の鍵盤操作における離鍵インターバル時間が比較的長いこともあり得ることから、前回の離鍵インターバル時間を経過した直後や、それまでの連打における離鍵インターバル時間の平均値を経過した直後に止音処理を開始した場合には、その後に第1スイッチがオフになるという事態も起こり得る。このため、この点を考慮すれば、前回の離鍵インターバル時間(又はそれまでの連打における離鍵インターバル時間の平均値)に所定許容時間を加算した時間を所定時間Tbとするのが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は本実施形態の電子鍵盤楽器の概略構成を表すブロック図、図2は検出器周辺の概略構成を表す説明図である。
電子鍵盤楽器10は、鍵盤11と、押鍵・離鍵を検出する検出器30(第1スイッチS1及び第2スイッチS2を含む)と、楽音の減衰時間を長くするダンプ処理等を実行するためのペダルスイッチ群12と、音色を切り換えたりや音量を調節したりするための操作スイッチ群13とを備えている。
【0026】
また、電子鍵盤楽器10は、主演算装置としてのCPU14(本発明の電子音制御手段及び連打判定手段に相当)と、各種プログラムデータやラウドネスシーケンスデータ等を記憶したROM15と、演算時にデータを一時記憶するためのRAM16と、種々の波形を記憶した波形メモリ17と、波形メモリ17から読み込んだ波形を加工してディジタル/アナログ変換器(DAC)19へ出力する音源回路18と、音源回路18からの出力データをDAC19及びアンプ20を介して外部へ出力するスピーカ21(ヘッドホンでも可)とを備えている。
【0027】
なお、検出器30、ペダルスイッチ群12、操作スイッチ群13、CPU14、ROM15、RAM16、音源回路18はデータバス22によりそれぞれデータ送受可能に接続されている。
ここで、検出器30について図2に基づいて説明する。検出器30は、鍵盤11のうちバランスピン11aよりも手前側に設置されている。この検出器30は、第1光軸31の遮断・導通を検出するフォトインタラプタからなる第1スイッチS1と、第1光軸31と平行な第2光軸32の遮断・導通を検出するフォトインタラプタからなる第2スイッチS2と、この第1及び第2光軸31、32を適宜遮断・導通するシャッタプレート33とにより構成されている。なお、鍵盤11は、バランスピン11aを支点として上下動可能に支持されており、フロントピン11bにより左右方向に振れるのを防止されている。
【0028】
検出器30を構成するシャッタプレート33は、プレート部33aと、このプレート部33aを貫通する孔33bとを備えており、孔33bは下縁が高低差のある2段に形成されている。検出器30は、鍵盤11が押下されていない状態では、第1及び第2光軸31、32はシャッタプレート33のプレート部33aにより遮断されているため、第1及び第2スイッチS1、S2ともオフになっている。
【0029】
ここで、押鍵に伴って第1及び第2スイッチS1、S2の出力がどのように変化するかについて説明する(第1深さX1、第2深さX2については図7を参照)。押鍵されて鍵盤11が第1深さX1(ここでは深さ4mm)に達すると、第1光軸31はシャッタプレート33の孔33bのうち下縁の一段低くなっている部分を介して導通され、第2光軸32はシャッタプレート33のプレート部33aにより遮断されるため、第1スイッチS1はオフからオンに切り替わるが、第2スイッチS2はオフのままである。更に押鍵されて鍵盤11が第2深さX2(ここでは深さ7mm)に達すると、第1及び第2光軸31、32は共にシャッタプレート33の孔33bを介して導通されるため、第1スイッチS1はオンのままであり、第2スイッチS2はオフからオンに切り替わる。そして、鍵盤11がフルストローク深さ(ここでは深さ10mm)に達すると、第1及び第2光軸31、32は共にシャッタプレート33の孔33bを介して導通されたままであるため、第1及び第2スイッチS1、S2は共にオンである。
【0030】
続いて、離鍵に伴って第1及び第2スイッチS1、S2の出力がどのように変化するかについて説明する。鍵盤11がフルストローク深さにある状態から離鍵されて鍵盤11が第2深さX2に達すると、第1スイッチS1はオンのままで、第2スイッチS2はオンからオフに切り替わる。その後、鍵盤11が第1深さX1に達すると、第1スイッチS1はオンからオフに切り替わり、第2スイッチS2はオフのままである。そして最終的に鍵盤11が押下されていない状態に戻ると、第1及び第2スイッチS1、S2は共にオフである。
【0031】
次に、演奏者によって演奏されるときのこの電子鍵盤楽器10の動作について説明する。電子鍵盤楽器10のCPU14は、電源がオンされると、ROM15に記憶された各種プログラムにしたがって動作するが、ここでは図3のメインフローについて説明する。また、随時、図4〜図6のチャートを参照する。
【0032】
まず、CPU14は、S100において、電源がオンされると初期化処理を実行する。ここで初期化処理とは各種レジスタのイニシャライズ等の一般的な初期化処理である。続くS101において、ペダルスイッチ群12や操作スイッチ群13の状態を読み取り、その状態に応じた各種の処理を行う。例えばペダルスイッチ群12のうちダンパペダルのスイッチがオンされていたならば、楽音の減衰時間を長くするダンプ処理を行う。また、操作スイッチ群13のうち音量スイッチの位置に応じて音量調節を行う。
【0033】
続くS102において、第1スイッチS1がオンか否かを判断する。この第1スイッチS1は、押鍵によって鍵盤11が第1深さX1に達したときにオフからオンに切り替わる。このS102において第1スイッチS1がオフならば(S102でNO)、押鍵されなかったものとみなしてS101に戻るが、第1スイッチがオンならば(S102でYES)、押鍵されたものとみなしてS103に進む。
【0034】
S103では、押鍵によって第2スイッチS2がオフからオンに切り替わったか否かを判断する。この第2スイッチS2は、押鍵によって鍵盤11が第1深さX1よりも深い第2深さX2に達したときにオフからオンに切り替わる。
このS103において、第2スイッチS2がオンに切り替わったならば(S103でYES)、S104に進んで、第1スイッチS1の立ち上がりエッジ(オフからオンに切り替わった時点)から第2スイッチS2の立ち上がりエッジまでの押鍵インターバル時間Ton(図4参照)をRAM16に記憶し、続くS105において、この押鍵インターバル時間Tonから打鍵硬度を表すベロシティデータVを演算し、このベロシティデータVをRAM16に記憶し、続くS106において、このベロシティデータVを音源回路18にセットする。すると、DAC19及びアンプ20を介してスピーカ21からベロシティデータVに応じた強さの音が発せられる。
【0035】
その後、S111に進んで、離鍵によって第2スイッチS2がオンからオフに切り替わったか否かを判断する。この第2スイッチS2は、離鍵によって鍵盤11が第2深さX2まで戻った時点でオンからオフに切り替わる。このS111において、第2スイッチS2がオフに切り替わっていないならば(S111でNO)、離鍵されていないものとみなしてS111に戻るが、第2スイッチS2がオフに切り替わったならば(S111でYES)、続くS112において、離鍵によって第1スイッチS1がオンからオフに切り替わったか否かを判断する。この第1スイッチS1は、離鍵によって鍵盤11が第1深さX1まで戻った時点でオンからオフに切り替わる。
【0036】
このS112において、第1スイッチS1がオフに切り替わったならば(S112でYES)、S113において、第2スイッチS2の立ち下がりエッジ(オンからオフに切り替わった時点)から第1スイッチS1の立ち下がりエッジまでの離鍵インターバル時間Toff(図4参照)をRAM16に記憶し、続くS114で止音処理を実行する。その後、再びS101に戻る。
【0037】
以上の一連の処理は、鍵盤操作を適切に行った場合の処理、即ち、鍵盤11を適切に押鍵してたあと適切に離鍵した場合の処理である。
ところで、電子鍵盤楽器10の演奏時には、ある鍵盤11を素早く連続して何度も打鍵する、いわゆる連打を行うことがある。このような連打の場合でも、各鍵盤操作を適切に行えば、上述した一連の処理が繰り返し実行されて各鍵盤操作ごとに発音・止音がなされる。図4はこのときの様子を表すものであり、第1及び第2スイッチのオンオフ状態と発音・止音の関係を表す説明図である。
【0038】
しかしながら、演奏者によっては鍵盤11のストローク深さの浅いところで連打したり、あるいは、鍵盤11のストローク深さの深いところで連打したりする場合がある。これらの場合には、上述した一連の処理が実行されない。このため、本実施形態では、その対策を講じている。
【0039】
まず、鍵盤11のストローク深さの浅いところで連打する場合について図5を参照しつつ説明する。この場合には、連打の途中で、押鍵によって第2スイッチS2がオフからオンに切り替わる第2深さX2まで鍵盤11が押し下げられないことがある。つまり、S102において、押鍵によって第1スイッチS1がオフからオンに切り替わったあと(S102でYES)、S103に進むが、このS103において、第2スイッチS2がオフからオンに切り替わらないことがある。
【0040】
このため、本実施形態では、S103において第2スイッチS2がオフならば(S103でNO)、S107に進んで今回の鍵盤操作が連打か否かを判断し、その判断結果に応じた処理を行っている。
今回の鍵盤操作が連打か否かについては、前回の押鍵によって第1スイッチS1がオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチS1がオンするまでの時間TS1-S1に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第2スイッチS2がオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチS1がオンするまでの時間TS2-S1に基づいて判定してもよいが、鍵盤11のストローク深さの浅いところで連打した場合には、鍵盤操作において第2スイッチS2が切り替わらないこともあるため、ここでは時間TS1-S1を採用している。
【0041】
また、判定に際しては、時間TS1-S1と判定基準値と比較し、判定基準値を下回る場合には連打であると判定し、判定基準値を上回る場合には連打ではないと判定する。この判定基準値は、予め実際に連打した時の時間TS1-S1であり、ROM15に記憶されている。
【0042】
さて、S107において、今回の鍵盤操作が連打ではないと判定されたならば(S107でNO)、再びS101に戻るが、今回の鍵盤操作が連打であると判定されたならば(S107でYES)、S108に進んで、第1スイッチS1の立ち上がりエッジから、押鍵インターバル時間Tonに所定許容時間αを加算した所定時間Ta(=Ton+α)だけ経過したか否かを判断する。
【0043】
ここで、押鍵インターバル時間Tonは、前回の鍵盤操作時においてS104でRAM16に記憶された値である。なお、連打といっても、今回の鍵盤操作における押鍵インターバル時間が比較的長いこともあり得ることから、前回の押鍵インターバル時間を経過した直後に発音処理を開始するとすれば、その後に第2スイッチS2がオンになるという事態も起こり得る。このため、このような事態を回避すべく、本実施形態では押鍵インターバル時間Tonに所定許容時間αを加算している。
【0044】
S108において、所定時間Taだけ経過していなければ(S108でNO)、再びS101に戻るが、所定時間Taだけ経過したならば(S108でYES)、今回の鍵盤操作は連打にもかかわらず、ストローク深さの浅いところでの連打であるため鍵盤11が第2深さX2まで押下されず、第2スイッチS2がオフからオンに切り替わらなかったものとみなし、S109に進む。
【0045】
S109では、RAM16に記憶されているベロシティデータVを音源回路18にセットする。すると、DAC19及びアンプ20を介してスピーカ21からベロシティデータVに応じた強さの音が発せられる。このベロシティデータVは、前回の鍵盤操作時においてS106でRAM16に記憶された値であるが、それまでの連打におけるベロシティデータVの平均値を用いてもよい。
【0046】
その後、S110に進み、離鍵によって第1スイッチS1がオンからオフに切り替わったか否かを判断し、第1スイッチS1がオフに切り替わらなければ(S10でNO)、再びS110に戻るが、第1スイッチS1がオフに切り替わったならば(S110でYES)、演奏者が離鍵したとみなし、S114に進んで止音処理を実行し、その後、再びS101に戻る。
【0047】
以上の一連の処理によれば、ストローク深さの浅いところで連打される場合において、連打の途中で、押鍵によって第2スイッチS2が切り替わる第2深さX2まで鍵盤11が押し下げられなかったとしても、所定時間Ta(=Ton+α)が経過した後に発音処理を実行するため、音抜けすることがなく、演奏に忠実に音を鳴らすことができる。
【0048】
次に、鍵盤11のストローク深さの深いところで連打する場合について図6を参照しつつ説明する。この場合には、連打の途中で、離鍵によって第1スイッチS1がオンからオフに切り替わる第1深さX1まで鍵盤11が戻らないうちに押鍵されることがある。つまり、S111において、離鍵によって第2スイッチS2がオンからオフに切り替わったあと(S111でYES)、S112に進むが、このS112において、第1スイッチS1がオンからオフに切り替わらないことがある。
【0049】
このため、本実施形態では、S112において第1スイッチS2がオンならば(S112でNO)、S112に進んで今回の鍵盤操作が連打か否かを判断し、その判断結果に応じた処理を行っている。
今回の鍵盤操作が連打か否かについては、前回の押鍵によって第1スイッチS1がオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチS1がオンするまでの時間TS1-S1に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第1スイッチS1がオンしたあと今回の押鍵によって第2スイッチS2がオンするまでの時間TS1-S2に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第2スイッチS2がオンしたあと今回の押鍵によって第1スイッチS1がオンするまでの時間TS2-S1に基づいて判定してもよいし、前回の押鍵によって第2スイッチS2がオンしたあと今回の押鍵によって第2スイッチS2がオンするまでの時間TS2-S2に基づいて判定してもよい。但し、ストローク深さの深いところで連打した場合には、鍵盤操作において第1スイッチS1が切り替わらないこともあるため、ここでは時間TS2-S2を採用している。
【0050】
また、判定に際しては、時間TS2-S2と判定基準値と比較し、判定基準値を下回る場合には連打であると判定し、判定基準値を上回る場合には連打ではないと判定する。この判定基準値は、予め実際に連打した時の時間TS2-S2であり、ROM15に記憶されている。
【0051】
さて、S115において、今回の鍵盤操作が連打ではないと判定されたならば(S115でNO)、再びS112に戻るが、今回の鍵盤操作が連打であると判定されたならば(S112でYES)、S116に進んで、第2スイッチS2の立ち下がりエッジから、離鍵インターバル時間Toffに所定許容時間βを加算した所定時間Tb(=Toff+β)だけ経過したか否かを判断する。
【0052】
ここで、離鍵インターバル時間Toffは、前回の鍵盤操作時においてS113でRAM16に記憶された値である。なお、連打といっても、今回の鍵盤操作における離鍵インターバル時間が比較的長いこともあり得ることから、前回の離鍵インターバル時間を経過した直後に発音処理を開始するとすれば、その後に第1スイッチS1がオフになるという事態も起こり得る。このため、このような事態を回避すべく、本実施形態では離鍵インターバル時間Toffに所定許容時間βを加算している。
【0053】
S116において、所定時間Tbだけ経過していなければ(S116でNO)、再びS112に戻るが、所定時間Tbだけ経過したならば(S116でYES)、今回の鍵盤操作は連打にもかかわらず、ストローク深さの深いところでの連打であるため鍵盤11が第1深さX1まで戻らず、第1スイッチS1がオンからオフに切り替わらなかったものとみなし、S117に進んで止音処理を実行する。
【0054】
ところで、今回の鍵盤操作が連打であって離鍵によって第1スイッチS1がオフにならずに止音した(S112でNO→S115でYES→S116でYES→S117)ということは、今回の鍵盤操作が連打の途中であることを意味するから、次回の鍵盤操作も引き続き連打であるとみなすことができる。
【0055】
このため、続くS118において、次回の鍵盤操作における押鍵によって第2スイッチS2がオフからオンになったか否かを判断し、第2スイッチS2がオフならば(S118でNO)、再びS118に戻るが、第2スイッチS2がオンならば(S118でYES)、S119に進み、RAM16に記憶されているベロシティデータVを音源回路18にセットする。すると、DAC19及びアンプ20を介してスピーカ21からベロシティデータVに応じた強さの音が発せられる。このベロシティデータVは、前回の鍵盤操作時においてS113でRAM16に記憶された値であるが、それまでの連打におけるベロシティデータVの平均値を用いてもよい。
【0056】
つまり、今回の鍵盤操作における離鍵によって第1スイッチS1がオフにならずに止音した場合には、次回の鍵盤操作における押鍵によって第1スイッチS1の立ち上がりエッジが現れないため、押鍵インターバル時間Tonが得られず、ベロシティデータVが得られないことになることから、次回の鍵盤操作においては既にRAM16に記憶されているベロシティデータVを用いて発音処理を実行するのである。
【0057】
なお、S119の後は、止音処理に備えてS111に戻る。
以上の一連の処理によれば、ストローク深さの深いところで連打される場合において、連打の途中で、離鍵によって第1スイッチS1が切り替わる第1深さX1まで鍵盤11が戻らなかったとしても、所定時間Tb(=Toff+β)が経過した後に止音処理を実行するため、いつまでも音が途切れない状況に陥ることはなく、演奏に忠実に音を鳴らすことができる。図6はこのときの様子を表す説明図である。
【0058】
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、第1及び第2スイッチS1、S2としては非接触型スイッチであるフォトインタラプタを採用したが、接触型スイッチ(例えば押しボタンスイッチ、押している間はオン、離すと自動復帰してオフになるもの)を採用してもよい。
【0059】
また、S107では時間TS1-S1に基づいて連打か否かを判断したが、時間TS2-S1と時間TS2-S1の両方に基づいて連打か否かを判断してもよい。この場合、どちらか片方のみ連打だと判断された場合には、連打ではないものとして処理し、両方揃って連打だと判断された場合にのみ、連打として処理するようにすれば、S107における連打の判断精度が高まる。この点は、S115においても同様である。
【0060】
更に、S107の判断基準値は、予めROM15に記憶された値としたが、この判断基準値を演奏者が変更できる判断基準値変更手段を設けてもよい。この場合、演奏者が自分の連打に合わせて判断基準値を設定できるため、S107における連打の判断精度が高まる。この点は、S115においても同様である。
【0061】
更にまた、S108における所定時間TaやS116における所定時間Tbについても演奏者が変更できる所定時間変更手段を設けてもよい。あるいは、所定時間Ta、Tbは、演奏者が実際に連打をしたときのデータに基づいて設定するようにしてもよい。この場合、演奏者の癖に応じて所定時間Ta、Tbを変更できるため、より演奏に忠実に音を鳴らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の電子鍵盤楽器の概略構成を表すブロック図である。
【図2】 検出器周辺の概略構成を表す説明図である。
【図3】 本実施形態のメインフローを表すフローチャートである。
【図4】 第1及び第2スイッチと発音・止音との関係を表す説明図である。
【図5】 ストローク深さの浅いところで連打したときの第1及び第2スイッチと発音・止音との関係を表す説明図である。
【図6】 ストローク深さの深いところで連打したときの第1及び第2スイッチと発音・止音との関係を表す説明図である。
【図7】 鍵盤位置と第1及び第2スイッチとの関係を表す説明図である。
【符号の説明】
10・・・電子鍵盤楽器、11・・・鍵盤、12・・・ペダルスイッチ群、13・・・操作スイッチ群、14・・・CPU、15・・・ROM、16・・・RAM、17・・・波形メモリ、18・・・音源回路、21・・・スピーカ、22・・・データバス、30・・・検出器、31・・・第1光軸、32・・・第2光軸、33・・・シャッタプレート、33a・・・プレート部、33b・・・孔、S1・・・第1スイッチ、S2・・・第2スイッチ、Ton・・・押鍵インターバル時間、Toff・・・離鍵インターバル時間。

Claims (9)

  1. 鍵盤が所定の第1深さまで押鍵されたときにオンオフが切り替わる第1スイッチと、
    上記鍵盤が上記第1深さより深い所定の第2深さまで押鍵されたときにオンオフが切り替わる第2スイッチと、
    押鍵によって上記第1スイッチが切り替わったあと上記第2スイッチが切り替わった時点で発音処理を実行し、離鍵によって上記第2スイッチが切り替わったあと上記第1スイッチが切り替わった時点で止音処理を実行する電子音制御手段と、
    今回の鍵盤操作が連打か否かを判定する連打判定手段と
    を備え、
    上記電子音制御手段は、
    今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合において、今回の押鍵によって上記第1スイッチが切り替わったあと所定時間Taが経過しても上記第2スイッチが切り替わらなかったとき、その所定時間Taが経過した後に発音処理を実行する
    ことを特徴とする電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  2. 上記連打判定手段は、
    前回の押鍵によって上記第1又は第2スイッチが切り替わったあと今回の押鍵によって上記第1スイッチが切り替わるまでの時間に基づいて、今回の鍵盤操作が連打か否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  3. 上記電子音制御手段は、
    今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合において、今回の押鍵によって上記第1スイッチが切り替わったあと所定時間Taが経過しても上記第2スイッチが切り替わらなかったとき、その所定時間Taの経過後に、前回の打鍵強度に基づいて発音処理を実行するか、又は、それまでの連打における打鍵強度の平均値に基づいて発音処理を実行する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  4. 上記所定時間Taは、
    前回の押鍵によって上記第1スイッチが切り替わってから上記第2スイッチが切り替わるまでの押鍵インターバル時間、それまでの連打における押鍵インターバル時間の平均値、又は、それらのいずれかに所定許容時間を加算した時間である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  5. 鍵盤が所定の第1深さまで押鍵されたときにオンオフが切り替わる第1スイッチと、
    上記鍵盤が上記第1深さより深い所定の第2深さまで押鍵されたときにオンオフが切り替わる第2スイッチと、
    押鍵によって上記第1スイッチが切り替わったあと上記第2スイッチが切り替わった時点で発音処理を実行し、離鍵によって上記第2スイッチが切り替わったあと上記第1スイッチが切り替わった時点で止音処理を実行する電子音制御手段と、
    今回の鍵盤操作が連打か否かを判定する連打判定手段と
    を備え、
    上記電子音制御手段は、
    今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合において、今回の離鍵によって上記第2スイッチが切り替わったあと所定時間Tbを経過しても上記第1スイッチが切り替わらなかったとき、その所定時間Tbが経過した後に止音処理を実行する
    ことを特徴とする電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  6. 上記連打判定手段は、
    前回の押鍵によって上記第1又は第2スイッチが切り替わったあと今回の押鍵によって上記第1又は第2スイッチが切り替わるまでの時間に基づいて、今回の鍵盤操作が連打か否かを判定する
    ことを特徴とする請求項5記載の電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  7. 上記電子音制御手段は、
    今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合において、今回の離鍵によって上記第2スイッチが切り替わったあと所定時間Tbを経過しても上記第1スイッチが切り替わらなかったとき、その所定時間Tbが経過した後に止音処理を実行し、その後次回の押鍵によって上記第2スイッチが切り替わったとき、発音処理を実行する
    ことを特徴とする請求項5又は6記載の電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  8. 上記電子音制御手段は、
    今回の鍵盤操作が連打だと判定された場合において、今回の離鍵によって上記第2スイッチが切り替わったあと所定時間Tbを経過しても上記第1スイッチが切り替わらなかったとき、その所定時間Tbが経過した後に止音処理を実行し、その後次回の押鍵によって上記第2スイッチが切り替わったとき、今回の打鍵強度に基づいて発音処理を実行するか、又は、それまでの連打における打鍵強度の平均値に基づいて発音処理を実行する
    ことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
  9. 上記所定時間Tbは、
    前回の離鍵によって上記第2スイッチが切り替わってから上記第1スイッチが切り替わるまでの離鍵インターバル時間、それまでの連打における離鍵インターバル時間の平均値、又は、それらのいずれかに所定許容時間を加算した時間である
    ことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電子鍵盤楽器の連打検出制御装置。
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